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特許7558371LIDARデバイスにおけるレトロリフレクターの検出および回避
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】LIDARデバイスにおけるレトロリフレクターの検出および回避
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4865 20200101AFI20240920BHJP
【FI】
G01S7/4865
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190503
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2022528341の分割
【原出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2024009033
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】17/028,847
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/941,989
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ドロズ,ピエール-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スターク,イーサン
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特許第6596804(JP,B1)
【文献】特開2007-78476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
コンピューティングデバイスによって、車両に結合された第1のLIDARデバイスからデータを受信することであって、前記データは、前記第1のLIDARデバイスによって検出されたレトロリフレクターの位置を示す情報を含むことと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記レトロリフレクターの前記位置が、前記車両に結合された第2のLIDARデバイスの視野内であると判定することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記第2のLIDARデバイスにメッセージを送信することであって、前記メッセージは、前記レトロリフレクターが前記第2のLIDARデバイスの前記視野内にあることを示す情報を含むことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のLIDARデバイスは複数の光エミッタを含み、前記第1のLIDARデバイスによって検出された前記レトロリフレクターの前記位置を示す前記情報は、前記レトロリフレクターが、特定の期間中に、前記複数の光エミッタのうちの特定の光エミッタの視野内にあることを示す情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レトロリフレクターが、前記特定の期間中に、前記複数の光エミッタのうちの前記特定の光エミッタの前記視野内にあることを示す前記情報に基づいて、前記コンピューティングデバイスによって、前記車両のワールドフレームにおける前記レトロリフレクターの位置を決定することと、
前記車両の前記ワールドフレームにおける前記レトロリフレクターの前記位置に基づいて、前記コンピューティングデバイスによって、前記第2のLIDARデバイスに対する前記レトロリフレクターの相対位置を決定することと、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記レトロリフレクターが前記第2のLIDARデバイスの前記視野内にあることを示す前記情報は、前記第2のLIDARデバイスに対する前記レトロリフレクターの前記相対位置を示す情報を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のLIDARデバイスに対する前記レトロリフレクターの前記相対位置を示す前記情報は、前記第2のLIDARデバイスのヨー角および前記第2のLIDARデバイスのピッチ角を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のLIDARデバイスによって前記メッセージを受信することに応答して、前記第2のLIDARデバイスの少なくとも1つの光エミッタを停止することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メッセージは、前記レトロリフレクターが第1の位置にあることを示し、
前記コンピューティングデバイスによって、前記第2のLIDARデバイスに第2のメッセージを送信することであって、前記第2のメッセージは、前記レトロリフレクターが前記第1の位置にもはや存在しないことを示すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のメッセージは、前記レトロリフレクターが前記第2のLIDARデバイスの前記視野内の第2の位置にあることを示す、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コンピューティングデバイスによって、かつ、前記第1のLIDARデバイスから、前記レトロリフレクターに関する追加のデータを受信することであって、前記コンピューティングデバイスは、前記レトロリフレクターに関する前記追加のデータを受信することに応答して、前記第2のメッセージを送信することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のLIDARデバイスは、前記レトロリフレクターが前記特定の光エミッタの前記視野内にあることに応答して、前記特定の光エミッタを停止するように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
車両に結合された複数のLIDARデバイスと、
前記複数のLIDARデバイスに通信可能に結合されたコンピューティングデバイスと、を備え、
前記複数のLIDARデバイスのうちの第1のLIDARデバイスは、前記第1のLIDARデバイスによって検出されたレトロリフレクターの位置を示す情報を前記コンピューティングデバイスに送信するように構成され、
前記コンピューティングデバイスは、
前記レトロリフレクターの前記位置が、前記複数のLIDARデバイスのうちの第2のLIDARデバイスの視野内であると判定することと、
前記第2のLIDARデバイスにメッセージを送信することであって、前記メッセージは、前記レトロリフレクターが前記第2のLIDARデバイスの前記視野内にあることを示す情報を含むことと、を行うように構成される、システム。
【請求項12】
前記第1のLIDARデバイスは複数の光エミッタを含み、前記第1のLIDARデバイスによって検出された前記レトロリフレクターの前記位置を示す前記情報は、前記レトロリフレクターが、特定の期間中に、前記複数の光エミッタのうちの特定の光エミッタの視野内にあることを示す情報を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピューティングデバイスは、
前記レトロリフレクターが、前記特定の期間中に、前記複数の光エミッタのうちの前記特定の光エミッタの前記視野内にあることを示す前記情報に基づいて、前記車両のワールドフレームにおける前記レトロリフレクターの位置を決定することと、
前記車両の前記ワールドフレームにおける前記レトロリフレクターの前記位置に基づいて、前記第2のLIDARデバイスに対する前記レトロリフレクターの相対位置を決定することと、を行うようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記レトロリフレクターが前記第2のLIDARデバイスの前記視野内にあることを示す前記情報は、前記第2のLIDARデバイスに対する前記レトロリフレクターの前記相対位置を示す情報を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のLIDARデバイスに対する前記レトロリフレクターの前記相対位置を示す前記情報は、前記第2のLIDARデバイスのヨー角および前記第2のLIDARデバイスのピッチ角を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記メッセージを受信することに応答して、前記第2のLIDARデバイスは、少なくとも1つの光エミッタを停止するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記メッセージは、前記レトロリフレクターが第1の位置にあることを示し、
前記コンピューティングデバイスは、
前記第1のLIDARデバイスから前記レトロリフレクターに関する追加のデータを受信することと、
前記追加のデータを受信することに応答して、前記第2のLIDARデバイスに第2のメッセージを送信することであって、前記第2のメッセージは、前記レトロリフレクターが前記第1の位置にもはや存在しないことを示すことと、を行うようにさらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記第2のメッセージは、前記レトロリフレクターが前記第2のLIDARデバイスの前記視野内の第2の位置にあることを示す、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のLIDARデバイスは、前記車両のルーフに結合され、前記第2のLIDARデバイスは、前記車両の前側、後ろ側、右側、または左側に結合される、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記コンピューティングデバイスは、
前記レトロリフレクターが、前記複数のLIDARデバイスのうちの2つ以上のLIDARデバイスのそれぞれの視野内であると判定することと、
前記2つ以上のLIDARデバイスのそれぞれにメッセージを送信することであって、前記メッセージは、前記レトロリフレクターがそれぞれの視野内にあることを示す情報を含むことと、を行うようにさらに構成される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年9月22日に出願された米国特許出願第17/028,847号および2019年11月29日に出願された米国仮特許出願第62/941,989号に基づく優先権を主張し、これらの全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に別段の指示がない限り、本項に記載の題材は、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、本項に含めることよって先行技術であると認められるものではない。
【0003】
光検出および測距(LIDAR)デバイスは、所与の環境内のオブジェクトまでの距離を推定できる。例えば、LIDARデバイスのエミッタサブシステムは、近赤外光パルスを放射することができ、この光パルスは、デバイスの環境内のオブジェクトと相互作用し得る。光パルスのうちの少なくとも一部分は、LIDARに方向転換され、(例えば、反射または散乱に起因して)、検出器サブシステムによって検出され得る。従来の検出器サブシステムは、複数の検出器と、それぞれの光パルスの到達時間を高い時間分解能で判定するように構成された、対応するコントローラとを含み得る。LIDARデバイスと所与のオブジェクトとの間の距離は、所与のオブジェクトと相互作用する対応する光パルスの飛行時間に基づいて判定され得る。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、方法が提供される。この方法は、光検出および測距(LIDAR)デバイスの光エミッタによって、第1の光パルスを視野内に放射することを含む。この方法はさらに、LIDARデバイスの検出器が、第1の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスを検出したと判定することを含む。検出器は、視野内からの光を検出するように構成されている。この方法はさらに、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスを検出することに応答して、1つ以上の後続の測定期間の間、光エミッタを停止することを含む。1つ以上の後続の測定期間は第1の測定期間の後に発生する。
【0005】
第2の態様では、光検出および測距(LIDAR)デバイスが提供される。LIDARデバイスは、光パルスを視野内に放射するように構成された光エミッタと、視野内からの光を検出するように構成された検出器と、動作を実行するように構成されたコントローラとを含む。動作は、(i)視野内に第1の光パルスを放射するように光エミッタを制御することと、(ii)検出器が、第1の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスを検出したと判定することと、(iii)レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスを検出することに応答して、1つ以上の後続の測定期間の間、光エミッタを停止することと、を含む。1つ以上の後続の測定期間は第1の測定期間の後に発生する。
【0006】
一部の実施形態では、動作は、光エミッタをいつ再稼動させるかを決定することをさらに含み得る。光エミッタをいつ再稼動させるかを決定することは、検出器が、第1の測定期間の後に発生する第2の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す追加の光パルスを検出したかどうかを判定することを含み得る。検出器が、第2の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す追加の光パルスを検出したという判定に応答して、第2の測定期間の後に発生する第3の測定期間中に光エミッタが停止される。検出器が、第2の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す追加の光パルスを検出しなかったという判定に応答して、光エミッタは、第2の測定期間の後に発生する第3の測定期間中に再稼動される。
【0007】
一部の実施形態では、光エミッタは第1の測定期間中に第1の光パルスを放射し、検出器が、第1の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスを検出したと判定することは、検出器が第1の測定期間中に反射光パルスを検出したと判定することと、少なくとも反射光パルスの形状に基づいて、反射光パルスがレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示していると判定することと、を含む。
【0008】
一部の実施形態では、光エミッタは一次光エミッタであり、LIDARデバイスは二次光エミッタも含み、一次光エミッタは、第1の測定期間の前に発生する先行する測定期間中に第1の光パルスを放射する。動作はさらに、第1の測定期間中に二次光パルスを放射するように二次光エミッタを制御することであって、二次光パルスは第1の光パルスよりも低い強度を有することと、第1の測定期間中に光を放射しないように一次光エミッタを制御することと、を含む。さらに、検出器が、第1の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスを検出したと判定することは、検出器が第1の測定期間中に反射光パルスを検出したと判定することと、反射光パルスが所定の閾値を超える大きさを有することに少なくとも基づいて、反射光パルスがレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示していると判定することと、を含み得る。
【0009】
一部の実施形態では、光エミッタは一次光エミッタであり、LIDARデバイスは二次光エミッタも含み、一次光エミッタは第1の測定期間中に第1の光パルスを放射し、動作は、第1の測定期間中に二次光パルスを放射するように二次光エミッタを制御することを含み、第1の光パルスと二次光パルスとは所定の時間差だけ時間的に離れており、二次光パルスは第1の光パルスよりも低い強度を有する。さらに、検出器が、第1の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスを検出したと判定することは、検出器が、第1の測定期間中の第1の時間において第1の反射光パルスを、第1の測定期間中の第2の時間において第2の反射光パルスを検出することと、第1の時間と第2の時間との間の時間差が所定の時間差に対応することに少なくとも基づいて、第1および第2の反射光パルスが、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示していると判定することと、を含む。
【0010】
一部の実施形態では、動作は、LIDARデバイスからコンピューティングデバイスに、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトが光エミッタの視野内にあり、第1の測定期間中に検出されたことを示す情報を送信することをさらに含む。
【0011】
第3の態様では、自律型車両の環境をスキャンするための方法が提供される。この方法は、レトロリフレクターを含み得る環境の部分を決定することを含み得る。レトロリフレクターを含み得る環境の部分を決定することは、少なくとも反射光パルスの形状に基づいて、反射光パルスがレトロリフレクターによる反射を示していると判定することを含み得る。この方法は、それらの部分をスキャンするためにLIDARの機能を選択的に変更することをさらに含み得る。それらの部分をスキャンするためにLIDARの機能を選択的に変更することは、LIDARが、レトロリフレクターを含み得る環境の部分に光を送信するのを選択的に防ぐことを含み得る。LIDARが、レトロリフレクターを含み得る環境の部分に光を送信するのを選択的に防ぐことは、1つ以上の送信機が特定の時間に光を放射するのを選択的に防ぐことを含み得る。それらの部分をスキャンするためにLIDARの機能を選択的に変更することは、代わりにまたは追加で、同じ光エミッタまたは二次光エミッタによって二次光パルスを放射することを含み得、二次光パルスは第1の光パルスよりも低い強度を有する。
【0012】
第4の態様では、LIDAR-LIDAR通信のための方法が提供される。この方法は、コンピューティングデバイスによって、車両に結合された第1のLIDARデバイスからデータを受信することを含み、データは、第1のLIDARデバイスによって検出されたレトロリフレクターの位置を示す情報を含む。この方法は、コンピューティングデバイスによって、レトロリフレクターの位置が、車両に結合された第2のLIDARデバイスの視野内にあると判定することをさらに含む。この方法は、コンピューティングデバイスによって、第2のLIDARデバイスにメッセージを送信することをさらに含み、メッセージは、レトロリフレクターが視野第2のLIDARデバイス内にあることを示す情報を含む。
【0013】
これらの態様および他の態様、利点、および代替物は、当業者には、以下の詳細な説明を添付の図面を適宜参照して読み取ることにより明らかになるであろう。さらに、本概要の項および本文献の他の場所で提供される記載は、限定ではなく例として請求される主題を例解することを意図していることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】例示的な実施形態によるLIDARデバイスの簡略ブロック図である。
図2】例示的な実施形態によるLIDARデバイスの断面図を示す。
図3】例示的な実施形態によるLIDARデバイスの複数の送信/受信チャネルの視野(FOV)の例示的な配置を示す。
図4A】例示的な実施形態による車両を示す。
図4B】例示的な実施形態による車両を示す。
図4C】例示的な実施形態による車両を示す。
図4D】例示的な実施形態による車両を示す。
図4E】例示的な実施形態による車両を示す。
図5】例示的な実施形態による方法のフローチャートである。
図6A】例示的な実施形態による、LIDARデバイスが、レトロリフレクターが位置するLIDARデバイスの環境の部分をスキャンするシナリオを示す。図6Aは、第1の時点での上記シナリオを示す。
図6B】例示的な実施形態による、LIDARデバイスが、レトロリフレクターが位置するLIDARデバイスの環境の部分をスキャンするシナリオを示す。図6Bは、第2の時点での上記シナリオを示す。
図6C】例示的な実施形態による、LIDARデバイスが、レトロリフレクターが位置するLIDARデバイスの環境の部分をスキャンするシナリオを示す。図6Cは、第3の時点での上記シナリオを示す。
図7A】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図7Aは、上記シナリオにおける第1の測定期間のタイミング図である。
図7B】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図7Bは、上記シナリオにおける第2の測定期間のタイミング図である。
図7C】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図7Cは、上記シナリオにおける第3の測定期間のタイミング図である。
図7D】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図7Dは、上記シナリオにおける第4の測定期間のタイミング図である。
図8A】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図8Aは、上記シナリオにおける第1の測定期間のタイミング図である。
図8B】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図8Bは、上記シナリオにおける第2の測定期間のタイミング図である。
図8C】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図8Cは、上記シナリオにおける第3の測定期間のタイミング図である。
図8D】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図8Dは、上記シナリオにおける第4の測定期間のタイミング図である。
図9A】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図9Aは、上記シナリオにおける第1の測定期間のタイミング図である。
図9B】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図9Bは、上記シナリオにおける第2の測定期間のタイミング図である。
図9C】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図9Cは、上記シナリオにおける第3の測定期間のタイミング図である。
図9D】例示的な実施形態による、LIDARデバイスの一次光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが一次光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオを示すタイミング図である。図9Dは、上記シナリオにおける第4の測定期間のタイミング図である。
図10】例示的な実施形態による、LIDARデバイス間の情報共有をサポートするシステムのブロック図である。
図11】例示的な実施形態による、方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書では、例示的な実装形態について説明する。「例示的」という単語は、本明細書では「例、事例、または例解としての役割を果たす」ことを意味するために使用されることを理解されたい。本明細書で「例示的」または「例解的」として説明される実装形態または機能は、他の実装形態または機能よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。図において、特に文脈で指示しない限り、同様の記号は典型的に、同様の構成要素を指している。本明細書で説明される実装形態の例は、限定することを意味するものではない。本明細書に概して記載され、図面に例解される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置し、置き換え、組み合わせ、分離し、かつ設計することができることが、容易に理解される。
【0016】
I.概要
光検出および測距(LIDAR)デバイスは、LIDARデバイスの環境に光パルスを放射するように構成された1つ以上の光エミッタと、環境内の1つ以上のオブジェクトによる放射された光パルスの反射に対応する、戻って来る光パルスを検出するように構成された1つ以上の検出器とを含み得る。光パルスが放射された時間と、光パルスの反射が検出された時間との間の時間差を使用して、LIDARデバイスと光パルスを反射したオブジェクトとの間の距離を求めることができる。さらに、光エミッタが光パルスを放射した方向に基づいてオブジェクトへの方向を求めることができる。オブジェクトへの方向は、例えば、方位角もしくはヨー角(例えば、水平面内の角度)および/または仰角(例えば、水平面に対する角度)に関して特徴付けることができる。
【0017】
一部の実装形態では、LIDARデバイスは、連続する測定期間で光パルスを放射および検出し得る。各測定期間は、光エミッタが光パルスを放射する放射期間と、それに続く、検出器が戻って来る光パルスのために「リッスンする」検出期間とを含み得る。一部の実施形態では、光エミッタが光パルスを放射する方向は測定期間ごとに変化し得る(例えば、LIDARデバイスの回転もしくは他の動き、ミラーもしくは他のビームステアリングデバイスによる偏向に起因して、または何らかの方法で)。このようにすることで、LIDARデバイスはLIDARデバイスの環境の一部をスキャンし得る。
【0018】
一部の実装形態では、LIDARデバイスは複数の光エミッタおよび複数の検出器を含み得る。各光エミッタは、異なる方向に光パルスを放射するように構成され得、各検出器は、異なる方向から来る反射光パルスを検出するように構成され得る。複数の光エミッタおよび複数の検出器に対応する異なる方向は、ある方位角の範囲および/またはある仰角の範囲をカバーし得る。実際には、光エミッタから放射された光パルスは、光エミッタの視野を定めるビーム幅を有し得る。同様に、各検出器は、検出器の視野を定める、ある方向の範囲から来る光を検出するように構成され得る。光エミッタのそれぞれの視野は重なり合っていても重なり合っていなくてもよく、検出器のそれぞれの視野は重なり合っていても重なり合っていなくてもよい。一部の実装形態では、各光エミッタは、光エミッタと同じまたは同様の視野を有する対応する検出器とペアにされ得る。対応する検出器とペアにされた光エミッタは、LIDARデバイスの送信/受信チャネルを定め得る。したがって、複数の光エミッタおよび複数の検出器を含むLIDARデバイスは複数の送信/受信チャネルを有し得、各チャネルは、LIDARデバイスの全体的な視野の一部を構成するそれぞれの視野を有する。
【0019】
一般に、検出器によって検出される反射光パルスの強度は、放射される光パルスの強度、光パルスを反射するオブジェクトまでの距離、オブジェクトの表面に対する入射角、オブジェクトの表面の反射率、およびオブジェクトの表面が光を(例えば、ランバート反射パターンで)拡散反射するかまたは(ミラーのように)鏡面反射するかなど、様々なファクタに依存する。他のファクタが等しいと仮定すると、より反射率の高いオブジェクトは、通常、より反射率の低いオブジェクトよりも強度の高い反射光パルスをもたらす。十分に高い反射率(例えば、用途に応じて、80%を超える、90%を超える、95%を超える、または99%を超える反射率)を有するオブジェクトは「高反射率オブジェクト」、例えば「レトロリフレクター」として分類され得る。さらに、「反射率」という用語が実効ランバート反射率として定義される場合、「レトロリフレクター」は100%を超える反射率を持つ可能性がある。レトロリフレクターの一般的な例には、道路標識、車線標示、並びに車、トラック、自転車、およびその他の車両の前面、側面、および背面のリフレクターが含まれる。場合によっては、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトからの反射光パルスが非常に強いため、LIDARデバイスの所望の動作に様々な問題が発生する可能性がある。
【0020】
レトロリフレクターまたはその他の高反射率オブジェクトによって引き起こされる可能性のある問題の1つはレンジエイリアシングである。この問題は、第1の測定期間で放射された光パルスが、反射光パルスが第2の測定期間で検出されるのに十分離れた距離にあるレトロリフレクターによって反射される場合に発生する可能性がある。これが生じた場合、反射光パルスが第1の測定期間中に放射された光パルスの反射であるか、または第2の測定期間中に放射された光パルスの反射であるかを判断することが難しい場合がある。ひいては、反射光パルスを生成したオブジェクトまでの距離をどのようにして求めるかが曖昧になる可能性がある。
【0021】
レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによって引き起こされる可能性のある別の問題はクロストークである。上記のように、LIDARデバイスは、複数の送信/受信チャネルを提供するように配置された複数の光エミッタおよび複数の検出器を含み得、各チャネルはそれぞれの視野を有する。しかし、実際には、あるチャネルからの少量の光が散乱して別のチャネルに入る可能性がある。場合によっては、そのような散乱は、LIDARデバイス内のチャネル間の不完全な分離の結果である可能性がある。代わりにまたは追加で、散乱は、LIDARデバイスの窓、レンズ、または他の光学部品の表面で発生する可能性がある(例えば、傷、筋、水滴、または他の欠陥もしくは破片に起因して)。LIDARデバイスの外部で散乱が発生する可能性もある。例えば、霧、雨、および雪は光を散乱させるおそれがある。
【0022】
そのような散乱は、LIDARデバイスからLIDARデバイスの環境に送信される光に影響を与える可能性があり、また、LIDARデバイスが環境から受信する光にも影響を与える可能性がある。送信される光に関して、第1のチャネルで放射された光の一部は散乱し、第2のチャネル(例えば、隣接するチャネル)の視野内に入る可能性がある。この散乱に由来する迷光は、第2のチャネルの視野内のオブジェクトによって反射される可能性があり、その結果、オブジェクトからの反射迷光が第2のチャネル内の検出器によって検出される可能性がある。受信される光に関しては、第1のチャネルの視野内のオブジェクトによって反射された光の一部が散乱し、第2のチャネルの視野に入る可能性がある。この散乱に由来する迷光は第2のチャネル内の検出器によって検出され得る。
【0023】
あるチャネルからの光が散乱して別のチャネルに入る可能性に対処するために、閾値を使用して、検出された光パルスを距離決定に使用するかどうかを決定することができる。この手法では、閾値を超える光パルスを検出器が検出した場合(例えば、パルスの高さ、積分された面積、または他の大きさの指標が閾値を超える場合)、検出された光パルスは、検出器の対応する光エミッタによって放射された光パルスである見なされ得、それに基づいて、距離決定に使用することができる。一方、検出器が閾値を超えない光パルスを検出した場合、その光パルスは散乱光またはノイズの結果であると見なされ、それに基づいて距離決定には使用されない。
【0024】
しかし、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトが特定のチャネルの視野内にある場合、この閾値手法では不十分である可能性がある。特定のチャネルの光エミッタがリフレクターに向かって光パルスを放射する場合、レトロリフレクターからの反射光パルスの強度は、反射光が散乱して1つ以上の他のチャネルに入った結果、1つ以上の他のチャネルの検出器が閾値を超える光パルスを検出し得るほどに十分高い可能性がある。ひいては、スプリアス距離決定になる可能性がある。さらに、特定のチャネルの光エミッタがオフにされている場合でも、他のチャネルで放射された光の散乱のために、大きな量の迷光がレトロリフレクターに到達する可能性がある。レトロリフレクターはこの迷光を反射する可能性があり、その結果、特定のチャネルの検出器が閾値を超える光パルスを検出する。
【0025】
レンジエイリアシングおよびクロストークに加えて、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトは、検出器の飽和、ブルーミング、およびLIDARデバイスにおける他のタイプのエラーを引き起こす可能性がある。
【0026】
レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによって引き起こされる可能性のあるエラーを軽減するために、本明細書では、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトが光エミッタの視野内にあることを検出するための、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトが光エミッタの視野内にあるときに光エミッタを停止するための、およびレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトが光エミッタの視野内になくなったときに光エミッタを再稼動させるための方法およびシステムが開示される。
【0027】
一部の例では、反射光パルスの特徴的な形状に基づいて、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトを検出することができる。検出器が、第1の測定期間中に、反射光パルスの形状に基づいて、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す反射光パルスを検出した場合、1つ以上の後続の測定期間の間、検出器の対応する光エミッタは停止され得る。1つ以上の後続の測定期間の間、光エミッタを停止することは、1つ以上の後続の測定期間中に光を放射しないように(例えば、レトロリフレクターを照らさないように)光エミッタを制御することを含み得る。あるいは、1つ以上の後続の測定期間中に光エミッタを停止することは、1つ以上の後続の測定期間の間、光エミッタが低減されたレベル(例えば、低減されたパルスエネルギーおよび/または強度を有する光パルス)で光を放射するように光エミッタを制御することを含み得る。有利なことに、光エミッタは依然としてレトロリフレクターに向かっていくらかの光を放射する可能性があるが、低減された光放射のレベルを、クロストークが大幅に低減されるか、または排除されるほどに十分低くすることができる。
【0028】
一部の例では、二次光エミッタを使用して、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトが検出され得る。二次光エミッタは、距離決定に使用される一次光エミッタによって放射される光パルスと比較して低い強度を有する二次光パルスを放射してもよい。さらに、二次光エミッタは、LIDARデバイスの様々な送信/受信チャネルの視野を包含する広い視野に二次光パルスを放射してもよい。その結果、いずれかのチャネルの検出器が、二次光パルスの反射に由来する反射光パルスを潜在的に検出する可能性がある。しかしながら、二次光パルスの強度は、検出器が通常、二次光パルスが検出器の視野内のレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによって反射された場合にのみ、反射光パルスを検出する(例えば、閾値を超えて検出する)ほどに十分低い可能性がある。
【0029】
ある手法では、二次光エミッタは、送信/受信チャネルの一次光エミッタが光を放射しない第1の測定期間中に二次光パルスを放射する。検出器が、第1の測定期間中に、閾値を超える大きさ(例えば、ピーク値または積分された面積)を有する反射光パルスを検出した場合、反射光パルスは、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示している。それに応答して、検出器の対応する一次光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止され得る。
【0030】
別の手法では、第1の測定期間中、一次光エミッタは一次光パルスを放射し、二次光エミッタは二次光パルスを放射する。一次光パルスと二次光パルスとは所定の時間差だけ時間的に離れている。一次光エミッタの対応する検出器が、第1の測定期間中に、所定の時間差だけ時間的に離れている2つの反射光パルスを検出した場合、2つの反射光パルスは、リフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示している。それに応答して、検出器の対応する一次光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止され得る。
【0031】
光エミッタが1つ以上の後続の測定期間の間、停止されているとき、光エミッタの対応する検出器は、各後続の測定期間において光の検出を継続してもよい。検出器が、後続の測定期間中にレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す反射光パルスを検出した場合、レトロリフレクターは依然として光エミッタの視野内にある。それに応答して、光エミッタは停止したままである。しかし、検出器が、後続の測定期間中にレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す反射光パルスを検出しない場合、レトロリフレクターはもはや光エミッタの視野内に存在しない。それに応答して、光エミッタを再稼動させ得る。
【0032】
II.例示的なシステム
図1は、例示的な実施形態によるLIDARデバイス100の簡略ブロック図である。図示されるように、LIDARデバイス100は、1つ以上の一次光エミッタ102と、1つ以上の二次光エミッタ104と、1つ以上の検出器106と、一次エミッタ回路108と、二次エミッタ回路110と、検出器回路112と、1つ以上の一次光学要素114と、1つ以上の二次光学要素116と、光学窓118と、ハウジング120と、回転プラットフォーム122と、静止プラットフォーム124と、1つ以上のアクチュエータ126と、コントローラ128とを含む。一部の実施形態において、システム100は、より多くの、より少ない、または異なる構成要素を含み得る。追加的に、図示された構成要素は、任意の数の方法で組み合わされ得るか、または、分割され得る。
【0033】
一次光エミッタ102は、例えば、パルスの形式で光を放射するように構成される。各光パルスは、環境内のオブジェクトまでの距離を決定するのに適した期間を有し得る。例えば、各光パルスの持続時間は2ナノ秒~5ナノ秒であり得る。他のパルス幅も可能である。一次光エミッタ102によって放射される光は狭い波長範囲を有し得る。例えば、一次光エミッタ102は、レーザダイオード、レーザダイオードバー、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、ファイバレーザ、または他の狭帯域光源を含むことができる。あるいは、一次光エミッタ102は、より広い範囲の波長の光を放射することができる。例えば、一次光エミッタ102は発光ダイオード(LED)を含むことができる。他のタイプの光源も可能である。一次光エミッタ102によって放射される波長は、例えば、電磁スペクトルの紫外、可視、および/または赤外部分に含まれ得る。例示的な実施形態では、一次光エミッタ102は、約905ナノメートルの波長で光を放射するレーザダイオードを含む。
【0034】
一部の実施形態では、LIDARデバイス100は一次光エミッタ102を1つだけ含み得る。他の実施形態では、LIDARデバイス100は複数の一次光エミッタ102を含み得る。複数の一次光エミッタ102内の各一次光エミッタは、例えば、一次光学要素114に対する一次光エミッタの位置に基づいて、それぞれの視野を照らす光を放射するように構成され得る。一次光エミッタ102のそれぞれの視野は重なり合っていても重なり合っていなくてもよい。
【0035】
二次光エミッタ104は、例えば、パルスの形式で光を放射するように構成される。二次光エミッタ104によって放射される光パルスは、一次光エミッタ102によって放射される光パルスと同じまたは同様の持続時間を有してもよいが、より高いまたはより低いパルスエネルギーを有してもよい。例えば、一次光エミッタ102は、約76nJのパルスエネルギーを有する光パルスを放射してもよく、一方、二次光エミッタ104は、約1μJのパルスエネルギーを有する光パルスを放射してもよい。パルスエネルギーはより高い可能性があるが、二次光エミッタ104からの光はより広い視野に広がる可能性があるため(例えば、二次光学要素116によって)、二次光エミッタ104からの光の強度は一次光エミッタ102からの光の強度よりも低い可能性がある。二次光エミッタ104によって放射される光の波長は、一次光エミッタ102によって放射される光の波長と同じまたは同様であってもよい。例示的な実施形態では、一次光エミッタ102および二次光エミッタ104の両方が近赤外範囲内の光を放射する。一次光エミッタ102と同様に、二次光エミッタ104は、レーザダイオード、レーザダイオードバー、VCSEL、もしくはファイバレーザなどの狭帯域光源、またはLEDなどの広帯域光源を含み得る。他のタイプの光源も可能である。
【0036】
例示的な実施形態では、LIDARデバイス100は二次光エミッタ104を1つだけ含む。単一の二次光エミッタ104は、一次光エミッタ102のそれぞれの視野を包含する視野を照らす光を放射するように構成され得る。光がより広い視野に広がるため、二次光エミッタ104からの光は、一次光エミッタ102のそれぞれからの光よりも低い強度を有し得る。そのような実施形態では、二次光エミッタ104は「フラッシュイルミネータ」または「フラッドイルミネータ」と記され得る。
【0037】
検出器106は、環境からLIDARデバイス100に戻って来る、一次光エミッタ102および二次光エミッタ104によって放射された光の反射を受け止め、検出するように配置された任意のタイプの光検出器を含むことができる。検出器106の例には、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)、シリコンフォトマルチプライヤ(SiPM)、シングルフォトンアバランシェダイオード(SPAD)、マルチピクセルフォトンカウンタ(MPPC)、フォトトランジスタ、アクティブピクセルセンサ(APS)、電荷結合素子(CCD)、極低温検出器、および/または、一次光エミッタ102および二次光エミッタ104によって放射される波長を有する光を検出することができる任意の他の検出器が含まれる。
【0038】
例示的な実施形態では、検出器106は一次光エミッタ102とペアをなし、複数の送信/受信チャネルを形成する。各送信/受信チャネルにおいて、一次光エミッタは、それぞれの視野に光を放射するように構成され、一次光エミッタとペアをなす検出器は、同じまたは同様の視野からの光を受信および検出するように構成される。
【0039】
一次エミッタ回路108は、例えば、コントローラ128の制御下で、特定の測定期間の間、一次光エミッタ102の個々の一次光エミッタを選択的に稼動および停止させることができる回路を含む。選択された一次光エミッタを特定の測定期間の間稼動させるために、一次エミッタ回路108は、電流が選択された一次光エミッタを流れるように、充電された後に放電されるコンデンサ(または他のエネルギー貯蔵デバイス)を含み得る。選択された一次光エミッタを流れる電流により、選択された一次光エミッタは特定の測定期間中に光パルスを放射する。選択された一次光エミッタを特定の測定期間の間停止するために、一次エミッタ回路108は、コンデンサを充電しないか、または、選択された一次光エミッタを電流がほとんどもしくは全く流れないように、コンデンサを充電した後にコンデンサを放電し得る(例えば、選択された一次光エミッタを流れない電流経路を介してコンデンサが放電され得る)。結果として、選択された一次光エミッタは特定の測定期間中に光パルスを放射しない(または、低減された強度もしくはパルスエネルギーを有する光パルスを放射する)。
【0040】
二次エミッタ回路110は、1つ以上の測定期間内に1つ以上の二次光エミッタ104に光パルスを放射させる回路を含む。一部の実施形態では、二次エミッタ回路110は、一次光エミッタ102が光を放射しない専用測定期間中に二次光エミッタ104に光パルスを放射させる。そのような専用測定期間を使用することで、検出器106によって検出された二次光エミッタ104によって放射された光パルスの反射に基づいて、環境内のレトロリフレクターの位置のマップが作成され得る。専用測定期間の後に1つ以上の標準測定期間が続いてもよい。標準測定期間では、一次光エミッタ102は選択的に、光パルスを放射するように稼動されるか、またはレトロリフレクターを照らさないために停止され得、一方、二次光エミッタ104は光を放射しない。
【0041】
他の実施形態では、二次エミッタ回路110は、各測定期間において光パルスを放射するように二次光エミッタ104を制御する。例えば、各測定期間中に、二次エミッタ回路110は、一次光エミッタ102によって光パルスが放射された後、二次光エミッタ104に特定の期間(例えば、50ナノ秒)だけ光パルスを放射させてもよい。あるいは、二次エミッタ回路110は、一次光エミッタ102によって光パルスが放射される前に、またはそれと同時に、二次光エミッタ104に光パルスを放射させることができる。
【0042】
検出器回路112は、各検出器106によって検出された光に基づいてそれぞれの信号を出力するように構成される。例えば、検出器回路112は、検出器106ごとにそれぞれのアナログ-デジタル変換器(ADC)を含み得る。ADCは、様々な時間において検出器の出力をサンプリングするように構成されており、各時間において、検出された光信号(例えば、検出されたフォトンに由来する電流)に対応するデジタル値が出力される。ADCのサンプリングレートは、反射パルスごとに複数のサンプルを取得するように、放射された光パルスのパルス持続時間に基づいて選択され得る。例えば、放射された光パルスのパルス幅が2ナノ秒の場合、ADCは100~500ピコ秒ごとに検出器の出力をサンプリングし得る。このようにして決定されたデジタル値を使用して、時間の関数として検出器によって検出された反射光パルスの形状を決定することができる(例えば、立ち上がりエッジ、ピーク、および立ち下がりエッジを含む)。
【0043】
一次光学要素114は、1つ以上のレンズ、ミラー、導光体、アパーチャ、ディフューザ、ならびに/または、一次光エミッタ102によって放射された光をLIDARデバイス100の環境に向ける、および環境からの反射光を検出器106に向ける他の光学要素を含み得る。例示的な実施形態では、一次光学要素114は、一次光エミッタ102を検出器106とペアにして1つ以上の送信/受信チャネルを形成する。そのような実施形態では、各送信/受信チャネルはそれぞれの視野に関連付けられ、一次光学要素114は、チャネルの一次光エミッタからの光をチャネルの特定の視野に向け、チャネルの特定の視野内からの反射光をチャネルの対応する検出器に向ける。
【0044】
二次光学要素116は、1つ以上のレンズ、ミラー、導光体、アパーチャ、ディフューザ、および/または、二次光エミッタ104によって放射された光をLIDARデバイス100の環境に向ける他の光学要素を含み得る。例示的な実施形態では、二次光学要素116は、二次光エミッタ104によって放射された光を、一次光エミッタ102および検出器106のそれぞれの視野を包含する視野に広げる。
【0045】
一部の実施形態では、LIDARデバイス100は回転するように構成される。図1に示されるように、LIDARデバイス100は、アクチュエータ122の制御下で静止プラットフォーム120に対して回転する回転プラットフォーム118を含む。静止プラットフォーム120は、例えば車両に取り付けられ得る。一次光エミッタ102、二次光エミッタ104、検出器106、一次エミッタ回路108、二次エミッタ回路110、検出器回路112、一次光学要素114、および二次光学要素116は、回転プラットフォーム118に搭載されるか、または結合され得る。アクチュエータ122は、1つ以上のモータ、空気圧アクチュエータ、油圧ピストン、および/もしくは圧電アクチュエータ、ならびに/または任意の他のタイプのアクチュエータを含み得る。アクチュエータ122は、回転プラットフォーム118を回転軸を中心に回転させるように(例えば、コントローラ128によって)操作され得る。一部の実施形態では、回転軸は垂直軸であり得る。例えば、LIDARデバイス100は車両に搭載され得、回転軸は、一般に、車両が動作している路面に対して垂直であり得る。一部の実施形態では、回転プラットフォーム118は3~30Hzの速度で完全に360度回転することができる。他の回転速度も可能である。他の実施形態では、回転プラットフォーム118は360度未満、回転し得る。例えば、回転プラットフォーム118は、ある角度範囲内で前後に旋回してもよい。一部の実施形態では、回転プラットフォーム118は、複数の測定期間の間、LIDARデバイス100を継続的に回転させることができる。他の実施形態では、回転プラットフォーム118は継続回転を提供しない可能性があり、代わりに、様々な時間において(例えば、環境内の特定の関心領域を識別することに応答して)LIDARデバイス100の向きを調整するために使用され得る。
【0046】
図1に示されるように、LIDARデバイス100は、一次光エミッタ102、二次光エミッタ104、検出器106、一次エミッタ回路108、二次エミッタ回路110、検出器回路112、一次光学要素114、および二次光学要素116を取り囲むハウジング124を含む。ハウジング124は回転プラットフォーム118に結合されてもよい。一部の実施形態では、ハウジング124は、一次光エミッタ102および二次光エミッタ104によって放射される光に対して透明であり得る。他の実施形態では、ハウジング124は不透明であり得るが、一次光エミッタ102および二次光エミッタ104によって放射される光に対して透明な光学窓126を含み得る。例えば、一次光学要素114および二次光学要素116は、一次光エミッタ102および二次光エミッタ104によって放射された光を、光学窓126を通ってLIDARデバイス100の環境内に向けるように配置され得、また、光学窓126を通ってLIDARデバイス100に入る環境からの反射光を検出器106に向けるように配置され得る。
【0047】
一部の実施形態では、一次光学要素114は、一次光エミッタ102から光学窓126への第1の光路を定め得、二次光学要素116は、二次光エミッタ104から光学窓126への第2の光路を定め得る。第1および第2の光路は別々であってもよい。あるいは、第1および第2の光路が部分的に重なっていてもよい。
【0048】
コントローラ128は1つ以上のプロセッサ130およびデータストレージ132を含んでいてもよい。プロセッサ130は、1つ以上の汎用プロセッサおよび/または1つ以上の専用プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサなど)を含み得る。データストレージ132は、プロセッサ130が読み取ることができる、またはアクセスすることができる1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含むか、またはその形態をとり得る。データストレージ132は、少なくとも1つのプロセッサ130と全体的または部分的に一体化されることができる電気メモリ、光メモリ、磁気メモリ、有機メモリ、もしくは他のメモリ、またはディスクストレージのような揮発性および/または不揮発性ストレージ部品を含むことができる。プロセッサ130およびデータストレージ132に加えて、またはその代わりに、コントローラ128は、他のタイプのアナログおよび/またはデジタル回路を含み得る。例えば、コントローラ128は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。
【0049】
一部の例では、データストレージ132は、プロセッサ130によって実行可能なプログラム命令を格納して、LIDARデバイス100に本明細書に記載の様々な動作を実施させてもよい。例えば、コントローラ128は、一次エミッタ回路108を介して一次光エミッタ102を制御し得(例えば、一次光エミッタ102の個々の光エミッタを稼動および停止させるように)、二次光エミッタ回路110を介して二次光エミッタ104を制御し得る。コントローラ128はまた、検出器回路112からデータ(例えば、対応するタイムスタンプを有するADC値)を受信し得、データを分析して、反射光パルスを検出し、レトロリフレクターによる反射を示す反射光パルスを識別し得る。コントローラ128はまた、LIDARデバイス100の回転を制御するようにアクチュエータ122を制御し得る。コントローラ128は他の動作も実行し得る。さらに、特定の動作に関連して、コントローラ128は、LIDARデバイス100の外部のコンピューティングデバイスまたは他の構成要素と通信してもよい。例えば、LIDARデバイス100が自律型車両に結合されている実装形態では、コントローラ128は、車両の自律的動作を制御するコンピューティングデバイスにデータを送信し、コンピューティングデバイスから命令を受信し得る。
【0050】
図2は、例示的な実施形態によるLIDARデバイス200の断面図である。この例では、LIDARデバイス200は回転軸202を中心に回転するように構成されている。図2の断面図は回転軸に垂直な平面内にある。回転軸は、回転方向202における回転により、LIDARデバイス200が環境内のある方位角範囲をスキャンできるように、垂直軸であってもよい。代わりにまたは追加で、LIDARデバイス200は水平軸を中心に回転することである仰角範囲をスキャンしてもよく、または他の方法で環境の一部をスキャンするように構成されてもよい。
【0051】
図示されるように、LIDARデバイス200は、ハウジング204および光学窓206内に取り囲まれた様々な光学部品を含む。LIDARデバイス200の光学部品は、一次光エミッタ208および210によって例示される複数の一次光エミッタ、二次光エミッタ212、ならびに検出器218および220によって例示される複数の検出器を含む。この例では、一次光エミッタ208は検出器218とペアをなして第1の送信/受信チャネルを提供し、一次光エミッタ210は検出器220とペアをなして第2の送信/受信チャネルを提供する。図2は2つの一次光エミッタおよび2つの検出器を示しているが、LIDARデバイス200は、任意の数の一次光エミッタおよび検出器を含み、任意の数の送信/受信チャネルを提供し得ることを理解されたい。
【0052】
この例では、LIDARデバイス200は、レンズ226および228によって例示される複数のレンズを含むテレセントリックレンズアセンブリ224を含み、テレセントリックレンズアセンブリ224は、光学窓206に結合されたレンズバレル/バッフル構造230内に設けられる。テレセントリックレンズアセンブリ224は、一次光エミッタ208および210から放射された光を、光学窓206を通してLIDARデバイス200の環境に向けて、それぞれ視野240および242を照らすように構成されている。テレセントリックレンズアセンブリ224はさらに、光学窓206を通してLIDARデバイス200に入る環境からの反射光を、視野240および242内からそれぞれ検出器218および220に向けるように構成されている。
【0053】
視野240および242は、部分的に、それぞれアパーチャ250および252によって定められる。アパーチャ250および252は、アパーチャプレート254として示されている不透明な材料で形成されたピンホールアパーチャ(例えば、100ミクロン~500ミクロンの直径を有する)であり得る。説明のために、図2は2つのアパーチャのみを示している。しかし、アパーチャプレート254は任意の数のアパーチャを含むことができ、各アパーチャは、それぞれの一次光エミッタおよびそれぞれの検出器を含むそれぞれの送信/受信チャネルのそれぞれの視野を定めることを理解されたい。アパーチャプレート254内のアパーチャは、一次元アレイ、二次元アレイ、または他のパターンで配置され得る。送信/受信チャネルの様々な視野は、合わせて、LIDARデバイス200に全体的視野244を提供することができる。
【0054】
アパーチャ250および252は、テレセントリックレンズアセンブリ224と検出器218および220との間のテレセントリックレンズアセンブリ224の焦点面に配置される。この構成を用いると、視野240および242からの光は、テレセントリックレンズアセンブリ224によってアパーチャ250および252内に集束され、集束された光はその後、検出器218および220に向かって発散する。図示されるように、検出器218はアパーチャ250からの発散光256を受け止め、検出器220はアパーチャ252からの発散光258を受け止める。有利なことに、検出器218および220はそれぞれ、高いダイナミックレンジを有するシングルフォトン検出を提供するために、発散光256および258によって照らされる領域に概ね一致する領域をカバーするシングルフォトン検出器のアレイを含み得る。例えば、検出器218および220はそれぞれSiPMを含み得る。
【0055】
図示されるように、一次光エミッタ208および210によって放射される光は、それぞれ、導光体260および262によってアパーチャ250および252に向けられる。より具体的には、一次光エミッタ208および210によって放射される光は導光体260および262の入力端に結合され(例えば、それぞれのシリンドリカルレンズを介して)、導光体260および262は、光を内部全反射によって、それぞれの入力端から、アパーチャ250および252の近傍に配置されたそれぞれの出力端に誘導する。導光体260および262の出力端は、誘導される光の少なくとも一部を導光体260および262からそれぞれアパーチャ250および252に向かって反射する反射傾斜面を含む。テレセントリックレンズアセンブリ224は、導光体260および262から放射された光をアパーチャ250および252を通してコリメートし、コリメートされた光を光学窓206を通してそれぞれ視野240および242に送る。
【0056】
二次光エミッタ212は、フレネルレンズ260によってコリメートされ、その後ディフューザ262によって拡散される光を放射する。ディフューザ262からの拡散光は光学窓206を通過して視野を照らし、視野は(LIDARデバイス200から特定の距離を越えると)、視野240および242ならびにLIDARデバイス200の全体的視野244を包含する。二次光エミッタ212、フレネルレンズ260、およびディフューザ262はフレーム264に設けられ得る。フレーム264はレンズバレル/バッフル構造224に取り付けられ、光学窓206に結合される。
【0057】
図3は、LIDARデバイス100またはLIDARデバイス200などのLIDARデバイスの送信/受信チャネルの視野(FOV)の配置例300を示している。この例では、FOVは二次元アレイに配置され、(FOV302~308によって例示される)4つのFOVが水平に配置されており、(FOV308~322によって例示される)8つのFOVが垂直に配置されている。他の例では、より多くのまたはより少ない数のFOVを水平に配置することができ、より多くのまたはより少ない数のFOVを垂直に配置することができる。さらに、図3は二次元アレイに配置されたFOVを示しているが、FOVは一次元アレイまたはその他のパターンで配置されてもよい。図3では、各FOVは略円形として示されている。しかし、実際には、送信/受信チャネルのFOVは楕円形、正方形、長方形、台形、またはその他の形状であってもよい。
【0058】
図3はまた、図1に示される二次光エミッタ104または図2に示される二次光エミッタ212などの1つ以上の二次光エミッタによって照らされる領域に対応するFOV330を示している。図示されるように、二次光エミッタのFOV330は送信/受信チャネルのFOVを包含する。さらに、FOV330は図3では長方形として示されているが、FOV330は正方形、円形、楕円形、台形、またはその他の形状であってもよい。
【0059】
二次光エミッタからの光は、送信/受信チャネルのFOV(例えば、FOV302~322)よりも広いFOV(例えば、FOV330)に広がるので、二次光エミッタからの光は各一次光エミッタからの光よりも低い強度を有し得る。例えば、二次光エミッタからの光の強度は1桁、2桁、または3桁以上低くてもよい。
【0060】
図1および図2はLIDARデバイス100および200の構成例を示し、図3はそれらから生じるFOVの例を示しているが、他の構成も可能であることを理解されたい。例えば、LIDARデバイス100および200は回転できるものとして示されている。しかし、回転しないLIDARデバイスも可能である。さらに、LIDARデバイス100および200は、レトロリフレクターを検出するために使用される1つ以上の二次光エミッタを含むが、一部のLIDARデバイスは、1つ以上の一次光エミッタを含むが二次光エミッタを含まない可能性がある。そのようなLIDARデバイスでは、一次光エミッタの反射光パルスを分析して、それらがレトロリフレクターによって反射されたかどうかを判定することができる。
【0061】
図4A図4Eは例示的な実施形態による車両400を示す。車両400は、半自律型または完全自律型の車両とすることができる。図4A図4Eは自動車(例えば、ミニバン)として車両400を示しているが、車両400は、センサおよび環境に関する他の情報を使用して環境内を進行することができる別のタイプの自律型車両、ロボット、またはドローンを含み得ることが理解されよう。
【0062】
車両400は、1つ以上のセンサシステム402、404、406、408、および410を含むことができる。例示的な実施形態では、センサシステム402、404、406、408、および410はそれぞれ、それぞれのLIDARデバイスを含む。加えて、センサシステム402、404、406、408、および410のうちの1つ以上はレーダデバイス、カメラ、または他のセンサを含み得る。例示的な実施形態では、センサシステム402は車両400のルーフに結合され得、センサシステム404は車両400の前側に結合され得、センサシステム406は車両400の後ろ側に結合され得、センサシステム408は車両400の右側に結合され得、センサシステム410は車両400の左側に結合され得る。他の実施形態では、1つ以上のセンサシステムが車両の他の部分に結合されてもよい。
【0063】
センサシステム402、404、406、408、および410のLIDARデバイスは、車両400の周囲の環境の少なくとも一部分を光パルスで照らし、反射光パルスを検出するために、ある軸(例えば、図4A図4Eに示されるz軸)を中心に回転するように構成され得る。反射光パルスの検出に基づいて、環境に関する情報が決定され得る。反射光パルスから決定された情報は、車両400の周囲の環境内の1つ以上のオブジェクトまでの距離および方向を示し得る。例えば、情報を使用して、車両400の環境内の物理的オブジェクトに関する点群情報が生成され得る。この情報は、環境内のオブジェクトの反射率、環境内のオブジェクトの材料組成、または車両400の環境に関する他の情報を決定するためにも使用され得る。
【0064】
センサシステム402、404、406、408、および410のLIDARデバイスは、重なり合う可能性がある異なる視野を有し得る。例えば、図4A図4Eに示す構成では、センサシステム402のLIDARデバイスは、車両の周囲360度に広がるレンジが長い視野を有し得、一方、センサシステム404、406、408、および410のLIDARデバイスは、車両400の前、後ろ、右、および左のそれぞれの方向をカバーするよりレンジが短い視野を有し得る。センサシステム404、406、408、および410のLIDARデバイスのそれぞれの各視野の少なくとも一部分は、センサシステム402のLIDARデバイスの視野と重なることができる。
【0065】
センサシステム402、404、406、408、および410のうちの1つ以上から取得された情報を使用して、例えば車両400が自律モードまたは半自律モードで動作しているとき、車両400を制御することができる。例えば、この情報を使用して、ルート(または、既存のルートを調整する)、速度、加速度、車両の向き、ブレーキ操作、または車両400の他の運転挙動もしくは動作を決定することができる。
【0066】
III.例示の方法およびタイミング図
本明細書には、LIDARデバイス100および200に実装可能な方法およびプロセスの例が記載されている。しかし、記載の方法および記載のプロセスは、LIDARデバイス100および200とは異なるように構成されたLIDARデバイスに実装されてもよい。
【0067】
図5は、例示的な実施形態による方法500のフローチャートである。方法500は、例えば、LIDARデバイス100および/またはLIDARデバイス200のうちのいずれかとともに使用することができる方法の一実施形態を提示する。方法500は、ブロック502~506のうちの1つ以上によって示されるように、1つ以上の動作、機能、またはアクションを含み得る。
【0068】
さらに、方法500ならびに本明細書で開示される他のプロセスおよび方法について、フローチャートは、本実施形態のうちの1つの可能な実装形態の機能および操作を示す。これに関して、各ブロックは、モジュール、セグメント、製造または操作プロセスの一部、またはプログラムコードの一部を表すことができ、それにはプロセス内の特定の論理機能またはステップを実行するためのプロセッサによって実行可能な1つまたは複数の命令が含まれる。プログラムコードは、例えば、ディスクまたはハードドライブを含むストレージデバイスのような任意のタイプのコンピュータ可読媒体に記憶され得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、およびランダムアクセスメモリ(RAM)のような、データを短期間にわたって記憶するコンピュータ可読媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、光ディスクまたは磁気ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)のような補助ストレージまたは永続長期ストレージなどの非一時的なコンピュータ可読媒体も含み得る。コンピュータ可読媒体は、任意の他の揮発性または不揮発性ストレージシステムとすることもできる。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読ストレージ媒体、または有形のストレージデバイスであると考えられ得る。
【0069】
さらに、方法500および本明細書で開示される他のプロセスおよび方法について、図5の各ブロックは、プロセス内の特定の論理機能を実行するように配線された回路を表すことができる。
【0070】
ブロック502において、方法500は、LIDARデバイスの光エミッタによって、第1の光パルスを視野に放射することを含む。一部の例では、この光エミッタはLIDARデバイスの唯一の光エミッタであり得る。他の例では、この光エミッタは、LIDARデバイスの複数の光エミッタのうちの1つであり得、各光エミッタがそれぞれの視野に光パルスを放射するように構成され得る。そのような例の一部では、LIDARデバイスは、1つ以上の一次光エミッタ(例えば、一次光エミッタ102または一次光エミッタ208、210)および1つ以上の二次光エミッタ(例えば、二次光エミッタ104または二次光エミッタ212)を含み得る。そのような例では、第1の光パルスを放射する光エミッタは一次光エミッタであり得る。視野は、図2に示される視野240もしくは242のうちの1つ、または図3に示される視野302~322のうちの1つなど、LIDARデバイスの環境内の任意の視野であり得る。
【0071】
一部の実施形態では、LIDARデバイスは、連続する測定期間において光パルスを放射し、反射光パルスを検出することによって、環境内のオブジェクトまでの距離を決定するように構成され得る。そのような実施形態では、第1の光パルスは、連続する測定期間のうちの1つの間に光エミッタによって放射され得る。
【0072】
ブロック504において、方法500は、LIDARデバイスの検出器が、第1の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトを示す少なくとも1つの反射光パルスを検出したと判定することを含み、検出器は、視野内からの光を検出するように構成されている、検出器は、図1に示される検出器106、または図2に示される検出器218および220など、光を検出することができる任意の検出器であり得る。
【0073】
一部の実施形態では、第1の光パルスは第1の測定期間中に光エミッタによって放射され、検出器によって検出される少なくとも1つの反射光パルスは、第1の光パルスの反射である。
【0074】
そのような実施形態では、反射光パルスは、反射光パルスの形状に基づいて、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示し得る。例えば、レトロリフレクターからの反射光パルスは、検出器を急速に飽和させるほど強い場合がある。その結果、検出信号(例えば、時間の関数としてのADC値)は大きなピーク値(例えば、検出器の飽和値に対応するピーク値)に増加し得るが、検出器が飽和すると非常に急速に減少し得、フォトンを検出できなくなる可能性がある。結果として生じるパルスは大きなピーク値を有するが、異常に幅が狭い。したがって、パルスのピーク値、パルスの幅、および/またはパルスの立ち下がりエッジの急峻さなど、検出されるパルスの様々な特徴が、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示し得る。
【0075】
一部の実施形態では、検出器によって検出される少なくとも1つの反射光パルスは、第1の測定期間中にLIDARデバイスの二次光エミッタによって放射された二次光パルスの反射であり得る。
【0076】
そのような実施形態では、LIDARデバイスは少なくとも1つの一次光エミッタおよび少なくとも1つの二次光エミッタを含み得、少なくとも1つの一次光エミッタは標準測定期間中に一次光パルスを放射し、少なくとも1つの二次光エミッタは専用測定期間中に二次光パルスを放射する。少なくとも1つの二次光エミッタによって放射される光パルスは、少なくとも1つの一次光エミッタによって放射される光パルスよりも広い視野に広がる可能性があり、より低い強度を有する可能性がある。第1の測定期間は、レトロリフレクターの位置のマップを作成するために少なくとも1つの二次光エミッタが光を放射し、少なくとも1つの一次光エミッタが光を放射しない、専用測定期間であり得る。したがって、第1の光パルスは、第1の測定期間に先行する標準測定期間中に一次光エミッタによって放射され得る。そのような実施形態では、反射光パルスは、所定の閾値を超える反射光パルスの大きさに基づいて、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示し得る。反射光パルスの大きさは、反射光パルスのピーク値、反射光パルスの積分された面積、または他の何らかのメトリックに基づいて決定することができる。
【0077】
一部の実施形態では、LIDARデバイスは複数の二次光エミッタを含み得る。例えば、各一次光エミッタは、同じまたは同様の視野を有するそれぞれの二次光エミッタとペアにされ得る(例えば、ペアをなす第1および第2の光エミッタを互いに近接して配置することによって)。各ペアにおいて、一次光エミッタは一次光パルスを放射し得、二次光パルスは、視野内のリフレクターを検出するために、より低い強度で(一次光パルスが放射される前または後に)二次光パルスを放射し得る。
【0078】
一部の実施形態では、検出器によって検出される少なくとも1つの反射光パルスは、検出器によって検出される2つの反射光パルス、すなわち、光エミッタによって放射された第1の光パルスの反射および二次光エミッタによって放射された二次光パルスの反射であり得る。
【0079】
そのような実施形態では、LIDARデバイスは、少なくとも1つの一次光エミッタおよび少なくとも1つの二次光エミッタを含み得、両方のタイプの光エミッタが各測定期間中に光パルスを放射し得る。したがって、第1の光パルスは、第1の測定期間中に一次光エミッタによって放射され得、二次光パルスは、第1の測定期間中に二次光エミッタによって放射され得る。第1の光パルスおよび二次光パルスは異なる時間に放射されてもよく(例えば、二次光パルスは第1の光パルスの後に放射され得る)、2つの光パルスは所定の時間差(例えば、50ナノ秒)だけ時間的に離れていてもよい。2つの光パルスはまた、異なる強度およびビーム幅を有し得、二次光パルスはより広い視野にわたって広がり、第1の光パルスよりも低い強度を有する。
【0080】
所定の時間差は、測定期間ごとに同じである固定の時間差であってもよい。あるいは、所定の時間差は測定期間ごとに異なり得る。さらに、LIDARデバイスが複数の一次光エミッタを含む実施形態では、所定の時間差はすべての一次光エミッタについて同じであり得る。あるいは、一次光エミッタが一次光パルスを放射するときと二次光パルスが放射されるときとの間の所定の時間差は、各一次光エミッタで異なってもよい。
【0081】
一次光エミッタによって放射される第1の光パルスと二次光エミッタによって放射される二次光パルスとの間の時間差を使用して、検出器によって検出された反射光パルスがレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示していると判定することができる。例えば、検出器は、第1の時間において第1の反射光パルスを検出し、第2の時間において第2の反射光パルスを検出することができる。検出器によって検出されたこれらの2つの反射光パルスがレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示しているという判定は、第1の時間と第2の時間との間の時間差が、第1の光パルスが一次光エミッタによって放射されるときと、二次光パルスは二次光エミッタによって放射されるときとの間の所定の時間差に対応するという判定に基づき得る。
【0082】
検出器によって検出された反射光パルスがレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示しているという判定はまた、複数のショットに基づいてもよい。例えば、レトロリフレクターを検出する際の曖昧さを解消するために、放射される光パルス間のタイミングが変えられてもよい。
【0083】
検出器によって検出された第1および第2の反射光パルスがレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示すという判定はまた、第1および第2の反射光パルスの他の特徴を考慮に入れ得る。一部の実装形態では、判定は、第1および第2の反射パルスのピーク値が、一次光エミッタによって放射される第1の光パルスおよび二次光エミッタによって放射される二次光パルスと整合しているかどうかを確認することを含み得る。例えば、第1の光パルスが二次光パルスの前に放射される場合、検出される第1の反射光パルスは、検出される第2の反射光パルスよりも高いピーク値を有する必要がある。一部の実装形態では、判定は、反射光パルスのうちの1つがレトロリフレクターによる反射を示す形状を有するかどうかの判定を含み得る(例えば、高いピーク値と、狭いパルス幅および急な立ち下がりエッジとの組み合わせ)。一部の実装形態では、判定は、第1の反射光パルスおよび/または第2の反射光パルスが所定の閾値を超える大きさを有するという判定を含み得る。例えば、第1の反射光パルスのピーク値は、レトロリフレクターによる第1の光パルスの反射を示す第1の閾値と比較され得、かつ/または、第2の反射光パルスのピーク値は、レトロリフレクターによる二次光パルスの反射を示す第2の異なる閾値と比較され得る。
【0084】
この手法の変形例では、一次光エミッタが、所定の時間だけ時間的に離れている第1の光パルスおよび二次光パルス(より低い強度で)の両方を放射することができる。したがって、別個の二次光エミッタを使用する代わりに、一次光パルスによって放射される光パルスの強度が制御され得る。
【0085】
ブロック506において、方法500は、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す少なくとも1つの反射光パルスの検出に応答して、またはより多くの後続の測定期間の間、光エミッタを停止することを含む。1つ以上の後続の測定期間は第1の測定期間の後に発生する。一部の実施形態では、1つ以上の後続の測定期間の間、光エミッタを停止することは、1つ以上の後続の測定期間中に光エミッタが光を放射しないように(例えば、レトロリフレクターを照らさないように)光エミッタを制御することを含む。あるいは、1つ以上の後続の測定期間中に光エミッタを停止することは、1つ以上の後続の測定期間の間、光エミッタが低減されたレベル(例えば、低減されたパルスエネルギーおよび/または強度を有する光パルス)で光を放射するように光エミッタを制御することを含み得る。有利なことに、光エミッタは依然としてレトロリフレクターに向かっていくらかの光を放射する可能性があるが、低減された光放射のレベルを、クロストークが大幅に低減されるか、または排除されるほどに十分低くすることができる。
【0086】
一部の実施形態では、方法500は、停止された光エミッタをいつ再稼動させるかを決定することをさらに含む。さらに、停止された光エミッタをいつ再稼動させるかを決定することは、光エミッタの対応する検出器が、1つ以上の後続の測定期間中に、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示す1つ以上の追加の反射光パルスを検出したかどうかを決定することを含み得る。これに関して、光エミッタが1つ以上の後続の測定期間の間、停止されていたとしても、光エミッタの対応する検出器は、少なくとも2つの考えられる理由のために反射光パルスを依然として検出し得る。
【0087】
第1に、LIDARデバイスが複数の一次光エミッタ(停止されている光エミッタを含む)を含む実施形態において、1つ以上の他の一次光エミッタからの迷光が停止されている光エミッタの視野内に入り、レトロリフレクターに到達し得る。したがって、停止されている光エミッタの視野内からの光を検出するように構成されている検出器は、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによって反射された、1つ以上の他の一次光エミッタからの迷光に対応する反射光パルスを検出し得る。
【0088】
第2に、LIDARデバイスが二次光エミッタを含む実施形態では、二次光エミッタは、停止されている光エミッタの視野を含む広い視野に光パルスを放射し続け得る。よって、検出器は、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによって反射された、二次光エミッタからの光に対応する反射光パルスを検出し得る。
【0089】
したがって、迷光がレトロリフレクターによって反射される結果として、および/または二次光エミッタからの光がレトロリフレクターによって反射される結果として、検出器は、第1の測定期間の後に発生する第2の測定期間中に1つ以上の追加の反射光パルスを検出し得る。第2の測定期間は第1の測定期間の直後に発生するか、または第1の測定期間からいくつかの測定期間後に発生する可能性がある。1つ以上の追加の反射光パルスを分析して、追加の反射光パルスがレトロリフレクターによる反射を示しているかどうかを判定することができる。
【0090】
一部の実施形態では、分析は、追加の反射光パルスの大きさ(例えば、追加の反射光パルスのピーク値または積分された面積)を閾値と比較することを含み得る。大きさが閾値を超える場合、追加の反射光パルスは、停止されている光エミッタの視野内のレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射の結果であると見なすことができる。大きさが閾値を超えない場合、追加の反射光パルスは、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによって反射されていないノイズまたは迷光の結果であると見なされ得、それにより、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトは停止されている光エミッタの視野内からなくなったことを示していると見なされ得る。
【0091】
一部の実施形態では(例えば、一次および二次光エミッタが所定の時間差だけ間的に離れている光パルスを放射する実施形態では)、分析は、2つの追加の反射光パルスが、所定の時間差に対応する時間差で検出されるかどうかの判定を含み得る)。例えば、反射光パルスのうちの一方は、1つ以上の他の一次光エミッタによって放射された光パルスからの迷光がレトロリフレクターによって反射されることで生じ得、他方の反射光パルスは、二次光エミッタによって放射された光がレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによって反射されることで生じ得る。所定の時間差に対応する時間差で2つの追加の反射光パルスが検出された場合、追加の反射光パルスは、停止されている光エミッタの視野内のレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射の結果であると見なされ得る。検出されているそのような追加の反射光パルスの欠如は、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトが停止されている光エミッタの視野内からなくなったことを示している可能性がある。
【0092】
分析が、第2の測定期間中に検出器によって検出された1つ以上の追加の反射光パルスが、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射であると示した場合、光エミッタは、1つ以上の追加の測定期間の間、停止され続ける可能性がある。しかし、分析が、追加の反射光パルスがレトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示していないと示した場合、光エミッタは、第2の測定期間の後に発生する第3の測定期間において第2の光パルスを放射するように再稼動され得る。
【0093】
図6A図6Cは、LIDARデバイスがその環境の一部をスキャンするシナリオ600の例を示している。LIDARデバイスには、ある仰角範囲およびある方位角範囲で広がる視野を有する複数の送信/受信チャネルが含まれている。説明のために、図6A図6Cは、送信/受信チャネルの視野を、5つの異なる方位角および7つの異なる仰角を含む格子パターンとして示している。個々の送信/受信チャネルの視野は円で示されている。しかし、実際には、送信/受信チャネルの視野は他の形をとる可能性がある。さらに、図6A図6Cは格子パターンでの視野を示しているが、送信/受信チャネルの視野は異なる配置を有し得ることを理解されたい。シナリオ600では、上記技術のいずれかを使用して、レトロリフレクターが光エミッタの視野に存在するために光エミッタを停止するタイミング、およびレトロリフレクターがもはや光エミッタの視野内に存在しないために光エミッタを再稼動させるタイミングを決定することができる。
【0094】
図6Aに示されるように、チャネルの視野の格子パターンは、LIDARデバイスがその環境の一部をスキャンする場合に起こり得るように、方向604においてレトロリフレクター602に向かって移動している。レトロリフレクター602は、例えば、道路標識(例えば、横断歩道標識)、車両上のレトロリフレクティブマーカー、または他のタイプのレトロリフレクターであり得る。方向604は、例えば、垂直軸を中心に回転するLIDARデバイスに基づいて、水平方向(例えば、地面または路面に平行)であり得る。
【0095】
図6Aに示される時点で、レトロリフレクター602の一部がチャネル606の視野内にちょうど入ったところであるが、他のチャネルの視野にはまだ入っていない。チャネル606の光エミッタはレトロリフレクター602に向かって光パルスを放射し、これは、チャネル606の検出器によって検出される強い反射光パルスを生成する。さらに、チャネル608、610、および/または612などの1つ以上の隣接チャネルは、強い反射光パルスからの迷光がそれらのチャネルの視野内に入ることによって生じる弱い反射光パルスを検出し得る。これらの弱い反射光パルスを距離決定に使用すると、不正確さが生じる可能性がある。したがって、レトロリフレクター602の存在を検出し、レトロリフレクター602を照らすことを回避するために様々な送信/受信チャネル内で放射される光を制御することが望ましい。
【0096】
シナリオ600では、本明細書に記載の技術のいずれか(例えば、二次光エミッタによる補助を用いる、または用いない)を使用して、チャネル606の検出器によって検出された強い反射光パルスが、視野606内のレトロリフレクターによる反射を示していると判定することができる。この判定に応答して、チャネル606の光エミッタは停止される。
【0097】
図6Bは、レトロリフレクター602がチャネル606の視野内にあり、かつ7つの他のチャネルの視野内にある、後の時点を示している。これらのチャネルの視野内にレトロリフレクター602が存在することは、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して検出され得、これらのチャネルの光エミッタはこれに応答して停止され得る。図6Bでは、光エミッタが停止されているチャネルは網掛けで示されている。
【0098】
図6Cは、レトロリフレクター602がもはやチャネル606の視野内にない、さらに後の時点を示している。チャネル606が網掛けなしで図示されていることによって示されるように、チャネル606の光エミッタは再稼動されている。シナリオ600では、チャネル606の光エミッタの再稼動は、レトロリフレクター602がチャネル606の視野内にもはや存在しないという判定に応答して行われる。その判定は本明細書に記載されている技術のいずれかを使用して行われ得る。しかし、レトロリフレクター602は他のチャネルの視野内にある。網掛けによって示されているように、これらのチャネルの光エミッタは停止されている。
【0099】
図7A図7Dは、レトロリフレクターがLIDARデバイスの光エミッタの視野内で検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオ700を示すタイミング図である。シナリオ700では、LIDARデバイスは複数の送信/受信チャネルを含み、それぞれがそれぞれの視野を有する。それぞれの光エミッタから放射される光パルスはそれぞれの視野に入り、対応する検出器は、それぞれの視野から光を検出するように構成される。説明のために、シナリオ700では3つの送信/受信チャネル(CH1、CH2、およびCH3)について記載する。さらに、シナリオ700は、フラッドイルミネータ、フラッシュイルミネータまたは他のタイプの二次光エミッタを使用せずにレトロリフレクターが検出される例である。
【0100】
図7Aは、放射期間およびそれに続く検出期間を含む測定期間T1を示している。CH1、CH2、およびCH3の光エミッタは放射期間中に光パルス702、704、および706を放射する。このシナリオでは、光パルス702~706は同時にまたはほぼ同時に放射される。あるいは、光パルス702~706は放射期間内の異なる時間に放射され得る。
【0101】
CH1の検出器は反射光パルス708および710を検出する。CH2の検出器は反射光パルス712を検出する。CH3の検出器は反射光パルス714を検出する。反射光パルス708~714の形状を分析して、これらの反射光パルスのいずれかがレトロリフレクターによる反射を示しているかどうかを判定する。この例では、反射光パルス712は、その形状に基づいて、具体的には反射光パルスの幅が狭く、大きなピーク値を有することに基づいて、レトロリフレクターによる反射を示している。したがって、反射光パルス712の形状はレトロリフレクターがCH2の視野内にあることを示している。
【0102】
他の反射パルスの形状はレトロリフレクターによる反射を示すものではないため、オブジェクトまでの距離を決定するために使用され得る。しかし、反射光パルス708は、再帰反射された光パルス712と同時に検出される弱いパルスであるため、反射光パルス708が実際にCH1の視野内のオブジェクトによる反射を表すかどうか、または反射光パルス708が実際にはCH1ではなくCH2の視野内にあるレトロリフレクターからの迷光を表すかどうかについて曖昧である可能性がある。
【0103】
CH2の視野内のレトロリフレクターを示す反射光パルス712の形状に基づいて、CH2の光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止される。例えば、図7Bは後続の測定期間T2を示している。図示されるように、CH1およびCH3の光エミッタは光パルス720および722を放射するが、CH2の光エミッタは光を放射しない。CH1の検出器は反射光パルス724(反射光パルス710に類似し得る)を検出し、CH3の検出器は反射光パルス726(反射光パルス714に類似し得る)を検出する。CH2の光エミッタは光を放射しないが、CH2の検出器は反射光パルス728を検出する(例えば、反射光パルス728の大きさは閾値を超える)。反射光パルス728の検出は、レトロリフレクターがまだCH2の視野内にあることを示している。具体的には、CH1および/またはCH3からの迷光がレトロリフレクターに到達し、CH2の視野内に反射されるため、反射光パルス728が現れる。
【0104】
図7Bはまた、検出器CH1が、曖昧な反射光パルス708のような反射光パルスをもはや検出しないことを示している。したがって、この例では、光エミッタがレトロリフレクターを照らさないようにCH2の光エミッタを停止することは、CH1がスプリアス反射光パルスを検出するのを防ぐのに有効である。
【0105】
CH2の検出器が、CH2の光エミッタが停止されているときに反射光パルスを検出することはレトロリフレクターがまだレトロリフレクターの視野内にあることを示し、これに基づいて、CH2の光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止されたままであり得る。しかし、ある時点で、レトロリフレクターがCH2の視野内に存在しなくなる可能性がある(例えば、LIDARデバイスによるスキャンがCH2の視野を通り過ぎたため)。シナリオ700では、図7Cに示すように、これは測定期間T3の間に発生する。
【0106】
図7Cに示されるように、CH1の光エミッタは光パルス730を放射し、CH3の光エミッタは光パルス732を放射するが、CH2のエミッタは光を放射しない。CH1の検出器は反射光パルス734(反射光パルス724に類似し得る)を検出し、CH3の検出器は反射光パルス736(反射光パルス726に類似し得る)を検出する。しかし、CH2の検出器は反射光パルスを検出しない(例えば、閾値を超える反射光パルスを検出しない)。これはレトロリフレクターがCH2の視野内にもはや存在しないことを示している。
【0107】
CH2の検出器が測定期間T3中に反射光パルスを検出しないことに基づいて、CH2の光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、光を放射するように再稼動される。図7Dは後続の測定期間T4を示している。図示されるように、CH1、CH2、およびCH3の光エミッタはそれぞれ光パルス740、742、および744を放射し、CH1、CH2、およびCH3の検出器は反射光パルス746、748、および750を検出する。この場合、反射光パルス746、748、および750はレトロリフレクターによる反射を示さず、したがって、オブジェクトまでの距離を決定するために使用することができる。
【0108】
図8A図8Dは、LIDARデバイスの光エミッタの視野内でレトロリフレクターが検出され、それに応答して停止され、その後、レトロリフレクターが光エミッタの視野内からなくなったときに再稼動されるシナリオ800を示すタイミング図である。シナリオ800は、二次光エミッタが使用されることを除いて、シナリオ700と同様である。したがって、シナリオ800では、LIDARデバイスは複数の送信/受信チャネルを含み、それぞれがそれぞれの視野を有する。それぞれの一次光エミッタはそれぞれの視野内に光一次パルスを放射し、対応する検出器は、そこから光を検出するように構成される。説明のために、3つの送信/受信チャネル(CH1、CH2、およびCH3)について記載する。シナリオ800では、二次光エミッタはまた、送信/受信チャネルの視野を包含する広い視野内に二次光パルスを放射する。二次光パルスは一次光パルスよりもはるかに低い強度を有する。結果として、二次光パルスの反射は、レトロリフレクターによって反射されない限り、反射光パルスとして検出される(例えば、閾値を超えて検出される)とは予想されない。
【0109】
図8Aは、放射期間およびそれに続く検出期間を含む測定期間T1を示している。CH1、CH2、およびCH3の一次光エミッタは、放射期間中に、それぞれ一次光パルス802、804、および806を放射する。二次光エミッタは放射期間中に二次光パルス808を放射する。二次光パルス808は各チャネルの視野を照らすので、二次光パルス808はCH1、CH2、およびCH3内に示されている。この例では、一次光パルス802~806は同時にまたはほぼ同時に放射され、二次光パルス808は、一次光パルス802~806が放射されてから所定の期間(例えば、50ナノ秒)後に放射される。あるいは、二次光パルス808は一次光パルス802~806が放射される前に、または一次光パルス802~806が放射されるのと同時に放射されてもよい。
【0110】
CH1の検出器は反射光パルス810および812を検出する。CH2の検出器は反射光パルス814および816を検出する。CH3の検出器は反射光パルス818を検出する。次に、反射光パルス810~818を分析して、反射光パルスのいずれかがレトロリフレクターによる反射を示しているかどうかを判定する。分析は、2つの反射光パルスが、一次光パルス802~806の放射と二次光パルス808の放射との間の所定の期間に対応する時間間隔で同じチャネル内に現れるかどうかの判定を含み得る。この場合、CH2における反射光パルス814および816はそのような時間間隔を有する。したがって、反射光パルス814および816は、CH2の視野におけるレトロリフレクターによる反射を示している。分析は、反射光パルスの形状などの他のファクタも考慮に入れ得る。この場合、反射光パルス814はピーク値が大きくて幅が狭く、これは、CH2の視野におけるレトロリフレクターによる反射をさらに示している。
【0111】
他の反射光パルス810、812、および818はオブジェクトまでの距離を決定するために使用され得る。しかし、反射光パルス810は、再帰反射された光パルス814が検出されるのと同時に検出される弱いパルスであるため、反射光パルス810は、CH1の視野内のオブジェクトによる反射ではなく、CH2の視野内のレトロリフレクターに起因するクロストークである可能性がある。
【0112】
反射光パルス814および816がCH2の視野内のレトロリフレクターによる反射を示しているという判定に基づいて、CH2の一次光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止される。例えば、図8Bは後続の測定期間T2を示している。放射期間中、CH1およびCH3の一次光エミッタは一次光パルス820および822を放射するが、CH2の一次光エミッタは光を放射しない。放射期間中、二次光エミッタは、二次光パルス824を、CH1、CH2、およびCH3の視野を包含する広い視野内に放射する。検出期間中、CH1の検出器は反射光パルス824(反射光パルス812に類似し得る)を検出し、CH2の検出器は弱い反射光パルス828および830を検出し、CH3の検出器は反射光パルス832(反射光パルス818に類似し得る)を検出する。
【0113】
反射光パルス826~832を分析して、レトロリフレクターによる反射が示されているかどうかが判定される。前のように、分析は、2つの反射光パルスが、一次光パルス820、822の放射と二次光パルス824の放射との間の所定の期間に対応する時間間隔で同じチャネル内に現れるかどうかの判定を含み得る。この場合、CH2における反射光パルス828および830はそのような時間間隔を有する。分析はまた、一方または両方のパルスの大きさが閾値を超えているかどうかなど、他の考慮事項も考慮に入れ得る。
【0114】
したがって、この例では、反射光パルス828および830は、CH2の視野内のレトロリフレクターによる反射を示している。反射光パルス828は、他のチャネルで放射された一次光パルスからの迷光が、レトロリフレクターによってCH2の視野内に反射されたことに起因し得る。反射光パルス830は、レトロリフレクターによる二次光パルス824の反射に起因し得る。
【0115】
リフレクターがまだCH2の視野内にあるという判定に基づいて、CH2の一次光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止されたままであり得る。しかし、ある時点で、レトロリフレクターがCH2の視野内に存在しなくなる可能性がある(例えば、LIDARデバイスによるスキャンがCH2の視野を通り過ぎたため)。シナリオ800では、図8Cに示すように、これは測定期間T3の間に発生する。
【0116】
図8Cに示されるように、CH1の一次光エミッタは一次光パルス740を放射し、CH3の一次光エミッタは一次光パルス842を放射するが、CH2の一次エミッタは光を放射しない。二次光エミッタは、二次光パルス844を、CH1、CH2、およびCH3の視野を包含する広い視野内に放射する。検出期間中、CH1の検出器は反射光パルス846(反射光パルス826に類似し得る)を検出し、CH3の検出器は反射光パルス848(反射光パルス848に類似し得る)を検出する。しかし、CH2の検出器は反射光パルスを検出しない(例えば、閾値を超える反射光パルスを検出しない)。これはレトロリフレクターがCH2の視野内にもはや存在しないことを示している。
【0117】
CH2の検出器が測定期間T3中に反射光パルスを検出しないことに基づいて、CH2の光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、光を放射するように再稼動される。図8Dは後続の測定期間T4を示している。図示されるように、CH1、CH2、およびCH3の一次光エミッタはそれぞれ一次光パルス850、852、および854を放射し、二次光エミッタは二次光パルス856を放射する。CH1、CH2、およびCH3の検出器は反射光パルス858、860、および862を検出する。この場合、反射光パルス858、860、および862はレトロリフレクターによる反射を示さず、したがって、オブジェクトまでの距離を決定するために使用することができる。
【0118】
上記のシナリオ800では、レトロリフレクターを検出するために、二次光エミッタは各測定期間において二次光パルスを放射する。しかし、他の実装形態では、二次光エミッタは特定の測定期間においてのみ二次光パルスを放射することができる。例えば、二次光エミッタは、一次光エミッタが光を放射しない専用測定期間中にのみ二次光パルスを放射してもよい。専用測定期間の間には、一次光エミッタが一次光パルスを放射する標準測定期間と挟まれてもよい。例えば、専用測定期間は5回の測定期間ごと、10回の測定期間ごと、20回の測定期間ごと、またはその他の頻度で発生し得る。あるいは、専用測定期間は、例えば、LIDARデバイスによってレトロリフレクターがスキャンされた可能性があることを示唆するセンサデータまたは他の情報に応答して、動的に指定され得る。さらに別の手法では、専用測定期間は、周囲光のバックグラウンドレベルを求めるために使用されるバックグラウンド測定期間である可能性がある。例えば、バックグラウンド測定期間は、各測定期間の放射期間の前に発生し得る。その結果、バックグラウンド測定期間中に求められたバックグラウンドレベルを、後続の測定期間中に使用される検出閾値を設定するために使用することができる。したがって、周囲光のバックグラウンドレベルを測定することに加えて、バックグラウンド測定期間は、二次光パルスの反射を検出するために使用され得、これは、レトロリフレクターまたは他の高反射率オブジェクトによる反射を示し得る。
【0119】
専用測定期間を使用して、レトロリフレクターがチャネルの視野内にあるかどうかを判定し、それに応答してそのチャネルの一次光エミッタを停止することができる。また、専用測定期間を使用して、レトロリフレクターがチャネルの視野内からなくなったときを判定し、それに応答してそのチャネルの一次光エミッタを再稼動させることもできる。図9A図9Dは、専用測定期間を使用して、一次光エミッタをいつ停止するか、およびいつ再稼動させるかを決定するシナリオ900を示すタイミング図である。
【0120】
図9Aは、レトロリフレクターがいずれかのチャネル(CH1、CH2、およびCH3)の視野内にあるかどうかを検出するために使用される専用測定期間である測定期間T1を示している。二次光エミッタは、二次光パルス902を、CH1、CH2、およびCH3の視野を包含する広い視野内に放射する。二次光パルス902の強度は、二次光パルス902の反射が、レトロリフレクターによって反射された場合にのみ検出可能である(例えば、閾値を超えて検出される)ように十分に低い。この場合、CH1の検出器は反射光パルス904を検出し、CH2の検出器は反射光パルス906を検出し、CH3の検出器は反射光パルスを検出しない。これらの検出は、レトロリフレクターがCH1およびCH2の視野内に存在するが、CH3の視野内には存在しないことを示している。それに応じて、CH1およびCH2の一次光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止される。
【0121】
図9Bは、標準測定期間である後続の測定期間T2を示している。CH3の一次光エミッタは一次光パルス910を放射し、CH3の検出器は反射光パルス912を検出する。反射光パルス912を使用して、オブジェクトまでの距離を決定することができる。CH1およびCH2の一次光エミッタは停止され、CH1およびCH2の検出器は反射光パルスを検出しない。
【0122】
後続の専用測定期間を使用して、CH1の一次光エミッタおよび/またはCH2の一次光エミッタを再稼動させるかどうかを判定することができる。図9Cは後続の専用測定期間T3を示している。図示されるように、二次光エミッタは、二次光パルス920を、CH1、CH2、およびCH3を包含する広い視野に放射する。二次光パルス920の強度は、二次光パルス920の反射が、レトロリフレクターによって反射された場合にのみ検出可能である(例えば、閾値を超えて検出される)ように十分に低い。この場合、CH1の検出器は反射光パルス922を検出するが、CH2およびCH3の検出器は反射光パルスを検出しない。これらの検出は、レトロリフレクターがCH1の視野内にまだ存在していること、レトロリフレクターがもはや視野CH2内にないこと、およびレトロリフレクターがCH3の視野内にないことを示している。それに応じて、CH1の一次光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、停止され、CH2の一次光エミッタは、1つ以上の後続の測定期間の間、再稼動される。
【0123】
図9Dは後続の標準測定期間T4を示している。図示されるように、CH2の一次光エミッタは一次光パルス930を放射し、CH3の一次光エミッタは一次光パルス932を放射する。CH1の一次光エミッタは停止され、CH1の検出器は反射光パルスを検出しない。CH2およびCH3の検出器はそれぞれ反射光パルス934および936を検出し、これらはオブジェクトまでの距離を決定するために使用され得る。
【0124】
IV.LIDARデバイス間での情報共有の例
上記のように、LIDARデバイスは、特定の測定期間中にレトロリフレクター(または他の高反射率オブジェクト)がLIDARデバイスの特定の光エミッタの視野内にあることを検出し、それに応答して、その特定の光エミッタを停止することができる。一部の実装形態では、LIDARデバイスはまた、検出されたレトロリフレクターに関する情報を1つ以上の他のシステム(例えば、1つ以上の他のLIDARデバイス)と共有するように構成され得る。この情報共有は、図4A図4Eに示すように、視野が重なっている複数のLIDARデバイスが車両に結合されている場合に特に有益であり得る。例えば、車両の第1のLIDARデバイスが、車両の第2のLIDARデバイスの視野にも含まれるレトロリフレクターを検出した場合、検出されたレトロリフレクターに関する情報が第2のLIDARデバイスと共有され得、それにより、第2のLIDARデバイスは光エミッタを停止するか、またはレトロリフレクターを照らすことを回避するための他のアクションを実行できる。情報共有は車両上のコンピューティングデバイス(例えば、自律または半自律動作モードで車両を制御するコンピューティングデバイス)を介して行われ得る。
【0125】
図10は、車両に結合されたLIDARデバイス間で情報(例えば、検出されたレトロリフレクターに関する情報)を共有するためのシステム1000の例を示している。この例では、システム1000はLIDARデバイス1010、1020、1030、1040、および1050を含み、さらに、各LIDARデバイスに通信可能に結合されたコンピューティングデバイスを含む。LIDARデバイス1010~1050は、例えば、図4A図4Eに示されるように車両に結合することができる。したがって、LIDARデバイス1010は車両のルーフに結合することができ(例えば、センサシステム402のように)、LIDARデバイス1020~1050は、車両の前側、後ろ側、右側、および左側に結合することができる(例えば、センサシステム404~410のように)。コンピューティングデバイス1060も車両に結合されていてもよい。例えば、コンピューティングデバイス1060は、車両の速度、加速度、方向、または他の運転挙動を制御するなど、自律モードで車両を制御するように構成され得る。
【0126】
システム1000は、一方向または双方向のレトロリフレクターに関する情報の共有をサポートするように構成されてもよい。一方向の情報共有の場合、LIDARデバイスのうちの1つ(例えば、LIDARデバイス1010)は、レトロリフレクターを検出し、検出されたレトロリフレクターに関する情報をコンピューティングデバイス1060に送信するように構成された「ソース」LIDARデバイスであり得、一方、他のLIDARデバイス(例えば、LIDARデバイス1020~1050)は、コンピューティングデバイス1060から検出されたレトロリフレクターに関する情報を受信するように構成された「受信者」LIDARデバイスであり得る。例えば、ソースLIDARデバイス1010はレトロリフレクターを検出し得(例えば、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して)、それに応答して、検出されたレトロリフレクターの位置を示す情報をコンピューティングデバイス1060に送信することができる。この情報に基づいて、コンピューティングデバイス1060は、受信者LIDARデバイス1020~1050のうちの1つ以上を、検出されたレトロリフレクターを含む視野を有するものとして識別し、検出されたレトロリフレクターに関するメッセージを1つ以上の受信者LIDARデバイスのそれぞれに送信することができる。メッセージの受信に応答して、1つ以上の受信者LIDARデバイスのそれぞれは光エミッタを停止するか、または検出されたレトロリフレクターを照らすことを回避するための他のアクションを実行し得る。
【0127】
このような一方向の情報共有は、ソースLIDARデバイスの視野が広く(例えば、車両の周囲360度)、各受信者LIDARデバイスが、ソースLIDARデバイスの視野と少なくとも部分的に重なっている、より狭い視野を有する場合に特に有用であり得る。ソースLIDARデバイスはオブジェクト全般を検出するように構成されてもよく、または、ソースLIDARデバイスをレトロリフレクターのみを検出すること専用であってもよい。
【0128】
一部の実装形態では、システム1000はレトロリフレクターに関する情報の双方向共有をサポートすることができる。そのような実装形態では、LIDARデバイス1010~1050のいずれかによってレトロリフレクターが検出され得、コンピューティングデバイス1060は、検出されたレトロリフレクターに関する情報を、自身の視野内に検出されたレトロリフレクターを有する他のLIDARデバイスに送信し得る。
【0129】
図11は、検出されたレトロリフレクターに関する情報を共有するための方法1100の例を示すフローチャートである。説明のために、方法1100は、図10に示されるシステム1000を参照して記載される。しかし、他の構成が使用され得ることを理解されたい。
【0130】
ブロック1110によって示されるように、方法1100は、コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス1060)によって、車両に結合された第1のLIDARデバイス(例えば、LIDARデバイス1010)からデータを受信することを含み、データは、第1のLIDARデバイスによって検出されたレトロリフレクターの位置を示す情報を含む。場合によっては、データには、第1のLIDARデバイスによって検出された複数のレトロリフレクターの位置を示す情報を含み得る。データには他の情報が含まれてもよい。
【0131】
第1のLIDARデバイスは、本明細書に記載の技術のいずれかを使用してレトロリフレクターを検出することができる。検出されたレトロリフレクターの位置を示す情報は、レトロリフレクターの位置に関する任意の情報を含み得る。例えば、情報は、特定の期間(例えば、レトロリフレクターが検出された特定の測定期間)中に第1のLIDARデバイスの複数の光エミッタのうちの特定の光エミッタの視野内にレトロリフレクターがあったことを示し得る。この情報に基づいて、コンピューティングデバイスは、レトロリフレクターが位置する方向を決定することができる。検出されたレトロリフレクターの位置を示す情報はまた、レトロリフレクターまでの距離を示し得る(例えば、放射された光パルスが放射された時間と、レトロリフレクターからの反射光パルスが検出器であった時間との間の時間差に基づいて)。他のタイプの位置情報も可能である。
【0132】
方法1100は、ブロック1110によって示されるように、コンピューティングデバイスによって、レトロリフレクターの位置が、車両に結合された第2のLIDARデバイスの視野内にあると判定することをさらに含む。方法1100は、ブロック1120によって示されるように、コンピューティングデバイスによって、第2のLIDARデバイスにメッセージを送信することをさらに含み、メッセージは、レトロリフレクターが第2のLIDARデバイスの視野内にあることを示す情報を含む。場合によっては、メッセージには、第2のLIDARデバイスの視野内に複数のレトロリフレクターがあることを示す情報が含まれ得る(例えば、第1のLIDARデバイスからのデータに複数のレトロリフレクターの位置が含まれる場合)。
【0133】
ある考えられる実装形態において、コンピューティングデバイスは、レトロリフレクターの位置を車両のワールドフレーム内の位置にマッピングすることができる。車両に結合された各LIDARデバイスの視野も車両のワールドフレームにマッピングされてもよい。その場合、コンピューティングデバイスは、ワールドフレームにおけるレトロリフレクターの位置を含むワールドフレームにおける視野を有するLIDARデバイス(レトロリフレクターを検出したLIDARデバイスを除く)を特定できる。このようにして、コンピューティングデバイスは、レトロリフレクターの位置が、車両に結合された第2のLIDARデバイスの視野内にあると判定し、レトロリフレクターに関するメッセージを第2のLIDARデバイスに送信することができる。場合によっては、コンピューティングデバイスは、レトロリフレクターの位置が、車両に結合された複数のLIDARデバイスの視野内にあると判定し得る。このような場合、コンピューティングデバイスは、レトロリフレクターに関するメッセージを複数のLIDARデバイスのそれぞれに送信することができる。
【0134】
メッセージに含まれる、レトロリフレクターが視野第2のLIDARデバイス内にあることを示す情報は、第2のLIDARデバイスが、レトロリフレクターが自身の視野内にあることを認識することを可能にする任意の情報であり得る。例示的な実施形態では、第2のLIDARデバイスは、それに応答して、レトロリフレクターを照らすことを回避することができる。例えば、メッセージの受信に応答して、第2のLIDARは、レトロリフレクターを照らすことを回避するために、第2のLIDARデバイスの光エミッタを停止することができる。
【0135】
一部の実装形態では、レトロリフレクターが視野第2のLIDARデバイス内にあることを示す情報は、レトロリフレクターの位置を特定し得る。例えば、情報には、第2のLIDARデバイスに対するレトロリフレクターの相対位置が含まれ得る。相対位置は、コンピューティングデバイスによって、車両のワールドフレームにおける位置から、第2のLIDARデバイスの基準座標系またはフレームにおける位置にマッピングされてもよい。レトロリフレクターの相対位置は、例えば、第2のLIDARデバイスのヨー角および第2のLIDARデバイスのピッチ角として提供することができる。しかし、レトロリフレクターの位置を特定する他の方法も可能である。
【0136】
レトロリフレクターが視野第2のLIDARデバイス内にあることを示す情報は、レトロリフレクターが動いているか静止しているかなど、レトロリフレクターに関する他の情報も含むことができる。
【0137】
方法1100はまた、検出器レトロリフレクターがその位置にもはや存在しないことを第2のLIDARデバイスに通知するためのステップを含むことができる。例えば、第1のLIDARデバイスが、検出されたレトロリフレクターに応答して以前に停止された光エミッタを再稼動させるとき、第1のLIDARデバイスはコンピューティングデバイスに通知し得、コンピューティングデバイスは、第1のメッセージで以前に示された位置にレトロリフレクターがもはや存在しないことを示すために、第2のメッセージを第2のLIDARデバイスに送信し得る。しかし、第2のメッセージは、レトロリフレクターが依然として、異なる相対位置で第2のLIDARデバイスの視野内のあることを示している可能性がある。相対位置の変化は、車両による動きおよび/またはレトロリフレクティブオブジェクトによる動きの結果である可能性がある。
【0138】
V.結論
図に示されている特定の配置は、限定と見なされるべきではない。他の実装形態は、所与の図に示される各要素を多かれ少なかれ含み得ることを理解されたい。さらに、例解される要素のうちのいくつかは、組み合わされ、または省略され得る。なおさらには、例示的な実装形態は、図に例解されていない要素を含み得る。追加的に、様々な態様および実装形態が本明細書において開示されているが、他の態様および実装形態は、当業者には明らかであろう。本明細書において開示される様々な態様および実装形態は、例解を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲により示される。本明細書において提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実装形態が、利用され得、他の変更が、行われ得る。本明細書に概して記載され、図面に例解される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置され、置き換えられ、組み合わされ、分離され、および設計され得ることが、容易に理解される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11