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特許7558389ビームフォーミング方法、ネットワーク機器、端末、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ビームフォーミング方法、ネットワーク機器、端末、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0456 20170101AFI20240920BHJP
   H04B 7/0417 20170101ALI20240920BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20240920BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04B7/0456 100
H04B7/0417 100
H04W64/00 130
H04W16/28
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023505958
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2021112313
(87)【国際公開番号】W WO2022037475
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】202010833588.4
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】王志鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】張玉森
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-534110(JP,A)
【文献】特表2016-516337(JP,A)
【文献】特表2018-534826(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105406906(CN,A)
【文献】特開2013-232741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0456
H04B 7/0417
H04W 64/00
H04W 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク機器用のビームフォーミング方法であって、
到来方向情報を取得するステップと、
前記到来方向情報に基づいて第1偏波アンテナ方向における第1ビームフォーミング重みを得るステップと、
プリコーディングマトリクスインディケータを取得するステップと、
前記プリコーディングマトリクスインディケータに基づいて、前記第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を取得するステップと、
前記第1ビームフォーミング重みと前記位相差に基づいて、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重みを得るステップと、
前記第1ビームフォーミング重みと前記第2ビームフォーミング重みに基づいてフォーミングビームを生成するステップと、
を含み、
到来方向情報を取得する前記ステップは、
ネットワーク機器位置情報及び端末位置情報をそれぞれ取得するステップと、
前記ネットワーク機器位置情報と前記端末位置情報に基づいて前記到来方向情報を算出するステップと、
を含む
方法。
【請求項2】
前記ネットワーク機器位置情報はネットワーク機器の経度Jとネットワーク機器の高さHを含み、前記端末位置情報は、端末の経度Jと、端末の緯度Wと、端末の高さHと、を含み、前記到来方向情報はピッチ角αと水平角βを含み、
前記ネットワーク機器位置情報と前記端末位置情報に基づいて前記到来方向情報を算出する前記ステップは、
前記ネットワーク機器位置情報、前記端末位置情報及び第1計算式により前記ピッチ角αを算出するステップと、
前記ネットワーク機器位置情報、前記端末位置情報及び第2計算式により前記水平角βを算出するステップと、
を含み、
前記第1計算式は、
【数1】
であり、
前記第2計算式は、
【数2】
であり、
ただし、Rは地球の半径、∠AOBは、地心Oを頂点としてネットワーク機器Aと端末Bがなす角度である
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記到来方向情報に基づいて第1偏波アンテナ方向における第1ビームフォーミング重みを得る前記ステップは、
前記到来方向情報に基づいて、ステアリングベクトル共役テーブルを調べてステアリングベクトルを得るステップと、
前記ステアリングベクトルについて演算を行い、前記第1ビームフォーミング重みを得るステップと、
を含む
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プリコーディングマトリクスインディケータに基づいて、前記第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を取得する前記ステップは、
前記プリコーディングマトリクスインディケータに基づいてプリコーディングインデックス値を得るステップと、
プリコーディングインデックス値に基づいて前記第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を算出するステップと、
を含む
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1ビームフォーミング重みと前記位相差に基づいて、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重みを得る前記ステップは、
前記第1ビームフォーミング重みWDOA、前記位相差及び第2計算式により、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重みを算出するステップを含み、
前記第2計算式は、
【数3】
であり、
ただし、φ(ilayer)は位相差、ilayerはレイヤ数である
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1ビームフォーミング重みと前記第2ビームフォーミング重みに基づいてフォーミングビームを生成する前記ステップは、
前記第1ビームフォーミング重みと前記第2ビームフォーミング重みを正規化処理して、正規化合成重みを得るステップと、
前記正規化合成重みに基づいて前記フォーミングビームを生成するステップと、
を含む
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1ビームフォーミング重みと前記第2ビームフォーミング重みを正規化処理して、正規化合成重みを得る前記ステップは、
第3計算式を用いて前記第1ビームフォーミング重みと前記第2ビームフォーミング重みを正規化処理して、正規化合成重みを得るステップを含み、
前記第3計算式は、
【数4】
であり、
ただし、Wbfは正規化合成重み、RIはレイヤインディケータである
請求項に記載の方法。
【請求項8】
ネットワーク機器と通信可能に接続された端末用のビームフォーミング方法であって、
端末位置情報を取得するステップと、
前記ネットワーク機器に端末位置情報を送信して、前記ネットワーク機器に請求項1~のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実行させるステップと、
を含むビームフォーミング方法。
【請求項9】
前記端末位置情報は、端末の経度Jと、端末の緯度Wと、端末の高さHと、を含む
請求項に記載の方法。
【請求項10】
プリコーディングマトリクスインディケータを測定するステップと、
前記ネットワーク機器にプリコーディングマトリクスインディケータを送信するステップと、
をさらに含む
請求項又はに記載の方法。
【請求項11】
第1メモリと、第1プロセッサと、前記第1メモリ上に記憶され、前記第1プロセッサ上で実行可能なプログラムと、を含み、前記プログラムは前記第1プロセッサによって実行されると、請求項1~のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実現する
ネットワーク機器。
【請求項12】
第2メモリと、第2プロセッサと、前記第2メモリ上に記憶され、前記第2プロセッサ上で実行可能なプログラムと、を含み、
前記プログラムは前記第2プロセッサによって実行されると、請求項10のいずれか1項に記載の方法を実現する
端末。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能な記憶のための記憶媒体であって、
1つ又は複数のプロセッサによって実行されて、
請求項1~のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法、又は
請求項10のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実現する1つ又は複数のプログラムを記憶した
記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202010833588.4、出願日が2020年08月18日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全ての内容はここで参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、無線ネットワーク通信の技術分野に関し、特にビームフォーミング方法、ネットワーク機器、端末、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
ビームフォーミングはアンテナアレイに基づく信号前処理技術であり、アンテナアレイ内の各アレイ要素の重み付け係数を調整することによって指向性を有するビームを生成し、それによって、明らかなアレイ利得を得ることができる。したがって、ビームフォーミング技術は、カバレッジの拡大、エッジスループットの改善、及び干渉抑制などの点で大きな利点がある。
【0004】
場合によっては、到来方向(DOA:Direction of Arrival)アルゴリズムを用いてビームフォーミングを行い、DOA角度を利用してビームフォーミング重みを計算することで、より狭く、エネルギーがより集中したビームを生成することができる。しかし、DOAアルゴリズムを用いると、1つのアンテナの偏波方向において1層のビジネスしかベアラできず、伝送チャネルの干渉抵抗力が弱く、伝送トラフィックが低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例は、ビームフォーミング方法、ネットワーク機器、端末、及び記憶媒体を提供する。
【0006】
第1態様では、本願の実施例は、
到来方向情報を取得するステップと、
前記到来方向情報に基づいて第1偏波アンテナ方向における第1ビームフォーミング重みを得るステップと、
プリコーディングマトリクスインディケータを取得するステップと、
前記プリコーディングマトリクスインディケータに基づいて、前記第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を取得するステップと、
前記第1ビームフォーミング重みと前記位相差に基づいて、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重みを得るステップと、
前記第1ビームフォーミング重みと前記第2ビームフォーミング重みに基づいてフォーミングビームを生成するステップと、を含むネットワーク機器用のビームフォーミング方法を提供する。
【0007】
第2態様では、本願の実施例は、
ネットワーク機器と通信可能に接続された端末用のビームフォーミング方法であって、
端末位置情報を取得するステップと、
前記ネットワーク機器に端末位置情報を送信して、前記ネットワーク機器に第1態様に記載のビームフォーミング方法を実行させるステップと、を含むビームフォーミング方法を提供する。
【0008】
第3態様では、本願の実施例は、第1メモリと、第1プロセッサと、前記第1メモリ上に記憶され、前記第1プロセッサ上で実行可能なプログラムと、を含み、前記プログラムは前記第1プロセッサによって実行されると、第1態様に記載のビームフォーミング方法を実現するネットワーク機器を提供する。
【0009】
第4態様では、本願の実施例は、第2メモリと、第2プロセッサと、前記第2メモリ上に記憶され、前記第2プロセッサ上で実行可能なプログラムと、を含み、前記プログラムは前記第2プロセッサによって実行されると、第2態様に記載の方法を実現する端末を提供する。
【0010】
第5態様では、本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶のための記憶媒体であって、
1つ又は複数のプロセッサによって実行されて、
第1態様に記載のビームフォーミング方法、又は
第2態様に記載のビームフォーミング方法を実現する1つ又は複数のプログラムを記憶した記憶媒体を提供する。
【0011】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書で説明され、本明細書から部分的に明らかになるか、又は本明細書を実施することによって理解される。本願の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面において特に指摘された構造によって達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願のネットワーク機器と端末からなる通信システムの一実施例のブロック図である。
図2】本願のビームフォーミング方法の一実施例の流れ概略図である。
図3】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図4】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図5】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図6】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図7】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図8】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図9】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図10】本願のビームフォーミング方法の別の実施例の流れ概略図である。
図11】本願におけるネットワーク機器の一実施例のモジュールブロック図である。
図12】本願における端末の一実施例のモジュールブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は、本願を説明するためにのみ使用され、本願を限定するものではない。本願の実施例及び実施例の特徴は、矛盾しない限り、互いに任意に組み合わせることができる。
【0014】
なお、論理的順序がフローチャートに示されているが、示された又は説明されたステップは、場合によっては、フローチャートに示された順序とは異なるもので実行されてもよい。明細書、特許請求の範囲、又は上記の図面における用語「第1」、「第2」などは、特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。
【0015】
ビームフォーミングはアンテナアレイに基づく信号前処理技術であり、アンテナアレイ内の各アレイ要素の重み付け係数を調整することによって指向性を有するビームを生成し、それによって、明らかなアレイ利得を得ることができる。したがって、ビームフォーミング技術は、カバレッジの拡大、エッジスループットの改善、及び干渉抑制などの点で大きな利点がある。
【0016】
例えば、航空通信分野では、主な通信手段は衛星通信手段と空対地ブロードバンド通信(ATG:Air to Ground)手段の2つがある。衛星通信手段はカバレッジが広く、陸地と海洋の両方をカバーできるが、配備と運営コストが高く、ネットワーク遅延が長い。空対地ブロードバンド通信手段は陸上でのみ配備できるが、低コスト、速度が速く、遅延が小さく、技術のアップグレードが早いなどのメリットがある。
【0017】
ATG通信システムはカスタマイズされた無線送受信設備を採用し、飛行航路や特定の空域に沿って地上ネットワーク機器と対空アンテナを架設し、地対空通信リンクを確立し、さらにインターネットに接続する。キャビン内では、搭載ATG設備が乗客に無線LANデータビジネスを提供し、ユーザはWi-Fiを通じて搭載ATG設備と接続することができる。キャビン外では、地上ネットワーク機器は、搭載ATG設備と通信リンクを確立する。
【0018】
複雑な空対地通信環境では、1つのセルの半径が300kmに達し、プリコーディングマトリクスインディケータ(PMI:Precoding Matrix Indicator)のみを使用してビームフォーミングを行うことにより生成される狭いビームは、ユーザとネットワーク機器の距離が離れるにつれて、ビーム拡散が大きくなり、単位カバー空間当たりのエネルギーが減少し、最終的な電力は通信の要件を満たさなくなるため、ATG通信システムでは、超遠距離カバーを達成するために、より狭いビームを必要とし、エネルギーをより集中させることが必要とされる。
【0019】
全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)に基づいて到来方向(DOA:Direction of Arrival)角度を計算してビームフォーミングを行う場合、ネットワーク機器と飛行機の相対位置から算出されるDOA角度の精度が1°に達し、プリコーディングマトリクスインディケータから算出される角度よりも高い精度であり、より狭くエネルギーがより集中したビームを生成することができるが、DOAアルゴリズムに従ってビームフォーミングを行うと、1つのアンテナ偏波方向に1層のビジネスしかベアラできず、ATG通信システムが2層のビジネスデータを送信したい場合、DOAアルゴリズムだけを使用すると、アンテナ利得の半分を失うことになり、干渉抵抗力が弱く、トラフィックが低くなる。
【0020】
これに基づいて、本願の実施例は、2重偏波ビームフォーミング方法、ネットワーク機器、端末、及び記憶媒体を提供する。ATG通信システムは飛行機とネットワーク機器のGPS情報に基づいて、到来方向(DOA:Direction of Arrival)アルゴリズムを用いてネットワーク機器と飛行機との相対位置を計算し、アンテナの放射方向を調整する。地上通信システムは、端末から報告されたPMIを用いて端末とネットワーク機器との相対位置を計算し、ビーム方向を調整し、ビームフォーミング重みを計算することによって、ビームフォーミングを行う。本願の実施例は、DOAアルゴリズムとPMI情報とを組み合わせて2重偏波ビームフォーミングを行うことにより、空対地通信において長距離アンテナの電力カバレッジが弱く、2層のデータを伝送する際に干渉抵抗力が弱いという問題を解決することができる。
【0021】
なお、以下の複数の実施例では、図1に示すように、ネットワーク機器1000と端末2000とが通信可能に接続されて通信システムが構成される。ネットワーク機器1000は、基地局(NodeB基地局、eNB基地局、gNB基地局など)であってもよいし、基地局機能を有する他のネットワーク機器1000であってもよい。例えば、ATG通信システムでは、ネットワーク機器1000は、gNB基地局と、コアネットワークと、関連するサーバと、を含み、コアネットワークは、gNB基地局を介して端末2000に通信サービスを提供する。ネットワーク機器1000は2重偏波アンテナを有し、2重偏波アンテナは2組のアンテナから構成されており、1組のアンテナユニットは通常の垂直偏波アンテナユニットに対して全アンテナアレイが+45度回転し、残りの1組のアンテナユニットは-45度回転しており、この2組のアンテナは垂直偏波となっている。2重偏波のアレイアンテナを用いることにより、アンテナの小型化、信頼性の向上、干渉の低減を効果的に図ることができる。
【0022】
端末2000は、移動端末機器であってもよいし、非移動端末機器であってもよい。移動端末機器は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、ハンドヘルド、車載端末機器、ウェアラブルデバイス、スーパーモバイルパーソナルコンピュータ、ネットブック、携帯情報端末、カスタマ構内設備(CPE:Customer Premisers Equipment)、ワイヤレスホットスポットデバイス(UFI)などであってもよく、非移動端末機器は、パーソナルコンピュータ、テレビ、現金入出金機又は現金自動預け払い機などであってもよく、本願の実施形態は特に限定しない。例えば、ATG通信システムでは、端末2000は、航空制御処理ユニット(ACPU:A Controller Processor Unit)、WIFIホットスポット機器、搭載CPEなどを含んでもよく、いくつかの実施例では、WIFIホットスポット機器はACPUを介して搭載CPEに接続され、飛行機内のノートパソコン、携帯電話などのエンドユーザにインターネットサービスを提供し、搭載CPEはgNB基地局と通信可能に接続される。
【0023】
本願の実施例は、地対空通信システム、地上通信システムなどの様々な通信システムに適用することができる。以下では、ATG通信システムのみを例として、本願の実施例を詳細に説明する。
【0024】
第1態様では、本願の実施例は、ネットワーク機器用のビームフォーミング方法を提供する。いくつかの実施例では、ネットワーク機器のハードウェア構造は、構成又は性能の違いによって大きく異なり、ネットワーク機器は、1つ又は複数のプロセッサ、少なくとも1つのメモリ、及び少なくとも1つのネットワークインターフェースを含んでもよい。ここで、メモリは、1つ又は複数のオペレーティングシステムを記憶するために使用され、コンピュータプログラムコード及びデータを記憶するために使用される。メモリに記憶されたコンピュータプログラムコードは1つ又は複数のモジュールを含んでもよく、各モジュールは、ネットワーク機器に対応する一連の命令動作を含んでもよい。プロセッサは、メモリ、ネットワークインターフェースと通信し、ネットワーク機器は、ネットワークインターフェースを介してコアネットワークの他の機器や基地局と通信し、プロセッサは、下記の第1態様であるビームフォーミング方法の実施例(図2に示す実施例)においてネットワーク機器によって実行されるステップの全部又は一部を実行するために、メモリにおける一連の命令動作をネットワーク機器上で実行する。ネットワーク機器は2重偏波アンテナを有し、2重偏波アンテナは2組のアンテナから構成されており、1組のアンテナユニットは通常の垂直偏波アンテナユニットに対して全アンテナアレイが+45度回転し、残りの1組のアンテナユニットは-45度回転し、この2組のアンテナは直交偏波となっている。2重偏波のアレイアンテナを用いることにより、アンテナの小型化、信頼性の向上、干渉の低減を効果的に図ることができる。
【0025】
図2に示すように、本願の実施例によるビームフォーミング方法は、ステップS101~ステップS106を含む。
【0026】
ステップS101:到来方向情報を取得する。
【0027】
ステップS102:到来方向情報に基づいて第1偏波アンテナ方向における第1ビームフォーミング重みを得る。
【0028】
ステップS103:プリコーディングマトリクスインディケータを取得する。
【0029】
ステップS104:プリコーディングマトリクスインディケータに基づいて第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を取得する。
【0030】
ステップS105:第1ビームフォーミング重みと位相差に基づいて、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重みを得る。
【0031】
ステップS106:第1ビームフォーミング重みと第2ビームフォーミング重みに基づいてフォーミングビームを生成する。
【0032】
本願の実施例は、到来方向アルゴリズムによって第1偏波方向のビームフォーミングを行うことで、ネットワーク機器のフォーミングビームをより狭くし、エネルギー集中度をより高くし、信号対雑音比を効果的に向上させ、プリコーディングマトリクスインディケータを用いて直交コードブックを構築することにより、第2偏波方向のビームフォーミングを行い、1つの偏波アンテナで2層のデータを送信することを可能とし、各層のデータのアンテナ利得を増加させ、伝送チャネルの干渉抵抗力と伝送トラフィックを効果的に向上させる。
【0033】
いくつかの実施例では、ステップS101における到来方向情報はDOA角度情報である。いくつかの実施例では、図3に示すように、ステップS101は、サブステップとして、ステップS201とステップS202を含む。
【0034】
ステップS201:ネットワーク機器位置情報及び端末位置情報をそれぞれ取得する。
【0035】
ステップS202:ネットワーク機器位置情報と端末位置情報に基づいて到来方向情報を算出する。
【0036】
いくつかの実施例では、ステップS201において、ネットワーク機器位置情報及び端末位置情報は、衛星測位技術(例えばGPS、北斗衛星など)によって取得されてもよい。ネットワーク機器位置情報はGPS情報であってもよく、北斗衛星測位情報などであってもよく、端末位置情報はGPS情報であってもよく、北斗衛星測位情報などであってもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、ステップS202において、ネットワーク機器位置情報と端末位置情報に基づいて、幾何学的演算により到来方向情報を得る。例えば、ATG通信システムでは、飛行機のGPS情報(端末位置情報)を受信した後、基地局のGPS情報(ネットワーク機器位置情報)と合わせて、幾何学的演算によりDOA角度情報を算出する。
【0038】
いくつかの実施例では、ネットワーク機器位置情報は、ネットワーク機器の経度J、ネットワーク機器の緯度W、ネットワーク機器の高さHなどを含み、端末位置情報は、端末の経度J、端末の緯度W、端末の高さHなどを含み、到来方向情報は、ピッチ角α、水平角βなどを含む。
【0039】
図4に示すように、いくつかの実施例では、ネットワーク機器位置情報と端末位置情報に基づいて、到来方向情報を算出するステップS202はステップS301とステップS302を含む。
【0040】
ステップS301:ネットワーク機器位置情報、端末位置情報及び第1計算式によりピッチ角αを算出する。
【0041】
ステップS302:ネットワーク機器位置情報、端末位置情報及び第2計算式により水平角βを算出する。
【0042】
第1計算式は、余弦定理に基づいて到来方向情報におけるピッチ角αを算出することができる。例えば、第1式は次の通りであってもよい。
【数1】
【0043】
第2計算式は、アークサインアルゴリズムに基づいて、到来方向情報における水平角βを算出することができる。例えば、第2式は次の通りであってもよい。
【数2】
ただし、Rは地球の半径、∠AOBは、地心Oを頂点としてネットワーク機器Aと端末Bがなす角度であり、例えば、ATG通信システムでは、Aは基地局(ネットワーク機器)、Oは地心、Bは飛行機(端末)であり、|AB|は基地局と飛行機の距離であり、∠AOBは基地局、地心、飛行機の3点がなす角度である。
【0044】
いくつかの実施例では、基地局(ネットワーク機器)セルが確立された後、一定周期(例えば24時間)ごとに、又は基地局GPS情報が変更された後に、基地局位置情報のリアルタイム性及び正確性を確保するために、基地局はGPS情報を更新する。飛行機(端末)がセルにアクセスした後、端末は、端末位置情報のリアルタイム性及び正確性を確保するために、端末のGPS情報(緯度経度、地上高度、高度や時間を含む)などのパラメータを一定周期(例えば1秒)ごとに報告する。例えば、ATG通信システムでは、飛行機(端末)がセルにアクセスした後、飛行機のCPEは、1秒毎に飛行機GPS情報を基地局に送信する。
【0045】
本願の実施例では、ネットワーク機器位置情報及び端末位置情報を取得し、到来方向情報を算出することにより、どの端末が動作しているか、端末が置かれている方向を推定し、計算方法が簡単で、精度が高い(DOA角度精度は1°まで)。
【0046】
図5に示すように、いくつかの実施例では、到来方向情報に基づいて第1偏波アンテナ方向における第1ビームフォーミング重みを得るステップS102は、サブステップとして、ステップS401とステップS402を含む。
【0047】
ステップS401:到来方向情報に基づいて、ステアリングベクトル共役テーブルを調べてステアリングベクトルを得る。
【0048】
ステップS402:ステアリングベクトルについて演算を行い、第1ビームフォーミング重みを得る。
【0049】
いくつかの実施例では、ステップS401において、まず、具体的なアンテナレイアウトからステアリングベクトル共役テーブルを決定する。異なるアンテナレイアウトは異なるステアリングベクトル共役テーブルを有し、ステアリングベクトル共役テーブルにはステアリングベクトルと到来方向情報との対応関係が含まれており、到来方向情報に基づいてステアリングベクトル共役テーブルを問い合わせることでステアリングベクトルが得られる。
【0050】
いくつかの実施例では、ステアリングベクトルについて演算を行い、第1ビームフォーミング重みを得るステップS402は具体的には以下のとおりである。第1ビームフォーミング重みは、ステアリングベクトルと基礎マトリクス(例えば、単位マトリクス)との数量積に等しく、第1ビームフォーミング重みは、ステアリングベクトルに基づいて演算を行うことにより得られる。
【0051】
いくつかの実施例では、到来方向情報と第3計算式によりDOA一重偏波方向(第1偏波アンテナ方向)のフォーミング重みWDOAを得る。第3計算式は
【数3】
であり、ここで、a(α,β)は到来方向情報におけるピッチ角αと水平角βとから生成されるフォーミングマトリクスであり、フォーミングマトリクスa(α,β)はステアリングベクトルと基礎マトリクス(例えば、単位マトリクス)との数量積であり、フォーミング重みWDOAはフォーミングマトリクスの共役に等しく、すなわち、
【数4】
であり、具体的なフォーミング重みの値は偏波アンテナのハードウェアレイアウトに関連する。
【0052】
本願の実施例は、到来方向情報に基づいてビームフォーミングを行い、基地局と飛行機との相対位置に基づいて算出されるDOA角度の精度は1°に達し、より狭くよりエネルギーの集中したビームを生成することができる。
【0053】
図6に示すように、いくつかの実施例では、プリコーディングマトリクスインディケータに基づいて第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を取得するステップS104はステップS501とステップS502を含む。
【0054】
ステップS501:プリコーディングマトリクスインディケータに基づいてプリコーディングインデックス値を得る。
【0055】
ステップS502:プリコーディングインデックス値に基づいて第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を算出する。
【0056】
いくつかの実施例では、ステップS501において、プリコーディングマトリクスインディケータは端末からのものである。すなわち、端末はプリコーディングマトリクスインディケータ(PMI情報)を測定した後、ネットワーク機器に報告して伝送する。ネットワーク機器はプリコーディングマトリクスインディケータに基づいてプリコーディングインデックス値iを得る。いくつかの実施例では、コードブックに基づくプリコーディング技術のプリコーディングマトリクスは端末で生成され、すなわち、端末は受信したパイロット情報に基づいてチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)を推定して取得し、あらかじめ設計されたプリコーディングマトリクスのコードブックから、所定の基準に従って最適又は次善のプリコーディングマトリクスを選択し、最後に、フィードバックリンクを介して選択されたプリコーディングマトリクスのインデックス値iを伝達する。1セットのコードブックの適用シーンが比較的具体的で固定的であり、かつ異なるシーンにおけるコードブックの設計の差異が大きい。
【0057】
いくつかの実施例では、プリコーディングインデックス値iに基づいて第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を得るステップS502は、具体的には、プリコーディングインデックス値i及び第4計算式により第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を算出し、第4計算式は次のとおりである。
【数5】
【0058】
伝送データのレイヤ数ilayerが1層である場合、
【数6】
であり、伝送データのレイヤ数ilayerが2層である場合、
【数7】
である。
ただし、φは第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差であり、jは虚数単位であり、eは自然数対数の底である。
【0059】
いくつかの実施例では、プリコーディングインデックス値iに基づいて第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を算出するステップS502は、具体的には、プリコーディングインデックス値i及び第5計算式により、第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を得て、第5計算式は次のように表される。
【数8】
ただし、φ(ilayer)は第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差であり、ilayerは伝送データのレイヤ数であり、WpmiはPMI情報から生成されるプリコーディングベクトルである。プリコーディングベクトルWpmiに対して複数の位相角を求めると、位相差φ(ilayer)が得られ、すなわち
【数9】
である。例えば、算出された位相差が90°又は270°であれば、位相差に基づいて直交コードブックを構築することにより、1つの偏波アンテナで2層のデータを送信することが可能になる。
【0060】
本願の実施例では、PMI情報を利用して第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を計算することで、後続の直交コードブックの構築を容易にし、さらに、1つの偏波アンテナで2層のデータを送信することを可能とし、各層のデータのアンテナ利得を増加させ、干渉抵抗力を向上させる。
【0061】
図7に示すように、いくつかの実施例では、第1ビームフォーミング重みと位相差に基づいて、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重みを得るステップ105はステップS601を含む。
【0062】
ステップS601:第1ビームフォーミング重みWDOA、位相差及び第2計算式により、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重み
【数10】
を算出する。
【0063】
第2計算式は次のとおりである。
【数11】
ただし、φ(ilayer)は第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差であり、ilayerは伝送データのレイヤ数である。
【0064】
本願の実施例では、第1ビームフォーミング重みWDOAと位相差を用いて、第1偏波アンテナ方向における第1ビームフォーミング重みと直交するコードブックを第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重み
【数12】
として構築することにより、1つの偏波アンテナで2層のデータを送信することを可能とし、各層のデータのアンテナ利得を増加させ、干渉抵抗力を向上させる。
【0065】
図8に示すように、いくつかの実施例では、第1ビームフォーミング重みと第2ビームフォーミング重みに基づいてフォーミングビームを生成するステップS106はステップS701とステップS702を含む。
【0066】
ステップS701:第1ビームフォーミング重みと第2ビームフォーミング重みを正規化処理して、正規化合成重みを得る。
【0067】
ステップS702:正規化合成重みに基づいてフォーミングビームを生成する。
【0068】
いくつかの実施例では、ネットワーク機器の送信信号の合計電力は、送信データ層の数が増加するにつれて増加し、実際のネットワーク機器送信電力は、合理的な範囲内に制御される必要がある。ネットワーク機器の送信信号電力を合理的な範囲内にするためには、ステップS701及びステップS702を実行することによって送信信号電力を正規化する必要がある。
【0069】
いくつかの実施例では、第1ビームフォーミング重みと第2ビームフォーミング重みを正規化処理して、正規化合成重みを得るステップS701は、具体的には、第3計算式を用いて、第1ビームフォーミング重みと第2ビームフォーミング重みを正規化処理して、正規化合成重みを得る。
【0070】
第3計算式は次のとおりである。
【数13】
ただし、Wbfは正規化合成重みであり、ランクインディケータ(RI:Rank Indicator)は、伝送データのレイヤ数に対応するレイヤインディケータである。
【0071】
いくつかの実施例では、RIは、端末が測定して報告する情報である。
【0072】
いくつかの実施例では、ステップS106を実行することにより、送信信号電力を正規化する。ネットワーク機器の送信信号電力を合理的な範囲内に制御するとともに、2重偏波アンテナを用いて2層データを送信することを実現することによって、各層のデータのアンテナ利得を増加させ、干渉抵抗力を向上させる。実際の適用過程において、送信すべきデータビジネスを2つに分割し、それぞれ互いに直交するコードブックでビームフォーミングを行うことができ、伝送の際にこの2層のデータビジネスは互いに干渉せず、このように伝送されるビジネスは1層から2層に向上し、このように、トラフィックの向上が図られる。
【0073】
以下、完全なシーンを例にして説明する。この例では、本例はATG通信システムに適用され、ネットワーク機器は基地局(5G基地局)、端末は飛行機である。この例では、5G_ATGが最初のアクセスを完了し、飛行機のGPS情報を受信した後、基地局のGPS情報と組み合わせてDOA角度情報を計算し、アンテナの単一偏波重みを取得する必要がある。基地局は端末からPMI情報の報告を受け取った後、DOA角度と組み合わせてアンテナの2重偏波フォーミングを行う。具体的には、ステップS801~ステップS808を含む。
【0074】
ステップS801:セルが確立された後、24時間毎に、又は基地局のGPSが変更された後に、基地局はGPS情報を更新する。
【0075】
ステップS802:飛行機がセルにアクセスした後、搭載CPEは、飛行機のGPS情報(緯度経度、地上高、高度や時間を含む)などのパラメータを1秒ごとに基地局に報告する。
【0076】
ステップS803:基地局及び飛行機のGPS情報に基づいて飛行機のDOAピッチ角α及び水平角βを算出する。具体的な計算方式は、上記したステップS301及びステップS302を参照することができる。
【0077】
ステップS804:DOA角度情報に基づいてDOA単一偏波方向(第1偏波方向)のフォーミング重み
【数14】
を算出し、具体的なフォーミング重みの値はアンテナハードウェアに応じて決定する。具体的な計算方法は、上記したステップS401及びステップS402を参照することができる。
【0078】
ステップS805:飛行機は測定されたPMIメッセージを報告する。
【0079】
ステップS806:報告されたPMIに基づいて偏波アンテナ間の位相差
【数15】
を計算する。ここで、ilayerは伝送データのレイヤ数であり、WpmiはPMI情報から生成されたプリコーディングベクトルであり、iはプリコーディングインデックス値である。具体的な計算方式は、上記したステップS501及びステップS502を参照することができる。
【0080】
ステップS807:位相差と算出されたDOA偏波方向のフォーミング重みに基づいて、他の偏波方向のフォーミング重み
【数16】
を算出する。
【0081】
ステップS808:アンテナインデックス合成重みに基づいて、スケジュールレベル数で電力正規化処理を行い、アンテナの2重偏波フォーミングを完了する。具体的な処理については、上記したステップS701及びステップS702を参照することができる。
【0082】
第2態様は、ネットワーク機器と通信可能に接続された端末用のビームフォーミング方法である。端末は、移動端末機器であってもよいし、非移動端末機器であってもよい。移動端末機器は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、ハンドヘルド、車載端末機器、ウェアラブルデバイス、スーパーモバイルパーソナルコンピュータ、ネットブック、携帯情報端末、カスタマ構内設備(CPE:Customer Premisers Equipment)、ワイヤレスホットスポットデバイス(UFI)などであってもよく、非移動端末機器は、パーソナルコンピュータ、テレビ、現金入出金機又は現金自動預け払い機などであってもよく、本願の実施形態は特に限定しない。例えば、ATG通信システムでは、端末は、航空制御処理ユニット(ACPU:A Controller Processor Unit)、WIFIホットスポット機器、搭載CPEなどを含んでもよく、いくつかの実施例では、WIFIホットスポット機器はACPUを介して搭載CPEに接続され、飛行機内のノートパソコン、携帯電話などのエンドユーザにインターネットサービスを提供し、搭載CPEはgNB基地局と通信可能に接続される。
【0083】
図9に示すように、本願の実施例によるビームフォーミング方法はステップS901とステップS902を含む。
【0084】
ステップS901:端末位置情報を取得する。
【0085】
ステップS902:ネットワーク機器に端末位置情報を送信して、ネットワーク機器に第1態様に記載のビームフォーミング方法を実行させる。
【0086】
いくつかの実施例では、端末位置情報は、GPS情報であってもよく、北斗衛星測位情報などであってもよい。端末は、ネットワーク機器信号がカバーするセルに入った後、ステップS801を定期的に実行し、端末位置情報を取得してネットワーク機器に送信する。例えば、ATG通信システムにおいて、飛行機(端末)がセルにアクセスした後、飛行機は、端末位置情報のリアルタイム性及び正確性を確保するために、端末のGPS情報(緯度経度、地上高、高度や時間を含む)などのパラメータを一定周期(例えば1秒)ごとにネットワーク機器に報告する。例えば、ATG通信システムでは、飛行機(端末)がセルにアクセスした後、飛行機の搭載CPEは、1秒毎に飛行機GPS情報を基地局に送信する。
【0087】
いくつかの実施例では、第1態様のビームフォーミング方法のように、ネットワーク機器が端末から端末位置情報を受信した後、ビームフォーミングが完了する。例えば、ネットワーク機器は、第1態様に記載のステップS101~ステップS106のようなビームフォーミング方法を実行することができる。
【0088】
本願の実施例は、端末位置情報を収集し、端末位置情報をネットワーク機器に送信することにより、ネットワーク機器のフォーミングビームをより狭くし、エネルギー集中度をより高くし、信号対雑音比を効果的に向上させる。
【0089】
いくつかの実施例では、端末位置情報は、端末の経度J、端末の緯度W、端末の高さHなどを含む。ネットワーク機器は、ネットワーク機器位置情報と端末位置情報に基づいて、幾何学的演算により到来方向情報を得ることができる。
【0090】
図10に示すように、いくつかの実施例では、第2態様のビームフォーミング方法は、ステップS1001とステップS1002をさらに含む。
【0091】
ステップS1001:プリコーディングマトリクスインディケータを測定する。
【0092】
ステップS1002:ネットワーク機器にプリコーディングマトリクスインディケータを送信する。
【0093】
いくつかの実施例では、端末機器は、ステップS1001及びステップS1002を実行することによって、ネットワーク機器にプリコーディングマトリクスインディケータを送信し、ネットワーク機器は、端末機器からPMI情報を受信し、PMI情報を利用して直交コードブックを構築し、1つの偏波アンテナで2層のデータを送信することを可能とし、各層のデータのアンテナ利得を増加させ、干渉抵抗力を向上させる。具体的な実現ステップは、第1態様のステップS101~ステップS106の説明を参照することができるが、ここでは詳しく説明しない。
【0094】
いくつかの実施例では、端末機器はランクインディケータ(RI:Rank Indicator)情報を測定し、ネットワーク機器が正規化処理を実行するためにRI情報をネットワーク機器に送信する。具体的なステップは、ステップS701及びステップS702の第1態様に記載されており、ここでは詳しく説明しない。
【0095】
第3態様では、図11に示すように、本願の実施例は、第1メモリ1002と、第1プロセッサ1001と、第1メモリ1002上に記憶され、第1プロセッサ1001上で実行可能なプログラムと、を含み、プログラムは第1プロセッサ1001によって実行されると、第1態様に記載のビームフォーミング方法を実現するネットワーク機器を提供する。
【0096】
いくつかの実施例では、ネットワーク機器は、基地局(NodeB基地局、eNB基地局、gNB基地局など)であってもよいし、基地局機能を有する他のネットワーク機器であってもよい。例えば、ATG通信システムでは、ネットワーク機器は、gNB基地局と、コアネットワークと、関連するサーバと、を含み、コアネットワークは、gNB基地局を介して端末に通信サービスを提供する。ネットワーク機器は2重偏波アンテナを有し、2重偏波アンテナは2組のアンテナから構成されており、1組のアンテナユニットは通常の垂直偏波アンテナユニットに対して全アンテナアレイが+45度回転し、残りの1組のアンテナユニットは-45度回転しており、この2組のアンテナは垂直偏波となっている。2重偏波のアレイアンテナを用いることにより、アンテナの小型化、信頼性の向上、干渉の低減を効果的に図ることができる。
【0097】
第1プロセッサ1001は、例えば、アプリケーションプロセッサ(AP:application processor)、変復調プロセッサ、グラフィックスプロセッサ(GPU:graphics processing unit)、画像信号プロセッサ(ISP:image signal processor)、コントローラ、メモリ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、ベースバンドプロセッサ、及び/又はニューラルネットワークプロセッサ(NPU:neural-network processing unit)など、1つ又は複数の処理ユニットを含んでもよい。ここで、異なる処理ユニットは、独立したデバイスであってもよいし、1つ又は複数のプロセッサに統合されていてもよい。
【0098】
いくつかの実施例では、ネットワーク機器は、第1メモリ1002と、第1プロセッサ1001と、第1メモリ1002上に記憶され、第1プロセッサ1001上で実行可能なプログラムと、を含み、プログラムは第1プロセッサ1001によって実行されると、第1態様のステップS101~S105のようなビームフォーミング方法、又は第1態様のステップS101~S106のようなビームフォーミング方法を実現する。
【0099】
第4態様では、図12に示すように、本願の実施例は、第2メモリ2002と、第2プロセッサ2001と、第2メモリ2002上に記憶され、第2プロセッサ2001上で実行可能なプログラムと、を含み、前記プログラムは第2プロセッサ2001によって実行されると、第2態様のような方法を実現する端末を提供する。
【0100】
いくつかの実施例では、端末は、移動端末機器であってもよいし、非移動端末機器であってもよい。移動端末機器は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、ハンドヘルド、車載端末機器、ウェアラブルデバイス、スーパーモバイルパーソナルコンピュータ、ネットブック、携帯情報端末、カスタマ構内設備(CPE:Customer Premisers Equipment)、ワイヤレスホットスポットデバイス(UFI)などであってもよく、非移動端末機器は、パーソナルコンピュータ、テレビ、現金入出金機又は現金自動預け払い機などであってもよく、本願の実施形態は特に限定しない。例えば、ATG通信システムでは、端末は、航空制御処理ユニット(ACPU:A Controller Processor Unit)、WIFIホットスポット機器、搭載CPEなどを含んでもよく、いくつかの実施例では、WIFIホットスポット機器はACPUを介して搭載CPEに接続され、飛行機内のノートパソコン、携帯電話などのエンドユーザにインターネットサービスを提供し、搭載CPEはgNB基地局と通信可能に接続される。
【0101】
第2プロセッサ2001は、例えば、アプリケーションプロセッサ(AP:application processor)、変復調プロセッサ、グラフィックスプロセッサ(GPU:graphics processing unit)、画像信号プロセッサ(ISP:image signal processor)、コントローラ、メモリ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、ベースバンドプロセッサ、及び/又はニューラルネットワークプロセッサ(NPU:neural-network processing unit)など、1つ又は複数の処理ユニットを含んでもよい。ここで、異なる処理ユニットは、独立したデバイスであってもよいし、1つ又は複数のプロセッサに統合されていてもよい。
【0102】
いくつかの実施例では、端末は、第2メモリ2002と、第2プロセッサ2001と、第2メモリ2002上に記憶され、第2プロセッサ2001上で実行可能なプログラムと、を含み、プログラムは第2プロセッサ2001によって実行されると、第2態様のステップS901及びステップS902のような方法、又は、第2態様のステップS901、ステップS902、ステップS1001、ステップS1002の方法を実現する。
【0103】
第5態様では、本願の実施例は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されて、
第1態様に記載のビームフォーミング方法、又は第2態様に記載のビームフォーミング方法を実現する1つ又は複数のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶のための記憶媒体をさらに提供する。
【0104】
本願の実施例は、到来方向情報を取得するステップと、前記到来方向情報に基づいて第1偏波アンテナ方向における第1ビームフォーミング重みを得るステップと、プリコーディングマトリクスインディケータを取得するステップと、前記プリコーディングマトリクスインディケータに基づいて、前記第1偏波アンテナ方向と第2偏波アンテナ方向との位相差を取得するステップと、前記第1ビームフォーミング重みと前記位相差に基づいて、第2偏波アンテナ方向における第2ビームフォーミング重みを得るステップと、前記第1ビームフォーミング重みと前記第2ビームフォーミング重みに基づいてフォーミングビームを生成するステップと、を含む。本願の実施例は、到来方向アルゴリズムによって第1偏波方向のビームフォーミングを行うことで、ネットワーク機器のフォーミングビームをより狭くし、エネルギー集中度をより高くし、信号対雑音比を効果的に向上させ、プリコーディングマトリクスインディケータを用いて第2偏波方向のビームフォーミングを構築することで、1つの偏波アンテナで2層のデータを送信することを可能とし、各層のデータのアンテナ利得を増加させ、伝送チャネルの干渉抵抗力と伝送トラフィックを効果的に向上させる。
【0105】
当業者であれば、上記で開示された方法におけるステップの全部又は一部、システム、機器の機能モジュール/ユニットが、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよいことを理解する。
【0106】
ハードウェアの実施形態では、上記の説明に記載された機能モジュール/ユニット間の区分は、必ずしも物理的な構成要素の区分に対応するものではなく、例えば、1つの物理的な構成要素は複数の機能を有していてもよいし、複数の物理的な構成要素は協働して1つの機能又はステップを実行していてもよい。物理的な構成要素の一部又はすべては、中央プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含むことができるコンピュータ読み取り可能な媒体に配置されてもよい。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えば、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ)を記憶するための任意の方法又は技術において実施される、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な、及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュールや、搬送波又は他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含み得ることが当業者には周知である。
【0107】
以上は本願の好ましい実施例を具体的に説明したが、本願は上記の実施形態に限定されるものではなく、当業者は本願の精神に反しないことなく様々な均等な変形や置換を行うことができ、これらの均等な変形や置換はいずれも本願の請求項によって定められる範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0108】
ネットワーク機器1000、端末2000、第1プロセッサ1001、第1メモリ1002、第2プロセッサ2001、第2メモリ2002

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12