(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】芝刈り機の弁の遊びまたはスロットルにおける欠陥の診断
(51)【国際特許分類】
F02D 11/10 20060101AFI20240920BHJP
F01L 1/46 20060101ALI20240920BHJP
F02D 41/22 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F02D11/10 U
F01L1/46 B
F02D41/22
(21)【出願番号】P 2023506577
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2021072540
(87)【国際公開番号】W WO2022053256
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-01-31
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ モワンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン デュプイ
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-286883(JP,A)
【文献】特開2006-118382(JP,A)
【文献】特開2019-065821(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060068(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/46
F02D 11/00
F02D 41/00-45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのメンテナンス診断を確立するための方法であって、前記エンジン(1)が、前記エンジンの吸気系内への空気アクセスを調整するスロットル(2)と、前記スロットル(2)の位置を測定する位置センサ(TPS)と、前記スロットル(2)に流体連通しているマニホールドと、前記マニホールド内の圧力を測定する圧力センサ(4)と、少なくとも1つの吸気弁(5)と、酸素レベルを測定する濃度プローブ(7)と、空気-燃料混合気中の空気と燃料との比率を変更するための濃度コントローラ(8)と、を備えている、方法において、前記方法は、
前記エンジン(1)の生産ラインの終了時または前記エンジン(1)のメンテナンス後に実施される第1の一連のステップを含み、前記第1の一連のステップが、
-前記エンジン(1)を点火するステップ(100)を含み、前記エンジン(1)が所定の状態にあるときに、
-前記位置センサ(TPS)によって測定される前記スロットル(2)の
基準位置V
TPS_mesureから、前記吸気系内の第1の
基準空気流量db
TPSを決定するステップ(110)と、
-前記圧力センサ(4)によって測定される前記マニホールド内の
基準圧力P
mesureから、前記吸気系内の第2の
基準空気流量db
pを決定するステップ(120)と、
-基準測定補正係数(F
ref)を決定するステップ(130)であって、前記基準測定補正係数が、2つの前記
基準空気流量(db
pまたはdb
TPS)の一方の測定値に、2つの前記
基準空気流量db
pまたはdb
TPSの前記一方と同じ計算に基づいて第3の
基準補正空気流量db
corを決定する際に加えられるときに、前記第3の
基準補正空気流量db
corが、2つの前記
基準空気流量の他方と実質的に等しくなるように選択される基準測定補正係数(F
ref)を決定するステップ(130)と、
-2つの前記
基準空気流量db
TPSまたはdb
pの一方から決定される濃度コントローラ(8)の理論噴射指令C
injを、前記濃度プローブ(7)からの測定値に基づいて実質的に化学量論的な空気-燃料混合気を得るように、基準噴射補正係数(LCL
ref)を加えることによって補正するステップ(140)と、を含み、
前記第1の
基準空気流量db
TPSを決定する前記ステップ(110)、前記第2の
基準空気流量(db
p)を決定する前記ステップ(120)、前記基準測定補正係数(F
ref)を決定する前記ステップ(130)、および補正する前記ステップ(140)が数回行われる少なくとも1つの決定された期間(T
calibrage)の後に、
-前記基準測定補正係数(F
ref)および前記基準噴射補正係数(LCL
ref)を記憶するステップ(160)を含み、
前記方法は、前記エンジン(1)の通常運転中かつ前記エンジン(1)が前記所定の状態にあるときに実施される第2の一連のステップを含み、
前記第2の一連のステップが、
-前記位置センサ(TPS)によって測定される前記スロットル(2)の
現在位置V’
TPS_mesureから、前記吸気系内の第1の
現在空気流量db’
TPSを決定するステップ(210)と、
-前記圧力センサ(4)によって測定される前記マニホールド内の
現在圧力P’
mesureから、前記吸気系内の第2の
現在空気流量db’
pを決定するステップ(220)と、
-現在測定補正係数(F
courant)を決定するステップ(230)であって、前記現在測定補正係数が、2つの前記
現在空気流量db’
TPSまたはdb’
pの対応する前記一方の測定値に、2つの前記
現在空気流量db’
TPSまたはdb’
pの前記一方と同じ計算に基づいて第3の
現在補正空気流量db’
corを決定する際に加えられるときに、前記第3の
現在補正空気流量db’
corが、前記2つの
現在空気流量db’
TPSまたはdb’
pの他方に実質的に等しくなるように選択される、現在測定補正係数(F
courant)を決定するステップ(230)と、
-対応する前記
現在空気流量から決定される前記濃度コントローラ(8)の噴射指令C’
injを、前記濃度プローブ(7)からの測定値に基づいて実質的に化学量論的な空気-燃料混合気を得るように、現在噴射補正係数(LCL
courant)を加えることによって補正するステップ(240)と、を含み、
前記基準測定補正係数(F
ref)と前記現在測定補正係数(F
courant)との差の絶対値が、決定された
第1の閾値(Δ
F)よりも大きいときに、
-メンテナンス診断を確立するステップ(250)と、
-前記基準噴射補正係数(LCL
ref)と前記現在噴射補正係数(LCL
courant)との差の絶対値(V
com)を計算するステップ(260)と、を含み、
1)前記絶対値(V
com)が、決定された
第2の閾値Δ
LCLよりも小さいときに、
-前記噴射指令C’
injが、前記スロットル(2)の前記
現在位置から得られる前記第1の
現在空気流量db’
TPSから決定される場合に、前記少なくとも1つの吸気弁(5)の遊びの診断を確立するステップ(261)と、
-前記噴射指令C’
injが、マニホールド圧力から得られる前記第2の
現在空気流量db’
pから決定される場合に、前記スロットル(2)の目詰まりの診断を確立するステップ(262)と、を含み、または
2)前記
絶対値(V
com)が、前記決定された
第2の閾値Δ
LCLよりも大きいときに、
-前記噴射指令C’
injが、前記スロットル(2)の前記
現在位置から得られる前記第1の
現在空気流量db’
TPSから決定される場合に、前記スロットル(2)の目詰まりの診断を確立するステップ(262)と、
-前記噴射指令C’
injが、マニホールド圧力から得られる前記第2の
現在空気流量db’
pから決定される場合に、前記少なくとも1つの吸気弁(5)の遊びの診断を確立するステップ(261)と、を含む
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記エンジン(1)の前記
所定の状態が、2つの第1の所定の閾値の間にあるエンジン温度と、2つの第2の所定の閾値の間にある空気温度と、2つの第3の所定の閾値の間にある前記吸気系内の空気流量と、第5の所定の閾値に少なくとも等しい期間にわたる2つの第4の所定の閾値の間にあるエンジン速度と、2つの第6の所定の閾値の間にあるエンジン負荷と、を含むことを特徴とする、請求項1記載のメンテナンス診断を確立するための方法。
【請求項3】
前記エンジンの点火毎に、前記現在測定補正係数(F
courant)および前記現在噴射補正係数(LCL
courant)がそれぞれ、前記エンジンをスイッチオフする前の繰り返しの1つで計算された前記現在
測定補正係数(F
courant)および前記現在噴射補正係数(LCL
courant)に初期化されることを特徴とする、請求項1または2記載のメンテナンス診断を確立するための方法。
【請求項4】
前記基準測定補正係数(F
ref
)および前記基準噴射補正係数(LCL
ref
)を記憶するステップ(160)が、前記エンジン(1)がスイッチオフされた(150)後にのみ実施されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のメンテナンス診断を確立するための方法。
【請求項5】
コンピュータ(ECU)によって判読可能な支持体に記録されたコード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、メモリを備えるコンピュータ(ECU)上でプログラムが実行されたときに、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法のステップを実施するためのメモリを備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項6】
コンピュータ(ECU)において、エンジン(1)の点火および濃度コントローラ(8)を制御するように適合され、スロットル(2)の位置センサ(TPS)、マニホールド圧力センサ(4)、および濃度プローブ(7)から測定値を受信するように適合され、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法のステップを実施するようにも適合されることを特徴とする、コンピュータ(ECU)。
【請求項7】
エンジン(1)において、前記エンジンの吸気系内への空気アクセスを調整するスロットル(2)と、前記スロットル(2)の位置を測定する位置センサ(TPS)と、前記スロットル(2)に流体連通しているマニホールドと、前記マニホールド内の圧力を測定する圧力センサ(4)と、少なくとも1つの吸気弁(5)と、酸素レベルを測定する濃度プローブ(7)と、空気-燃料混合気中の空気と燃料との比率を変更するための濃度コントローラ(8)と、を備え、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法のステップを実施するコンピュータ(ECU)も備えることを特徴とするエンジン(1)。
【請求項8】
請求項7記載のエンジン(1)を備えることを特徴とする芝刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのメンテナンス診断を行うこと、特に、スロットルまたは弁の目詰まりおよび/または空気漏れに起因したエンジンのメンテナンスの必要性を明らかにするための方法に関する。そのようなエンジンは、芝刈り機に動力を供給するためのものである。
【背景技術】
【0002】
芝刈り機の分野では、従来、一定の運転時間後にメンテナンスが行われている。すなわち、芝刈り機を必ずしも整備する必要がなくても、運転時間カウンタに基づいてコンピュータによってメンテナンス診断が行われる。
【0003】
特に、今日、芝刈り機では、目詰まりなどのスロットルの欠陥を確立するための監視機能を利用することができない。したがって、この問題についてメンテナンス診断を行うことができない。また、吸気弁の遊びの問題についても、メンテナンス診断を行うことができない。しかし、芝刈り機に関してのみならず、これらの要素が経年的に摩耗すると、エンジンの良好な機能に大きな影響を与えることが知られている。実際、両方とも、エンジンに供給する空気および/または空気-燃料混合気の流れを制御するように、吸気口において使用される。この点で、これら2つの要素の一方がもはや正しく機能しなくなり、メンテナンスを必要とするときを明らかにできることが有利である。特に、2つの要素のどちらが不調であるかを確立することが、さらに有利である。
【0004】
本願で提示する解決手段は芝刈り機のエンジンにおいて実施されるが、これは単に例示であり、限定的な例ではない。実際、関係する要素は、芝刈り機に特有のものではなく、解決手段は、異なる用途のエンジン、特に自動車のエンジンにおいて極めて容易に実施することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、吸気系内の欠陥のためにエンジンがメンテナンスを必要とするときを明らかにする方法を提案することである。
【0006】
より正確には、本願の目的は、エンジンのメンテナンスを容易にするように、この欠陥が存在する吸気口のポイント、特に、スロットルの欠陥か吸気弁の欠陥かを特定することである。
【0007】
本発明の別の目的は、システムの複雑さを高め追加の統合コストにつながることを避けるように、エンジンに既に存在するハードウェア部品によって、この欠陥を明らかにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願は、エンジンのメンテナンス診断を確立するための方法であって、エンジンが、前記エンジンの吸気系内への空気アクセスを調整するスロットルと、スロットルの位置を測定する位置センサと、スロットルに流体連通しているマニホールドと、マニホールド内の圧力を測定する圧力センサと、少なくとも1つの吸気弁と、酸素レベルを測定する濃度プローブと、空気-燃料混合気中の空気と燃料との比率を変更するための濃度コントローラと、を備えており、
方法は、エンジンの生産ラインの終了時または前記エンジンのメンテナンス後に実施される第1の一連のステップを含み、第1の一連のステップが、
-エンジンを点火するステップを含み、エンジンが所定の状態にあるときに、
-位置センサによって測定されるスロットルの位置VTPS_mesureから、吸気系内の第1の空気流量dbTPSを決定するステップと、
-圧力センサによって測定されるマニホールド内の圧力Pmesureから、吸気系内の第2の空気流量dbpを決定するステップと、
-基準測定補正係数Frefを決定するステップであって、基準測定補正係数が、2つの空気流量dbpまたはdbTPSの一方の測定値に、2つの空気流量dbpまたはdbTPSの前記一方と同じ計算に基づいて第3の補正空気流量dbcorを決定する際に加えられるときに、第3の補正空気流量dbcorが、2つの前記流量の他方と実質的に等しくなるように選択される基準測定補正係数Frefを決定するステップと、
-2つの空気流量dbTPSまたはdbpの一方から決定される濃度コントローラの理論噴射指令Cinjを、濃度プローブからの測定値に基づいて実質的に化学量論的な空気-燃料混合気を得るように、基準噴射補正係数LCLrefを加えることによって補正するステップと、を含み、
第1の空気流量dbTPSを決定するステップ、第2の空気流量dbpを決定するステップ、基準測定補正係数Frefを決定するステップ、および補正するステップが数回行われる少なくとも1つの決定された期間Tcalibrageの後に、
-基準測定補正係数Frefおよび基準噴射補正係数LCLrefを記憶するステップを含み、
方法は、エンジンの通常運転中かつエンジンが前記所定の状態にあるときに実施される第2の一連のステップを含み、
第2の一連のステップが、
-位置センサによって測定されるスロットルの位置V’TPS_mesureから、吸気系内の第1の空気流量db’TPSを決定するステップと、
-圧力センサによって測定されるマニホールド内の圧力P’mesureから、吸気系内の第2の空気流量db’pを決定するステップと、
-現在測定補正係数Fcourantを決定するステップであって、現在測定補正係数が、2つの空気流量db’TPSまたはdb’pの対応する前記一方の測定値に、2つの空気流量db’TPSまたはdb’pの前記一方と同じ計算に基づいて第3の補正空気流量db’corを決定する際に加えられるときに、第3の補正空気流量db’corが、前記2つの空気流量db’TPSまたはdb’pの他方に実質的に等しくなるように選択される現在測定補正係数Fcourantを決定するステップと、
-対応する空気流量から決定される濃度コントローラの噴射指令C’injを、濃度プローブからの測定値に基づいて実質的に化学量論的な空気-燃料混合気を得るように、現在噴射補正係数LCLcourantを加えることによって補正するステップと、を含み、
基準測定補正係数Frefと現在測定補正係数Fcourantとの差の絶対値が、決定された閾値よりも大きいときに、
-メンテナンス診断を確立するステップと、
-基準噴射補正係数LCLrefと現在噴射補正係数LCLcourantとの差の絶対値Vcomを計算するステップと、を含み、
1)絶対値Vcomが、決定された閾値よりも小さいときに、
-噴射指令C’injが、スロットルの位置から得られる第1の空気流量db’TPSから決定される場合に、少なくとも1つの吸気弁の遊びの診断を確立するステップと、
-噴射指令C’injが、マニホールド圧力から得られる第2の空気流量db’pから決定される場合に、スロットルの目詰まりの診断を確立するステップと、を含み、または
2)値Vcomが、前記決定された閾値よりも大きいときに、
-噴射指令が、スロットルの位置から得られる第1の空気流量db’TPSから決定される場合に、スロットルの目詰まりの診断を確立するステップと、
-噴射指令が、マニホールド圧力から得られる第2の空気流量db’pから決定される場合に、少なくとも1つの吸気弁の遊びの診断を確立するステップと、を含む
ことを特徴とする方法を提案する。
【0009】
本発明は、コンピュータにおいて、エンジンの点火および濃度コントローラを制御するように構成され、スロットルの位置センサ、マニホールド圧力センサ、および濃度プローブから測定値を受信するように構成されることを特徴とする、コンピュータも提供する。コンピュータは、上で提示した方法のステップを実施するようにも適合される。
【0010】
本発明はさらに、コンピュータECUによって判読可能な支持体に記録されたコード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、メモリを備えるコンピュータECU上で前記プログラムが実行されたときに、上で説明した方法のステップを実施するためのメモリを備える、コンピュータプログラム製品も提供する。
【0011】
最後に、本発明は、エンジンにおいて、前記エンジンの吸気系内への空気アクセスを調整するスロットルと、スロットルの位置を測定する位置センサと、スロットルに流体連通しているマニホールドと、マニホールド内の圧力を測定する圧力センサと、少なくとも1つの吸気弁と、酸素レベルを測定する濃度プローブと、空気-燃料混合気中の空気と燃料との比率を変更するための濃度コントローラと、を備え、
上で説明した方法を実施するコンピュータも備えることを特徴とするエンジンを提供する。
【0012】
以下の段落に開示する特徴は、任意で実施することができる。それらは、互いに独立して実施されてもよく、互いに組み合わされて実施されてもよい。
【0013】
一実施形態において、エンジンの決定された状態は、2つの第1の所定の閾値の間にあるエンジン温度と、2つの第2の所定の閾値の間にある空気温度と、2つの第3の所定の閾値の間にある吸気系内の空気流量と、第5の所定の閾値に少なくとも等しい期間にわたる2つの第4の所定の閾値の間にあるエンジン速度と、2つの第6の所定の閾値の間にあるエンジン負荷と、を含んでもよい。
【0014】
一実施形態によれば、エンジンの点火毎に、現在測定補正係数Fcourantおよび現在噴射補正係数LCLcourantはそれぞれ、エンジンをスイッチオフする前の繰り返しの1つで計算された現在基準補正係数Fcourantおよび現在噴射補正係数LCLcourantに初期化されてもよい。
【0015】
一実施形態によれば、記憶するステップは、エンジンがスイッチオフされた後に実施されてもよい。
【0016】
一実施形態によれば、エンジンは、芝刈り機に搭載されてもよい。
【0017】
したがって、本発明による方法は、必要なときにエンジンのメンテナンス診断を行うことを可能にする。方法は、前記メンテナンスの対象とすべき要素を検出できるので、エンジンのより良好なメンテナンスも可能にする。この点で、上述した方法は、エンジン、特に芝刈り機のエンジンの耐用年数を延ばすことを可能にする。また、方法は、エンジンに未だ存在しない要素を必要としないので、追加の複雑な統合を伴わず、結果として、製造業者または使用者のいずれにとっても余分なコストを伴わない。
【0018】
特に芝刈り機に関しては、メンテナンス警告が、必ずしも時間カウンタに基づいてのみ作動せず、芝刈り機のエンジンの吸気系内で現実の問題が検出されたときにも作動する限り、使用者は、芝刈り機のメンテナンスに関連するコストを削減することもできる。
【0019】
他の特徴、詳細および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を分析することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】エンジンの吸排気系の実施形態を示す図である。
【
図2】エンジンの吸気系のメンテナンス診断を確立するための方法の実施形態を示す図である。
【
図3】エンジンの吸気系のメンテナンス診断を確立するための方法の実施を可能にする、コンピュータとエンジンの他の要素との間の様々な接続の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、エンジン1を非網羅的に示す
図1を参照する。方法は、芝刈り機エンジンにおいて行われるが、あらゆるタイプのエンジンに適用可能であり、この点で、芝刈り機の例は、ここでは限定することなく、単に例示のために与えられる。
【0022】
エンジン1は、図の右側に示す吸気系3を備えている。吸気系3は、ハウジング内に搭載され、前記吸気系の内部への空気のアクセスを制御する、スロットル2を備えている。スロットル2の位置は、位置センサTPSによって測定される。吸気系3は、スロットルハウジング2に流体連通しているマニホールドも備えている。圧力センサ4が、マニホールド内の圧力を測定する。また、少なくとも1つの吸気弁5が、マニホールドに流体連通している。
【0023】
図1の左側は、吸気系3が備える吸気弁5と同数の排気弁6を備える、芝刈り機エンジン1の排気系を示している。排気系は、排気中の酸素レベルの測定を可能にする濃度プローブ7も備えている。この酸素レベルは、エンジン1に導入される空気-燃料混合気の濃度を決定するために使用される。この点で、空気-燃料混合気は、空気量に対して燃料が少なすぎるときに薄いと称され、必要以上に多いときに濃いと称される。この場合、濃度プローブは、薄い混合気と濃い混合気とを分ける閾値に基づいており、前記閾値は、化学量論的として知られる理想的な空気-燃料混合気を象徴している。より正確には、化学量論的な混合気は、空気と燃料との間の正しくバランスのとれた反応(燃焼)を可能にする空気-燃料比に相当する。
【0024】
図3を参照すると、芝刈り機エンジン1の機能は、特に点火を制御するコンピュータECUによって確保される。コンピュータECUはまた、位置センサTPS、マニホールド圧力センサ4、および濃度プローブ7から情報を受信する。特に、コンピュータは、燃料噴射指令C
injを送出するために使用される濃度コントローラ8を制御する。コンピュータECUはまた、
図2を参照して後述するエンジン1のメンテナンス診断を確立するための方法を実施するためのメモリを備えている。
【0025】
方法は、一連のステップをそれぞれ有する2つの別個の段階を含む。(
図2の左側の)第1の段階は、エンジン1が生産ラインを離れるときに、またはメンテナンス処理の後に実施される。ここで、「生産ラインを離れる」とは、エンジン1が新しいこと、すなわち、まだ一度も使用されていないことを意味する。(
図2の右側の)第2の段階は、エンジンの通常運転時に実施される。ここで、「エンジン1の通常運転」とは、第1の段階にあるとき以外のエンジン1の運転を意味する。この場合、エンジン1は、もはや新しくなく、メンテナンス作業を行ったばかりでもなく、すなわち、所定の状態の下で少なくとも期間T
calibrageにわたって機能している。期間T
calibrageおよび所定の状態の定義は、以下で規定する。
【0026】
第1の段階において、方法は、2つの基準補正係数を決定することを目的とする。第1の係数が、スロットル2の位置センサTPSまたはマニホールド圧力センサ4による測定値の基準補正係数Frefに相当する。第2の係数が、濃度コントローラ8によって供給される噴射指令Cinjの基準噴射補正係数LCLrefに相当する。これらの基準補正係数は、芝刈り機が新しいときにゼロ値を有し、車両のメンテナンス作業の後にも、このゼロ値に再び初期化される。
【0027】
第2の段階において、方法は、第1の現在測定補正係数Fcourantを監視し、この係数が第1の段階の間に決定された基準測定補正係数Frefから逸脱しすぎるときに、メンテナンス診断が行われる。また、濃度コントローラ8によって供給される噴射指令C’injの第2の現在補正係数LCLcourantの、基準補正係数LCLrefに対する逸脱を監視することにより、欠陥が少なくとも1つの吸気弁5の遊びから生じているか、スロットル2から生じているかを決定することができる。
【0028】
よって、第1の段階の第1の一連のステップの最初のステップに相当する、方法の第1のステップは、芝刈り機のエンジン1を点火すること100を含む。この場合、目的は、基準係数FrefおよびLCLrefを決定できるように、エンジン1を所定の状態にすることである。
【0029】
エンジンが所定の状態にあるときにのみ、方法は第2のステップを実施する。
【0030】
エンジン1の所定の状態は、2つの第1の所定の閾値の間にあるエンジン温度を含む。所定の状態は、2つの第2の所定の閾値の間にある空気温度も含む。所定の状態は、2つの第3の所定の閾値の間にある吸気系内の空気流量を含む。所定の状態は、第5の決定された閾値に少なくとも等しい期間にわたる、2つの第4の所定の閾値の間にあるエンジン速度も含む。最後に、所定の状態は、2つの第6の所定の閾値の間にあるエンジン負荷を含む。
【0031】
これらの状態が同時に満たされるとすぐに、方法は次のステップを実施する。しかし、これらの状態の1つがもはや有効でなくなるとすぐに、方法は一時的に停止される。
【0032】
2つの基準補正係数FrefおよびLCLrefを決定するために、有利には、これらの状態の全てが、累積期間に相当する決定された期間Tcalibrageにわたって存在しなければならない。ここで、累積期間とは、期間Tcalibrageを時間カウンタとして特定することができ、上記の決定された状態が全て満たされるとすぐに、時間カウンタが期間Tcalibrageまで増分されることを意味する。時間カウンタは、エンジン1の停止時にゼロにリセットされず、車両がメンテナンス作業を受けたときにのみゼロにリセットされる。もちろん、時間カウンタは、エンジン1が生産ラインを離れるときにゼロである。
【0033】
よって、所定の状態が満たされるときに、方法は、位置センサTPSによって測定されるスロットル2の位置VTPS_mesureから、吸気系3内の第1の空気流量dbTPSを決定する第2のステップ110を実施する。具体的に、位置センサTPSは、位置測定値VTPS_mesureをエンジン1のコンピュータECUに送り、コンピュータは、前記測定値VTPS_mesureから、吸気系内の空気流量dbTPSを決定する。
【0034】
方法の第3のステップが、圧力センサ4によって測定されるマニホールド圧力Pmesureから、吸気系3内の第2の空気流量dbpを決定すること120を含む。位置センサTPSの場合と同様に、圧力センサ4は、マニホールドにかかる圧力の圧力測定値PmesureをコンピュータECUに送り、コンピュータは、前記測定値Pmesureから、吸気系内の第2の空気流量dbpを決定する。
【0035】
ここで、エンジン1の吸気系内の2つの空気流量dbTPSおよびdbpが与えられる。完全な状態の下では、2つの流量値は同じになるはずである。しかし、車両が新しかったりメンテナンス作業を受けたばかりであったりしても、概ねそのようにはならず、dbTPS≠dbpになる。2つの空気流量の差は、少なくとも1つの吸気弁5の遊びの締まりまたはスロットル2の目詰まりの不完全さに相当することが知られている。エンジン1が第1の段階にあるときに、エンジンが新しいかまたは整備されたばかりであるとみなされるため、この不完全さが最小であると考えられる。
【0036】
方法の第4のステップが、基準スロットル補正係数Frefを決定すること130を含む。基準スロットル補正係数Frefは、それが測定値VTPS_mesureに加えられるときに、2つの要素の合計VTPS_mesure+Frefが、第2の空気流量dbpに実質的に等しくなる第3の補正空気流量dbcorを与える(dbcor=dbp)ように選択される。この第3の補正空気流量dbcorの計算は、測定値VTPS_mesureを合計VTPS_mesure+Frefに置き換えた状態で、第1の空気流量dbTPSを決定するために行われるのと同じ計算に基づくべきである。
【0037】
ここでの目的は、スロットル2の位置から得られる第1の空気流量dbTPSと、マニホールド圧力から得られる第2の空気流量dbpとを一致させることである。
【0038】
よって、コンピュータECUは、第1の空気流量dbTPSと第2の空気流量dbpとの元の不一致を補償するように、第3の補正空気流量dbcorを計算するために使用される基準スロットル補正係数Frefを決定することができる。
【0039】
当然ながら、2つの空気流量を一致させるために、2つの測定値の一方を補正すれば十分である。この意味において、補正係数Frefを圧力測定値Pmesureに適用すれば、第3の空気流量dbcorは、第2の空気流量dbpの計算に基づいて決定されるであろう。第3の空気流量dbcorは、方法の良好な機能を損なうことなく、第1の空気流量dbTPSに実質的に等しくなるであろう(dbcor=dbTPS)。
【0040】
方法の第5のステップが、基準噴射補正係数LCLrefを加えることによって、濃度コントローラ8からの噴射指令Cinjを補正すること140を含む。この補正は、濃度プローブ7の測定値に基づいて、化学量論的な空気-燃料混合気を得る目的で行われる。空気-燃料混合気は、理想的であるべきであり、それゆえ化学量論的であるべきであるが、現実の運転状態の下で変動する。そこで、コンピュータECUは、濃度プローブ7から測定値を受信し、基準噴射補正係数LCLrefを決定する。係数は、濃度コントローラ8に送られ、濃度コントローラは、理論噴射指令Cinjと現実の状態の下で確立された基準噴射補正係数LCLrefとの両方を考慮して、修正された噴射指令Cinj×(1+LCLref)を供給する。
【0041】
また、理論噴射指令Cinjは、2つの第1の空気流量dbTPSおよびdbpの一方から得られる。実際、化学量論的な混合気が理想的な空気-燃料比に基づいているので、噴射指令Cinjは、吸気系内の空気流量に応じて決定される。
【0042】
有利には、理論噴射指令Cinjは、第3の補正空気流量を決定するために計算が使用されない空気流量から得られる。すなわち、スロットル2の位置の測定値VTPS_mesureに基準測定補正係数Frefが加えられる場合に、噴射指令は、マニホールド圧力から得られる空気流量に基づくことになる。しかし、圧力測定値Pmesureに補正係数が加えられる場合に、噴射指令は、スロットル2の位置から得られる空気流量に基づくことになる。
【0043】
ここで、上で提示したステップ110~140を行うことにより、スロットルおよび噴射の基準補正係数TPS
refおよびLCL
refの2つの基準補正係数が得られることが理解される。しかし、これらの基準補正係数が、計算された2つの空気流量の間の実質的に一定の空気流量と、実質的に化学量論的な空気-燃料混合気との両方を与えるために行われるべき補正を実際に表すには、前記ステップを数回繰り返すことが必要である。実際、第1の補正が大まかな補正である限り、正確な基準補正係数を記憶できるようになるために、第1の一連のステップが数回行われる。これらにより、化学量論的な混合気にできるだけ近い空気-燃料混合気を得ることを目指してエンジン1の運転を最適化することが可能になり、よってエンジン1の理想的な理論効率が保証される。このために、
図2は、方法の第1の空気流量db
TPSを決定するステップ110へのループバックを示している。
【0044】
スロットルおよび噴射の基準補正係数FrefおよびLCLrefは、第1の空気流量dbTPSを決定するステップ110、第2の空気流量dbpを決定するステップ120、基準スロットル補正係数Frefを決定するステップ130、および補正するステップ140が数回行われる、決定された期間Tcalibrageにわたって、第1の一連のステップが行われたときにのみ記憶される160。
【0045】
有利には、記憶するステップ160は、エンジン1がスイッチオフされた150後にのみ実施される。
【0046】
上で説明したように、決定された期間Tcalibrageは、累積的であり、時間カウンタとして機能する。このことは、エンジン1がスイッチオフされても、再びスイッチオンされ、所定の状態になるとすぐに、時間カウンタが、ゼロに戻されずに増分され、期間Tcalibrageに達するとすぐに、スロットルおよび噴射の補正係数FrefおよびLCLrefが、次のメンテナンス作業までコンピュータECUのメモリに最終的に記憶されることを意味する。この対策は、エンジンがスイッチオフされるとすぐに補正係数の較正(または適応)を始めから再開しないように、第1の段階の間に、期間Tcalibrageに達するまで、これらの値をコンピュータECUのメモリに一時的に記憶することも含む。このため、補正するステップ140からエンジンを点火するステップ100に戻るループ(点線)も示されている。
【0047】
この場合、スロットルおよび噴射の補正係数FrefおよびLCLrefは、エンジンが新しいとき、またはメンテナンス作業を行ったばかりのときに取得されるので、エンジンが良好な状態にあるときの補正値を表す。
【0048】
基準補正係数を記憶すること160は、方法の第1の段階を終了させるので、第1の一連のステップの最後のステップである。
【0049】
ここで、方法の第2の段階の間に、すなわち、エンジン1の通常運転中に欠陥を明らかにするために、現在補正係数を回復し、基準補正係数FrefおよびLCLrefと比較しなければならない。第2の一連のステップの第1のステップは、第1の段階の第1のステップと同じである。
【0050】
よって、エンジン1が所定の状態にあるときに、第2の一連のステップの第1のステップが、位置センサTPSによって測定されるスロットル2の位置V’TPS_mesureから、吸気系内の第1の空気流量db’TPSを決定すること210を含む。
【0051】
第2のステップが、圧力センサ4によって測定されるマニホールド内の圧力P’mesureから、吸気系内の第2の空気流量db’pを決定すること220を含む。
【0052】
第1のステップが、現在スロットル補正係数Fcourantを決定すること230を含み、現在スロットル補正係数は、測定値V’TPS_mesureに、第1の空気流量db’TPSと同じ計算に基づいて第3の補正空気流量db’corを決定する際に加えられるときに、第3の補正空気流量db’corが第2の空気流量db’pに実質的に等しくなるように選択される。
【0053】
第2の一連のステップのこの第3の決定するステップ230において、もちろん、現在測定補正係数Fcourantは、2つの結果を比較できるように、第1の一連のステップの基準測定補正係数Frefを決定する間に使用されたのと同じ空気流量から決定されると考えられる。
【0054】
第4のステップが、対応する空気流量から決定される濃度コントローラ8の理論噴射指令C’injを、濃度プローブ7からの測定値に基づいて実質的に化学量論的な空気-燃料混合気を得るように、現在噴射補正係数LCLcourantを追加することによって補正すること240を含む。ここで、この場合、対応する空気流量は、基準噴射補正係数LCLrefを決定するために第1の段階の間に選択された空気流量に相当する。例えば、第1の段階において、理論噴射指令Cinjを決定するために第2の空気流量dbpが選択された場合に、この段階の間に選択されるのは、圧力測定値P’mesureから得られる第2の空気流量db’pである。このようにして、現在噴射補正係数LCLcourantと基準噴射補正係数LCLrefとを比較することができる。
【0055】
これらの現在補正係数を決定することにより、化学量論的な混合気にできるだけ近くなるように空気-燃料混合気を連続的に適合させることを目指すことにより、エンジン1の運転をその寿命を通じて最適化できることが理解される。実際、第1の段階と同様に、これは、エンジン1の実際の使用状態への適応である。
【0056】
好ましい実施形態において、測定および噴射の現在補正係数FcourantおよびCLcourantは、方法の繰り返し毎にコンピュータECUのメモリに記憶される。よって、繰り返しiで計算された現在補正係数が、繰り返しiの前の繰り返しi-1で計算されたメモリ内の現在補正係数に取って代わる。
【0057】
よって、エンジンの点火毎に、現在補正係数は、エンジンがスイッチオフされる前の最後の値に対応してメモリに記憶されたそれぞれの値に直接初期化することができる。
【0058】
ここでは、現在補正係数が、繰り返し毎ではなく、例えばn回の繰り返し毎に、または単に定期的に、以前の値の代わりにメモリに記憶されてもよいことも考えられる。
【0059】
第4の補正するステップ240の終了時に、コンピュータECUは、欠陥の存在を明らかにし得る全ての情報を所有する。
【0060】
よって、基準スロットル補正係数Frefと現在スロットル補正係数Fcourantとの差の絶対値が、決定された閾値ΔFよりも大きいときに、第5のステップ250において、欠陥の診断が行われる。実際、基準スロットル補正係数Frefと現在スロットル補正係数Fcourantとの著しい不一致が、2つの空気流量db’TPSおよびdb’pの計算結果の間の著しい差を示す。この差は、少なくとも1つの吸気弁5の遊びの締まり具合またはスロットルの目詰まりの欠陥によって説明される。
【0061】
ここで、どちらの空気流量が逸脱したかを特定することにより、欠陥の原因を確立しなければならない。
【0062】
濃度コントローラ8からの噴射指令は、2つの項目を含み、第1の項が、2つの空気流量の一方から決定された理論指令C’injに噴射補正係数を加えたC’inj×(1+LCLcourant)に相当する。エンジン1の所定の状態の下では、現在噴射補正係数LCLcourantが基準噴射補正係数とほぼ等しい場合(LCLcourant≒LCLref)に、理論指令CinjとC’injは、ほぼ等しくなり(Cinj≒C’inj)、したがって、それらの推定の元となった流量(例えば、圧力測定値Pmesureから決定される空気流量dbpとdb’p)もほぼ等しくなる(dbp≒db’p)。この場合、第1の段階の空気流量dbpに対して逸脱したのは、第2の段階の空気流量db’pではない。第2の段階において逸脱したのは、他方の空気流量db’TPSであり、これは、欠陥がそこにあることを示している。
【0063】
よって、方法は、基準噴射補正係数LCLrefと現在噴射補正係数LCLcourantとの差の絶対値Vcom(Vcom=|LCLref-LCLcourant|)を計算する第6のステップ260を含む。
【0064】
これより、4つの異なる場合を区別することができ、以下に提示する。
1)値(Vcom)が決定された閾値ΔLCLよりも小さいとき(Vcom<ΔLCL)に、
-理論噴射指令C’injが、スロットル位置から得られる空気流量dbTPSから決定される場合に、少なくとも1つの吸気弁5の遊びの存在の診断を確立する261、
-理論噴射指令C’injが、マニホールド圧力から得られる空気流量dbpから決定される場合に、スロットル2の欠陥の診断を確立する262、
2)値(Vcom)が前記決定された前記閾値ΔLCLよりも大きいとき(Vcom>ΔLCL)に、
-理論噴射指令C’injが、スロットル位置から得られる空気流量dbTPSから決定される場合に、スロットル2の欠陥の診断を確立する262、
-理論噴射指令C’injが、マニホールド圧力から得られる空気流量dbpから決定される場合に、少なくとも1つの吸気弁5の遊びの存在の診断を確立する261。
【0065】
方法は、
図1に存在する要素を備える内燃機関において実施することができる。特に、この方法は、エンジンのメンテナンスが運転時間カウンタのみに基づき実際の欠陥の診断に基づいていない、従来の芝刈り機において実施することができる。