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特許7558414間質性膀胱炎の評価および治療のための方法、キット、および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】間質性膀胱炎の評価および治療のための方法、キット、および組成物
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240920BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240920BHJP
   A23K 20/111 20160101ALI20240920BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20240920BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20240920BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/68 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/55 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/21 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/23 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/48 N
A23K20/111
A23K10/30
A23K50/40
A61K36/899
A61K36/68
A61K36/81
A61K36/55
A61K36/21
A61K36/23
A61P13/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023538833
(86)(22)【出願日】2021-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021064252
(87)【国際公開番号】W WO2022140209
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/129,088
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】バドリ、ダヤカール
(72)【発明者】
【氏名】クリーチ、レネア
(72)【発明者】
【氏名】パニッカー、キラン
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075042(JP,A)
【文献】特表2017-500844(JP,A)
【文献】特開2000-298130(JP,A)
【文献】特表2020-503036(JP,A)
【文献】PARIS, M et al.,Serum Cytokine Profiling in Cats with Acute Idiopathic Cystitis,J Vet Intern Med,2018年01月,32(1),274-279
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間質性膀胱炎(IC)の発症リスクの高いネコ科動物を特定する方法であって、
ネコ科動物から得られた尿または血液の生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定することと、
健康なネコ科動物からの尿または血液の生体試料を分析して、前記尿サイトカインの濃度を決定することと、
前記ネコ科動物の前記尿サイトカイン濃度を、前記健康なネコ科動物の前記尿サイトカイン濃度と比較することと、を含み、
前記尿サイトカインが、Fms様チロシンキナーゼ3(Flt3-L)、幹細胞因子(SCF)、およびIL-12p40から選択され、
前記ネコ科動物から得られた前記生体試料が、前記健康なネコ科動物の前記尿サイトカインの濃度よりも低い尿サイトカインの濃度を含有する場合、前記ネコ科動物は、間質性膀胱炎の高い発症リスクを有する、方法。
【請求項2】
間質性膀胱炎の発症リスクを減少させる治療から利益を得るネコ科動物を特定する方法であって、間質性膀胱炎の発症リスクを減少させる前記治療が、有効量の繊維結合ポリフェノール成分を含む組成物を前記ネコ科動物に投与することを含み、前記方法が、
ネコ科動物から得られた尿または血液の生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定することと、
健康なネコ科動物からの生体試料を分析して、前記尿サイトカインの濃度を決定することと、
前記ネコ科動物の前記尿サイトカイン濃度を、前記健康なネコ科動物の前記尿サイトカイン濃度と比較することと、を含み、
前記尿サイトカインが、Fms様チロシンキナーゼ3(Flt3-L)、幹細胞因(SCF)、およびIL-12p40から選択され、
前記ネコ科動物の尿サイトカイン濃度が、前記健康なネコ科動物の尿サイトカイン濃度よりも低いことが、前記ネコ科動物が、間質性膀胱炎を発症するリスクを減少させる治療から利益を得るであろうことを示す、方法。
【請求項3】
前記尿サイトカインがFlt3-Lである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維結合ポリフェノール成分が、オート繊維、オオバコの殻、トマトの搾りかす、亜麻種、ビートパルプ、ニンジン粉末、醸造米、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維結合ポリフェノール成分が、オート繊維、オオバコの殻、醸造米、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維結合ポリフェノール成分が、トマトの搾りかす、亜麻種、ビートパルプ、ニンジン粉末、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
ネコ科動物の対象において間質性膀胱炎を発症するリスクを減少させる方法であって、
請求項1~のいずれか一項に記載の間質性膀胱炎の発症リスクの高い前記ネコ科動物を特定するステップと、
前記ネコ科動物に、有効量の繊維結合ポリフェノール成分を含む組成物を投与するステップと、を含む、方法。
【請求項8】
ネコ科動物における間質性膀胱炎の発病および/または重症度を遅らせる方法であって、
請求項1~のいずれか一項に記載の間質性膀胱炎の発症リスクの高い前記ネコ科動物を特定することと、
前記ネコ科動物に、有効量の繊維結合ポリフェノール成分を含む組成物を投与することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記有効量の繊維結合ポリフェノール成分を含む前記組成物が、前記ネコ科動物に少なくとも約14日間、任意選択的に14日間超、または約21日間、または21日間超、または約28日間投与される、請求項またはに記載の方法。
【請求項10】
間質性膀胱炎の発症リスクの高いネコ科動物を特定するキットであって、
尿または血液の生体試料を採取するための容器と、
ELISA、クロマトグラフィー分析、アプタマー系の定量アッセイ、蛍光タグもしくは染色;またはFms様チロシンキナーゼ3(Flt3-L)、幹細胞因子(SCF)、およびIL-12p40から選択される一つ以上の尿サイトカインに特異的な予め装填された発色団/抗体を有するポイントオブケア試験装置から選択される検出方法に必要な要素であって、前記ネコ科動物における前記一つ以上の尿サイトカインの存在を評価する検出方法に必要な要素と、
使用説明書であって、前記使用説明書は、前記ネコ科動物における前記1つ以上の尿サイトカインの存在を、健康なネコ科動物における尿サイトカインの存在と比較するように臨床医に指示し、前記ネコ科動物において検出された前記1つ以上の尿サイトカインのレベルが、 前記健康なネコ科動物で検出された前記尿サイトカインのレベルより低い場合、前記ネコ科動物は間質性膀胱炎を患っているか、または間質性膀胱炎を発症する可能性が高いと診断される使用説明書と、を備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月22日に出願された米国仮特許出願第63/129,088号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
猫間質性膀胱炎(FIC)は、膀胱痛症候群(BPS)としても知られ、ネコにおける膀胱痛、頻尿、下部尿路閉塞(LUTD)、および夜間頻尿を特徴とする全身状態を示すために使用される用語である。FICは、治療に関係なく3~7日で自然消失する急性型と、持続または数週間または数か月にわたって頻繁に再発する慢性型の二つの型に分類できる。FICはまた、すべての年齢で見られ、2~7歳の間のネコ科動物は、よりリスクが高い。様々な科学者が、FICにつながる可能性のある病理機序を提唱してきたが、FICの正確な因果関係は明らかでない。
【0003】
FICの臨床診断には、典型的には、尿検査、尿培養、および腹部超音波検査が含まれる。しかし、診断は状況による。典型的には、FICは、結石形成、感染、腫瘍形成、または腎疾患を含む他の可能性のある原因を「除外」ことによって診断される。現在のところ、FICを評価するための信頼できるマーカーとしての役目を果たしうる一貫したまたは特異的な診断用分子マーカーはない。さらに、すべての臨床試験は、FICを確証する可能性のある臨床徴候の主観的なペット所有者の観察、解釈および定量化に大きく依存している。これは、所有者の尿パターンおよび行動を確実に定量化する能力が一貫性していないため、信頼性のない結果を生む。
【0004】
ヒトにおいては、いくつかのバイオマーカー候補が特定され、評価されているが、FICを有するネコにおいて評価されているものはほとんどない。したがって、FICを診断するための尿の非侵襲的バイオマーカーおよび診断バイオマーカーレベルおよび臨床症状を改善することにより状態を軽減する食品処方が当技術分野で必要とされている。本発明の特定の実施形態は、これらの、および他の目的を満足するように設計されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一部の実施形態は、間質性膀胱炎を発症するネコ科動物の傾向を診断または特定するための方法を提供する。特定の実施形態では、診断方法はサイトカインバイオマーカーを分析することを含む。バイオマーカーレベルは、任意の体液から分析されてもよく、好ましい実施形態では、バイオマーカーレベルは尿から取得される。さらに、試験される好ましいバイオマーカーには、限定されるものではないが、Fms様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3-L)およびサイトカイン幹細胞因子(SCF)が含まれる。
【0006】
本発明の特定の実施形態は、高レベルの抗酸化剤を含むペットフード組成物を投与することを含む、ネコ科動物における間質性膀胱炎の治療に向けられる。
【0007】
本発明のさらなる実施形態は、間質性膀胱炎を発症するネコ科動物の傾向を診断または特定するためのキットを提供する。
【0008】
少なくとも一つの実施形態によれば、間質性膀胱炎(IC)を発症するリスクが増加するコンパニオンアニマルを特定するための方法が提供される。方法は、典型的には、コンパニオンアニマルから得られた生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定することと、健康なコンパニオンアニマルからの生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定することと、コンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度を、健康なコンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度と比較することと、を含み、コンパニオンアニマルから得られた生体試料が、健康なコンパニオンアニマルの尿サイトカインの濃度よりも低い尿サイトカインの濃度を含有する場合、コンパニオンアニマルは、間質性膀胱炎の高い発症リスクを有する。
【0009】
別の実施形態によると、間質性膀胱炎の発症リスクを減少させる治療から利益を得るコンパニオンアニマルを特定する方法が提供され、間質性膀胱炎の発症リスクを減少させる治療は、有効量の繊維結合ポリフェノール成分を含む組成物をコンパニオンアニマルに投与することを含む。間質性膀胱炎の発症リスクを低下させる治療から利益を得るコンパニオンアニマルを特定する方法は、コンパニオンアニマルから得られた生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定することと、健康なコンパニオンアニマルからの生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定することと、コンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度を、健康なコンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度と比較することと、を含み、コンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度が、健康なコンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度よりも低いことは、コンパニオンアニマルが間質性膀胱炎の発症リスクを低下させる治療から利益を得るであろうことを示す。
【0010】
さらに別の実施形態では、ネコ科動物の対象において間質性膀胱炎を発症するリスクを減少させる方法は、コンパニオンアニマルから得られた生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定するステップと、健康なコンパニオンアニマルからの生体試料を分析して、尿サイトカインの濃度を決定するステップと、コンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度を健康なコンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度と比較するステップであって、コンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度が健康なコンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度よりも低いことは、コンパニオンアニマルが治療から利益を得るであろうことを示すステップと、コンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度が健康なコンパニオンアニマルの尿サイトカイン濃度よりも低い場合に、有効量の繊維結合ポリフェノール成分を含む組成物をコンパニオンアニマルに投与するステップと、を含む。
【0011】
追加の実施形態によると、間質性膀胱炎発症のより高いリスクを有するコンパニオンアニマルを特定するためのキットが提供される。キットは通常、生体試料を収集するための容器;以下から選択される検出方法: ELISA、クロマトグラフィー分析、アプタマー系の定量アッセイ、二つ以上のそれらの代謝物の組み合わせに特異的な蛍光タグまたは染色;本明細書に記載される一つ以上の尿サイトカインに特異的な予め装填された発色団/抗体を有するポイントオブケア試験装置;および使用説明書を含む。
【0012】
特定の実施形態によると、コンパニオンアニマルにおいて間質性膀胱炎に関連する症状を治療、阻害または改善するための方法が提供され、方法は、有効量の繊維結合ポリフェノールを含む組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、健康なネコ科動物および疾患のあるネコ科動物における特定の尿サイトカインのレベルを示す。
【0014】
図1B図1Bは、間質性膀胱炎診断の前後の尿サイトカインのレベルを示す。
【0015】
図1C図1Cは、数年間にわたる尿サイトカインのレベルを示す。
【0016】
図2A図2Aおよび2Bは、健康なネコ科動物および疾患のあるネコ科動物における様々な尿サイトカインの関係を示す。
図2B】同上。
【0017】
図3A図3Aおよび3Bは、健康なネコ科動物および疾患のあるネコ科動物における二つの尿サイトカインのレベルを示す。
図3B】同上。
【0018】
図4図4は、健康なネコ科動物および疾患のあるネコ科動物における血清サイトカインのレベルを示す。
【0019】
図5A図5Aは、尿サイトカインから生成された、疾患のあるネコ科動物および健康なネコ科動物のROC曲線を示す。
【0020】
図5B図5Bは、血液CBC、化学およびサイトカインから生成された、疾患のあるネコ科動物および健康なネコ科動物のROC曲線を示す。
【0021】
図6A図6Aおよび図6Bは、尿サイトカイン、ならびに血液CBC、化学およびサイトカインに関するデータを示す。
図6B】同上。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の発明は、部分的に、間質性膀胱炎を発症するネコ科動物の傾向を評価するための診断方法に関する。
【0023】
好ましい実施形態の以下の記述は、本質的に単に例示的であり、またいかなる点においても本発明を限定するように意図されていない。例示的な実施形態の記述は、添付図面に関連して読まれることが意図されていて、該添付図面は、書かれた説明書全体の一部と考えられるべきである。好ましい実施形態の以下の記述は、本質的に単に例示的であり、またいかなる点においても本発明を限定するように意図されていない。例示的な実施形態の記述は、添付図面に関連して読まれることが意図されていて、該添付図面は、書かれた説明書全体の一部と考えられるべきである。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって別途規定されない限り、複数の参照を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種を指すだけでなく、それらの化学種の混合物も指し、例えば単数形の「タンパク質」という用語は、その各々もまたタンパク質であると考えられる化合物の混合物を指す場合がある。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」および「少なくとも一つの」という用語は本明細書において、互換的に使用されてもよい。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語は、互換的に使用される場合がある。「含む(include)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0025】
全体を通して使用されている「範囲」は、その範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。加えて、本明細書で引用されるすべての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0026】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語ならびに頭字語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、当然のことながら、本発明は、本明細書に記述されるいかなる特定の方法、プロトコル、試薬にも限定されない。記述される方法、プロトコル、試薬は単なる例であり、例示目的のみのためのものである。
【0027】
本明細書で使用される「生体試料」という用語は、「試料」、「標本」、「生体材料」、「生物材料」という用語と互換的に使用されてもよい。生体試料は、血液、唾液、尿などの体液、生検由来の、または毛皮などの組織試料、ならびに呼気凝縮物などのその他の臨床標本を含む、ペットから得られた任意の有機材料を指す。生体試料は、非侵襲的および/または侵襲的な様態で得ることが可能である。例えば、生体試料は、口を綿棒で拭うこと、毛皮の集まり、または尿を介してなど、非侵襲的なやり方で提供されてもよい。他の実施例において、生体試料は、針による血液の採取、または生検による組織の除去によってなど、侵襲的なやり方で提供されてもよい。
【0028】
特定の実施形態では、生体試料は一つ以上の賦形剤をさらに含んでもよい。賦形剤は任意の時点で生体試料に添加されてもよい。例えば、賦形剤は試料の採取中、輸送中、調製中、および/または分析中に生体試料に添加されてもよい。
【0029】
賦形剤の添加は当技術分野で周知である。こうした賦形剤は、本発明によって提供される目的および効果を損なわない量で存在するべきである。賦形剤は安定剤、防腐剤、加工助剤、pH緩衝剤、充填剤、希釈剤、色試薬、染料として含まれてもよい。例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、生体試料を保存するために、採取中に生体試料に添加されてもよい。
【0030】
賦形剤の例としては、ホウ酸およびその誘導体、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、ポリエチレングリコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸およびその誘導体、プロテアーゼ阻害剤、クエン酸ナトリウムおよびメタ重硫酸ナトリウム(sodium metabisulfate)などのナトリウム塩、プロテアーゼ阻害剤が挙げられてもよい。
【0031】
生体試料(例えば、血液、唾液、尿、呼気凝縮物、組織など)は、診断ツールとして使用されうる。例えば、生体試料(例えば、生物流体)は、動物(例えば、人)の健康状態および/または状態に相関する能力により、診断ツールとして使用されうる。健康状態は、疾患、障害、または他の状態に関連しうる。例えば、生物流体は、疾患の発症、疾患の進行、および/または疾患の治療進行の診断および/または決定するために使用されうる。生物流体は、非侵襲的および/または侵襲的な様式で診断用流体として使用されうる。例えば、一部の例では、生物流体は、口を綿棒で拭うこと、口から唾を吐くこと、または尿を介してなど、非侵襲的なやり方で提供されてもよい。他の実施例では、生物流体は、注射を介した血液の採取、または組織の除去などを介しての、侵襲的なやり方で提供されてもよい。生物流体(唾液など)中の抗体の検出(例えば、迅速検出)は、迅速に、コンパクトなツール(歯ブラシ、マウスガード、パッチなどを介して)を介して実施されうる。生物流体によって疾患、障害、またはその他の状態を検出することは、疾患、障害、またはその他の状態についてのポイントオブケア診断を可能にする場合がある。本開示は、生物流体に関する数多くの実施例を提供しうるが、当然のことながらこうした実施例は例示的な目的のみのためのものである。実施例は、例えば、生物流体ならびに生体組織を含む任意の生体試料にも広がりうる。
【0032】
生体試料によって疾患、障害、またはその他の状態を検出することは、疾患、障害、またはその他の状態についてのポイントオブケア診断を可能にする場合がある。生体試料内の一つ以上のバイオマーカーを定量化する方法は、当技術分野で周知である(例えば、比色分析報告、核磁気共鳴(NMR)分光法、赤外線(IR)分光法、質量分析法など)。本開示は、尿に関する数多くの実施例を提供しうるが、当然のことながらこうした実施例は例示的な目的のみのためのものである。実施例は、体液または生体組織を含む任意の生体試料に延長されてもよい。
【0033】
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、「生物学的マーカー」という用語と互換的に使用されてもよく、また臓器機能または任意の他の生物学的状態または状況を調べるために使用することが可能な任意の測定可能な物質を指すために使用される。特定の実施形態では、バイオマーカーとしては、イムノグロブリンなどのタンパク質、DNAおよびRNAなどのポリヌクレオチド、ならびに代謝物が挙げられてもよい。特定の実施形態では、バイオマーカーは、限定されないが、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、インターロイキン(IL)、および腫瘍壊死因子(TNF)を含むサイトカインであってもよい。好ましい実施形態では、バイオマーカーは、FMS関連チロシンキナーゼ3リガンドバイオマーカーである。別の実施形態では、バイオマーカーはサイトカイン幹細胞因子である。
【0034】
試料(尿など)中のバイオマーカーの検出および定量は、採取後の任意の時点で実施されてもよい。例えば、生体試料内のバイオマーカーの定量化は、短期間内(例えば、2分以内、5分以内など)に、またはより長い貯蔵、輸送、保存、もしくはインキュベーション段階の後(例えば、6時間以内、72時間以内など)に実施されてもよい。特定の実施形態では、生体試料は、約-200℃~約30℃、例えば-80℃、の範囲の温度で保存、輸送、または貯蔵される。別の例としては、組織生検は、短期保存については-20℃、長期保存については-80℃で保存することが好ましい。当然のことながら、これらの実施例は例示的な目的のみのためのものであり、また適正な温度は本発明で使用される生体試料のタイプに依存する。生体試料は、当業者によって一般的に理解される通りに、特定のタイプの生体試料にとって適正な温度で貯蔵されるべきである。
【0035】
試料内の一つ以上のバイオマーカーは、任意のタイプの疾患、障害、または他の状態の診断ツールとして使用されてもよい。例えば、一つ以上のバイオマーカーは、疾患、障害、および/または状態に対してネコが有する傾向(例えば、発症の可能性)を示す場合がある。好ましい実施形態では、一つ以上のバイオマーカーは、ネコにおける間質性膀胱炎の傾向を診断または特定するために使用される。さらにより好ましい実施形態では、FLT3LまたはサイトカインSCFは、ネコ科動物における間質性膀胱炎の傾向を診断または特定するために使用される。
【0036】
本明細書に記載されるように、電子アッセイを使用して、生物流体(例えば、血液、唾液、尿など)中のバイオマーカーを定量化しうる。バイオマーカーは、疾患、障害、および/または状態と関連付けられうる。例えば、バイオマーカーは、疾患、障害、および/または状態の存在を示しうる。バイオマーカーは、疾患、障害、および/または状態のリスク(例えば、発症のリスク)を示しうる。電子アッセイは、生物流体のバイオマーカーを定量化するためにインピーダンスサイトメトリーなどのインピーダンスを使用しうる。バイオマーカーは、タンパク質を含んでもよい。バイオマーカーは、免疫グロブリンG(IgG)および/または免疫グロブリンA(IgA)を含みうる。生物流体内のバイオマーカーの定量化は、短期間(例えば、5分以内、二分以内など)で、およびコンパクト、軽量、および/または安価な機器を介して実施されうる。実施形態では、機械学習技術(教師あり機械学習技術など)を使用して、生物流体内のバイオマーカー(イムノグロブリンなど)の定量を決定(例えば、決定を支援する)してもよい。
【0037】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記述される病態または状態のいずれかを治療するために使用されるペットフード組成物である。好ましい実施形態では、本発明は、ペットフード組成物を投与することを含む、ネコ科動物における間質性膀胱炎を治療する方法である。好ましくは、ペットフード組成物は、高レベルの抗酸化剤を含む。より好ましい実施形態では、ペットフード組成物は、高レベルの抗酸化剤を含み、少なくとも28日間毎日与えられる。
【0038】
ペットフード組成物はキブルの形態であってもよい。他の実施形態において、ペットフード組成物は、多層キブル、および/またはコーティングを含む多層キブルの形態である。さらに、コーティングは食味増強剤を含むことが可能である。本明細書で使用される「食味」という用語は、食感、味覚、匂いなど、動物によって感知される食物の様々な特徴のすべてを包含する。例えば、コーティングは、ペットフード組成物の食味を増加させるための食味増強剤を含んでもよい。特定の実施形態では、組成物は対照組成物の食味と等しい食味を有する。
【0039】
特定の実施形態では、キブルは押出成形によって形作られる。他の実施形態において、組成物は、ローフ、シチュー、「肉およびグレービー」形態、粥、50%超の含水量を有するシュレッド、および注射器から押し出されることができる製品から選択される形態である。別の実施形態において、本発明は6重量%~約12重量%の水分を含む。
【0040】
一部の実施形態では、キブルは結合剤を含んでもよい。特定の実施形態では、結合剤としては、グルコース、フルクトース、マンノース、アラビノースなどの単糖類;スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ラクツロースなどの二糖および三糖類;トウモロコシおよびライスシロップ固形分;トウモロコシ、小麦、コメおよびタピオカデキストリンなどのデキストリン;マルトデキストリン;コメ、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカデンプン、または化学変性によって変性されたこれらのデンプンなどのデンプン;アルギネート、キトサン;カラゲーンおよびアラビアゴムなどのガム;グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどのポリオール;スクロースエステル、ポリグリコールエステル、グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルなどのポリオールのエステル;ソルビトール;糖蜜;ハチミツ;ゼラチン;ペプチド;ホエイ液、ホエイ粉末、濃縮ホエイ、ホエイ単離物、ホエイタンパク質単離物、高ラクトースホエイ副産物、鶏肉ブロス、鶏肉ブロス固形分などの肉ブロス固形物、大豆タンパク質、および卵白などのタンパク質および変性タンパク質のいずれか、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
特定の実施形態では、結合剤は、脂質および/または脂質誘導体を含むが、これらに限定されない。脂質は、水および/または他の結合剤構成成分と組み合わせて使用することができる。脂質としては、大豆油、コーン油、なたね油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、ココナッツ油、パーム核油ならびに部分的および完全に水素化されたそれらの誘導体などの植物性脂肪、動物性脂肪ならびに部分的および完全に水素化されたその誘導体、ならびにワックスを挙げることができる。
【0042】
特定の実施形態では、本発明は、添加物、ミネラル、ビタミン、炭水化物源、脂肪、タンパク質、追加的な繊維、アミノ酸、カロテノイド、抗酸化剤、脂肪酸、グルコース模倣体、プロバイオティクス、プレバイオティクス、その他を含むがこれらに限定されない、追加的な成分を含んでもよい。
【0043】
ペットフード組成物は当技術分野で周知の添加物を含有してもよい。こうした添加物は、本発明によって提供される目的および効果を損なわない量で存在するべきである。添加物の例としては、安定化効果を有する物質、感覚刺激物質、加工助剤、栄養利益を提供する物質が挙げられる。
【0044】
安定化物質は、組成物の貯蔵寿命を延ばす場合がある。適切な例としては、防腐剤、抗酸化剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤を挙げることができる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、加工デンプンが挙げられる。
【0045】
着色、食味、栄養の目的のための添加物としては、着色剤、塩(塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、その他の食用塩類を含むがこれらに限定されない)、ビタミン、ミネラル、香料を挙げることができる。組成物中のこうした添加物の量は典型的に、(組成物の乾燥物質基準で)最高約5重量%である。一部の実例では、ペットフード組成物は、乾燥物質ベースのペットフード組成物の総重量に基づいて、最大約4重量%、最大約3.5重量%、最大約3重量%、最大約2.5重量%、最大約2重量%、最大約1.5重量%、最大約1重量%の量の添加物を含む。追加的または代替的に、ペットフード組成物は、乾燥物質ベースのペットフード組成物の総重量に基づいて、約1重量%以下、約0.5重量%以下、または約0.1重量%以下の添加物を含みうる。他の添加物としては、抗酸化剤、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、植物抽出物、薬草抽出物などを挙げることができる。
【0046】
特定の実施形態では、ペットフード組成物は、欠乏を回避し、健康を維持するために必要とされる量でビタミンおよびミネラルを含む。これらの量は当技術分野において容易に入手可能である。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)は、イヌおよびネコに推奨される、こうした成分の量を提供している(Association of American Feed Control Officials.Official Publication,pp.126-140(2003)を参照のこと)。ミネラルは、石形成の発生率を低減するために、当業者に周知の最適なレベルで具体的に維持される場合がある。
【0047】
ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB1(チアミンまたは硝酸チアミンなどの関連源)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸またはパントテン酸カルシウムなどの関連源)、ビタミンB6(ピリドキシンまたは塩酸ピリドキシンなどの関連源)、ビタミンB8(葉酸)、ビタミンB12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(ビタミンD3サプリメントなど)、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、アセテート、コリンおよび塩化コリンなどのコリン関連源、イノシトールを例として挙げることが可能である。
【0048】
ミネラルおよび微量元素としては、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、コリン、鉄塩を例として挙げることが可能である。ミネラル源としては、例えば、亜セレン酸ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ化カリウム、および/または炭酸コバルトを挙げることができる。
【0049】
本明細書で使用される「炭水化物」という用語には、加水分解されるとエネルギーとして代謝される多糖類(例えば、デンプン、デキストリン)および糖類(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、グルコース、フルクトース)が含まれる。本明細書に開示される組成物中に含めるのに適した高炭水化物成分の例としては、トウモロコシ、グレインソルガム、小麦、大麦、コメが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
特定の実施形態では、炭水化物構成成分は、一つ以上の炭水化物源の混合物を含む。炭水化物または炭水化物成分の例としては、穀類、穀物、トウモロコシ、小麦、コメ、オート麦、ひき割りトウモロコシ、ソルガム、グレインソルガム/ミロ、小麦ブラン、オートブラン、アマランス、デュラム、および/またはセモリナを含んでもよい。
【0051】
炭水化物源のバランスを適切に取ることによって、当業者は最終製品の食感を操作することができる。例えば、短鎖多糖類は粘り気や糊気が出やすく、長鎖多糖類は短鎖よりも粘り気や糊気が出にくく、このハイブリッド食品の所望の食感は、長鎖多糖類および加工デンプン(天然または加工デンプン、セルロース、これに類するものなど)によって達成される。
【0052】
炭水化物混合物は、添加された塩、スパイス、調味料、ビタミン、ミネラル、風味剤、着色剤、これに類するものなどの任意の成分を追加的に含んでもよい。任意の添加物の量は、動物の異なるライフステージでの栄養要件に少なくとも部分的に依存する。
【0053】
一部の実施形態では、本発明は約5重量%~約25重量%の脂肪を含んでもよい。例えば、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約5%重量%~約25%重量、約5%重量%~約20%重量、約5%重量%~約15%重量、約5%重量%~約10%重量、約10%重量%~約25%重量、約10%重量%~約20%重量、約10%重量%~約15%重量、約15%重量%~約25%、約15%重量%~約20%、または約20%重量%~約25%の量の脂肪を含みうる。脂肪または脂肪成分源としては、鶏肉脂肪、鶏脂、七面鳥脂肪、豚脂、ラード、獣脂、牛脂、植物油、コーン油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、アマニ油、キャノーラ油、なたね油、魚油、ニシン油、アンチョビ油、および/またはオレストラを含んでもよい。
【0054】
一部の実施形態では、本発明は約5重量%~約30重量%のタンパク質を含んでもよい。例えば、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約5%重量%~約30%重量、約5%重量%~約25%重量、約5%重量%~約20%重量、約5%重量%~約15%重量、約5%重量%~約10%重量、約10%重量%~約30%重量、約10%重量%~約25%重量、約10%重量%~約20%重量、約10%重量%~約15%重量、約15%重量%~約30重量%、約15%重量%~約25重量%、約15%重量%~約20重量%、約20%重量%~約30重量%、または約20%重量%~約25%の量のタンパク質を含みうる。「タンパク質」という用語は、アミノ酸のポリペプチド、またはペプチド、またはポリマーを意味する。この用語は、自然発生的および非自然発生(合成)ポリマーと、人工化学模倣品が一つ以上のアミノ酸に対して置換されているポリマーとを包含する。この用語はまた、同じまたは実質的に同じ特性を有し、かつ元の配列と同じまたは実質的に同じ機能を実施する断片、バリアント、相同体を包含する。この用語は、約2~1000、4~800、6~600、8~400のアミノ酸を含有するポリマーを含む、任意の長さのポリマーを包含する。この用語は、合成された、ならびに天然源から単離および精製されたアミノ酸ポリマーを含む。一部の実施形態の下で、「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は互換的に使用される。
【0055】
タンパク質は、植物源、動物源、微生物源、またはこれらの組み合わせを含む、当業者に周知の任意の様々な源によって供給されてもよい。例えば、動物源としては、例えば肉、食肉副産物、海産物、乳製品、卵などが挙げられてもよい。肉としては、例えば、鶏肉、魚、哺乳類(ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、これに類するものを含む)などの動物の肉が挙げられてもよい。食肉副産物としては、例えば肺、腎臓、脳、肝臓、胃、腸が挙げられてもよい。植物タンパク質としては、例えば大豆、綿実、ピーナッツが挙げられる。微生物源は、アミノ酸(例えば、リジン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン)、または無傷のタンパク質(以下に列挙される源由来のタンパク質など)を合成するために使用されてもよい。
【0056】
タンパク質、またはタンパク質成分の例としては、チキンミール、鶏肉、鶏肉副産物ミール、ラム肉、ラム肉ミール、七面鳥、七面鳥ミール、牛肉、牛肉副産物、内臓、魚粉、腸内物、カンガルー、白身魚、鹿肉、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、コーングルテンミール、コーンタンパク質濃縮物、蒸留機乾燥穀物および/または蒸留機乾燥穀物溶液および例えば酵母、藻類、および/または細菌培養物などの単細胞タンパク質などを含んでもよい。
【0057】
タンパク質は無傷である、完全に加水分解する、または部分的に加水分解することができる。食品のタンパク質含有量は、当業者に周知の幾つかの方法、例えば公認分析化学者協会(Association of Official Analytical Chemists)がOfficial Methods of Analysis(「OMA」)において公表している988.05法などによって決定することができる。本明細書に開示される組成物中のタンパク質の量は、当業者に知られている方法に従った組成物の窒素の量に基づいて決定されてもよい。
【0058】
アミノ酸の例としては、1-トリプトファン、タウリン、ヒスチジン、カルノシン、アラニン、システイン、アルギニン、メチオニン、トリプトファン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、イソロイシン、ヒスチジン、ロイシン、グリシン、グルタミン、タウリン、チロシン、ホモシステイン、オルニチン、シトルリン、グルタミン酸、プロリン、および/またはセリンを含んでもよい。カロテノイド源としては、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ビキシン、リコピン、および/またはβカロチンが挙げられてもよい。抗酸化剤成分源としては、トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンC、ビタミンA、植物由来の材料、カロテノイド(上述)、セレン、および/またはCoQ10(コエンザイムQ10)を含んでもよい。好ましい一実施形態において、ペットフード組成物は、高レベルのアルギニンとその誘導体、および/または低レベルのトリプトファンおよびその誘導体を含有する。別の好ましい実施形態において、ペットフード組成物は、高レベルのポリ不飽和脂肪酸(例えば、アルファリノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHA)を含有する。
【0059】
脂肪酸成分の例としては、アラキドン酸、アルファ-リノール酸、ガンマ-リノレン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、および/または魚油(EPAおよび/またはDHA源として)を含んでもよい。グルコース模倣体の源としては、グルコース代謝拮抗物質(2-デオキシ-D-グルコース、5-チオ-D-グルコース、3-O-メチルグルコースを含む)、アンヒドロ糖(1,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-グルシトール、2,5-アンヒドロ-D-マンニトールを含む)、マンノヘプツロース、および/またはマンノヘプツロースを含むアボカド抽出物を含んでもよい。
【0060】
さらに他の成分としては、牛肉ブロス、ビール乾燥酵母、卵、卵製品、ひき割り亜麻、DLメチオニン、アミノ酸、ロイシン、リジン、アルギニン、システイン、シスチン、アスパラギン酸、ポリリン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム;塩化亜鉛、グルコン酸銅、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、トリクロサン、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ミドリイガイ、ムラサキイガイ(blue lipped mussel)、メチルスルホニルメタン(MSM)、ホウ素、ホウ酸、フィトエストロゲン、フィトアンドロゲン、ゲニステイン、ダイゼイン、L-カルニチン、ピコリン酸クロム、トリピコリン酸クロム、ニコチン酸クロム、酸/塩基改質剤、クエン酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、重硫酸ナトリウム;ユーカリ、ラベンダー、ペパーミント、可塑剤、着色剤、風味剤、甘味料、緩衝剤、滑り助剤、担体、pH調整剤、天然成分、安定剤、酵素(プロテアーゼおよびリパーゼを含む)などの生物学添加物、化学添加物、冷却剤、キレート剤、変性剤、薬物収斂剤、乳化剤、外用沈痛剤、芳香性化合物、湿潤剤、不透明化剤(酸化亜鉛および二酸化チタンなど)、消泡剤(シリコーンなど)、防腐剤(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、塩化ベンザルコニウム、EDTA、ベンジルアルコール、ソルビン酸カリウム、パラベンならびにこれらの混合物)、還元剤、溶媒、ハイドロトロープ剤、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、溶媒、粘性増加剤(水性および非水性)、捕捉剤、および/または角質溶解剤が挙げられてもよい。
【0061】
プロバイオティック構成成分は、任意の適切な細菌、酵母、微生物、および/または任意のこれらの混合物を含んでもよい。様々なプロバイオティック微生物が当技術分野で周知である。特定の実施形態では、プロバイオティック構成成分は、ラクトバシラス目の細菌、バチルス属、バクテロイデス属、および/またはビフィドバクテリウム属の細菌、サッカロミケス族およびカンジダ属を含むサッカロミケス目の酵母、および/またはこれらの任意の混合物を含んでもよい。プロバイオティックは胞子を形成してもよく、または形成しなくてもよい。
【0062】
特定の実施形態では、ペットフード組成物はポリフェノールを含んでもよい。一部の実施形態では、ポリフェノール源は、エラグ酸、没食子酸、プロトカテク酸、p-ヒドロキシ安息香酸、カテキン、これらの二つ以上の組み合わせから選択されるフェノール化合物を含む。一部の実施形態では、ポリフェノール源は、ピーカン殻、またはピーカンナッツの任意の他の構成要素を含む。ポリフェノールのさらなる源の例としては、茶抽出物、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸、コーヒー抽出物、ピーカン殻、コーヒー酸、ターメリック抽出物、ブルーベリー抽出物、ブドウ抽出物、ブドウ種抽出物、および/または大豆抽出物を含んでもよい。
【0063】
ペットフード組成物は、有効量の繊維結合ポリフェノール成分を含むことが好ましい。ペットフード組成物中の繊維結合ポリフェノールの量は、場合により、約0.1重量%~約60重量%でありうる。例えば、様々な実施形態では、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約60重量%、約0.1重量%~約50重量%、約0.1重量%~約40重量%、約0.1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約25重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約17重量%、約0.1重量%~約14重量%、約0.1重量%~約11重量%、約0.1重量%~約9重量%、約0.1重量%~約7重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、約1重量%~約60重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約17重量%、約1重量%~約14重量%、約1重量%~約11重量%、約1重量%~約9重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約3重量%、約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約17重量%、約5重量%~約14重量%、約5重量%~約11重量%、約5重量%~約9重量%、約5重量%~約7重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約17重量%、約10重量%~約14重量%、約15重量%~約60重量%、約15重量%~約50重量%、約15重量%~約40重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%、約20重量%~約25重量%、約30重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、または約40重量%~約50重量%の量で、繊維結合ポリフェノール成分を含んでもよい。
【0064】
ペットフード組成物は、当業者に周知の飼料分析のための様々な方法のいずれかによって決定されてもよい。水分、タンパク質、繊維、炭水化物、エネルギー、ビタミン、ミネラル、エネルギー、脂肪、灰分含有量を含む、本明細書に列挙された栄養含有量のいずれかを測定するために、飼料分析を行ってもよい。
【0065】
タンパク質含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。タンパク質は、真のタンパク質含有量と非タンパク質窒素の両方を測定するために、粗タンパク質(CP)として報告されてもよい。粗タンパク質含有量は、分解性摂取タンパク質(DIP)と、非分解性摂取タンパク質(UIP)と、代謝性タンパク質(MP)との間でさらに分化されてもよい。特定の実施形態では、タンパク質含有量は、熱損傷したタンパク質または不溶性粗タンパク質(ICP)、調整粗タンパク質(ACP)、消化性タンパク質(DP)を含むように分化されてもよい。
【0066】
繊維含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。繊維含有量は、総食物繊維(TDF、可溶性および不溶性繊維の組み合わせ)粗繊維(CF)、中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)および/または酸性デタージェントリグニン(ADL)として報告されてもよい。粗繊維は、ペットフード組成物に見られる植物材料の不可消化部分を推定することが一般的に知られている。ADFは、植物細胞壁の構成成分であるセルロースおよびリグニンを測定する。NDFは、植物細胞壁に見られる総材料を測定し、またADFとして測定された繊維含有量に加えてヘミセルロースを含む。ADLは、植物細胞壁のリグニン部分のみを測定する。
【0067】
エネルギー含有量は、当業者に周知の様々な方法のいずれかで測定され、報告されてもよい。エネルギー含有量は、可消化エネルギー(DE)、代謝エネルギー(ME)、正味エネルギー(NE)、可消化養分総量(TDN)、エーテル抽出物(EE)、相対飼料価値(RFV)、相対飼料品質(RFQ)として報告されてもよい。
【0068】
ここで、以下の非限定的な実施例によって本発明の実施形態をさらに記述する。
【実施例
【0069】
44匹のネコからの血清および尿試料について、レトロスペクティブ試験を実施した。44匹のネコのうち、6匹のネコがFICの臨床診断を受け、3匹のネコがネコ下部尿路疾患(FLUTD)の臨床診断を受け、13匹のネコが膀胱炎(UB)の臨床診断を受け、23匹のネコが健康な対照として使用された。
【0070】
19個のサイトカイン(sFas、TNFα、IL-12p40、SCF、PDGF-BB、IL-13、IL-18、IL-6、IL-4、IL-2、GM-CSF、KC、RANTES、SDF-1、FLT-3L、IL-1β、IFNγ、MCP-1およびIL-8)を測定した血清および尿試料に対してサイトカイン解析を実施した。サイトカイン解析は、健康なネコと比較して、尿サイトカインFlt3-LがFICネコにおいて有意に減少したことを実証した(以下の表1)。網掛けしたセルは、群間の臨床的に有意な差(p<0.05)を示す。
【表1】
【0071】
尿Flt3-LおよびサイトカインSCFがそれぞれ76%および72%の診断の予測可能性を有することを特定した単変量解析を実施した。(以下の表2)。網掛けしたセルは、群間の臨床的に有意な差(p≦0.5)を示す。
【表2】
【0072】
解析後、FICと臨床的に診断された2匹のネコに、28日間、「Feline Metabolic AOX upgrade dry」または「Feline k/d Chick Canned」のキャットフードを与えた。採尿は、28日目(実験が終了した時)および診断後数年後に行われた。サイトカイン解析は、FIC群の尿Flt3-Lレベルが、健康なネコレベルの尿Flt3-Lレベルの平均レベルに近いことを実証した。
【0073】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に記載されている幾つかの実施形態を参照しながら記述されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または代表することを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、本発明の精神および原理から逸脱することなく、こうした詳細において数多くの変更がなされうることが当業者に明白であろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B