(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】サブラック装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20240920BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K7/14 S
H05K7/20 G
(21)【出願番号】P 2024521449
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2022020638
(87)【国際公開番号】W WO2023223451
(87)【国際公開日】2023-11-23
【審査請求日】2024-04-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 朋希
(72)【発明者】
【氏名】古賀 大樹
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091315(JP,A)
【文献】特開2017-005001(JP,A)
【文献】特開2010-027759(JP,A)
【文献】特開2017-084906(JP,A)
【文献】実開昭62-019796(JP,U)
【文献】特開昭56-140699(JP,A)
【文献】特開2008-159999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが基板を有する複数のプラグインユニットと、
前記プラグインユニットがそれぞれに接続される複数のスロットを有し、1つまたは複数の第1通風孔が形成されているバックプレーンと、
一面に開口が形成されている箱型の形状を有し、前記バックプレーンの主面が前記開口に向く向きで前記バックプレーンおよび前記バックプレーンの前記複数のスロットに接続される前記複数のプラグインユニットを収容し、収容された前記バックプレーンの前記第1通風孔の少なくとも一部に対して少なくともいずれかが対向する1つまたは複数の第2通風孔が前記開口に向く面に形成され、収容された前記複数のプラグインユニットの配列方向に交差する方向に対向する二面のそれぞれに1つまたは複数の第3通風孔が形成されるサブラックと、
を備え、
鉛直方向上方に向かう自然対流が前記第1通風孔、前記第2通風孔および前記第3通風孔を通過して前記プラグインユニットの間を流れることで、前記プラグインユニットが冷却され
、
前記サブラックにおいて、収容された前記複数のプラグインユニットの配列方向に対向する二面に複数の第4通風孔が形成され、
前記複数のプラグインユニットの内、単位時間あたりの発熱量が最も大きい2つの前記プラグインユニットは、前記複数のプラグインユニットの配列方向の端部に設けられる、
サブラック装置。
【請求項2】
前記第1通風孔は、互いに隣接する前記スロットの間に形成される、
請求項1に記載のサブラック装置。
【請求項3】
前記複数のプラグインユニットは、前記開口に近い端部が互いに間隔を空けて設けられる、
請求項1または2に記載のサブラック装置。
【請求項4】
前記サブラックは、前記第2通風孔が形成される面が鉛直方向に交差する向きに設けられる、
請求項1または2に記載のサブラック装置。
【請求項5】
前記サブラックは、前記第2通風孔が形成される面が鉛直方向に直交する向きに設けられる、
請求項
4に記載のサブラック装置。
【請求項6】
前記サブラックの外部に設けられ、前記サブラックに向かって送風し、前記第2通風孔を通る空気の流れを生じさせる送風機をさらに備える、
請求項1または2に記載のサブラック装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載のサブラック装置と、
前記サブラック装置を収容する筐体と、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サブラック装置およびサブラック装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、取り外し可能なユニットを備えるものがある。この種の電子機器の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている車両用駆動制御装置は、ガイドレールに沿って移動させることで筐体に収容することができるパワーユニットを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器には、取り外し可能なユニットとして、基板を有する複数のプラグインユニットと、複数のプラグインユニットを収容するサブラックと、を有するサブラック装置を備えるものがある。通電時に発熱する各プラグインユニットに沿って自然対流によって空気が流れることを可能にするために、サブラックにおいて、複数のプラグインユニットの配列方向に交差する方向に互いに対向する二面に通風孔が形成されている。サブラック装置は、通風孔が形成されている二面が鉛直方向に直交する向きで電子機器の筐体に収容されることが好ましい。
【0005】
サブラック装置の開発には時間を要するために、種々の電子機器に対して同じサブラック装置を適用することが行われている。電子機器の筐体の内部において、サブラック装置の向きの制約が生じることがある。この結果、通風孔が形成されている二面が鉛直方向に直交する向きでサブラック装置を電子機器の筐体に収容することができないことがある。このとき、自然対流による空気がプラグインユニットの間を流れることができず、プラグインユニットを十分に冷却することができないことがある。
【0006】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、サブラック装置の向きに制約があっても、プラグインユニットが十分に冷却されるサブラック装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示のサブラック装置は、複数のプラグインユニットと、バックプレーンと、サブラックと、を備える。プラグインユニットはそれぞれ、基板を有する。バックプレーンは、プラグインユニットがそれぞれに接続される複数のスロットを有する。バックプレーンには、1つまたは複数の第1通風孔が形成されている。サブラックは、一面に開口が形成されている箱型の形状を有する。サブラックは、バックプレーンの主面が開口に向く向きでバックプレーンおよびバックプレーンの複数のスロットに接続される複数のプラグインユニットを収容する。サブラックにおいて、収容されたバックプレーンの第1通風孔の少なくとも一部に対して少なくともいずれかが対向する1つまたは複数の第2通風孔が開口に向く面に形成され、収容された複数のプラグインユニットの配列方向に交差する方向に対向する二面のそれぞれに1つまたは複数の第3通風孔が形成される。鉛直方向上方に向かう自然対流が第1通風孔、第2通風孔および第3通風孔を通過してプラグインユニットの間を流れることで、プラグインユニットが冷却される。サブラックにおいて、収容された複数のプラグインユニットの配列方向に対向する二面に複数の第4通風孔が形成される。複数のプラグインユニットの内、単位時間あたりの発熱量が最も大きい2つのプラグインユニットは、複数のプラグインユニットの配列方向の端部に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るサブラック装置が備えるバックプレーンには第1通風孔が形成され、サブラックの開口に向く面には第1通風孔の少なくとも一部に対向する第2通風孔が形成され、サブラックの複数のプラグインユニットの配列方向に交差する方向に対向する二面に第3通風孔が形成される。このため、サブラック装置の向きに制約があっても、サブラックに収容される複数のプラグインユニットを十分に冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る電子機器の鉄道車両への搭載例を示す図
【
図2】実施の形態1に係る電子機器の
図1におけるII-II線での矢視断面図
【
図4】実施の形態1に係るサブラック装置の分解斜視図
【
図8】実施の形態1に係るサブラック装置の
図7におけるVIII-VIII線での矢視断面図
【
図9】実施の形態1に係るサブラック装置の
図7におけるIX-IX線での矢視断面図における空気の流れを示す図
【
図10】実施の形態2に係るサブラック装置の分解斜視図
【
図11】実施の形態に係るサブラック装置の変形例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態に係るサブラック装置および電子機器について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0011】
(実施の形態1)
実施の形態1では、鉄道車両に搭載される電子機器を例にして、電子機器1について説明する。電子機器1は、例えば、架線から供給される電力を鉄道車両の推進力を生じさせる電動機に供給するための三相交流電力に変換して、三相交流電力を主電動機に供給する電力変換装置である。詳細には、電子機器1は、複数のスイッチング素子を有し、スイッチング素子のスイッチング動作によって、供給される電力を三相交流電力に変換する電力変換回路と、電力変換回路が有する複数のスイッチング素子を制御する制御装置と、を備える。
【0012】
図1に示すように、電子機器1は、鉄道車両100の屋根100aの上に設けられる。電子機器1は、上述の電力変換回路および制御装置を収容する筐体10をさらに備える。電力変換回路および制御装置は、筐体10の内部であって、筐体10の外部の空気が流入することが防止されている空間に収容される。
【0013】
筐体10は、屋根100aの鉛直方向上部に取り付けられる。
図1において、X軸方向は、鉄道車両100の幅方向を示す。Y軸方向は、鉄道車両100の進行方向を示す。鉄道車両100が水平に位置している状態で、Z軸方向は、鉛直方向を示す。X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交する。後続の図においても同様である。
【0014】
筐体10は、鉄道車両100の予想され得る最大振動を受けても変形しない程度の剛性と強度を有する。例えば、筐体10は、鉄、アルミニウム等の金属部材で形成される。筐体10の鉛直方向上部に開口が形成される。筐体10の開口を通して、電力変換回路および制御装置の筐体10の内部への取り付けおよび取り外し、電力変換回路および制御装置の保守作業等を行うことが可能となる。
【0015】
電子機器1は、制御装置として、
図2から
図4に示すサブラック装置11を備える。
図2に示すように、サブラック装置11は、筐体10の内部に設けられ、筐体10に固定されている固定フレーム10aに取り付けられる。固定フレーム10aは、鉄道車両100の予想され得る最大振動を受けても変形しない程度の剛性と強度を有する。例えば、固定フレーム10aは、鉄、アルミニウム等の金属部材で形成される。固定フレーム10aは、鉄道車両100の走行時の振動を受けて、固定フレーム10aと筐体10との位置関係が変化しない程度の強度で筐体10に固定されればよい。
【0016】
サブラック装置11は、箱型の形状を有するサブラック21と、第1通風孔41aが形成され、複数のスロット42が設けられているバックプレーン41と、それぞれが基板を有し、スロット42に接続される複数のプラグインユニット31と、を有する。
【0017】
サブラック21は、一面に開口21aが形成されている箱型の形状を有する。実施の形態1では、屋根100aに設けられる筐体10の鉛直方向上部からの保守作業を可能にするため、サブラック装置11は、サブラック21の開口21aがZ軸に交差する向きに設けられる。詳細には、サブラック装置11は、サブラック21がZ軸に直交する向きに設けられる。換言すれば、サブラック21はZ軸正方向に開口している。
【0018】
サブラック21は、バックプレーン41および複数のプラグインユニット31を収容する。
図5に示すように、サブラック21の開口21aに向く面24に、第1通風孔41aに対して少なくともいずれかが対向する1つまたは複数の第2通風孔24aが形成される。実施の形態1では、複数の第2通風孔24aが面24に形成されている。第2通風孔24aは、サブラック21をZ軸方向に貫通する。第2通風孔24aは、円形の形状を有する。
【0019】
サブラック21において、収容された複数のプラグインユニット31の配列方向に交差する方向、換言すれば、X軸方向に対向する2つの面22,23のそれぞれに1つまたは複数の第3通風孔22a,23aが形成されている。実施の形態1では、複数の第3通風孔22aが面22に形成され、複数の第3通風孔23aが面23に形成されている。第3通風孔22a,23aは、サブラック21をX軸方向に貫通する。第3通風孔22a,23aは、長円の形状を有する。長円は、同一直径の2つの円の外縁を2つの線分で結んで得られる図形の外形を示す。
【0020】
図4に示すように、サブラック21のX軸方向に交差する内面に、プラグインユニット31をガイドする複数のレール25が設けられる。各レール25は、Z軸方向に延伸し、プラグインユニット31が係止可能な形状を有する。
【0021】
バックプレーン41は、平板状部材で形成され、一方の主面に複数のスロット42が設けられている。図示しないが、バックプレーン41には、各スロット42を電気的に接続する接続回路、配線等が形成されている。バックプレーン41には、1つまたは複数の第1通風孔41aが形成される。各第1通風孔41aは、互いに隣接するスロット42の間に形成される。実施の形態1では、
図6に示すように、バックプレーン41上の異なる位置に、2つの第1通風孔41aが形成される。
図6は、バックプレーン41をZ軸正方向に見た図である。
【0022】
図3および
図4に示す各プラグインユニット31は、基板を有し、各プラグインユニット31の基板に電気的に接続されているコネクタ35がスロット42に接続される。プラグインユニット31は、Z軸に直交する平板状の形状を有するフロントパネル32を備える。図示しないが、フロントパネル32には、基板に電気的に接続されているポート、端子等が設けられている。
【0023】
フロントパネル32は、サブラック21に取り付けられる。例えば、フロントパネル32は、図示しない締結部材によってサブラック21に締結され、固定される。フロントパネル32は、導体で形成されることが好ましい。これにより、フロントパネル32の電位を、サブラック21と同電位とすることができる。サブラック21を導体で形成し、上述のように固定フレーム10aを筐体10と同じ金属部材で形成すると、フロントパネル32の電位を筐体10と同電位の接地電位とすることができる。
【0024】
複数のプラグインユニット31は、開口21aに近い端部が互いに間隔を空けて設けられる。詳細には、
図2および
図3に示すように、複数のプラグインユニット31は、フロントパネル32が互いに空隙33を空けた状態で、Y軸方向に並べて設けられる。配列方向、換言すれば、Y軸方向の端部に位置するプラグインユニット31は、サブラック21からY軸方向に離れた位置に設けられる。詳細には、Y軸方向の両端のプラグインユニット31は、サブラック21からY軸方向に空隙34を空けた位置に設けられる。
【0025】
空隙33,34のY軸方向の長さは、各プラグインユニット31の発熱量、サブラック装置11の冷却性能によって定められればよい。例えば、空隙33のY軸方向の長さは、5ミリメートル以上、かつ、10ミリメートル以下の長さとすればよい。上述のように空隙33を空けてプラグインユニット31が設けられるために、バックプレーン41のスロット42の間隔が定められる。
【0026】
上記構成を有するサブラック装置11において、サブラック装置11の底面図である
図7に示すように、サブラック21の面24に形成される第2通風孔24aの少なくともいずれかは、バックプレーン41に形成される第1通風孔41aの少なくとも一部に対向する。
【0027】
この結果、
図7におけるVIII-VIII線での矢視断面図である
図8および
図7におけるIX-IX線での矢視断面図である
図9において実線の矢印で示すように、鉛直方向上方に向かう空気の流れが生じる。
図8および
図9の複雑化を避けるため、一部の空気の流れのみが図示されている。
【0028】
詳細には、プラグインユニット31が通電時に発熱すると、プラグインユニット31の周囲の空気は、プラグインユニット31から熱を伝達され、暖められる。暖められた空気は、鉛直方向上方に移動し、フロントパネル32の間の空隙33またはフロントパネル32とサブラック21との間の空隙34を通って、サブラック装置11の外部に流出する。この結果、サブラック21の面24に形成される第2通風孔24aを通って、サブラック装置11の外部の空気が、サブラック21の内部に流入する。サブラック21の内部に流入した空気は、バックプレーン41に形成される第1通風孔41aを通って鉛直方向上方に移動し、プラグインユニット31から熱を伝達され、上述のように鉛直方向上方に移動する。
【0029】
また、プラグインユニット31から熱を伝達されて暖められた空気が空隙33または空隙34を通って、サブラック装置11の外部に流出すると、サブラック21の面23に形成される第3通風孔23aおよびサブラック21の面24に形成される第2通風孔24aを通って、サブラック装置11の外部の空気が、サブラック21の内部に流入する。第3通風孔22a,23aを通ってサブラック21の内部に流入した空気は、プラグインユニット31から熱を伝達され、上述のように鉛直方向上方に移動する。
【0030】
バックプレーン41に第1通風孔41aが形成され、サブラック21の面24に第2通風孔24aが形成されているため、面24がZ軸に交差する向きでサブラック装置11が設けられると、自然対流によって空気がプラグインユニット31の間に流れる。また、サブラック21の面22,23に第3通風孔22a,23aが形成されているため、面22,23がZ軸に交差する向きで、サブラック21が設けられても、自然対流によって空気がプラグインユニット31の間に流れる。
【0031】
以上説明した通り、実施の形態1に係るサブラック装置11は、第1通風孔41aが形成されるバックプレーン41と、第2通風孔24aおよび第3通風孔22a,23aが形成されるサブラック21と、を備える。これにより、サブラック21の開口21aがZ軸方向に開口する向きでサブラック装置11が設けられても、サブラック21の面22,23がZ軸方向に交差する向きでサブラック装置11が設けられても、自然対流による空気が生じる。このため、サブラック装置11の向きに制約があっても、サブラック装置11が備えるプラグインユニット31を冷却することが可能となる。
【0032】
サブラック装置11は、自然対流によってプラグインユニット31を冷却するため、冷却用の送風機を備える必要がない。回転体を有する送風機は回転体でないものに比べて故障率が高い。故障率が高い送風機を備える必要がないため、サブラック装置11は、送風機を備えるサブラック装置と比べて、寿命が長い。
【0033】
(実施の形態2)
サブラック21の形状は、上述の例に限られず、自然対流によって、プラグインユニット31の間に空気の流れを生じさせることが可能な形状であれば任意である。実施の形態1と異なる形状のサブラック21を有するサブラック装置12について実施の形態2で説明する。
【0034】
図10に示す実施の形態2に係るサブラック装置12は、実施の形態1に係るサブラック装置11と同様、サブラック21と、バックプレーン41と、複数のプラグインユニット31と、を備える。サブラック21は、プラグインユニット31の配列方向、換言すれば、Y軸方向に対向する2つの面26,27のそれぞれに1つまたは複数の第4通風孔26a,27aが形成される。実施の形態2では、面26に複数の第4通風孔26aが形成され、面27に複数の第4通風孔27aが形成される。第4通風孔26a,27aは、サブラック21をY軸方向に貫通する。第4通風孔26a,27aは、円形の形状を有する。
【0035】
複数のプラグインユニット31の内、単位時間あたりの発熱量が最も大きい2つのプラグインユニット31は、配列方向、換言すれば、Y軸方向の端部に設けられることが好ましい。換言すれば、複数のプラグインユニット31の内、単位時間あたりの発熱量が最も大きい2つのプラグインユニット31はそれぞれ、サブラック21の面26,27に隣接する位置に設けられることが好ましい。
【0036】
サブラック21の面26に隣接する位置に設けられるプラグインユニット31の周囲の空気は、該プラグインユニット31から熱を伝達されて鉛直方向上方に移動し、空隙34を通ってサブラック装置12の外部に流出する。この結果、第4通風孔26aを通って、サブラック装置12の外部の空気がサブラック21の内部に流入し、上述のようにプラグインユニット31から熱を伝達されて鉛直方向上方に移動する。
【0037】
同様に、サブラック21の面27に隣接する位置に設けられるプラグインユニット31の周囲の空気は、該プラグインユニット31から熱を伝達されて鉛直方向上方に移動し、空隙34を通ってサブラック装置12の外部に流出する。この結果、第4通風孔27aを通って、サブラック装置12の外部の空気がサブラック21の内部に流入し、上述のようにプラグインユニット31から熱を伝達されて鉛直方向上方に移動する。
【0038】
以上説明した通り、実施の形態2に係るサブラック装置12は、第1通風孔41aが形成されるバックプレーン41と、第2通風孔24a、第3通風孔22a,23aおよび第4通風孔26a,27aが形成されるサブラック21と、を備える。これにより、サブラック21の開口21aがZ軸方向に開口する向きでサブラック装置12が設けられても、サブラック21の面22,23がZ軸方向に交差する向きでサブラック装置12が設けられても、自然対流による空気が生じる。このため、サブラック装置12の向きに制約があっても、サブラック装置12が備えるプラグインユニット31を冷却することが可能となる。
【0039】
第4通風孔26a,27aが形成されることで、配列方向の端部に配置されているプラグインユニット31が実施の形態1と比べてより冷却される。配列方向の端部に発熱量が最も大きい2つのプラグインユニット31を配置することで、効率よくプラグインユニット31を冷却することが可能となる。
【0040】
本開示は、上述の実施の形態に限られない。プラグインユニット31の間に空気を流すために、サブラック装置11,12は、送風機51をさらに備えてもよい。送風機51を備えるサブラック装置13の例を
図11に示す。サブラック装置13は、サブラック21の外部、具体的には、サブラック21のZ軸負方向側に位置する1つまたは複数の送風機51を備える。各送風機51は、サブラック21に向かって送風し、第2通風孔24aを通る空気の流れを生じさせる。
図11の例では、サブラック装置13は、X軸方向に並べられた2つの送風機51を備える。送風機51は、例えば、軸流ファン、遠心ファン等である。電子機器1の内部の電子部品の配置の制約のため、自然対流によるプラグインユニット31の冷却が難しい場合でも、送風機51による送風によってプラグインユニット31を冷却することが可能となる。
【0041】
第1通風孔41aの形状、個数および配置位置は、上述の例に限られず、任意である。一例として、第1通風孔41aは、矩形形状に限られず、円形、楕円形、長円等の形状を有してもよい。
【0042】
第2通風孔24aの形状、個数および配置位置は、上述の例に限られず、任意である。一例として、第2通風孔24aは、第1通風孔41aに対向する位置にのみ設けられても良い。他の一例として、第2通風孔24aは、第1通風孔41aと同じ形状を有してもよい。
【0043】
第3通風孔22a,23aの形状、個数および配置位置は、上述の例に限られず、任意である。一例として、第3通風孔22a,23aは、長円の形状に限られず、円形、矩形、楕円形等の形状を有してもよい。
【0044】
第4通風孔26a,27aの形状、個数および配置位置は、上述の例に限られず、任意である。一例として、第4通風孔26a,27aは、円形形状に限られず、矩形、楕円形、長円等の形状を有してもよい。
【0045】
プラグインユニット31の形状および個数は、上述の例に限られず、任意である。一例として、プラグインユニット31は、基板を収容する板状または箱型のケースを有し、ケースの一端にフロントパネル32が取り付けられてもよい。
【0046】
プラグインユニット31が有するフロントパネル32の間の空隙33のY軸方向の長さは、上述の例では、5ミリメートル以上、かつ、10ミリメートル以上であったが、10ミリメートルより長くてもよい。
【0047】
同様に、空隙34のY軸方向の長さは、上述の例では、5ミリメートル以上、かつ、10ミリメートル以上であったが、10ミリメートルより長くてもよい。
【0048】
サブラック装置11-13は、電力変換装置の制御装置に限られず、任意の電子機器に用いることができる。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
それぞれが基板を有する複数のプラグインユニットと、
前記プラグインユニットがそれぞれに接続される複数のスロットを有し、1つまたは複数の第1通風孔が形成されているバックプレーンと、
一面に開口が形成されている箱型の形状を有し、前記バックプレーンの主面が前記開口に向く向きで前記バックプレーンおよび前記バックプレーンの前記複数のスロットに接続される前記複数のプラグインユニットを収容し、収容された前記バックプレーンの前記第1通風孔の少なくとも一部に対して少なくともいずれかが対向する1つまたは複数の第2通風孔が前記開口に向く面に形成され、収容された前記複数のプラグインユニットの配列方向に交差する方向に対向する二面のそれぞれに1つまたは複数の第3通風孔が形成されるサブラックと、
を備え、
鉛直方向上方に向かう自然対流が前記第1通風孔、前記第2通風孔および前記第3通風孔を通過して前記プラグインユニットの間を流れることで、前記プラグインユニットが冷却される、
サブラック装置。
(付記2)
前記第1通風孔は、互いに隣接する前記スロットの間に形成される、
付記1に記載のサブラック装置。
(付記3)
前記サブラックにおいて、収容された前記複数のプラグインユニットの配列方向に対向する二面に複数の第4通風孔が形成される、
付記1または2に記載のサブラック装置。
(付記4)
前記複数のプラグインユニットは、前記開口に近い端部が互いに間隔を空けて設けられる、
付記1から3のいずれかに記載のサブラック装置。
(付記5)
前記複数のプラグインユニットの内、単位時間あたりの発熱量が最も大きい2つの前記プラグインユニットは、前記複数のプラグインユニットの配列方向の端部に設けられる、
付記1から4のいずれかに記載のサブラック装置。
(付記6)
前記サブラックは、前記第2通風孔が形成される面が鉛直方向に交差する向きに設けられる、
付記1から5のいずれかに記載のサブラック装置。
(付記7)
前記サブラックは、前記第2通風孔が形成される面が鉛直方向に直交する向きに設けられる、
付記6に記載のサブラック装置。
(付記8)
前記サブラックの外部に設けられ、前記サブラックに向かって送風し、前記第2通風孔を通る空気の流れを生じさせる送風機をさらに備える、
付記1から7のいずれかに記載のサブラック装置。
(付記9)
付記1から8のいずれかに記載のサブラック装置と、
前記サブラック装置を収容する筐体と、
を備える電子機器。
【0049】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0050】
1 電子機器、10 筐体、10a 固定フレーム、11,12,13 サブラック装置、21 サブラック、21a 開口、22,23,24,26,27 面、22a,23a 第3通風孔、24a 第2通風孔、25 レール、26a,27a 第4通風孔、31 プラグインユニット、32 フロントパネル、33,34 空隙、35 コネクタ、41 バックプレーン、41a 第1通風孔、42 スロット、51 送風機、100 鉄道車両、100a 屋根。