(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】振動検知装置および振動検知方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240920BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240920BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/0245 100
A61B5/11 100
A61B5/113
(21)【出願番号】P 2024531573
(86)(22)【出願日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 JP2023036662
【審査請求日】2024-05-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 紗希
(72)【発明者】
【氏名】和泉 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】西本 研悟
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2023/0210091(US,A1)
【文献】国際公開第2022/240306(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/039533(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0128068(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近傍の電磁界の変化を検知する電波センサと、
慣性センサと、
前記電波センサの波形データと前記慣性センサの波形データとを学習モデルに入力し、前記学習モデルにより推論された振動の推論結果を前記学習モデルから取得する信号処理装置と、
を備え
、
前記電波センサは検知対象である人の肺の動きによる電磁界の変化を検知し、
前記慣性センサは前記肺の動きによる局所振動を検知し、
前記信号処理装置は、前記電波センサと前記慣性センサで得られたすべての情報を用いて、前記振動として、前記人の呼吸のピークを推論する振動検知装置。
【請求項2】
近傍の電磁界の変化を検知する電波センサと、
慣性センサと、
前記電波センサの波形データと前記慣性センサの波形データとを学習モデルに入力し、前記学習モデルにより推論された振動の推論結果を前記学習モデルから取得する信号処理装置と、
を備え、
前記電波センサは検知対象である人の心臓の動きによる電磁界の変化を検知し、
前記慣性センサは前記心臓の動きによる局所振動を検知し、
前記信号処理装置は、前記電波センサと前記慣性センサで得られたすべての情報を用いて、前記振動として、前記人の心拍のピークを推論する振動検知装置。
【請求項3】
前記電波センサと、前記慣性センサと、前記信号処理装置とは、同一基板上に配置されている、請求項1
または2のいずれか1項に記載された振動検知装置。
【請求項4】
前記電波センサは、
高周波信号を発生する信号発生部と、
その発生される高周波信号を送信するアンテナと、
入力される信号を検波して検波信号を生成し、生成した検波信号を出力する検波回路と、
第1の端子、第2の端子および第3の端子を有し、前記第1の端子が前記信号発生部に、前記第2の端子が前記検波回路に、前記第3の端子が前記アンテナにそれぞれ接続された分配回路であって、前記第1の端子に入力された信号を前記第3の端子から出力し、前記第3の端子に入力された信号を前記第1の端子および前記第2の端子に分配して出力する分配回路と、
を備える
請求項1または2のいずれか1項に記載された振動検知装置。
【請求項5】
前記電波センサは、
高周波信号を発生する信号発生部と、
その発生される高周波信号を送信するアンテナと、
入力される信号を検波して検波信号を生成し、生成した検波信号を出力する検波回路と、
第1の端子、第2の端子および第3の端子を有し、前記第1の端子が前記信号発生部に、前記第2の端子が前記検波回路にそれぞれ接続された分配回路であって、前記第1の端子に入力された信号を前記第3の端子から出力し、前記第3の端子に入力された信号を前記第1の端子および前記第2の端子に分配して出力する分配回路と、
前記分配回路の第3の端子に接続された第4の端子と、前記アンテナに接続された第5の端子とを有し、可変素子を備える整合回路と、
を備え、
前記信号処理装置は、前記検波回路から出力された検波信号の値に基づいて前記整合回路の第4の端子のインピーダンスと第5の端子のインピーダンスとが整合するように、前記可変素子の調整値を制御する制御信号を前記整合回路へ出力する、
請求項1または2のいずれか1項に記載された振動検知装置。
【請求項6】
前記電波センサは、
高周波信号を発生する信号発生部と、
その発生される高周波信号を送信するアンテナと、
入力される信号を検波して検波信号を生成し、生成した検波信号を出力する検波回路(5)と、
第1の端子、第2の端子および第3の端子を有し、前記第2の端子が前記検波回路に接続された第1の分配回路であって、前記第1の端子に入力された信号を前記第3の端子から出力し、前記第3の端子に入力された信号を前記第1の端子および前記第2の端子に分配して出力する第1の分配回路と、
第4の端子、第5の端子および第6の端子を有し、前記第4の端子が前記信号発生部に、前記第5の端子が前記第1の分配回路の第1の端子に、前記第6の端子が前記検波回路にそれぞれ接続された第2の分配回路であって、前記第5の端子に入力された信号を前記第4の端子から出力し、前記第4の端子に入力された信号を前記第5の端子および前記第6の端子に分配して出力する第2の分配回路と、
前記第1の分配回路の第3の端子に接続された第7の端子と、前記アンテナに接続された第8の端子とを有し、可変素子を備える整合回路と、
を備え、
前記検波回路は、前記第1の分配回路から入力される信号を、第2の分配回路から入力される信号をローカル信号として直交検波してIQ信号を生成し、生成したIQ信号を前記検波信号として出力し、
前記信号処理装置は、前記検波回路から出力された検波信号の値に基づいて前記整合回路の第7の端子のインピーダンスと第8の端子のインピーダンスとが整合するように、前記可変素子の調整値を制御する制御信号を前記整合回路へ出力する、
請求項1または2のいずれか1項に記載された振動検知装置。
【請求項7】
前記アンテナは方形であり、前記高周波信号の波長をλとすると、前記アンテナの最外形の方形の1辺の長さはλ/10以下である、
請求項4に記載された振動検知装置。
【請求項8】
前記アンテナは方形であり、前記高周波信号の波長をλとすると、前記アンテナの最外形の方形の1辺の長さはλ/10以下である、
請求項5に記載された振動検知装置。
【請求項9】
電波センサと、慣性センサと、信号処理装置とを備える振動検知装置による振動検知方法であって、
前記電波センサが、近傍の電磁界の変化を検知するステップ
であって、検知対象である人の肺の動きによる電磁界の変化を検知するステップと、
前記慣性センサが、検知対象の局所振動を検知するステップ
であって、前記肺の動きによる局所振動を検知するステップと、
前記信号処理装置が、前記電波センサの波形データと前記慣性センサの波形データとを学習モデルに入力し、前記学習モデルにより推論された振動の推論結果を前記学習モデルから取得するステップと、
を備え
、
前記信号処理装置は、前記電波センサと前記慣性センサで得られたすべての情報を用いて、前記振動として、前記人の呼吸のピークを推論する振動検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は振動検知技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動体の搭乗者の脈波を示す脈波情報を処理する脈波情報処理装置であって、第1脈波情報取得装置により取得された第1脈波情報と、第2脈波情報取得装置により前記第1脈波情報取得装置とは異なる方法で取得された第2脈波情報とを、当該第2脈波情報の確からしさを示す信頼度情報とともに取得可能な情報取得部と、前記信頼度情報に基づいて、前記第1脈波情報および前記第2脈波情報のうちいずれを前記搭乗者の脈波情報として出力するかを選択する情報選択部と、を備えることを特徴とする脈波情報処理装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、第2脈波情報の確からしさを示す信頼度情報に基づいて、第1脈波情報および第2脈波情報のうちいずれか一方が搭乗者の脈波情報として択一的に選択されるので、選択された第1脈波情報または第2脈波情報にデータ欠損がある場合に、測定精度が低下するという問題がある。
【0005】
本開示は、このような問題の認識を契機としてなされたものであり、データ欠損による測定精度の低下を抑制できる振動検知技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態による振動検知装置の一側面は、近傍の電磁界の変化を検知する電波センサと、慣性センサと、前記電波センサの波形データと前記慣性センサの波形データとを学習モデルに入力し、前記学習モデルにより推論された振動の推論結果を前記学習モデルから取得する信号処理装置とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態による振動検知装置によれば、データ欠損による測定精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1B】振動検知装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図3B】メアンダダイポールアンテナの一例を示す図である。
【
図8】振動検知装置により行われる整合回路の適応制御のフローチャートである。
【
図10】振動検知装置および心電計による波形を示す図である。
【
図11】CVAE(Conditional Variational AutoEncoder)を用いて推論した心拍波形のピーク間隔と正解値である心電図波形のピーク間隔とのRMSE(Root Mean Square Error;平方根平均二乗誤差)の値を被験者ごとに比較した比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示における種々の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、同一または類似の部分には同一または類似の符号が付されており、そのような部分についての重複する説明は省略する。また、本開示において、「または」との用語は、特段の記載が無い限り、包括的論理和の意味で用いる。
【0010】
実施の形態1.
<構成>
図1Aを参照して、実施の形態1による振動検知装置D1の構成について説明をする。
図1Aは、実施の形態1による振動検知装置D1を示す構成図である。
図1Aに示されているように、振動検知装置D1は、センサ部1と、信号処理装置2とを備える。
【0011】
センサ部1は、電波センサ11と慣性センサ12で構成されている。電波センサ11は、電波センサ11が使用する波長に比べて小さい小形アンテナを用いた、電波センサ11の近傍の電磁界の変化を検知する近傍電磁界型電波センサである。放射効率の低い小形アンテナを用いることで、電波センサ11の近傍の電磁界の変化のみを検知する。本開示において、「近傍」とは、電波センサ11からの距離がλ/2π(λ:波長)以内の球の範囲内を意味する。
【0012】
電波センサ11を検知対象の近くに配置することにより、電波センサ11は検知対象の動きを観察することができる。ここで、「検知対象」とは、電波センサ11の近くに位置する任意のオブジェクトを意味する。検知対象の典型的な例には人の肺、人の心臓、または機器の一部が含まれるが、人以外の動物の肺等のオブジェクトを検知対象としてもよい。検知対象が、例えば人の心臓である場合を想定する。心臓が動くと、その動きに起因して人の体表面が変動する。この人の体表面の変動により電磁界が変化する。したがって、電波センサ11を人の体表面の近傍に配置することにより、人の心臓の動きを観察することができる。
【0013】
慣性センサ12は、慣性運動を検知するセンサである。慣性センサ12の例には、3軸加速度センサまたはジャイロセンサが含まれる。慣性センサ12を検知対象の近くに配置することにより、慣性センサ12は検知対象の動きに起因する局所振動を検知することができる。局所振動とは、慣性センサ12が配置された位置における振動の意味である。
【0014】
信号処理装置2は、推論部2Aと学習モデル2Bを備える。信号処理装置2のハードウェアの構成例については、実施の形態2に即して後述する。学習モデル2Bは、電波センサ11と慣性センサ12で得られた情報と、所望信号である波形のピークとの相関をあらかじめ学習した学習モデルである。学習モデル2Bの詳細な例については、実施の形態5に即して後述する。
【0015】
センサ部1は、例えば、人の肺または心臓等の検知対象の近くに配置して用いる。このように配置することにより、検知対象の動きに起因して生じる電磁界の変化または局所振動をより正確に検知することができる。
【0016】
<動作>
次に、
図1Bを参照して、振動検知装置D1の動作について説明する。
図1Bは、振動検知装置D1の動作を示すフローチャートである。ステップST1において、電波センサ11は、電波センサ11の近傍の電磁界の変化を検知する。電波センサ11が検知対象の近くに配置されることにより、電波センサ11は検知対象の動きに起因して生じる電磁界の変化を検知する。電波センサ11の近傍の電磁界の変化から、電波センサ11が近接する検知対象の容積変化を非接触で取得することができる。
【0017】
ステップST1とパラレルに行われるステップST2において、慣性センサ12は、検知対象の動きに起因して生じる局所振動を非接触で取得する。
【0018】
なお、ここで言う非接触とは、電波センサ11および慣性センサ12が、人体の肌または機器に接触していないことを意味する。
【0019】
電波センサ11と慣性センサ12という、取得原理の異なるセンサを組み合わせて、単一センサでは取得できない信号を取得することで、データ欠損による精度劣化を補完することができる。
【0020】
ステップST3において、信号処理装置2の推論部2Aは、電波センサ11と慣性センサ12により得られた情報を学習モデル2Bに入力し、学習モデル2Bから所望信号の振動(波形)を推論結果として取得する。推論結果には、波形のピークが含まれる。このように、2つのセンサのデータを学習モデル2Bに入力して振動を推論することにより、一方のセンサ出力にデータ欠損がある場合でも、他方のセンサのデータを用いて振動を推論することにより、データ欠損による精度劣化を補完して所望信号のS/N比を向上させることができる。
【0021】
学習モデル2Bは、あらかじめ正解値を用いて学習させたものでもよいし、得られたデータを用いて逐次学習させたものでもよい。ここで、正解値とは、例えば、心拍波形のピークを学習させる場合には心電図のような精度の担保された情報を指す。
【0022】
所望信号である取得波形のピークを特徴量とし、取得データをチャンネル数として複数の時系列データを読み込んで推論してよい。推論は、アルゴリズムによらず上記動作が可能なアルゴリズムであれば、教師あり学習、半教師あり学習、強化学習いずれのアルゴリズムであってもよい。
【0023】
以上のように、振動検知装置D1をセンサ部1と信号処理装置2とで構成し、センサ部1に備えられる電波センサ11と慣性センサ12で得られたすべての情報を用いて信号処理装置2に備えられる推論部2Aの学習モデル2Bで波形のピークを推論することで、データ欠損による精度劣化を補完し、振動のピークを特徴量として抽出することの可能なS/N比の高い振動検知装置が得られるという効果が奏される。
【0024】
実施の形態2.
<構成>
実施の形態1では振動検知装置D1の構成について説明した。以下では、
図2から
図4を参照して、実施の形態2として、振動検知装置D1のより具体的な形態である振動検知装置D2について説明をする。
図2は、実施の形態2に係る振動検知装置D2を示す構成図である。
図3Aおよび
図3Bは電波センサに用いるアンテナの例をそれぞれ示し、
図4は信号処理装置の構成図である。なお、
図2、
図3A、
図3B、
図4において、
図1と同一符号は、同一または相当する部分を示している。
【0025】
図2に示されているように、電波センサ11は、アンテナ111と、信号発生部3と、分配回路41と、検波回路5とを備え、検知する対象の振動を電波を用いて非接触で取得する。
【0026】
アンテナ111は使用波長に比べて小さい小形アンテナであり、アンテナ111の種類としてはループアンテナまたはダイポールアンテナなどを用いてよい。
図2に示されているように、アンテナ111は端子1111を有する。
【0027】
図3Aは2巻きループアンテナ1112の一例を示し、
図3Bはメアンダダイポールアンテナ1113の一例を示す。
図3Aまたは
図3Bにおいて、アンテナ1112または1113は端子1111に接続される。使用周波数の波長をλとするとき、いずれの場合にも、アンテナを構成する導電性の媒質を囲む最外形の方形の1辺の長さはλ/10以下である。
【0028】
慣性センサ12は、慣性運動を検知するセンサであり、
図2に示されているように出力端子1201を有する。
【0029】
信号発生部3は、高周波信号を発生させる回路であり、出力端子3001を有する。例えば、信号発生部3は、連続波信号である高周波信号を発生させる。
【0030】
分配回路41は、3つの端子4101、4102および4103を有する高周波回路であり、端子4103から入力された信号を端子4101と端子4102に分配する。また、端子4101と端子4102とは互いにアイソレーションが取れているので、端子4101に入力された信号は、端子4102からは出力されず、端子4103からのみ出力される。なお、分配回路41は、出力端子間のアイソレーションが取れていればよいので、ウィルキンソン型分配器またはアイソレーション端子が終端抵抗に接続された方向性結合器を用いて構成されていてもよい。
【0031】
検波回路5は、2つの端子5001と5002を有し、入力端子5001に入力された信号を検波し、検波信号を生成して、出力端子5002に出力する。検波回路には、直交検波回路などを用いることができる。その場合には、入力・出力端子を2つずつ用意する必要があり、検波信号としてI(In Phase)信号およびQ(Quadrature)信号を生成して出力する。Q信号は、I信号と90度位相の異なる信号である。
【0032】
図4に示されるように、信号処理装置2は、検波回路5から出力されるアナログ信号と、慣性センサ12から出力されるアナログ信号とをデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器22と、アナログデジタル変換器22で変換されたデジタル信号の値を記憶する記憶装置23と、回路の制御またはデータの推論を行うプロセッサ21とを有する。
【0033】
アナログデジタル変換器22は、検波回路5から出力されるアナログ信号(検波信号)と慣性センサ12から出力されるアナログ信号(検知信号)とをプロセッサ21で制御できるデジタル信号に変換する。
【0034】
記憶装置23は、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスクなどの外部記憶装置の総称である。記憶装置23には、プロセッサ21によって用いられるプログラムまたはデータが保存されており、プロセッサ21は、記憶装置23に保存されているプログラムを読み込んで、学習モデル2Bへのデータの入出力を含む種々の動作を行う。また、記憶装置23は、一時的データの格納先としても使用される。また、記憶装置23に対して、検波回路5から出力される信号と慣性センサ12から出力される信号の読み書きも行われる。
【0035】
次に、各端子の接続について説明をする。アンテナ111の端子1111は分配回路41の端子4103と接続され、信号発生部3の端子3001と分配回路41の端子4101とが接続され、検波回路5の端子5001と分配回路41の端子4102とが接続される。
【0036】
<動作>
次に、振動検知装置D2の動作について説明をする。まず、信号発生部3の出力端子3001から出力される信号は、分配回路41の端子4101に入力され、端子4103から出力される。端子4103から出力された信号はアンテナ111の端子1111に入力され、アンテナ111から電波として放射される。アンテナ111から放射される電波は、検知対象または検知対象に隣接して存在するオブジェクトにより反射されて反射波の信号としてアンテナ111に入力される。アンテナ111から入力された反射信号は、端子1111から出力され、分配回路41の端子4103に入力される。分配回路41の端子4103に入力された反射信号は、分配回路41の端子4102から出力され、検波回路5の端子5001に入力され、検波信号として端子5002から信号処理装置2へ出力する。
【0037】
次に、検知対象の近くに設置された慣性センサ12は、検知対象の動きに起因した部位の振動による信号を検知すると、検知した検知信号を慣性センサ12の端子1201から信号処理装置2へ出力する。
【0038】
信号処理装置2は、アンテナ111及び慣性センサ12で取得した信号データをアナログデジタル変換器22でアナログ信号をプロセッサ21で受け取れるデジタル信号に変換し、さらに、デジタル信号に変換された信号やプロセッサ21で計算されたデータを一時的あるいは半永久的に記憶する機能を有する記憶装置23に記録する。
【0039】
また、本実施の形態に示した各機能を有する基板実装可能な部品で振動検知装置D2を構成することで、振動検知装置D2としてのすべての機能を基板上に実現できる。例えば、アンテナ111を銅箔パターンで構成することや、慣性センサ12、信号発生部3、分配回路41、検波回路5、信号処理装置2の機能を有する基板実装可能な部品で構成することが可能である。このとき、基板の誘電率や層構成は適宜設計事項であり、振動検知装置D2としての機能を有することができればどのような材質、層構成でもよい。
【0040】
以上のように、振動検知装置D2は、電波センサ11と慣性センサ12で構成されたセンサ部1と信号処理装置2とを備える。電波センサ11は、アンテナ111と、信号発生部3と、分配回路41と、検波回路5とを備える。信号処理装置2は、プロセッサ21と、アナログデジタル変換器22と、記憶装置23とを備える。実施の形態1と同様に、センサ部1に備えられる電波センサ11と慣性センサ12で得られたすべての情報を用いて信号処理装置2の学習モデル2Bにより波形のピークを推論することで、データ欠損による精度劣化を補完し、高S/N比で動作可能な振動検知装置D2を、小型かつ低コストで実現することができる。
【0041】
実施の形態3.
実施の形態3として、実施の形態2における検波回路5として直交検波回路を用い、さらに慣性センサ12として3軸加速度センサを用いた構成について説明する。
図5は、本実施の形態による振動検知装置D3を示す構成図である。なお、
図5において、
図1と同一符号は、同一または相当な部分を示している。
【0042】
図5に示されているように、振動検知装置D3の電波センサ11は、アンテナ111と、信号発生部3と、分配回路41、42と、直交検波回路5Aとを備え、検知対象の動きに起因した振動を非接触で電波を用いて取得する。
【0043】
3軸加速度センサ12Aは、X、Y、Zの3軸に沿った慣性運動を検知する。3軸加速度センサ12Aは、3つの出力端子1201、1202、1203を有する。3軸加速度センサ12Aは、X軸の検知信号であるX信号を出力端子1201に出力し、Y軸の検知信号であるY信号を出力端子1202に出力し、Z軸の検知信号であるZ信号を出力端子1203に出力する。
【0044】
分配回路42は、3つの端子4201、4202、4203を有する高周波回路であり、端子4201から入力された信号を端子4202と端子4203に分配する。また、端子4202と端子4203とは互いにアイソレーションが取れているので、端子4202に入力された信号は、端子4203からは出力されず、端子4201からのみ出力される。
【0045】
なお、分配回路42は、出力端子間のアイソレーションが取れていればよいので、ウィルキンソン型分配器またはアイソレーション端子が終端抵抗に接続された方向性結合器を用いて構成されていてもよい。
【0046】
直交検波回路5Aは、2つの入力端子(入力端子5001、入力端子5003)と、2つの出力端子(出力端子5002、出力端子5004)を有し、入力端子5001に入力された信号を、入力端子5003に入力されたローカル信号により直交検波し、I(In Phase)信号を出力端子5002から出力し、I信号と90度位相の異なるQ(Quadrature)信号を出力端子5004に出力する。
【0047】
信号処理装置2は、3軸加速度センサ12Aと直交検波回路5Aで生成された信号である、X信号、Y信号、Z信号、I信号、Q信号を、アナログデジタル変換器22でアナログ信号をデジタル信号に変換し、さらに、デジタル信号に変換された信号は記憶装置23に一時的あるいは半永久的に記憶する。
【0048】
次に、各端子の接続について説明をする。信号発生部3の端子3001と分配回路42の端子4201とが接続され、分配回路42の端子4202と分配回路41の端子4101とが接続され、分配回路41の端子4103とアンテナ111の端子1111とが接続され、分配回路41の端子4102と直交検波回路5Aの端子5001とが接続され、分配回路42の端子4203と直交検波回路5Aの端子5003とが接続される。
【0049】
続いて、振動検知装置D2の動作について説明をする。信号発生部3の出力端子3001から高周波信号が出力され、分配回路42の端子4201に入力される。入力された信号は分配回路42で2分配され、分配された信号は、端子4202と端子4103から出力される。分配回路42の端子4202から出力された信号は、分配回路41の端子4101に入力され、分配回路41の端子4103から出力される。出力された信号はアンテナ111の端子1111に入力され、アンテナ111から電波として放射される。アンテナ111から放射された電波は、検知対象または検知対象に隣接するオブジェクトで反射されて反射波の信号としてアンテナ111に入力する。アンテナ111に入力した反射信号は、端子1111から出力され、分配回路41の端子4103に入力する。分配回路41の端子4103に入力された反射信号は、端子4102から出力される。分配回路42の端子4203から出力された信号は直交検波回路5Aの端子5003へ入力され、分配回路41の端子4102から出力された信号は直交検波回路5Aの端子5001へ入力され、直交検波回路5Aで直交検波されて、出力端子5002と出力端子5004からI信号とQ信号がそれぞれ信号処理装置2へ出力される。
【0050】
また、3軸加速度センサ12Aで検知した信号は、3軸加速度センサ12Aの出力端子1201、1202、1203から信号処理装置2へ出力される。
【0051】
また、本実施の形態に示した各機能を有する基板実装可能な部品で振動検知装置D3を構成することで、振動検知装置D3としてのすべての機能を基板上に実現できる。例えば、アンテナ111を銅箔パターンで構成することや、3軸加速度センサ12A、信号発生部3、分配回路41、42、直交検波回路5A、信号処理装置2の機能を有する基板実装可能な部品で構成することが可能である。このとき、基板の誘電率や層構成は適宜設計事項であり、振動検知装置D3としての機能を有することができればどのような材質、層構成でもよい。
【0052】
以上のように、本実施の形態では、実施の形態2における検波回路5に直交検波回路5Aを用い、さらに慣性センサ12に3軸加速度センサ12Aを用いて振動検知装置D3を構成する。センサ部1に備えられる電波センサ11と3軸加速度センサ12Aで得られる、I信号、Q信号、X信号、Y信号、Z信号のすべての情報を用いて信号処理装置2の学習モデル2Bにより波形のピークを推論することで、データ欠損による精度劣化を補完し、高S/N比で動作可能な振動検知装置D3を、小型かつ低コストで実現することができる。
【0053】
実施の形態4.
実施の形態4として、実施の形態2または3における分配回路とアンテナの間に、適応制御可能な整合回路を追加した構成について説明する。
図6は、本実施の形態による振動検知装置D4を示す構成図である。
図6では、実施の形態2に整合回路を追加した構成を示しているが、実施の形態3の場合であっても
図6に準じて分配回路とアンテナの間に整合回路を追加してよい。
図7は、本実施の形態に係る信号処理装置の機能図である。
図8は、整合回路の適応制御プログラムのフローチャートである。なお、
図6~8において、
図1と同一符号は、同一または相当な部分を示している。
【0054】
図6に示されているように、整合回路6は分配回路41とアンテナ111の間に配置される。整合回路6は、3つの端子6001、6002、6003を有し、端子6002に接続される負荷インピーダンスを端子6001に接続される回路のインピーダンスに整合させる回路であり、その通過および反射特性を可変できる回路である。また、第3の端子6003はGNDに接地されている。
【0055】
整合回路6は、適応的に制御可能な可変素子を有し、可変素子として可変容量ダイオード、エアバリコン、またはポリバリコンを用いても良い。
【0056】
整合回路6の各端子は次のように接続される。端子6001は、分配回路41の端子4103に接続され、端子6002はアンテナ111の端子1111に接続され、端子6003は接地される。
【0057】
また、整合回路6は信号処理装置2から送られる制御信号により、可変素子の値を適応的に変更することで、整合回路6に接続される負荷インピーダンスの変化に応じて回路定数を調整することができる。
【0058】
図7は、信号処理装置2の構成図であり、
図4で示した構成部に加え、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器24を有する。
【0059】
デジタルアナログ変換器24は、プロセッサ21が演算した結果のデジタル信号を整合回路6が受け取れるアナログ信号に変換するものである。なお、デジタルアナログ変換器24は専用の処理を行うハードウェアを用いても良いし、同処理を行うプログラムを用いても良い。
【0060】
次に、整合回路の調整方法について、
図8のフローチャートを用いて説明する。振動検知装置D4のプロセッサ21は、制御プログラムに従って、電源が投入されると、デジタル信号に変換された検波回路5または直交検波回路5Aの検波信号(説明の便宜上、「Id信号」と称する。)と整合回路6の可変素子の値とを記憶装置23に記憶する(ステップST101)。以下、各ステップにおける動作は、制御プログラムに従って、プロセッサ21により行われる。
【0061】
ある測定時間T秒に満たない場合(NO:ステップST102)には信号の記録を続け、T秒間経過した場合(YES:ステップST103)には、記憶装置23に記憶させておいたT秒間分のId信号の時間平均値の絶対値を計算する(ステップST103)。なお、時間平均の計算やそのほか処理を実行している間も、シャットダウンの処理が実行されない場合には、信号を記録し続けるものとする。
【0062】
Id信号の値の時間平均の絶対値がある閾値Δを下回る場合(NO:ST1041)には処理はST101に戻り、その絶対値がその閾値Δ以上である場合(YES:ST1042)には整合回路6の端子6002に接続される負荷インピーダンスを端子6001に接続される回路のインピーダンスに整合するよう、調整値(可変素子の値)の計算を行う(ステップST105)。そして、整合回路6へ、計算した調整値を出力する(ステップST106)。
【0063】
次にプロセッサ21に対してシャットダウン処理が実行されたかを判定し、シャットダウン処理が実行されていない場合(NO:ステップST1071)には処理はST101に戻り、シャットダウン処理が実行された場合(YES:ST1072)にはプロセッサ21はシャットダウン処理を実行して
図8の適応制御処理を終了する。
【0064】
以上のように、アンテナ111と分配回路41の間に適応制御可能な整合回路6を配置することで、アンテナ111で取得する信号のS/N比の高い振動検知装置D4を実現できる。
【0065】
実施の形態5.
実施の形態5として、実施の形態1~4における機械学習にCVAE(Conditional Variational AutoEncoder)を実装した場合における測定方法について説明する。測定方法の一例として、心拍波形の取得方法について説明する。
図9は実施の形態5による振動検知装置D5の構成図である。
【0066】
振動検知装置D5は、
図5のセンサ部に
図3Aのループアンテナ1112を備える。また、
図9に示されているように、振動検知装置D5は
図6の整合回路6を備え、
図8の整合回路の適応制御処理を行う
図7の信号処理装置2を備えた構成である。
【0067】
本実施の形態で示すループアンテナ1112は2巻きであり、ループアンテナ1112を囲む最外形の方形の1辺の長さは使用周波数のλ/100の大きさとする。なお、ここで示す長さは一形態であり、アンテナが小形アンテナであり、最外形の長さが使用周波数のλ/10以下であれば、種類、形状、大きさ等の詳細に限定はなく、検知対象の種類または電波法の規定によって種々の形態を選択してよい。
【0068】
図9で示す構成の振動検知装置D5に関し、アンテナ1112は銅箔パターンで構成し、信号発生部3その他の回路として表面実装部品を用いることで、振動検知装置D5を1枚の基板に構成することができる。
【0069】
振動検知装置D5の銅箔でパターニングされたアンテナ1112を、心臓の近くの体表面付近の位置に、体表面に接触しないように配置する。例えば、振動検知装置D5を服の上に配置する。
【0070】
整合回路6を備える電波センサ11と
図8の整合回路の適応制御処理に係るアルゴリズム(整合回路調整アルゴリズム)とを用いた場合における、服の上に配置された振動検知装置D5により取得された波形(心拍・呼吸波形)の例を
図10に示す。
図10において、“Module”により表されている波形が振動検知装置D5により取得された波形を表す。
図10における「開発センサ」とは、振動検知装置D5を意味する。このとき、心電図波形を、振動検知装置D5により取得する波形と時間を同期して同時に取得した。
図10において、“ECG”(Electrocardiogram)により表されている波形が不図示の心電計による波形を表す。整合回路調整アルゴリズムを用いて整合回路を適応的に制御することで、電波センサ11で取得する信号のS/N比を向上し、正解値である心電図波形のピークタイミングと同期したピークを持つ波形を取得することが可能となる。電波センサ11から放射される電波の周波数としてVHF帯(30~300MHz)を用いたが、これは一例に過ぎず、他の周波数を用いてもよい。
【0071】
次に、機械学習を用いて心拍のピークを高精度に推論する方法の一例について説明する。振動検知装置D5を構成する電波センサ11、3軸加速度センサ12Aは信号の取得原理は異なるものの、検知対象の動きによる振動を検知することの可能なセンサである。これら2つのセンサからは、I信号、Q信号、X信号、Y信号、およびZ信号の5つの時系列データを取得できる。
【0072】
CVAEは、潜在変数付き確率グラフィカルモデルとして構成されるオートエンコーダネットワーク構造の深層生成モデルであるVAE(Variational AutoEncoder;変分オートエンコーダ)を基に、クラスラベル付きのデータセットを学習することで、クラスごとの分布の違いを条件付き確率で捉えることのできるモデルである。本実施の形態において、クラスラベルは、すなわち正解値の情報を指す。なお、CVAEは学習モデル2Bの一例に過ぎず、学習モデル2BはCVAEに限定されない。
【0073】
I信号、Q信号、X信号、Y信号、およびZ信号を入力値とし、正解信号として心電図波形を与えることで、取得信号と正解信号とが対応するクラスラベルデータ(学習データ)を生成する。ここで得られたクラスラベルデータ(学習データ)を信号処理装置2の記憶装置23に保存しておく。推論時に、I信号、Q信号、X信号、Y信号、およびZ信号の取得データを学習モデル2Bに入力して心電図波形の推論を行う。心拍波形のピークを検知する場合には、三角形型の窓関数などを用意しピークとそれ以外に分けて学習させることで、より推論精度が向上する。クラスごとの分布の違いを条件付き確率で捉えて推論するため、ノイズは低減される。
【0074】
図11は、学習に使用したデータごとにCVAEを用いて推論した心拍波形のピーク間隔と正解値である心電図波形のピーク間隔とのRMSE(Root Mean Square Error;平方根平均二乗誤差)の値を被験者ごとに比較した比較結果を示す図である。被験者はA、D、F、およびHの4名である。
【0075】
図11には、1)電波センサ(凡例:近傍電磁界センサのみ)で得られるI信号およびQ信号と心電図波形とで学習させた場合、2)3軸加速度センサ(凡例:加速度センサのみ)で得られるX信号、Y信号およびZ信号と心電図波形とで学習させた場合、3)本実施の形態におけるセンサ構成(凡例:近傍電磁界センサと加速度センサ)で得られるI信号、Q信号、X信号、Y信号およびZ信号と心電図波形とで学習させた場合を示している。
【0076】
図11から明らかなように、単一のセンサで得られるデータを用いて学習させるよりも、本実施の形態で示すセンサ構成で得られるデータをすべて使用して学習させることにより、誤差が低減される。したがって、本実施の形態によれば、推論の精度が向上するという効果が得られる。
【0077】
以上のように、電波センサと3軸加速度センサを用いた構成で得られた信号をすべて用いて機械学習を行い、波形のピークを推論することで、データ欠損による精度劣化を補完し、高S/N比で動作可能な振動検知装置を得られる。
【0078】
<付記>
以上で説明した種々の実施形態のいくつかの側面について、以下のとおりまとめる。
(付記1)
付記1による振動検知装置は、近傍の電磁界の変化を検知する電波センサ(11)と、慣性センサ(12)と、前記電波センサの波形データと前記慣性センサの波形データとを学習モデルに入力し、前記学習モデルにより推論された振動の推論結果を前記学習モデルから取得する信号処理装置(2)と、を備える。
【0079】
(付記2)
付記2による振動検知装置は、付記1に記載された振動検知装置であって、前記電波センサと、前記慣性センサと、前記信号処理装置とは、同一基板上に配置されている。
【0080】
(付記3)
付記3による振動検知装置は、付記1または2に記載された振動検知装置であって、前記電波センサは検知対象である人の肺の動きによる電磁界の変化を検知し、前記慣性センサは前記肺の動きによる局所振動を検知し、前記信号処理装置は、前記振動として、前記人の呼吸のピークを推論する。
【0081】
(付記4)
付記4による振動検知装置は、付記1または2に記載された振動検知装置であって、前記電波センサは検知対象である人の心臓の動きによる電磁界の変化を検知し、前記慣性センサは前記心臓の動きによる局所振動を検知し、前記信号処理装置は、前記振動として、前記人の呼吸のピークを推論する。
【0082】
(付記5)
付記4による振動検知装置は、付記1から4のいずれか1つに記載された振動検知装置であって、前記電波センサは、
図2に示されているように、高周波信号を発生する信号発生部(3)と、その発生される高周波信号を送信するアンテナ(111)と、入力される信号を検波して検波信号を生成し、生成した検波信号を出力する検波回路(5)と、第1の端子(4101)、第2の端子(4102)および第3の端子(4103)を有し、前記第1の端子が前記信号発生部に、前記第2の端子が前記検波回路に、前記第3の端子が前記アンテナにそれぞれ接続された分配回路(41)であって、前記第1の端子(4101)に入力された信号を前記第3の端子(4103)から出力し、前記第3の端子(4103)に入力された信号を前記第1の端子(4101)および前記第2の端子(4102)に分配して出力する分配回路(41)と、を備える。
【0083】
(付記6)
付記6による振動検知装置は、付記1から4のいずれか1つに記載された振動検知装置であって、前記電波センサは、
図6に示されているように、高周波信号を発生する信号発生部(3)と、その発生される高周波信号を送信するアンテナ(111)と、入力される信号を検波して検波信号を生成し、生成した検波信号を出力する検波回路(5)と、第1の端子(4101)、第2の端子(4102)および第3の端子(4103)を有し、前記第1の端子が前記信号発生部に、前記第2の端子が前記検波回路にそれぞれ接続された分配回路(41)であって、前記第1の端子(4101)に入力された信号を前記第3の端子(4103)から出力し、前記第3の端子(4103)に入力された信号を前記第1の端子(4101)および前記第2の端子(4102)に分配して出力する分配回路(41)と、前記分配回路の第3の端子に接続された第4の端子(6001)と、前記アンテナに接続された第5の端子(6002)とを有し、可変素子を備える整合回路(6)と、を備え、前記信号処理装置は、前記検波回路から出力された検波信号の値に基づいて前記整合回路の第4の端子のインピーダンスと第5の端子のインピーダンスとが整合するように、前記可変素子の調整値を制御する制御信号を前記整合回路へ出力する。
【0084】
(付記7)
付記7による振動検知装置は、付記1から4のいずれか1つに記載された振動検知装置であって、前記電波センサは、
図9に示されているように、高周波信号を発生する信号発生部(3)と、その発生される高周波信号を送信するアンテナ(111)と、入力される信号を検波して検波信号を生成し、生成した検波信号を出力する検波回路(5)と、第1の端子(4101)、第2の端子(4102)および第3の端子(4103)を有し、前記第2の端子が前記検波回路に接続された第1の分配回路(41)であって、前記第1の端子(4101)に入力された信号を前記第3の端子(4103)から出力し、前記第3の端子(4103)に入力された信号を前記第1の端子(4101)および前記第2の端子(4102)に分配して出力する第1の分配回路(41)と、第4の端子(4201)、第5の端子(4202)および第6の端子(4203)を有し、前記第4の端子が前記信号発生部に、前記第5の端子が前記第1の分配回路の第1の端子に、前記第6の端子が前記検波回路にそれぞれ接続された第2の分配回路(42)であって、前記第5の端子(4202)に入力された信号を前記第4の端子(4201)から出力し、前記第4の端子(4201)に入力された信号を前記第5の端子(4202)および前記第6の端子(4203)に分配して出力する第2の分配回路(42)と、前記第1の分配回路の第3の端子に接続された第7の端子(6001)と、前記アンテナに接続された第8の端子(6002)とを有し、可変素子を備える整合回路(6)と、を備え、前記検波回路(直交検波回路5A)は、前記第1の分配回路から入力される信号を、第2の分配回路から入力される信号をローカル信号として直交検波してIQ信号を生成し、生成したIQ信号を前記検波信号として出力し、前記信号処理装置は、前記検波回路から出力された検波信号の値に基づいて前記整合回路の第7の端子のインピーダンスと第8の端子のインピーダンスとが整合するように、前記可変素子の調整値を制御する制御信号を前記整合回路へ出力する。
【0085】
(付記8)
付記8による振動検知装置は、付記5から7のいずれか1つに記載された振動検知装置であって、前記アンテナは方形であり、前記高周波信号の波長をλとすると、前記アンテナの最外形の方形の1辺の長さはλ/10以下である。
【0086】
(付記9)
付記9による振動検知方法は、電波センサ(11)と、慣性センサ(12)と、信号処理装置(2)とを備える振動検知装置による振動検知方法であって、前記電波センサが、近傍の電磁界の変化を検知するステップ(ST1)と、前記慣性センサが、検知対象の局所振動を検知するステップ(ST2)と、前記信号処理装置が、前記電波センサの波形データと前記慣性センサの波形データとを学習モデルに入力し、前記学習モデルにより推論された振動の推論結果を前記学習モデルから取得するステップ(ST3)と、を備える。
【0087】
なお、実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示の振動検知装置は、例えば、人の心拍等のバイタル情報を取得するための装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 センサ部、2 信号処理装置、2A 推論部、2B 学習モデル、3 信号発生部、5 検波回路、5A 直交検波回路、6 整合回路、11 電波センサ、12 慣性センサ、12A 3軸加速度センサ、21 プロセッサ、22 アナログデジタル変換器、23 記憶装置、24 デジタルアナログ変換器、41 分配回路、42 分配回路、111 アンテナ、1112 ループアンテナ、1113 メアンダダイポールアンテナ、D1~D5 振動検知装置。
【要約】
振動検知装置は、近傍の電磁界の変化を検知する電波センサ(11)と、慣性センサ(12)と、前記電波センサの波形データと前記慣性センサの波形データとを学習モデルに入力し、前記学習モデルにより推論された振動の推論結果を前記学習モデルから取得する信号処理装置(2)とを備える。