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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】針組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20240924BHJP
   A61B 5/153 20060101ALI20240924BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
A61B5/153 300
A61M5/158 500Z
A61M5/32 510K
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019160605
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037104
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】中神 裕之
(72)【発明者】
【氏名】石倉 弘三
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-029812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0236287(US,A1)
【文献】特開2017-196060(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115756(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61B 5/153
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺針の基端側に針ハブが固定された穿刺用針体と、
該穿刺針の針軸方向に移動可能な針先プロテクタと、
該針先プロテクタと該針ハブを解除可能に連結する腕部と
を、備える針組立体であって、
前記針ハブの外寸が該針ハブの先端側よりも基端側において大きくされており、
該針ハブの基端部分には、厚さ寸法が変化する厚さ変化部が設けられていると共に、
該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該針ハブにおける筒状の先端部分の厚さ寸法以上とされており、且つ、
該針ハブには、前記腕部が該針ハブの基端側から先端側に向かって一体形成されていると共に、該針ハブの基端側に開口して外部管路の接続穴が設けられて、該接続穴の底部から基端側に突出して接続ポートが一体形成されており、
前記厚さ変化部よりも該接続穴の底部が該針ハブの基端側に位置していると共に、
該接続穴の底部よりも前記腕部の基端が該針ハブの基端側に位置している針組立体。
【請求項2】
前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、
該針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、前記針ハブにおける該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以上とされている請求項1に記載の針組立体。
【請求項3】
前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、
前記厚さ変化部が該針ハブにおける該針固定部と該管路接続部の間に位置し、
前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該針固定部の厚さ寸法以上とされている請求項2に記載の針組立体。
【請求項4】
前記針先プロテクタと当接することで該針先プロテクタの前記針ハブに対する前記針軸方向の移動を規制する規制部が該針ハブに設けられており、
前記厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該規制部における該針ハブの厚さ寸法以上とされている請求項1~3の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項5】
前記規制部は突起と凹所の少なくとも一方を含んでいる請求項4に記載の針組立体。
【請求項6】
前記針ハブには前記穿刺針が固定された針固定部に前記規制部が設けられており、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において、前記厚さ変化部の最小厚さ寸法は、前記針ハブの針固定部における規制部を外れた部分の厚さ寸法以上とされている請求項4又は5に記載の針組立体。
【請求項7】
前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通らない軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、
該針軸方向と平行且つ該腕部を通らない軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が前記針ハブの該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以上とされている請求項1~の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項8】
前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、
前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通らない軸方向縦断面において、前記厚さ変化部が該針ハブにおける該針固定部と該管路接続部の間に位置する請求項に記載の針組立体。
【請求項9】
前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、
前記厚さ変化部が該針固定部に設けられている請求項に記載の針組立体。
【請求項10】
前記針先プロテクタと当接することで該針先プロテクタの前記針ハブに対する前記針軸方向の移動を規制する規制部が、該針ハブに設けられており、
前記厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該規制部における該針ハブの厚さ寸法以上とされている請求項の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項11】
前記規制部は突起と凹所の少なくとも一方を含んでいる請求項10に記載の針組立体。
【請求項12】
前記針ハブは外側に向けて突出するガイド突条を有し、
前記厚さ変化部の最小厚さ寸法が該ガイド突条の形成部分における該針ハブの厚さ寸法以上とされている請求項11の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項13】
前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、
該管路接続部の外寸が該針固定部の外寸よりも大きくされている請求項1~12の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項14】
前記厚さ変化部は、傾斜部と凹状部と凸状部と段差状部との少なくとも1つを含む請求項1~13の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項15】
前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において前記針ハブの厚さ寸法が最小となる部分が、該針ハブの基端側に開口して外部管路が挿入される接続穴の底部側の外周角部を外れた位置に設けられている請求項1~14の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項16】
前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えていると共に、
前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において該針ハブの厚さ寸法が最小となる部分が、該管路接続部に設けられている請求項1~15の何れか1項に記載の針組立体。
【請求項17】
前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えていると共に、
前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において該針ハブの厚さ寸法が最小となる部分が、前記針固定部に設けられている請求項1~16の何れか1項に記載の針組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管などに穿刺されて留置される穿刺針を備えた穿刺用針体と、穿刺用針体の使用後に抜去された穿刺針の針先を保護する針先プロテクタとを備える針組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、輸液や採血、血液透析などを行う際に用いられる留置針などの穿刺用針体が知られている。穿刺用針体は、鋭利な針先を有する穿刺針の基端部に針ハブが固定された構造を有している。そして、穿刺用針体が患者の血管などの体内管腔に穿刺されて留置され、針ハブに外部管路が接続されることにより、穿刺用針体の内腔と外部管路とを通じて輸液や採血、血液透析などが実施される。
【0003】
ところで、穿刺用針体は、使用後の誤穿刺や頻回使用の防止、或いは、廃棄処理の容易化などの目的で、体内管腔から抜去された穿刺針の針先を保護する針先プロテクタを備えるものがある。針先プロテクタ及びそれを備える針組立体としては、例えば、特開2017-196060号公報(特許文献1)に開示されている。即ち、特許文献1のプロテクタ付き医療用針によれば、針管を血管等から引き抜く際に、プロテクタが針管に対して針先側へ移動し、患者から抜去された針管がプロテクタの内周へ収容されて、針管の針先が外部に露出しないようにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-196060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者が特許文献1について詳細に検討したところ、例えば、針ハブと針先プロテクタの係合を解除するために針ハブに及ぼされる外力等によって、針ハブの基端部分が損傷するおそれがあることが分かった。
【0006】
本発明の解決課題は、外力の作用に対する針ハブの耐荷重強度を確保することができる、新規な構造の針組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0008】
第1の態様は、穿刺針の基端側に針ハブが固定された穿刺用針体と、該穿刺針の針軸方向に移動可能な針先プロテクタと、該針先プロテクタと該針ハブを解除可能に連結する腕部とを、備える針組立体であって、前記針ハブの外寸が該針ハブの先端側よりも基端側において大きくされており、該針ハブの基端部分には、厚さ寸法が変化する厚さ変化部が設けられていると共に、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該針ハブにおける筒状の先端部分の厚さ寸法以上とされているものである。
【0009】
本態様の穿刺用針体によれば、例えば、穿刺用針体を針先プロテクタから分離させる際に及ぼされる操作力などの外力の作用によって損傷が発生し得る針ハブの基端部分に対して、厚さ寸法が変化する厚さ変化部が設けられて、厚さ変化部の最小厚さ寸法が筒状とされた針ハブ先端部分の厚さ寸法以上とされていることにより、針ハブの基端部分において補強や応力の分散化による耐荷重性能の向上が図られる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に記載された穿刺用針体において、前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、該針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、前記針ハブにおける該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以上とされているものである。
【0011】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部の最小厚さ寸法が針ハブの先端側の厚さ寸法以上とされていることにより、針ハブの基端部分の補強が図られて、針ハブの基端部分において耐荷重性能の向上が図られる。
【0012】
第3の態様は、第2の態様に記載された針組立体において、前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、前記厚さ変化部が該針ハブにおける該針固定部と該管路接続部の間に位置し、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該針固定部の厚さ寸法以上とされているものである。
【0013】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部の最小厚さ寸法が、腕部を通る軸方向縦断面において針ハブの針固定部の厚さ寸法以上とされていることにより、針ハブの基端部分の補強が図られて、針ハブの基端部分において耐荷重性能の向上が図られる。
【0014】
第4の態様は、第1~第3の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針先プロテクタと当接することで該針先プロテクタの前記針ハブに対する前記針軸方向の移動を規制する規制部が該針ハブに設けられており、前記厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該規制部における該針ハブの厚さ寸法以上とされているものである。
【0015】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部の最小厚さ寸法が、規制部における針ハブの厚さ寸法以上とされていることにより、針ハブの基端部分の補強が図られて、針ハブの基端部分において耐荷重性能の向上が図られる。
【0016】
第5の態様は、第4の態様に記載された針組立体において、前記規制部は突起と凹所の少なくとも一方を含んでいるものである。
【0017】
本態様の針組立体によれば、例えば、規制部が突起である場合、突起は針ハブにおいて肉厚となり易い部分であり、強度が比較的に高い。従って、針ハブの基端部分の厚さ寸法が突起における厚さ寸法よりも更に大きくなるように構成することで、針ハブをより補強することができる。その結果、針ハブの基端部分において耐荷重性能の向上が図られる。
【0018】
また、規制部が凹所である場合、凹所は針ハブにおいて薄肉となり易い部分であるが、当該凹所の形成部分の強度は穿刺針の固定で確保される。そして、針ハブの基端部分の厚さ寸法が凹所における厚さ寸法よりも大きくなるように構成することで、針ハブの強度の向上が図られ得る。その結果、針ハブの基端部分において耐荷重性能の向上が図られる。
【0019】
第6の態様は、第4又は第5の態様に記載された針組立体において、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において、前記厚さ変化部の最小厚さ寸法は、前記針ハブの前記針固定部における前記規制部を外れた部分の厚さ寸法以上とされているものである。
【0020】
本態様の針組立体によれば、穿刺針が固定される針ハブの針固定部は、穿刺針を挿入するために針ハブの他の箇所よりも薄肉となり易いが、固定された穿刺針で強度が確保され得る。一方、規制部は、針ハブの移動規制という要求機能によって、例えば必要以上に厚肉となる場合などがある。従って、厚さ変化部の最小厚さ寸法が針ハブの針固定部における規制部を外れた部分の厚さ寸法以上とされていることにより、針ハブの必要以上の肉厚設定を回避しつつ、針ハブの強度を確保し、針ハブ基端部分における耐荷重性能の向上も図ることが可能になる。
【0021】
第7の態様は、穿刺針の基端側に針ハブが固定された穿刺用針体と、該穿刺針の針軸方向に移動可能な針先プロテクタと、該針先プロテクタと該針ハブを解除可能に連結する腕部とを、備える針組立体であって、前記針ハブの外寸が該針ハブの先端側よりも基端側において大きくされており、該針ハブの基端部分には、厚さ寸法が変化する厚さ変化部が設けられて、該厚さ変化部が該針ハブの先端部分の厚さ寸法以下である箇所を含んでいると共に、該針ハブの基端部分には、外部管路が接続される軸部が該厚さ変化部より内側に位置して設けられているものである。
【0022】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部は前記針ハブ先端側の厚さ寸法以下である箇所を含む場合であっても、厚さ変化部より内側に位置する軸部が設けられることで、針ハブの基端部分を補強することができる。特に、軸部に外部管路が外挿状態で接続される場合には、針ハブの基端部分を外部管路によって補強することもできる。
【0023】
第8の態様は、第7の態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、該針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、前記針ハブにおける該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以下とされており、該針ハブは、該厚さ変化部より先端側の少なくとも一部における外寸が、該厚さ変化部の外寸以上とされているものである。
【0024】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部より先端側の少なくとも一部における針ハブの外寸が、厚さ変化部における針ハブの外寸以上とされていることにより、特に強度の指標となる断面係数が外寸の累乗で表されることから理解できるように、針ハブの先端側の厚さ寸法以下である箇所に対する補強作用が効率的に実現可能になる。
【0025】
第9の態様は、第7の態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、該針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が、前記針ハブの該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以下とされており、該針ハブは、該厚さ変化部より基端側の少なくとも一部における外寸が、該厚さ変化部の外寸以下となるものである。
【0026】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部の基端側の少なくとも一部の外寸が、厚さ変化部における外寸以下とされることにより、厚さ変化部の最小厚さ寸法となる箇所を補強することができる。
【0027】
第10の態様は、第7~第9の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、該針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が前記針ハブの該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以下とされており、該厚さ変化部は最小厚さ寸法部分より先端側に凸状部と凹状部と傾斜部のうち少なくとも1つを備えているものである。
【0028】
第11の態様は、第7~第10の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、該針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が前記針ハブの該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以下とされており、該厚さ変化部は最小厚さ寸法部分より基端側に凸状部と凹状部と傾斜部のうち少なくとも1つを備えているものである。
【0029】
第12の態様は、第7~第11の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、該針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が前記針ハブの該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以下とされており、該厚さ変化部は、最小厚さ寸法部分の先端側の第1の傾斜部と基端側の第2の傾斜部とを備えており、該第1の傾斜部に設けられる第1の傾斜面と該第2の傾斜部に設けられる第2の傾斜面が互いに異なる方向に傾斜しているものである。
【0030】
厚さ変化部において針ハブの先端側の厚さ寸法以下である箇所は、応力が集中し易く、損傷が問題になり易い。そこで、第10~第12の態様に記載された針組立体は、上記箇所の先端側と基端側の少なくとも一方に、凸状部、凹状部、傾斜部のうち少なくとも1つが設けられており、針ハブが補強されている。
【0031】
第13の態様は、第1~第12の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通らない軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、該針軸方向と平行且つ該腕部を通らない軸方向縦断面において、該厚さ変化部の最小厚さ寸法が前記針ハブの該厚さ変化部より先端側の厚さ寸法以上とされているものである。
【0032】
第14の態様は、第13の態様に記載された針組立体において、前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通らない軸方向縦断面において、前記厚さ変化部が該針ハブにおける該針固定部と該管路接続部の間に位置するものである。
【0033】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部が針ハブの針固定部と管路接続部の間に位置している。これにより、例えば、穿刺用針体を針先プロテクタから分離させる際に及ぼされる操作力などの外力の作用によって損傷が発生し得る針ハブの針固定部と管路接続部の間に対して、厚さ変化部が設けられることによる補強や応力の分散化が図られて、耐荷重性能の向上が実現される。
【0034】
第15の態様は、第13の態様に記載された針組立体において、前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、前記厚さ変化部が該針固定部に設けられているものである。
【0035】
第16の態様は、第13~第15の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針先プロテクタと当接することで該針先プロテクタの前記針ハブに対する前記針軸方向の移動を規制する規制部が、該針ハブに設けられており、前記厚さ変化部の最小厚さ寸法が、該規制部における該針ハブの厚さ寸法以上とされているものである。
【0036】
第17の態様は、第16の態様に記載された針組立体において、前記規制部は突起と凹所の少なくとも一方を含んでいるものである。
【0037】
第18の態様は、第13~第17の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針ハブは外側に向けて突出するガイド突条を有し、前記厚さ変化部の最小厚さ寸法が該ガイド突条の形成部分における該針ハブの厚さ寸法以上とされているものである。
【0038】
第19の態様は、第1~第18の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、該管路接続部の外寸が該針固定部の外寸よりも大きくされているものである。
【0039】
第20の態様は、第1~第19の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部は、傾斜部と凹状部と凸状部と段差状部との少なくとも1つを含むものである。
【0040】
第21の態様は、第1~第20の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において前記針ハブの厚さ寸法が最小となる部分が、該針ハブの基端側に開口して外部管路が挿入される接続穴の底部側の外周角部を外れた位置に設けられているものである。
【0041】
第22の態様は、第1~第21の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えていると共に、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において該針ハブの厚さ寸法が最小となる部分が、該管路接続部に設けられているものである。
【0042】
第23の態様は、第1~第22の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えていると共に、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面において該針ハブの厚さ寸法が最小となる部分が、該針固定部に設けられているものである。
【0043】
第24の態様は、穿刺針の基端側に針ハブが固定された穿刺用針体と、該穿刺針の針軸方向に移動可能な針先プロテクタと、該針先プロテクタと該針ハブを解除可能に連結する腕部とを、備える針組立体であって、前記針ハブが、前記穿刺針が固定される先端側の針固定部と、外部管路が接続される基端側の管路接続部とを備えており、該針固定部と該管路接続部とが近接して設けられるものである。
【0044】
本態様の針組立体によれば、針ハブにおいて穿刺針及び外部管路が挿入されていない部分を少なくすることができる。その結果、針ハブが広い範囲で穿刺針及び外部管路によって補強されて、針ハブの強度が向上する。
【0045】
第25の態様は、第24の態様に記載された針組立体において、前記針ハブは厚さ寸法が変化する厚さ変化部が設けられており、該厚さ変化部が前記針固定部と前記管路接続部の少なくとも一方に設けられているものである。
【0046】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部が針固定部又は管路接続部に設けられることで、厚さ変化部が針ハブにおいて穿刺針及び外部管路が挿入されていない部分に設けられるよりも、当該厚さ変化部において穿刺針や外部管路による補強作用も併せて利用することが可能になって、針ハブの強度を更に効果的に向上させることも可能になる。換言すれば、本態様では、厚さ変化部に近接し又は達する位置まで、穿刺針の基端や外部管路の挿入先端が軸方向に延びるように設定され得る。
【0047】
第24又は第25の態様において、前記針固定部と前記管路接続部との間に中間部が設けられていても良い。
【0048】
第26の態様は、穿刺針の基端部に針ハブが設けられた穿刺用針体と、該穿刺用針体に対して、該穿刺針を先端側へ突出させる穿刺位置と該穿刺針の針先を収容する保護位置とに針軸方向で移動可能とされた針先プロテクタとを、備えた針組立体であって、前記針先プロテクタの前記保護位置において前記針ハブに係止されて該針先プロテクタの前記穿刺用針体に対する基端側への移動を制限することで前記穿刺針の前記針先の再露出を防止する係止片が、該針先プロテクタに設けられており、該針ハブは、該針先プロテクタの前記穿刺位置において該係止片の内周側へ挿通されて該係止片の該針ハブへの係止面よりも先端側に位置する先部と、該針先プロテクタの該穿刺位置において該針先プロテクタから基端側へ露出する基部と、該先部と該基部との間に位置して該先部よりも大きな外寸を有する中間部とを有していると共に、該針ハブは厚さ寸法が変化する厚さ変化部を備えているものである。
【0049】
本態様の針組立体によれば、例えば、穿刺用針体を針先プロテクタから分離させる際に及ぼされる操作力などの外力の作用によって損傷が発生し得る針ハブに対して、厚さ寸法が変化する厚さ変化部が設けられていることにより、針ハブの基端部分において補強や応力の分散化による耐荷重性能の向上が図られる。
【0050】
特に、針先プロテクタの穿刺位置において針先プロテクタから露出する基部と中間部において針ハブの損傷が生じ易いが、厚さ変化部を設けることによって、基部や中間部における応力集中が緩和されて、針ハブの耐荷重性能の確保が特に基部や中間部において実現される。
【0051】
第27の態様は、第26の態様に記載された針組立体において、前記針ハブは、前記穿刺位置の前記針先プロテクタに対して該針ハブを解除可能に連結する腕部を備えており、該厚さ変化部は前記針軸方向と平行且つ該腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有しているものである。
【0052】
本態様の針組立体によれば、例えば、腕部を操作して針ハブと針先プロテクタを分離させる際に、腕部を操作する外力が作用する腕部を通る軸方向縦断面において、厚さ変化部における厚さ寸法の変化によって耐荷重性能の向上が図られる。従って、腕部の操作力の作用による針ハブの損傷が、厚さ変化部によって効果的に防止される。
【0053】
第28の態様は、第26又は第27の態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が前記基部に設けられているものである。
【0054】
本態様の針組立体によれば、例えば、外部管路の接続構造が設けられることによって耐荷重強度が低下し易い基部において、厚さ変化部を設けることによる耐荷重性能の向上が図られる。
【0055】
第29の態様は、第26~第28の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が前記中間部に設けられているものである。
【0056】
本態様の針組立体によれば、穿刺針によって補強される先部と、外部管路によって補強される基部との間に、厚さ変化部が設けられていることにより、穿刺針又は外部管路による補強がされず外力の作用による損傷が生じ易い中間部において、耐荷重強度の向上が図られる。
【0057】
また、針先プロテクタへの装着について外寸に制約がある先部と、外部管路の接続に関して内寸に制約がある基部とを、何れも外れた部分に厚さ変化部が設けられていることにより、厚さ変化部の厚さ寸法を変化させ易く、特に厚さ変化部の厚肉化が許容される。
【0058】
第30の態様は、第26~第29の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部が前記先部に設けられているものである。
【0059】
本態様の針組立体によれば、例えば、針ハブの基部や中間部に及ぼされる応力を必要に応じて先部に逃がすことにより、応力の分散化による針ハブの耐荷重性能の向上が図られる。
【0060】
第31の態様は、第26~第30の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部がテーパ状部と凹状部と凸状部と段差状部との少なくとも1つを備えているものである。
【0061】
本態様の針組立体によれば、厚さ変化部の厚さ変化が、テーパ状部と凹状部と凸状部と段差状部の何れか或いは組み合わせによって実現される。
【0062】
第32の態様は、第26~第31の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記厚さ変化部の外寸が基端側において先端側よりも大きくなっており、前記中間部の外寸が周方向の少なくとも一部において前記基部の外寸以上とされているものである。
【0063】
本態様の針組立体によれば、針先プロテクタへの挿入や外部管路の接続によって補強されない中間部の外寸が、外部管路の接続によって補強される基部の外寸以上とされることにより、中間部の耐荷重性能が確保され易くなる。
【0064】
第33の態様は、第26~第32の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針ハブが前記穿刺位置の前記針先プロテクタに対して該針ハブを解除可能に連結する腕部を備えており、前記厚さ変化部は該針軸方向と平行且つ該腕部を通らない軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有しているものである。
【0065】
本態様の針組立体によれば、例えば、針ハブに腕部を通らない縦断面方向の外力が作用して針ハブが曲げられる際に、当該外力が作用する腕部を通らない軸方向縦断面において、厚さ変化部における厚さ寸法の変化によって耐荷重性能の向上が図られる。
【0066】
第34の態様は、第26~第33の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記針軸方向と平行且つ前記腕部を通る軸方向縦断面における前記厚さ変化部の厚さ寸法が、前記基部と前記中間部との少なくとも一方に設けられた前記先部の厚さ寸法よりも大きくされているものである。
【0067】
本態様の針組立体によれば、腕部を通る軸方向縦断面において、基部と中間部の少なくとも一方に設けられた厚さ変化部の厚さ寸法が、先部の厚さ寸法より大きくされていることにより、針ハブにおいて外力の作用が想定される基部又は中間部が厚さ変化部において補強される。それ故、厚さ変化部が設けられた基部と中間部の少なくとも一方において、耐荷重強度を大きく得ることができる。
【0068】
第35の態様は、穿刺針の基端側に針ハブが固定された穿刺用針体と、穿刺針の針軸方向に移動可能な針先プロテクタと、針先プロテクタと該針ハブを解除可能に連結する腕部とを、備える針組立体であって、前記針ハブの基端部分には外部管路が接続される管路接続部とが設けられており、該管路接続部以上の厚さ寸法を有する部分が該管路接続部よりも先端側に設けられているものである。
【0069】
本態様の針組立体によれば、針ハブにおいて管路接続部よりも先端側に管路接続部以上の厚さ寸法を有する部分が設けられていることにより、針ハブの先端側の強度が確保される。なお、針ハブの基端側を構成する管路接続部は、接続される外部管路を利用した補強も可能である。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、外力の作用に対する針ハブの耐荷重強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明の第1の実施形態としての針組立体を示す斜視図
図2図1に示す針組立体の縦断面図であって、図3のII-II断面に相当する図
図3図2のIII-III断面図
図4図3のIV-IV断面図
図5図1に示す針組立体において針先プロテクタによる針先の保護状態を示す縦断面図
図6】本発明の第2の実施形態としての針組立体の要部を示す縦断面図
図7】本発明の第3の実施形態としての針組立体の要部を示す縦断面図
図8】本発明の第4の実施形態としての針組立体の要部を示す縦断面図
図9図8に示す針組立体を構成する針ハブの斜視図
図10】本発明の第5の実施形態としての針組立体の要部を示す縦断面図
図11】本発明の別の一実施形態としての針組立体を示す縦断面図
図12】本発明のまた別の一実施形態としての針組立体の要部を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0073】
図1~4には、第1の実施形態として、針組立体10が示されている。針組立体10は、穿刺用針体12が針先プロテクタ14に対して針軸方向で移動可能に挿通された構造を有している。針先プロテクタ14は、少なくとも穿刺用針体12の針先を覆うことができる。なお、以下の説明において、特に説明がない限り、先端側とは穿刺用針体12の後述する針先20側である図2中の左方を、基端側とは穿刺用針体12の穿刺方向後方となる図2中の右方を、それぞれ言う。また、原則として、上下方向とは縦方向である図3中の上下方向を、左右方向とは横方向である図2中の上下方向を、それぞれ言う。
【0074】
より詳細には、穿刺用針体12は、穿刺針16の基端側に針ハブ18が固定された構造を有している。穿刺針16は、例えばステンレス鋼などの金属で形成されており、一端が鋭利な先細形状を有する針先20とされている。
【0075】
針ハブ18は、全体として略円筒形状とされており、先端に穿刺針16の基端部分が挿入状態で固定されている。これにより、針ハブ18の内腔と穿刺針16の内腔が針軸方向で連通されている。また、針ハブ18は、針先プロテクタ14の針軸方向の移動を規制する規制部を有する。より詳細には、針ハブ18は、突起や凹所などの規制部が設けられた先端部分24を備えている。
【0076】
先端部分24は、略円筒形状とされており、穿刺針16の基端部分が先端側から挿入されて固定される針固定部26を有している。針固定部26には、少なくとも1つの規制部が設けられる。具体的には、針固定部26の先端側には、縦方向の両側へ突出する規制部としての先端係止部28,28が設けられている。また、針固定部26における先端係止部28,28よりも基端側には、横方向の両側に突出する規制部としての一対の係止突起30,30が設けられている。係止突起30は、先端側の面が軸直角方向に広がっていると共に、基端側の面が傾斜面とされて基端側に向かって突出高さが小さくなっている。先端部分24における針固定部26よりも基端側は、穿刺針16を基端側に外れて位置する先部31とされている。規制部は、先端係止部28,28や係止突起30,30に限定されるものではなく、例えば、先端部分24の外周面に開口する凹所や溝、段差などであっても良い。
【0077】
先端部分24は、縦方向の両側へ向けて突出する一対のガイド突条32,32を備えている。ガイド突条32は、略矩形板状とされており、先端係止部28よりも基端側において先端部分24の基端まで直線的に延びている。ガイド突条32は、先端が先端係止部28につながっていると共に、基端が後述する基端部分34につながっている。
【0078】
針ハブ18における先端部分24よりも基端側には、基端部分34が設けられている。基端部分34は、本実施形態において先端部分24と一体形成されている。尤も、基端部分34は、先端部分24とは別体として形成されて、接着等の手段で先端部分24に固定されていても良い。基端部分34は、軸直角方向の外寸が先端部分24よりも大きくされており、それによって針ハブ18は、軸直角方向の外寸が先端側よりも基端側において大きくされている。基端部分34の上下外面には、それぞれ凹部35が開口している。凹部35は、略矩形断面を有しており、後述する管路接続部36と中間部51に跨って設けられている。
【0079】
針ハブ18の基端部分34は、略円筒形状とされた基部としての管路接続部36を有している。管路接続部36は、基端部分34の基端側を構成している。管路接続部36は、針ハブ18の先端部分24よりも軸直角方向の外寸が大きくされている。管路接続部36には、基端面に開口する接続穴38が形成されている。接続穴38は、略円形断面を有している。接続穴38は、開口と反対側である先端側に底部40を有している。管路接続部36の内孔は、底部40を軸方向に貫通しており、後述する接続ポート44の内孔に連通されている。接続穴38は、開口側である基端側が、底部40側である先端側よりも大径とされている。接続穴38は、底部40側が基端側である開口端に向かって次第に大径となっており、接続穴38の周壁内面が底部40側においてテーパ筒形状とされている。
【0080】
接続穴38の底部40には、軸部としての接続ポート44が設けられている。接続ポート44は、筒状とされており、底部40から接続穴38の開口に向かって基端側へ突出している。接続ポート44の内周面は、軸方向で略一定の径寸法を有する円筒面とされている。接続ポート44の外周面は、径寸法が軸方向で基端側へ向かって次第に小さくなっており、先細のテーパ状外周面とされている。接続ポート44の外周面は、先端側が略一定の径寸法を有する筒状面されていると共に、基端側が先細のテーパ状外周面とされていても良い。接続ポート44は、管路接続部36と別体でも良いが、本実施形態では管路接続部36と一体形成されている。また、軸部としての接続ポート44は、後述する厚さ変化部52の内側に設けられている。接続ポート44の延びる方向は、本実施形態では針軸方向と略一致しているが、針軸方向に対して傾斜していても良い。
【0081】
針ハブ18の基端部分34には、腕部としての一対の係合腕46,46が設けられている。係合腕46は、管路接続部36の基端部から横方向(図2中の上下方向)の両側へ延び出していると共に、湾曲して先端側へ向かって延びており、基端部分34に対して所定の隙間を隔てて横方向の両側に設けられている。係合腕46,46は、管路接続部36との接続部分が湾曲形状且つ幅狭とされており、外力の作用によって相互に接近する方向への弾性変形が許容されている。また、係合腕46,46の先端部分には、それぞれフック48が形成されている。
【0082】
基端部分34は、管路接続部36の接続穴38に外部管路49の先端が挿入されて、外部管路49の先端が接続ポート44に外挿状態で取り付けられる。外部管路49は、例えば、合成樹脂などで形成されたチューブとされている。外部管路49は、接続穴38の内周面及び接続ポート44に対して、必要に応じて接着や溶着される。
【0083】
外部管路49が管路接続部36に接続されることにより、基端部分34の両側に先端部分24と外部管路49が接続されて、穿刺針16の内腔と針ハブ18の内腔とが外部管路49に連通されている。これにより、穿刺針16の先端開口から外部管路49に至る流体流路50が穿刺用針体12に設けられている。
【0084】
また、外部管路49が接続ポート44に外挿状態で接続されることによって、針ハブ18の管路接続部36が外部管路49によって補強される。特に本実施形態では、外部管路49の端部が接続ポート44と接続穴38の周壁との間を埋めるように充填状態で配されることから、接続穴38の形成によって薄肉となり易い管路接続部36が外部管路49によって効果的に補強される。
【0085】
針ハブ18における先端部分24と管路接続部36の間には、基端部分34の先端側を構成する中間部51が設けられている。中間部51は、後述する厚さ変化部52が設けられていることによって、軸直角方向の外寸が先部31よりも大きくされている。
【0086】
針ハブ18の基端部分34を構成する中間部51と管路接続部36には、厚さ変化部52が設けられている。この厚さ変化部52において、針ハブ18の軸直角方向の厚さ寸法が軸方向で変化している。針ハブ18の基端部分34に設けられた厚さ変化部52は、フック48,48を備える一対の係合腕46,46の対向間に位置しており、厚さ変化部52の先端がフック48,48の先端よりも基端側に位置している。厚さ変化部52は、穿刺針16が固定される先端部分24を基端側に外れていると共に、管路接続部36において外部管路49が挿入される接続穴38を先端側に外れた位置に設けられている。これにより、穿刺針16や外部管路49は、厚さ変化部52に内挿及び外挿されていない。
【0087】
厚さ変化部52は、図2に示す一対の係合腕46,46を通る一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、先端側から基端側に向かって次第に厚さ寸法が大きくなる傾斜部としてのテーパ状部54と、テーパ状部54よりも基端側に位置して外周面が凹状断面とされた凹状部56,56とを、有している。テーパ状部54は、先端側から基端側に向かって傾斜する第1の傾斜面を有している。厚さ変化部52は、このようなテーパ状部54と凹状部56,56を備えることにより、一対の係合腕46,46を通る一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、厚さ寸法が変化している。即ち、厚さ変化部52は、テーパ状部54において、先端側から基端側へ向かって次第に厚肉となっており、凹状部56において、先端側から軸方向中央に向かって次第に薄肉となると共に、軸方向中央から基端側に向かって次第に厚肉となっている。厚さ変化部52は、内径寸法が軸方向において略一定とされている。本実施形態では、テーパ状部54が中間部51に設けられていると共に、凹状部56が管路接続部36に設けられており、厚さ変化部52が中間部51と管路接続部36に亘って設けられている。
【0088】
テーパ状部54は、全体として略円錐台形状とされており、一対のガイド突条32,32の周方向間に設けられている。凹状部56は、厚さ変化部52における一対の係合腕46,46との対向面にそれぞれ設けられており、一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸直角方向(上下方向)に略一定の断面形状で直線的に延びている。
【0089】
図2に示す一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、厚さ変化部52は、テーパ状部54の先端側の端部において厚さ寸法が最小とされている。そして、厚さ変化部52の最小厚さ部分よりも基端側にテーパ状部54と凹状部56,56が設けられている。これにより、厚さ変化部52の最小厚さ寸法は、厚さ寸法が軸方向で略一定とされた筒状の先端部分24の厚さ寸法以上とされている。その結果、針ハブ18の強度が確保されている。なお、針ハブ18の先端部分24は、軸方向に延びる筒状の部分であって、先端係止部28,28及び係止突起30,30を含まず、それら先端係止部28,28及び係止突起30,30は先端部分24から外周側へ突出して設けられている。
【0090】
一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法は、針ハブ18の針固定部26における先端係止部28,28及び係止突起30,30を外れた部分の厚さ寸法以上とされている。換言すれば、厚さ変化部52は、当該縦断面において、針ハブ18の針固定部26における先端係止部28,28及び係止突起30,30を外れた部分よりも薄肉の箇所を有していない。本実施形態では、当該断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法は、針ハブ18の針固定部26における先端係止部28,28及び係止突起30,30を外れた部分の厚さ寸法と略同じとされている。これによれば、厚さ変化部52の厚さ寸法が確保されて、針ハブ18の基端部分34の強度が確保される。また、比較的に薄肉とされる針ハブ18の先端部分24は、針先プロテクタ14に挿入される部分であることから、外力の作用による損傷などが問題になり難く、特に針固定部26は、穿刺針16が挿入されることで補強されて、耐荷重性能が容易に確保される。
【0091】
針ハブ18の先端部分24の外寸(外径寸法)は、厚さ変化部52の先端の外寸と略同じとされている。針ハブ18の先端部分24の外寸は、厚さ変化部52の外寸よりも大きくても良いし、小さくても良い。針ハブ18の先端部分24の外寸が厚さ変化部52の外寸以上とされていれば、針ハブ18の先端部分24において強度を確保し易くなる。針ハブ18の先端部分24の外寸が厚さ変化部52の外寸以下とされていれば、厚さ変化部52の厚さを確保し易くなって、厚さ変化部52を補強することができる。
【0092】
厚さ変化部52は、一対の係合腕46,46を通らない一対の係合腕46,46の対向方向と直交する図3の軸方向縦断面において、先端部分24と基端部分34の接続部分に形成される段差状部57と、基端部分34の上下外面に開口する凹部35,35とによって、厚さ寸法が軸方向で段階的に変化している。このように、本実施形態の厚さ変化部52は、厚さ寸法の変化の態様が、縦方向と横方向で相互に異なっている。厚さ変化部52は、一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸方向縦断面においても、中間部51を含む部分において厚さ寸法が変化している。なお、厚さ変化部52の厚さ寸法の変化は、必ずしも厚さ変化部52の全体に設定されるものではなく、厚さ変化部52は厚さ寸法が変化しない部分を含み得る。
【0093】
厚さ変化部52は、一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸方向縦断面において段差状部57を備えていることから、段差状部57に対する先端側よりも基端側において外寸(上下方向の軸直寸法)が大きくされている。厚さ変化部52が設けられた中間部51は、一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸方向縦断面において、管路接続部36と略同じ外寸を有している。なお、中間部51の外寸が管路接続部36の外寸よりも大きくされていても良い。
【0094】
一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸方向縦断面において、厚さ変化部52は、段差状部57の内周端において厚さ寸法が最小とされている。そして、厚さ変化部52の最小厚さ部分よりも基端側に、段差状部57と凹部35,35が設けられている。
【0095】
一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸方向縦断面において、厚さ変化部52最小厚さ寸法は、針ハブ18の先端部分24の厚さ寸法以上とされている。換言すれば、厚さ変化部52は、当該縦断面において、針ハブ18の先端部分24よりも薄肉の箇所を有していない。本実施形態では、当該断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法は、針ハブ18の先端部分24における先端係止部28,28が形成された部分の厚さ寸法と略同じとされている。これによれば、厚さ変化部52の厚さ寸法が確保されて、針ハブ18の基端部分34の強度が確保される。また、比較的に薄肉とされる針ハブ18の先端部分24は、針先プロテクタ14に挿入される部分であることから、外力の作用による損傷などが問題になり難く、特に針固定部26は、穿刺針16が挿入されることで補強されて、耐荷重性能が容易に確保される。
【0096】
針ハブ18の先端部分24には、一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸方向縦断面において外側へ突出する一対のガイド突条32,32が設けられており、当該断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法が、針ハブ18の先端部分24における一対のガイド突条32,32を含む厚さ寸法以上とされていることが望ましい。これによれば、厚さ変化部52を備える基端部分34の厚さ寸法が確保されて、耐荷重性能を確保することができる。なお、本実施形態では、当該断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法が、針ハブ18の先端部分24における一対のガイド突条32,32が設けられた部分の厚さ寸法と略同じとされているが、針ハブ18の先端部分24における一対のガイド突条32,32が設けられた部分の厚さ寸法よりも大きくされていても良い。
【0097】
厚さ変化部52の軸方向長さ寸法は、針ハブ18全体の軸方向長さ寸法に対して、3%以上とされていることが望ましく、より好適には5%以上とされる。また、厚さ変化部52の軸方向長さ寸法は、好適には管路接続部36の軸方向長さ寸法よりも小さくされる。
【0098】
接続穴38を備える管路接続部36よりも先端側に厚さ変化部52が設けられていることによって、管路接続部36における接続穴38の底部40側の外周角部は、図3に示す一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、比較的に厚肉とされている。これにより、接続穴38の底部40側の外周角部は、針ハブ18において最も薄肉とされた部分にはなっていない。即ち、針ハブ18において最も薄肉とされた部分は、接続穴38の底部40側の外周角部を外れた位置に設けられており、本実施形態では管路接続部36において接続穴38の周壁部の軸方向中間部分に設けられている。なお、針ハブ18において最も薄肉とされた部分は、必ずしも針ハブ18の基端部分34に設けられていなくても良く、例えば、針ハブ18の先端部分24の先部31に設けられ得る。
【0099】
図2に示す一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、厚さ変化部52の厚さ寸法は、針ハブ18の先端部分24の厚さ寸法よりも大きくされている。特に、当該縦断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法が、先端部分24における先部31の厚さ寸法以上とされている。これにより、先端部分24に比して外力の影響を受け易い針ハブ18の基端部分34において、厚さ変化部52の厚さ寸法の変化による耐荷重強度の向上が図られている。なお、凹状部56の最深部における厚さ変化部52の厚さ寸法は、先端部分24(規制部としての係止突起30,30を除く先端部分24)の厚さ寸法よりも大きくされている。また、規制部における針ハブ18の厚さ寸法よりも小さくされている。なお、凹状部56における厚さ変化部52の厚さ寸法は、規制部としての係止突起30,30を除く先端部分24の厚さ寸法よりも小さくされていても良く、規制部における針ハブ18の厚さ寸法よりも大きくされていても良い。凹状部56の最深部における厚さ変化部52の軸直角方向の外寸は、先端部分24の外寸よりも大きくされている。
【0100】
図3に示す一対の係合腕46,46の対向方向と直交する軸方向縦断面において、厚さ変化部52の厚さ寸法は、規制部としての先端係止部28を含む針ハブ18の先端部分24の厚さ寸法よりも大きくされている。特に、当該縦断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法が、先端部分24における先部31の厚さ寸法よりも大きくされている。これにより、先端部分24に比して外力の影響を受け易い針ハブ18の基端部分34において、厚さ変化部52の厚さ寸法の変化による耐荷重強度の向上が図られている。なお、厚さ変化部52は、図2図3の何れの軸方向縦断面においても、少なくとも一部が先端部分24よりも厚肉とされていれば良く、厚さ変化部52の全体が先端部分24よりも厚肉である必要はない。
【0101】
厚さ変化部52は、接続ポート44よりも外寸が大きくされている。換言すれば、接続ポート44の外周面は、厚さ変化部52の外周面よりも内側に位置している。図2に示すように、接続ポート44は、厚さ変化部52に対して軸方向で外れた位置に設けられていても良い。接続ポート44は、厚さ変化部52に対して少なくとも一部が軸方向で同じ位置となるように、厚さ変化部52の内周に設けられていても良い。
【0102】
針先プロテクタ14は、図1~4に示すように、全体として針軸方向に延びる略筒形状とされており、例えばポリプロピレンやポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、MBS樹脂などの硬質の合成樹脂により一体成形されている。針先プロテクタ14は、好適には、可視光の透過を許容する透明乃至は半透明とされている。針先プロテクタ14は、筒状の周壁58を備えており、周壁58の内周には針軸方向に貫通する内孔60が形成されている。
【0103】
周壁58は、先端側が略真円環形状の断面を有する円筒状部62とされていると共に、基端側が円筒状部62よりも大径で外周に広がる拡大部としての拡径部64とされており、針軸方向で形状が異ならされている。
【0104】
拡径部64は、略楕円筒形状とされており、小径方向である図4中の上下方向(縦方向)における外周面の幅寸法に比べて、大径方向である図4中の左右方向(横方向)における外周面の幅寸法の方が大きくされている。拡径部64を構成する壁部のうち、縦方向の壁部を構成する部分が小径部66,66とされている一方、横方向の壁部を構成する部分が大径部68,68とされている。そして、小径部66,66の対向方向と、大径部68,68の対向方向とが、互いに略直交している。拡径部64の内周には、縦方向寸法より横方向寸法の方が大きい扁平形状の断面を有する内部空間70が、針先プロテクタ14を貫通する内孔60の基端部分に形成されている。内部空間70は、横方向の内法寸法が基端側に向かって次第に大きくなっている。
【0105】
大径部68,68には、板厚方向で貫通する係合部としての貫通窓72,72が形成されている。貫通窓72,72の周方向寸法は、フック48,48の周方向寸法よりも大きくされている。
【0106】
周壁58は、円筒状部62から基端側へ向かって突出する一対の係止片74,74が設けられている。係止片74,74は、大径部68,68に対応する位置に配置されており、横方向で対向して設けられて、周方向で相互に離隔している。係止片74,74は、円筒状部62につながる先端部分が略針軸方向と平行に延びており、基端部分が基端側に向かって対向方向である横方向の内側へ傾斜するテーパ形状とされている。係止片74,74は、それぞれ周方向に湾曲している。係止片74,74の突出先端における径方向での対向面間距離は、先端部分24の外径寸法よりも僅かに大きくされている。
【0107】
また、係止片74,74の突出先端(針軸方向の基端)は、拡径部64の基端よりも針軸方向で先端側に位置している。従って、係止片74,74の全体が、拡径部64の内部空間70に収容されている。
【0108】
拡径部64の内周には、一対の側壁部76,76が設けられている。側壁部76,76は、図3,4に示すように、それぞれ縦方向と略直交する方向に広がる平板状とされており、縦方向で所定の距離を隔てて対向配置されている。従って、一対の側壁部76,76の対向方向は、一対の係止片74,74の対向方向と略直交している。
【0109】
側壁部76,76は、周壁58の拡径部64に対して内周側に離れて設けられている。これにより、側壁部76,76と拡径部64の小径部66,66との間には、少なくとも小径部66,66の周方向中央部分において隙間78,78が形成されている。側壁部76,76は、係止片74,74の基端よりも先端側に設けられている。本実施形態の側壁部76,76の距離は、針ハブ18の先端部分24の外径寸法と略等しくされている。
【0110】
各側壁部76は、一対の板ばね80,80によって構成されており、厚さ方向に弾性変形可能とされている。板ばね80,80は、拡径部64の大径部68,68に一体形成されており、大径部68,68から横方向の内側に向かって突出している。板ばね80,80は、突出先端が横方向で相互に離隔しており、突出先端間を軸方向に延びるスリット82が形成されている。後述する穿刺用針体12が針先プロテクタ14に挿通された状態において、針ハブ18のガイド突条32がスリット82に差し入れられており、ガイド突条32がスリット82内を移動することで、穿刺用針体12が針先プロテクタ14に対して軸方向に案内される。
【0111】
針先プロテクタ14の先端部分には、図1に示すように、翼状部84が設けられている。翼状部84は、例えば軟質の合成樹脂により形成されている。翼状部84は、筒状の嵌合筒部86に対して、板状の連結部88,88が嵌合筒部86の接線方向に突出して一体形成されていると共に、連結部88,88の嵌合筒部86からの突出先端側にそれぞれ翼本体90が一体形成されている。翼状部84は、嵌合筒部86が円筒状部62の先端部分に外嵌されることによって、針先プロテクタ14の周壁58に取り付けられている。
【0112】
針先プロテクタ14の内孔60に対して穿刺用針体12が基端側の開口部から挿通されることにより、針先プロテクタ14が穿刺用針体12に外挿装着されて、針組立体10が構成されている。図1などに示す針組立体10の使用前の初期状態では、針先プロテクタ14は、穿刺用針体12に対して、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14よりも先端側に露出する穿刺位置に位置している。針先プロテクタ14が穿刺用針体12に対して穿刺位置に位置する初期状態では、針ハブ18の先部31が針先プロテクタ14に収容されて、先部31が針先プロテクタ14の係止片74,74の間に挿通されている。従って、初期状態において、先部31の少なくとも一部が、基端面よりも先端側に位置している。管路接続部36は、針先プロテクタ14よりも基端側に突出した位置に設けられており、針先プロテクタ14から露出している。なお、管路接続部36の段差状部57,57が針先プロテクタ14の基端面に軸方向で当接することによって、穿刺用針体12と針先プロテクタ14が軸方向で相対的に位置決めされている。
【0113】
この初期状態では、図2に示すように、針先プロテクタ14の拡径部64に設けられた貫通窓72,72に対して、針ハブ18の係合腕46,46に設けられたフック48,48が入り込んで係合されている。これにより、針先プロテクタ14と針ハブ18が連結状態とされて、針先20の突出状態が維持されると共に、例えば翼状部84を持って穿刺を行う際に、穿刺時の抵抗等による穿刺針16の針軸方向基端側への移動が規制される。
【0114】
針組立体10の初期状態では、針先プロテクタ14の係止片74,74の突出先端部が、先端部分24の外周面に対して僅かに離隔している。なお、係止片74,74は、先端部分24の外周面に当接していても良く、それによって僅かに外周側に押されていても良い。
【0115】
針組立体10の初期状態において、穿刺用針体12の針ハブ18における厚さ変化部52は、穿刺位置に位置した針先プロテクタ14の係止片74,74よりも基端側に設けられている。従って、針ハブ18において針先プロテクタ14によって保護されない部分に厚さ変化部52が設けられている。それ故、厚さ変化部52において、厚さ寸法の変化による応力の分散化や補強などによって耐荷重性能の強化が図られることにより、針ハブ18の折れなどの損傷が効果的に防止される。
【0116】
しかも、厚さ変化部52は、管路接続部36において外部管路49が挿入される接続穴38よりも先端側に設けられており、外部管路49によって補強されることもない。それ故、厚さ変化部52は、針ハブ18において損傷し易い部分に設けられており、厚さ変化部52の補強作用や応力分散作用などによって、針ハブ18の耐荷重強度の向上が効果的に図られる。
【0117】
小径の先端部分24とそれよりも大径の管路接続部36とをつなぐ中間部51や、針先プロテクタ14から露出した管路接続部36に対して、厚さ変化部52が設けられていることにより、針ハブ18において損傷が生じやすい部分において応力の集中が抑えられており、針ハブ18の耐荷重性能の向上が図られる。
【0118】
針組立体10は、穿刺針16を患者の血管に穿刺して穿刺用針体12を留置することにより、流体流路50を通じての輸液や採血、血液透析に供される。なお、本実施形態の針組立体10では翼状部84が設けられていることから、例えば翼状部84を摘まみつつ、穿刺用針体12の穿刺針16を穿刺することが可能となる。穿刺用針体12を穿刺状態で留置する際には、翼状部84の位置でテープ固定することにより、皮膚に対して広い接触面積をもって固定することができる。
【0119】
穿刺用針体12を抜去する場合には、翼状部84において針先プロテクタ14がテープ固定された状態のまま、針ハブ18における係合腕46,46が手指で内側へ押圧される。これにより、フック48,48と貫通窓72,72との係止が解除されて、穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して基端側へ移動させることが可能となる。穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して基端側へ移動させて穿刺針16を皮膚から抜去することで、針先プロテクタ14が穿刺用針体12に対して針先20側に移動する。このように、穿刺位置における穿刺用針体12と針先プロテクタ14の一対の係合腕46,46による連結は、一対の係合腕46,46の操作によって解除可能とされており、連結の解除によって穿刺用針体12と針先プロテクタ14が軸方向で相対的に移動可能とされる。
【0120】
針ハブ18が厚さ寸法の変化する厚さ変化部52を備えていることにより、一対の係合腕46,46に係合を解除するための操作力が及ぼされる際に、厚さ変化部52における軸方向の剛性の変化などによって、応力の分散化などが図られる。その結果、針ハブ18の耐荷重性能の向上が図られて、操作力の作用による針ハブ18の損傷が回避される。
【0121】
厚さ変化部52は、穿刺針16が固定される先端部分24と、外部管路49が接続される基端部分34の管路接続部36とを軸方向に外れて位置しており、それら先端部分24と管路接続部36の間に設けられている。これにより、針ハブ18において穿刺針16と外部管路49の何れによっても補強されない損傷し易い部分において、厚さ変化部52による補強や応力の分散化が図られており、針ハブ18の耐荷重強度の向上が効率的に実現される。
【0122】
厚さ変化部52は、針先プロテクタ14に挿通可能とするために外径寸法に制約がある針固定部26と、外部管路49を挿入可能とするために内径寸法に制約がある管路接続部36とを、何れも外れた部分に設けられている。これにより、厚さ変化部52において、厚さ寸法を大きな自由度で変化させることが可能とされており、特に厚肉化が許容され易くなる。
【0123】
針ハブ18の基端部分34は、接続穴38が形成されており、接続穴38の底部40側の外周角部において応力が集中し易く、外力の作用時に損傷がし易い。そこで、針ハブ18は、一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において最も薄肉とされた部分が、接続穴38の底部40側の外周角部を外れて、接続穴38の周壁部の軸方向中間部分に設けられている。これにより、薄くされた接続穴38の周壁部の軸方向中間部分に応力が分散して、接続穴38の底部40側の外周角部における応力集中が緩和され、針ハブ18の耐荷重強度の向上が図られている。
【0124】
図5に示すように、穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して所定の保護位置まで後退移動させる(穿刺用針体12の針先20側へ針先プロテクタ14を前進移動させる)ことにより、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14の内周へ収容されて覆われる。更に、針先プロテクタ14が穿刺用針体12に対して保護位置まで移動する際に、係止片74,74の自由端が規制部としての一対の係止突起30,30を乗り越えて先端側に移動することで、弾性的に形状復元した係止片74,74が一対の係止突起30,30に対して先端側に位置する。そして、穿刺用針体12が針先プロテクタ14に対して先端側へ相対移動しようとすると、一対の係止片74,74の基端面が一対の係止突起30,30の先端面に当接して係止される。これにより、穿刺用針体12の針先プロテクタ14に対する先端側への移動が、一対の係止片74,74と一対の係止突起30,30の係止によって制限されて、穿刺用針体12の針先20の再露出が阻止される。
【0125】
穿刺用針体12が保護位置にある針先プロテクタ14に対して更に基端側へ移動しようとすると、穿刺用針体12の針ハブ18に設けられた先端係止部28が、針先プロテクタ14の側壁部76,76に対して軸方向で当接して係止される。これにより、穿刺用針体12の基端側への移動が制限されて、穿刺用針体12の針先プロテクタ14に対する基端側への抜出しが阻止される。このように、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14によって保護された状態において、穿刺用針体12の針先プロテクタ14に対する移動が、先端側と基端側の両側において制限されており、針先プロテクタ14による針先20の保護状態が維持される。
【0126】
本実施形態では一対の係止片74,74が設けられており、係止片74,74が針先プロテクタ14の周壁58に一体成形されていることとも相俟って、係止片74,74と係止突起30,30が係止される際に、針先プロテクタ14が穿刺用針体12に対してがたつく等の不具合が効果的に防止され得る。このように、係止片74を2つ、又は3つ以上設けることで、針先プロテクタ14における穿刺用針体12に対する基端側への後退がより確実に阻止されて、針先20の再露出防止効果が一層安定して発揮され得る。この場合、複数の係止片74は、針先プロテクタ14の中心軸に対して略対称に配置されることが好ましい。
【0127】
穿刺用針体12の針先20が針先プロテクタ14で保護された状態において、翼状部84のテープ固定を解除して、針組立体10を患者から取り外す。尤も、針先20の保護の手順は上記の手順に限定されるものではない。具体的には、例えば、翼状部84におけるテープ固定を解除し、針組立体10の全体を後退移動させて穿刺針16を血管から抜去した後、穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して後退移動させることで、穿刺針16の針先20が保護されるようにしても良い。
【0128】
図6には、第2の実施形態としての針組立体100の基端部分が示されている。以下の説明において、第1の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0129】
針組立体100を構成する穿刺用針体102の針ハブ103は、基端部分104の厚さ変化部106が、一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、前記第1の実施形態とは異なる形状とされている。即ち、厚さ変化部106は、先端部分がテーパ状部54とされていると共に、基端部分が外周へ向かって凸となる半円形断面の凸状部108とされている。これにより、厚さ変化部106は、テーパ状部54において先端側から基端側へ向かって厚肉になると共に、凸状部108において軸方向中央部分に向かって厚肉となるように、厚さ寸法が変化している。
【0130】
本実施形態によれば、厚さ変化部106が凹状部56に代えて凸状部108を備えることで、厚さ変化部106の厚さ寸法がより大きくされており、厚さ変化部106における針ハブ103の耐荷重強度の更なる向上が図られる。本実施形態に示すように、厚さ変化部は、凸状部を含んで構成され得る。凸状部108がテーパ状部54の基端側に設けられている例を示したが、先端側に設けられていても良い。
【0131】
厚さ変化部106は、凸状部108を備えていることによって、少なくとも凸状部108の形成部分の外寸が、管路接続部36の外寸よりも大きくなっている。換言すれば、管路接続部36の外寸は、厚さ変化部106における凸状部108の形成部分の外寸以下とされている。
【0132】
図7には、第3の実施形態としての針組立体110の基端部分が示されている。針組立体110を構成する穿刺用針体112の針ハブ113は、基端部分114の厚さ変化部116を備えている。厚さ変化部116は、全体がテーパ状部54とされており、先端側から基端側へ向かって次第に厚肉になっている。このような本態様の厚さ変化部116によっても、応力の分散化による針ハブ113の耐荷重強度の向上が図られる。
【0133】
図8には、第4の実施形態としての針組立体120の基端部分が示されている。針組立体120を構成する穿刺用針体122の針ハブ123は、基端部分124の厚さ変化部126を備えている。図8,9に示すように、厚さ変化部126は、先端側が小径先端部128とされていると共に、基端側が大径基端部130とされており、それら小径先端部128と大径基端部130の接続部分の外周面に段差状部132が形成されている。要するに、本実施形態の厚さ変化部126は、小径先端部128と大径基端部130の境界部分に設けられた段差状部132によって、厚さ寸法が軸方向で段階的に変化している。本実施形態の厚さ変化部126は、厚さ寸法が軸方向で2段階に変化しているが、例えば、厚さ寸法が軸方向の一か所でのみ変化していても良いし、軸方向で3段階以上に変化していても良い。
【0134】
本実施形態によれば、大径基端部130において厚さ寸法がより大きく確保されており、厚さ変化部126の大径基端部130において、針ハブ123の耐荷重強度の更なる向上が図られる。特に、図8に示すように、穿刺用針体122が針先プロテクタ14に連結された初期状態において、小径先端部128が針先プロテクタ14に挿入されていると共に、大径基端部130が針先プロテクタ14から基端側へ露出している。従って、針先プロテクタ14によって保護され難い大径基端部130が厚肉とされていることで、厚さ変化部126において耐荷重強度を確保することができる。本実施形態にも示すように、厚さ変化部は、段差状部を含んで構成され得る。
【0135】
図10には、第5の実施形態としての針組立体140の基端部分が示されている。針組立体140を構成する穿刺用針体142は、針ハブ143の先端部分144に厚さ変化部146が設けられている。厚さ変化部146は、先端部分144において穿刺針16を基端側に外れた先部31に設けられている。厚さ変化部146は、先部31の外周面において、一対の係合腕46,46の対向方向に開口する凹状部148,148と、一対の係合腕46,46の対向方向に突出する凸状部150,150とを有している。本実施形態では、先部31の厚さ変化部146に加えて、中間部51及び管路接続部36の厚さ変化部52も設けられているが、例えば、先部31の厚さ変化部146だけが設けられて、厚さ変化部52はなくても良い。また、先部31の厚さ変化部146は、前記第1の実施形態に示した基端部分34に設けられた厚さ変化部52と同様に、凸状部、凹状部、テーパ状部、段差状部の少なくとも1つを含んで構成されることが望ましい。本実施形態の厚さ変化部146は、凹状部148,148の形成部分において厚さ寸法が最小となっており、厚さ変化部146の最小厚さ部分が針ハブ143の先端部分144に設けられている。
【0136】
このような本実施形態に従う構造とされた針組立体140においても、応力の分散化や補強作用などによる針ハブ143の耐荷重性能の向上が図られ得る。また、本実施形態では、一対の係合腕46,46を通る一対の係合腕46,46の対向方向と平行な軸方向縦断面において、針ハブ143の厚さ寸法が最小となる部分が、先部31の凹状部148,148が設けられた部分とされている。これにより、例えば、基端部分34に一対の係合腕46,46の操作力などの外力が及ぼされる場合に、先部31への応力の分散化が図られる。
【0137】
一対の係合腕46,46を通る軸方向縦断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法が、針ハブ18における厚さ変化部52より先端側の厚さ寸法以下とされていても良い。この場合、厚さ変化部52より先端側の少なくとも一部における外寸が、厚さ変化部52の外寸以上とされ得る。これによれば、針ハブ18が脆弱となり易い上記箇所を補強でき、針ハブ18の強度性能が向上する。また、厚さ変化部52が基端側に向かって厚肉となる場合において、針ハブ18の外寸は、厚さ変化部52の基端側で厚さ変化部52における外寸以下となるように構成しても良い。このように構成することで、針ハブ18の基端よりも厚さ変化部52の方が厚肉となり易く、針ハブ18が脆弱となり易い上記箇所を補強でき、針ハブ18の強度性能が向上する。
【0138】
厚さ変化部52が、針軸方向と平行且つ腕部を通る軸方向縦断面において厚さ寸法が変化する部分を有し、針軸方向と平行且つ係合腕46,46を通る軸方向縦断面において、厚さ変化部52の最小厚さ寸法が針ハブ18の厚さ変化部52より先端側の厚さ寸法以下とされており、厚さ変化部52は最小厚さ寸法部分より先端側に凸状部と凹状部と傾斜部のうち少なくとも1つを備えていても良い。厚さ変化部52が凹状部を備えることにより、厚さ変化部52の厚さ寸法が針ハブ18の先端側の厚さ寸法以下である箇所に加え、薄肉となり易い部分を更に設けることができて、それら薄肉となり易い部分に作用する外力を分散化させてそれぞれ小さくすることができる。その結果、針ハブ18の強度性能が向上する。
【0139】
図11に示す態様では、針ハブ160の先端部分の外周面に開口する凹所162が形成されている。凹所162は、例えば周方向に延びる溝状であって、基端側の溝内側面が軸直角方向に広がる基端側係止面164とされている。そして、針先プロテクタ14から穿刺用針体12が基端側へ引き抜かれて、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14によって保護される状態において、針先プロテクタ14の係止片74,74が凹所162に入り込むようになっている。これにより、針先プロテクタ14を穿刺用針体12に対して基端側へ移動させようとしても、係止片74,74が凹所162の基端側係止面164に当接して、針先プロテクタ14の移動が制限される。その結果、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14よりも先端側へ再突出するのを防止されて、針先20の保護状態が維持される。
【0140】
図11の構造では、厚さ変化部52の最小厚さ寸法が、針固定部26における凹所162の形成部分の厚さ寸法以上とされている。これにより、厚さ変化部52を備える針ハブ160の基端部分34の厚さ寸法が十分に確保されており、外力が作用し易い針ハブ160の基端部分34の強度が確保される。なお、針固定部26は、穿刺針16が挿入されて補強されていることから、凹所162が形成されて部分的に薄肉とされていても、十分な強度が確保される。
【0141】
図12に示す針ハブ170では、厚さ変化部172の薄肉となり易い最小厚さ部分(ここでは、接続穴38の外周角部)よりも先端側と基端側に、第1の傾斜部174と第2の傾斜部176を有している。第1の傾斜部174は、基端側に向かって次第に外側へ傾斜する第1の傾斜面178を有している。第2の傾斜部176は、基端側に向かって次第に外側へ傾斜する第2の傾斜面180を有している。第1の傾斜面178と第2の傾斜面180は、互いに異なる傾斜を有しており、例えば本実施形態では、先端側の第1の傾斜面178の傾斜角度が、基端側の第2の傾斜面180の傾斜角度よりも小さくされている。これによれば、厚さ変化部172の最小厚さ寸法部分に加えて、第1の傾斜面178及び第2の傾斜面180の境界部分にも薄肉となり易い谷状の部分を設けることができて、応力の分散化による強度性能の向上が図られる。なお、図12の構造では、第1の傾斜面178と第2の傾斜面180の境界部分は、接続穴38の底面よりも先端側に位置している。
【0142】
第1の傾斜面178の傾斜角度が第2の傾斜面180の傾斜角度よりも大きくされていても良く、その場合には、第1の傾斜面178と第2の傾斜面180の境界部分の山状部分が、接続穴38の底部40側の外周角部に設けられる。その結果、接続穴38の形成によって薄肉となり易い部分が、外周側に厚肉とされて補強される。
【0143】
また、図12に示す態様では、穿刺針16が固定された針固定部26と管路接続部36とが、針軸方向で近接して設けられている。即ち、図12の構造では、針ハブ18の軸方向全長に亘って穿刺針16と外部管路49の何れかが挿入されており、それら穿刺針16と外部管路49が何れも挿入されていない部分がない。このようにすれば、針ハブ18の軸方向全長に亘って穿刺針16と外部管路49による補強効果を得ることができて、針ハブ18の耐荷重性の向上が図られる。
【0144】
図12では、厚さ変化部172が針固定部26と管路接続部36に設けられている。これによれば、厚さ変化部172が針ハブ18の針固定部26よりも薄肉となる場合に、針ハブ18の補強をすることができて、厚さ変化部172が針ハブ18の針固定部26よりも厚肉となる場合には、針ハブ18の強度が更に向上する。なお、針固定部26と管路接続部36の間には、前記実施形態のように穿刺針16と外部管路49の何れも挿入されていない先部31や中間部51が設けられている場合にも、例えば先部31や中間部51の軸方向長さが十分に短い場合には、針固定部26と管路接続部36が実質的に近接して設けられているとみなすことができる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、厚さ変化部52は、穿刺用針体12と針先プロテクタ14が連結された針組立体10の初期状態において、針先プロテクタ14に収容される部分に設けられていても良い。厚さ変化部52は、少なくとも一部が一対の係合腕46,46よりも先端側に位置していても良い。厚さ変化部52は、針ハブ18の基端部分に設けられることが望ましいが、例えば、先端部分24のような針ハブ18の先端部分に設けられていても良い。
【0146】
前記実施形態の厚さ変化部52は、内径寸法が略一定とされており、外径寸法の変化によって厚さ寸法が変化していたが、例えば、内径寸法が軸方向で変化することによって、厚さ変化部の厚さ寸法の変化が実現されていても良い。厚さ変化部52における厚さ寸法の変化は、必ずしも先端部分24よりも厚肉となる変化に限定されず、先端部分24よりも薄肉となる変化とされ得る。厚さ変化部52は、厚さ寸法が全周に亘って軸方向で変化していることが望ましいが、例えば、周方向で部分的に厚さ変化部52が設けられており、厚さ変化部52を周方向で外れた部分では厚さ寸法を軸方向で略一定とすることもできる。
【0147】
厚さ変化部52の軸方向長さ寸法は、特に限定されず、針ハブ18の軸方向長さ寸法に対する比も特に限定されない。例えば、厚さ変化部52の軸方向長さ寸法は、管路接続部36の軸方向長さ寸法よりも大きくされ得る。厚さ変化部52は、軸方向の複数箇所に設けられ得る。具体的には、例えば、先部31と基部としての管路接続部36にそれぞれ厚さ変化部52を設けて、先部31の厚さ変化部52と管路接続部36の厚さ変化部52を軸方向で相互に離れて位置させることもできる。
【0148】
厚さ変化部52は、テーパ状部54と、凹状部56と、凸状部108と、段差状部132との少なくとも1つを備えていることが望ましく、厚さ変化部52をそれらの1種類で構成することもできるし、複数種類の組み合わせによって構成することもできる。なお、テーパ状部54は、針ハブ18の基端側から先端側に向かって次第に厚さ寸法が大きくなっても良い。また、段差状部132に対する基端側が先端側よりも小径となっていても良い。
【0149】
また、明細書に開示した発明の技術思想は、前述したように、外力の作用に対する針ハブの耐荷重強度の確保であり、特に好適には針ハブの基端部分の強度を向上し得る新規な態様にある。かかる観点から、請求項に記載の厚さ変化部の他、例えば厚さを同等にしても、軸方向において径寸法を変化させることで、強度特性に支配的な断面係数を変化させることで、作用外力に対して発生する応力の軸方向への分散を図ることも可能である。
【符号の説明】
【0150】
10,100,110,120,140 針組立体
12,102,112,122,142 穿刺用針体
14 針先プロテクタ
16 穿刺針
18,103,113,123,143,160,170 針ハブ
20 針先
24,144 先端部分
26 針固定部
28 先端係止部
30 係止突起
31 先部
32 ガイド突条
34,104,114,124 基端部分
35 凹部(凹状部)
36 管路接続部(基部)
38 接続穴
40 底部
44 接続ポート(軸部)
46 係合腕(腕部)
48 フック
49 外部管路
50 流体流路
51 中間部
52,106,116,126,146,172 厚さ変化部
54 テーパ状部
56,148 凹状部
57,132 段差状部
58 周壁
60 内孔
62 円筒状部
64 拡径部
66 小径部
68 大径部
70 内部空間
72 貫通窓
74 係止片
76 側壁部
78 隙間
80 板ばね
82 スリット
84 翼状部
86 嵌合筒部
88 連結部
90 翼本体
108,150 凸状部
128 小径先端部
130 大径基端部
162 凹所
164 基端側係止面
174 第1の傾斜部
176 第2の傾斜部
178 第1の傾斜面
180 第2の傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11
図12