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特許7558497広告配信装置、広告配信方法およびプログラム
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  • 特許-広告配信装置、広告配信方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】広告配信装置、広告配信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240924BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020077469
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021174235
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】509286983
【氏名又は名称】株式会社ロイヤリティマーケティング
(73)【特許権者】
【識別番号】514235341
【氏名又は名称】株式会社スマートドライブ
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】上原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 ありさ
(72)【発明者】
【氏名】石野 真吾
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-180847(JP,A)
【文献】特開2014-086009(JP,A)
【文献】特開2019-053778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持するユーザ端末に広告情報を配信する広告配信装置であって、
車両において収集された前記ユーザの移動データを取得する第1の取得部と、
購入に応じたポイントを前記ユーザに対して付与するポイントサーバから、前記ユーザの購買行動データを取得する第2の取得部と、
前記移動データと前記購買行動データとに基づいて、配信対象とする広告情報を選択する選択部と、
前記広告情報を前記ユーザ端末に配信する配信部と
を備える広告配信装置。
【請求項2】
記選択部は、前記ポイントサーバによって提供されるポイントサービスを利用する提携サービスに関する広告情報を選択する、
請求項1に記載の広告配信装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記提携サービスを提供する店舗のうち、前記移動データから推定される前記ユーザの活動エリアに含まれる店舗において利用可能な特典情報を含む広告情報を選択する、
請求項2に記載の広告配信装置。
【請求項4】
前記第1の取得部は、前記移動データとして、前記ユーザに関連付けられた車両において収集された走行データを取得し、
前記広告配信装置はさらに、
取得した前記走行データに含まれる情報量または情報の内容に応じた対価を、当該走行データが収集された車両に関連付けられたユーザに対して付与する、対価付与部をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の広告配信装置。
【請求項5】
ユーザが所持するユーザ端末に広告情報を配信する広告配信装置が実行する広告配信方法であって、
車両において収集された前記ユーザの移動データを取得することと、
購入に応じたポイントを前記ユーザに対して付与するポイントサーバから、前記ユーザの購買行動データを取得することと、
前記移動データと前記購買行動データとに基づいて、配信対象とする広告情報を選択することと、
前記広告情報を前記ユーザ端末に配信することと
を備える広告配信方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置の各部による処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ユーザが所持するユーザ端末に広告情報を配信する、広告配信装置、広告配信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地方と都心の移動手段における格差(高齢化に伴うマイカー減少やバス輸送人員の減少)、交通渋滞、物流業界における人材不足など、「モビリティ」に関する社会問題が深刻化してきている。このような社会問題に対し、AIやIoTといった最先端テクノロジーを用いて解決が試みられる中、MaaS(Mobility as a Service)のサービス形態が注目されている。MaaSは、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティをひとつのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念とされる(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】国土交通省 国土交通政策研究所、PRI Review 71号、パースペクティブ「MaaSを巡る国内の動向」、2019年冬季、インターネット<URL: https://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/71_1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のサービスでモビリティに係る移動データを提供するユーザは、数が少なく、属性に偏りがあることが多い。したがって、ユーザから提供された移動データをそのまま集客や販売促進を目的とするマーケティングに用いることは十分に行われていなかった。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、移動データを提供するユーザに対して、各ユーザのニーズに沿ったマーケティングを行うことのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明の一態様は、ユーザが所持するユーザ端末に広告情報を配信する広告配信装置にあって、上記ユーザの移動データを取得する第1の取得部と、上記ユーザの購買行動データを取得する第2の取得部と、上記移動データと上記購買行動データとに基づいて配信対象とする広告情報を選択する選択部と、上記広告情報を上記ユーザ端末に配信する配信部とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の一態様によれば、広告配信装置により、ユーザ端末を所持するユーザの移動データと購買行動データとが取得され、移動データと購買行動データとに基づいて広告情報が選択され、ユーザ端末に配信される。したがって、移動データを提供するユーザに対し、移動データのみならず購買行動データをも考慮した、当該ユーザのニーズを反映した広告を提示することができる。
【0008】
すなわち、この発明によれば、移動データを提供するユーザに対して、各ユーザのニーズに沿ったマーケティングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る広告配信装置を備えたシステムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、この発明の一実施形態に係る広告配信装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、この発明の一実施形態に係る広告配信装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、図2に示した広告配信装置による処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図5図5は、図1に示したシステムによるデータ収集の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明に係る実施形態について説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0011】
[一実施形態]
(1)構成
(1-1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係る広告配信装置10を備えたシステム1の全体構成の一例を示す図である。
このシステム1では、広告配信装置10は、商品または役務(以下、「商品等」という。)の購入に付随して商品等との交換に使用できるポイントの発行や、クーポン等の特典を提供するポイントサービスの会員ユーザから移動データを収集する。ポイントサービスは、発行したポイントを会員ユーザに付与し、会員ユーザごとにポイント残高を管理するとともに、ポイント発行に関連する商品等の購入に係る情報や、ポイントの利用または交換等の情報、提供されたクーポン等の特典に係る情報を収集し、管理する。このようなポイントサービスが管理する情報またはデータ全般を、ここでは「購買行動データ」と呼ぶ。広告配信装置10は、会員ユーザの移動データと購買行動データを取得し、取得したデータに基づいて各ユーザのニーズを反映した広告情報を選択し、配信する。特にこの実施形態では、広告配信装置10は、ユーザのモビリティに係る移動データの一例として、当該ユーザに関連付けられた車両の走行データを収集する。
【0012】
図1の例では、システム1は、広告配信装置10と、ポイントサーバ20と、広告管理サーバ30と、ユーザ端末40と、走行データ収集装置51を搭載した車両50とを含む。広告配信装置10は、インターネット、WAN(Wide Area Network)、移動体通信網などを含むネットワークNWを介して、ポイントサーバ20、広告管理サーバ30、およびユーザ端末40との間で情報通信が可能である。
【0013】
車両50は、例えば自動車や原動機付自転車など、ポイントサーバ20が提供するポイントサービスの会員ユーザに関連付けられる車両である。会員ユーザは、車両50の運転者であってもよいし、同乗者であってもよい。車両50は、走行データ収集装置51を搭載している。走行データ収集装置51は、加速度センサやGPSセンサなどのセンサを内蔵し、内蔵センサからデータを収集する。走行データ収集装置51は、車両50のCAN(Controller Area Network)データを収集するように構成されてもよい。走行データは、例えば、加速度、緯度経度、車速、エンジンの回転数、ステアリングの舵角、アクセルペダルやブレーキペダルの操作情報などを含み得る。走行データ収集装置51は、収集した走行データを、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を介してユーザ端末40に送信し、広告配信装置10に転送させる。走行データ収集装置51は、走行データをリアルタイムに、または一定量もしくは一定時間蓄積してから、ユーザ端末40に送信し得る。走行データ収集装置51は、収集した走行データを、ユーザ端末40を介さずに、広告配信装置10に直接送信してもよい。
【0014】
ユーザ端末40は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末など、ポイントサーバ20が提供するポイントサービスの会員ユーザによって所持される、通信機能を有する端末である。ユーザ端末40には、あらかじめ専用のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とも言う)がインストールされ、当該アプリを介して、走行データ収集装置51から受信した走行データを広告配信装置10に送信するとともに、広告配信装置10から配信された広告情報をその表示画面上に表示する。ユーザ端末40には、専用のアプリケーションだけでなく、メールマガジンやポイントサービスアプリから広告情報が配信されてもよい。ユーザ端末40の表示画面に表示される「広告情報」には、新製品の情報、タイムセールの情報、商品等の購入時に提示することで割引やプレゼントを受けられるクーポン、当該広告情報を店舗で提示することによって得られる特別ポイントなど、広告を見たユーザの興味・関心をひきつける、あらゆる情報が含まれ得る。ユーザ端末40は、走行データを一定量または一定時間蓄積してから広告配信装置10に送信し得る。ユーザ端末40から広告配信装置10に送信される走行データは、当該データが計測または収集された日時を表す情報と、送信元のユーザ端末40または走行データ収集装置51の識別情報(ID)とを含み得る。
【0015】
ポイントサーバ20は、商品等の購入に付随して会員ユーザに対してポイントを発行・付与し、会員ユーザごとにポイント残高を管理する、ポイントサービスを提供する。ポイントサーバ20によって提供されるポイントサービスは、特定の店舗や企業で使用できるポイントを扱うものであってもよいし、複数の店舗や企業にわたって使用できる共通ポイントを扱うものであってもよい。ポイントサーバ20は、会員属性データベース(DB)21と、購買行動データベース(DB)22とを含む。
【0016】
会員属性DB21は、ポイントサービスの各会員ユーザに関する属性データを記憶する。属性データは、例えば、会員ユーザの氏名、生年月日、性別、住所、職業等を含み、各会員ユーザのIDに紐づけて記憶される。属性データは、会員ユーザの他の個人情報、例えば、家族構成や嗜好情報等を含んでもよい。
【0017】
購買行動DB22は、ポイント付与の対象となった、各会員ユーザの購買行動に関する購買行動データを記憶する。購買行動データは、例えば、商品等の購入に係る日時、店舗の名称や住所、個々の商品等の名称、単価、合計支払額、付与されたポイント、消費されたポイント等の情報を含み得る。
【0018】
広告管理サーバ30は、自社製品や自店舗の広告を配信したいと望む広告主から受け付けた広告情報に係る広告データを管理する。広告管理サーバ30によって管理される広告データは、広告主の識別情報、広告の対象である店舗や製品の識別情報、割引・プレゼント・特別ポイントなどの特典情報、広告情報を配信する時間帯や配信対象とする会員ユーザの属性を指定する情報などを含み得る。
【0019】
広告配信装置10は、ポイントサーバ20によって提供されるポイントサービスの会員ユーザから走行データを収集し、当該会員ユーザに対して広告情報を配信するもので、例えばサーバコンピュータやパーソナルコンピュータにより構成される。より具体的には、広告配信装置10は、ユーザ端末40から送信された走行データを取得し、取得した走行データに関連付けられる会員ユーザの購買行動データを購買行動DB22から取得する。このとき、広告配信装置10はさらに、当該会員ユーザの会員属性データを会員属性DB21から取得してもよい。そして、広告配信装置10は、取得した走行データと購買行動データ(および会員属性データ)とに基づいて、会員ユーザのニーズに合う広告情報を選択し、ユーザ端末40に配信する。
【0020】
なお、図1では、説明を簡単にするために、車両50、走行データ収集装置51およびユーザ端末40をそれぞれ1つずつ示したが、走行データ収集装置51またはユーザ端末40を介して広告配信装置10に接続可能な車両50は複数あってもよい。広告配信装置10は、複数のユーザ端末40または複数の走行データ収集装置51との間で同時に通信可能であり、また複数のユーザ端末40に対して同時並行して広告情報を配信可能である。
【0021】
(1-2)広告配信装置
(1-2-1)機能構成
図2は、一実施形態に係る広告配信装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
広告配信装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを備えている。
【0022】
通信部11は、例えば1つ以上の有線または無線の通信インタフェースユニットを含んでおり、外部装置との間で情報の送受信を可能にする。有線インタフェースとしては、例えば有線LANが使用され、また無線インタフェースとしては、例えば無線LANやBluetooth(登録商標)などが使用される。通信部11は、ネットワークNWを介して、ユーザ端末40、ポイントサーバ20、および広告管理サーバ30との間でデータの送受信を行う。
【0023】
記憶部13は、記憶媒体として、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込および読み出しが可能な不揮発性メモリを用いたものであり、記憶領域として、プログラム記憶部のほかに、走行データ記憶部131と、会員データ記憶部132と、広告データ記憶部133とを備えている。
【0024】
走行データ記憶部131は、取得した走行データを記憶するために使用される。走行データ記憶部131は、走行データを、例えばユーザ端末40の所有者である会員ユーザのIDに紐づけて記憶する。
【0025】
会員データ記憶部132は、取得した購買行動データおよび属性データ(併せて「会員データ」とも言う)を記憶するために使用される。会員データ記憶部132は、会員データを、例えば会員ユーザのIDに紐づけて記憶する。
【0026】
広告データ記憶部133は、取得した広告データを記憶するために使用される。広告データ記憶部133は、広告データを、例えば、広告主や店舗または製品等のIDに紐づけて記憶する。
【0027】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサと、プログラムメモリと、処理中のデータを一時的に保存する作業用メモリとを備え、広告配信装置10全体の動作を制御する。制御部12は、ソフトウェアによる処理機能部として、走行データ取得部121と、対価付与部122と、購買行動データ取得部123と、属性データ取得部124と、広告データ取得部125と、広告選択部126と、広告配信部127とを備えている。これらの処理機能部は、いずれもプログラムメモリに格納されたアプリケーションプログラムを上記ハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0028】
走行データ取得部121は、ネットワークNWを介してユーザ端末40(または走行データ収集装置51)から送信された走行データを取得し、走行データ記憶部131に記憶させる処理を行う。
【0029】
対価付与部122は、取得した走行データに含まれる情報量または情報の内容に応じた対価を算出し、走行データの取得元である会員ユーザに付与する処理を行う。一実施形態では、対価付与部122により付与される対価は、上記ポイントサーバ20によって提供されるポイントサービスで利用可能なポイント(以下、「対価ポイント」と言う)である。この場合、対価付与部122は、ポイントサーバ20に対し、走行データを提供した会員ユーザに当該対価ポイントを発行し、付与するよう、指示することができる。対価ポイントの発行および付与のタイミングは、任意のタイミングでよい。対価付与部122は、例えば、提供された走行データの情報量に応じたポイント数となるように対価ポイントを算出することができる。
【0030】
購買行動データ取得部123は、ネットワークNWを介してポイントサーバ20の購買行動DB22から必要な購買行動データを取得し、会員データ記憶部132に記憶させる処理を行う。
【0031】
属性データ取得部124は、ネットワークNWを介してポイントサーバ20の会員属性DB21から必要な属性データを取得し、会員データ記憶部132に記憶させる処理を行う。属性データ取得部124は、購買行動データ取得部123と一体化されてもよい。
【0032】
広告データ取得部125は、ネットワークNWを介して広告管理サーバ30から必要な広告データを取得し、広告データ記憶部133に記憶させる処理を行う。広告データ取得部125は、広告情報の選択および配信処理を実行する都度、最新の広告データを広告管理サーバ30から取得してもよい。あるいは広告データ取得部125は、広告管理サーバ30において広告データが新規に作成または更新されるたびに当該データを取得するように構成されてもよい。
【0033】
広告選択部126は、走行データ記憶部131に記憶された走行データ、会員データ記憶部132に記憶された会員データ、および広告データ記憶部133に記憶された広告データを読み出し、広告配信の対象である会員ユーザに対して配信する広告情報を選択する。一実施形態では、広告選択部126は、走行データから会員ユーザの移動や活動の傾向を分析し、会員データから会員ユーザの買い物の傾向や嗜好を分析し、分析に基づいて当該会員ユーザのニーズに沿った広告情報を選択する。
【0034】
広告配信部127は、広告選択部126によって選択された広告情報に基づき、当該広告情報を表示させるための表示情報を生成して、配信先である会員ユーザに紐づけられたユーザ端末40に送信する。
【0035】
(1-2-2)ハードウェア構成
図3は、広告配信装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
広告配信装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、補助記憶装置104、入力装置105、出力装置106、および通信インタフェース(I/F)107を備えている。
【0036】
広告配信装置10の上述した機能は、CPU101がROM103または補助記憶装置104に記憶されたプログラムをRAM102に展開し、このプログラムを実行することにより実現される。CPU101はハードウェアプロセッサの一例である。ハードウェアプロセッサは、CPU101などの汎用プロセッサに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用プロセッサであってもよい。
【0037】
補助記憶装置104は、データを不揮発的に記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を備えたものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSDD(Solid State Drive)であり得る。補助記憶装置104は、上記の走行データ記憶部131、会員データ記憶部132、および広告データ記憶部133を含む記憶部として機能し得る。
【0038】
入力装置105は、例えば、キーボードおよびマウスを備える。出力装置106は、表示装置を備える。入力装置105と出力装置106は、例えば、液晶パネル等の表示デバイスとタッチパッド等の入力デバイスとを組み合わせた、一体型のタッチパネル型装置であってもよい。
【0039】
通信インタフェース107は、外部装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース107は、例えば、LAN(Local Area Network)ポートを備え、例えばLANケーブルを用いてネットワークNWに接続され、ネットワークNWを介して外部装置との間でデータを送受信する。通信インタフェース107は、無線LANモジュールまたはBluetooth(登録商標)モジュールなどの無線モジュールを備えてもよい。
【0040】
広告配信装置10の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部が複数のプロセッサを含んでいてもよい。
【0041】
以上のように、一実施形態に係る広告配信装置10は、車両50において走行データ収集装置51により収集された走行データと、当該車両50に紐づけられた会員ユーザの購買行動データとを取得し、走行データと購買行動データとを掛け合わせて分析することにより、会員ユーザごとに適切な広告情報を選択し、配信する。広告配信装置10は、会員ユーザごとに適切な広告情報を選択する際に、さらに会員ユーザの属性データを用いるように構成されてもよい。
【0042】
マーケティングの一環として広告配信を行う従来のサービスは、多くの場合、ユーザに一方的に情報を配信するものであり、ユーザにとって違和感を生じることも少なくない。また、モビリティに関する移動データを収集する従来のサービスでは、移動データを提供するユーザの属性に偏りがあるため、提供された移動データをそのままマーケティングに活用することは困難であり、限られたユーザに対して限られたサービスしか提供できなかった。
【0043】
これに対し、一実施形態に係る広告配信装置10は、商品等の購入に付随してポイントを発行するポイントサービスを利用する会員ユーザから、移動データを収集する。ポイントサービスは会員ユーザのポイント発行の対象となった購買行動に関連する情報を蓄積しているので、会員ユーザについて、購買行動に関連する情報に加えて、さらに移動データの情報が得られることになる。したがって、広告配信装置10は、購買行動データと移動データを掛け合わせて分析することができ、ユーザの興味や関心に寄り添うアプローチやサービスを提供することができる。
【0044】
以下では、特に、ポイントサーバ20が、複数の店舗や企業をまたいで利用可能な共通ポイントサーバであるものとして説明する。
【0045】
(2)動作
図4は、以上のように構成された広告配信装置10による情報処理手順と処理の内容を示すフローチャートである。
会員ユーザは、あらかじめ専用のアプリケーションプログラムをインストールした認証済みのユーザ端末40を所持しているものとする。また、広告データ記憶部133には、配信対象の広告データがあらかじめ記憶されているものとする。
【0046】
まずステップS1において、広告配信装置10は、走行データ取得部121により、ユーザ端末40から送信された走行データを取得し、走行データ記憶部131に記憶させる。このステップは任意のタイミングでなされてよい。複数のユーザ端末40から走行データが送信される場合も、それぞれ任意のタイミングで取得されてよい。
【0047】
次いでステップS2において、広告配信装置10は、ポイントサーバ20から必要な会員データを取得し、会員ユーザのIDに紐づけて会員データ記憶部132に記憶させる。より詳細には、購買行動データ取得部123が、購買行動DB22から購買行動データを取得し、場合によりさらに属性データ取得部124が、会員属性DB21から属性データを取得する。これらのデータの取得も任意のタイミングでなされてよい。
【0048】
上記のステップS1~S2は、必ずしも時間的に連続して行われる必要はない。ステップS1~S2により必要なデータが取得された後、以下の処理に移行する。
【0049】
ステップS3において、広告配信装置10は、広告選択部126により、走行データ記憶部131に記憶された走行データと、会員データ記憶部132に記憶された会員データと、広告データ記憶部133に記憶された広告データとに基づいて、特定の会員ユーザに配信する広告情報を選択する。
【0050】
一実施形態では、広告選択部126は、特定の会員ユーザのIDに紐づけられた走行データを走行データ記憶部131から読み出し、読み出した走行データから当該会員ユーザの移動に係る情報、例えば、活動エリアや活動時間帯を分析(推定)する。一例として、広告選択部126は、1か月分の当該会員ユーザの走行データを読み出し、走行データに含まれる位置情報に基づいて、走行頻度の高いエリアや走行回数の多い道路を活動エリアとして抽出し得る。走行データは、朝/昼/夜間など、時間帯ごとに集計されてもよい。ここでは、「時間帯」というとき、曜日や祝祭日等の日の区別、季節等の期間の区別を含み得る。
【0051】
また一方、広告選択部126は、上記会員ユーザのIDに紐づけられた購買行動データを会員データ記憶部132から読み出し、読み出した購買行動データから当該会員ユーザの購買行動に係る情報、例えば、買い物や嗜好の傾向を分析(推定)する。一例として、広告選択部126は、1か月分の当該会員ユーザの購買行動データを読み出し、購買行動データに含まれる情報に基づいて、食品、日用品、衣料品、娯楽サービス、医療サービス、金融サービスなどの分類ごとに、購入回数、購入金額、ポイント利用の有無を集計する。または広告選択部126は、さらに、飲料であれば、清涼飲料、炭酸飲料、乳飲料、アルコール飲料など、種類ごとに集計を行ってもよい。あるいは、広告選択部126は、製造者、販売者、または商品名ごとに集計を行ってもよい。購買行動データもまた時間帯(朝/昼/夜間、曜日、季節等)ごとに集計されてもよい。例えば、広告選択部126は、購買行動データから、特定の曜日の特定の時間帯における買い物の傾向を分析することもできる。また、併せ買いされることの多い商品や、同日に購入されることの多い商品等の組合せを分析してもよい。
【0052】
続いて、広告選択部126は、広告データ記憶部133に記憶された広告データを読み出し、特定の会員ユーザについて、走行データと購買行動データに基づいて、配信する広告情報を選択する。
【0053】
例えば、広告選択部126は、会員ユーザの走行データから推定された活動エリア(走行頻度の高いエリア)内にある店舗の広告情報のうち、当該会員ユーザの購買行動データから会員ユーザがよく購入している商品等の広告情報を選択することができる。よく購入している商品等とは、例えば、所定の期間における購入回数がしきい値以上の商品であってもよいし、過去に頻繁に購入していたが直近1週間に購入されていない商品であってもよい。反対に、当該会員ユーザが一度も購入したことのない商品等の広告情報が選択されてもよい。
【0054】
広告選択部126はまた、会員ユーザの走行データから推定された活動時間帯をさらに考慮してもよい。例えば、午前はA町、午後はB町など、時間帯によって異なるエリアを走行する傾向が観察される会員ユーザに対しては、その傾向に応じた広告情報が選択されてもよい。あるいは活動時間帯に基づいて、広告情報の配信タイミングが制御されてもよい。広告選択部126はまた、会員ユーザの属性データ(例えば、性別や年代)にさらに基づいて、広告情報を選択してもよい。例えば、広告主によって広告情報を配信すべき会員ユーザの属性が指定されている場合、広告選択部126は、属性データに基づいて、条件に合致する会員ユーザと広告情報の組合せを選択してもよい。さらに選択される広告情報には、会員ユーザの活動時間帯を考慮した有効期限が含まれてもよい。
【0055】
広告選択部126は、上述したように、会員ユーザの活動エリア内に広告主の店舗が存在する場合に当該店舗の広告情報を選択してもよい。他の例として、広告主の店舗Aと競合する店舗Bが存在し、走行データから会員ユーザが特定の時間帯に店舗Bに立ち寄った実績があると推定される場合に、店舗Bから店舗Aへの誘客を図るため、店舗Aが活動エリア内にあるか否かにかかわらず、当該時間帯に店舗Aに関する広告情報が選択されてもよい。同様に、広告選択部126は、走行データから会員ユーザがランチタイム(11:00~13:00)に特定のコンビニエンスストアCに立ち寄る傾向にあると推定される場合に、ランチタイムには広告主であるコンビニエンスストアDの弁当の広告情報を選択するようにしてもよい。これらの場合にも購買行動データや属性データに基づいてさらに広告情報の絞り込みが行われてよい。例えば、購買行動データからコーヒーの購入頻度が高いと判定された場合、コーヒーに関する広告情報を優先的に選択してもよいし、コーヒーと併せて購入されることが期待されるチョコレートに関する広告情報を選択してもよい。
【0056】
広告選択部126が広告情報を選択する際にどのような基準を用いるかは、広告配信装置10の管理者等により一律に設定されてもよいし、広告主の要望に応じて広告主ごとに設定されてもよい。
【0057】
ステップS5において、広告配信装置10は、広告配信部127により、選択された広告情報を表示させるための表示情報を生成し、ユーザ端末40に配信する。配信のタイミングは任意に設定されてよい。一例として、あらかじめ広告情報ごとに設定された配信時刻にしたがって配信されてもよい。また、広告配信装置10がユーザ端末40の現在位置をリアルタイムで監視し、広告の対象店舗を含むように設定されたジオフェンスへのユーザ端末40の進入が検知されたタイミングで配信を行ってもよい。あるいは単にユーザ端末40が広告の対象店舗から一定距離内に近づいたタイミングで配信を行ってもよい。
【0058】
図5は、一実施形態に係る広告配信装置10を含むシステム1によるデータ収集の概要を示す略図である。
上段では、T11において、例えば店舗61から一定の距離に近づいたタイミングで、車両50のユーザが所持するユーザ端末40に広告情報が配信される(興味・関心)。広告情報は、上述したように、走行データと購買行動データに基づいて選択されるもので、専用のアプリまたは既存のメールマガジンやポイントサービスアプリ等を介してユーザ端末40に配信される。その後、当該ユーザは、広告情報の対象店舗61に来店し(T12)、商品等を購入する(T13)。この購入に伴い、ポイントサーバ20からユーザに対してポイントが付与される(T14)。その後、再び何らかの広告情報がユーザ端末40に配信される(興味・関心)(T15)。このような場合、当該ユーザから走行データおよび購買行動データを収集することにより、広告情報の配信後に店舗61に来店したことに加え、店舗61でどのような商品を購入したかについての詳細な情報も把握することができる。
【0059】
下段では、T21において、上段と同様に車両50のユーザが所持するユーザ端末40に広告情報が配信された(興味・関心)。しかしユーザは、広告情報の対象店舗ではなく類似の店舗(例えば競合店舗)へ来店した(T22)。その後、再び何らかの広告情報がユーザ端末40に配信された(興味・関心)(T23)。このような場合にも、当該ユーザから走行データを収集することにより、広告情報の配信後に店舗61に来店せず類似店舗へ来店したことを把握することができる。
【0060】
システム1は、このような多種多様なデータを、あたかもデータのタンク100であるかのように、収集し、蓄積し、分析する。システム1は、特に、ポイントサービスの会員ユーザからデータを収集できるので、収集したデータの分析により、広告情報を配信した結果、来店または購入に至った場合、広告情報を配信したがユーザが来店または購入に至らなかった場合など、広告情報の配信の効果に関する情報も得ることができる。またこのようなデータを蓄積することにより、走行データや購買行動データを十分に取得できないユーザに対しても、属性、活動、購買行動が類似する他のユーザのニーズから類推して、より適切なマーケティングを行うことができる。したがって、実際に走行データを提供したユーザだけでなく、走行データを提供していないユーザやポイントサービスの会員でないユーザに対しても、例えば性別・年代などが類似するユーザの情報を拡張することによって、よりニーズに沿った広告配信を行うことができる。
【0061】
(3)効果
以上詳述したように、この発明の一実施形態に係る広告配信装置10は、会員ユーザの走行データと購買行動データとに基づいて、当該会員ユーザが所持するユーザ端末40に配信すべき広告情報を選択し、配信する。広告配信装置10は、特に、上述したような購買行動に関わる情報を管理するポイントサーバ20と連携することにより、ポイントサービスの会員ユーザの購買行動データを取得し、さらに会員ユーザから移動データも取得する。これにより、移動データだけでは得られない購買行動に係る詳細な情報(例えば、商品等の名称、区分、時間帯、単価など)と、購買行動データだけでは得られない活動エリアや活動時間帯に係る情報を取得し、適切な広告情報の配信に活用することができる。したがって、広告配信装置10によれば、各ユーザのニーズに沿った、ユーザごとにカスタマイズされた広告情報を配信することができ、より効果的なマーケティング効果をもたらすことが期待される。
【0062】
(4)他の実施形態
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、会員ユーザに関連する車両50から走行データを収集するものとして説明したが、会員ユーザが所持するユーザ端末40自体の位置情報に基づき、ユーザ端末40の移動データをもとに活動エリアや活動時間帯を分析してもよい。また、移動データには、経路探索ツールとの連携などにより、公共交通機関を用いた移動情報が含まれてもよい。広告配信装置10は、同時に複数のユーザ端末40に対し、それぞれの所有者に適した広告情報の選択および配信処理を並行して行うことができる。
【0063】
広告配信装置10が備える各機能部を、複数の装置に分散配置し、これらの装置が互いに連携することにより処理を行うようにしてもよい。また各機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
【0064】
さらに、以上で説明した各処理の流れは、説明した手順に限定されるものではなく、いくつかのステップの順序が入れ替えられてもよいし、いくつかのステップが同時並行で実施されてもよい。また、以上で説明した一連の処理は、時間的に連続して実行される必要はなく、各ステップは任意のタイミングで実行されてもよい。
【0065】
以上で記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウェア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体(記憶媒体)に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブル、データ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。上記装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【0066】
その他、各データの収集タイミングや収集方法、分析方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0067】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0068】
1…システム、10…広告配信装置、11…通信部、12…制御部、13…記憶部、20…ポイントサーバ、21…会員属性データベース(DB)、22…購買行動データベース(DB)、30…広告管理サーバ、40…ユーザ端末、50…車両、51…走行データ収集装置、121…走行データ取得部、122…対価付与部、123…購買行動データ取得部、124…属性データ取得部、125…広告データ取得部、126…広告選択部、127…広告配信部、131…走行データ記憶部、132…会員データ記憶部、133…広告データ記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5