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特許7558502デング熱治療用生薬組成物及びその製造方法
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  • 特許-デング熱治療用生薬組成物及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】デング熱治療用生薬組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9068 20060101AFI20240924BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240924BHJP
   A61K 36/47 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61K36/9068
A61K36/185
A61K36/47
A61P31/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021560585
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 PH2020050014
(87)【国際公開番号】W WO2021071371
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】12019000387
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PH
(73)【特許権者】
【識別番号】521441009
【氏名又は名称】エルマーノ (サン) ミゲル フェブレス コルデロ メディカル エデュケーション ファウンデーション (デ ラ サル メディカル アンド ヘルス サイエンシズ インスティテュート),インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Hermano (San) Miguel Febres Cordero Medical Education Foundation (De La Salle Medical and Health Sciences Institute), Inc.
【住所又は居所原語表記】Governor D. Manguhat Avenue, Dasmarinas, 4114, Philippines
(73)【特許権者】
【識別番号】521441010
【氏名又は名称】ファーマリティクス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PHARMALYTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】3rd Floor Zhang Building, Blk. 9 Lot 13 Metro South Subdivision, Manggahan, Gen. Trias City, Cavite, 4107, Philippines
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】アルヴェロ リタ グレイス
【審査官】清野 千秋
(56)【参考文献】
【文献】Journal of Tropical Medicine,2018年,Vol. 2018, Article ID 2048530,pp. 1-7
【文献】TAYONE, Wilanfranco C. et al.,Anti-dengue potential of Euphorbia hirta Linn.,公益社団法人日本農芸化学会 東北・北海道合同支部大会(東北支部第153回大会) プログラム・講演要旨集,2018年,p. 88,E14
【文献】Trop J Pharm Res,2015年,Vol. 14, No. 8,pp. 1371-1381
【文献】Asian Pac J Trop Dis,2015年,Vol. 5, Suppl. 1,pp. S19-S26
【文献】PH 2/2011/000655 U1,2013年08月23日
【文献】PH 2/2011/000656 U1,2013年08月23日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/9068
A61K 36/185
A61K 36/47
A61P 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デング熱治療のための生薬組成物であって、植物成分である、
(a)オオバナサルスベリの葉部を乾燥させて微粉末にしたもの
(b)シマニシキソウの地上部を乾燥させて微粉末にしたもの
(c)ショウガの根茎部を乾燥させて微粉末にしたもの
において、前記植物成分(a)、(b)及び(c)のうち種又はと、の固定用量を配合した合剤である、生薬組成物。
【請求項2】
前記生薬組成物であって、
前記植物成分(a)~(c)は出液噴霧乾燥である請求項1記載の前記生薬組成物。
【請求項3】
以下のステップを含む請求項1記載の生薬組成物の製造方法。
(a)未加工の植物成分の水分量を10%以下まで減少させ、空気乾燥又は水装置を使用して乾燥させるステップ
(b)乾燥させた前記植物成分を、レンダー又はミルを用いて粉末化するステップ
(c)前記粉末化された前記植物成分を60メッシュ以上の篩にかけるステップ
(d)ステップ(c)で得られた前記植物成分を、一定の総容量を用いてカプセル化するステップ
【請求項4】
以下のステップを含む請求項2記載の生薬組成物の製造方法。
(a)前記植物成分を出するステップ
(b)前記ステップ(a)で得られた抽出物を噴霧乾燥するステップ、及び
(c)前記ステップ(b)で得られた噴霧乾燥された抽出物を、一定の総用量でカプセル化するステップ、
ここで、前記ステップ(a)の抽出は、蒸留水、70~90体積%のエタノール又はメタノールを含む溶媒、又は水を含むアルコールのいずれかを用いて行われる
【請求項5】
前記カプセル化するステップが、前記植物成分であるオオバナサルスベリ、シマニシキソウびショウガのうちつ又はと、を用いて任意の比率で行われ、
それらの総用量が400mg又は500mgである、請求項3又は4記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デング熱治療用の生薬組成物とその製造に関する。
【背景技術】
【0002】
デング熱は、世界中で最も急速に広まっている蚊が媒介するウイルス性疾患である。過去50年で、新たな国への地理的拡大により発症率は30倍に増加しており、ここ10年間では都市部から農村部へと拡大が続いている。世界的には、デング熱感染のリスクがある人口のうち70%以上にあたる約18億人が、WHO東南アジア地域及び西太平洋地域の加盟国に居住している。これは世界的には、現在のデング熱による疾病負荷の約75%となる。性別が関係する素因はなく、ほとんどの症例は幼い子供であるが、成人の割合も増加の傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デング熱の臨床症状は多岐にわたり、しばしば臨床経過や転帰が予測不可能である。大部分の患者は自己限定性で重症とはならない臨床経過をたどって回復するが、ごく一部の患者は重症化し、その大部分は出血の有無に関わらず血漿漏出することを特徴とする。デング熱は、一次感染に比べて二次感染の方が重症化することが認められている。過去に感染したことのある患者は、免疫応答の増強により、より重篤な疾患になると推測されている。このことは、ワクチン接種ではなく、根治的な薬物治療の必要性を強調している。
【0004】
図1に示すように、デング熱の臨界期におけるイベントの連鎖には、緩和可能な3つの重要な段階、すなわちウイルス増殖の拡大、血管透過性の亢進、血小板数の減少がある。現在のところ、このような病態生理学的状態を緩和する根治的な治療法はない。しかし薬用植物の中には、デング熱の治療に利用できそうな有望な生物活性を示すものがある。

図1
【0005】
オオバナサルスベリ(現地名:バナバ(banaba))は、フィリピンをはじめとする南アジア及び東南アジア原産の半落葉樹である。オオバナサルスベリの葉部からの化合物には、有意な抗ウイルス性があることが調査により明らかとなっている。また、ベロ(Vero)細胞感染モデルを用いたプラーク減少中和試験(PRNT)で評価されているように、オオバナサルスベリの葉部の抽出物がデング熱ウイルスに対して強力な抗ウイルス活性を持つことも調査により明らかとなっている。このような抗ウイルス活性は、デング熱患者のウイルス増殖を抑制するのに利用可能である。
【0006】
ショウガは、フィリピンではルヤ(luya)と呼ばれ、強い芳香を放つ根茎ゆえに広く栽培されている香辛料であり、抗炎症性や抗ウイルス性など豊富な生物活性を有している。オオバナサルスベリの葉部と同様に、ベロ細胞感染モデルを用いたPNRTで評価されているように、ショウガ抽出物はデング熱ウイルスに対して強力な抗ウイルス活性を有する。デング熱治療で注目されるショウガの他の生物活性は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)に対するその活性である。デング熱ウイルスに感染した未成熟樹状細胞が、比較的程度は低いが、可溶性のゼラチン分解性MMP―9及びMMP―2を過剰産生することが調査により明らかとなっており、これらは両方とも血管透過性を亢進させる。血管透過性の緩和は、デング熱の病態生理における重要な「戦場(battlefield)」と考えられている。MMP―9及びMMP―2に対するショウガの活性は、さまざまな癌において広く実証されている。ある研究では、ゼラチンザイモグラフィーにより、デング熱ウイルスに感染したベロ細胞におけるショウガ抽出物のMMP―9及びMMP―2阻害が示されている。従ってショウガの生薬組成物は、ウイルス増殖の減少及びデング熱患者の血管透過性の緩和の両方で利用され得る。
【0007】
シマニシキソウは、フィリピンではタワタワ(tawa―tawa)又はガタスガタス(gatas―gatas)と呼ばれており、血小板数を増加させる効果があるとされ、伝統的にデング熱の治療に使用されてきた。これらの主張(効果)は数多くの研究により科学的に裏付けられている。ある研究では、シマニシキソウを凍結乾燥させた煎じ薬により、エタノール誘発性血小板減少ラットモデルの血小板数が有意に増加した。他の動物モデルでは、シマニシキソウ抽出物が血小板数を80.92%増加させることが実証された。また、シマニシキソウ薬草水(ハーブウォーター)を使用した臨床研究でも、70%の患者で、血小板数、全白血球数(TLC)、発熱、インフルエンザ様症状の改善を示すことが明らかとなっている。従って、シマニシキソウの持つ血小板(数)上昇性を利用することにより、デング熱患者の血小板減少を軽減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
生薬組成物は、オオバナサルスベリの葉部を乾燥させて微粉末にしたものと、シマニシキソウの地上部(aerial parts)を乾燥させて微粉末にしたものと、ショウガの根茎部を乾燥させて微粉末にしたものを用いて、これら3つ全てを配合した合剤として製造される。この製造では、空気乾燥又は市販の脱水装置を使用し、植物試料の水分量を10%以下まで減少させる。それから乾燥試料を市販のブレンダーやミルを用いて粉末化し篩にかけた。No.60メッシュ篩を通過した粒子を、ゼラチン等の適切なカプセルを用いて500mgと400mgのカプセルとした。また別の製剤では、前記生薬組成物は、上記植物材料の、水、エタノール、メタノール、又は水を含むアルコール溶媒(70~90体積%のエタノール及び/又はメタノール)による抽出液を噴霧乾燥させたものを代わりに使用した。
【0009】
製品が薬局方基準を満たしていることを確認するために、さまざまな特性評価と品質管理との試験が実施された。また、薬草製剤の安全性と有効性を評価するために、前臨床試験が実施された。現在、本製品の忍容性、安全性、有効性に関する臨床試験が行われている。
【0010】
(植物採集と加工)
オオバナサルスベリの葉部と、シマニシキソウの地上部と、ショウガの根茎部とを指定された農地から採集した。原料の品質を確保するため、採集時に試料の等級付けを行った。試料は十分に洗浄し、埃やその他付着物を除去した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】デング熱の臨界期におけるイベントの連鎖
【0012】
採集したオオバナサルスベリとシマニシキソウの試料を乾燥床に置き、一晩ないし数日かけて空気乾燥させた。最終段階の乾燥は水分量が10%以下になるまで、市販の脱水装置を用いて40~60℃で行われた。またショウガの根茎部は皮を剥き千切りにした。水分量が10%以下になるまで、市販の脱水装置を用いて40~60℃で乾燥させた。その後、市販のブレンダー又はミルを用いて細かく粉砕した。粉末化した植物試料をNo.60メッシュ篩にかけた。篩を通過した粉末を混合し密閉容器に入れ、カプセル化するまで直射日光を避けて涼しく乾燥した状態で保存した。
【0013】
また別の製剤では、前記生薬組成物は、上記植物材料の、水、エタノール、メタノール、又は水を含むアルコール溶媒(70~90体積%のエタノール及び/又はメタノール)による抽出液を噴霧乾燥させたものを代わりに使用した。
【0014】
(試料の特性評価と品質試験)
フィリピン共和国保健省の「生薬の登録に関するガイドライン」に規定されているパラメータについて、代表試料を分析した。指定されたパラメータの試験手順は、世界保健機関(WHO)の「Quality Control Methods of Medicinal Plant Materials」などの標準的な薬局方ガイドから引用した。これらの試験結果は、補足資料として添付する。
【0015】
(試料のカプセル化)
品質基準に合格した試料を、500mgと400mgとに、適切なカプセルと用いてそれぞれ封入した。3つの試料を配合した合剤の総用量は500mgと400mgであり、比率はさまざまであり得る。製剤に賦形剤は加えなかった。カプセルはブリスター形式に包装するか、もしくは遮光瓶に詰めてもよい(1瓶に30カプセルまで)。
【0016】
(均一性、溶出試験、安定性試験)
代表的カプセルについて、米国薬局方等の薬局方ガイドに記載されているような、投与量の均一性、溶出試験、安定性試験を行う。
【0017】
(前臨床試験)
投与製剤の安全性は、変異原性試験(エームズ(Ames)試験、大核(Macronucleus)試験)、ラットの急性毒性試験、ラットの亜慢性毒性試験により評価した。一方、抗デング熱ウイルス阻害の概念実証は、プラーク減少中和試験で検証した。
【0018】
エームズ試験および小核(Micronucleus)試験は、2004年のDOH DAO no.172シリーズ及び医薬品規制調和国際会議(ICH)に規定されているように、フィリピンで生薬を登録するために必要とされる標準的な変異原性試験である。エームズ試験では、表1及び表2にあるように、サルモネラ菌株T98及びT100で試験した場合、すべての植物試料は事実上非変異原性であることが示された。さらに、表3にあるように、マウスを用いた小核試験で植物試料の非変異原性が証明された。
【0019】
<表1>サルモネラ菌T98に対するオオバナサルスベリ、シマニシキソウ、ショウガのエームズ変異原性試験の結果
【0020】
<表2>サルモネラ菌T100に対するオオバナサルスベリ、シマニシキソウ、ショウガのエームズ変異原性試験の結果
【0021】
<表3>オオバナサルスベリ、シマニシキソウ、ショウガの小核試験の結果
【0022】
雌のスプラーグドーリー(SD)ラットを用いて、経済協力開発機構(OECD)ガイドライン425(上げ下げ法)に記載されている手順に基づいて、薬草製剤の急性毒性を測定した。この試験では、LD50(50%致死量)の計算、ケージサイド観察(体重、体温、毛並み、眼科的所見、中枢神経系―自律神経系および心血管の症状)、また、肉眼及び病理組織学的検査を行い、試験用量レベルでの毒性の兆候を観察又は検証した。その結果、乾燥粉砕したオオバナサルスベリ、ショウガ、シマニシキソウの植物材料及びこれらの1:1:1の配合物は、2000mg/kg BWでは非致死性であることが判明した。この結果では、試験を行った植物は、OECDの定義に基づく安全分類である世界調和システムのレベル5に該当する。短期および長期の観察期間中、毒性の有意な兆候は見られなかった。また血液分析では、総タンパク質、リン、カリウム、塩化物の濃度を除き、各群の臨床パラメータに有意な差は見られなかった。血液学的データによると、WBC、MCV、及びMCHCにおいてのみ、治療の影響が顕著であったことが示唆されている。オオバナサルスベリを投与した群では、他の4群と比較してWBCとMCVが有意に減少した。反対に、MCHCは他の4群に比べて大きく下回る。組織の顕微鏡分析では、試験した植物材料に起因し得る有意な診断上の異常は見られなかった。これらの試験結果は、補足資料として添付する。
【0023】
一方、雄と雌のスプラーグドーリーラットを用いて、米FDAレッドブック亜慢性毒性試験 IV C4に記載されている方法により、製品の亜慢性毒性を測定する。これには、ケージサイド観察、血液学、臨床化学、尿検査ならびに肉眼及び病理組織学的検査が含まれ、試験用量レベルで毒性の兆候を観察又は検証する。オオバナサルスベリ、シマニシキソウ、ショウガ及びそれらの1:1:1の配合物を投与したラットの重要臓器のケージサイド観察及び剖検では、試料に関連する有意な毒性の兆候は見られなかった。体重及び摂食量の変化は、動物の正常な成長段階に起因するものと考えられる。低用量、中用量、高用量の植物試料の血液学的、臨床化学的、及び尿検査パラメータにおける変化の一部は、それぞれのベースライン値及び対照値と比較して統計的に有意であるが、劇的なものではない。データによると、250mg/kg BW、500mg/kg BW及び1000mg/kg BWの用量では、前述した試料の経口投与による薬品注入の0日目から90日目までで、雌と雄両方のスピローグドーリーラットで有意な毒性を生じなかったことを示唆している。上述の試料をラットに日常的に摂取させた場合の潜在的な健康リスクを評価するための生理学的及び生化学的診断試験の結果は、これらの植物を人間が日常的に摂取しても安全である可能性を示している。これらの試験結果は、補足資料として添付する。
【0024】
亜慢性毒性試験の興味深い結果によると、以下の表4乃至11に示すように、雄と雌両方のラットの血小板数は、対照処理群と比較して著しく増加した。これらの前臨床試験結果は、前記植物試料が血小板濃度を上昇させる効能(デング熱が誘発する血小板減少症の治療に不可欠)において、概念実証としての役目を果たしている。
【0025】
<表4>オオバナサルスベリの雌ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0026】
<表5>オオバナサルスベリの雄ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0027】
<表6>シマニシキソウの雌ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0028】
<表7>シマニシキソウの雄ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0029】
<表8>ショウガの雌ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0030】
<表9>ショウガの雄ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0031】
<表10>オオバナサルスベリ、シマニシキソウ、ショウガを1:1:1で配合したものを投与した雌ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0032】
<表11>オオバナサルスベリ、シマニシキソウ、ショウガを1:1:1で配合したものを投与した雄ラット被験体の血小板数の変化(×10^9/L)
【0033】
もう1つの重要な概念実証は、デング熱ウイルス(DV)の複製を阻害する、前述した植物試料の能力である。これは、抗デング熱ウイルス中和抗体(NAb)23の循環濃度を特徴づけ及び定量化する際の「ゴールドスタンダード」と考えられているプラーク減少中和試験(PRNT)でテストした。表12の結果から、デング熱ウイルスに感染したベロ細胞のプラーク形成の大幅に減少させることからも分かるように、すべての植物試料とその組み合わせが、デング熱ウイルス感染を顕著に抑制することが分かった。シマニシキソウ、オオバナサルスベリ及びそれらを1:1で配合したものは、DV1とDV3両方に対して最も強力な阻害作用を示した。
【0034】
<表12>ベロ細胞でテスしたオオバナサルスベリ、シマニシキソウ、ショウガ、及びそれらの配合物のDV1とDV3のプラーク減少の概要
【0035】
(臨床試験)
薬草製剤の安全性及び用量漸増試験は、健康なヒトを対象に、記載の方法により絶食状態で実施する。また、提携病院を受診したデング熱患者に、製剤化された生薬の500mgのカプセル2個を3時間ごとに3日間投与し、終了時の血小板減少および血管不安定性の緩和と、罹病期間と、死亡率とを特定し、プラセボと比較する。
図1