(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/37 20200101AFI20240924BHJP
D06F 39/02 20060101ALI20240924BHJP
D06F 101/20 20200101ALN20240924BHJP
D06F 105/42 20200101ALN20240924BHJP
【FI】
D06F33/37
D06F39/02 Z
D06F39/02 A
D06F101:20
D06F105:42
(21)【出願番号】P 2020132712
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】大槻 太郎
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110528223(CN,A)
【文献】中国実用新案第202193989(CN,U)
【文献】特開2002-045593(JP,A)
【文献】特開2018-122015(JP,A)
【文献】中国実用新案第210907181(CN,U)
【文献】特表2020-509804(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109137357(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108729096(CN,A)
【文献】特開2001-178984(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0156763(US,A1)
【文献】特開2014-108304(JP,A)
【文献】特開2002-360980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/37
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、洗濯物の洗濯が行われる洗濯槽と、
洗濯運転複数回分の洗剤が貯められる洗剤タンクと、
前記洗剤タンク内の洗剤を前記洗濯槽内に投入するための投入機構部と、
洗剤を含む水が溜められる貯水槽を有し、当該貯水槽内の水に浸漬された洗濯物に超音波発生体が発生した超音波を作用させて洗濯物を洗浄する超音波洗浄装置と、
前記投入機構部による洗剤の投入動作を
、前記洗濯槽に投入される洗剤の量が調整できるように制御する制御部と、
洗剤を含む水を前記貯水槽内から前記洗濯槽内へ排出するための排出部と、
前記超音波洗浄装置による洗浄運転に使用した洗剤を洗濯運転に再利用したことを示す再利用信号を
前記制御部に出力する出力部と、を備え、
前記制御部は、
前記出力部から前記制御部に前記再利用信号が出力されたことに基づいて、前記洗濯槽に投入される洗剤の量を
、前記再利用信号が出力されない場合よりも低減させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
洗剤の再利用が行われたときに操作される第1操作部を、さらに備え、
前記出力部は、前記第1操作部が操作されたことに基づいて前記再利用信号を出力する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記再利用信号が出力されたことに基づいて、前記再利用信号が出力されない場合に前記洗濯槽に投入される洗剤の量から前記洗浄運転での洗剤の使用量または当該使用量に基づく量を差し引く、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記洗浄運転での洗剤の使用量を調整するための第2操作部を、さらに備える、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯兼脱水槽内に液体の洗剤を自動投入できる洗濯機が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1の洗濯機は、外郭カバー内に設けられ、液体の洗剤が収容される洗剤タンクを備える。洗剤タンクは、洗剤を補給する補給口が洗剤タンク蓋により閉じられることにより内部が密閉されるとともに、空気流入口と液体排出口とを有している。空気流入口には、空気ポンプが繋がる。空気ポンプが動作すると、密閉された洗剤タンク内の空気圧が高まり、洗剤タンク内の洗剤が液体排出口から押し出され、洗濯兼脱水槽内に投入される。ユーザは、洗濯運転の都度、1回分の洗剤を洗濯機に投入せずに済み、便利である。
【0004】
また、水が溜められる貯水槽と、貯水槽の上方に位置する超音波発生体とを含む超音波洗浄装置を備えた洗濯機が、特許文献2に記載されている。
【0005】
特許文献2の洗濯機では、超音波洗浄装置において、水が溜められた貯水槽内に洗濯物の汚れの付着部分がセットされ、洗浄運転が開始される。水が浸透した汚れの付着部分に、超音発生体から発生した超音波エネルギーが作用し、汚れが剥離される。
【0006】
そこで、洗濯運転時に洗剤を自動投入できる機能と、超音波洗浄装置による洗浄運転を行うことができる機能とを備える洗濯機を実現することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-259290号公報
【文献】特開2018-68435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような洗濯機において、さらに、洗浄運転の際に、洗剤を含む水を貯水槽に溜めることで、洗浄効果の向上を図ることが考えられる。
【0009】
しかしながら、このような構成が採られた場合、洗浄運転に使用された水に含まれる洗剤は、運転終了後、そのまま機外に廃棄され、その後に洗濯運転が行われる場合には、洗浄運転が行われたか否かとは無関係に、所定量、たとえば、洗濯物の負荷量に応じた量の洗剤が自動投入される。よって、洗浄運転に使用された洗剤を、それに続く洗濯運転に利用することにより、洗濯運転で自動投入される洗剤の量を低減することが難しい。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、洗濯運転時に洗剤を自動投入できる機能と、超音波洗浄装置による洗浄運転を行うことができる機能とを備える場合に、洗剤の節約が行え得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、筐体内に配置され、洗濯物の洗濯が行われる洗濯槽と、洗濯運転複数回分の洗剤が貯められる洗剤タンクと、前記洗剤タンク内の洗剤を前記洗濯槽内に投入するための投入機構部と、洗剤を含む水が溜められる貯水槽を有し、当該貯水槽内の水に浸漬された洗濯物に超音波発生体が発生した超音波を作用させて洗濯物を洗浄する超音波洗浄装置と、前記投入機構部による洗剤の投入動作を、前記洗濯槽に投入される洗剤の量が調整できるように制御する制御部と、洗剤を含む水を前記貯水槽内から前記洗濯槽内へ排出するための排出部と、前記超音波洗浄装置による洗浄運転に使用した洗剤を洗濯運転に再利用したことを示す再利用信号を前記制御部に出力する出力部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記出力部から前記制御部に前記再利用信号が出力されたことに基づいて、前記洗濯槽に投入される洗剤の量を、前記再利用信号が出力されない場合よりも低減させる。
【0012】
上記の構成によれば、排出部により、洗剤を含む水を貯水槽から洗濯槽内へ排出できるので、洗浄運転に使用された洗剤を洗濯運転に再利用することができる。そして、洗剤の再利用が行われたときには、出力部から出力される再利用信号により、洗剤の再利用が行われたことを制御部へ通知でき、これに基づいて、洗剤タンクから投入される洗剤の量が減らされるので、洗濯運転において洗剤を節約することが可能となる。
【0013】
本態様に係る洗濯機において、洗剤の再利用が行われたときに操作される第1操作部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記出力部は、前記第1操作部が操作されたことに基づいて前記再利用信号を出力する。
【0014】
上記の構成によれば、ユーザは、第1操作部を操作することにより、洗剤の再利用が行われたことを制御部に通知できる。
【0015】
本態様に係る洗濯機において、前記制御部は、前記再利用信号が出力されたことに基づいて、前記再利用信号が出力されない場合に前記洗濯槽に投入される洗剤の量から前記洗浄運転での洗剤の使用量または当該使用量に基づく量を差し引くような構成とされ得る。
【0016】
上記の構成によれば、洗濯運転において、洗浄運転での使用量または使用量に基づく量に相当する量の洗剤を節約することができる。
【0017】
本態様に係る洗濯機において、前記洗浄運転での洗剤の使用量を調整するための第2操作部を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0018】
なお、「使用量を調整する」との文言には、使用量をゼロにすることが含まれる。
【0019】
上記の構成によれば、ユーザは、洗浄運転により洗浄する洗濯物の汚れ具合に応じた洗剤の使用量を設定できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、洗濯運転時に洗剤を自動投入できる機能と、超音波洗浄装置による洗浄運転を行うことができる機能とを備える場合に、洗剤の節約が行え得る洗濯機を提供できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
【
図2】
図2(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が収納部に収納された状態の超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。
図2(b)および(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が収納部から引き出された状態の超音波洗浄装置および上面板の要部の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、貯水部が本体部から離脱した状態の超音波洗浄装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および本体部の側面断面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施の形態に係る、排水口が閉塞された状態の貯水部の前部の平面断面図であり、
図5(b)は、実施の形態に係る、排水口が開放された状態の貯水部の前部の平面断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、給水装置の構成を模式的に示す図である。
【
図7】
図7(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、洗剤タンクの平面図および底面図であり、
図7(c)は、
図7(a)のA-A´断面図である。
【
図8】
図8(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、柔軟剤タンクの平面図および底面図であり、
図8(c)は、
図8(a)のB-B´断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る、洗浄洗剤量決定処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る、洗濯洗剤量決定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
【0025】
図1を参照して、全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御ユニット16が配置される。制御ユニット16は、全自動洗濯機1による洗濯運転および超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0026】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。なお、洗濯脱水槽22は、本発明の「洗濯槽」に相当する。
【0027】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0028】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0029】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。
【0030】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、主に、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0031】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽210に供給される洗剤を含む水を、洗浄水として溜めることができる。貯留タンク60には、タンク内からの洗浄水の流出口を開閉する供給バルブ61が設けられる。
【0032】
排水受け部70は、貯水槽210から排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。排水受け部70が受けた水は、排水パイプ72および溢水パイプ26を通じて排水ホース41に排出される。
【0033】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50を取り囲むようにして、給水装置80が配置される。給水装置80は、水道栓に繋がり、洗濯脱水槽22内へ給水を行う機能を有する。また、給水装置80は、液体の洗剤および柔軟剤を洗濯脱水槽22内に自動投入する自動投入装置としても機能する。さらに、給水装置80は、貯留タンク60に洗浄水を供給する機能も備える。なお、洗剤および柔軟剤は洗濯に用いられる液剤であり、以降、洗剤と柔軟剤とをまとめて、「液剤」と称する場合がある。
【0034】
図2(a)は、超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17
から引き出された状態の超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。
図2(b)および(c)は、超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17
に収納された状態の超音波洗浄装置50および上面板12の要部の斜視図である。
図2(c)では、収納部17の内部が見えるよう、カバー17bの図示が省略されている。
【0035】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口17aとして開口する。出入口17aにはカバー17bが設けられる。
【0036】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、本体部300とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体を有する。貯水部200には、超音波発生体の下方に位置し、洗浄水が溜められる貯水槽210が設けられる。貯水槽210には、貯留タンク60の供給バルブ61に繋がる供給ノズル62から洗浄水が供給される。
【0037】
図2(a)に示すように、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す。一方、
図2(b)および(c)に示すように、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は収納部17に収納される。収納部17の出入口17aがカバー17bにより閉じられる。
【0038】
図2(a)に示すように、上面板12には、投入口14の左後方に漏斗状の洗剤注ぎ口18が形成され、投入口14の右後方に漏斗状の柔軟剤注ぎ口19が形成される。洗剤注ぎ口18の中央部に形成された開口18aが、後述する洗剤タンク400の投入口に繋がる。開口18aを通じて投入口にフィルタ410が装着される。また、柔軟剤注ぎ口19の中央部に形成された開口19aが、後述する柔軟剤タンク500の投入口に繋がる。開口19aを通じて投入口にフィルタ510が装着される。洗剤注ぎ口18を通じて洗剤タンク400内に液体の洗剤が投入され、柔軟剤注ぎ口19を通じて柔軟剤タンク500内に液体の柔軟剤が投入される。
【0039】
図3は、貯水部200が本体部300から離脱した状態の超音波洗浄装置50の斜視図である。
図4は、超音波洗浄部100および本体部300の側面断面図である。
【0040】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100が本体部300に保持され、貯水部200が本体部300に離脱可能に装着される。
【0041】
超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120とを備える。超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112とを含む。超音波発生体110は、超音波振動子111の高周波振動により、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。ハウジング120は、前後方向に長く、その先端部121が下方に屈曲するようなアーム形状を有する。ハウジング120内の前部に超音波発生体110が配置される。振動ホーン112の先端部がハウジング120の開口部122から露出する。ハウジング120の後部123が、本体部300の上部に固定される。
【0042】
貯水部200には、前面に取っ手201が形成される。また、貯水部200には、貯水部200の形状に沿った形状を有する貯水槽210が形成される。貯水槽210には、後面の下部に排水口211が形成される。排水口211は、弁体220により閉塞される。弁体220には、弁可動部材230が連結される。弁可動部材230は、後部231が貯水部200よりも後方に張り出す。弁可動部材230は、図示しないスプリングにより、弁体220が閉じる後方向に付勢される。
【0043】
超音波洗浄装置50が収納部17から引き出されているとき、弁体220により排水口211が閉鎖された状態となる。超音波洗浄装置50が収納部17に収納されると、弁可動部材230が、排水受け部70の後壁に当接して前方へ移動する。これにより、弁体220が前方へ移動し、排水口211が開放される。排水口211が開放されると、貯水槽210内の洗浄水が排水受け部70へ排出される。
【0044】
図5(a)は、排水口241が閉塞された状態の貯水部200の前部の平面断面図であり、
図5(b)は、排水口241が開放された状態の貯水部200の前部の平面断面図である。
【0045】
貯水部200には、洗浄水を貯水槽210から洗濯脱水槽22へ排出するための排出部240が設けられる。排出部240は、排水口241と、排水弁242と、開閉機構部243とを含む。排水口241は、貯水槽210の前面に形成される。貯水槽210の底面に形成された排水溝212が排水口241に繋がる。排水弁242は、ゴム等の弾性材料により形成され、貯水部200の外側から排水口211を閉塞する。
【0046】
開閉機構部243は、スライド部材244と、スプリング245とを含み、排水弁242を開閉させる。スライド部材244は、貯水槽210と貯水部200の右側面部との間に配置される。スライド部材244は、その連結部244aが貯水槽210と貯水部200の前側面部との間に延びて排水弁242に連結されるとともに、そのレバー部244bが、貯水部200の右側面部に形成された操作窓202から外部に露出する。スライド部材244は、その後方に設けられた保持部203により、前後方向にスライド可能に保持される。スプリング245は、排水弁242が排水口241を閉塞する後方向にスライド部材244を付勢する。
【0047】
図5(a)に示すように、排水弁242は、スプリング245の付勢力により排水口241を閉塞する。
図5(b)に示すように、レバー部244bが操作されて、スライド部材244が前方へスライドされると、排水弁242が前方へ移動して排水口241が開放される。これにより、貯水槽210内の洗浄水が、排水口241から排出されて洗濯脱水槽22内に落下する。
【0048】
図6は、給水装置80の構成を模式的に示す図である。
図7(a)および(b)は、それぞれ、洗剤タンク400の平面図および底面図であり、
図7(c)は、
図7(a)のA-A´断面図である。
図8(a)および(b)は、それぞれ、柔軟剤タンク500の平面図および底面図であり、
図8(c)は、
図8(a)のB-B´断面図である。
【0049】
図6に示すように、給水装置80は、洗剤タンク400と、柔軟剤タンク500と、給水ユニット600とを備える。
【0050】
洗剤タンク400には、液体の洗剤が貯められる。柔軟剤タンク500には、液体の柔軟剤が貯められる。給水ユニット600は、洗剤タンク400および柔軟剤タンク500から、それぞれ、洗剤および柔軟剤を取り込み、取り込んだ洗剤および柔軟剤を、洗濯脱水槽22に供給される水により洗濯脱水槽22内に流し込む。このようにして、給水ユニット600は、洗剤タンク400内の洗剤および柔軟剤タンク500内の柔軟剤を洗濯脱水槽22内に投入する。給水ユニット600は、本発明の「投入機構部」に相当する。
【0051】
図7(a)および(b)に示すように、洗剤タンク400は、たとえば樹脂材料により形成され、前後に長い箱状を有する。洗剤タンク400の上面には、前側に、円形の投入口401が形成される。投入口401には、フィルタ410が装着される。フィルタ410は、投入口401から洗剤タンク400内へ侵入した異物を捕獲する。洗剤タンク400の底面には、前側に、下方に突き出す円形の排出部402が形成される。排出部402の周面には、後方へ延びる円筒状の排出口403が形成される。
【0052】
図7(c)に示すように、洗剤タンク400には、当該タンク内の洗剤の残量が少なくなったことを検出するために、洗剤電極ユニット420が備えられる。洗剤電極ユニット420は、一対の電極端子421,422、即ち第1電極端子421と第2電極端子422とにより構成される。
【0053】
第1電極端子421および第2電極端子422は、鋼などの導電性を有する材料により形成され、丸棒状の端子部421a,422aと、端子部421a,422aの上端部に設けられた頭部421b,422bとを含む。各端子部421a,422aの上部には、雄ネジが形成される。また、各頭部421b,422bには、第1電極端子421および第2電極端子422をドライバにより回すことができように、十字形状の溝が形成される。
【0054】
洗剤タンク400の天面部には、タンクの内部に突出する第1取付ボス404および第2取付ボス405が、左右方向に並ぶように形成される。第1取付ボス404および第2取付ボス405を通じて、第1電極端子421および第2電極端子422が、上方から洗剤タンク400の内部に挿入される。この際、雄ネジを有する各端子部421a,422aの上部が、回されながら第1取付ボス404および第2取付ボス405を通されて固定される。このようにして、第1電極端子421および第2電極端子422が、洗剤タンク400の天面部に固定される。第1電極端子421および第2電極端子422の端子部421a,422aは、洗剤タンク400の天面部から下方へ延びて、その先端が洗剤タンク400の底面部の近傍に位置する。第1電極端子421と第2電極端子422との間隔は、比較的小さく、たとえば、十数ミリ程度とされている。
【0055】
洗剤タンク400内の液位が所定液位L1より高く、即ち洗剤の残量が所定量より多く、一対の電極端子421,422間に洗剤が十分に介在するとき、一対の電極端子421,422間に生じる抵抗値は相対的に小さくなり、洗剤タンク400内の液位が所定液位L1より低く、即ち洗剤の残量が所定量より少なく、一対の電極端子421,422間に洗剤が殆どあるいは全く介在しないとき、ほぼ空気が介在することになるため、一対の電極端子421,422間に生じる抵抗値は相対的に大きくなる。
【0056】
図8(a)および(b)に示すように、柔軟剤タンク500は、たとえば樹脂材料により形成され、前後に長い箱状を有する。柔軟剤タンク500の上面には、前側に、円形の投入口501が形成される。投入口501には、フィルタ510が装着される。フィルタ510は、投入口501から柔軟剤タンク500内へ侵入した異物を捕獲する。柔軟剤タンク500の底面には、前側に、下方に突き出す円形の排出部502が形成される。排出部502の周面には、後方へ延びる円筒状の排出口503が形成される。
【0057】
図8(c)に示すように、柔軟剤タンク500には、当該タンク内の柔軟剤の残量が少なくなったことを検出するために、柔軟剤電極ユニット520が備えられる。柔軟剤電極ユニット520は、一対の電極端子521,522、即ち第1電極端子521と第2電極端子522とにより構成される。
【0058】
第1電極端子521および第2電極端子522の構成は、洗剤電極ユニット420の一対の電極端子421,422と同様であり、雄ネジを有する端子部521a,522aと、十字形状の溝を有する頭部521b,522bとを含む。
【0059】
柔軟剤タンク500の天面部には、洗剤タンク400と同様、第1取付ボス504および第2取付ボス505が形成される。第1電極端子521および第2電極端子522が、これら取付ボス504,505を通じて上方から柔軟剤タンク500の内部に挿入されるとともに、これら取付ボス504,505に固定される。第1電極端子521および第2電極端子522の端子部521a,522aは、柔軟剤タンク500の天面部から下方へ延びて、その先端が柔軟剤タンク500の底面部の近傍に位置する。第1電極端子521と第2電極端子522との間隔は、比較的小さく、たとえば、十数ミリ程度とされている。
【0060】
柔軟剤タンク500内の液位が所定液位L2より高く、即ち柔軟剤の残量が所定量より多く、一対の電極端子521,522間に柔軟剤が十分に介在するとき、一対の電極端子521,522間に生じる抵抗値は相対的に小さくなり、柔軟剤タンク500内の液位が所定液位L2より低く、即ち柔軟剤の残量が所定量より少なく、一対の電極端子521,522間に柔軟剤が殆どあるいは全く介在しないとき、ほぼ空気が介在することになるため、一対の電極端子521,522間に生じる抵抗値は相対的に大きくなる。
【0061】
図6を参照して、給水ユニット600は、水路部材610と、給水バルブ620と、第1三方バルブ630と、第2三方バルブ640と、第3三方バルブ650と、ポンプ660とを含む。
【0062】
水路部材610には、注水室611が設けられる。注水室611の底部には、前端部に、注水口611aが形成される。注水口611aは、洗濯脱水槽22の上方に臨む。
【0063】
水路部材610には、注水室611に繋がる第1水路612と第2水路613が形成されるとともに、第1水路612への水の流入口614と第2水路613への水の流入口615が設けられる。さらに、水路部材610には、貯留タンク60内への給水のために第1水路612から分岐する分岐水路616が形成される。分岐水路616の流出口616aが貯留タンク60の流入口に接続される。
【0064】
第1水路612には、流入口614から注水室611までの経路の途中に、上流から順に、第2三方バルブ640と、第1三方バルブ630と、ポンプ660と、第3三方バルブ650とが配置される。このため、第1水路612は、これら第2三方バルブ640、第1三方バルブ630、ポンプ660および第3三方バルブ650の位置で分断され、それぞれの位置に、上流側接続口617a,617b,617c,617dと下流側接続口618a,618b,618c,618dと有する。
【0065】
給水バルブ620は、いわゆる2連バルブであり、第1バルブ621と、第1バルブ621よりも定格流量が多い第2バルブ622とを有する。給水バルブ620の入水口623は、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。第1バルブ621の出水口624が流入口614に接続され、第2バルブ622の出水口625が流入口615に接続される。
【0066】
第1三方バルブ630および第2三方バルブ640は、第1入水口631,641と、第2入水口632,642と、出水口633,643とを有し、第1入水口631,641と出水口633,643とを連通する状態と、第2入水口632,642と出水口633,643とを連通する状態とに切り替えられる。第3三方バルブ650は、入水口651と、第1出水口652と、第2出水口653とを有し、入水口651と第1出水口652とを連通する状態と、入水口651と第2出水口653を連通する状態とに切り替えられる。
【0067】
第1三方バルブ630の第1入水口631および出水口633は、それぞれ、上流側接続口617bおよび下流側接続口618bに接続される。第3三方バルブ650の入水口651、第1出水口652および第2出水口653は、それぞれ、上流側接続口617d、下流側接続口618dおよび分岐水路616の接続口616bに接続される。第2三方バルブ640の第1入水口641および出水口643は、それぞれ、上流側接続口617aおよび下流側接続口618aに接続される。
【0068】
ポンプ660は、ピストン式ポンプである。ポンプ660の吸込口661および吐出口662が、それぞれ、上流側接続口617cおよび下流側接続口618cに接続される。
【0069】
第1三方バルブ630の第2入水口632が、ゴム製の洗剤供給パイプ430を介して洗剤タンク400の排出口403に接続される。また、第2三方バルブ640の第2入水口642が、ゴム製の柔軟剤供給パイプ530を介して柔軟剤タンク500の排出口503に接続される。
【0070】
図9は、全自動洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0071】
全自動洗濯機1は、上述した構成に加え、操作部710および表示部720を備える。また、制御ユニット16は、制御部801、記憶部802、操作検出部803、洗剤量検出部804、柔軟剤量検出部805、表示駆動部806、モータ駆動部807、クラッチ駆動部808、6つのバルブ駆動部809~814、ポンプ駆動部815、振動子駆動部816を含む。
【0072】
操作部710および表示部720は、たとえば、上面板12の前部や上蓋15の前部に設けることができる。
【0073】
操作部710は、電源オンボタン711、電源オフボタン712、スタートボタン713、コース選択ボタン714、洗浄ボタン715、洗剤投入ボタン716、柔軟剤投入ボタン717、洗剤節約ボタン718等の各種の操作ボタンを含む。洗剤投入ボタン716は、本発明の「第2操作部」に相当し、洗剤節約ボタン718は、本発明の「第1操作部」に相当する。
【0074】
電源オンボタン711および電源オフボタン712は、それぞれ、全自動洗濯機1に電源を投入および遮断するためのボタンである。スタートボタン713は、洗濯運転および洗浄運転をスタートさせるためのボタンである。コース選択ボタン714は、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのボタンである。洗浄ボタン715は、洗浄運転を選択するためのボタンである。洗剤投入ボタン716は、洗剤の自動投入を設定するか否か、自動投入を設定する場合は、洗剤の量を、通常、多め、少なめの何れにするかを選択するためのボタンである。柔軟剤投入ボタン717は、柔軟剤の自動投入を設定するか否か、自動投入を設定する場合は、柔軟剤の量を、通常、多め、少なめの何れの設定とするかを選択するためのボタンである。洗剤節約ボタン718は、洗濯運転に使用する洗剤を節約するため、洗浄運転に使用された洗剤を洗濯運転に再利用したときに操作されるボタンである。洗浄ボタン715により洗浄運転が選択されたとき、洗剤投入ボタン716は、洗浄運転で洗剤を使用する設定とするか否か、洗剤を使用する設定とした場合は、洗剤の量を通常、多め、少なめの何れにするかを選択するためのボタンとして機能する。
【0075】
なお、電源オフボタン712が操作された場合の他、電源が投入された後に洗濯運転または洗浄運転が開始されないまま所定時間が経過した場合、および、洗濯運転終了後に所定時間が経過した場合に、全自動洗濯機1の電源が遮断される。
【0076】
表示部720は、複数のLEDおよび7セグ表示器を含み、コース選択ボタン714により選択された運転コースの表示、洗濯運転の進行度合や残り時間の表示、洗剤投入ボタン716および柔軟剤投入ボタン717による設定結果の表示、即ち「普通」、「多め」、「少なめ」および「なし」の何れかの設定表示、洗剤および柔軟剤の補充が必要であることを示す表示などを行う。
【0077】
操作検出部803は、操作部710の各種操作ボタンの中から、ユーザに操作された操作ボタンに応じた操作信号を制御部801に出力する。洗剤節約ボタン718が操作されたときに操作検出部803から出力される操作信号は、洗浄運転に使用した洗剤を洗濯運転に再利用したことを示す再利用信号となる。操作検出部803は、本発明の「出力部」に相当する。
【0078】
洗剤量検出部804は、洗剤電極ユニット420の一対の電極端子421,422に接続される。洗剤量検出部804は、矩形波発生回路を含み、一対の電極端子421,422に生じる抵抗値に応じたハイ電圧のパルス幅を有するパルス信号を制御部801に出力する回路構成とされている。たとえば、洗剤タンク400内の液位が所定液位L1より高く、一対の電極端子421,422間の抵抗値が相対的に低い状態にあるときには、ハイ電圧のパルス幅が相対的に広くなり、洗剤タンク400内の液位が所定液位L1より低く、一対の電極端子421,422間の抵抗値が相対的に高い状態にあるときには、ハイ電圧のパルス幅が相対的に狭くなる。
【0079】
柔軟剤量検出部805は、柔軟剤電極ユニット520の一対の電極端子521,522に接続される。柔軟剤量検出部805は、矩形波発生回路を含み、一対の電極端子521,522に生じる抵抗値に応じたハイ電圧のパルス幅を有するパルス信号を制御部801に出力する回路構成とされている。たとえば、柔軟剤タンク500内の液位が所定液位L2より高く、一対の電極端子521,522間の抵抗値が相対的に低い状態にあるときには、ハイ電圧のパルス幅が相対的に広くなり、柔軟剤タンク500内の液位が所定液位L2より低く、一対の電極端子521,522間の抵抗値が相対的に高い状態にあるときには、ハイ電圧のパルス幅が相対的に狭くなる。
【0080】
なお、洗剤および柔軟剤は、その種類に応じて抵抗値が異なり得る。よって、洗剤タンク400内に貯められる洗剤の種類が変更されると、それに伴って、洗剤タンク400内の液位が所定液位L1より高いときの洗剤量検出部804からのパルス信号のハイ電圧のパルス幅が変化し得る。同様に、柔軟剤タンク500内に貯められる柔軟剤の種類が変更されると、それに伴って、柔軟剤タンク500内の液位が所定液位L2より高いときの柔軟剤量検出部805からのパルス信号のハイ電圧のパルス幅が変化し得る。
【0081】
表示駆動部806、モータ駆動部807、クラッチ駆動部808、6つのバルブ駆動部809~814、ポンプ駆動部815および振動子駆動部816は、それぞれ、制御部801からの制御信号に従って、表示部720、駆動モータ31、クラッチ機構32a、給水バルブ620、第1三方バルブ630、第2三方バルブ640、第3三方バルブ650、供給バルブ61、排水バルブ40、ポンプ660および超音波振動子111を駆動する。
【0082】
記憶部802は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部802には、各種運転コースの洗濯運転および超音波洗浄装置50による洗浄運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部802には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0083】
制御部801は、CPU等を含み、操作検出部803、洗剤量検出部804、柔軟剤量検出部805等からの各信号に基づいて、記憶部802に記憶されたプログラムに従い、表示駆動部806、モータ駆動部807、クラッチ駆動部808、6つのバルブ駆動部809~814、ポンプ駆動部815、振動子駆動部816等を制御する。
【0084】
制御部801は、一対の電極端子421,422間へ通電を行い、洗剤量検出部804から出力されたパルス信号のハイ電圧のパルス幅に基づいて洗剤タンク400内の液位が所定液位L1より低いと判定すると、直ちに、あるいは、その後に所定量の洗剤が使用されたタイミングで、洗剤タンク400内に洗剤を補充する必要があることを示す報知を、表示部720に行わせる。同様に、制御部801は、一対の電極端子521,522間へ通電を行い、柔軟剤量検出部805から出力されたパルス信号のハイ電圧のパルス幅に基づいて柔軟剤タンク500内の液位が所定液位L2より低いと判定すると、直ちに、あるいは、その後に所定量の柔軟剤が使用されたタイミングで、柔軟剤タンク500内に洗剤を補充する必要があることを示す報知を、表示部720に行わせる。
【0085】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転を行うことができる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0086】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0087】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0088】
洗剤投入ボタン716の操作に基づいて洗剤の自動投入が設定されている場合、洗い工程での給水時に、給水装置80により、洗濯脱水槽22内に洗剤が自動投入される。このとき、第3三方バルブ650は、入水口651と第1出水口652が連通する状態に切り替えられており、第1水路612が、貯留タンク60と遮断されて注水室611と繋がる状態となっている。また、第2三方バルブ640は、第1入水口641と出水口643が連通する状態に切り替えられており、第1水路612が、第2三方バルブ640の位置で繋がった状態となっている。
【0089】
まず、第1三方バルブ630が、第2入水口632と出水口633とが連通する状態に切り替えられる。これにより、洗剤が第1水路612に流入できる状態となる。ポンプ660が作動し、第1水路612内のポンプ660の上流側の空気が吸引されて上流側が負圧になる。これにより、
図6の一点鎖線に示すように、洗剤タンク400内の液体の洗剤が、洗剤供給パイプ430を介して第1水路612内に吸引される。ポンプ660の動作時間に応じた量の洗剤が第1水路612内に溜まる。
【0090】
次に、第1三方バルブ630が、第1入水口631と出水口633とが連通する状態に切り替えられる。これにより、洗剤が第1水路612に流入できない状態となる。また、第1水路612が、第1三方バルブ630の位置で繋がった状態となる。給水バルブ620の第1バルブ621が開かれ、
図6の実線矢印に示すように、水道栓からの水が第1水路612内に供給される。第1水路612内を流れる水は、第1水路612内に溜まった洗剤を押し流す。水に押し流された洗剤は、水とともに注水室611へと流れ、注水口611aから洗濯脱水槽22内へ投入される。
【0091】
さらに、給水バルブ620では、第1バルブ621が開かれると同時に第2バルブ622が開かれて、洗濯脱水槽22内への給水が行われる。
図6の破線矢印に示すように、水道栓からの水が第2水路613内に供給され、第2水路613内を流れて注水室611に至り、注水口611aから洗濯脱水槽22内に放出される。このとき、第2水路613を流れる水の流量は、第1水路612を流れる水の流量より多くなる。洗濯脱水槽22内の水位が所定の洗い水位に到達すると、第1バルブ621と第2バルブ622が閉じられて、給水が終了する。
【0092】
柔軟剤投入ボタン717の操作に基づいて柔軟剤の自動投入が設定されている場合、すすぎ工程での給水時に、給水装置80により、洗濯脱水槽22内に柔軟剤が自動投入される。このとき、洗い工程と同様、第1水路612は、注水室611と繋がった状態となっている。また、第1三方バルブ630は、第1入水口631と出水口633が連通する状態に切り替えられており、第1水路612が、第1三方バルブ630の位置で繋がった状態となっている。
【0093】
まず、第2三方バルブ640が、第2入水口642と出水口643とが連通する状態に切り替えられる。これにより、柔軟剤が第1水路612に流入できる状態となる。ポンプ660が作動し、
図6の二点鎖線に示すように、柔軟剤タンク500内の液体の柔軟剤が、柔軟剤供給パイプ530を介して第1水路612内に吸引される。ポンプ660の動作時間に応じた量の柔軟剤が第1水路612内に溜まる。
【0094】
次に、第2三方バルブ640が、第1入水口641と出水口643とが連通する状態に切り替えられる。これにより、柔軟剤が第1水路612に流入できない状態となる。また、第1水路612が、第2三方バルブ640の位置で繋がった状態となる。第1バルブ621が開かれ、
図6の実線矢印に示すように、水道栓からの水が第1水路612内に供給される。第1水路612内に溜まった柔軟剤は、第1水路612内を流れる水に押し流されて注水室611へと流れ、注水口611aから洗濯脱水槽22内へ投入される。
【0095】
さらに、洗い工程と同様、第1バルブ621と同時に第2バルブ622が開かれて、洗濯脱水槽22内への給水が行われる。
【0096】
洗い工程およびすすぎ工程での洗濯脱水槽22内の水位、即ち水量は、給水前に検出される洗濯物の負荷量に応じて決定される。そして、洗濯脱水槽22内に投入される液剤の量、即ち液剤の使用量は、水量に応じて決定される。
【0097】
たとえば、基準水量、一例として30リットルに対する液剤の量が、各種液剤の種類に対応付けられて、予め記憶部802に記憶されている。ユーザは、所定の設定操作により、洗剤タンク400および柔軟剤タンク500に収容した液剤の種類を、各種液剤の種類の中から選択し、設定する。制御部801は、設定された種類の基準水量に対する液剤の量を記憶部802から読み出し、読み出した液剤の量と負荷量に応じて決定された水量とから、当該水量に見合う液剤の量を算出し、算出された液剤の量を、今回の洗濯運転での液剤の使用量とする。洗剤投入ボタン716および柔軟剤投入ボタン717により、「多め」または「少なめ」の設定がなされている場合は、算出された液剤の量が、所定の割合だけ増加または減少されて、液剤の使用量とされる。なお、洗い工程の給水前に行われる、洗濯運転での洗剤の使用量を決定するための処理については、追って詳細に説明する。
【0098】
洗い工程の給水時には、決定された使用量の洗剤が、ポンプ660の動作により洗剤タンク400から給水ユニット600の第1水路612に導入される。同様に、すすぎ工程の給水時には、決定された使用量の柔軟剤が、ポンプ660の動作により柔軟剤タンク500から給水ユニット600の第1水路612に導入される。
【0099】
なお、洗剤の自動投入が設定されていない場合、洗い工程での給水時、洗剤タンク400内から給水ユニット600への洗剤の導入および第1水路612へ水道水の供給は行われず、洗濯脱水槽22内への洗剤の自動投入は行われない。この場合、給水ユニット600の第2水路613による洗濯脱水槽22への給水のみが行われる。洗剤は、ユーザにより手動で洗濯脱水槽22内に投入される。同様に、柔軟剤の自動投入が設定されていない場合、最終すすぎ工程での給水時、柔軟剤タンク500内から給水ユニット600への柔軟剤の導入および第1水路612へ水道水の供給は行われず、洗濯脱水槽22内への柔軟剤の自動投入は行われない。この場合、給水ユニット600の第2水路613による洗濯脱水槽22への給水のみが行われる。柔軟剤は、ユーザにより手動で洗濯脱水槽22内に投入される。
【0100】
全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50による洗浄運転を行うことができる。
【0101】
洗浄運転の際には、貯留タンク60から貯水槽210へ洗浄水が供給された後に、洗濯物の汚れの付着部分が貯水槽210と超音波発生体110との間にセットされる。汚れの付着部分が、貯水槽210内に溜められた洗浄水で浸されるとともに、超音波発生体110の先端面に接触する。超音波発生体110が作動すると、その先端から超音波が発生する。超音波の作用によって被洗浄物から汚れが剥離する。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0102】
洗浄運転での給水時には、貯水槽210へ給水が行われる前に、給水装置80により貯留タンク60内に洗浄水が供給される。このとき、供給バルブ61は、閉じられる。なお、洗剤投入ボタン716の操作に基づいて洗浄運転に洗剤を使用しない設定がなされている場合には、洗剤タンク400内の洗剤は投入されず、洗剤を含まない水が貯留タンク60内に供給される。
【0103】
まず、第3三方バルブ650が、入水口651と第2出水口653が連通する状態に切り替えられる。これにより、第1水路612は、注水室611と遮断され、分岐水路616を介して貯留タンク60と繋がった状態となる。洗い工程と同様、第1三方バルブ630が、洗剤が第1水路612に流入できる状態に切り替えられた後、ポンプ660が作動し、洗剤タンク400内の液体の洗剤が第1水路612内に吸引され、第1水路612内に溜まる。
【0104】
次に、第1三方バルブ630が、洗剤が第1水路612に流入できず、第1水路612が第1三方バルブ630の位置で繋がる状態に切り替えられる。その後、給水バルブ620の第1バルブ621が開かれ、水道栓からの水が第1水路612内に供給される。第1水路612内に溜まった洗剤が、第1水路612内を流れる水に押し流され、洗剤が水に混合されて洗浄水となる。洗浄水は、分岐水路616を通り、貯留タンク60内に流入する。貯留タンク60内に所定量の洗浄水が溜まると、第1バルブ621が閉じられる。
【0105】
供給バルブ61が開かれ、貯留タンク60内の洗浄水が、供給ノズル62を介して貯水槽210内に供給される。その後、洗浄運転中、貯水槽210内の洗浄水が洗濯物への吸水により減少するたびに、その減少分の洗浄水が貯留タンク60から貯水槽210へ補給される。
【0106】
貯留タンク60内の洗浄水が貯水槽210に供給されると、貯留タンク60内の洗浄水の残量が少なくなる。この場合、給水装置80から貯留タンク60内へ再び洗浄水の供給が行われる。なお、洗浄運転が開始されたときに前回の洗浄運転に使用された洗浄水が貯水槽210に残っており、貯留タンク60から貯水槽210へ洗浄水がほとんど供給されないような場合は、貯留タンク60への2回目の洗浄水の供給は行われない。
【0107】
貯留タンク60内へ洗浄水の供給を行う前には、貯留タンク60内に投入される洗剤の量、即ち洗剤の使用量を決定するための処理が行われる。以下、この処理を、洗浄洗剤量決定処理と称する。
【0108】
図10は、洗浄洗剤量決定処理を示すフローチャートである。
【0109】
上述の通り、ユーザは、洗剤投入ボタン716を操作することにより、洗剤を使用するか否か、洗剤の使用量を、通常、多め、少なめの何れにするかを選択し、設定できる。
【0110】
図10を参照して、制御部801は、洗剤を使用する設定がなされているか否かを判定する(S101)。洗剤を使用する設定がなされていない場合(S101:NO)、制御部801は、今回の洗剤の使用量をゼロに設定する(S102)。
【0111】
洗剤を使用する設定がなされている場合(S101:YES)、制御部801は、洗剤の基本使用量を算出する(S103)。基本使用量は、洗剤タンク400内に貯められた洗剤の種類に応じて変更される。制御部801は、たとえば、洗剤タンク400内の洗剤の種類における、基準水量に対する洗剤の量を記憶部802から読み出し、読み出した量を所定の割合だけ減少させて、基本使用量とする。次に、制御部801は、洗剤を多めに使用する設定がなされているか否か、洗剤を少なめに使用する設定がなされているか否かを判定する(S104、S105)。
【0112】
多めの設定がなされている場合(S104:YES)、制御部801は、基本使用量を2倍にした量を、今回の洗剤の使用量に決定する(S106)。少なめの設定がなされている場合(S105:YES)、制御部801は、基本使用量を2分の1にした量を、今回の洗剤の使用量に決定する(S107)。多めの設定でも少なめの設定でもなく、通常の設定がなされている場合(S105:NO)、制御部801は、基本使用量を、今回の洗剤の使用量に決定する(S108)。
【0113】
なお、多めの設定がなされている場合に基本使用量を増加させる割合は、2倍でなく、他の割合であってもよい。同様に、少なめの設定がなされている場合に基本使用量を減少させる割合は、2分の1でなく、他の割合であってもよい。また、洗浄運転において、貯留タンク60内へ洗浄水の供給が2回行われる場合、1回目の洗浄洗剤量決定処理と2回目の洗浄洗剤量決定処理とにおいて、S101で算出される基本使用量は同じとすることができる。あるいは、貯留タンク60内に洗浄水が残っている分、供給される洗浄水の量が少なくなることを考慮し、2回目の洗浄洗剤量決定処理での基本使用量が1回目の洗浄洗剤量決定処理での基本使用量より少なくされてもよい。
【0114】
こうして、貯留タンク60内への洗浄水の供給時には、決定された使用量の洗剤が、ポンプ660の動作により洗剤タンク400から給水ユニット600の第1水路612に導入される。洗浄水の供給が1回であれば1回分、2回であれば2回分の使用量が、洗浄運転での洗剤の使用量となる。決定された使用量がゼロである場合、即ち洗剤を使用しない場合、洗剤タンク400内の洗剤が第1水路612に導入されず、第1水路612を通じて洗剤を含まない水が貯留タンク60内に供給される。
【0115】
洗浄運転での洗剤の使用量は、記憶部802に記憶される。記憶部802内の洗剤の使用量は、洗浄運転が行われる度に、その洗浄運転での洗剤の使用量に更新される。
【0116】
洗浄運転が終了したとき、ユーザは、洗浄運転に使用した洗剤を洗濯運転に再利用する場合に、貯水部200に設けられたレバー部244bを前方へ移動させて排水弁242を開き、排水口241を通じて貯水槽210内から洗濯脱水槽22内へ洗浄水を排出させる(
図5(b)参照)。このとき、供給バルブ61は開放されており、貯留タンク60内に残っている洗浄水も、貯水槽210を通って洗濯脱水槽22内へ排出される。貯水槽210内と貯留タンク60内の双方の洗浄水が洗濯脱水槽22内に排出されると、ユーザは、レバー部244bを戻して排水弁242を閉じる。
【0117】
洗浄運転により洗浄された洗濯物には洗浄水が含まれている。よって、貯水槽210内と貯留タンク60内の洗浄水が洗濯脱水槽22内に供給されるとともに、洗浄水を含む洗濯物が洗濯脱水槽22内に投入される結果、洗浄運転に使用された量とほぼ同等の量の洗剤が洗濯脱水槽22内に投入される。
【0118】
次に、洗濯運転での洗剤の使用量を決定するための処理について説明する。以下、この処理を、洗濯洗剤量決定処理と称する。洗濯洗剤量決定処理は、洗い工程の給水が行われる前に実行される。
【0119】
図11は、洗濯洗剤量決定処理を示すフローチャートである。
【0120】
図11を参照して、制御部801は、洗剤の第1基本使用量を算出する(S201)。たとえば、上述の通り、基準水量に対する洗剤の量が、各種洗剤の種類に対応付けられて、予め記憶部802に記憶されている。制御部801は、ユーザにより設定された種類の基準水量に対する洗剤の量を記憶部802から読み出し、読み出した洗剤の量と洗濯物の負荷量に応じて決定された水量とから、当該水量に見合う洗剤の量を算出し、算出された洗剤の量を第1基本使用量とする。
【0121】
次に、制御部801は、洗剤を多めに使用する設定がなされているか否か、洗剤を少なめに使用する設定がなされているか否かを判定する(S202,S203)。上述の通り、ユーザは、洗剤投入ボタン716を操作することにより、洗剤の使用量を、通常、多め、少なめの何れにするかを選択し、設定できる。
【0122】
多めの設定がなされている場合(S202:YES)、制御部801は、第1基本使用量を1.2倍にした量を、第2基本使用量とする(S204)。少なめの設定がなされている場合(S203:YES)、制御部801は、第1基本使用量を0.8倍にした量を、第2基本使用量とする(S205)。多めの設定も少なめの設定でもなく、通常の設定がなされている場合(S203:NO)、制御部801は、第1基本使用量を、第2基本使用量とする(S206)。なお、多めの設定がなされている場合に第2基本使用量を増加させる割合は、1.2倍でなく、他の割合であってもよい。同様に、同様に、少なめの設定がなされている場合に第2基本使用量を減少させる割合は、0.8倍でなく、他の割合であってもよい。
【0123】
次に、制御部801は、洗剤を節約する設定がなされているか否かを判定する(S207)。ユーザは、洗浄運転を行った後に、その洗浄運転に使用された洗剤を洗濯運転に再利用した場合、即ち、貯水槽210と貯留タンク60に残った洗浄水を洗濯脱水槽22へ移した場合に、洗剤節約ボタン718を操作する。これにより、操作検出部803から制御部801へ再利用信号が出力される。制御部801は、再利用信号が出力されたことに基づいて、洗剤を節約する設定を行う。
【0124】
洗剤を節約する設定がなされている場合(S207:YES)、制御部801は、記憶部802に記憶された洗浄運転での洗剤の使用量を読み出し、第2基本使用量から洗浄運転での洗剤の使用量を差し引いた量を、今回の洗濯運転での洗剤の使用量に決定する(S208)。一方、洗剤を節約する設定がなされていない場合(S207:NO)、制御部801は、第2基本使用量を、今回の洗濯運転での洗剤の使用量に決定する(S209)。なお、洗剤を節約する設定がなされている場合の洗剤の使用量は、洗剤を節約する設定がなされていない場合の洗剤の使用量から洗浄運転での洗剤の使用量を差し引いた量となる。
【0125】
洗濯脱水槽22には、貯水槽210からの洗浄水の供給により、洗い工程での給水前に、洗浄運転での洗剤の使用量とほぼ同等の洗剤が投入されている。よって、洗い工程の給水時に、S208で決定された使用量の洗剤が洗濯脱水槽22に投入されれば、洗濯脱水槽22内の洗剤の量は、S209で決定された洗剤の使用量とほぼ同等の量となる。
【0126】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、排出部240により、洗浄水を貯水槽210から洗濯脱水槽22内へ排出できるので、洗浄運転に使用された洗剤を洗濯運転に再利用することができる。そして、洗剤の再利用が行われたときには、操作検出部803から出力される再利用信号により、洗剤の再利用が行われたことを制御部801へ通知でき、これに基づいて、洗剤タンク400から投入される洗剤の量が減らされるので、洗濯運転において洗剤を節約することが可能となる。
【0127】
また、本実施の形態によれば、洗剤の再利用が行われたときに操作される洗剤節約ボタン718が設けられ、洗剤節約ボタン718が操作されたことに基づいて操作検出部803から再利用信号が出力されるので、ユーザは、洗剤節約ボタン718を操作することにより、洗剤の再利用が行われたことを制御部801に通知できる。
【0128】
さらに、本実施の形態によれば、再利用信号が出力されると洗剤を節約する設定がなされ、この節約の設定がなされたことに基づいて、節約の設定がなされていない場合の洗剤の使用量から洗浄運転での洗剤の使用量が差し引かれるので、洗濯運転において、洗浄運転での使用量分の洗剤を節約することができる。
【0129】
さらに、本実施の形態によれば、洗剤投入ボタン716により、洗浄運転での洗剤の使用量を調整できるので、ユーザは、洗浄運転により洗浄する洗濯物の汚れ具合に応じた洗剤の使用量を設定できる。
【0130】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0131】
たとえば、上記実施の形態では、排出部240により、貯水槽210と貯留タンク60の双方の洗浄水が洗濯脱水槽22へ排出される構成とされた。しかしながら、貯水槽210内の洗浄水は洗濯脱水槽22へ排出されるが、貯留タンク60内の洗浄水は洗濯脱水槽22内に排出されない構成とされてもよい。この場合、
図11に示す洗濯洗剤量決定処理のS208では、第2基本使用量から貯水槽210の容量分の洗浄水に含まれる洗剤の量を差し引いた量が、今回の洗濯運転での洗剤の使用量に決定されるとよい。
【0132】
また、上記実施の形態では、排出部240が、貯水槽210に形成された排水口241と、排水口241を閉塞する排水弁242と、排水弁242を開閉する開閉機構部243とを含む構成とされた。しかしながら、洗浄水を貯水槽210内から洗濯脱水槽22内へ排出できるようにする構成であれば、いかなる構成の排出部が用いられてもよい。たとえば、排水受け部70に洗濯脱水槽22の上方に臨む供給ホースを接続し、排水受け部70が受けた洗浄水を排水ホース41に導くか供給ホースに導くかを切替バルブにより切り換えるような構成の排出部が用いられてもよい。
【0133】
さらに、上記実施の形態では、洗剤の再利用が行われたときに操作される洗剤節約ボタン718が設けられ、洗剤節約ボタン718が操作されたことに基づいて操作検出部803から再利用信号が出力された。しかしながら、再利用信号を出力するための構成は、上記のものに限られない。たとえば、再利用信号を出力する出力部として、排出部250により洗浄水が貯水槽210から洗濯脱水槽22に排出されたことを検出して再利用信号を出力する検出部が用いられてもよい。たとえば、排出部240のレバー部244bや排水弁242の前方への移動を、フォトセンサ、マイクロスイッチ等の検出素子により検出することで、洗浄水が貯水槽210から洗濯脱水槽22に排出されたことを検出できる。
【0134】
さらに、上記実施の形態では、再利用信号が出力されることにより節約の設定がなされたことに基づいて、節約の設定がなされていない場合の洗剤の使用量である第2基本使用量から洗浄運転での洗剤の使用量が差し引かれた量が、洗濯運転での洗剤の使用量に決定された。しかしながら、洗浄運転での洗剤の使用量に基づく量、たとえば、洗浄運転での洗剤の使用量から所定の割合だけ減らされた量が差し引かれるようにされてもよい。
【0135】
さらに、上記実施の形態では、洗濯運転での洗剤の自動投入を設定するための洗剤投入ボタン716が、洗浄運転での洗剤の使用量を調整するための操作ボタンとして兼用されたが、洗浄運転での洗剤の使用量を調整するために、専用の操作ボタンが設けられてもよい。
【0136】
さらに、上記実施の形態では、洗剤タンク400内の洗剤および柔軟剤タンク500内の柔軟剤を洗濯脱水槽22内に自動投入するための投入機構部として、洗剤および柔軟剤を第1水路612に取り込んで、第1水路612内を流れる水により洗濯脱水槽22内に流し込む給水ユニット600が用いられた。しかしながら、洗剤および柔軟剤を洗濯脱水槽22内に自動投入できれば、給水ユニット600と異なる構成の投入機構部が用いられてもよい。
【0137】
さらに、上記実施の形態では、給水装置80が、洗剤タンク400と柔軟剤タンク500とを含み、洗剤と柔軟剤の双方を洗濯脱水槽22内に自動投入できる構成とされた。しかしながら、給水装置80が、柔軟剤タンク500を含まない構成とされてもよい。
【0138】
さらに、上記実施の形態では、全自動洗濯機1が示された。しかしながら、本発明は、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、洗濯槽として横軸型のドラムを有するドラム式洗濯機にも適用できる。また、本発明は、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機およびドラム式洗濯乾燥機にも適用できる。
【0139】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
10 筐体
22 洗濯脱水槽(洗濯槽)
50 超音波洗浄装置
80 給水装置
110 超音波発生体
210 貯水槽
240 排出部
400 洗剤タンク
600 給水ユニット(投入機構部)
710 操作部
716 洗剤投入ボタン(第2操作部)
718 洗剤節約ボタン(第1操作部)
801 制御部
803 操作検出部(出力部)