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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】局所消磁装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 13/00 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
H01F13/00 600
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020146655
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041450
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】水原 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】足立 善昭
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195663(JP,A)
【文献】特開昭55-055271(JP,A)
【文献】特開昭61-005506(JP,A)
【文献】特開昭61-005507(JP,A)
【文献】特開昭58-095966(JP,A)
【文献】特表2020-504450(JP,A)
【文献】実開昭54-146900(JP,U)
【文献】特開2002-260923(JP,A)
【文献】特開昭56-167309(JP,A)
【文献】特開平10-172830(JP,A)
【文献】特表2009-534641(JP,A)
【文献】特開平02-304348(JP,A)
【文献】実開昭55-159518(JP,U)
【文献】特開昭58-026388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消磁対象物を挿入するためのスペースを介して対向する一対の基板と、
前記一対の基板のそれぞれに設けられた第1、第2及び第3のコイルパターンと、
前記基板に対して垂直な方向の磁界が前記スペース内において強め合うよう、前記第1、第2及び第3のコイルパターンに電流を供給する電源回路と、を備え
前記第1、第2及び第3のコイルパターンは、いずれも、電流が一方向に流れる第1の直線パターンと、前記第1の直線パターンに隣接して設けられ、電流が逆方向に流れる第2の直線パターンとを含む折り返し形状を有しており、
前記第1のコイルパターンは、前記第2のコイルパターンと前記第3のコイルパターンの間に配置され、
前記第2及び第3のコイルパターンに流れる電流は互いに等しく、且つ、前記第1のコイルパターンに流れる電流よりも少ないことを特徴とする局所消磁装置。
【請求項2】
前記第2のコイルパターンと前記第3のコイルパターンが直列に接続されていることを特徴とする請求項に記載の局所消磁装置。
【請求項3】
前記一対の基板の一方に設けられた前記第2及び第3のコイルパターンと前記一対の基板の他方に設けられた前記第2及び第3のコイルパターンが直列に接続されていることを特徴とする請求項に記載の局所消磁装置。
【請求項4】
前記一対の基板のそれぞれに設けられ、いずれも前記折り返し形状を有する第4及び第5のコイルパターンをさらに備え、
前記第1乃至第3のコイルパターンは、前記第4のコイルパターンと前記第5のコイルパターンの間に配置され、
前記電源回路は、前記基板に対して垂直な方向の磁界が前記スペース内において強め合うよう、前記第4及び第5のコイルパターンに電流を供給し、
前記第4及び第5のコイルパターンに流れる電流は互いに等しく、且つ、前記第2及び第3のコイルパターンに流れる電流よりも少ないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の局所消磁装置。
【請求項5】
消磁対象物を挿入するためのスペースを介して対向する一対の基板と、
前記一対の基板のそれぞれに設けられた第1のコイルパターンと、
前記基板に対して垂直な方向の磁界が前記スペース内において強め合うよう、前記第1のコイルパターンに電流を供給する電源回路と、を備え、
前記一対の基板は、前記スペース側に位置する第1の表面と、前記第1の表面の反対側に位置する第2の表面を有し、
前記第1のコイルパターンは前記第1の表面に形成され、
前記第2の表面の少なくとも一部は磁性体で覆われていることを特徴とする局所消磁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は局所消磁装置に関し、特に、小型で携帯性に優れた局所消磁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被検体の微小領域を消磁することが可能な局所消磁装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-216163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された局所消磁装置は大型であり携帯性を持たないことから、例えば、アレイ状に配列された複数の磁気センサの一部を消磁するような用途には不向きであった。
【0005】
したがって、本発明は、小型で携帯性に優れた局所消磁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による局所消磁装置は、消磁対象物を挿入するためのスペースを介して対向する一対の基板と、一対の基板のそれぞれに設けられた第1のコイルパターンと、基板に対して垂直な方向の磁界がスペース内において強め合うよう、第1のコイルパターンに電流を供給する電源回路とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、一対の基板によって形成されるスペースに消磁対象物を挿入することによって消磁を行うことができる。そして、消磁対象物のサイズ等に応じて基板やスペースのサイズを設計することにより、小型で携帯性に優れた局所消磁装置を提供することが可能となる。
【0008】
本発明において、第1のコイルパターンは、電流が一方向に流れる第1の直線パターンと、第1の直線パターンに隣接して設けられ、電流が逆方向に流れる第2の直線パターンとを含む折り返し形状を有していても構わない。これによれば、第1の直線パターンと第2の直線パターンの間に局所的な磁界を発生させることが可能となる。
【0009】
本発明による局所消磁装置は、一対の基板のそれぞれに設けられ、いずれも折り返し形状を有する第2及び第3のコイルパターンをさらに備え、第1のコイルパターンは第2のコイルパターンと第3のコイルパターンの間に配置され、電源回路は、基板に対して垂直な方向の磁界がスペース内において強め合うよう、第2及び第3のコイルパターンに電流を供給し、第2及び第3のコイルパターンに流れる電流は互いに等しく、且つ、第1のコイルパターンに流れる電流よりも少なくても構わない。これによれば、第1のコイルパターンによって生じる不要な磁界成分を第2及び第3のコイルパターンによってキャンセルすることが可能となる。
【0010】
本発明において、第2のコイルパターンと第3のコイルパターンは直列に接続されていても構わない。これによれば、第2のコイルパターンに流れる電流と第3のコイルパターンに流れる電流を一致させることが可能となる。この場合、一対の基板の一方に設けられた第2及び第3のコイルパターンと一対の基板の他方に設けられた第2及び第3のコイルパターンが直列に接続されていても構わない。これによれば、一方の基板に設けられた第2及び第3のコイルパターンに流れる電流と他方の基板に設けられた第2及び第3のコイルパターンに流れる電流を一致させることが可能となる。
【0011】
本発明による局所消磁装置は、一対の基板のそれぞれに設けられ、いずれも折り返し形状を有する第4及び第5のコイルパターンをさらに備え、第1乃至第3のコイルパターンは第4のコイルパターンと第5のコイルパターンの間に配置され、電源回路は、基板に対して垂直な方向の磁界がスペース内において強め合うよう、第4及び第5のコイルパターンに電流を供給し、第4及び第5のコイルパターンに流れる電流は互いに等しく、且つ、第2及び第3のコイルパターンに流れる電流よりも少なくても構わない。これによれば、第2及び第3のコイルパターンによって生じる不要な磁界成分を第4及び第5のコイルパターンによってキャンセルすることが可能となる。
【0012】
本発明において、一対の基板は、スペース側に位置する第1の表面と、第1の表面の反対側に位置する第2の表面を有し、第1のコイルパターンは第1の表面に形成され、第2の表面の少なくとも一部は磁性体で覆われていても構わない。これによれば、スペースの外側に漏洩する磁界を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によれば小型で携帯性に優れた局所消磁装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による局所消磁装置100の外観を示す略斜視図である。
図2図2は、コイルパターン1Aの形状を説明するための模式的な平面図である。
図3図3は、本実施形態による局所消磁装置100に消磁対象物である磁気センサMを挿入した状態を示す略斜視図である。
図4図4は、図3に示す状態の模式的なyz断面図である。
図5図5は、磁気センサM1~M9がアレイ状に配列されている場合において、特定の磁気センサM5の消磁を行う例を示す模式図である。
図6図6は、本発明の第2の実施形態による局所消磁装置に用いる基板20Aの模式的な平面図である。
図7図7は、図6に示すC-C'線に沿った磁界強度をコイルパターンごとに示す模式的なグラフである。
図8図8は、図6に示すC-C'線に沿った合成された磁界強度を示す模式的なグラフである。
図9図9は、第1の変形例による電源回路52の回路図である。
図10図10は、第2の変形例による電源回路53の回路図である。
図11図11は、第3の変形例による電源回路54の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態による局所消磁装置100の外観を示す略斜視図である。
【0017】
図1に示すように、第1の実施形態による局所消磁装置100は、一対の基板20A,20Bと、基板20A,20Bの間隔を一定に保つスペーサ23と、基板20Aの表面21Aに形成されたコイルパターン1Aと、基板20Bの表面21Bに形成されたコイルパターン1Bとを備えている。基板20A,20Bは樹脂などの非磁性絶縁材料からなり、xy面を構成する表面21A,21Bが互いに向かい合うようスペーサ23を介して連結されている。これにより、基板20Aの表面21Aと基板20Bの表面21Bの間には、z方向における幅がスペーサ23の高さによって規定されるスペースSが形成される。スペーサ23についても樹脂などの非磁性材料を用いることが好ましい。
【0018】
図2は、コイルパターン1Aの形状を説明するための模式的な平面図である。
【0019】
図2に示すように、コイルパターン1Aは、互いにy方向に隣接しいずれもx方向に延在する直線パターン31A,32Aと、直線パターン31A,32Aのx方向における端部を互いに接続する接続パターン33Aを含む折り返し形状を有している。コイルパターン1Aの一端は端子電極41を構成し、コイルパターン1Aの他端は端子電極42を構成する。本実施形態による局所消磁装置100は、端子電極41と端子電極42の間に直列に接続された電圧源V1及び抵抗R1からなる電源回路50をさらに備えている。かかる構成により、直線パターン31Aには電流Iが+x方向に流れ、直線パターン32Aには電流Iが-x方向に流れる。コイルパターン1Aに流れる電流Iの電流量は、電圧源V1の電圧及び抵抗R1の抵抗値によって決まる。
【0020】
これにより、コイルパターン1Aに電流Iを流すと、符号60で示すように、直線パターン31A,32Aに挟まれた領域においては-z方向の磁界が生じ、直線パターン31A,32Aのy方向における外側領域においては+z方向の磁界が生じる。基板20Bに設けられたコイルパターン1Bについても同様であり、コイルパターン1Bに電流Iを流すと、コイルパターン1Aによって発生する磁界と同方向の磁界が発生する。
【0021】
図3は、本実施形態による局所消磁装置100に消磁対象物である磁気センサMを挿入した状態を示す略斜視図である。また、図4は、図3に示す状態の模式的なyz断面図である。
【0022】
図3及び図4に示すように、本実施形態による局所消磁装置100を使用する際には、消磁対象物をスペースSに挿入する。したがって、基板20A,20Bの平面サイズやスペースSの大きさは、消磁対象物に応じて設計すればよい。本例では、消磁対象物が磁気センサMであるが、本発明において消磁対象物がこれに限定されるものではない。
【0023】
磁気センサMをスペースSに挿入した状態でコイルパターン1A,1Bに電流Iを流すと、磁気センサMには-z方向の磁界φが印加される。コイルパターン1Aとコイルパターン1Bに流れる電流Iの方向は同じであるため、コイルパターン1Aから生じる磁界φのz方向成分と、コイルパターン1Bから生じる磁界φのz方向成分は、互いに強め合う。これに対し、コイルパターン1Aから生じる磁界φのy方向成分と、コイルパターン1Bから生じる磁界φのy方向成分は、互いに弱め合う。
【0024】
磁界φの強度は、磁気センサMに含まれる磁気抵抗効果素子(MR素子)が磁気飽和するのに十分な強度に設定する。これにより、着磁によって検出誤差が生じている磁気センサMが消磁され、初期化することが可能となる。尚、コイルパターン1Aに流れる電流とコイルパターン1Bに流れる電流の電流量は同じであることが好ましい。これを容易に実現するためには、コイルパターン1A,1Bを直列に接続すれば良い。
【0025】
このように、本実施形態による局所消磁装置100を用いれば、スペースSに消磁対象物を挿入することによって消磁を行うことができる。そして、消磁対象物のサイズ等に応じて基板20A,20Bのサイズやスペーサ23の高さを設計することにより、小型で携帯性に優れた局所消磁装置を提供することが可能となる。例えば、図5に示すように、複数の磁気センサM1~M9がアレイ状に配列されている場合において、特定の磁気センサM5の消磁を行いたい場合には、磁気センサM5を局所消磁装置100のスペースSに挿入すればよい。これにより、他の磁気センサM1~M4,M6~M9に磁気的な影響をほとんど与えることなく、磁気センサM5の消磁を行うことができる。さらに、基板20Aの裏面22Aや基板20Bの裏面22Bをフェライトやパーマロイなどの磁性体で覆えば、スペースSの外側に漏洩する磁界を低減することも可能である。
【0026】
図6は、本発明の第2の実施形態による局所消磁装置に用いる基板20Aの模式的な平面図である。
【0027】
図6に示すように、第2の実施形態による局所消磁装置に用いる基板20Aは、コイルパターン2A~13Aが追加されている点において、図2に示した基板20Aと相違している。本実施形態において使用する電源回路51は、電圧源V1~V13及び抵抗R1~R13を有する。電圧源V1~V13及び抵抗R1~R13は、それぞれコイルパターン1A~13Aに割り当てられる。コイルパターン2A~13Aのパターン形状はコイルパターン1Aと同じであり、いずれも折り返し形状を有している。
【0028】
このうち、コイルパターン2A,3Aは、コイルパターン1Aをy方向における両側から挟むように配置された一対のコイルパターンである。コイルパターン4A,5Aは、コイルパターン1A~3Aをy方向における両側から挟むように配置された一対のコイルパターンである。コイルパターン6A,7Aは、コイルパターン1A~5Aをy方向における両側から挟むように配置された一対のコイルパターンである。コイルパターン8A,9Aは、コイルパターン1A~7Aをy方向における両側から挟むように配置された一対のコイルパターンである。コイルパターン10A,11Aは、コイルパターン1A~9Aをy方向における両側から挟むように配置された一対のコイルパターンである。コイルパターン12A,13Aは、コイルパターン1A~11Aをy方向における両側から挟むように配置された一対のコイルパターンである。
【0029】
図示しないが、第2の実施形態による局所消磁装置に用いる基板20Bも、図6に示す基板20Aと同じ構成を有している。
【0030】
図7は、図6に示すC-C'線に沿った磁界強度をコイルパターンごとに示す模式的なグラフである。
【0031】
図7に示す磁界φ1~φ7は、それぞれコイルパターン1A~7Aによって生じる磁界を示している。コイルパターン1Aによって生じる磁界φ1の強度は、直線パターン31Aと直線パターン32Aの中間位置においてピークとなるが、直線パターン31A,32Aの外側位置においては逆方向の磁界が生じる。この磁界成分は、消磁動作に不要な磁界成分であるとともに、隣接する他の磁気センサなど、意図しない部材を着磁させてしまうおそれがある。そこで、コイルパターン1Aによって生じる逆方向の磁界が打ち消されるよう、y方向における両側に配置されたコイルパターン2A,3Aによって生じる磁界φ2,φ3のピークを逆方向の磁界φ1に重ねる。これにより、コイルパターン1Aによって生じる逆方向の磁界の大部分が打ち消され、よりフラットな特性が得られる。
【0032】
コイルパターン2A,3Aによって生じる磁界φ2,φ3の強度は、一対の直線パターンの中間位置においてピークとなるが、一対の直線パターンの外側位置においては、やはり逆方向の磁界が生じる。そこで、コイルパターン2A,3Aによって生じる逆方向の磁界が打ち消されるよう、y方向における両側に配置されたコイルパターン4A,5Aによって生じる磁界φ4,φ5のピークをそれぞれ逆方向の磁界φ2,φ3に重ねる。これにより、コイルパターン2A,3Aによって生じる逆方向の磁界の大部分が打ち消され、よりフラットな特性が得られる。
【0033】
以下同様にして、コイルパターン4A,5Aによって生じる逆方向の磁界をコイルパターン6A,7Aによって打ち消し、コイルパターン6A,7Aによって生じる逆方向の磁界をコイルパターン8A,9Aによって打ち消し、コイルパターン8A,9Aによって生じる逆方向の磁界をコイルパターン10A,11Aによって打ち消し、コイルパターン10A,11Aによって生じる逆方向の磁界をコイルパターン12A,13Aによって打ち消す。これにより、図8に示すように、合成された磁界はコイルパターン1Aの中心をピークとし、その両側が比較的フラットである特性が得られる。
【0034】
このような特性を得るためには、コイルパターン2A,3Aに流れる電流をコイルパターン1Aに流れる電流よりも少なくし、コイルパターン4A,5Aに流れる電流をコイルパターン2A,3Aに流れる電流よりも少なくし、コイルパターン6A,7Aに流れる電流をコイルパターン4A,5Aに流れる電流よりも少なくし、コイルパターン8A,9Aに流れる電流をコイルパターン6A,7Aに流れる電流よりも少なくし、コイルパターン10A,11Aに流れる電流をコイルパターン8A,9Aに流れる電流よりも少なくし、コイルパターン12A,13Aに流れる電流をコイルパターン10A,11Aに流れる電流よりも少なくすれば良い。
【0035】
このように、第2の実施形態による局所消磁装置によれば、コイルパターン1Aの中心をピークとした磁界を発生させることができるとともに、コイルパターン1Aの外側領域においては磁界強度が小さく、比較的フラットな特性が得られることから、隣接する他の磁気センサなど、意図しない部材の着磁を防止することができる。
【0036】
図9は、第1の変形例による電源回路52の回路図である。
【0037】
図9に示す電源回路52は、電圧源V3,V5,V7,V9,V11,V13及び抵抗R3,R5,R7,R9,R11,R13が省略され、その代わりに、コイルパターン2A,3Aが直列に接続され、コイルパターン4A,5Aが直列に接続され、コイルパターン6A,7Aが直列に接続され、コイルパターン8A,9Aが直列に接続され、コイルパターン10A,11Aが直列に接続され、コイルパターン12A,13Aが直列に接続されている。これにより、対を成す2つのコイルパターン(例えばコイルパターン2A,3A)に流れる電流の電流量を一致させることが可能となるとともに、使用する電圧源及び抵抗の数を削減することが可能となる。
【0038】
図10は、第2の変形例による電源回路53の回路図である。
【0039】
図10に示す電源回路53は、コイルパターン1A~13Aに対して共通の電圧源V0が用いられている点において、図9に示した電源回路52と相違している。このように、コイルパターン1A~13Aに対して共通の電圧源V0を用いた場合であっても、抵抗R1,R2,R4,R6,R8,R10,R12の抵抗値を
R1<R2<R4<R6<R8<R10<R12
に設定することにより、各コイルパターン1A~13Aに流れる電流の電流量を最適化することができる。
【0040】
図11は、第3の変形例による電源回路54の回路図である。
【0041】
図11に示す電源回路54は、基板20Aに設けられたコイルパターン1A~13Aと基板20Bに設けられたコイルパターン1B~13Bに対して共通に割り当てられているとともに、コイルパターン2A,3A,2B,3Bが直列に接続され、コイルパターン4A,5A,4B,5Bが直列に接続され、コイルパターン6A,7A,6B,7Bが直列に接続され、コイルパターン8A,9A,8B,9Bが直列に接続され、コイルパターン10A,11A,10B,11Bが直列に接続され、コイルパターン12A,13A,12B,13Bが直列に接続されている点において、図10に示した電源回路53と相違している。これにより、基板20A上において対を成す2つのコイルパターン(例えばコイルパターン2A,3A)と、基板20B上において対を成す2つのコイルパターン(例えばコイルパターン2B,3B)に流れる電流の電流量を一致させることが可能となるとともに、使用する電圧源及び抵抗の数を削減することが可能となる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0043】
1A~13A,1B~13B コイルパターン
20A,20B 基板
21A,21B 基板の表面
22A,22B 基板の裏面
23 スペーサ
31A,32A 直線パターン
33A 接続パターン
41,42 端子電極
50~54 電源回路
60 磁界の向き
100 局所消磁装置
I 電流
M,M1~M9 磁気センサ
R1~R13 抵抗
S スペース
V0~V13 電圧源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11