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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】架台のベースおよび架台
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/23 20140101AFI20240924BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240924BHJP
【FI】
H02S20/23 B
E04D13/18 ETD
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023099810
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】522459111
【氏名又は名称】サンスタック エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】522459122
【氏名又は名称】ルーフ アンド ソーラー テクノロジーズ インコーポレイテッド ドゥーイング ビジネス アズ インテグリティ ソーラー マウンツ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100181593
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 修一
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-172161(JP,A)
【文献】国際公開第2012/165538(WO,A1)
【文献】特開2013-189806(JP,A)
【文献】特表2010-500495(JP,A)
【文献】国際公開第2023/26579(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00、13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための架台のベースであって、
前記設置対象を支持する支持部材を取り付け、前記屋根面に固定されるベース本体と、
前記ベース本体の一端部に取り付けられる第1の取付金具と、
前記ベース本体の他端部に取り付けられる第2の取付金具と、
を備え、
前記第1の取付金具および前記第2の取付金具は、それぞれ両端部に前記屋根面に固定される固定部を備える、
架台のベース。
【請求項2】
前記ベース本体は、前記屋根面に固定される底板部と、前記底板部に立設された一対の側壁部と、を備える、
請求項1に記載の架台のベース。
【請求項3】
前記ベース本体は、前記底板部の一端部に立設された壁部をさらに備え、
前記第1の取付金具は、一対の前記側壁部と前記壁部との間に設けられ、前記底板部の上面に配置される、
請求項2に記載の架台のベース。
【請求項4】
前記第1の取付金具は、前記底板部と一対の前記側壁部との間に設けられたスリットに嵌め込まれる、
請求項2に記載の架台のベース。
【請求項5】
前記第2の取付金具は、前記底板部と一対の前記側壁部との間に設けられたスリットに嵌め込まれる、
請求項2または3に記載の架台のベース。
【請求項6】
前記底板部と、前記第1の取付金具および前記第2の取付金具と、の間に隙間が設けられる、
請求項2または3に記載の架台のベース。
【請求項7】
前記ベース本体と、前記第1の取付金具および前記第2の取付金具が備える前記固定部と、の間に隙間が設けられる、
請求項1から4の何れか1項に記載の架台のベース。
【請求項8】
請求項1から4の何れか1項に記載の架台のベースと、
前記架台のベースに取り付けられた支持部材と、
前記支持部材に支持され、建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための固定ユニットと、
を備える架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台のベースおよび架台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、支持瓦に設けられた支持片に対して、固定具を介して、機能パネルを支持するための桟材が固定されている機能パネルの取付構造を開示している。この特許文献1に記載のものにおいては、固定具は、支持瓦に設けられた支持片にボルトで取り付けられていると共に、桟材は、固定具にビスで取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-57357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものでは、支持片を支持瓦に取り付け、固定具を介して桟材が固定される。固定強度を確保するためには、支持片などの固定部材を大きくする必要がある。固定部材が大きくなると、固定部材の輸送効率が低下する。このため、小さい固定部材で固定強度を確保することが求められる。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、小さい固定部材で固定強度が確保できる架台のベースおよび架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る架台のベースは、
建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための架台のベースであって、
前記設置対象を支持する支持部材を取り付け、前記屋根面に固定されるベース本体と、
前記ベース本体の一端部に取り付けられる第1の取付金具と、
前記ベース本体の他端部に取り付けられる第2の取付金具と、
を備え、
前記第1の取付金具および前記第2の取付金具は、それぞれ両端部に前記屋根面に固定される固定部を備える。
【0007】
前記ベース本体は、前記屋根面に固定される底板部と、前記底板部に立設された一対の側壁部と、を備えるとよい。
【0008】
前記ベース本体は、前記底板部の一端部に立設された壁部をさらに備え、
前記第1の取付金具は、一対の前記側壁部と前記壁部との間に設けられ、前記底板部の上面に配置されるとよい。
【0009】
前記第1の取付金具は、前記底板部と一対の前記側壁部との間に設けられたスリットに嵌め込まれるとよい。
【0010】
前記第2の取付金具は、前記底板部と一対の前記側壁部との間に設けられたスリットに嵌め込まれるとよい。
【0011】
前記底板部と、前記第1の取付金具および前記第2の取付金具と、の間に隙間が設けられるとよい。
【0012】
前記ベース本体と、前記第1の取付金具および前記第2の取付金具が備える前記固定部と、の間に隙間が設けられるとよい。
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明に係る架台は、
前記架台のベースと、
前記架台のベースに取り付けられた支持部材と、
前記支持部材に支持され、建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための固定ユニットと、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小さい固定部材で固定強度が確保できる架台のベースおよび架台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る架台の背面図である。
図2】実施の形態に係る架台の側面図である。
図3】実施の形態に係る架台のベースの分解斜視図である。
図4】実施の形態に係る架台のベースの上面図である(その1)。
図5】実施の形態に係る架台のベースの分解側面図である。
図6】実施の形態に係る架台のベースの背面図である。
図7】実施の形態に係る架台のベースの斜視図である。
図8】実施の形態に係る架台のベースの上面図である(その2)。
図9】変形例に係る架台のベースの斜視図である(その1)。
図10】変形例に係る架台のベースの背面図である(その1)。
図11】変形例に係る架台のベースの分解斜視図である(その1)。
図12】変形例に係る架台のベースの斜視図である(その2)。
図13】変形例に係る架台のベースの背面図である(その2)。
図14】変形例に係る架台のベースの上面図である(その1)。
図15】変形例に係る架台のベースの分解斜視図である(その2)。
図16】変形例に係る架台のベースの分解側面図である。
図17】変形例に係る架台のベースの斜視図である(その3)。
図18】変形例に係る架台のベースの背面図である(その3)。
図19】変形例に係る架台のベースの上面図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、相互に直交するXYZ座標を設定し、適宜参照する。XYZ座標のXY平面は、架台1が設置される屋根面Rに平行な面である。Z軸方向は、屋根面Rからの高さ方向Hに平行な方向である。また、本実施の形態において、建造物の棟から軒への方向である軒棟方向は、X軸方向と同一の方向である。
【0017】
架台1は、図1および図2に示すように、例えば、建造物の屋根面Rに取り付けられ、屋根面Rに設置される設置対象としての太陽光パネルPを支持するために用いられる。なお、本実施の形態において、架台1が取り付けられる建造物は、屋根の軒と棟とを有する家屋である。実施の形態に係る架台1は、固定ユニット30と、受け部材40と、ベースユニット50と、第1の留め具60とを備える。
【0018】
固定ユニット30は、第1の留め具60によって、受け部材40に固定され、太陽光パネルPを固定する。固定ユニット30は、設置対象配置部材31と、固定部材32と、カバー37と、固定部材用受け部材38と、第2の留め具39とを有する。固定ユニット30の各構成部品は、例えば、金属より形成されている。しかしながら、これに限られない。固定ユニット30の各構成部品は、金属以外の素材より形成されていてもよい。例えば、固定ユニット30の各構成部品は、樹脂やセラミックなどの剛性の高い素材でもよい。また、固定ユニット30の各構成部品の一部は、異なる素材より形成されていてもよい。しかしながら、固定ユニット30の各構成部品は、金属より形成されていることが好ましく、さらに好ましくは、固定ユニット30の各構成部品の全ては、同一の金属素材から形成されていることが好ましい。
【0019】
設置対象配置部材31は、本実施の形態においては、Y軸方向に延設されている横桟(よこざん)である。設置対象配置部材31は、そのXZ断面がZ軸方向を長手方向とする長方形状の角筒形状となるように形成されている。設置対象配置部材31は、例えば、金属を押出し成形することにより形成されている。具体的には、設置対象配置部材31は、例えば、アルミニウムを押出し成形することにより形成されている。この設置対象配置部材31の+Z側の上面には、建造物の棟から軒への方向である軒棟方向に直交するY軸方向に沿って固定部材取付け用溝が形成されている。なお、設置対象配置部材31は、本実施の形態においては、軒棟方向に直交する方向に延設される横桟である。しかしながら、これに限られない。設置対象配置部材31は、横桟以外の桟(さん)であってもよい。例えば、設置対象配置部材31は、軒棟方向と同一の方向に延設される縦桟(たてざん)であってもよい。また、設置対象配置部材31は、軒棟方向に交差する方向に延設されている横桟や縦桟以外の桟(さん)であってもよい。
【0020】
設置対象配置部材31の+Z側の上面は、太陽光パネルPが配置される面である。この+Z側の上面は、太陽光パネルPが配置されやすいように、YZ平面に平行な面に形成されている。
【0021】
固定部材32は、設置対象配置部材31の上面に配置された太陽光パネルPを挟み込むと共に、設置対象配置部材31に固定される金具である。本実施の形態は、固定部材32を3つ備え、3つの固定部材32が2枚の太陽光パネルPを固定する。この固定部材32は、側壁部32-1、32-2と、連結板部32-3と、延設部32-4、32-5とを有する。
【0022】
側壁部32-1、32-2は、YZ平面に平行な板状に形成されている。
【0023】
連結板部32-3は、XY平面に平行な板状に形成されている。この連結板部32-3は、側壁部32-1、32-2を連結する。連結板部32-3には、第2の留め具39が挿入される孔が形成されている。
【0024】
延設部32-4は、側壁部32-1の上端(+Z側の端部)から延設されている。延設部32-4は、太陽光パネルP、カバー37、及び固定部材用受け部材38のいずれかを設置対象配置部材31に対して押さえる。延設部32-4の-Z側の下面には、被係止部32-4aが形成されている。
【0025】
延設部32-5は、側壁部32-2の上端(+Z側の端部)から、延設部32-4の延設方向とは反対の方向に延設されている。延設部32-5は、太陽光パネルP、カバー37、及び固定部材用受け部材38のいずれかを設置対象配置部材31に対して押さえる。延設部32-5の-Z側の下面には、延設部32-4とは異なり、被係止部は形成されていない。
【0026】
カバー37は、設置対象配置部材31の+Y側の端部を覆う。カバー37は、導電性の素材からなる。カバー37は、例えば、金属を押出し成形することにより形成されている。具体的には、カバー37は、例えば、アルミニウムを押出し成形することにより形成されてから、表面に黒色のカラーアルマイト処理が施されることにより、アルミニウム自体の色であるシルバー色を覆って形成されている。このカバー37は、カバー本体37-1と、スペーサー37-2とを有する。
【0027】
第2の留め具39は、設置対象配置部材31と固定部材32とで太陽光パネルPを挟み込むと共に、設置対象配置部材31と固定部材32とを締結する。
【0028】
受け部材40は、固定ユニット30を下方から受ける。受け部材40は、例えば、金属を押出し成形することにより形成されている。具体的には、受け部材40は、例えば、アルミニウムを押出し成形することにより形成されている。
【0029】
支持部材20は、XZ断面がL字形状に形成され、L字形状の上端近傍で受け部材40を支持するL字アングル金具である。支持部材20は、ベースユニット50のスライド金具Sに固定される。この支持部材20には、高さ方向調整用溝21(受け部材取付け部)と、突出部23とが設けられている。
【0030】
高さ方向調整用溝21(受け部材取付け部)は、高さ方向Hに長く延びる溝である。高さ方向調整用溝21は、第1の留め具60が挿入される。高さ方向調整用溝21は、受け部材40の高さ方向Hの位置を調整するために使用される。
【0031】
突出部23は、支持部材20の上端(+Z側の端部)から+X方向に突出する。この突出部23は、第1の留め具60が有するボルト頭部が引っ掛かることにより、第1の留め具60が高さ方向調整用溝21から上方(+Z方向)に外れることを抑制する。なお、本実施の形態においては、突出部23は、支持部材20の上端(+Z側の端部)から+X方向に突出する。しかしながら、これに限られない。突出部23は、支持部材20の上端(+Z側の端部)から、+X方向とは逆の-X方向に突出してもよい。ただし、突出部23が-X方向に突出すると、支持部材20に取り付けられている受け部材40に干渉するおそれがある。このため、突出部23は、支持部材20の上端(+Z側の端部)から+X方向に突出する方が好ましい。
【0032】
支持部材取付け用留め具B1は、例えば、ボルトやネジから構成されている。支持部材取付け用留め具B1は、スライド金具Sのネジ孔にねじ込まれる。支持部材取付け用留め具B1は、スライド金具Sに対して支持部材20に取り付けるために用いられる。
【0033】
第1の留め具60は、ボルト61とナット62とを有する。ボルト61は、例えば、ボルトやネジから構成されている。本実施の形態においては、第1の留め具60のボルト61は、ナット62にねじ込むものである。しかしながら、これに限られない。例えば、受け部材40の孔をネジ孔として、ボルト61は、この孔にねじ込むものにしてもよい。この場合、ナット62を割愛することができ、第1の留め具60は、ボルト61のみから構成される。
【0034】
ベースユニット50は、屋根面Rからの高さ方向Hに調整可能に受け部材40を固定すると共に、受け部材40を介して固定ユニット30を支持する。ベースユニット50は、架台のベース10と、スライド金具S(スライド部材)と、支持部材20と、支持部材取付け用留め具B1とを有する。
【0035】
架台のベース10は、例えば、金属より形成され、具体的には、例えば、金型を用いたダイカストにより形成されている。この架台のベース10は、図3に示すように、ベース本体11と、第1の取付金具12と、第2の取付金具13と、を備える。
【0036】
ベース本体11は、図1に示す屋根面Rに固定される底板部11Bと、底板部11Bに立設された一対の側壁部11R、11Lと、底板部11Bの一端部に形成された壁部14と、を備える。
【0037】
一対の側壁部11R、11Lのそれぞれの対向面には、図1に示す支持部材20を固定するために用いられるスライド金具Sの一部が嵌まる一対の溝15R、15Lが形成されている。
【0038】
溝15R、15Lは、第1方向D1(軒棟方向)に沿って延びるように形成されている。溝15R、15Lには、スライド規制部16R、16Lが形成されている。なお、本実施の形態においては、スライド規制部16R、16Lは、溝15R、15Lそれぞれに形成されていることで、2つ形成されている。しかしながら、これに限られない。スライド規制部16R、16Lは、溝15R、15Lの一方に形成されていてもよい。
【0039】
スライド規制部16R、16Lは、図1に示す架台のベース10に対するスライド金具Sの第1方向D1へのスライドを規制するために形成されている。本実施の形態においては、スライド規制部16R、16Lは、図1に示す架台のベース10に対するスライド金具Sの+X方向へのスライドを規制する。
【0040】
壁部14は、ベース本体11において棟寄り(-X寄り)の端部に一対の側壁部11R、11Lと隙間を空けて設けられ、XY平面に対して上方(+Z方向)に突出して形成されている。壁部14は、鋳造により、ベース本体11に一体的に形成されている。壁部14は、例えば、棟側から流れる雨水が左右に流れるために用いられる。この壁部14には、図4に示すように、第1傾斜面14Aと第2傾斜面14Bと突出面14Cとが形成されている。第1傾斜面14Aは、第1方向D1に対して傾斜して形成されている。第2傾斜面14Bは、第1傾斜面14Aとは別の傾斜面である。第2傾斜面14Bは、第1方向D1に対して傾斜して形成されている。突出面14Cは、第1傾斜面14Aと第2傾斜面14Bとの間に設けられている。突出面14Cは、棟方向(-X方向)に突出して形成されている。突出面14Cは、本実施の形態においては、曲面に形成されている。
【0041】
第1の取付金具12は、ベース本体11を図1に示す屋根面Rに固定するものであり、底板部11Bを押さえる押さえ部12Aと、両端部に形成され、屋根面Rに固定される固定部12B、12Cが設けられている。押さえ部12Aは、壁部14と一対の側壁部11R、11Lと隙間11Cに設けられ、底板部11Bの上面に配置される。固定部12B、12Cは、押さえ部12Aに対してベース本体11の厚みの段差が設けられている。固定部12B、12Cには、図3に示すベース取付け用留め具B2が挿通するネジ穴が設けられている。第1の取付金具12のY方向の長さは、ベース本体11のY方向の長さより大きい。
【0042】
第2の取付金具13は、ベース本体11を屋根面Rに固定するものであり、底板部11Bを押さえる押さえ部13Aと、両端部に形成され、屋根面Rに固定される固定部13B、13Cと、を有する。押さえ部13Aは、図5および図6に示すように、押さえ部13Aの上面に設けられ、ベース本体11と一対の側壁部11R、11Lとの間に設けられたスリット11Dに配置される。固定部13B、13Cには、図3に示すベース取付け用留め具B2が挿通するネジ穴が設けられる。第2の取付金具13のY方向の長さは、ベース本体11のY方向の長さより大きい。
【0043】
なお、架台のベース10は、その裏面に、例えば、ブチルゴムからなるシート90が貼り付けられて使用される。なお、図1で示したブチルゴムからなるシート90の形状は、例示であり、これに限定されるものではない。また、シート90の素材は、ブチルゴムに限られず、ブチルゴム以外のものであってもよい。
【0044】
上述のように構成されている架台のベース10は、例えば、少なくとも二つの金型を上下方向(+Z方向及び-Z方向)に開く鋳造により、ベース本体11と壁部14とを一体的に製造される。しかしながら、これに限らず、ベース本体11と壁部14とを一体的に形成できる製造方法であれば、鋳造以外の製造方法であってもよい。また、架台のベース10は、鋳造のうちのダイカストにより製造されることが好ましい。しかしながら、これに限られない。架台のベース10は、ダイカスト以外の砂型や石膏型、樹脂型、ロストワックスなどの鋳造により製造されてもよい。
【0045】
図1に示すスライド金具Sは、図3に示す架台のベース10の溝15R、15Lに第1方向D1にスライド可能に嵌め込まれる。スライド金具Sは、架台のベース10に対して、第1方向D1における任意の位置で取り付けられることにより、第1方向D1における太陽光パネルPの位置決めを行う。スライド金具Sは、例えば、金属より形成されており、具体的には、架台のベース10と同じ素材の金属より形成されている。このスライド金具Sには、ネジ孔が形成されている。このネジ孔は、Z軸方向に貫通して形成され、支持部材取付け用留め具B1がねじ込まれると共に、内周面が雌ネジ面に形成されている。
【0046】
上述のように構成されている架台1の施工方法について、図を用いて説明する。
【0047】
図1に示す架台1および太陽光パネルPを建造物の屋根面Rに設置する場合、屋根面Rに架台1を設置する作業者は、先ず、図3に示す架台のベース10を屋根面Rに取り付ける。詳細には、まず、ベース本体11を屋根面Rに配置し、ベース取付け用留め具B2によりベース本体11を屋根面Rに固定する。
【0048】
つぎに、図5および図6に示すように、第1の取付金具12の押さえ部12Aを、壁部14と一対の側壁部11R、11Lと隙間11Cであり、底板部11Bの上面に配置する。また、第2の取付金具13の押さえ部13Aを、底板部11Bの上面であり、ベース本体11と一対の側壁部11R、11Lとの間に設けられたスリット11Dに配置する。これにより、図7に示すように、架台のベース10が組み立てられる。
【0049】
つぎに、図8に示すように、固定部12B、12C、13B、13Cに設けられたネジ穴にベース取付け用留め具B2を取り付ける。これにより、ベース本体11、第1の取付金具12および第2の取付金具13が、図1に示す屋根面Rに固定される。
【0050】
つぎに、図1に示すスライド金具Sと支持部材20とをその順で架台のベース10に取り付ける。支持部材20は、スライド金具Sに対して、図2に示す支持部材取付け用留め具B1によって固定される。
【0051】
つぎに、第1の留め具60を用いて、支持部材20に対する受け部材40の仮留めを行う。
【0052】
つぎに、受け部材40に対して、太陽光パネルPが取り付けられていない設置対象配置部材31を+Z側(上側)から嵌め込む。
【0053】
つぎに、屋根面Rから設置対象配置部材31の上端までの高さレベルを、作業者の所望の高さレベルとなるように調整する。そして、作業者は、第1の留め具60を用いて、支持部材20に対する受け部材40の固定を行う。
【0054】
つぎに、設置対象配置部材31の上面に、太陽光パネルP、スペーサー37-2を有するカバー37、及び、固定部材用受け部材38を配置する。そして、作業者は、複数の固定部材32を用いて、設置対象配置部材31に対して、太陽光パネルP、カバー37、及び、固定部材用受け部材38を固定する。このとき、複数の固定部材32同士の位置を調整して、太陽光パネルPを強固に固定することができる。
【0055】
以上により、図1および図2に示すように、建造物の屋根面Rに対して架台1及び太陽光パネルPを設置する作業が完了する。
【0056】
以上、説明したように、本実施の形態に係る架台1および架台のベース10は、第1の取付金具12および第2の取付金具13を備えることで、小さい固定部材で固定強度が確保できる。詳細には、第1の取付金具12の押さえ部12Aが、壁部14と一対の側壁部11R、11Lと隙間11Cに設けられ、底板部11Bの上面に配置されることで、第1の取付金具12がベース本体11に固定され、第1の取付金具12がベース本体11を屋根面Rに固定することができる。また、第2の取付金具13の押さえ部13Aが、底板部11Bの上面に設けられ、ベース本体11と一対の側壁部11R、11Lとの間に設けられたスリット11Dに配置されることで、第2の取付金具13がベース本体11に固定され、第2の取付金具13がベース本体11を屋根面Rに固定することができる。従って、第1の取付金具12および第2の取付金具13を屋根面Rに固定することで、屋根面Rに配置されたベース本体11の固定強度を補強することができる。これに対して、ベース本体11のみで固定強度を確保できるようにするためには、ベース本体11のサイズを大きくする必要があり、保管時に必要なスペースが大きくなり、また、大きくすることでベース本体11の質量が大きくなり輸送コストが大きくなる。
【0057】
また、本実施の形態に係る架台1のベース10は、ダイカストにより形成されている。このため、本実施の形態では、アルミ等の金属の押出し加工や金属プレートのプレス成形によって製造されるものと比べて、架台のベース10の製造コストを抑制することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る架台のベース10は、ダイカストにより形成されているため、ベース本体11において、ベース取付け用留め具B2から雨水を最も防ぎやすい位置に壁部14を形成することができる。また、本実施の形態では、屋根面Rに対して+Z方向に突出する形状に架台のベース10を形成することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る架台のベース10では、壁部14は、ベース本体11に一体的に形成されている。このため、ベース本体11と壁部14とが別体に形成されていることで、屋根面Rにベース本体11を取り付けてから、ベース本体11に壁部14を取り付ける場合と比べて、本実施の形態では、施工者の技量に関わらず、屋根面Rに対する所望の位置に壁部14を配置しやすくなる。この結果、実施の形態では、建造物の屋根面Rに対する架台のベース10の設置の作業効率を向上させることができる。
【0060】
また、実施の形態においては、図3に示すように、一対の側壁部11R、11Lのそれぞれの対向面に形成されている溝15R、15Lには、スライド規制部16R、16Lが形成されている。このため、スライド規制部16R、16Lが、架台のベース10に対する図1に示すスライド金具Sおよび固定ユニット30の+X方向へのスライドを規制する。この結果、実施の形態に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0061】
(変形例)
上述の実施の形態の架台のベース10では、第1の取付金具12の押さえ部12Aおよび第2の取付金具13の押さえ部13Aが、ベース本体11の底板部11Bの上面に配置される例について説明した。第1の取付金具12の押さえ部12Aおよび第2の取付金具13の押さえ部13Aは、ベース本体11の底板部11Bを押さえることができればよく、図9および図10に示すように、底板部11Bと押さえ部12A、13Aとの間に隙間が設けられてもよい。この場合、押さえ部12A、13Aは、図11に示すように、それぞれ底板部11Bに対向する面に凸部12D、13Dを備える。凸部12D、13Dがベース本体11の底板部11Bの上面を押さえることで、ベース本体11を図1に示す屋根面Rに固定することができる。また、底板部11Bと押さえ部12A、13Aとの間に隙間が設けられることで、ベース本体11の底板部11Bの上面に溜まった雨水が排水される。この例では、押さえ部12A、13Aが、それぞれ底板部11Bに対向する面に凸部12D、13Dを備えているが、底板部11Bに凸部が形成されてもよく、他の構成により、底板部11Bと押さえ部12A、13Aとの間に隙間が設けられてもよい。
【0062】
また、図12および図13に示すように、ベース本体11と、第1の取付金具12および第2の取付金具13が備える固定部12B、12C、13B、13Cと、の間に隙間が設けられてもよい。また、ベース本体11において棟寄り(-X寄り)の端部に設けられ、図1に示す建造物の屋根面Rに対して+Z方向に突出して形成されている壁部14を備える。この壁部14は、図14に示すように、棟側から流れる雨水Wを-Y側及び+Y側の左右に分けつつ軒方向(+X方向)に流すことができる。さらに、ベース本体11と、第1の取付金具12および第2の取付金具13が備える固定部12B、12C、13B、13Cと、の隙間に雨水Wが流れて排水される。このようにすることで、建造物の屋根面Rを流れる雨水Wが、屋根面Rに対して架台1を取り付けるベース取付け用留め具にかかることを抑制する。これにより、例えば、ベース取付け用留め具が木製のものである場合には、ベース取付け用留め具の腐敗の進行を抑制することができる。ひいては、架台のベース10は、雨水Wに起因して、ベース取付け用留め具が劣化することを抑制することができる。結果として、架台のベース10は、屋根面Rに対する架台1の固定力の低下を抑制することができる。なお、図11に示すように、第1の取付金具12および第2の取付金具13がそれぞれ底板部11Bに対向する面に凸部12D、13Dを備えると、凸部12D、13Dが一対の側壁部11R、11Lに当接し、第1の取付金具12および第2の取付金具13がY方向にずれることを防止することができる。
【0063】
上述の実施の形態では、第1の取付金具12が、壁部14と一対の側壁部11R、11Lと隙間11Cに設けられ、底板部11Bの上面に配置される例について説明したが、第1の取付金具12は、ベース本体11の一端部に取り付けられればよい。例えば、図15から図18に示すように、第1の取付金具12は、第2の取付金具13のように、ベース本体11と一対の側壁部11R、11Lとの間に設けられたスリット11Eに配置されてもよい。この場合、ベース本体11は、壁部14を備えない代わりに、ベース本体11と一対の側壁部11R、11Lとの間に設けられたスリット11Eを備える。図19に示すように、ベース本体11と、第1の取付金具12および第2の取付金具13が備える固定部12B、12C、13B、13Cと、の隙間に加えて、底板部11Bと押さえ部12A、13Aとの隙間からも雨水Wが流れて排水される。このようにすることで、図1に示す建造物の屋根面Rを流れる雨水Wが、屋根面Rに対して架台1を取り付けるベース取付け用留め具にかかることを抑制する。これにより、例えば、ベース取付け用留め具が木製のものである場合には、ベース取付け用留め具の腐敗の進行を抑制することができる。ひいては、架台のベース10は、雨水Wに起因して、ベース取付け用留め具が劣化することを抑制することができる。結果として、架台のベース10は、屋根面Rに対する架台1の固定力の低下を抑制することができる。
【0064】
また、第1の取付金具12は、角バンドを含み、一対の側壁部11R、11Lの上部に覆い被さって配置されてもよい。このようにすることで、第1の取付金具12は、架台のベース10を屋根面Rに固定することができる。
【0065】
上述の実施の形態では、第2の取付金具13が、押さえ部13Aの上面に設けられ、ベース本体11と一対の側壁部11R、11Lとの間に設けられたスリット11Dに配置される例について説明したが、第2の取付金具13は、ベース本体の他端部に取り付けられればよい。例えば、第2の取付金具13は、角バンドを含み、一対の側壁部11R、11Lの上部に覆い被さって配置されてもよい。このようにすることで、第2の取付金具13は、架台のベース10を屋根面Rに固定することができる。
【0066】
上述の実施の形態では、支持部材20が架台のベース10にスライド可能に取り付けられる例について説明したが、支持部材20は架台のベース10に取り付けられればよく、支持部材20は架台のベース10に直接固定されてもよい。このようにすることで、側壁部11R、11Lに溝15R、15Lを形成する必要がなく、スライド金具Sも不要であるため、構造を簡略化することができる。
【0067】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0068】
1:架台、10:架台のベース、11:ベース本体、11B:底板部、11R、11L:側壁部、11C:隙間、11D,11E:スリット、12:第1の取付金具、12A,13A:押さえ部、12B,12C,13B,13C:固定部、12D,13D:凸部、13:第2の取付金具、14:壁部、14A:第1傾斜面、14B:第2傾斜面、14C:突出面、15R,15L:溝、16R,16L:スライド規制部、20:支持部材、21:高さ方向調整用溝(受け部材取付け部)、23:突出部、30:固定ユニット、31:設置対象配置部材、32:固定部材、32-1,32-2:側壁部、32-3:連結板部、32-4,32-5:延設部、32-4a:被係止部、37:カバー、37-1:カバー本体、37-2:スペーサー、38:固定部材用受け部材、39:第2の留め具、40:受け部材、50:ベースユニット、60:第1の留め具、61:ボルト、62:ナット、90:シート、S:スライド金具、B1:支持部材取付け用留め具、B2:ベース取付け用留め具、D1:第1方向、H:高さ方向、P:太陽光パネル(設置対象)、R:屋根面、W:雨水。
【要約】
【課題】小さい固定部材で固定強度が確保できる架台のベースおよび架台を提供する。
【解決手段】架台のベース10は、建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するためのものである。ベース本体11は、設置対象を支持する支持部材を取り付け、屋根面に固定される。第1の取付金具12は、ベース本体11の一端部に取り付けられる。第2の取付金具13は、ベース本体11の他端部に取り付けられる。第1の取付金具12および第2の取付金具13は、それぞれ両端部に屋根面に固定される固定部12B、12C、13B、13Cを備える。
【選択図】図3
図1
図2
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