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特許7558546ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/70 20180101AFI20240924BHJP
【FI】
G16H20/70
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024116587
(22)【出願日】2024-07-20
【審査請求日】2024-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2024062786
(32)【優先日】2024-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】724002759
【氏名又は名称】キラル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下川 千草
(72)【発明者】
【氏名】中島 栄彦
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/204239(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110931111(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0065585(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0172641(US,A1)
【文献】茂本 由紀 他,脱フュージョン・エクササイズの作用メカニズムの検討-3つのエクササイズの順序効果について-,心理臨床科学 Doshisha Clinical Psychology: Therapy and Research,日本,同志社大学[online],2013年12月31日,p.13-26,インターネット検索<URL: http://pscenter.doshisha.ac.jp/journal/PDF/Vol3/p13-.pdf>, [検索日2024年8月9日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアのためのシステムであって、
前記システムが、
入出力部を有するユーザの情報処理端末と、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、前記システムの制御を行う制御装置と、を含むサーバと、
を含み、ここで前記ワークセットは複数のエクササイズを含み、
前記システムが、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれる複数のエクササイズのうちの一部のエクササイズを前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させ、
前記一部のエクササイズの前記ユーザの実行後に、前記情報処理端末の前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記一部のエクササイズの実行による効果の評価を行い、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズであって、前記ユーザが前回実行した前記一部のエクササイズと異なるエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる、システム。
【請求項2】
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアのための情報処理端末であって、
前記情報処理端末が、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、
前記情報処理端末の制御を行う制御装置と、
入出力部とを含み、ここで前記ワークセットは複数のエクササイズを含み、
前記制御装置が、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれる複数のエクササイズのうちの一部のエクササイズを前記入出力部を介してユーザに提供して実行させ、
前記一部のエクササイズの前記ユーザの実行後に、前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記一部のエクササイズの実行による効果の評価を行い、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズであって、前記ユーザが前回実行した前記一部のエクササイズと異なるエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる、情報処理端末。
【請求項3】
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供するための方法であって、
前記方法が、
入出力部を有するユーザの情報処理端末と、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、システムの制御を行う制御装置とを含むサーバと、を含む前記システムにおいて、ここで前記ワークセットは複数のエクササイズを含み、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つのテーマに対応付けられた前記ワークセットに含まれる複数のエクササイズのうちの一部のエクササイズを前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させる工程、
前記一部のエクササイズの前記ユーザの実行後に、前記情報処理端末の前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記一部のエクササイズの実行による効果の評価を行う工程、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズであって、前記ユーザが前回実行した前記一部のエクササイズと異なるエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる工程とを含む、
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを前記ユーザに提供する方法。
【請求項4】
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供するための方法であって、
前記方法が、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、
情報処理端末の制御を行う制御装置と、
入出力部とを含む情報処理端末において、ここで前記ワークセットは複数のエクササイズを含み、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれる複数のエクササイズのうちの一部のエクササイズを前記入出力部を介してユーザに提供して実行させる工程、
前記一部のエクササイズの前記ユーザの実行後に、前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記一部のエクササイズの実行による効果の評価を行う工程、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズであって、前記ユーザが前回実行した前記一部のエクササイズと異なるエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる工程、を含む
前記ユーザにストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供する方法。
【請求項5】
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供するためのプログラムであって
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつコアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)に関する質問の情報と、を記憶する記憶装置と、
システムの制御を行う制御装置と、
ユーザへの情報の入出力を行う入出力部とを有する前記システムにおいて、ここで前記ワークセットは複数のエクササイズを含み、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスに含まれる一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれる複数のエクササイズのうちの一部のエクササイズを前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させる機能、
前記一部のエクササイズの前記ユーザの実行後に、前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記一部のエクササイズの実行による効果の評価を行う機能、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズであって、前記ユーザが前回実行した前記一部のエクササイズと異なるエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる機能、
を前記システムで実現するプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子商取引に類似する技術と診断用の医療機器等で研究開発された技術を応用した、ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケア支援用プログラムおよびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
心理的・社会的ストレスから生じる病気や、ストレスによって経過が悪くなると考えられる病気をストレス関連疾患と呼ぶ。ストレス関連疾患は心身症とも呼ばれ、 ストレス反応が改善されずに慢性化していくと、メンタルヘルス面での疾患だけでなく、身体面での疾患に至ることがある。ストレス関連疾患のメンタルヘルス面での疾患は、自律神経失調症、うつ病、不安障害、パニック障害、適応障害、アルコール依存症、薬物依存症、摂食障害、過敏性腸症候群、突発性難聴、神経症、片頭痛、不眠症、緊張性頭痛、ストレス関連身体疾患(心身症)としては胃・十二指腸潰瘍、本態性高血圧症、心臓神経症、気管支喘息,過喚起症候群、本態性高血圧症,冠動脈疾患(狭心症,心筋梗塞)、胃・十二指腸潰瘍,潰瘍性大腸炎,心因性嘔吐、単純性肥満症,糖尿病、筋収縮性頭痛,痙性斜頚,書痙、慢性蕁麻疹,アトピー性皮膚炎,円形脱毛症、慢性関節リウマチ,腰痛症、夜尿症,心因性インポテンス、眼精疲労,本態性眼瞼痙攣、メニエール病、顎関節症、PMS/PMDDなどが挙げられる。そして、これらのメンタルヘルス面に起因する疾患については心理療法が用いられている。
【0003】
認知行動療法を用いた診療支援システムとして、次に述べる技術が知られている。特許文献1には、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)のコアプロセスに対応した取り組み内容を所定期間ごとに切り替えながら実施する、複数の介入処理からなる治療用のシナリオを患者に提供し、シナリオの実施の前後のACTの6つのコアプロセスの尺度による比較結果等に基づいて次回から患者に提供するシナリオを修正する技術を開示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際出願公開2023/204239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、同一人物には所定の期間内で、既定の治療用のシナリオを提供するものであって、その期間内でそれぞれの要素技術を評価してシナリオを修正するものではない。また、ACTのコアプロセスと介入処理が一対一で対応付けられたものでないのはなく、また、介入処理と評価尺度が一対一で対応付けられたものでもないので、ACTのコアプロセス毎に評価することもできず、結果としてコアプロセス毎の習熟度を上げることもできなかった。
【0006】
本発明の一つの課題は、ACTは独立した6つのコアプロセスからなり、情報処理装置、特にICT機器を利用したセルフケア機能として適しているが、従来その特性を生かしたコアプロセスの習得方法が存在しなかったので、ACTのコアプロセス毎の習熟度を向上させ、ひいては、トータルとして心理的柔軟性を向上させることができ、セルフケアアプリや治療用アプリに利用できる技術を提供することである。本発明の二つ目の課題は、従来のアプリ(たとえば特許文献1)は、従来の心理療法のように段階を踏んでカリキュラムを提供する書籍のようなもので実際にICTの利点を生かしたものでもなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来はコアプロセスの習熟度というよりも引用文献1の図4に示されたように治療のシナリオの中の段階ごとの、コアプロセスと異なる取り組み内容のようなものが着目されてその段階の順を追った習得具合のみが着眼されていた、そして、治療のシナリオの全部を通してのコアプロセスの習得度の変化しか着眼されていなかった。これは、本願発明者によって提案するように、コアプロセスとワークセットを対応付け、そして、評価も実行したコアプロセスのワークセットごとに評価尺度によって情報処理装置を用いて評価を行うことができる、あるいは、情報処理装置の技術を用いればコアプロセスをそのユーザが実行したプロセス毎に取り扱いができるという知見がなかったからである。また、本発明はACTに特有のコアプロセスの習熟度を情報処理装置を使って処理することを特徴とするものであって、本発明者らの知見なくして従来の他の技術などを単に転用して解決することはできなかった。
(発明1)
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアのためのシステムであって、
前記システムが、
入出力部を有するユーザの情報処理端末と、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、前記システムの制御を行う制御装置と、を含むサーバと、
を含み、
前記システムが、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれるエクササイズを前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させ、
前記ワークセットの前記ユーザの実行後に、前記情報処理端末の前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記エクササイズの実行による効果の評価を行い、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる、ためのシステム。
(発明2)
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアのための情報処理端末であって、
前記情報処理端末が、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、
前記情報処理端末の制御を行う制御装置と、
入出力部とを含み、
前記制御装置が、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれるエクササイズを前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させ、
前記ワークセットの前記ユーザの実行後に、前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問項目の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記エクササイズの実行による効果の評価を行い、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる、情報処理端末。
(発明3)
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供するための方法であって、
前記方法が、
前記システムが、
入出力部を有するユーザの情報処理端末と、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、前記システムの制御を行う制御装置とを含むサーバと、を含むシステムにおいて、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つのテーマに対応付けられた前記ワークセットに含まれるエクササイズを前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させる工程、
前記ワークセットの前記ユーザの実行後に、前記情報処理端末の前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記エクササイズの実行による効果の評価を行う工程、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記情報処理端末の前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる工程とを含む、
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを前記ユーザに提供する方法。
(発明4)
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供するための方法であって、
前記方法が、
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつ、コアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)の質問の情報と、を記憶する記憶装置と、
前記情報処理端末の制御を行う制御装置と、
入出力部とを含情報処理端末において、
前記記憶装置に記憶された前記複数のコアプロセスの一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれるエクササイズを前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させる工程、
前記ワークセットの前記ユーザの実行後に、前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記ワークの実行による効果の評価を行う工程、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる工程、を含む
前記ユーザにストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供する方法。
(発明5)
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアを提供するためのプログラムであって
複数のアクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)のコアプロセスのそれぞれに一対一で対応付けられたワークセットと、前記ワークセットのそれぞれに一対一で対応付けられ、かつコアプロセスの習熟度を評価するための評価尺度(ACTのコアプロセスの評価尺度)に関する質問項目の情報と、を記憶する記憶部と、
前記プログラムとシステムの制御を行う制御装置と、
ユーザへの情報の入出を行う入出力部とを有するシステムにおいて、
前記記憶部に記憶された前記複数のコアプロセスに含まれる一つに対応付けられた前記ワークセットに含まれるエクササイズを前記入出力部を介して前記ユーザに提供して実行させる機能、
前記ワークセットの前記ユーザの実行後に、前記入出力部を介して、前記ユーザが実行した前記ワークセットに対応する前記質問の情報を前記ユーザに提供し、前記ユーザによる前記質問の情報への回答結果を取得し、その回答結果から前記ユーザの前記ワークの実行による効果の評価を行う機能、
前記評価の結果が基準に満たない場合は再度、前記入出力部を介して前記記憶装置に記憶された前記ユーザが実行した前記コアプロセスに対応したワークセットのエクササイズを前記ユーザに提供して実行させる機能、
を前記システムで実現するプログラム。を前記システム上で実行するプログラム。
発明1-5では、ワークセットのエクササイズ(エクササイズは教育コンテンツ、ワークなども含む概念として記載)を実行することで、個別のコアプロセスに着目して、実行したコアプロセス毎にユーザの習熟度を向上することができる。
(発明6)
上述の発明1-5のシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法において、特定の疾患を対象としないシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法。
本発明はストレス関連疾患の症状全般に対して効果を示すので、特定の疾患に適用することもできるが、特に特定の疾患を対象とすることなく、ストレス対処法を学び、心理的柔軟性を向上させることで日常からストレス対処が可能となり未病などを達成するための、セルフケアツール、支援ツールとしての利用が効果的である。
(発明7)
上述の発明1-5のシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法において、前記ワークセットが同一のコアプロセスに効果を与える複数の異なるエクササイズを含んでいるシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法。
ワークセットについては一つのエクササイズ、複数の同じエクササイズ、複数の異なるエクササイズを含む場合があり得るが、エクササイズには適、不適や好みがあるため、異なる複数のエクササイズを実行させることでユーザに適したセルフケアメソッドをユーザが手に入れることができる。
(発明8)
上述の発明1-5のシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法において、前記コアプロセスに応じたワークセットの提供が継続的または断続的にユーザに用いられるシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法。
治療用アプリとしての処方のように特定の期間を区切った利用方法もあるが、コアプロセスに従うワークセットを継続的にユーザの実施を促す、あるいは、ある程度の効果が得られたらしばらく休止し(たとえば、ACTは終了後6か月効果があると言われている)、また評価を行って、ワークセットの提供を再開するといった用途で、ユーザの心理的柔軟性を向上するようにするとストレス関連疾患の予防につながり好ましい。
(発明9)
上述の発明1-5のシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法において、複数のワークセットが連続的にユーザによって実行された後、複数の評価が行われるシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法。
ワークセットは、一つのワークセットの実行毎に評価を行うケースと複数のワークセットの実行後にまとめて評価を行うケースがあり得るが、エクササイズは複数のコアプロセスに効果を与えるものもあるので複数のワークセットを実行後にまとめて評価を行うと、単独で評価する場合に比べて複数のコアプロセスへの効果を同時に計測することができ、また、ユーザの質問への回答の負荷も減る。
(発明10)
上述の発明1-5のシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法において、一つのコアプロセスに対応したワークセットの実行を繰り返してユーザに提供した場合、その評価時には基準点を上げて評価を行うシステム、情報処理端末、プログラムまたは方法。
一連の複数のコアプロセスのワークセットをユーザに提供して実施させた後に、再度、一連の複数のコアプロセスのワークセットを提供して実施させる場合に、一度基準点を満たしていることが想定されるので、習熟度で合格と判定される基準点を上げて評価を行うことによって、習熟度をさらに高めることができる。基準点のあげる目安については、システムのいずれかに回数と目安になる基準点の情報を記憶しておき、それを参照する、あるいは、前回までのユーザのワークセットの実施に基づく尺度の評価結果を比較し、1回のワークセットの実施から期待される上げ幅を推定し、1回あたりの上げ幅を設定してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のセルフメンタルケアシステムによれば、ストレス関連疾患を予防・改善するためのストレス対処能力を高めることが可能で、そのうえで、ストレス関連疾患に特徴的な症状の緩和を図るので効果的で永続的な改善が期待できる。また、ストレス対処能力が高まるので特定の疾患の改善だけでなく、副次的に現れる、抑うつ症状や不安症状の改善といった副次的な効果を得ることもできる。さらに、セルフメンタルケアのための複数のエクササイズがテーマに沿ったワークセットとして提供され、さらに、そのテーマごとに評価を行い、習熟度が低い場合には再度同じワークセットを繰り返すようにし、情報処理端末の特性を生かして、自動的にユーザのセルフメンタルケアを行える。また、そのテーマをACTまたはマインドフルネスのコアプロセスになぞらえることによって、ACTのコアプロセスが比較的独立になっており効果がわかりやすいので、さらに効率的にセルフケアプロセスを実施・評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のシステムを示す概念図である。
図2】本発明の実施例のPMSメモリの(a)ユーザのパーソナルデータのデータベースの一例、(b)入力画面の一例を示す図である。
図3】本発明の実施例の睡眠日誌の(a)ユーザのパーソナルデータのデータベースの一例、(b)入力画面の一例を示す図である。
図4】本発明の実施例の疼痛日誌のユーザのパーソナルデータのデータベースの一例を示す図である。
図5】本発明の実施例の疼痛日誌の入力画面の一例を示す図である。
図6】本発明のシステムの(a)制御プログラムの機能ブロック、(b)制御のフローを示す図である。
図7】本発明の実施例のシステムのユーザ画面の一例を示す図である。
図8】本発明の各テーマの繰り返しの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明はストレス関連疾患やストレスに起因するメンタル不調のセルフケアシステムにおいて、ストレス関連疾患やストレスに起因するメンタル不調からもたらされる対症的改善提案だけでなく、根本原因となるストレス対処法を身につけることによって対症的改善提案の効果が向上するという知見に基づく。さらには、ストレス対処法と対症的改善提案の内容や提供時期を関連付けることによってさらに効果を高めることができる。
(セルフケアアプリを含むシステムの構成)
本発明の一実施形態として、インターネット上に設置されたネットワークシステムにインストールされたプログラムを挙げる。ネットワークシステムは、サーバやクラウド上の大容量の記憶装置を備え、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどのユーザ端末がインターネットを介して接続されたサーバであり、このサーバ装置は、本実施形態に係るプログラムを実行することで、ユーザ端末とのデータ通信を通じて、ユーザ端末から入力された情報や、サーバの記憶装置に格納されている情報を用いてユーザ端末を介してユーザにストレス関連疾患の治療や緩和、セルフケアを可能とする治療用アプリ、セルフメンタルヘルスケアアプリやストレス関連疾患に関わる疾患教育等の各種情報を提供するものである。また、本システムはサーバとユーザ端末が協同して利用者、患者の症状を改善する例として示したが、すべての要素をサーバ側だけに保持し、ユーザ端末は情報入出力と情報表示のためだけに用いるシステム、あるいは、必要なデータやプログラムをユーザ端末にダウンロードして、すべての処理をユーザ端末で実行できるシステムや、ユーザがアクセスできるウェブページでの提供も本発明の範囲に含まれる。
図1にユーザ端末110とサーバ106を含むネットワークシステム100の構成の概略を示した。ユーザ端末110は、インターネット120を介してサーバ130と通信するための通信装置105、個人情報や、データ、プログラムを記録するための記憶装置102、表示装置103、ユーザからの入力を受け付ける入力装置104、これらの制御を行う制御装置101などを含む。サーバ130には、インターネット120を介してユーザ端末110と通信するための通信装置131、大容量の記憶装置133、および制御装置132などが含まれる。制御装置132には、通信装置131を介してユーザ端末110と通信するための通信制御プログラムが実装されているとともに、記憶装置133に構築されたデータベースを管理するプログラムと、ユーザの現在または過去の症状・状態を記録した症状の記録(日誌)を管理する専用のプログラム(以下、症状日誌プログラムとも言う)や、セルフケアアプリや治療用アプリのサーバ側プログラム、セルフケアアプリや治療用アプリの治療用のモジュールであるワークや疾患教育の動画などのデータが格納されている。そして、サーバ側の制御プログラムは、ユーザ側のセルフケアアプリ・治療用アプリと連携して診断・治療・緩和・改善・維持またはセルフケアを実行し、制御装置132がセルフケア、治療に必要な情報を通信制御プログラムやデータベース管理プログラムと連携させながらユーザ端末に提供する。それによってサーバ130による診断・治療・緩和・改善・維持あるいはセルフケアがユーザに提供される。この例ではセルフケア・治療用アプリはサーバ側部分とユーザ端末側部分に分けられ、診断・治療・緩和・改善・維持またはセルフケアが実行される例を示すが、必要なプログラム・データ等をすべてユーザ端末110にダウンロードし、ユーザ端末110で独立して実行できる構成としてもよい(この場合、ユーザの情報処理端末110の制御部がプログラムの各機能ブロックの機能を制御し、実行し、情報処理端末110の記憶装置に複数のワークセット、テーマ評価尺度や疾患評価尺度が記憶される)。または、ユーザ端末110は入力手段および表示手段としてのみ機能し、サーバ130はユーザ端末110からの入力、例えば専用のウェブページを介した、に基づいてプログラムを実行するように構成してもよい。
【0011】
(ストレスマネジメント法)
心理療法や心理カウンセリングの手法で、被験者のストレスへの対処法を習得させる方法が確立されている。本発明では心理療法の中でも認知行動療法に基づくストレスの対処法について例示するが、その他の心理療法等の手法を適用することも可能なことはいうまでもない。またストレス対処法を身に着けることによって、普段からストレス耐性を高め、さまざまな不適応行動や症状の問題を予防することが可能となり、結果として、ストレス関連疾患の改善や症状の改善につながり、また、症状に対する心理的介入の効果を高めることができる。体系的なストレス対処法とは、マインドフルネスストレス逓減法(基礎作り(インタビュー、マインドフルネスを探索する、世界と自分自身をどう見ているか、自分自身の体とともにある)、ストレスに対応(ストレスとは何か、ストレス:自動反応かマインドフルな対応か、マインドフルなコミュニケーション、サイレントな1日)、ケアする(自分自身をいたわる、振り返り、前に進む、さらに続けていく)などの一連の流れ、あるいは、問題解決法であれば、問題を具体化する、具体的な解決策を考える、いくつかの解決策のそれぞれの長所と短所を検討する、解決策を決定し、実行する、実行した結果を評価する、などの一連の流れを体系的に行う心理療法のことをいう。
【0012】
(アクセプタンスアンドコミットメントセラピーの技法)
近年、第3世代の認知行動療法として、アクセプタンスアンドコミットメントセラピー(ACT)が開発されてきた。ACTでは、(1)アクセプタンス(Acceptance),(2)脱フュージョン(Defusion),(3)今この瞬間への気づき(Present Moment Awareness),(4)文脈としての自己(Self as Context),(5)価値Contact with Values,(6)コミットされた行為(Committed Action),の六つのコアプロセスがあり、アクセプタンスまたはマインドフルネス過程と同時にコミットメントと行動変容過程を適用した、関係フレーム理論を含む現代の行動心理学を基礎とする心理療法である((1)-(4)がマインドフルネスと関連する。そこで、本明細書ではマインドフルネスの要素もACTの4つのコアプロセスに相当するものなのでその一つとする)。そして、そのそれぞれに対応したスキルを身につけることで、心理的柔軟性を養い、ストレスへの対処能力を身につけるものである。本願発明者らはACTのこういったプロセスが分離され、それぞれのプロセスの訓練方法が確立しているために、情報処理端末での利用に適していると考え、ACTでの手法を提案する。なお、厳密に上記の分類をする必要もなく、それぞれの目的を達成できるのであれば異なる分類でもよく、また、すべてを実行する必要がないこともいうまでもない。
【0013】
(症状メモリ)
症状メモリはユーザの日々の状態をカレンダー機能・スケジュール機能を用いて記録したものである。対象とする心身症に応じて、ユーザに対する質問項目を変更することができる。また、ユーザの症状に合わせて必要な質問項目を選択するようにしても良い。また広範囲の心身症の症状と質問項目のリストを予め記憶装置に記憶させておき、ユーザがアプリを利用する際に、質問項目に回答を促し、その回答結果から対応する質問項目のリストを症状メモリの毎日の質問項目として設定する構成とすることもできる。心身症の症状は症状の記録を管理することによってセルフケアすることができるので、日々の症状の状態に関する回答結果の推移をユーザがリクエストして画面に表示できる構成とすると好ましい。図2(a)には記憶装置に記憶された症状メモリのデータベースの例をしめした。このデータベースでは日時情報とユーザから取得した質問項目への回答(この場合は、4件法、7件法などで入力されている)との対応付けた記録を示している。ここで典型的には、質問項目だけでなく、体温や、心拍数、活動度、などのバイタルデータや、旅行、結婚式、飲み会などの社会的なイベント等の情報などを同時に対応付けて記憶することもできる。
【0014】
(PMSメモリ)
図2を用いて、症状メモリの一つとしてPMSメモリを説明する。PMSメモリは、生体リズムの影響によって女性のからだに周期的に表われる症状を把握するために、ユーザの生理周期に合わせた、身体症状、精神症状、社会的症状等と、基礎体温等、あるいは、EMA(Ecological Momentary Assessment、経験サンプリング法)と同時に記録するものである。図2(b)は症状メモリの例としてのPMSメモリのユーザ端末110を介した入力画面の例を示す。PMSメモリではユーザ端末110の表示装置103に入力項目が表示され、表示装置103の表面に設けられたタッチパネルである入力装置104によってそれぞれの項目についての症状のある・なしに基づいてスライダバーを利用して入力する例を記載した(図2(b)の質問項目が、図2(a)の項目A、項目B、、、に対応している。なお、紙面の都合で項目は3つしか図示されていないがほかの項目が省略されているにすぎないことはいうまでもない)。表示や入力方法はこれに限られず、自由記載やチェックボックスを利用してもよい。たとえば、基礎体温の測定時に同時にこのPMSメモリを毎日入力し、基礎体温とその日の身体的症状、精神的症状、社会的症状(これらはすべてではなく必要なものだけでも良い)と、場合によっては追加で入力されたEMAの入力データ(PMSメモリのデータだけでなく、その他の測定結果(加速度センサを用いた身体活動量や心電図センサを用いた心拍数の変動、睡眠時間、食事記録)でもよい)が月経周期と関連付けられて記憶装置102あるいは記憶装置133または両方に記憶される。PMSメモリに記録する質問項目としては、PMSメモリ(川瀬ら「日本女性心身医学会雑誌」第5巻、第1号、31-37)、MDQ(Menstrual Distress Questionnaire)、偏光板MDQ(modified MDQ)、PSST(The Premenstrual Symptoms Screening tool)、DSM-IVのPMDDの診断基準、COPE(Calendar of Premenstrual Experiences)、PMSIS(Premenstrual Symptoms Impact Survey)、健康度・生活習慣診断検査(Diagnostic Inventory of Health and Life Habit; DIHAL.2,中学生~成人用)、MAQ(Menstrual Attitude Questionnaire)、VAS(月経痛レベル)などに記載のものを利用してもよい。これらの尺度は月経随伴症状を診断するために用いることができる。なお、ユーザの心理・社会的な背景として、妊娠を望んでいるか否かや、月経観・月経イメージ、母性性・性役割パーソナリティによっても心理社会的な月経随伴症状に影響が出ると考えることから、ユーザの基礎情報として妊娠を望んでいるか否かや、月経観・月経イメージ、母性性・性役割パーソナリティについても質問項目として、記録されるようにしてもよい。
【0015】
(睡眠日誌)
図3(a)に記憶装置133(場合によっては記憶装置102)に記憶される睡眠日誌のデータの一例を示した。本睡眠日誌は、患者の就寝時刻、入眠時刻、覚醒時刻、起床時刻、睡眠の質(例えば、5段階)、目覚めた回数(あるいは、目覚めていた時間)、昨日の昼寝の時間、睡眠効率、実質睡眠時間、床上時間、翌日業務、睡眠剤やアルコールの摂取などの項目が設けられ、不眠症治療用アプリを含むシステムは例えばスマホなどのユーザ端末110の入力画面(たとえば、図3(b))から、患者に定期的、典型的には起床後、迅速に、ユーザ端末110を介してこれらの項目の値を入力することを求める。また、翌日業務などは帰宅後などで就寝時刻の設定前に入力するようにしてもよい。ここで、翌日業務は、翌日の業務や作業内容の危険度を示す入力値で例えば、居眠りなどをすることによって身体的な危険が及ぶ業務や作業を行う場合が該当する。ここにチェックが入っている場合や5段階で4以上の場合に、就寝時刻の設定で、実質睡眠時間が短くなるような設定を通常(例えば昼間の眠気が5段階評価の5の場合、短くすることを避ける)よりも避けるように設定(例えば昼間の眠気が5段階評価の4の場合、短くすることを避ける)すると安全面から好ましい。このほか、睡眠回数など他のパラメータを入力し、記憶してもよい。また、人の体温の周期と概日リズムについて相関があることが知られており、人の体温の周期と睡眠周期との相関があることも知られているので、定期的に体温を測定し、そのユーザの一日の体温の変化のグラフと就寝時刻との関係をグラフィカルに表示したり、この体温の変化を就寝又は入眠時刻あるいは覚醒時刻または起床時刻の設定に役立ててもよい(例えば、体温が下がっていくときに就寝時刻を合わせる、あるいは、体温が上がっていくときに起床時刻を合わせる)。このように、ユーザのバイタルサインと就寝又は入眠時刻、あるいは覚醒時刻または起床時刻との関係を表示、あるいはこのデータをそれらの時間設定に役立ててもよい。また、図3(a)では7月1日から7月3日の3日分のデータとして記憶データを示したが、治療の継続期間や、必要期間分の記録を保存することは言うまでもない。また、上記例では睡眠日誌への入力はユーザ端末110へのユーザの入力としたが、ウェアラブルデバイス等のユーザ端末からの自動的な入力でも構わない。
【0016】
睡眠効率とは、ベッド等の寝床にいる全体の時間のうち、実際に眠れている時間の割合をいう。すなわち、睡眠効率は、以下の式により算出される。
睡眠効率=(入眠時刻から覚醒時刻までの時間)/(就寝時刻から起床時刻までの時間)×100[%]
床上時間とは、以下の式により算出される。
床上時間=就寝時刻から起床時刻までの時間
また、睡眠時間は、以下の式により算出される。
睡眠時間=入眠時刻から覚醒時刻までの時間
実質睡眠時間は、以下の式により算出される。
実質睡眠時間=入眠時刻から覚醒時刻までの時間-目覚めた時間
また、これらの時間や睡眠の質はユーザの入力に変えて、アクチグラフィ、睡眠ポリグラフィや、スマートベッド、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスなどによるデータによって取得するようにしてもよい。
さらに、これらのデータはユーザ端末110や管理者や医療者の端末(図示しない)から、特定日の患者のデータの呼び出し、平均データの呼び出し、特定期間のデータの推移(折れ線グラフ等で)を表示できるようにすることによって、患者の状態の確認や、ユーザのセルフケアに役立てることができる。
【0017】
(疼痛日誌)
図4に記憶装置133(場合によっては記憶装置102)に記憶される疼痛日誌のデータの一例を示した。本疼痛日誌は、患者の午前・午後・夜の疼痛の程度、午前・午後・夜の服薬の記録、午前・午後・夜の生活への疼痛の影響、その日の気分、天候、平均気温(最高気温、最低気温、寒暖差などを記録するようにしても良い)、平均湿度(午前・午後・夜の湿度としても良い)、体温(午前・午後・夜の湿度としても良い)、最高血圧・最低血圧(午前・午後・夜の湿度としても良い)、環境要因や状況などのストレス要因などを記録する、その日の出来事・メモ、生理の有無などをセットにして日毎に記憶している。なお、本日誌はいずれかの慢性疼痛、慢性頭痛、片頭痛、関節痛、腰痛などに対して利用することができるが、さらに、いずれの痛みかを記録するようにしても良い。次に図5にそれぞれのデータをユーザ端末110を介して入力する方法を示す。まず、入力時刻はユーザ入力欄をクリックすると、「午前」、「午後」、「夜」を選択可能とするドロップボックスが表示され、ユーザはいずれかを入力する、次に、その入力時点での痛みの程度を入力するために、入力欄をクリックし、出願するドロップボックスから、「強」、「中」、「弱」、「なし」を選択する、続いて、薬品名個数入力のドロップボックスをクリックし、薬品名「バファリン」、「ロキソニン」、「イミグラン」、「ゾーミッグ」、「レルバックス」、「マクサルト」、「アマージ」、「インデラル」などから選択し、また、その量を「1錠」、「2錠」、「3錠」などから選択する。次に、痛みの生活への影響を記録するために、ユーザ入力欄をクリックし、出現するドロップボックスから「大」、「中」、「小」を選ぶ。さらに、その日の気分を記録するために、気分の横のユーザ入力欄をクリックし、「憂鬱」、「不安」、「イライラ」、「脈打つ痛み」、「吐き気」、「重い痛み」、「嘔吐」、「不眠」、「その他」から感情、症状を選択する。また、女性の場合は、生理の有無を入力することもできる。さらに、毎日一定時間に測定した体温、血圧をユーザー欄をクリックして入力する。さらに、その日の天候をユーザ記入欄をクリックして、出てきたドロップボックスの「晴れ」、「曇り」、「雨」から選択して、入力、気温、湿度を、ユーザ入力欄に記入して記憶する。すべての入力が終わったら、図示していない「完了」ボタンをクリックして、図4に示したリストに入力値を上書きする。また、上記例ではユーザが手入力したが、天候、気温、湿度は地方の気象情報提供サイト等からダウンロードすることができる。さらに、体温、血圧は、スマホのカメラや、スマートウォッチ、イヤホン型のウェアラブルデバイスなどから自動的に取得しても良い。また、痛みを感じたときに都度、タッチするボタンを入力装置として設けて、その都度押すように構成し、その強さや回数から痛みの程度を判定する、あるいは、脈拍などで頭痛の状態にあることが認識できる場合はそのようなバイタルサインを用いて入力するようにしても良い。その他、当業者周知の入力方法でこれらのデータを入力することもできるし、項目を増減することもできる。また、ここでは、日にちの情報はスマートフォンから自動取得されたが、ユーザが入力できるようにしても良い。図4のリストでは3月1日から3月3日のデータの例を示しているが、これに限らず、連続してデータが増えていくことは言うまでもない。さらに、これらのデータはユーザ端末110や管理者や医療機関の端末(図示しない)と連携させ、これらの端末から、特定日の患者のデータの呼び出し、あるいは、評価しやすいように集計・分析したデータ、例えば、平均データの呼び出し、特定期間のデータの推移(折れ線グラフ等で)を呼びだして表示できるようにすることによって、患者の状態の確認や、ユーザのセルフケアに役立てることができる(呼び出すだけでなく定期的にデータを送信するようにしても良い)。さらに、医療機関の端末の電子カルテ等のソフトと連携させ、データをソフトに転送、あるいは特定のデータをソフトに転送して医療機関で利用することもできる。
疼痛日誌は服薬管理アプリとして使うことも可能で、服薬時に服薬した時間、服薬した薬品名、個数を記録できるようにしても良い。ここで、良く服薬する薬品は、簡単に選択できるように、入力画面でボタン表示させ服薬時にボタンを押すと、その押した回数とともに、時間、を記憶させても良い。さらに、この服薬管理と痛みの相関関係のグラフや、両者のデータの折れ線グラフなどを表示、あるいはそれらのデータを医療機関端末に転送するようにしても良い
【0018】
(実施例1)
本実施例では月経随伴症状(特にPMS)のセルフケアアプリを例示する。本アプリの構成は前半部のストレス対処パート(ストレスケア)と、後半の症状対処パートとから構成される(ストレスケアのみを意図した場合は前半部だけのアプリとすることもできる)。本アプリの制御はサーバ130またはユーザの情報処理端末110のいずれか、あるいは両者に記憶されたソフトウェアプログラムで実現される。本プログラムは図6(a)の機能ブロックからなり、図1の各機能を有する装置を制御してソフトウェアプログラムの機能をユーザに提供する。また、ソフトウェアプログラムは典型的には、図6(b)のフローで動作する。入出力ブロック601は表示装置103および入力装置104を制御し、ユーザへの情報(ワーク等も含む)を提示したり、ユーザ入力を受け付けるブロックである。評価ブロック602は各ブロックから入力された情報から所定の評価を行うブロックである。スケジュール管理ブロック603はカレンダー機能を有し、日付情報と各種情報を関連付けて、記憶管理ブロック605と連携しながら処理を行うブロックである。ワーク提供ブロック604はプログラムの流れに沿って、制御ブロック606からワークの提供のリクエストを受けると、記憶管理ブロック605と連携しながらワークを入出力ブロック601に送信するブロックである。記憶管理ブロック605はシステムの記憶装置102,133を制御するブロックで、制御ブロック606やその他ブロックからのリクエストに応じて、リクエストされたワークやデータなどの情報を返すブロックである。制御ブロック606は本プログラムの実行を制御するブロックである。図7に本プログラムに従うホーム画面の例を示した。図7には、ユーザのスマートフォンである情報処理端末110、ユーザの生理日予測や、バイタルデータ、天気や気圧およびそれらの予報、生理周期の中での状態などが表示されるメインウインドウ701、タッチパネル上のタイル(アイコン)706をタッチすることで所定の機能を起動するための機能ウィンドウ702(横スクロールで隠れたタイルを閲覧でき、これらの機能ボタンは固定されたものである)、検索窓703、タッチパネル上のタイル(アイコン)705をタッチすることで所定の情報の閲覧や機能の起動するための情報ウィンドウ704(縦スクロールで隠れたタイルを閲覧でき、新しい情報や機能に対応したアイコンが画面上の上方の情報ウィンドウのタイルに追加され、古い情報は情報ウィンドウの下方に遷移し、所定量のタイルが閲覧可能である(本実施例では18のタイルが閲覧可能で、古くなったものは情報ウィンドウのタイルから削除されるように制御される。なお、本実施例では古くなった情報は機能ウィンドウのアーカイブ機能を起動すると開かれるアーカイブフォルダでカテゴリごと、日付順に整理されて閲覧可能に設定されている)。本実施例では表示される情報のタイルは記憶装置のメモリで管理されており、メモリには情報の新しい物から1-18の順番がつけられ、情報ウィンドウの最上部の左から1-3が、2段目に4-6が表示されるというように制御され、新しい情報が表示されるようにリクエストされると、1に新しい情報が記憶され、元の1の情報は2のメモリに、元の2の情報は3のメモリに、というように書き換えられる。
【0019】
次に、ソフトウェアプログラムのフローを図6(b)を用いて説明する。
(650)ユーザが入出力制御ブロック601によって制御される情報処理端末110の表示装置103のタッチパネル上の本プログラムを示すアイコンをタッチすることによって起動されるログイン画面(図示しない)からログイン動作を行う。これによって図7のホーム画面が表示される。(651)スケジュール管理機能ブロック603が記憶管理ブロック605に当日のデータを入力すべきタイミングでのPMSメモリの入力の有無をリクエストし、記憶管理ブロック605は記憶装置133または記憶装置102のデータベースを検索し、記録の有無を返す。記録がなかった場合は、スケジュール管理ブロック604は入出力ブロック601を介してユーザがPMSメモリに記憶すべき質問項目を提示し、ユーザの入力を受けると記憶管理ブロック605へ送付し、PMSメモリの記憶されるユーザごとのパーソナルデータを記憶したデータベースに追記を行う。(652)ユーザがセルフメンタルケアアプリを起動させる、あるいは、ユーザのバイタルデータの変化や、SNSなどでのユーザーの特定の入力が検出されたなどの条件が満たされアプリの起動がリクエストされた、プログラムの記述としてそのタイミングでのアプリ起動が規定されていたなどで、セルフケア機能が開始される。スケジュール管理ブロック603は、複数のPMSや月経随伴症状の疾患教育および心理療法(ACTであれば、思考のとらわれについてのメタファーと心理教育、心理的柔軟性についてと価値についての心理教育、価値に沿った行動についての心理教育、アクセプタンスと体験の回避についての心理教育、フュージョンについての心理教育、注意訓練や、文脈としての自己についての心理教育、体験の回避が効果的でないことの心理教育など)についての教育用のコンテンツ(典型的には動画であるが、テキスト形式や音声コンテンツ、エクササイズとして、チャットボットやゲーム形式での双方向性を持つものでも構わない)を所定の時間的間隔、所定の順序で、ここでは、毎朝、これらのコンテンツの提供順を定めたリストに従って一つのコンテンツを提供するように制御ブロック606にリクエストを行う。制御ブロック606はこのリクエストに応じて制御ブロック606が記憶管理ブロック605へリクエストし、記憶管理ブロックは記憶装置133または記憶装置102の該当コンテンツを読み出し、制御ブロック606に送信し、制御ブロック606は入出力ブロック601に送信し、入出力ブロックは必要に応じて表示装置103と入力装置104を介してユーザに該当コンテンツを提供する。実際の画面は図7のメインウインドウから、該当コンテンツの提供ページに移り、例えば動画の場合、画面上の情報ウィンドウの左上に新たなタイルとして該当コンテンツ動画が提供される(図示しない)。画面上の「戻る」ボタン(図示しない)をタッチするかコンテンツが終了することでメインウインドウに移る。また、このユーザによる実行状況をスケジュール管理ブロック603が監視して、途中中断していた場合は実行状況として、記憶し、制御ブロック606は、次回起動時に再度中断個所から再開するように制御する。該当のコンテンツをユーザが完了した場合、次の処理に移る。スケジュール管理ブロック603は提供スケジュールの記載されたリストに従って、新たなコンテンツを提供しようとした際に、前のコンテンツが終了していなかったことを検出すると、新たなコンテンツを提供するのではなく、前のコンテンツを再度左上に表示するように制御を制御ブロック606にリクエストして制御することもできる。本アプリのコンテンツは、チャットボット形式などの文章、音声、動画、ゲーム形式などを利用することができるが、それらの一つや、コンテンツの中身に応じて組み合わせを用いたコンテンツ群を設けても、一つのコンテンツを複数の形式で作成しておき、事前に設定、あるいは都度ユーザが選択できるようにしても良い。また、ユーザの利用履歴、たとえばアプリの利用履歴を監視装置106を用いて監視、記録し、ユーザが動画鑑賞の頻度が高いユーザの場合はコンテンツも動画で、SNSなどの利用が多い場合はチャットボット形式でコンテンツを提供するようにしても良い。
【0020】
(653)本実施例では、ACTに基づくコアプロセスとして、「文脈としての自己」、「アクセプタンス」、「脱フュージョン」、「いま、この瞬間」(左記それぞれのプロセスについては10個の介入処理となるエクササイズ(それぞれのコアプロセスに1対1で対応したワークセットとする(「ワークセット」はたとえば前述の10個のエクササイズをまとめて管理する単位である)、一般的にエクササイズ(ワーク)は複数のコアプロセスに対応するものであるが、本発明ではそのエクササイズが効果をもたらす一つコアプロセスに、ワークセットに含まれるエクササイズを対応付けるように設定する)を用意しているが数はこれに限られない(前述の4つのコアプロセスについてはワークセットに含まれるエクササイズは一つでもよいが複数であるのが好ましい。これは、一度の工程で一つだけのエクササイズではなく、複数のエクササイズを提供したほうが、ユーザが飽きることがない、ユーザに適したものが見つかるなどの理由から複数のエクササイズを実行させることが好ましいからである)、また、心理教育や疾患教育の情報コンテンツや、ワークシートを埋めたりする作業などのワークもエクササイズの一種として含まれる)、「価値」、「コミットメント」の6つを用いる。ここでは3つを用いたがこれには限られず、ACTの6つのプロセスに基づくプロセスであればいずれでもよい(例えば、「マインドフルネス」、「脱フュージョン」、「アクセプタンス」などの3つのプロセスや、「文脈としての自己」、「アクセプタンス」、「脱フュージョン」、「いま、この瞬間」の4つのプロセスを用いて実施することもできる)。また、以下で用いられる尺度は一例であって、目的に応じて周知の尺度を利用できることはいうまでもない。まず、制御ブロック606はPMDD評価尺度の質問項目の質問などの情報をユーザに提供する。つまり、制御ブロック606から記憶管理ブロック605に該当尺度のリクエストを行い、記憶管理ブロック605はリクエストに従い、記憶装置133または記憶装置102の該当尺度の情報を読み出し、制御ブロック606に送信し、制御ブロック606は入出力ブロック601に送信し、入出力ブロックは表示装置103に尺度の質問項目の質問を表示し、ユーザは入力装置104を介して回答する。項目については「そう思う」「ややそう思う」「あまり そう思わない」「そう思わない」といった回答を選択する4件法、5件法や7件法のような数値で処理可能な選択方法を選択すると都合がよい。そして、この回答結果(典型的には、合計点数、あるいは尺度に含まれる因子ごとの合計点数)から、ユーザのPMDDの状況を評価ブロック602が、記憶管理ブロック605に記憶された尺度と既知の点数と病状の対応関係を示すリストを記憶管理ブロック605にリクエストし、記憶管理ブロック605は該当リストを記憶装置133または記憶装置102から読み出し、評価ブロック602に返し、評価ブロックはユーザの回答結果の点数をこのリストと対比してユーザの状態を評価する。その後、評価ブロック602は、記憶管理ブロック605に結果を送信し、記憶管理ブロック605は記憶装置133または記憶装置102のユーザごとのパーソナルデータを記憶したデータベースに記憶する(以下、尺度の回答の取得や評価は同様に行う)。次に心理的柔軟性を測定するためにAAQ-IIの尺度を用いて前述同様にユーザの回答を取得し、ユーザのパーソナルデータに記憶する。また、MPFI、CompACT、FFMQやCFQなどの尺度の回答をユーザに促し、その回答結果をユーザのパーソナルデータに記憶させ、ベースのデータとして利用することもできる。
【0021】
次にACTの各コアプロセスに基づくエクササイズを提供する。記憶装置133または記憶装置102には、「文脈としての自己」(観察者/視点としての自己=場/文脈としての自己を理解するための、観察者エクササイズ、MCT(メタ認知療法)の自由連想タスク、チェスボードのメタファーなどの周知のエクササイズ)、「アクセプタンス」(苦痛を伴うような内的出来事にこころを開き,そのための時間をとるための、氷を握るエクササイズなどの周知のエクササイズ)、「価値の明確化」(自分が継続的にどんな行動をとるのか価値の明確化のための、10 個の価値の領域(仕事/職業、友人/社会生活のエクササイズなど)から重要だと考える領域を選択するエクササイズなどの周知のエクササイズ)、「脱フュージョン」(自分の内的な出来事から距離を置くか,それを切り離し観察できるようになるための、バスのエクササイズ、「私は・・・という考え」を持っていると言いかえるエクササイズなどの周知のエクササイズ)、「いま、この瞬間」(この瞬間に起こっていることへつながり,埋没するための、オーケストラの楽器の音色、グミの見た目・味・香り・触感、身体のさまざまな部位の感覚に注意を向けるエクササイズなどの周知のエクササイズ)、「コミットされた行為」(自身の価値に導かれた効果的な行動をとるための、価値に基づくコミットメントを促すワークなどの周知のエクササイズ)が記憶されている。本実施例では、前述のように、「文脈としての自己」、「アクセプタンス」、「脱フュージョン」、「いま、この瞬間」については10個のエクササイズが、「価値の明確化」、「コミットされた行為」については一つずつのワークが用意されている(エクササイズやワークの数は特に規定がなく適宜変更可能なことはいうまでもない)。なお、エクササイズやワークだけでなく、その実施順が規定されるものについてはその情報も併せて記憶装置133または記憶装置102に記憶されている。また、それぞれのコアプロセスに関する教育コンテンツを含めて提供しても良い。
【0022】
次にフロー653のエクササイズ等のワークの実施について説明する。
各プロセスの実行順序は特に規定はないが、例えば、予め順番を決めてその順序を記憶装置133または記憶装置102に記憶させておく、CompACT、MPFI、FFMQやCFQの尺度の測定を行って(尺度の評価は尺度の質問項目の質問をユーザに情報処理端末の機能を介して提供し、回答を得る)、相対的に弱いプロセスから始める、あるいは、フロー653を始める際にユーザに対して、6つのプロセスについて興味を持っているプロセスに関する評価尺度の質問項目の質問を提供し、ユーザの回答から順序を決定することにしても良い。また、事前にユーザにBIG5、エニアグラム、MBTIのようなユーザ特性を調査する質問をユーザに行い、そのユーザ特性に合わせて順番や、提供するプロセスを決定しても良い。例えば、BIG5で情緒安定性が低く出ている場合は、「アクセプタンス」から、つぎに「脱フュージョン」のように提供し、好奇心が高いと出ている場合は、「今、この瞬間」、「脱フュージョン」のように提供するとユーザのエクササイズへの効果を高めることができる。また、情報処理端末を介してユーザへの質問をする代わりに、スマートフォンの利用履歴からBIG5のような特性評価を行う周知の技術(例えば、特開2022-189376)を使うと、ユーザの負担を増やすことなく、判断することができる(また、そのほかのSNSのユーザの「つぶやき」の履歴などから行動特性を判定する周知の技術も利用できる。)。(提供するプログラム(シナリオ)は、例えば、6つのコアプロセスの評価をMPFI等で行い、相対的に習熟度の弱いプロセスを継続的に行う、コアプロセスの評価を行い、相対的に習熟度の低いコアプロセスから順にすべてが所定の習熟度に達するまで、対応するワークセットを提供し、すべてが達成されたら、所定期間(たとえば、6か月、1年)の間ワークセットの提供を停止し、その後、再度コアプロセスの習熟度の評価を行い、相対的に習熟度の低いものについてワークセットを提供する動作を繰り返す、あるいは、治療の目的の所定のテーマにしたがって、一定数のコアプロセスに従うワークセットを提供するシナリオとして提供することなどもできる。)
本実施例では多くのケースで重要なプロセスである、「いま、この瞬間」、「脱フュージョン」から順にエクササイズを開始するように設定されている。また、ソフトウェアプログラムの各ブロックとハードウェアの各機能との連携は上述と同様であるので詳細は省略する。また、エクササイズの提供プログラムの実行に先立って、制御ブロック606がMPFI,FFMQやCFQなどの尺度の回答をユーザに促し、その回答結果をベースとして利用することもできる。
【0023】
まず、スケジュール管理ブロック603は、「いま、この瞬間」のワークセットに含まれる、「お茶を飲む」のエクササイズ(本願明細書ではエクササイズとワークは同様のものとして扱う)を提供する。つまり、開始日の朝10:00に情報ウィンドウの最新のタイル(左上)に「お茶を飲む」エクササイズを起動するためのアイコンを表示させるように制御ブロック606にリクエストする。スケジュール管理ブロック603はユーザによる同エクササイズの実行状況を記録する。教育コンテンツと同様に、ユーザが実行していなかった場合、スケジュール管理ブロック603はスケジュールに従ってエクササイズを提供するだけでなく、実行していない、あるいは、中断しているエクササイズを再度最新のタイルに設置するように制御しても良い。また、ユーザがエクササイズを実行した回数をカウントできるように、例えば、エクササイズのページから実施回数ボタンを設け、タッチするたびに積算するようにして、実施回数に応じてポイントを付与するようにしてインセンティブを与えるようにすることもできる。次に、前述と同様に、翌日の朝10:00に、スケジュール管理ブロック603はスケジュールのリストに従って、次のエクササイズ、「足を意識して、文章を読む」エクササイズを最新のタイルに表示する。さらに、リストに従って5日目まで記憶された10個のエクササイズを順次所定の順番で、毎朝、ユーザに提供し、ユーザの実行を促す。6日目にMPFI(Multidimensional Psychological Flexibility Inventory)の下位尺度(Present Moment Awareness)を用いて、「いま、この瞬間」のプロセスの習熟度(効果)を測定する(尺度はこれに限られずMAAS(Mindful Attention Awareness Scale)、CompACT(Comprehensive assessment of Acceptance and Commitment Therapy processes)、FFMQなどACTで用いられる他の尺度を用いることもできる)。本実施例ではこの評価結果を評価ブロック602が以前のユーザの評価結果(パーソナルデータに記憶された)と比較して、改善が見られた場合、あるいは、このプロセスの5日間のワークセットの実施が2回目だった場合、次のプロセスに進むように設定されている。なお、この設定は適宜修正可能で、尺度の取得を行わない、尺度の評価を行わないで次のプロセスへ進む、評価結果が向上しているだけでなく所定の程度まで向上するまで同じプロセスを繰り返す(本プロセスのワークセットではエクササイズが10個なので、3回目(1回の一連のエクササイズの提供が5個となっているため)からは同じエクササイズが繰り返されることになるが、ランダムに提供するなど他の提供方法でもよい)、などといった修正が可能である。この場合、制御ブロック6060は、ワークセットの実施後の評価尺度の質問項目の評価を行い、その評価結果と、システムのいずれかの記憶装置に記憶された、またはプログラム自体に記述された判定条件情報に基づき実施したコアプロセスのワークセットを繰り返すか、次のコアプロセスのワークセットに進むのかを判定・決定する処理を行う。この判定条件情報は次の処理に進むか否かの判断のための情報を含むものであって、たとえば実施したワークの習熟度が所定の目標を達成したと判断される閾値や、評価点が閾値に達せずに同じコアプロセスのワークセットの実施が所定回数であった場合、たとえば、3回目繰り返していた場合は、評価点に関わらず次の処理に進む、ワークセットの実施期間が所定の日数を超えているために評価点に関わらず次のコアプロセスに対応付けられたワークセットに進むといった、予め設定された判断のための情報が含まれている(判断情報は左記いずれかの情報の少なくとも一つを含むが、これに限られず他の条件を含ませ、それによっても判断できるようにしても良い)。また、この閾値をユーザ、実施回数に応じて変更するように設定しても良い。以下、同様に判定を行うこともできる。また、コアプロセスのワークセットを繰り返すか、次のコアプロセスのワークセットに進むのかの判定結果を情報処理端末の入出力装置を介してユーザに提供し、ユーザがその繰り返しの要否を判断して、そのユーザの指示によって制御するようにしてもよい。
【0024】
次に「脱フュージョン」のワークセットのエクササイズをスケジュール管理ブロック603は制御ブロック606にリクエストすることで、上述の「いま、この瞬間」と同様に提供する。ここで、評価にはMPFIの下位尺度(Defusion)を用いることができる。評価は、システムのいずれかの記憶装置に記憶された尺度の質問項目の質問を読み出し、ユーザの情報処理端末を介して、ユーザに提供し、またユーザの回答を取得し、その集計によって行う。尺度はこれに限られずACTで用いられる他の尺度, CompACT、CFQ(Cognitive Fusion Questionnaire)などを用いることもできる。つまり、ユーザが実施したワークセットに対応付けられたコアプロセスの習熟度を評価する尺度を使うものである(一般的にはワークは複数のコアプロセスに影響をもたらすものであるが、本実施例ではワークセットごとに評価尺度を対応付けるように設定する)。そして、前述のコアプロセスの習熟度と同様にこの評価結果を評価し、このコアプロセス(の訓練の実行)を終了して次のコアプロセス(の訓練の実行)に進むか、あるいは、このコアプロセスを再度繰り返すかを判断する。そして、次のコアプロセスへ進む場合は次のコアプロセスのワークセットを提供する。
【0025】
次に「アクセプタンス」のワークセットのエクササイズをスケジュール管理ブロック603は制御ブロック606にリクエストすることで、上述の「いま、この瞬間」と同様に提供する。ここで、評価にはMPFIの下位尺度(Acceptance)を用いる。(尺度はこれに限られずACTで用いられる他の尺度,たとえば、APQ(Acceptance Process Questionnaire)などを用いることもできる)。そして、前述のコアプロセスの習熟度と同様にこの評価結果を評価し、このコアプロセスを終了して次のコアプロセスに進むか、あるいは、このコアプロセスを再度繰り返すかを判断する。そして、次のコアプロセスへ進む場合は次のコアプロセスのワークセットを提供する。
【0026】
次に「文脈としての自己」のワークセットのエクササイズをスケジュール管理ブロック603は制御ブロック606にリクエストすることで、上述の「いま、この瞬間」と同様に提供する。ここで、評価にはMPFIの下位尺度(Self as Context)を用いる。(尺度はこれに限られず、SACS(Self-as Context Scale)あるいはFFMQ(Five Facet Mindfulness Questionnaire)など、ACTで用いられる他の尺度を用いることもできる)。そして、前述のコアプロセスの習熟度と同様にこの評価結果を評価し、このコアプロセスを終了して次のコアプロセスに進むか、あるいは、このコアプロセスを再度繰り返すかを判断する。そして、次のコアプロセスへ進む場合は次のコアプロセスのワークセットを提供する。
【0027】
次に「価値の明確化」のワークセットのエクササイズをスケジュール管理ブロック603は制御ブロック606にリクエストすることで、価値のワークを実施する。スケジュール管理ブロック603は、制御ブロック606に、次の日の朝10:00に、価値のワークを情報ウィンドウの最新のタイルにエクササイズを起動するためのタイルを表示させるようにリクエストする。タイルがユーザによってタッチされると、制御ブロック606は、画面上に、10個の価値の領域(仕事/職業、友人/社会生活など)からユーザが重要だと考える領域を1乃至3個まで選択し、さらに、ユーザに自由記述で選択した領域内でのユーザが価値があると認める「行動」を入出力ブロック601を制御して入力させる。制御ブロック606はさらに入力された「行動」を記憶管理ブロック605に送信し、記憶する。価値に沿った行動を行っているかどうかはMPFIの下位尺度(Contact with Values)を用いる。(尺度はこれに限られず、VQ(Valuing Questionnaire)などACTで用いられる他の尺度を用いることもできる)。そして、前述のコアプロセスの習熟度と同様にこの評価結果を評価し、このコアプロセスを終了して次のコアプロセスに進むか、あるいは、このコアプロセスを再度繰り返すかを判断する。そして、次のコアプロセスへ進む場合は次のコアプロセスのワークセットを提供する。
【0028】
次に「コミットされた行為」のワークセットのエクササイズをスケジュール管理ブロック603は制御ブロック606にリクエストすることで、価値のワークを実施する。スケジュール管理ブロック603は、制御ブロック606に、次の日の朝10:00に、価値のワークを情報ウィンドウの最新のタイルにエクササイズを起動するためのタイルを表示させるようにリクエストする。タイルがユーザによってタッチされると、制御ブロック606は、画面上に、前述の価値の明確化で入力された価値を画面上部に表示し、下部に、短期的、中期的、長期的な価値に沿った行為を入力するための窓を表示する。制御ブロック606は入力された行為を記憶管理ブロック605に送信し、記憶する。コミットされた行為を行っているかどうかは同様にMPFIの下位尺度(Committed Action)を用いる。(尺度はこれに限られず、VQ(Valuing Questionnaire)などACTで用いられる他の尺度を用いることもできる)。そして、前述のコアプロセスの習熟度と同様にこの評価結果を評価し、このコアプロセスを終了して次のコアプロセスに進むか、あるいは、このコアプロセスを再度繰り返すかを判断する。そして、次のコアプロセスへ進む場合は次のコアプロセスのワークセットを提供する。
【0029】
ここで、再度、制御ブロック606は、ユーザのMPFI(他の尺度を使った場合はその尺度でもよい)、AAQ-IIを測定し、AAQ-IIの点数、6つのコアプロセスの各数値の変化を、たとえば、AAQ-IIの点数の推移を示す折れ線グラフと6つのコアプロセスの点数の推移を示す6角形のレーダーチャートの変化をグラフィカルな表示を行い、ユーザに本プログラムの効果を視覚的に理解させる。このグラフの経時的な変化はユーザのパーソナルデータを呼び出すことで随時確認することができる。また、ここで、最新のデータと過去のデータを色を違えて表示するようにするとわかりやすく好ましい。
【0030】
上述のようにACTに基づくストレス対処の体系的な基本プログラムが提供された。つぎに、前述の6つのプロセスの評価結果(MPFI、FFMQ、CFQの測定結果、あるいはACTの6つのコアプロセスの他の尺度を用いた測定結果)を評価ブロック602が評価し、「文脈としての自己」、「アクセプタンス」、「脱フュージョン」、「いま、この瞬間」についてユーザの相対的に得点が低いコアプロセスを低い順に実施する、実施方法は上述の各プロセスと同様にする。そして、1か月の提供後に、MPFI(あるいは、CompACT、AAQ-II、FFMQ、CFQ、VQなど)、AAQ-IIを使って、心理的柔軟性と、各コアプロセスの習熟度(効果)を評価ブロック602が評価する。ここで、必要に応じて(価値の達成度が低く、価値の見直しを必要とする場合や、目標が達成され、設定しなおす必要が出たときなど)「価値の明確化」、「コミットされた行為」の上述のコアプロセスを再度実行する。そして、このターンがこの実行によって終了すると、再度6つのコアプロセスの評価結果に基づいて、相対的に得点が低いコアプロセスから順に実施する工程を繰り返す。この繰り返しを続けても、AAQ-IIの得点がある程度に達し、心理的柔軟性が獲得されたことが認められた場合、エクササイズの実行は停止し、定期的、例えば、1か月ごとにAAQ-IIと6つのコアプロセスの評価を行い、心理的柔軟性やいずれかのコアプロセスの習熟度が低くなった場合、あるいはAAQ-IIの評価を行い、心理的柔軟性が低くなった場合、に上述のエクササイズの提供を再開するようにすることもできる。また、ACTの6つのコアプロセスのうちいずれをどのように繰り返すかは適宜決定できるが、例えば、提供するコアプロセスの評価点のパターンに応じて提供するコアプロセスとコアプロセス順を決定しておき、その複数のパターンと提供するコアプロセスとその順序(2つ以上の場合)をリスト化して記憶装置に記憶させておき、評価ブロック602がユーザの評価点とこのリストを比較して、次に提供するコアプロセスを決定し、その提供したコアプロセス(群)が終了したのち、尺度による評価を行ってまた次のコアプロセスを決定するという工程を繰り返しても良い。また、ユーザの複数のコアプロセスの評価点のパターンと、その後に提供されるコアプロセス毎のコアプロセスの実行後の評価点の変化を教師データとして、機械学習してモデルを構築し、ユーザの初期の評価点のパターンをこのモデルに入力してお勧めのコアプロセス(群)を提案するようにし、このコアプロセスの実行と評価を繰り返すようにしても良い。
【0031】
(654)次に評価ブロック602の第2の機能を、PMSの疾患特異的な症状のセルフケアを例に挙げて説明する。評価ブロック602はユーザによって入力されたPMSメモリのパーソナルデータを分析する機能を持つブロックでもある。また、ユーザの入力した過去の生理日から次の生理日を算出して予測する機能や、ユーザの入力したユーザのPMSの心身の症状や腹痛などの症状の生理日との関連を分析する(例えば、ユーザは生理日の4日前から「イライラ」などの精神症状を、生理日から3日間「腹痛」などの身体症状を訴える傾向を過去の入力の分析から見出した場合、次回の生理日の予測とともに、その4日前の「イライラ」、生理日から3日間の「腹痛」の予測を算出し、スケジュール管理ブロック603に送信する。スケジュール管理ブロック603は、記憶装置133または記憶装置102に記憶された、疾患毎の、介入日時と介入プロセス(心理療法を実行するプロセス、心理学に基づく改善のためのプロセス)のリストを読み出し、PMSに関するリストで、PMSに対して、予測された日を介入日とし、その日時に、設定された介入プログラムを提供するように制御する。本実施例では、4月10日が次の生理日と予測された結果が算出されると、前記リストでは、4月6日に「脱フュージョン」のコアプロセス(の訓練)を生理日までの期間、つまり4日間提供するように書き込む。また、4月10日に「いま、この瞬間」のプロセスを3日間提供するように書き込む。多くの精神疾患や心身症では、その症状の発言に対して効果的な介入がある。たとえば、PMSであれば、「イライラして人にあたって嫌われている」というようなフュージョンを起こすことが想定されるので「脱フュージョン」のエクササイズが効果を示し、また、生理に伴う痛みに対しては過去の痛みを想起して不快な症状を助長することが想定されるので「いま、この瞬間」のエクササイズや「マインドフルネス」のエクササイズが有効である。これらのエクササイズは前述の心理的柔軟性を養うために行ったエクササイズと同じものを使っても良いが、疾患の症状に合わせて修正したものを用いるとさらに都合がよい。(例えば、おちゃというエクササイズの「おちゃ」を「生理痛」に代えて20秒間繰り返し言葉に出して発言する、などのバージョンを作成しておくと都合がよい。)
【0032】
スケジュール管理ブロック603は前述の心理的柔軟性を養うコアプロセスのエクササイズと、疾患に特異的な症状のセルフケアのためのコアプロセスのエクササイズの両者を管理することになる。両者を並行して実施する場合、同時点で前者のコアプロセスのエクササイズと後者のコアプロセスのエクササイズとを同時期に提供するような事態が生じる。この場合、スケジュール管理ブロック603は、単純に両者のエクササイズを提供する、前者のエクササイズを中断して、後者のエクササイズを実行する、同時期に提供されるエクササイズが同じテーマ、ここで言えば例えば「脱フュージョン」であれば、前者の「脱フュージョン」のコアプロセスのエクササイズに代えて、後者の「脱フュージョン」のコアプロセスのエクササイズを提供する、両者を提供するが提供する時間をずらす、また、コアプロセスやエクササイズによっては、提供順が重要になる場合があるので、前述のリストに、提供順が逆転すると問題の生じるエクササイズを記録しておき、例えば、脱フュージョンのエクササイズで、エクササイズCがエクササイズDより先になってはいけない場合、後者でエクササイズDが提供されることが決まっている際には前者のエクササイズCがこれより前になるように、コアプロセスを調整したり、エクササイズの提供順を変更することによって避けるように調整する。なお、スケジュール管理ブロック603はこれらの機能と並行して、毎日のPMSメモリへの入力やEMAへの入力、監視装置のデータの取得やこれらの記録を制御ブロック606、記憶管理ブロック605、入出力ブロック601と連携して行っている。最後に、疾患に特異的な症状の評価をするために尺度、例えばPMDD尺度、で定期的に評価を行う。評価結果についてはパーソナルデータの一つとして記憶装置に記憶し、変化の推移をユーザからのリクエストによって表示可能とするとよい。
【0033】
本実施例では、一つ一つのコアプロセスとそのテーマ(コアプロセス)を習得するためのワークのセットがパッケージ化されているのでそれぞれのプロセスの習熟度(効果)を測りやすく、情報処理端末で自動的に心理療法を提供することができ、繰り返しもやりやすい。また、それぞれのコアプロセスに対して一対一で対応したエビデンスのある尺度で測定することによって信頼性、効果の確認の精度が高まる。
本発明の趣旨からは、その心理療法においてストレス対処を習得するための必要なすべての要素、ACTでは心理的柔軟性を養うための6つのコアプロセス、または、ACTのマインドフルネスと関連する要素では4つのコアプロセス、が含まれることが好ましいが、それぞれのコアプロセスは関連づいているので、いくつかのコアプロセスをまとめてワークセット(エクササイズのセット)として提供することもできる(たとえば、「脱フュージョン」、「マインドフルネス」、「価値の明確化」の3つ)。この場合、習熟度の確認等の観点から3つ以上のコアプロセスであると都合が良い(これらのそれぞれのコアプロセスに評価尺度があるとさらに都合が良い)。ただし、制作するアプリの目的によっては必要なすべての要素(たとえば、ACTの6つのコアプロセス)を含む必要がないことは言うまでもない。なお、本実施例では説明のためにストレス対処能力を養うパートと疾患に特異的な症状の緩和のパートとがあるPMSを例に挙げたがストレス対処だけを目的とする場合にはストレス対処のパートだけでシステムを構成することもできる。また、本実施例のコアプロセスを習熟度に応じて繰り返す構成を用いた場合、所定の期間で終了する、心理的柔軟性の評価が所定のレベルに達したら終了とする、心理的柔軟性の評価が所定のレベルに達したら終了とするが定期的(例えば、6か月毎、ACTの効果が持続すると言われている期間など)に評価を行い、所定のレベルを下回っていたら再度コアプロセスのエクササイズを提供する、あるいは、特定の終了点を定めずに、あるコアプロセスが習得できたら、次に習得レベルの相対的に低いコアプロセスのエクササイズを提供するといった形式(コアプロセスの習熟を評価する閾値を段階的に上げるような形式でもよい)で継続的に続ける構成などで設計することができる。後者の継続的に続ける場合は、ACTは健常者においても効果を示すものなのでメンタルのセルフケアの点で効果があるだけでなく、サブスク利用などで提供することも可能で商業的にも好ましい。
【0034】
(実施例2)
本実施例では、睡眠障害のセルフケアに本発明を適用した例を説明する。体系的なストレス低減法としてはマインドフルネスストレス低減法(MSBR)を用いる。
マインドフルネスストレス低減法は(1)ボディスキャン(咀嚼瞑想のエクササイズ、呼吸法のエクササイズ、ボディスキャンのエクササイズ)、(2)ボディスキャンとヨガ(ボディスキャンのエクササイズ、ヨガのエクササイズ、歩行瞑想のエクササイズ)、(3)静座瞑想とヨガ(静座瞑想のエクササイズ、ヨガのエクササイズ)、からなり、提供方法としては、ACTのプロセス同様に、文章形式、音声形式、動画形式、ゲーム形式などが選択できるが、マインドフルネスとの相性が動画が良いので本実施例では動画によるエクササイズを提供する。つまり、記憶装置102または記憶装置133に、(1)から(3)のテーマのエクササイズのワークセットが、マインドフルネスの教育動画コンテンツと、睡眠障害の疾患教育コンテンツ動画記憶されている。アプリケーションプログラムの構成としては、図6(a)と同様であり、それぞれのブロックの機能・動作や、情報処理装置110の各ハードウェアの機能・動作は実施例1と同様であるので詳細は省略する。
【0035】
アプリケーションプログラムのフローは図6(b)と同様に制御ブロック606が各ブロックと連携して制御する。まず、(650)ユーザがアプリにログインしてアプリが起動される。つぎに(651)症状メモリとしては、図3(a)のようなデータをパーソナルデータとして記憶し、図3(b)のような入力画面を介して入力される。入力の詳細はPMSメモリの入力と同様である。また、この段階にセルフケアの効果を検証するためのベースラインとするためにFFMQの尺度によるユーザの回答結果のデータを取得し、これもパーソナルデータに記憶する。(652)制御ブロック606がスケジュール管理ブロック603と連携して、まず、教育コンテンツを、(653)1,2週間目に、(1)のコンテンツ、3,4週間目に、(2)のコンテンツ、5,6週間目に、(3)のコンテンツをユーザに提供する。ここで再度FFMQの尺度の回答をユーザに促し、結果を取得する。そして、その結果とベースデータとを評価ブロック602が比較分析して、効果をグラフィカルにユーザに提示する。また、この比較分析結果でFFMQの得点が所定の値に達成していない場合は、(1)-(3)のテーマのエクササイズを提供する工程を繰り返す。また、(1)、(2)、(3)のそれぞれの間に評価尺度による評価を行い、所定の基準に達していない場合は以前の段階を繰り返すといった修正も可能である。
(654)睡眠障害への疾患特異的な症状への介入としては、「いま、この瞬間」のプロセスや、マインドフルネス、認知再構成法、刺激性漁法、睡眠制限法、斬新的筋弛緩法、睡眠スケジュール法などが知られており、これを用いることもできる。
「いま、この瞬間」のプロセスの適用については、実施例1の「脱フュージョン」や「いま、この瞬間」のプロセスの適用と同様に、制御ブロック606とスケジュール管理ブロック603の連携でユーザに提供することができる(本発明においても、ストレス対処用のセルフケア機能のエクササイズと同じものを使っても、睡眠障害用に修正したものを用いても良い)。実施例1と異なる点は、適用の時期である。時期は評価ブロック602が睡眠日誌のユーザの睡眠効率と、ユーザの通常時の睡眠効率あるいは同年代の模範的な睡眠効率とを比較して問題があると評価した際、あるいは、睡眠日誌に記載されたユーザの傾向を評価ブロック602が評価し、睡眠障害が発症しそうと評価した時期をスケジュール管理ブロック603に送信し、そのタイミングで、上記プロセスを実行する。この場合、プロセスのエクササイズは睡眠障害が起きている期間に提供するように、スケジュール管理ブロック603が制御ブロック606と連携して制御する。本実施例の変形例として、提供するエクササイズとして、認知再構成法を提供する場合は、周知の技法(例えば、特許文献4)を「いま、この瞬間」の代わりに提供することができる。スケジュール管理ブロック603は実施例1同様にストレス対処法のエクササイズと、疾患に特有のエクササイズの提供を調整することができる。最後に、尺度による評価を行うが例えば介入がストレス対処で提供するものと同じ原理に基づくもの(例えば、「いま、この瞬間」か、またはその症状への適合版のエクササイズ)であれば、同じ尺度(たとえば、MPFIやFFMQの下位因子)を用いてもよいし、疾患の症状に特化した尺度(例えば、BPS、PSQI、ISI、AIS)を利用してもよい。また、これらの評価結果を継時的にユーザに提供してユーザの満足度を高めることもできる。それぞれのエクササイズを実施例1と同様に、習熟度に応じて繰り返す工程としても良い。
【0036】
(実施例3)
多くの疾患では症状の発生機序が解明されており、ストレス関連疾患の緩和のためにどのような介入を行えばよいかが決まっている(例えば、上述の実施例のように)。しかしながら、疾患によっては発生原因が複雑に絡み合っている場合があり、単純によく知られた介入を行っても疾患の症状が改善されない場合がある、この多くは疾患の原因の大きな要因が患者自身というよりは、患者を取り巻く社会的要因等との兼ね合いが大きい場合に起こっていることに発明者らは気づいた。そこで、こういった疾患の例としてED(勃起障害)を例に挙げて説明する。なお、上述の疾患についても症状の緩和の効果が見られない場合には同様の原因が考えられるので本実施例の手法を活用してもよい。EDの場合はパートナーが必須の条件で発症する疾患なので社会的な影響が強い。そこで、疾患に特異的な症状の原因をアセスメントして介入方針を決定する。ストレス対処能力を向上させるためのワークセットの実施は上述と同様に行うため説明は省略する。
【0037】
EDに適用する場合は、まず、セルフケアアプリを実行する前にAAQ-IIの測定と並行してユーザに対して疾患の原因を特定するためのアセスメントを実施する。アセスメントは前述の実施例同様の手順で評価用の尺度を用いて行うことができる。これらの疾患の評価を行う場合には、生物心理社会的要因と疾患の状態を測定する尺度が必要となる。本実施例では生物心理社会的要因を測定する尺度として、一般的なSF-36、特にパートナー関係の評価が必要なので,カンザス結婚満足度尺度(KMS)と(社会的ケア関連 QOL 尺度 the Adult Social Care Outcomes Toolkit (ASCOT)など他の周知の尺度を用いることもできる)、一般的なEDの重症度を評価するための国際勃起スコア5(IIEF 5) 、CFQを用いた。アセスメントは評価ブロック602で行い、これらの尺度に含まれる因子の得点に基づいて、まず、IIEF-5の評価点でグループ1(EDではない)、グループ2(EDである)、グループ3(EDであるがかなり重症)に分類し、グループ1は特に疾患に特異的な介入は行わない、グループ3についてセルフケアできるレベルを超えているとして、ユーザに医療機関等への受診をすすめるメッセージを発出する対応を行う。グループ2についてはさらに、KMSの尺度を評価し、夫婦関係が悪いとの評価が出ていた場合にはグループ2a、続いて、SF-36で得点が低く、CFQで認知的フュージョンの傾向が見られない場合はストレス過多としてグループ2b、その他の場合は予期不安型としてグループ3cに分類する。分類の仕方はこれに限られず、任意の尺度を組み合わせ、それぞれの得点での条件分岐、複数の尺度の組み合わせての条件分岐などで分類することができる。次に、(図示しない)グループと介入のワークセットとの対応関係を記載したリストを参照して、所定のワークセットを提供する。スケジュール管理機能がどのようにワークセットを提供するかについての手順についても対応付けて記載してあり、スケジュール管理ブロック603はそれに基づいてワークセットをユーザに提供する。また、リストにさらに尺度による評価結果を記憶できるようにし、それらのデータを教師データとして機械学習させてモデルを構築し、そのモデルによってリストを更新してもよい。(これによって、介入のワークセットやエクササイズ、評価尺度、条件分岐の条件、条件分岐手順などを最適化できる。)また、それぞれのエクササイズを実施例1と同様に、習熟度に応じて繰り返す工程としても良い。
【0038】
(その他の実施例)
本発明の応用として、体系的なストレス対処法を提供するために、周知の問題解決法などの「問題焦点型コーピング」や「情動焦点型コーピング」などの技法を用いて上述の実施例と同様にユーザに提供することができる。またそれに組み合わせて、疾患に特有な症状をセルフケアするためのプロセス(エクササイズのセット)を提供しても良い。慢性疼痛や片頭痛に対する、プロセスとしては、「アクセプタンス」、「脱フュージョン」、「今、この瞬間」などが利用可能である(慢性疼痛等の症状のセルフケアするためのその他の心理療法を実施するエクササイズでも構わない)。この実施例でも、評価ブロック602が、ユーザの疼痛日誌を分析して、ユーザの痛みの発現するタイミング(気圧や天候の変化、周期性、イベントとの関連)を分析し、そのタイミングをスケジュール管理ブロック603に送信し、スケジュール管理ブロック603と制御ブロック606が連携して、疾患の症状をセルフケアするためのプロセスを調整しながら提供する。その他の疾患の症状のセルフケア用のアプリも同様に構成可能で、たとえば、これらの実施例のストレス対処法に追加して、各疾患の症状をセルフケアするプロセス(たとえば、更年期障害なら、アクセプタンス、脱フュージョン、今この瞬間)を提供し、提供する時期を評価ブロック602,スケジュール管理ブロック603で調整しながら、制御ブロック606が提供するようにすればよい。
【0039】
上述の実施例では、ストレス対処法の提供パートと、疾患の症状の対処パートで同じ心理学の理論に基づくエクササイズを提供するものと異なる心理学の理論に基づくエクササイズを提供するものとを例示しているが、同じ理論に基づくエクササイズを提供するもののほうが一貫性があり効果が高い。ただし、疾患の症状の対処パートでは、心理療法を実行するものだけでなく、心理療法に基づく音楽鑑賞や、心理療法以外の運動や、食事療法を含んでもよい。また、それぞれのエクササイズを実施例1と同様に、習熟度に応じて繰り返す工程としても良い。
【0040】
(その他のワークセットの実行、評価と繰返し判断の例)
図8に本発明の各テーマ(コアプロセス)の効果の評価と各テーマの繰り返しの例を示した。図において、本例では、テーマとして、「いまこの瞬間」、「脱フュージョン」、「アクセプタンス」の3つのテーマを提供する例を示している。実線は各テーマでの評価点に応じたテーマのワークセットの遷移、破線はあらかじめ決められた順序での遷移を示している。例えば、A(a,b,c)はアクセプタンスのエクササイズa,b,cを実施、Dは脱フュージョンのワークセットの実施、Iは今この瞬間のワークセットの実施を示す。例えば、D<R1は脱フュージョンの評価尺度の結果が基準値を下回っていることを示す(I<R2、A<R3も同様)。
ここで、図8(a)では、脱フュージョンのワークセット(エクササイズaからエクササイズzまで含まれる)のエクササイズa-dを実施し、評価尺度による評価を行い、基準値を超えた場合は次の今この瞬間のワークセットの提供に移り、基準値を超えない場合は再度脱フュージョンのエクササイズe-hを実行を促すように設定されている。同様にそれぞれのテーマの実施後にそれぞれのテーマの習熟度(効果)の評価を行い、基準値を満たしていれば次のテーマへ遷移する。このテーマの実施と評価を一つのテーマごとに行う例である(この例のようにエクササイズをずらしながら行うとユーザが飽きることなく続けられるので好ましい)。また、本例では順序はあらかじめ脱フュージョン、いまこの瞬間、アクセプタンスと決めて繰り返しているがこれに限られず、例えば、実施後に3つの尺度で評価を行い、基準点から最も下回っているもの、あるいは、全部上回っている場合は基準点からの乖離が最も小さいものを実施させるといった変形が可能であり、また、当業者に周知の変更が可能である。また、テーマとその評価はひとつずつ行うことに限られない。次に、図8(b)に別の例を示した。この例では、いまこの瞬間、脱フュージョン、アクセプタンスを3つ行ってから評価を行う例を示している。そして、評価結果として、3つの評価のうちで基準点を下回ったものを再度実行し、また評価を行うという工程を繰り返す例を示している。上述のように連続して行うテーマ数と評価は適宜設定可能で、例えば、提供可能なテーマのそれぞれについての評価を行い、他のテーマにくらべて相対的に評価結果の悪かったものから2つを選択して、ユーザにワークセットの実施を促し、その後またそれぞれについての評価を行うといったことを繰り返してもよい(本発明において「テーマ評価尺度の評価結果が基準に満たない場合とは必ずしも基準点よりも評価結果が低い場合だけではなく、このように、他の評価結果と比べて相対的に低い、あるいは、他の評価結果と比べて基準点からの乖離が小さいなどの場合も含まれる」)。また、評価の際には各テーマの習熟度や効果を測定する尺度だけでなく、ストレス関連疾患の重症度を測定する評価尺度(サーバ又は情報処理端末の記憶装置に記憶しておく)を同時にユーザに回答を促し、その結果から疾患やメンタル不調の状態の評価や、改善などの推移を検出するようにしてもよい。なお、この場合でも、テーマの尺度と同時に測定することに替えて、提供する予定の連続したテーマの実施後、テーマすべてを一通り実施した後、あるいは、定期的な測定としてもよい。
【0041】
本発明のACTのコアプロセスに基づくワークセットをユーザへの実行を促し、その習熟度に応じて同じワークセットを繰り返し提供する、あるいは、所定の他のコアプロセスに対応したワークセットを提供するという技術は、特定のストレス関連疾患に対して用いるとその特定の疾患の原因となるストレス症状が改善され、特定の疾患が改善するので好ましい。また、本発明を、特定のストレス関連疾患に関係しない、ストレス症状のセルフマネジメント用に用いた場合、すべてのストレス関連疾患の予防、改善につながり好ましい。また、後者の場合、特定の期間を定めず、ユーザにワークセットを、そのコアプロセスの評価結果に応じて継続的に提供すると、心理的柔軟性が良好に維持されて都合がよい。ここで、継続的にワークセットを提供した場合は、複数回の繰り返しの場合には徐々にそのコアプロセスの習熟を判断する基準点を向上させるようにすると、さらなる向上が計れる。また、実行したコアプロセスの習熟度の判断をする際に、基準点以下であった場合でもユーザの希望をシステムからユーザに対して情報処理端末を介した問い合わせを行い、ユーザが繰り返しよりも次のコアプロセスへ進むことを希望した場合は次のコアプロセスを提供することもできる。
【0042】
いくつかの実施例に基づいて本発明を説明してきたがそれぞれの実施例に用いられた要素を他の実施例の構成に追加して用いることが可能なことは言うまでもない。また本発明では尺度として、エビデンスのある尺度の量論的な評価によって評価を進める例を示したが、これに限られず、提供方法を、音声、動画、ゲーム形式に替える、あるいは質問項目の質問を短縮、あるいは独自の質問項目を使うなどの変更が可能なことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0043】
100 本発明のシステム
101 制御装置
102 記憶装置
103 表示装置
104 入力装置
105 通信装置
106 監視装置
110 ユーザの情報処理端末
120 インターネット
130 サーバ
131 通信装置
132 制御装置
133 記憶装置
【要約】
【課題】、電子商取引に類似する技術と診断用の医療機器等で研究開発された技術を応用した、ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアシステムを提供する。
【解決手段】
ストレス関連疾患またはストレスに起因するメンタル不調のセルフケアのためのシステムであって、
前記システムが、
ユーザの情報処理端末と、
アクセプタンスアンドコミットメントセラピーまたはマインドフルネスに基づく複数のテーマのそれぞれに対応したワークセットと、前記複数のテーマのそれぞれの効果を評価するためのテーマ評価尺度と、を記憶する記憶装置と
システムを制御する制御部と、を含み、
前記制御部が前記ユーザの情報処理端末を介して前記ユーザに前記ワークセットの実行を促し、
前記ワークセットの前記ユーザの実行後に、前記ワークセットのテーマ評価尺度による前記ユーザの効果の評価を行い、
前記評価結果が基準に満たない場合は再度、前記テーマのワークセットを前記ユーザに提供する、システム。
【選択図】図1
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