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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】光学部材、及びそれの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20240924BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20240924BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240924BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20240924BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240924BHJP
   F21V 11/14 20060101ALI20240924BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240924BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240924BHJP
【FI】
G02B5/00 Z
B29C45/14
F21V5/00 320
F21V5/00 600
F21V5/02 400
F21V5/04 350
F21V11/14
G02B3/00 A
G02B5/00 B
G02B7/02 B
G02B7/02 D
G02B7/02 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019131260
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2021015250
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-07-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597096161
【氏名又は名称】株式会社朝日ラバー
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 由多
(72)【発明者】
【氏名】平栗 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】川口 武
(72)【発明者】
【氏名】本▲柳▼ 翔之
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144248(JP,A)
【文献】特開2012-154825(JP,A)
【文献】特開2014-190988(JP,A)
【文献】国際公開第2010/150880(WO,A1)
【文献】特開2007-52928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/24
F21V 5/00 - 5/04
F21V 11/14
G02B 3/00 - 5/136
G02B 7/02 - 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン樹脂とシリコーンゴムとから選ばれる少なくとも何れかのシリコーンで形成されており
光を透過及び/又は導光させる連なった複数の透光部材片を有する透光部材と、
前記光を透過及び/又は導光させる方向に沿って前記複数の透光部材間の内部及び/又は内側(前記複数の透光部材片の間の前記内部及び/又は前記内側の一部だけであるものを除く)に設けられ、前記光を遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収させる、遮光剤、光反射剤、光拡散剤、光散乱剤、及び光吸収から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料を有し、又は遮光材、光反射材、光拡散材、光散乱材、及び光吸収材から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料を有している迷光阻害部材とが、
設けられて一体化しており、
前記光を発光する光源を有しており、
前記複数の透光部材片が夫々、前記光を発光する夫々の前記光源に対向した照明器具部品である光学部材であって、
前記迷光阻害部材によって、前記夫々の光源からの出射光を夫々対向する前記透光部材片のみに透過及び/又は導光した光を隣り合う透光部材片に伝搬しないように、前記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々区切っていることを特徴とする照明器具部品である光学部材。
【請求項2】
前記迷光阻害部材によって、前記出射光が、夫々前記光源に対向する前記透光部材以外の透光部材へ侵入しないことを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記透光部材と、前記迷光阻害部材とによって、配光制御されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項4】
記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々格子状に区切っていることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項5】
前記複数の透光部材片が夫々、格子状穴、連続穴、及び/又は不連続穴を有する前記迷光阻害部材の各穴に嵌って及び/又は載っていることにより、又は前記複数の透光部材片が、その間に板状の前記迷光阻害部材が配置されていることにより、区切られていることを特徴とする請求項に記載の光学部材。
【請求項6】
前記複数の透光部材片が、レンズであることを特徴とする請求項に記載の光学部材。
【請求項7】
レンズアレイであることを特徴とする請求項に記載の光学部材。
【請求項8】
前記複数の透光部材片の夫々から、前記迷光阻害部材が前記光源向きに突き出していることを特徴とする請求項に記載の光学部材。
【請求項9】
前記迷光阻害部材中、前記フィラーである前記透光阻害材料が、配合量をシリコーン100質量部に対し0.1~100質量部とすることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の光学部材。
【請求項10】
前記透光部材中、前記シリコーンが熱硬化性シリコーンゴム又は熱硬化性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1~9の何れかに記載の光学部材。
【請求項11】
前記迷光阻害部材が、シリコーン樹脂とシリコーンゴムとから選ばれる少なくとも何れかであって前記透光部材中の前記シリコーンと同種又は異種のシリコーン、及び前記透光阻害材料を有していることを特徴とする請求項1~10の何れかに記載の光学部材
【請求項12】
シリコーン樹脂とシリコーンゴムとから選ばれる少なくとも何れかを有するシリコーン形成組成物を硬化させたシリコーンで光を透過及び/又は導光させる連なった複数の透光部材片を有する透光部材を形成する工程と前記複数の透光部材片を区切り前記複数の透光部材片の間の内部及び/又は内側の前記複数の透光部材片の間の前記内部及び/又は前記内側の一部だけであるものを除く)に設けるように、前記光を遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収させる遮光剤、光反射剤、光拡散剤、光散乱剤、及び光吸収から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料、又は遮光材、光反射材、光拡散材、光散乱材、及び光吸収材から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料と、硬化材料とを有する透光阻害組成物を硬化させて、迷光阻害部材を形成する工程とが、
何れかの順で若しくは同時又は時間差で並行して行われる、二色成形、又は多色成形によって、
前記透光部材と前記迷光阻害部材とが一体化しており、
前記光を発光する夫々の光源を設け、複数の前記透光部材の複数の透光部材片が夫々、前記夫々の光源に対向させる工程を有し、
前記迷光阻害部材によって、前記夫々の光源からの出射光を夫々対向する前記透光部材片のみに透過及び/又は導光した光を隣り合う前記透光部材片に伝搬しないように、前記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々区切っている照明器具部品である光学部材を、形成することを特徴とする光学部材の製造方法。
【請求項13】
前記二色成形が、インジェクション成形、又はインサート成形であることを特徴とする請求項12に記載の光学部材の製造方法。
【請求項14】
前記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々格子状に区切る形状に、前記迷光阻害部材を形成する工程を行ってから、前記迷光阻害部材を覆うように、前記透光部材を形成する工程を行うことを特徴とする請求項12~13の何れかに記載の光学部材の製造方法。
【請求項15】
前記透光阻害組成物が、金型に注入するものであることを特徴とする請求項12~14の何れかに記載の光学部材の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を透過させたり導光させたりする透光部材と一体化している迷光阻害部材によって、その透光部材の内部で迷光を低減し又は生じさせない光学部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の発光ダイオード(LED)のような光源をマトリックス状に配列し、特定箇所のLEDを選択的に点灯又は消灯させたり、光学部材によって精度高く配光制御することによって、所望の場所のみに光を照射する照明装置が開発されている。さらに、このような光源として、高輝度発光ダイオードが用いられるようになってきている。
【0003】
複数のLEDのような光源の配列チップが用いられており、各光源に夫々レンズのような透光部材が対向するよう光学部材が取り付けられている。複数の光源がある所為で、対向する透光部材へ出射光が入光するだけでなく、隣り合う透光部材にも出射光が入光し合ってしまい、所望の方向外へ光が誘導され、迷光となってしまう。
【0004】
高輝度LEDのように光源の高性能化に伴い、所望の方向外への遮光によって多少の光のロスがあったとしても十分な光量を確保し易いことから、光のロスよりもむしろ、所望の方向へ光を誘導して光のコントラストの精彩化・質感向上を優先したいというユーザーの要望や市場ニーズが強い。
【0005】
所望の方向へ光を誘導する光学部材として、特許文献1には、耐熱性の樹脂で形成され、表面上に絞りが一体に設けられており、絞りは、耐熱性かつ遮光性の樹脂を表面に塗布してなる塗布層であるレンズが、開示されている。この絞り31は、迷光を遮断する所謂迷光絞りである。
【0006】
また、特許文献2には、面光源の表面側に平行に配されると共に表面に複数の半割円柱状の凸レンズ部が並んで形成されたレンチキュラーレンズ部材と、レンチキュラーレンズ部材の裏面に配された光吸収層部と、光吸収層部の裏面に配された光反射層部とを備え、光吸収層部及び光反射層部には、面光源を焦点位置とし面光源からの照射光を通して前記凸レンズ部で平行光とする結像光学系を構成する光学窓が、凸レンズ部の稜線状頂部の直下にそれぞれ開けられている光学部材が、開示されている。直線状に延在する凸レンズ部の直下から正面方向への光はそのまま透過させると共に、凸レンズ部の直下以外からの斜め光は遮断するので、凸レンズ部の配列方向に応じて遮光する光の方向を設定するというものである。
【0007】
さらに、特許文献3には、平板状の基体部と、基体部の一方の面に形成された複数のレンズと、基体部の他方の面の、複数のレンズに対応する位置にそれぞれ形成された複数の柱状の導光部と、少なくとも導光部の側面に形成された遮光部とを備えた、レンズアレイが開示されている。遮光部は外光侵入防止処理がなされた部位であり、外光侵入防止処理は、例えば黒色の遮光フィルムの貼付、黒色の遮光膜の成膜、導光部の側面自体へのシボ処理である。
【0008】
これらの光学部材は、光を所望方向外へ誘導しないように、レンズ等の透光部材の表面の一部を、遮光性の膜や層で覆ったものである。これらの光学部材は、遮光性の膜や層で表面を被覆するだけでは、複数の光源からの夫々の光を所望のレンズ等の透光部材のみに透過させ難く、隣り合う光学部材へ侵入して干渉したり光学部材端面で不意の方向に反射・拡散したりして、光源からの照射光が光学部材の内部で迷光となってしまうのを完全に制御できない。その所為で、所望の方向以外を照らして光が漏れ出ていた。しかも、高輝度LEDのような光源からの高温・高光度の光の曝露によって、蓄熱して膜や層が次第に劣化したり剥離したりする結果、ますます迷光を制御し難くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2011-197479号公報
【文献】特開2008-262012号公報
【文献】国際公開第2016/080258号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、複数の光源からの出射光が、対向する透光部材と隣り合った透光部材へ意図せず侵入して干渉し又は端面で不意の方向に反射・拡散して迷光を生じたり、光が漏れ出たり、コントラストを低下させたりすることを、防止し、光源の配光制御に優れ、所望の方向へ光を誘導して光のコントラストの精彩化・質感向上を図ることができ、高熱や高輝度に対して安定で劣化を引き起こさず、耐熱性・耐久性に優れ、成形性の良いシリコーン製の光学部材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するためになされた本発明の光学部材は、シリコーン樹脂とシリコーンゴムとから選ばれる少なくとも何れかのシリコーンで形成されており光を透過及び/又は導光させる連なった複数の透光部材片を有する透光部材と、前記光を透過及び/又は導光させる方向に沿って前記複数の透光部材間の内部及び/又は内側(前記複数の透光部材片の間の前記内部及び/又は前記内側の一部だけであるものを除く)に設けられ、前記光を遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収させる、遮光剤、光反射剤、光拡散剤、光散乱剤、及び光吸収から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料を有し、又は遮光材、光反射材、光拡散材、光散乱材、及び光吸収材から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料を有している迷光阻害部材とが、設けられて一体化しており、前記光を発光する光源を有しており、前記複数の透光部材片が夫々、前記光を発光する夫々の前記光源に対向した照明器具部品である光学部材であって、前記迷光阻害部材によって、前記夫々の光源からの出射光を夫々対向する前記透光部材片のみに透過及び/又は導光した光を隣り合う透光部材片に伝搬しないように、前記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々区切っていることを特徴とする照明器具部品である光学部材であるというものである。
この光学部材は、例えば前記迷光阻害部材によって、前記出射光が、夫々前記光源に対向する前記透光部材以外の透光部材へ侵入しないというものである。
【0012】
この光学部材は、前記透光部材と、前記迷光阻害部材とによって、配光制御されているというものである。
【0013】
この光学部材は、前記透光部材が前記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々格子状に区切っていると、好ましい。
【0014】
この光学部材は、前記複数の透光部材片が夫々、格子状穴、連続穴、及び/又は不連続穴を有する前記迷光阻害部材の各穴に嵌って及び/又は載っていることにより、又は前記複数の透光部材片が、その間に板状の前記迷光阻害部材が配置されていることにより、区切られていると、一層好ましい。
【0015】
この光学部材は、前記複数の透光部材片が、例えばレンズであるというものである。
【0016】
この光学部材は、レンズアレイであってもよい。
【0017】
この光学部材は、前記複数の透光部材片が夫々、前記光を発光する光源に対向していることが好ましい。
【0018】
この光学部材は、前記複数の透光部材片の夫々から、前記迷光阻害部材が前記光源向きに突き出していると、一層好ましい。
【0019】
この光学部材は、例えば前記迷光阻害部材中、前記フィラーである前記透光阻害材料が、配合量をシリコーン100質量部に対し0.1~100質量部とするというものである
【0020】
この光学部材は、前記透光部材中、前記シリコーンが熱硬化性シリコーンゴム又は熱硬化性シリコーン樹脂であるとなお一層好ましい。
【0021】
この光学部材は、前記迷光阻害部材が、シリコーン樹脂とシリコーンゴムとから選ばれる少なくとも何れかであって前記透光部材中の前記シリコーンと同種又は異種のシリコーン、及び前記透光阻害材料を有しているものであってもよい。
【0022】
前記の目的を達成するためになされた本発明の光学部材の製造方法は、シリコーン樹脂とシリコーンゴムとから選ばれる少なくとも何れかを有するシリコーン形成組成物を硬化させたシリコーンで光を透過及び/又は導光させる連なった複数の透光部材片を有する透光部材を形成する工程と前記複数の透光部材片を区切り前記複数の透光部材片の間の内部及び/又は内側の前記複数の透光部材片の間の前記内部及び/又は前記内側の一部だけであるものを除く)に設けるように、前記光を遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収させる遮光剤、光反射剤、光拡散剤、光散乱剤、及び光吸収から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料、又は遮光材、光反射材、光拡散材、光散乱材、及び光吸収材から選ばれる少なくとも何れかであって、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウム、及び黒顔料から選ばれる少なくとも何れかの粉末状のフィラーである透光阻害材料と、硬化材料とを有する透光阻害組成物を硬化させて、迷光阻害部材を形成する工程とが、
何れかの順で若しくは同時又は時間差で並行して行われる、二色成形、又は多色成形によって、
前記透光部材と前記迷光阻害部材とが一体化しており、
前記光を発光する夫々の光源を設け、複数の前記透光部材の複数の透光部材片が夫々、前記夫々の光源に対向させる工程を有し、
前記迷光阻害部材によって、前記夫々の光源からの出射光を夫々対向する前記透光部材片のみに透過及び/又は導光した光を隣り合う前記透光部材片に伝搬しないように、前記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々区切っている照明器具部品である光学部材を、形成するというものである。
【0023】
この製造方法は、前記二色成形が、インジェクション成形、又はインサート成形であると好ましい。
【0024】
この製造方法は、前記迷光阻害部材が、前記複数の透光部材片を夫々格子状に区切る形状に、前記迷光阻害部材を形成する工程を行ってから、前記迷光阻害部材を覆うように、前記透光部材を形成する工程を行うと、なお一層好ましい。
【0025】
この光学部材の製造方法は、例えば、前記透光阻害組成物が、金型に注入するものである。
発明の透光阻害組成物は、前記の光学部材を形成するために用いられる迷光阻害部材形成用の透光阻害組成物であって、遮光剤、遮光材、光反射剤、光反射材、光拡散剤、光拡散材、光散乱剤、光散乱材、光吸収剤、及び光吸収材から選ばれる少なくとも何れかの透光阻害材料と、硬化材料とを有するというものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の光学部材は、光源から透光部材へ入射した光を、適度に、遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収させる透光阻害材料を有している迷光阻害部材により、所望の方向のみへ誘導することができる。
【0027】
そのため、この光学部材は、透光部材片を有するような透光部材の内部の迷光阻害部材によって、光源とりわけ複数の光源からの出射光が、対向する透光部材以外の透光部材へ意図せず侵入して干渉し又は端面で不意の方向に反射・拡散して迷光を生じるような所望外への集光を防止することができる。
【0028】
従って、光学部材を用いれば、光源からの出射光を、所望の方向へのみに誘導するように配光制御できる。その結果、照らすべき方向と照らさない方向とでの光の配光制御を高め、照射の質感を向上させることができる。
【0029】
また、この光学部材は、シリコーン製の透光部材の内部に迷光阻害部材が設けられて一体化しているので、表面に付しただけの膜や層よりも、高熱・高輝度に曝されても、剥離を引き起こし難い。
【0030】
しかも、この光学部材は、シリコーン製であるので、高熱や高輝度に対して安定で劣化を引き起こさない。さらに、この光学部材は、有機溶剤洗浄などの工程を経たり高品質シリコーンを用いたりすることにより、光学部材中に含有される低分子量シロキサンを微量まで低減して、低分子量シロキサンが起因する接点障害を防止することができる。光学部材に含有される低分子シロキサンD~D20の合計値が、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、一層好ましくは25ppm以下であると、低分子量シロキサンが起因する接点障害を防止することができる。有機溶媒洗浄工程を経てシリコーンが多少収縮したとして、金属膜-シリコーン間のような収縮率の相違が無いので、透光部材と迷光阻害部材とが剥離を生じず又は内部応力による反りや変形を防止することができる。
【0031】
本発明の光学部材の製造方法によれば、耐熱性・耐久性に優れ、成形性の良いシリコーン製の光学部材を、効率良く、また歩留まり良く、簡便に製造することができる。
【0032】
本発明の透光阻害組成物を、この光学部材の製造の際に用いると、高品質の光学部材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明を適用する光学部材の一態様を示す模式端面図である。
図2】本発明を適用する別な態様の光学部材を示す平面図である。
図3】本発明を適用する別な態様の光学部材を示す部分斜視図である。
図4】本発明を適用する別な態様の光学部材を示す模式端面図である。
図5】本発明を適用する別な態様の光学部材を示す平面図及び斜視図である。
図6】本発明を適用する実施例及び本発明を適用外の比較例の光学部材での配光角(°)と発光強度相対値との相関関係を示すグラフとその拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0035】
本発明の光学部材10は、図1を参照しながら説明すると、透光部材11と、その内部及び/又は内側の少なくとも一部に設けられ透光阻害材料を有している迷光阻害部材12とが、一体化して設けられたものである。
【0036】
透光部材11は、回路基板21上の高輝度LEDのような光源22からの出射光Aを、入射して透過及び/又は導光させるものである。
【0037】
透光部材11は、連なった複数の透光部材片11a・11b・11c・・・を有しており、シリコーン樹脂とシリコーンゴムとから選ばれる少なくとも何れかの透明なシリコーンで形成されたものである。複数の透光部材片11a・11b・11c・・・は、等間隔又は非等間隔となって、一列に連なっていてもよく、縦横で複数列に連なっていてもよく、互いに繋がっていてもよく孤立していてもよい。
【0038】
透光部材11は、透光部材片11a・11b・11c・・・が例えば光を透過するレンズのような光学素子である。その形状は、両凸レンズや平凸レンズや凸メニスカスレンズのような凸レンズであってもよく、両凹レンズや平凹レンズや凹メニスカスレンズのような凹レンズであってもよく、非球面レンズやシリンドリカルレンズやトロイダルレンズやフレネルレンズ、レンチキュラーレンズであってもよい。透光部材片11a・11b・11c・・・は、例えばバックライト光源の光を導光する導光板や導光シート、導光レンズのような光学素子であってもよい。
【0039】
光学部材10は、透光部材11である透光部材片11a・11b・11c・・・が繋がって連なっているレンズアレイであってもよい(不図示)。
【0040】
透光部材11は、透光部材片11a・11b・11c・・・の大きさを限定するものではなく、光学部材の用途、実装箇所に応じて適宜変更可能である。
【0041】
透光部材11を形成するシリコーンゴムやシリコーン樹脂のようなシリコーンは、原材料として、ポリ(ジメチルシロキサン)のようなポリ(ジアルキルシロキサン)やポリ(ジフェニルシロキサン)のようなポリ(ジアリールシロキサン)で例示されるポリシロキサン化合物が挙げられる。また、このようなシリコーン原料は、三次元架橋するシリコーンであってもよい。この三次元架橋するポリシロキサン化合物は、その途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、網目状に三次元的に架橋するというものである。シロキサン化合物同士や、シロキサン化合物と必要に応じて用いられるシランカップリング剤とは、夫々のアルキルオキシシリル基又はジアルキルオキシシリル基同士が脱アルコール化反応により縮合して架橋したり、ビニルシリル基やジビニルシリル基とヒドロシリル基やジヒドロシリル基とが白金錯体等の白金触媒存在下で、無溶媒中、加熱や光照射によって付加して架橋したりする。シロキサン化合物はその中でも、付加して架橋するポリシロキサン化合物が好ましい。ジフェニルシロキシ基(-Si(C)-O-)やジメチルシロキシ基(-Si(CH)-O-)のような繰り返し単位を有するシロキサン化合物であってもよい。シロキサン化合物は、ジメチルシロキシ基の繰り返し単位を有し、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基、ジヒドロシリル基を有しているポリシロキサン化合物であると、一層好ましい。中でも、熱硬化性シリコーンゴム又は熱硬化性シリコーン樹脂であると、加工性に優れ、簡便に成形できるので、なお一層好ましい。さらに、硬化前で液状の熱硬化性シリコーンゴム又は熱硬化性シリコーン樹脂であると、複雑な光学部材の形状に成形できるので、より一層好ましい。例えば、MSシリーズ(商品名;ダウ・東レ社製)、LSRシリーズ(商品名;モメンティブ社製)、KEシリーズ(商品名;信越シリコーン社製)、LUMISIL(商品名;旭化成ワッカーシリコーン社製)などが挙げられる。
【0042】
透光部材11は、硬質シリコーンゴム又はシリコーン樹脂であることが好ましく、その硬度は、ショアA硬度70~ショアD硬度50、好ましくはショアA硬度75~ショアD硬度30、一層好ましくはショアA硬度80~ショアD硬度30である。なお、透光部材11及び迷光阻害部材12中に含有される低分子量シロキサンD~D20を低減させるために、形成された透光部材11及び迷光阻害部材12からなる光学部材10を、真空加熱などの加熱処理や、n-ヘキサンや1-ブロモプロパンのような、シリコーンと溶解パラメータの近い有機溶媒で洗浄処理を行ってもよい。
【0043】
透光部材11の内部及び/又は内側の少なくとも一部に、光を透過及び/又は導光させる方向に沿って、透光阻害材料を有している迷光阻害部材12が、設けられている。迷光阻害部材12は、透光部材片11a・11b・11c・・・の外周側で取付支持部材17との間に設けられた迷光阻害部材部位12aと、透光部材片11a・11b・11c・・・の間に設けられた迷光阻害部材部位12b・12c・・・とを、有している。また、取付支持部材17は迷光阻害部材部位12a・12b・12c・・・と同じ組成からなる部材であってもよい。
【0044】
迷光阻害部材12は、迷光阻害部材部位12a・12b・12c・・・が、複数の透光部材片11a・11b・11c・・・を夫々区切っている。
【0045】
迷光阻害部材12は格子状になっていることによりその各格子内に、例えば、格子状穴14a・14b・14c・・・を有している。複数の透光部材片11a・11b・11c・・・が夫々、格子状穴14a・14b・14c・・・に嵌って又は載っていることにより、透過及び/又は導光した光を隣り合う透光部材片11a・11b・11c・・・に伝搬しないように遮蔽されている。
【0046】
なお、格子状穴14a・14b・14c・・・は、連続又は不連続であってもよく、それと共に又はそれに代えて連続穴及び/又は不連続穴にしてもよい。迷光阻害部材12は、複数の透光部材片11a・11b・11c・・・の間に配置された板状の迷光阻害部材12になっていて、格子状に区切るものであってもよい(不図示)。
【0047】
迷光阻害部材12は、透光部材片11a・11b・11c・・・が、繋がって連なり、又は繋がらずに連なり、格子状穴14a・14b・14c・・・に嵌って及び/又は載っている。
【0048】
迷光阻害部材12は、透光部材片11a・11b・11c・・・の隣り合う間での間隙中の迷光阻害部材部位12b・12c・・・の間隙厚さW12は特に限定はないが、間隙厚さW12の最小厚さが、好ましくは0.1~1mm、一層好ましくは0.3~1mm未満であるとよい。
【0049】
迷光阻害部材12は、透光部材片11a・11b・11c・・・よりも、光源22a・22b・22c・・・側に向いて、裾状に突き出している。裾状の迷光阻害部材12である迷光阻害部材部位12a・12b・12c・・・の高さは、光源22a・22b・22c・・・と透光部材片11a・11b・11c・・・との距離に応じて適宜設定し得る。
【0050】
迷光阻害部材12は、透光阻害材料と、硬化材料とを、含有するものである。硬化材料は、透光部材11で例示したシリコーンと同種又は異種のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂を用いることが好ましい。それによって、透光部材11と迷光阻害部材12とが、相互作用し易い高耐久性シリコーン同士となるので、一体成型したときに、界面での接合強度が強くなり、熱膨張係数も近いことから加熱によるクラックが発生せず、高熱や高輝度によって劣化を引き起こさず、界面剥離を引き起こし難くなる。また、有機溶媒洗浄などの工程よるシリコーンが多少収縮したとして、金属膜-シリコーン間のような収縮率の相違が無いため、内部応力による反りや変形を防止でき、界面剥離を起こさない。
【0051】
迷光阻害部材12は、遮光剤、遮光材、光反射剤、光反射材、光拡散剤、光拡散材、光散乱剤、光散乱材、光吸収剤、及び光吸収材から選ばれる少なくとも何れかの透光阻害材料を有していることによって、光源22からそこに到達する光を遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収させる。遮光剤、遮光材、光反射剤、光反射材、光拡散剤、光拡散材、光散乱剤、光散乱材、光吸収剤、及び光吸収材は、粉末状のフィラー、例えば、酸化マグネシウム、無水炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、六法晶窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、カーボンナノチューブ、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミニウムが挙げられる。遮光剤であるME-50B(商品名;モメンティブ社製)やPRK-3(黒顔料)及び遮光剤触媒であるPRK-3触媒(何れも商品名;ダウ・東レ社製)であってもよい。また、透光阻害材料の配合量が多い場合、透光部材と迷光阻害部材との収縮率の差が生じ、界面剥離の原因となるため、透光阻害材料の配合量をシリコーン100質量部に対し0.1~100質量部、好ましくは0.5~50質量部であることが、迷光阻害部材を成形しやすく界面剥離を起こさないことから好ましい。
【0052】
複数の透光部材片11a・11b・11c・・・が夫々、光源22a・22b・22c・・・に対向している。
【0053】
迷光阻害部材12は、透光部材片11aに着目して説明すると、光源22からの出射光Aを透光部材片11aに透過及び/又は導光するのを阻害しないが、光源22aに対向する透光部材片11aへ向かず他の透光部材片11b・11c・・・へ向いた出射光Aのような光を、遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又光吸収させるものである。また、迷光阻害部材12は、透光部材片11aへ向いているが透光部材片11aから出射せずに隣り合う透光部材片11bへ向いて誘導してしまう出射光Aのような光を、遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収させるものである。このように、迷光阻害部材12によって、透光部材11の内部で迷光を生じさせないように、配光制御されている。
【0054】
光学部材10の別な具体的な実施態様を、図2(a)に示す。その光学部材10は、図2(a)に示すように、取付支持部材17の中央に、同径の透光部材片11a・11b・11c・・・及び透光部材片13a・13b・13c・・・が嵌る大きさの9個の穴14a・14b・14c・・・の連続した1列と9個の穴15a・15b・15c・・・の連続した1列とが、開けられている。それによって、穴14a・14b・14c・・・の間には、透光部材片11a・11b・11c・・・間の迷光を遮断する迷光阻害部材部位12b・12c・・・が設けられ、穴14a・14b・14c・・・と穴15a・15b・15c・・・との間には、透光部材片11a・11b・11c・・・と透光部材片13a・13b・・・との間の迷光を遮断する迷光阻害部材部位12Aが設けられ、穴15a・15b・15c・・・の間には、透光部材片13a・13b・13c・・・間の迷光を遮断する迷光阻害部材部位12’b・12’c・・・が設けられ、穴14a・14b・14c・・・及び穴15a・15b・・・の周辺がそれぞれ迷光阻害部材部位12a12’aとなっている。迷光阻害部材12には、位置決め穴16が開けられている。
【0055】
光学部材10のさらに別な具体的な実施態様を、図2(b)に示す。その光学部材10は、取付支持部材17の中央に、小径の透光部材片11a・11b・11c・・・及びそれより大径の透光部材片13a・13b・13c・・・が嵌る大きさの9個の穴14a・14b・14c・・・の連続した1列と5個の穴15a・15b・15c・・・の連続した1列とが、開けられている。このような透光部材片11a等に対応すること以外は図2(a)と同様に、迷光阻害部材部位12a・12b・12c・・・,12’a・12’b・12’c・・・及び12Aが設けられている。
【0056】
図2(b)のような透光部材11は、例えば、図3に示すように、これらの穴に嵌るように形成されて、迷光阻害部材12と一体化しているというものであってもよい。即ち、透光部材片11a・11b・11c・・・及び透光部材片13a・13b・・・は、両凸レンズであって、穴14a・14b・14c・・・と穴15a・15bとから、上面側の片凸部が、迷光阻害部材12の上面から、盛り上がるように形成されており、下面側の片凸部が、迷光阻害部材12の穴14a・14b・14c・・・と穴15a・15b・・・とに収まりつつ、迷光阻害部材12の下面からはみ出さずに、盛り上がるように形成されている。
【0057】
透光部材11は、透光部材片11a・11b・11c・・・及び透光部材片13a・13b・・・が繋がっていない例を図示したが、それらが繋がって連なり、穴14a・14b・14c・・・と穴15a・15b・・・上に載置されるように、形成されて、迷光阻害部材12と一体化していてもよい(不図示)。
【0058】
光学部材10は、図1の態様を代表例として説明すると、回路基板21上に設けられた高輝度LEDのような光源22a・22b・22c・・・の夫々の真上に、透光部材片11a・11b・11c・・・等の中央が位置するように、配置され、接合されて、光学部品となっている。この光学部品は、さらに別な光学部材と組み合わせて、照明器具となる。
【0059】
光学部材10の別な具体的な実施態様を、図4に示す。透光部材片11a・11b・・・は、導光性であって、回路基板21上の光源22に対向する下方向へ向かって先細りの略円錐台状に延び、その略円錐台状や多角錐台状の上端近傍が迷光阻害部材部位12a・12b・・・を介して繋がっている。そこでそれら透光部材片11a・11b・・・の間にてそれらの上端近傍に、迷光阻害部材部位12a・12b・・・が上方向に突き出して設けられているというものである。
【0060】
図1図4に示す光学部材10は、例えば図1の態様を例に説明すると、以下のようにして、製造される。
【0061】
先ず、迷光阻害部材12形成用の透光阻害組成物を調製する。透光阻害組成物は、遮光剤、遮光材、光反射剤、光反射材、光拡散剤、光拡散材、光散乱剤、光散乱材、光吸収剤、光吸収材、光吸収剤、及び光吸収材から選ばれる少なくとも何れかの透光阻害材料と、シリコーンゴムやシリコーン樹脂のようなシリコーンを形成する硬化材料である前記のポリシロキサン化合物と、必要に応じて触媒、溶剤などの添加剤を、混練して、調製する。
【0062】
次いで、この透光阻害組成物を、迷光阻害部材12を形作る金型内に注入し、コンプレッション成形やインジェクション成形にて成形する。得られた迷光阻害部材12を取り出す。
【0063】
次に、透光部材11形成用の透光組成物を調製する。透光組成物は、シリコーンゴムやシリコーン樹脂のようなシリコーンを形成する硬化材料である前記のポリシロキサン化合物と、必要に応じて触媒、溶剤などの添加剤を、混練して、調製する。
【0064】
次いで、光学部材10を形成するため、透光部材片11a・11b・11c・・・及び透光部材片13a・13bを形作る金型に、迷光阻害部材12を置き、位置決め穴16を介して位置決めしてから、この金型に、この透光阻害組成物を注入して、インジェクション成形、又はインサート成形によって、二色成形して、透光部材片11a・11b・11c・・・及び透光部材片13a・13bである透光部材11へと硬化させ、迷光阻害部材12と一体化させる。硬化した透光部材11及び迷光阻害部材12ごと金型から取り出し、必要に応じて、加熱処理や有機溶媒で洗浄するなどの後処理工程にて、光学部材10が得られる。
【0065】
なお、透光部材11の少なくとも一部を区切る形状となるように、迷光阻害部材12を形成する工程を行ってから、迷光阻害部材12を覆うように、透光部材10を形成することにより、透光部材片11a・11b・11c・・・及び透光部材片13a・13bが繋がって連なり、穴14a・14b・14c・・・と二つの穴15a・15b上に載置されるように、形成して、迷光阻害部材12と一体化させ、透光部材10を作製してもよい。
【0066】
光学部材10は、透光部材11と迷光阻害部材12とを、他の二色成形で一体化して作製してもよい。透光部材を形成する工程と、迷光阻害部材を形成する工程とが、何れかの順で若しくは同時又は時間差で並行して行われてもよい。また、透光部材11と迷光阻害部材12を各々成形し、それらを分子接着や接着剤接合して一体化してもよい。
【0067】
回路線基板21上に高輝度LEDのような光源22a・22b・22c・・・が設けられ、基板20を成している。光源22a・22b・22c・・・夫々の真上に、透光部材片11a・11b・11c・・・等の中央が位置するように、光学部材10を配置し接合する。必要に応じて、得られた光学部品の出射先に、さらに別な光学部材を配置して組み合わせ、照明器具を作製することができる。
【0068】
光学部材10やそれを用いた照明器具は、以下のようにして使用される。光学部材10は、図1に示すように、回路基板21上の光源22a・22b・22c・・・から光が出射される。出射された光は、上方へ向く出射光Aは、透光部材片11a・11b・11c・・・を透過して、出光する。また、透光部材片11aへ向いているが透光部材片11aから出射せずに隣り合う透光部材片11bやレンズ外方向へ向いて誘導してしまう出射光Aのような光は、迷光阻害部材部位12a・12bによって、遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収され、透光部材片11b・11c・・・への迷光とならない。また、光源22aに対向する透光部材片11aへ向かず他の透光部材片11b・11c・・・へ向いた出射光Aのような光は、迷光阻害部材部位12a・12b・12c・・・である迷光阻害部材12によって、遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収され、他の透光部材片11b・11c・・・への迷光とならない。
【0069】
この時、迷光阻害部材12が、遮光、光反射、光拡散、光散乱、及び/又は光吸収しても、透光部材11や迷光阻害部材12、とりわけその界面で、劣化しない。そのため、長期間使用可能である。
【実施例
【0070】
本発明を適用する透光阻害組成物を用いて光学部材を試作し、物性評価した例を、以下に示す。
【0071】
以下、本発明の光学部材を試作した例を以下に示す。
【0072】
(実施例1)
液状のシリコーンゴムに透光阻害材料として、酸化チタンを添加し、混練りして透過阻害組成物を調整した。その後、得られた透過阻害組成物を金型に注入し、加熱硬化させ、金型から取り出し迷光阻害部材を成形した。次いで、図5(a)の平面図及び同図(b)斜視図に示すように、縦横各5行列の両凸レンズからなる透光部材11a~11a、11b~11b、11c~11c、11d~11d、11e~11eが中央に設けられ、それらの各列を格子状に各行の迷光阻害部材12b・12c・12d・12e及び、各列の迷光阻害部材12A・12B・12C・12D・・・等と、それら各行列を取り囲む迷光阻害部材12aとが設けられつつ、四隅に位置決め穴16が開けられた光学部材10を成形するため、透光部材を成形する金型に迷光阻害部材を置き、液状のシリコーンゴムからなる透光組成物を金型に注入して二色成形し、透光部材を硬化させる。硬化し一体化した透過部材及び迷光阻害部材を金型から取り出し、光学部材を得た。
【0073】
(実施例2)
液状のシリコーンゴムに透光阻害材料として、酸化チタン及びアルミニウム粉末を添加し、混練りして透過阻害組成物を調整した。その後、得られた透過阻害組成物を金型に注入し、加熱硬化させ、金型から取り出し、実施例1と同様な外形の迷光阻害部材を成形した。次いで、光学部材を成形するため、透光部材を成形する金型に迷光阻害部材を置き、液状のシリコーンゴムからなる透光組成物を金型に注入して二色成形し、透光部材を硬化させる。硬化し一体化した透過部材及び迷光阻害部材を金型から取り出し、光学部材を得た。
【0074】
(実施例3)
液状のシリコーンゴムに透光阻害材料としてME-50Bを添加し、混練りして透過阻害組成物を調整した。その後、得られた透過阻害組成物を金型に注入し、加熱硬化させ、金型から取り出し迷光阻害部材を成形した。次いで、光学部材を成形するため、透光部材を成形する金型に迷光阻害部材を置き、液状のシリコーンゴムからなる透光組成物を金型に注入して二色成形し、透光部材を硬化させた。硬化し一体化した透光部材及び迷光阻害部材を金型から取り出し、実施例1と同様な外形の光学部材を得た。
【0075】
(比較例1)
液状のシリコーンゴムからなる透光組成物を金型に注入して硬化させ、二色成形せずに透光部材及び迷光阻害部材を透光組成物にて成形して、金型から取り出し、実施例1と同様な外形の光学部材を得た。
【0076】
(比較例2)
液状のシリコーンゴムからなる透光組成物と短冊状に裁断した厚み0.5mmのアルミニウム箔を迷光阻害部材として金型に配置して一体成形し、実施例1と同様な外形の光学部材を得た後に物性評価を実施した。
【0077】
(比較例3)
液状のシリコーンゴムからなる透光組成物と短冊状に裁断した厚み0.5mmのエポキシ樹脂板を迷光阻害部材として金型に配置して一体成形し、実施例1と同様な外形の光学部材を得た後に物性評価を実施した。
【0078】
(比較例4)
液状のシリコーンゴムからなる透光組成物と短冊状に裁断した厚み0.5mmの窒化アルミ板を迷光阻害部材として金型に配置して一体成形し、実施例1と同様な外形の光学部材を得た後に物性評価を実施した。
【0079】
物性評価として、光学部材を2時間の加熱及び2時間の有機溶剤浸漬によって、透光部材と迷光阻害部材が剥離やクラックが生じない場合は○、剥離やクラックが生じる場合は×とした。
【0080】
上記実施例及び比較例の結果を下記表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
続いて、物性評価の結果から、透光部材と迷光阻害部材が剥離やクラックが生じなかった、実施例1~3及び比較例1の光学部材を回路基板上に実装されたLED光源の夫々の真上に透光部材片の中央が位置するよう配置し、LED光源を点灯させ、その時の配光測定を行い、迷光による所望外の方向への集光の有無を確認した。配光測定の結果を図6に示す。図6はこれら光学部材での配光角(°)と発光強度相対値とについて、得られた各光学部材での配光角0°において発光強度の相対値を1としたときの相関関係を示すグラフとその拡大図のグラフである。
【0083】
実施例1の光学部材は、2時間の加熱及び2時間の有機溶剤浸漬の物性評価結果、透光部材と迷光阻害部材の界面剥離が生じず、変色等もみられなかった。配光測定の結果、迷光による所望外の方向へ集光が低減されていた。比較例1の光学部材は、2時間の加熱及び2時間の有機溶剤浸漬の物性評価結果、透光部材と迷光阻害部材の界面剥離がなく、変色等もみられなかった。しかし、配光測定の結果、迷光による所望外の方向への集光が確認された。比較例2~4の光学部材は、2時間の加熱及び2時間の有機溶剤浸漬の物性評価結果、透光部材と迷光阻害部材の界面剥離が生じ、配光測定が不可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の光学部材は、光源の配光制御に優れ、所望の方向へ光を誘導して光のコントラストの精彩化・質感向上を図ることができるので、照明器具の部品として、利用可能である。
【0085】
本発明の光学部材の製造方法は、光源をマトリックス状に配列したような照明器具の部品として、効率及び歩留まり良く、高品質に大量生産するのに、有用である。
【0086】
本発明の透光阻害組成物は、この光学部材の原材料として、有用である。
【符号の説明】
【0087】
10は光学部材、11は透光部材、11a・11b・11c・11a~11a・11b~11b・11c~11c・11d~11d・11e~11e・・・は透光部材片、12は迷光阻害部材、12a・12b・12c・12d・12e及び12A・12B・12C・12Dは迷光阻害部材部位、13a・13b・13c・・・は透光部材片、14a・14b・14c・・・は穴、15a・15b・15c・・・は穴、16は位置決め穴、17は取付支持部材、20は基板、21は回路基板、22・22a・22b・22c・・・は光源、W12は迷光阻害部材部位の間隙厚さである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6