(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】卓上防音パーティション
(51)【国際特許分類】
A47B 17/04 20060101AFI20240924BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20240924BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A47B17/04
A47B13/00 Z
A47G5/00 C
(21)【出願番号】P 2020194126
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000213231
【氏名又は名称】株式会社中部コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 充博
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特許第6924531(JP,B2)
【文献】国際公開第2021/002438(WO,A1)
【文献】特開2001-104054(JP,A)
【文献】特開平09-276051(JP,A)
【文献】特開平09-098867(JP,A)
【文献】登録実用新案第3228452(JP,U)
【文献】実開平04-048828(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0659560(KR,B1)
【文献】独国実用新案第202020101855(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 17/00-17/06
A47B 13/00
A47G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業する卓上に設置されて、作業者の前側となる卓上の作業領域の前側を防音状態で覆う前側防音パネルと、
前記前側防音パネルの左右の両端部から卓上の後縁部まで延出して前記作業領域の左側及び右側を防音状態で覆う左右一対の左側及び右側防音パネルとを備えた卓上防音パーティションであって、
前記前側防音パネルと前記左側及び右側防音パネルの上側には前記作業領域の上側を防音状態で覆う上側防音パネルを設け、
前記上側防音パネルの
前記作業領域の上側を覆う部分の少なくとも一部を開閉可能としたことを特徴とする卓上防音パーティション。
【請求項2】
請求項1に記載の卓上防音パーティションにおいて、
前記上側防音パネルは、前記作業領域の上側の水平方向の一方側を覆う第1上側パネルと、前記作業領域の上側の水平方向の他方側を覆う第2上側パネルとを備え、前記第2上側パネルを前記第1上側パネルに角度調節可能な状態で水平軸線回りに回動可能に支持させたことを特徴とする卓上防音パーティション。
【請求項3】
請求項1または2に記載の卓上防音パーティションにおいて、
前記左側及び右側防音パネルの少なくとも一方の後端部には前記作業領域の後側にて作業する作業者の左側及び右側の少なくとも一方を覆う作業者側防音パネルを設けたことを特徴とする卓上防音パーティション。
【請求項4】
請求項3に記載の卓上防音パーティションにおいて、
前記作業者側防音パネルは前記左側及び右側防音パネルの少なくとも一方の後端部に鉛直軸線回りに回動可能に支持されたことを特徴とする卓上防音パーティション。
【請求項5】
請求項4に記載の卓上防音パーティションにおいて、
前記作業者側防音パネルは前記左側及び右側防音パネルの少なくとも一方の後端部に角度調節可能な状態で回動可能に支持されたことを特徴とする卓上防音パーティション。
【請求項6】
請求項4または5に記載の卓上防音パーティションにおいて、
前記作業者側防音パネルは一方側の面だけに吸音材が設けられたものであり、
前記作業者側防音パネルの吸音材が設けられた一方側の面を作業者側または作業者と反対側に配置可能としたことを特徴とする卓上防音パーティション。
【請求項7】
請求項6に記載の卓上防音パーティションにおいて、
前記左側及び右側防音パネルの両方に前記作業者側防音パネルが着脱可能に取り付けられており、左右に配置される前記作業者側防音パネルを入れ替えることによって、前記作業者側防音パネルの吸音材が設けられた一方側の面を作業者側と作業者と反対側とで変更可能としたことを特徴とする卓上防音パーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の周囲の音や視界が遮られるようにして個室感を生み出すための卓上防音パーティションに関する。
【背景技術】
【0002】
テレワークの普及によりオフィス等の職場や自宅でパソコン等の端末を使用したウェブ会議を行う機会が多くなっている。ウェブ会議をするときには、作業者の周囲の人の声や物音が気になって会議に集中することができないことや、作業者自らが発する声が周囲の作業者に影響を与えることがある。特許文献1には卓上防音スクリーンの発明が開示されている。この卓上防音スクリーンは、卓上にて作業者の前側に設置される支持パネルと、支持パネルの上部にて作業者側となる後方に延出するL字形金属棒よりなる2本の支持部材と、2本の支持部材の各々に固定されて作業者の両側を覆うように設置される防音パネルとを備えている。支持パネルと防音パネルはベニヤ板よりなる板部材の間に吸音部材を介装したものであり、支持パネルは作業者の前方の視界と音を遮り、防音パネルは作業者の側方の視界と音を遮るようにしている。
【0003】
特許文献2には卓上防音衝立の発明が開示されている。この卓上防音衝立は、防音構造を有するとともに卓上で使用可能な大きさを持つ3枚のパネルを備え、3枚のパネルは互いに折りたたみ自在にヒンジによって連結されている。この卓上防音衝立は、パネルを卓上で適度に広げることにより卓上にて立てた状態で設置することができる。また、卓上防音衝立の各パネルは合板と、合板に接着された遮音シートと、遮音シートに接着された吸音材と、吸音材に接着されたクロス材とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3220560号公報
【文献】特開平9-098867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の卓上防音スクリーンは作業者の前側に支持パネルが設置され、作業者の両側に防音パネルが設置されているが、支持パネルの上側と左右両側、防音パネルの上下及び左右両側を遮っているわけでないので、周囲の作業者の声や音が作業者に伝わりやすくなっているだけでなく、作業者の声や卓上の作業音が他の作業者にも伝わりやすく、充分に遮音できていなかった。特許文献2の卓上防音衝立は卓上に設置した3枚のパネルを用いて周囲の音を遮るようにしているが、3枚のパネルの上側が開放されているだけでなく、作業者の直ぐ側方を覆っていないので、周囲の作業者の声や音がパネルの上側や側方から作業者に伝わりやすくなっているだけでなく、作業者の声がパネルの上側や側方から他の作業者にも伝わりやすく、充分に遮音できていなかった。本発明は、オフィス等の職場や自宅でも簡易な装置で、作業者の声や音が外側に漏れるのを防ぐとともに、作業者の周囲の音や視界が遮断されるようにして個室感を感じることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、作業者が作業する卓上に設置されて、作業者の前側となる卓上の作業領域の前側を防音状態で覆う前側防音パネルと、前側防音パネルの左右の両端部から卓上の後縁部まで延出して作業領域の左側及び右側を防音状態で覆う左右一対の左側及び右側防音パネルとを備えた卓上防音パーティションであって、前側防音パネルと左側及び右側防音パネルの上側には作業領域の上側を防音状態で覆う上側防音パネルを設け、上側防音パネルの作業領域の上側を覆う部分の少なくとも一部を開閉可能としたことを特徴とする卓上防音パーティションを提供するものである。
【0007】
上記のように構成した卓上防音パーティションにおいては、前側防音パネルと左側及び右側防音パネルの上側には作業領域の上側を防音状態で覆う上側防音パネルを設けたので、作業者の発した声や卓上の作業領域で生じる作業音が上側防音パネルにより前側防音パネル、左側及び右側防音パネルの上側から漏れ出にくくすることができる。また、上側防音パネルの作業領域の上側を覆う部分の少なくとも一部を開閉可能としているので、上側防音パネルの一部または全部を開放することによって作業領域に上側から適度な光を入れることができ、作業領域から声や音を漏れ出にくくしつつ、作業領域の明るくして作業環境を良好にすることができる。
【0008】
上記のように構成した卓上防音パーティションにおいては、上側防音パネルは、作業領域の上側の水平方向の一方側を覆う第1上側パネルと、作業領域の上側の水平方向の他方側を覆う第2上側パネルとを備え、第2上側パネルを第1上側パネルに角度調節可能な状態で水平軸線回りに回動可能に支持させるのが好ましい。このようにしたときには、第2上側パネルを上側に回動させるだけで、作業領域の一部に上側からの光を入れることができる。
【0009】
上記のように構成した卓上防音パーティションにおいては、左側及び右側防音パネルの少なくとも一方の後端部には作業領域の後側にて作業する作業者の左側及び右側の少なくとも一方を覆う作業者側防音パネルを設けるのが好ましい。このようにしたときには、作業者は左側及び右側の少なくとも一方からの音や視界が妨げられて個室感を感じることができるとともに、作業者側防音パネルによって作業者の左側及び右側の少なくとも一方から作業者の声が周囲の作業者に伝わりにくくすることができる。この卓上防音パーティションにおいては、作業者側防音パネルは左側及び右側防音パネルの少なくとも一方の後端部に鉛直軸線回りに回動可能に支持されるのが好ましい。このようにしたときには、作業者側防音パネルを回動させることにより、作業者側防音パネルを作業者を覆う位置と作業者を覆わない位置に配置することができ、作業者は必要に応じて作業者側防音パネルを使用することができるようになる。さらに、この卓上防音パーティションにおいては、作業者側防音パネルは左側及び右側防音パネルの少なくとも一方の後端部に角度調節可能な状態で回動可能に支持されるのが好ましい。このようにしたときには、作業者側防音パネルの回動角度を変えることで、作業者側防音パネルの作業者に対する距離を変えることができ、作業者は開放感も得られた状態で作業者側防音パネルに覆われて個室感を感じることができる。
【0010】
上記のように構成した卓上防音パーティションにおいては、作業者側防音パネルは一方側の面だけに吸音材が設けられたものであり、作業者側防音パネルの吸音材が設けられた一方側の面を作業者側または作業者と反対側に配置可能とするのが好ましい。このようにしたときには、作業者側防音パネルの吸音材を設けた一方側の面を作業者側に配置することで、作業者の声が周囲に特に漏れにくくすることができ、作業者側防音パネルの吸音材を設けた一方側の面を作業者と反対側に配置することで、周囲の音が作業者に特に伝わりにくくすることができる。この卓上防音パーティションにおいては、左側及び右側防音パネルの両方に作業者側防音パネルが着脱可能に取り付けられており、左右に配置される作業者側防音パネルを入れ替えることによって、作業者側防音パネルの吸音材が設けられた一方側の面を作業者側と作業者と反対側とで変更可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の卓上防音パーティションの前方から見た斜視図である。
【
図2】
図1の卓上防音パーティションの分解斜視図である。
【
図3】作業者が卓上防音パーティションを設置した机の直ぐ後側で椅子に座った状態の側面図である。
【
図4】
図3の上側防音パネルの第2上側パネルを上側に45°回動させたときの側面図である。
【
図5】
図3の上側防音パネルの第2上側パネルを上側に90°回動させたときの側面図である。
【
図7】
図6の作業者側防音パネルを外側に45°回動させたときの平面図である。
【
図8】
図3の左右の作業者側防音パネルを入れ替えたときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の卓上防音パーティションの一実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示したように、本発明の卓上防音パーティション10は、作業者が作業するデスク等の机の卓上に設置されて、作業者の前側となる卓上の作業領域Rの前側を防音状態で覆う前側防音パネル20と、前側防音パネル20の左右の両端部から卓上の後縁部まで延出して作業領域Rの左側及び右側を防音状態で覆う左右一対の左側及び右側防音パネル30と、前側防音パネル20と左側及び右側防音パネル30の上側にて作業領域Rの上側を防音状態で覆う上側防音パネル40と、左側及び右側防音パネル30の後端部に支持されて作業領域Rの後側にて作業する作業者の左側及び右側を覆う作業者側防音パネル50とを備えている。
【0013】
図1及び
図2に示したように、前側防音パネル20は卓上の前縁部にて作業領域Rの前側を防音状態で覆うものであり、金属製の薄い板部材21と、板部材21の作業領域R側に設けた吸音材22とを備えている。前側防音パネル20の板部材21は作業領域Rの前側を覆うことができる幅と高さを有しており、この実施形態では幅が800mmで高さが700mmとしている。板部材21の作業領域R側に設けた吸音材22は作業者が発した声や作業領域Rでパソコンやタブレット等の機器を用いた作業をするときに生じる作業音が外側に漏れ出るのを防ぐ機能を有しており、この実施形態では多孔質のスポンジ材として厚さ50mmのウレタンスポンジが用いられている。
図2に示したように、板部材21の左右両側の端部には上下に互いに離間した2箇所に係合孔21aが形成されており、これらの係合孔21aは左側及び右側防音パネル30を取り付けるのに用いられている。
【0014】
図1及び
図2に示したように、左側及び右側防音パネル30は卓上の作業領域Rの左側及び右側を防音状態で覆うものであり、金属製の薄い板部材31と、板部材31の作業領域R側に設けた吸音材32とを備えている。左側防音パネル30は右側防音パネル30と左右対称となっている。左側及び右側防音パネル30は、作業領域Rの左側(右側)を覆うことができる前後の長さと高さを有しており、この実施形態では、前後の長さが660mmで高さが700mmとしている。板部材31の作業領域R側に設けた吸音材32は作業者が発した声や作業領域Rでパソコンやタブレットを用いた作業をするときに生じる作業音が外側に漏れ出るのを防ぐ機能を有しており、この実施形態では多孔質のスポンジ材として厚さ50mmのウレタンスポンジが用いられている。
【0015】
図2に示したように、左側及び右側防音パネル30の板部材31の前側下部の角部には大きなR形状(角R)が形成されており、同様に、前側防音パネル20の板部材21の左右の下部の角部には大きなR形状(角R)が形成されている。作業領域Rに設置したパソコンまたはタブレット等の端末や電気スタンド等の照明器具の電気コード等の配線は、前側防音パネル20の板部材21の左右の下部の角部のR形状と、左側及び右側防音パネル30の板部材31の前側下部の角部のR形状とにより生じる隙間から外側に出すことができる。
【0016】
図2に示したように、左側及び右側防音パネル30の各板部材31の前端部には上下に互いに離間した2箇所に係合爪部31aが形成されており、これらの係合爪部31aは前側防音パネル20の係合孔21aに着脱可能に係合している。係合爪部31aが前側防音パネル20の係合孔21aに係合することによって、前側防音パネル20と、左側及び右側防音パネル30は相互に支え合って起立している。また、左側及び右側防音パネル30の各板部材31の上端部には前後に互いに離間した2箇所に係合突部31bが形成されており、これらの係合突部31bは上側防音パネル40を取り付けるのに用いられている。
【0017】
図1及び
図2に示したように、上側防音パネル40は卓上の作業領域Rの上側を防音状態で覆うものである。また、上側防音パネル40は、作業領域Rの上側の水平方向の一方側として前側を覆う第1上側パネル41と、作業領域Rの上側の水平方向の他方側として後側を覆う第2上側パネル44とを備えている。
【0018】
第1上側パネル41は金属製の薄い板部材42と、板部材42の作業領域R側に設けた吸音材43とを備えている。同様に、第2上側パネル44は金属製の薄い板部材45と、板部材45の作業領域R側に設けた吸音材46とを備えている。第1上側パネル41の板部材42の左右両端部には係合孔42aが形成されており、左右の係合孔42aには左側及び右側防音パネル30の係合突部31bが着脱可能に係合している。左側及び右側防音パネル30の係合突部31bが第1上側パネル41の係合孔42aに係合することで、第1上側パネル41は前後及び左右の移動が規制されている。
【0019】
図2に示したように、第2上側パネル44の板部材45の左右両端部には係合孔45aが形成されており、左右の係合孔45aには左側及び右側防音パネル30の係合突部31bが着脱可能に係合している。左側及び右側防音パネル30の係合突部31bが第2上側パネル44の係合孔45aに係合することで、第2上側パネル44は前後及び左右の移動が規制されている。
【0020】
図1及び
図2に示したように、第1上側パネル41の後端部には蝶番47によって第2上側パネル44の前端部が角度調節可能な状態で水平軸線回りに回動可能に支持されており、第2上側パネル44を回動させることにより、作業領域Rの上側は一部が開閉可能となっている。第2上側パネル44は、
図1及び
図3に示した第1上側パネル41の後側にて作業領域Rの上側を覆う位置から第1上側パネル41の上側に配置される位置で略180°の範囲で回動可能となっている。第2上側パネル44の後端部を上方に持ち上げることで、作業領域Rの中間部より後側に上側の照明の光を導くことができる。同様に、第2上側パネル44を作業領域Rの上側を覆う位置に配置し、第1上側パネル41の前端部を上方に持ち上げることで、作業領域Rの中間部より前側に上側の照明の光を導くことができる。なお、第1上側パネル41と第2上側パネル44とからなる上側防音パネル40を取り外すことで、作業領域Rの上側の全部を開放可能とすることもできる。
【0021】
図1に示したように、左側及び右側防音パネル30の後端部には作業領域Rの後側にて作業する作業者の左側及び右側を防音状態で覆う作業者側防音パネル50が設けられている。作業者側防音パネル50は金属製の薄い板部材51と、板部材51の作業者側に設けた吸音材52とを備えている。作業者側防音パネル50の板部材51は作業者の左側または右側を覆うことができる前後の長さと高さを有しており、この実施形態では前後の長さが300mmで高さが700mmとしている。板部材51の作業者側に設けた吸音材52は作業者が発した声や作業領域Rでパソコンやタブレットを用いた作業をするときに生じる作業音が外側に漏れ出るのを防ぐ機能を有しており、この実施形態では多孔質のスポンジ材として厚さ50mmのウレタンスポンジが用いられている。
【0022】
作業者側防音パネル50の前端部は左側及び右側防音パネル30の後端部に蝶番53によって角度調節可能な状態で鉛直軸線回りに回動可能に支持されている。作業者側防音パネル50は
図3~
図6に示した左側及び右側防音パネル30の各々と直線的に連続するように平行な位置から外側に回動させて左側及び右側防音パネル30の各々の外周面と隣り合う位置で略180°の範囲で回動可能となっている。
【0023】
この卓上防音パーティション10を使用するときには、デスク等の机の卓上の前縁部で前側防音パネル20を立てて、前側防音パネル20の左右の係合孔21aに左側及び右側防音パネル30の各係合爪部31aを係合させ、前側防音パネル20と左側及び右側防音パネル30を相互に支え合わせて起立させる。この後で、左側及び右側防音パネル30の係合突部31bに上側防音パネル40を構成する第1上側パネル41と第2上側パネル44の各係合孔42a,45aを係合させて、前側防音パネル20と左側及び右側防音パネル30の上側に上側防音パネル40を設置する。
【0024】
作業者は、デスク等の机の後側の椅子に着席し、作業領域Rで求める明るさや個室感等の作業環境を良好とするために、上側防音パネル40の第2上側パネル44の角度を調節する。
図3に示したように、第2上側パネル44を第1上側パネル41の後側にて第1上側パネル41と平行に配置したときには、作業領域Rは前側防音パネル20と、左側及び右側防音パネル30と、上側防音パネル40によって、前側、左右両側及び上側が防音的に覆われ、作業領域Rから作業音が漏れ出にくくすることができる。これに対し、
図4に示したように、第2上側パネル44の後端部を例えば上側に45°回動させると、作業領域Rには上側から照明の光を導くことができ、作業領域Rの作業環境は個室感が減少するものの明るくなり、作業領域Rの作業環境を変えることができる。さらに、
図5に示したように、第2上側パネル44の後端部を例えば上側に90°回動させて鉛直に起立させると、作業領域Rの個室感がさらに減少するものの、作業領域Rには上側から照明の光をさらに導くことができるとともに、作業者からの前方への音が第2上側パネル44によって遮られるようになる。なお、第2上側パネル44を90°以上で回動させるようにしてもよい。
【0025】
また、作業者は、デスク等の机の後側の椅子に着席した状態で、周囲の作業環境に応じて左右の作業者側防音パネル50の角度を調節する。
図3~
図6に示したように、作業者側防音パネル50を左側及び右側防音パネル30の各々と直線的に連続するように平行な位置に配置したときには、作業者は左右の作業者側防音パネル50によって左右両側が覆われるので、作業者は左右の他の作業者の声等の音や視界が遮られるとともに、作業者の声等の音や視界が左右の他の作業者に対して遮断され、作業者は個室感を感じて作業を行うことができる。これに対し、
図7に示したように、作業者側防音パネル50の後端部を例えば外側に45°回動させると、作業者は少し離れた位置で作業者側防音パネル50に覆われることになり、作業者は左右の他の作業者の声等の音や視界が遮られるとともに、作業者の声等の音や視界が左右の他の作業者に対して遮断され、作業者は少しの開放感を得られた状態で個室感を感じて作業を行うことができる。さらに、作業者側防音パネル50の後端部を外側に例えば90°以上回動させたときには、作業者は作業者側防音パネル50により覆われないようになり、作業者は開放感を感じて作業を行うことができる。このように、作業者は、作業者側防音パネル50を回動させることで、防音状態等の作業環境を変えることができるようになる。
【0026】
このように、上側防音パネル40の第2上側パネル44を回動させるとともに、左右の作業者側防音パネル50を回動させることで、作業者が作業する卓上の作業領域Rの作業環境を変えることができるとともに、作業者の周囲の作業環境から受ける影響と周囲の作業環境に与える影響を変えることができる。さらに、この卓上防音パーティション10を使用しないときには、上側防音パネル40を左側及び右側防音パネル30から持ち上げて取り外し、作業者側防音パネル50が固定されている左側及び右側防音パネル30を前側防音パネル20から取り外せば、全てのパネルを並べた状態で保管することができ、広い保管場所を必要としないようにすることができる。
【0027】
上記のように構成した卓上防音パーティション10は、作業者が作業する卓上に設置されて、作業者の前側となる卓上の作業領域Rの前側を防音状態で覆う前側防音パネル20と、前側防音パネル20の左右の両端部から卓上の後縁部まで延出して作業領域Rの左側及び右側を防音状態で覆う左右一対の左側及び右側防音パネル30と、前側防音パネル20と左側及び右側防音パネル30の上側に設けられて作業領域Rの上側を防音状態で覆う上側防音パネル40とを備え、上側防音パネル40の少なくとも一部を開閉可能としている。
【0028】
この卓上防音パーティション10においては、上側防音パネル40は、作業領域Rの上側の水平方向の一方側として前部を覆う第1上側パネル41と、作業領域Rの上側の水平方向の他方側として後部を覆う第2上側パネル44とを備え、第2上側パネル44の前端部を第1上側パネル41の後端部に角度調節可能な状態で水平軸線回りに回動可能に支持させている。第2上側パネル44の後端部を上側に持ち上げて回動させることで、上側防音パネル40の一部を開閉可能としているので、上側防音パネル40の一部が開放されることによって作業領域Rに上側から適度な光を入れることができ、作業領域Rから声や音を漏れ出にくくしつつ、作業領域Rの明るさによる作業環境を確保することができる。さらに、第2上側パネル44を上側に回動させて鉛直方向に起立させたときには、作業領域Rの前側に上側からの光を入れることができるとともに、作業者が発する声を上側に回動させて鉛直方向に起立させた第2上側パネル44によって前方に伝わりにくくすることができる。さらに、第1上側パネル41と第2上側パネル44とからなる上側防音パネル40を取り外すことで、作業領域Rの上側の全部を開放して、作業領域Rの全体に上側からの光を入れるようにしてもよい。
【0029】
なお、この実施形態の卓上防音パーティション10においては、第2上側パネル44の前端部を第1上側パネル41の後端部に角度調節可能な状態で水平軸線回りに回動可能に支持させることで、上側防音パネル40の一部を開閉可能としている。本発明はこれに限られるものでなく、第1上側パネル41と第2上側パネル44とを分離可能な状態とし、第1上側パネル41または第2上側パネル44を取り外すことで、上側防音パネル40の一部を開閉可能としたものであってもよい。また、第1上側パネル41と第2上側パネル44を水平方向の一方側と他方側として前後に配置したが、これに限られるものでなく、水平方向の一方側と他方側として左右に配置したものであってもよい。さらに、上側防音パネル40を3つ以上の上側パネルにより構成し、3枚の上側パネルの少なくとも1つを取り外すことで、上側防音パネル40の一部を開閉可能としてもよい。また、上側防音パネル40を3つ以上の上側パネルにより構成し、3枚の上側パネルのうちの少なくとも2枚の上側パネルを蝶番で連結するようにして、少なくとも1枚の上側パネルを上側に回動させることで、上側防音パネル40の一部を開閉可能としてもよい。
【0030】
この卓上防音パーティション10においては、左側及び右側防音パネル30の後端部には作業領域Rの後側にて作業する作業者の左側及び右側を覆う作業者側防音パネル50が設けられている。このようにしたことで、作業者は左側及び右側の音や視界が妨げられて個室感を感じることができ、作業者側防音パネル50によって作業者の左側及び右側から作業者の声や音が周囲の作業者に伝わりにくくすることができるとともに、周囲の作業者の声や音が作業者に伝わりにくくすることができる。なお、この実施形態では、左側防音パネル30と右側防音パネル30の両方の後端部に作業者側防音パネル50を設けたが、これに限られるものでなく、例えば、デスク等の机の左側または右側に部屋の壁等の構造物が配置されているときには、右側または左側防音パネル30だけを設けるようにし、左側または右側防音パネル30を用いないようにしてもよい。
【0031】
また、作業者側防音パネル50は左側及び右側防音パネル30の後端部に鉛直軸線回りに回動可能に支持されているので、作業者側防音パネル50を作業者を覆う位置と作業者を覆わない位置に配置することができ、作業者は必要に応じて作業者側防音パネル50を使用することができるようになる。さらに、作業者側防音パネル50は左側及び右側防音パネル30の後端部に角度調節可能な状態で回動可能に支持されているので、作業者側防音パネル50の回動角度を変えることで、作業者側防音パネル50の作業者に対する距離を変えることができ、作業者は開放感も得られた状態で作業者側防音パネル50に覆われて個室感を感じることができる。
【0032】
また、卓上防音パーティション10においては、作業者側防音パネル50は板部材51の一方側の面だけに吸音材52が設けられたものであり、
図8に示したように、左右に配置されている作業者側防音パネル50を左右で入れ替えることにより、作業者側防音パネル50の吸音材52が設けられた一方側の面を作業者側または作業者と反対側に配置可能としている。これにより、作業者側防音パネル50の吸音材52を設けた一方側の面を作業者側に配置することで、作業者の声が特に周囲に漏れにくくすることができ、作業者側防音パネル50の吸音材52を設けた一方側の面を作業者と反対側に配置することで、周囲の音が特に作業者に伝わりにくくすることができる。なお、作業者側防音パネル50を上下が逆となるように水平軸線回りに180°回動させることで、作業者側防音パネル50の吸音材52を設けた一方側の面を作業者側または作業者と反対側となるように配置可能としたものであってよい。
【符号の説明】
【0033】
10…卓上防音パーティション、20…前側防音パネル、30…左側及び右側防音パネル、40…上側防音パネル、41…第1上側パネル、44…第2上側パネル、50…作業者側防音パネル、52…吸音材。