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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】挿入具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/42 20060101AFI20240924BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240924BHJP
   A61B 17/04 20060101ALN20240924BHJP
   A61B 17/02 20060101ALN20240924BHJP
【FI】
A61B17/42
A61M25/00 530
A61B17/04
A61B17/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020216719
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102154
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】504444658
【氏名又は名称】ケン・メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】畑 健雄
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523874(JP,A)
【文献】特開2017-086518(JP,A)
【文献】特開2004-041395(JP,A)
【文献】特開2020-075019(JP,A)
【文献】特開平05-344978(JP,A)
【文献】特表2006-507097(JP,A)
【文献】特表2016-515861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0247481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/42
A61M 25/00
A61B 17/04
A61B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔鏡下子宮摘出手術において膣の開口部から挿入される筒状の本体を有する挿入具であって、
前記本体が、先端に設けられた第1部分と、前記第1部分の基端側に設けられ、外周面に突起が設けられた第2部分とを有し、
前記第1部分が熱硬化性アクリル樹脂で形成され、
前記第2部分が、前記第1部分とは異なる樹脂で射出成形された挿入具。
【請求項2】
前記本体に、膣の開口部から挿入した前記本体の姿勢を操作するための取っ手が設けられた請求項1に記載の挿入具。
【請求項3】
前記取っ手と前記本体の第2部分とが一体に射出成形された請求項2に記載の挿入具。
【請求項4】
前記本体の第2部分を含み、と一体に射出成形された射出成形部の基端にゲート痕が設けられた請求項1~3の何れか1項に記載の挿入具。
【請求項5】
筒状を成した前記本体の基端の開口部を覆う板状部と、前記板状部に設けられた穴と、前記板状部の穴の周囲から先端側に延びる筒部とを有するキャップを備えた請求項1~4の何れか1項に記載の挿入具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡下子宮摘出手術において膣開口から挿入される挿入具に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡下子宮摘出手術は、例えば下記の特許文献1に示された子宮マニピュレータを用いて行われる。具体的には、膣に子宮マニピュレータを挿入して子宮を所定の姿勢で保持した状態で、腹腔鏡を用いてレーザメス等で膣円蓋を切開することにより子宮を切離し、切離した子宮を腹腔内から摘出する。
【0003】
子宮を摘出した後、例えば下記の特許文献2に示された膣断端縫合補助具を用いて、膣の切断開口部(膣断端)が閉鎖縫合される。具体的には、膣断端縫合補助具を膣の開口部から挿入し、この補助具の先端で膣断端を支持した状態で、膣断端を縫合する。このとき、補助具の外周面に設けられた環状の突起を膣の内壁に密着させることで、膣からの気腹ガスの漏れ出しが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表平10-507384号公報
【文献】特開2020-75019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、通常、子宮摘出手術とその後の膣断端縫合とでは、異なる挿入具(子宮マニピュレータ、膣断端縫合補助具)が用いられることが多いが、上記特許文献2のような簡易な挿入具(補助具)を用いて、子宮摘出手術における子宮の支持を行うことがある。この場合、膣円蓋を超音波メスで切断するときに、挿入具の先端が超音波メスとの接触により溶ける恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、超音波メスに対する耐性が高く、膣断端の縫合だけでなく、腹腔鏡下子宮摘出手術における子宮の保持にも使用可能な挿入具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、様々な樹脂の超音波メスに対する耐性を検証した。その結果、耐熱性の高い樹脂(例えば、LCP、PEEK、PES等)であっても超音波メスに対する耐性が低かったが、唯一、熱硬化性アクリルは超音波メスに対する耐性が高かった。この結果から、挿入具を熱硬化性アクリルで形成することが好ましいことが明らかになった。
【0008】
しかし、熱硬化性アクリルは成形性に乏しいため、挿入具全体を熱硬化性アクリルで成形することは難しい。特に、筒状の本体の外周面にガス漏れ防止用の突起が設けられている場合、このような突起を有する本体を熱硬化性アクリルで一体に成形することは極めて困難である。
【0009】
そこで、本発明は、腹腔鏡下子宮摘出手術において膣の開口部から挿入される筒状の本体を有する挿入具であって、前記本体が、先端に設けられた第1部分と、前記第1部分の基端側に設けられ、外周面に突起が設けられた第2部分とを有し、前記第1部分が熱硬化性アクリル樹脂で形成され、前記第2部分が、前記第1部分をインサートして、前記第1部分とは異なる樹脂で射出成形された挿入具を提供する。
【0010】
このように、本体のうち、超音波メスと接触する第1部分を熱硬化性アクリル樹脂で形成することで、超音波メスに対する耐性が高められる。また、本体の第2部分を、第1部分と異なる樹脂で形成することで、成形性に優れた樹脂を選択することができるため、外周面に突起を有する第2部分を射出成形することが可能となる。さらに、第2部分を、第1部分をインサートして射出成形することで、第1部分と第2部分とを固定する工程を省略できると共に、第1部分と第2部分との接続部を滑らかに連続させることができる。
【0011】
上記の挿入具は、本体の基端又はその近傍に、膣開口から挿入した本体の姿勢を操作するための取っ手を設けることが好ましい。この場合、取っ手と本体の第2部分とを一体に射出成形すれば、これらを固定する工程を省略できる。
【0012】
ところで、第1部分をインサートして第2部分を樹脂で射出成形する際には、キャビティ内の端部(特に、第1部分と接触する先端部)における溶融樹脂の未充填や過充填(バリの発生)を防止するために、成形条件(射出圧、冷却時間等)を調整する必要がある。このとき、キャビティに溶融樹脂を射出するゲートを、第1部分から離れた位置(具体的には、キャビティの基端又はその近傍)に設けることが好ましい。この場合、成形条件を調整することで、キャビティの先端部における樹脂の充填状態を細やかに制御することが可能になるため、樹脂の未充填や過充填を防止しやすくなる。こうして形成された本体を含む射出成形品の基端又はその近傍には、ゲート痕(ゲート内で固化した樹脂の切断痕、あるいはその除去痕)が設けられる。
【0013】
上記の挿入具を用いて腹腔鏡下手術を行う際、挿入具を膣内に挿入した状態で、腹部に気腹ガスが充填される。このとき、筒状の本体の介した気腹ガスの漏れ出しを防止するために、本体の基端の開口部を閉塞するキャップを設けることが好ましい。このキャップには、器具(鉗子等)を挿入するための穴を設けることができる。この場合、キャップの穴に挿入した器具を操作することで、キャップの穴と器具との間に隙間が形成され、この隙間から気腹ガスが漏れ出すおそれがある。
【0014】
そこで、上記の挿入具は、本体の基端の開口部を覆う板状部と、板状部に設けられた穴と、板状部の穴の周囲から先端側に延びる筒部とを有するキャップを備えることができる。このように、板状部の穴の周囲から先端側に延びる筒部を設けることで、キャップの穴に挿入した器具が筒部の内周面に密着する。これにより、キャップと器具との接触領域が増大し、これらの間に隙間が形成されにくくなるため、気腹ガスの漏れ出しを抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の挿入具は、超音波メスに対する耐性が高いため、膣断端の縫合だけでなく、腹腔鏡下子宮摘出手術における子宮の保持にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る挿入具の斜視図である。
図2】上記挿入具の側面図である。
図3】上記挿入具の断面図である。
図4】上記挿入具を射出成形するための金型の断面図(図5のY-Y断面図)である。
図5】上記挿入具を射出成形するための金型の断面図(図4のX-X断面図)である。
図6】子宮摘出手術における上記挿入具の使用状態を示す断面図である。
図7】子宮摘出後の膣断端縫合における上記挿入具の使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明の一実施形態に係る挿入具1は、図1~3に示すように、本体10と、本体10の一方の端部(図2、3の右端)に設けられた取っ手20及びキャップ30とを有する。尚、以下の説明では、本体10の軸心方向で取っ手20及びキャップ30が設けられた側(図2、3の右側)を「基端側」と言い、その反対側(図2、3の左側)を「先端側」と言う。
【0019】
本体10は、先端に設けられた第1部分としての先端リング11と、先端リング11の基端側に設けられた第2部分としての筒部12とを有する。本体10のうち、取っ手20よりも先端側の領域が、膣内に挿入され得る有効領域Lとなる(図2参照)。
【0020】
先端リング11は、熱硬化性アクリル樹脂で形成される。具体的には、液体状の熱硬化性アクリル樹脂を金型に注入して密閉し、この状態で加温しながら硬化させることにより、先端リング11が形成される。この他、熱硬化性アクリル樹脂からなる筒状の押出成形品を切削加工することにより、先端リング11を形成してもよい。先端リング11の先端11aは、軸心と直交する面に対して傾斜した面上に形成される。先端リング11の外周面には、先端側に設けられた大径外周面11bと、大径外周面11bの基端側に設けられ、大径外周面11bよりも小径な小径外周面11cとが形成される(図3参照)。大径外周面11bは外部に露出し、小径外周面11cは筒部12で外周から覆われている。図示例では、小径外周面11cが基端側へ行くにつれて拡径したテーパ状を成している。大径外周面11bは、筒部12の先端の外周面と同径であり、これらが隙間なく連続している。先端リング11の内周面は、筒部12の先端の内周面と同径であり、これらが隙間なく連続している。
【0021】
筒部12は、略円筒状を成し、軸心方向に貫通する内孔15を有する。筒部12は、先端に設けられた円筒状の小径部12aと、基端に設けられ、小径部12aよりも大径な円筒状の大径部12bと、これらを連続するテーパ部12cとを備える。
【0022】
筒部12には、外周面から外径に突出した突起14a、14bが設けられる。図示例では、小径部12aの円筒面状外周面の軸方向に離隔した複数箇所に突起14a、14bが設けられる。これらのうち、最も先端側の突起14aは、全周に連続しておらず、周方向一部のみに設けられる。その他の突起14bは、本体10の外周全周に連続した環状を成している。各突起14a、14bは、軸方向に直交する面に対して傾斜した楕円形を成している。突起14a、14bの半径方向高さは、基端側に行くほど徐々に大きくなっている。尚、突起の構成は上記に限らず、例えば、最も先端側の突起14aを省略して環状の突起14bのみを形成したり、突起を筒部12の周方向に沿った円形としたり、複数の突起の半径方向高さを揃えたりしてもよい。
【0023】
筒部12は、先端リング11をインサートした樹脂の射出成形で形成される。図示例では、筒部12と取っ手20とが、同一の樹脂材料で一体に射出成形される。本実施形態では、筒部12と取っ手20との境界の強度を確保するため、強度の高い樹脂材料で形成することが好ましい。また、挿入具1の使用時に、筒部12の内周に挿入される器具等を視認できるように、透明であることが好ましい。以上のような要求特性と、コストとのバランスを考慮すると、筒部12を含む射出成形品の樹脂として、例えば、ポリカーボネートやABSが使用できる。尚、必要に応じて、強化繊維(例えばガラス繊維)等の充填剤を樹脂に添加してもよい。
【0024】
筒部12は、例えば図4、5に示す金型40で成形される。この金型40は、固定型41と、可動型42と、スライドコア43とを有する。固定型41と可動型42とを型開きし、スライドコア43を後退させた状態で、固定型41の所定位置に先端リング11を配置し、先端リング11の大径外周面11bを固定型41の内周面と嵌合させる。この状態で、可動型42を図5の矢印A方向に移動させて型締めすると共に、スライドコア43を矢印B方向にスライドさせて先端リング11の内周に挿入する。以上により、固定型41、可動型42、スライドコア43、及び先端リング11で、筒部12を成形するためのキャビティ44が形成される。ゲート45は、キャビティ44の基端側(図中右側)の端部あるいはその近傍に設けられる(図4参照)。図示例では、キャビティ44のうち、取っ手20を成形する部分の基端にゲート45が設けられる。
【0025】
ゲート45から溶融樹脂を射出してキャビティ44に充填し、キャビティ44に充填された溶融樹脂を先端リング11と接触させる。この状態で、キャビティ44に充填された樹脂を冷却・固化することにより、筒部12及び取っ手20が一体に成形されると共に、筒部12と先端リング11とが固定される。このとき、キャビティ44の先端部における樹脂の未充填や過充填(バリの発生)が生じないように、成形条件(射出圧、冷却時間等)を調整する。上記のように、ゲート45が、先端リング11から離反した位置(キャビティ44の基端)に設けられているため、成形条件を調整することにより、キャビティ44の先端部における樹脂の充填状態を細やかに制御することができる。以上により、先端リング11をインサートし、筒部12及び取っ手20を一体に有する樹脂成形品が形成される。この樹脂成形品の取っ手20の基端には、ゲート痕21が設けられる(図2、3参照)。ゲート痕21は、ゲート45内で固化した樹脂の切断痕、あるいはその切断痕を機械加工等で除去した除去痕を含む。
【0026】
上記の樹脂成形品において、先端リング11と筒部12とが異なる樹脂材料で形成されるため、筒部12の射出成形時に先端リング11と筒部12の先端とが十分に溶け合わず、両者の固着力が不足する懸念がある。そこで、先端リング11及び筒部12の接触部に、両者を軸心方向で互いに分離する方向で係合させる抜け止め構造を設けることが好ましい。図示例では、先端リング11のテーパ状の小径外周面11cに筒部12を密着させ(図3参照)、これらを軸心方向で係合させることにより、先端リング11の筒部12からの抜け止めが行われる。この他、先端リング11に、基端側を縮径させたテーパ状の内周面を設け、この内周面に筒部12を密着させることで、抜け止め構造を構成してもよい。あるいは、先端リング11の外周面又は内周面に凸部あるいは凹部を設け、これらに筒部12を密着させることで、抜け止め構造を構成してもよい。
【0027】
キャップ30は、本体10の基端の開口部に装着される(図2参照)。キャップ30は、本体10の基端の開口部を覆う板状部としての円板部31と、円板部31の外周端から先端側に延びる第1円筒部32と、第1円筒部32の内周に設けられた第2円筒部33とを有する。キャップ30は、ゴム等の可撓性材料で形成される。第1円筒部32の内周面及び第2円筒部33の外周面を、それぞれ本体10の外周面及び内周面に密着させることで、キャップ30が本体10に取り付けられる。
【0028】
キャップ30には、円板部31を貫通する穴34と、円板部の穴34の周囲から先端側に延びる筒部としての第3円筒部35とが設けられる。図示例では、円板部31の軸心に穴34及び第3円筒部35が設けられる。図示例では、穴34の内周面と第3円筒部35の内周面とが同一円筒面上で連続している。キャップ30の穴34は、栓40で閉塞される。図示例では、キャップ30と、栓40と、これらを連結する連結部41とが、可撓性材料で一体に形成される。栓40をキャップ30の穴34に挿入することで、キャップ30の穴34が閉塞される。栓40をキャップ30の穴34から取り外すことで、穴34から鉗子等の器具を挿入可能となる。
【0029】
以下、上記の挿入具1の使用例を説明する。
【0030】
図6は、腹腔鏡下子宮摘出手術の様子を示す腹腔内の断面図であり、図中上側が腹部側、図中下側が背部側である。図示のように挿入具1を膣102の開口から挿入し、挿入具1の先端11aで子宮101を所定の姿勢で保持する。そして、腹腔内に気腹ガスを充填して腹腔を膨らませた状態で、子宮101の入り口付近、具体的には、挿入具1の先端11aを押し当てることで変形した部分Pを、腹部側から超音波メスで切断する。このとき、挿入具1の先端11aが、熱硬化性アクリル樹脂からなる先端リング11で形成されているため、超音波メスとの接触により挿入具1の先端11aの溶融を防止できる。
【0031】
子宮101の入り口付近を切断することで、腹腔内の気腹ガスが膣102及び挿入具1の内部に侵入する。このとき、挿入具1の本体10の外周面に設けた突起14a、14b及びテーパ部12cを膣102の内壁に密着させることにより、本体10の外周面と膣102の内壁との間からの気腹ガスの外部への漏れ出しが規制される。また、挿入具1のキャップ30の穴34が栓36で閉塞されているため、穴34からの気腹ガスの漏れ出しが規制される。
【0032】
その後、挿入具1を膣102内に挿入した状態で、キャップ30の栓36を抜いて穴34から鉗子等の器具を挿入して、切除した子宮101を摘出する。図示例では、キャップ30に第3円筒部35が設けられ、この第3円筒部35の内周面が器具に密着することで、第3円筒部35が無い場合と比べてキャップ30と器具との接触面積が増大する。また、キャップ30がゴム等の可撓性材料で形成されるため、第3円筒部35が器具の形状に倣って変形しやすい。さらに、第3円筒部35の先端が、外周から支持されていない自由端であるため、第3円筒部35が器具の動きに倣って変形しやすい。以上により、キャップ30と器具との間に隙間が形成されにくくなり、気腹ガスの漏れ出しを抑制できる。
【0033】
その後、キャップ30の穴34から器具を抜いて、穴34を栓36で再び閉塞する。そして、図7に示すように、膣102の切断開口部(膣断端102a)を腹腔鏡下手術により腹部側から縫合する。具体的には、膣102に挿入された挿入具1を少し後退させ、本体10の先端11aで膣断端102aを内側から支持する。この状態で、腹腔鏡を用いて腹部側から膣断端102aを縫合する。
【0034】
本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記の実施形態では、本体10の筒部12と取っ手20とを同一の樹脂で一体成形した場合を示したが、これに限らず、これらを別体に形成した後、適宜の手段で固定してもよい。この場合、筒部12は、先端リング11をインサートして樹脂で射出成形される。このとき、ゲートは、筒部12を成形するキャビティの基端あるいはその近傍に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0035】
1 挿入具
10 本体
11 先端リング(第1部分)
12 筒部(第2部分)
14a、14b 突起
20 取っ手
21 ゲート痕
30 キャップ
31 円板部(板状部)
32 第1円筒部
33 第2円筒部
34 穴
35 第3円筒部(筒部)
36 栓
37 連結部
40 金型
41 固定型
42 可動型
43 スライドコア
44 キャビティ
45 ゲート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7