(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】送風装置及びファン付きウェア
(51)【国際特許分類】
F04D 29/64 20060101AFI20240924BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
F04D29/64 D
F04D29/00 B
(21)【出願番号】P 2021014121
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 秀樹
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-002482(JP,A)
【文献】特開昭59-161629(JP,A)
【文献】特開昭58-182452(JP,A)
【文献】特開2018-109390(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025784(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
A41D 13/002
F04D 29/00
F04D 29/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れを生じさせる羽根と、
前記羽根を回転させるモータと、
前記羽根及び前記モータを収納するケース体と、
を備え、
前記ケース体は、
前記羽根が収納される羽根収納部と、
前記モータが収納されるモータ収納部と、
を備え、
前記羽根収納部は、前記羽根の回転軸方向から見た場合に前記モータ収納部の周囲に位置する部分に、前記羽根収納部の内部と前記羽根収納部の外部との間で空気を流通させる空気流通部を備え、
前記モータ収納部は、前記モータに電力を供給するケーブルを接続するためのケーブル接続部を備え、
前記ケーブル接続部は、前記羽根の回転軸方向から見た場合に前記モータ収納部の外縁を避けた位置に配置され
、
前記ケース体は、
前記空気流通部が形成された面に段差が生じるように形成された段差部を有し、
前記ケーブル接続部は、前記段差部に備えられ、
前記段差部は、前記モータ収納部及び前記羽根収納部に形成されていることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記空気流通部は、前記羽根収納部内に空気を取り込むための空気取込部と、前記羽根収納部内から空気を送出するための空気送出部と、を含み、
前記ケーブル接続部は、前記モータ収納部の前記空気送出部側に位置する面に備えられていることを特徴とする請求項
1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記空気流通部は、前記羽根収納部内に空気を取り込むための空気取込部と、前記羽根収納部内から空気を送出するための空気送出部と、を含み、
前記ケーブル接続部は、前記モータ収納部の前記空気取込部側に位置する面に備えられていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の送風装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の送風装置と、
着用者の身体の少なくとも一部を覆う服本体と、
前記送風装置に電力を供給する電源装置と、
前記送風装置と前記電源装置とを接続するケーブルと、
を備えることを特徴とするファン付きウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置及びファン付きウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、送風装置によって内部に空気を流通させることにより身体を冷却する機能を有する物品、例えば、外気を服内に導入して着用者の身体を冷却する機能を有する衣服、2枚のシートの間に空気を導入し、このようなシートと体との接触部を冷却する機能を有する座布団や寝具、ヘルメット内に空気を流通させて着用者の頭部を冷却する機能を有するヘルメット等が実用化されている。
このような物品においては、空気を導入するための送風装置が必要となるが、このような送風装置としては、通常、内部にモータによって回転する羽根を備え、このようなモータに対して、送風装置の外部に設けられた電源装置から、ケーブルを介して電力を供給することで、羽根を回転させ、空気の流れを生じさせるものが用いられる。
【0003】
このような送風装置は、通常、羽根及びモータに加え、羽根及びモータを収納するケース体を備え、このようなケース体は、羽根の回転軸方向から見た場合の中央部にモータが収納されるモータ収納部を備えると共に、その周囲に、ケース体内部に空気を取り込み、又はケース体内部から空気を送出するための空気流通部を有する羽根収納部を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような送風装置においては、モータ収納部に対して、モータに電力を供給するケーブルを着脱自在に接続するための接続手段として、例えば、モータ収納部に電源入力用のジャックが設けられ、ケーブルに電源入力用のプラグが設けられることとなるが、このような接続手段が、ケース体内部に空気を取り込み、又はケース体内部から空気を送出するための空気流通部の一部を塞いでしまい、空気の流通の妨げとなることがあった。
【0006】
本発明の課題は、ケーブルを送風装置に接続するための接続手段による空気の流通への阻害を低減することができる送風装置及びファン付きウェアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、送風装置において、
空気の流れを生じさせる羽根と、
前記羽根を回転させるモータと、
前記羽根及び前記モータを収納するケース体と、
を備え、
前記ケース体は、
前記羽根が収納される羽根収納部と、
前記モータが収納されるモータ収納部と、
を備え、
前記羽根収納部は、前記羽根の回転軸方向から見た場合に前記モータ収納部の周囲に位置する部分に、前記羽根収納部の内部と前記羽根収納部の外部との間で空気を流通させる空気流通部を備え、
前記モータ収納部は、前記モータに電力を供給するケーブルを接続するためのケーブル接続部を備え、
前記ケーブル接続部は、前記羽根の回転軸方向から見た場合に前記モータ収納部の外縁を避けた位置に配置され、
前記ケース体は、
前記空気流通部が形成された面に段差が生じるように形成された段差部を有し、
前記ケーブル接続部は、前記段差部に備えられ、
前記段差部は、前記モータ収納部及び前記羽根収納部に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の送風装置において、
前記空気流通部は、前記羽根収納部内に空気を取り込むための空気取込部と、前記羽根
収納部内から空気を送出するための空気送出部と、を含み、
前記ケーブル接続部は、前記モータ収納部の前記空気送出部側に位置する面に備えられ
ていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の送風装置において、
前記空気流通部は、前記羽根収納部内に空気を取り込むための空気取込部と、前記羽根
収納部内から空気を送出するための空気送出部と、を含み、
前記ケーブル接続部は、前記モータ収納部の前記空気取込部側に位置する面に備えられ
ていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、ファン付きウェアにおいて、
請求項1から3のいずれか一項に記載の送風装置と、
着用者の身体の少なくとも一部を覆う服本体と、
前記送風装置に電力を供給する電源装置と、
前記送風装置と前記電源装置とを接続するケーブルと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケーブルを送風装置に接続するための接続手段による空気の流通への阻害を低減することができる送風装置及びファン付きウェアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係るファン付きウェアの開閉手段を開いた状態における正面図である。
【
図2】実施形態に係るファン付きウェアの開閉手段を閉じた状態における背面図である。
【
図3】実施形態に係るファン付きウェアの送風装置の空気送出部側から見た斜視図である。
【
図4】実施形態に係るファン付きウェアの送風装置に接続ケーブルが接続された状態を、送風装置の空気送出部側から見た斜視図である。
【
図5】実施形態に係るファン付きウェアの送風装置に接続ケーブルが接続された状態を示す正面図である。
【
図6】実施形態に係るファン付きウェアの送風装置の平面図である。
【
図7】実施形態に係るファン付きウェアの送風装置の背面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII部における断面図である。
【
図9】従来の送風装置の一例に接続ケーブルが接続された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、
図1から
図9に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
また、以下においては、着用者がファン付きウェア100を着用した状態を基準として、着用者の前方向を前、着用者の後方向を後、着用者の上方向を上、着用者の下方向を下、着用者の右手方向を右、着用者の左手方向を左、前後方向に沿う軸をX軸、左右方向に沿う軸をY軸、上下方向に沿う軸をZ軸と定めて説明する。
なお、服本体1の開閉手段11を開いた状態においては、
図1に示すように、服本体1の内面側(着用時に着用者の身体に向く側)が向く方向を前、その反対方向を後と定めて説明する。また、送風装置2のみを説明する場合にも、ファン付きウェア100に取り付けられた状態を基準として方向を定めて説明する。
【0016】
[第1 実施形態の構成]
実施形態に係るファン付きウェア100は、
図1に示すように、服本体1と、服本体1内部に空気を導入する送風装置2と、送風装置2に電力を供給する電源装置3と、電源装置3と送風装置2との間を接続する接続ケーブル4と、を備え、送風装置2によって服本体1内に取り込まれた空気を、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通させた後に、服本体1の襟部及び袖部に形成された空気排出部14から排出することで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0017】
[1 服本体]
服本体1は、
図1及び
図2に示すように、通気性のない又は送風装置2による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地によって、着用者の胴部及び腕部を覆う形状に形成されている。
図1及び
図2においては、服本体1をブルゾン型の上衣の形状に形成しているが、服本体1の形状はこれに限られず、例えば、着用者の胴部のみを覆うベスト型に形成してもよい。なお、服本体1の着用時において着用者に向く面を内面側、その反対側の服本体1の着用時において外部空間に向く面を外面側とする。
【0018】
服本体1は、
図1及び
図2に示すように、前身頃に、線ファスナー等を備えて形成された着脱自在な分割部分である開閉手段11を備え、裾部に、ゴム紐等の伸縮性のある部材を着用者の身体を周回するように備えることによって形成された、服本体1と着用者の身体との間の空間内の空気が服本体1の裾部から外部に漏れることを防止するための手段である空気漏れ防止手段12を備える。
また、着用者の首と服本体1の襟部の端部との間の開口部と、着用者の腕と服本体1の袖部の端部との間の開口部と、には、送風装置2によって服本体1と着用者の身体との間の空間内に導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部である空気排出部14が形成されている。
【0019】
また、服本体1の内面側には、
図1に示すように、電源装置3を接続ケーブル4を通じて送風装置2へと電力を供給可能な位置において保持するため、電源装置3を収納可能なポケット状に形成された電源装置保持手段15と、接続ケーブル4を服本体1の内面側に保持するため、上下方向に長い布を上下2か所において縫い付けることにより、接続ケーブル4を挿通可能な開口部を有するリング状に形成されたケーブル保持手段16と、が備えられている。
【0020】
また、服本体1の後見頃の着用者の腰の左右に対応する位置には、
図1及び
図2に示すように、ファン付きウェア100の着用時において、服本体1と着用者の身体との間の空間と、服本体1の外部の空間と、を繋ぐこととなる円形の孔部である送風装置取付孔13が形成されている。
送風装置取付孔13の直径は、後述の送風装置2のケース体23の羽根収納部231の筒状部2313の直径と略同一に形成され、筒状部2313が送風装置取付孔13を挿通するようにして、服本体1に送風装置2を取り付けることで、送風装置取付孔13を介して、外部の空気を服本体1と着用者の身体との間の空間に取り込むことができる。
送風装置取付孔13の周囲は、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材を取り付ける、服本体1を形成する服地の送風装置取付孔13周囲の部分を折り返して縫合する等の方法で、補強されていることが好ましい。
【0021】
[2 送風装置]
送風装置2は、
図1及び
図2に示すように、服本体1の送風装置取付孔13に、後述のケース体23の空気取込部2311が服本体1の外面側に位置し、空気送出部2312が服本体1の内面側に位置するようにして取り付けられ、送風装置取付孔13を通して、服本体1と着用者の身体との間の空間に空気を導入するための手段であり、電源装置3より、接続ケーブル4を介して必要な電力が供給される。
【0022】
送風装置2は、
図3から
図8に示すように、羽根21と、羽根21を回転させるためのモータ22と、羽根21及びモータ22を収納するケース体23と、ケース体23を服本体1に固定するためのリング状の部材である取付リング24と、を備える。
【0023】
[(1) 羽根]
羽根21は、モータ22により回転させることによって、後述のケース体23の空気取込部2311側から空気送出部2312側へと向かう空気の流れを生じさせるための手段である。
図3、
図4、
図5、
図7及び
図8においては、羽根21として、プロペラ状に形成されたいわゆるプロペラファンを用いる場合を図示しているが、羽根21の形状は、後述のケース体23の空気取込部2311側から空気送出部2312側へと向かう空気の流れを生じさせることができるものであれば特に限定されない。
【0024】
[(2) モータ]
モータ22は、羽根21を回転させるための手段であり、
図8に示すように、羽根21の中央部に配置され、電源装置3から接続ケーブル4を介して電力の供給を受け、
図1から
図8におけるX軸を回転軸として、羽根21を回転させる。
モータ22の具体的構成は、上記のように羽根21を回転させることができるものであれば、特に限定されない。
【0025】
[(3) ケース体]
ケース体23は、羽根21及びモータ22が収納されるケースであり、
図3から
図8に示すように、羽根21が収納される羽根収納部231と、モータ22が収納されるモータ収納部232と、を備える。
【0026】
[a 羽根収納部]
羽根収納部231は、ケース体23の羽根21が収納される部分であり、
図3から
図8に示すように、羽根21を回転させた際に空気が取り込まれる側(服本体1の外面側に位置する部分)に形成された網目状の部分である空気取込部2311と、羽根21を回転させた際に空気が送出される側(服本体1の内面側に位置する部分)に形成された網目状の部分である空気送出部2312と、空気取込部2311と空気送出部2312との間を繋ぐ筒状の連結部である筒状部2313と、筒状部2313の空気取込部2311側の端部から筒状部2313の側面と略垂直な方向に突出するフランジ部2314と、を有する。
【0027】
筒状部2313は、羽根21の回転軸(X軸)に垂直な平面(YZ面)で切った際の断面の外形が略真円形状となる円筒状に形成され、その外径は、送風装置取付孔13の直径と略同一となるように形成されている。
また、筒状部2313の外面の対向する2か所には、後述の取付リング24の内面側に形成された凸部と嵌合する凹部(不図示)が形成され、後述のように取付リング24を筒状部2313の外面側に固定できるように構成されている。
【0028】
空気送出部2312は、
図3、
図4、
図5、
図6及び
図8に示すように、羽根21の回転軸(X軸)方向から見た場合に、モータ収納部232の周囲に位置する部分に形成されている。
また、空気送出部2312は、後述のモータ収納部232の第1平行面2321、第2平行面2322及び垂直面2323から連続するようにして形成され、
図3及び
図4に示すように、X軸方向に段差が生じるようにして、段差部23121が形成されている。
【0029】
[b モータ収納部]
モータ収納部232は、ケース体23のモータ22が収納される部分であり、
図3、
図4、
図5、
図6及び
図8に示すように、ケース体23の服本体1の内面側に位置する側の中央部に、羽根収納部231の空気送出部2312の中央に位置するように配置されている。
【0030】
モータ収納部232は、
図3から
図6に示すように、羽根21の回転面と略平行な面(YZ面と平行な面)となるように形成された第1平行面2321及び第2平行面2322と、羽根21の回転面と略垂直な面(XZ面と平行な面)となるように形成された垂直面2323と、を備え、垂直面2323に、後述の接続ケーブル4の電源プラグ41を接続するための電源ジャック2324を備える。
【0031】
第1平行面2321と第2平行面2322とは、
図3、
図4及び
図6に示すように第1平行面2321が第2平行面2322よりも前方に位置するようにして形成されている。
また、第1平行面2321と第2平行面2322とは、羽根21の回転軸方向から見た際に同一の大きさとなり、モータ収納部232の中央に垂直面2323が位置するように形成されている。
【0032】
モータ収納部232が、第1平行面2321、第2平行面2322及び垂直面2323を有することで、
図3、
図4及び
図6に示すように、モータ収納部232には、空気送出部2312側に位置する面に、X軸方向に段差が生じるようにして、段差部が形成されることとなる。
このような段差部に位置する垂直面2323に、電源ジャック2324を形成することで、電源ジャック2324を、
図3に示すように、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た場合にモータ収納部232の外縁を避けた位置に配置することができる。
【0033】
電源ジャック2324は、モータ収納部232内に収納されたモータ22へと接続され、
図4及び
図5に示すように接続ケーブル4を接続することで、電源装置3から接続ケーブル4によって供給された電力を、モータ22へと供給できるように構成されている。電源ジャック2324の具体的構成は、上記のようにして接続ケーブル4を接続してモータ22へと電力を供給できるものであれば、特に限定されない。
【0034】
[(4) 取付リング]
取付リング24は、プラスチック等の可撓性を有する材料によって一体的に形成されたリング状の部材であり、
図3から
図8に示すように、ケース体23の筒状部2313の外面を覆うように取り付けられ、取付リング24の一端部と、ケース体23のフランジ部2314との間に、服本体1の送風装置取付孔13の周囲の部分を挟み込むことによって、
図1及び
図2に示すように、送風装置2を服本体1に取り付けるために用いられる。
【0035】
取付リング24は、
図5に示すように、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た際の形状が楕円形状となるリング状に形成されている。また、取付リング24は、内周の長さがケース体23の筒状部2313の外周の長さよりも長く、内周の短径がケース体23の筒状部2313の外周の直径よりも小さいか又はケース体23の筒状部2313の外周の直径と同一となるように形成されている。この場合、取付リング24の内周の長径はケース体23の筒状部2313の外周の直径よりも大きくなる。
【0036】
また、取付リング24の短径方向内面側の2か所の対向する位置には、ケース体23の羽根収納部231の筒状部2313の外面側に形成された凹部と嵌合する凸部(不図示)が形成されている。
【0037】
上記のように取付リング24は可撓性を有することから、長径方向の外面側からこれを押圧すると、短径方向が外側に膨らみ、取付リング24を略真円形状に変形することができる。また、長径方向の外面側から押圧する力を解放すると、取付リング24は、元の楕円形状に戻ることになる。
これを利用して、楕円形状の取付リング24を長径方向の外面側から押圧し、これを撓ませて略真円形状に変形させた上で、取付リング24の凸部の位置と、筒状部2313の凹部の位置とが重なるようにして、取付リング24を、筒状部2313に被せた上で、取付リング24に対する押圧を解除することで、
図3から
図8に示すように、取付リング24を、ケース体23の羽根収納部231の筒状部2313に取り付けることができる。
また、この際に、取付リング24の一端部と、ケース体23のフランジ部2314との間に、服本体1の送風装置取付孔13の周囲の部分を挟み込むことによって、送風装置2を服本体1に取り付けることができる。
【0038】
[3 電源装置]
電源装置3は、送風装置2に電力を供給するための部材であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、
図1に示すように、接続ケーブル4を介して送風装置2と接続される。また、電源装置3は、送風装置2に供給する電力のオン/オフを切り替えるスイッチを備える。
電源装置3は、送風装置2に電力を供給することができるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0039】
[4 接続ケーブル]
接続ケーブル4は、
図1に示すように、電源装置3と送風装置2とを接続するケーブルであり、接続ケーブル4を通じて、電源装置3から送風装置2に対して、送風装置2の稼働に必要な電力が供給される。
接続ケーブル4は、
図4及び
図5に示すように、一端部に電源プラグ41を有し、送風装置2の電源ジャック2324に電源プラグ41を差し込むことで、接続ケーブル4を着脱自在に送風装置2に接続することができる。
【0040】
電源プラグ41の具体的な構成は、送風装置2の電源ジャック2324に差し込むことで、接続ケーブル4を着脱自在に送風装置2に接続することができると共に、接続ケーブル4を介して、電源装置3から送風装置2のモータ22に電力を供給できるものであれば、特に限定されない。
【0041】
[第2 実施形態の効果]
本実施形態において、送風装置2のケース体23には、
図3から
図5に示すように、X軸方向から見た場合の中央部にモータ22が収納されるモータ収納部232が備えられると共に、モータ収納部232の周囲に位置する部分に、羽根収納部231内から空気を送出し、服本体1と着用者の身体との間の空間に空気を導入するための空気送出部2312が形成されているところ、モータ収納部232に接続された接続ケーブル4は、必然的にこのような空気送出部2312の前方を横切ることとなり、空気の流通(羽根収納部231からの空気の送出)の妨げとなる。
【0042】
この点、接続ケーブル4の送風装置2に接続される端部には、送風装置2と着脱自在に接続するための接続手段(電源プラグ41)が形成されているところ、このような接続手段によって、接続ケーブル4の端部は、ケーブルの他の部分と比較して太くなることから、空気送出部2312の前方を塞ぐ面積が大きく、空気の流通に対する影響が特に大きい。
【0043】
この点、本実施形態によれば、ケース体23のモータ収納部232には、
図3に示すように、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た場合に、モータ収納部232の外縁を避けた位置に電源ジャック2324が備えられていることから、
図5に示すように、電源ジャック2324に接続ケーブル4の電源プラグ41を差し込むようにして、接続ケーブル4を送風装置2に接続した場合に、接続ケーブル4の電源プラグ41が備えられた端部の太い部分が、モータ収納部232に重なることとなる。
【0044】
これによって、例えば
図9に示す従来の送風装置の一例である送風装置2Aのように、X軸方向から見た場合にモータ収納部の外縁に位置する部分に接続ケーブル4の電源プラグ41が接続される場合と比較して、接続ケーブル4の電源プラグ41が備えられた一端部によって、空気送出部2312が塞がれる面積を抑えることができ、空気の流通への影響(空気の送出の阻害)を低減することができる。
【0045】
なお、送風装置2のケース体23のモータ収納部232に備えられる電源ジャック2324として、本実施形態においては、突出部が存在しないものを用いた場合について図示しているが、用いるジャックによっては、電源ジャック2324に突出部が形成される場合があり、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た場合にモータ収納部232の外縁に位置する部分に電源ジャック2324を備えると、このような電源ジャック2324の突出部によっても、空気送出部2312が塞がれ、空気の流通が妨げられることとなる。
この点、本実施形態によれば、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た場合に、モータ収納部232の外縁を避けた位置に電源ジャック2324が備えられていることによって、電源ジャック2324の突出部がモータ収納部232に重なることとなり、電源ジャック2324が突出部を有する場合においても、このような突出部による空気の流通の阻害を低減できる。
【0046】
また、本実施形態によれば、モータ収納部232は、第1平行面2321、第2平行面2322及び垂直面2323によって段差が生じるように形成され、当該段差部に位置する垂直面2323に電源ジャック2324が備えられている。
この点、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た場合にモータ収納部232の外縁を避けた上で、モータ収納部232の平面となっている部分に電源ジャック2324を備えると、電源ジャック2324に電源プラグ41を接続した場合に、接続ケーブル4が着用者側(服本体1の内面側)へと突出し、着用者の邪魔になるおそれがあるが、第1平行面2321、第2平行面2322及び垂直面2323によって形成された段差部に位置する垂直面2323に電源ジャック2324が備えられていることで、
図4に示すように、電源ジャック2324に接続された接続ケーブル4が着用者側へと突出し難くなり、着用者の邪魔になるおそれを低減することができる。
【0047】
また、
図3及び
図4に示すように、羽根収納部231の空気送出部2312に、モータ収納部232に第1平行面2321、第2平行面2322及び垂直面2323によって形成された段差部から連続するようにして段差部23121が形成されていることによって、
図4に示すように、接続ケーブル4を着用者側に曲げることなく、送風装置2の空気送出部2312と重なる領域外へと導くことができ、接続ケーブル4が、着用者側へと突出して着用者の邪魔になるおそれをさらに低減することができる。
【0048】
[第3 変形例]
上記においては、送風装置2において、電源ジャック2324を、モータ収納部232の、羽根収納部231から空気が送出される側に位置する面に備える場合について説明したが、電源ジャック2324を、モータ収納部232の、羽根収納部231に空気が取り込まれる側に位置する面に備えるようにすることも可能である。
【0049】
この場合、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た場合にモータ収納部232の外縁を避けた位置に電源ジャック2324が備えられていることによって、羽根21の回転軸方向(X軸方向)から見た場合にモータ収納部232の外縁に位置する部分に接続ケーブル4の電源プラグ41が接続される場合と比較して、接続ケーブル4の電源プラグ41が備えられた一端部によって、羽根収納部231への空気の取込部が塞がれる面積を抑えることができ、羽根収納部231への空気の取り込みの阻害を低減するという形で、空気の流通への影響(空気の取り込みの阻害)を抑えることができる。
【0050】
例えば、
図1及び
図2に示すファン付きウェア100において、送風装置2の羽根21の回転方向を反対方向とし、上記実施形態において説明したのとは反対に、送風装置2によって、送風装置取付孔13を介して、服本体1と着用者の身体との間の空間から空気を排出し、襟部及び袖部の開口部から空気を導入するように構成した場合に、モータ収納部232の、羽根収納部231に空気が取り込まれる側に位置する面に、電源ジャック2324が備えられることとなる。
この場合、上記実施形態において空気取込部2311として機能していた部分が、羽根収納部231から空気を送出する空気送出部として機能し、上記実施形態において空気送出部2312として機能していた部分が、羽根収納部231に空気を取り込む空気取込部として機能することとなる。
【符号の説明】
【0051】
100 ファン付きウェア
1 服本体
2 送風装置
21 羽根
22 モータ
23 ケース体
231 羽根収納部
2311 空気取込部(空気流通部)
2312 空気送出部(空気流通部)
23121 段差部
232 モータ収納部
2324 電源ジャック(ケーブル接続部)
3 電源装置
4 接続ケーブル(ケーブル)
41 電源プラグ