(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/32 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
(21)【出願番号】P 2021034238
(22)【出願日】2021-03-04
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長能 弘明
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-161817(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155881(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315 - 2/345
B41J 2/42 - 2/425
B41J 2/475 - 2/48
B41J 15/00 - 15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉時に回動されるプリンタカバーを有するプリンタにおいて、
用紙の印字面に印字を行うサーマルヘッドの着脱用のヘッドカバーを有する第1の保持部と、
前記サーマルヘッドによる印字の際に前記用紙の印字面とは反対側の面を支持するプラテンローラ着脱用の保持カバーを有し、前記プリンタカバーが閉じられたときに前記第1の保持部の下方に配置される第2の保持部と、
を含み、
前記保持カバー及び前記ヘッドカバーが閉じていない状態で、前記プリンタカバーが閉じられると、前記プリンタカバーの回動に合わせて前記第1の保持部が前記第2の保持部の前記保持カバーを押圧して前記保持カバーを閉じた状態に保持されるとともに、前記第1の保持部の前記ヘッドカバーが閉じた状態に保持されることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記第1の保持部は、前記プリンタカバーに連結部材を介して取り付けられ、
前記第2の保持部は、前記プリンタカバーが閉じられたときに前記連結部材に係止される係止部材を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記第1の保持部は、
前記ヘッドカバーに設けられた第1の係止部と、
前記ヘッドカバーが閉じたときに前記第1の係止部に係合される係合突起を有し、閉じた前記ヘッドカバーとの間で前記サーマルヘッドを保持する本体と、
を有し、
前記第1の係止部は、前記プリンタカバーが閉じられたときに前記保持カバーを押圧して、前記保持カバーを閉じることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタにおいて、
前記ヘッドカバーは、閉じた前記保持カバーに当接された状態で、前記プリンタカバーとともに回動する前記本体との間で相対位置が変化し、前記第1の係止部が前記係合突起に係合することで閉じた状態に保持されることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記第2の保持部は、
前記保持カバーに設けられた第2の係止部と、
前記保持カバーが閉じたときに前記第2の係止部に係合される係合部と、
前記プラテンローラを支持する支持部と、
前記保持カバーに設けられ、前記保持カバーが閉じたときに前記支持部に支持されたプラテンローラを押さえる軸押さえ部と、を有することを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉時に回動されるプリンタカバーを有するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
巻回されたロール紙から引き出された用紙を搬送しながら、サーマルヘッドにより印字を行うプリンタが提供されている。このようなプリンタでは、用紙に印字を行うサーマルヘッドや用紙を搬送する搬送ローラなどの消耗品を交換できる構成となっている。例えば、プリンタカバーのヘッドユニットに設けた遮蔽部材を開閉して、サーマルヘッドの交換を行うことが開示されている(特許文献1参照)。また、この他に、搬送する用紙を一方向に案内する搬送板(インナーカバー)を、プリンタのフレームから取り外して、プラテンローラ、補助ローラやセンサの交換、又はインナーカバー自体の交換を行うことが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-147347号公報
【文献】特開2018-43380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に開示されるプリンタでは、サーマルヘッドの装着時に、サーマルヘッドの凹部をヘッドユニットに設けた凸部に嵌合させ、サーマルヘッドの上端に設けた溝にヘッドユニットに設けた爪を係合させた後、遮蔽部材を閉じる。遮蔽部材を閉じると、退避していたコネクタがサーマルヘッドに向けて移動して、サーマルヘッドの接続部がコネクタに差し込まれる構造となっている。しかしながら、遮蔽部材をしっかりと閉じずにカバーを閉じてしまうと、サーマルヘッドの接続部はコネクタに完全に差し込まれておらず、ヘッドユニットに対する給電が正常に行われない、また、サーマルヘッドの接続部とコネクタとの間でショートしてしまうなどの事象が発生する。
【0005】
また、特許文献2に開示されるプリンタでは、インナーカバーは、裏面に設けたU字状の取付爪をプリンタのフレームの凹部に挿入する(圧入する)ことで、プリンタのフレームに取り付けられる構造となっている。しかしながら、インナーカバーの取付爪が、フレームの凹部にしっかりと圧入されていないと、インナーカバー近傍のコンポーネントがプリンタの内部に正しく装着できていないことになり、用紙の搬送や、サーマルヘッドによるの印字に支障をきたす。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内部に設けられたカバー等がきちんと閉じられていない状態でプリンタのカバーを閉じたときに、カバー等を閉じた状態にして、プリンタ内部の構成部材が正しい位置に保持できる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、一つの観点によれば、開閉時に回動されるプリンタカバーを有するプリンタにおいて、用紙の印字面に印字を行うサーマルヘッド着脱用のヘッドカバーを有する第1の保持部と、前記サーマルヘッドによる印字の際に前記用紙の印字面とは反対側の面を支持するプラテンローラ着脱用の保持カバーを有し、前記プリンタカバーが閉じられたときに前記第1の保持部の下方に配置される第2の保持部と、を含み、前記保持カバー及び前記ヘッドカバーが閉じていない状態で、前記プリンタカバーが閉じられると、前記プリンタカバーの回動に合わせて前記第1の保持部が前記第2の保持部の前記保持カバーを押圧して前記保持カバーを閉じた状態に保持されるとともに、前記第1の保持部の前記ヘッドカバーが閉じた状態に保持されることを特徴とする。
【0008】
本発明によると、内部に設けられたカバー等がきちんと閉じられていない状態でプリンタのカバーを閉じたときに、カバー等を閉じた状態にして、プリンタ内部の構成部材が正しい位置に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】蓋部を開いたプリンタの外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】プリンタの内部の構成のうち、印字に係る主要構成の一例を示す説明図である。
【
図4】開閉扉を開いた状態のヘッド保持部及びサーマルヘッドの一例を示す斜視図である。
【
図5】ヘッド保持部にサーマルヘッドが保持された状態の一例を示す斜視図である。
【
図6】保持カバーが閉じ位置にあるローラ保持部の一例を示す斜視図である。
【
図7】保持カバーが開き位置にあるローラ保持部の一例を示す斜視図である。
【
図8】搬送ローラ及びプラテンローラを取り外した状態を示すローラ保持部の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9(a)は、保持カバーが閉じ状態にあるローラ保持部の平面図、
図9(b)は、
図9(a)におけるI-I断面図である。
【
図10】
図10(a)は、保持カバーが開き状態にあるローラ保持部の平面図、
図10(b)は、
図10(a)におけるII-II断面図である。
【
図11】
図11(a)は、蓋部が閉じ位置へと回動する際の、ヘッド保持部の規制片近傍の構成を示す断面図、
図11(b)は、蓋部が閉じ位置まで回動したときの、ヘッド保持部の規制片近傍の構成を示す断面図である。
【
図12】保持カバー及び開閉扉が各々開いている状態で、蓋部が閉じる方向に回動したときの、保持カバーの係止片近傍の構成を示す断面図である。
【
図13】保持カバー及び開閉扉が各々開いている状態で、蓋部が閉じる方向に回動したときの、ヘッド保持部の本体の規制片近傍の構成を示す断面図である。
【
図14】保持カバー及び開閉扉が各々開いている状態で、蓋部が閉じる方向に回動したときの、ヘッド保持部の開閉扉の係止部近傍の構成を示す断面図である。
【
図15】蓋部が閉じる方向に回動している過程で、ヘッド保持部の本体の規制片が、保持カバーの位置決め突起に当接したときの、ヘッド保持部の本体の規制片近傍の構成を示す断面図である。
【
図16】蓋部が閉じる方向に回動する過程で保持カバーが閉じたときの、ヘッド保持部の開閉扉の係止片近傍の構成を示す断面図である。
【
図17】蓋部が閉じる方向に回動する過程で開閉扉が閉じたときの、ヘッド保持部の開閉扉の係止片近傍の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用したプリンタの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態におけるプリンタの一例で、蓋部が閉じた状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すプリンタにおいて、蓋部が開いた状態を示す斜視図である。
図3は、プリンタの内部の主要構成を示す断面図である。
【0011】
図1から
図3に示すように、プリンタ10は、例えばプリンタ本体16に保持される用紙ロール100から繰り出された用紙101を搬送する過程で印字を行い、印字した用紙101を、例えばプリンタ10の前面から排出する装置である。また、プリンタ10は、例えばプリンタ本体16の上部に有する蓋部15を開閉して、用紙ロール100の装填や、プリンタ10の内部に装着される各コンポーネントの交換などを行う。ここで、用紙ロール100は、後述するサーマルヘッド50により印字される印字面と、印字面とは反対側の面で、接着剤が塗布された接着面と、を有する長尺の用紙101をロール状に巻回したものである。
【0012】
プリンタ10は、蓋部15、プリンタ本体16及びハンドル17を含む。蓋部15は、プリンタ本体16の背面側に軸支される。蓋部15は、上面に表示パネル18を有する。表示パネル18は、例えばタッチパネルディスプレイである。表示パネル18は、プリンタ10における各種設定画面の表示や、表示パネル18における入力操作に基づく表示を行う。なお、蓋部15は、請求項に記載のプリンタカバーに相当する。
【0013】
蓋部15は、蓋部15の下面に設けられる蓋本体20を有する。蓋本体20は、蓋部15の回動中心側とは反対側の端部、すなわち、プリンタ10の前端側にヘッド保持部(請求項に記載の第1の保持部に相当)22及び補助ローラ23を有する。なお、ヘッド保持部22についての説明は後述する。補助ローラ23は、蓋部15を閉じたときに、後述するローラ保持部(請求項に記載の第2の保持部に相当)24に保持された送込みローラ96に圧接され、用紙ロール100から引き出された用紙101を挟み込んで、後述するサーマルヘッド50及びプラテンローラ97に向けて送り出す。
【0014】
プリンタ本体16は、蓋部15の回動中心側とは反対側の端部、すなわち、プリンタ10の前端側にローラ保持部24を有する。なお、ローラ保持部24についての詳細は後述するが、ローラ保持部24は、蓋部15を閉じたときに、蓋部15のヘッド保持部22と対峙する位置に設けられる。
【0015】
ハンドル17は、プリンタ10を使用者の意図する場所に移動させるときに、使用者の手によって把持される。
【0016】
図4及び
図5に示すように、ヘッド保持部22は、後述するサーマルヘッド50を保持する。ヘッド保持部22は、本体31、開閉扉(請求項に記載のヘッドカバーに相当)32を有する。本体31は、幅方向(
図4中y方向)を延在方向とした連結シャフト33により蓋部15に連結(軸支)される。連結シャフト33は、両端部を本体31から突出した状態で本体31に保持される。連結シャフト33は、蓋部15を閉じたときに、後述するローラ保持部24の係止部72が一方の端部に、ローラ保持部24の係止部73が他方の端部に係止される。
【0017】
本体31は、幅方向(
図4中y方向)における一端部に規制片34及び係合突起35を、他端部に規制片36及び係合突起37を有する。なお、規制片34の内壁面から規制片36の内壁面までの長さ(間隔)は、サーマルヘッド50の幅方向の長さと略同一の長さに設定される。
【0018】
規制片34は、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着する際に、サーマルヘッド50の
図4中左側端部が当接される。同様にして、規制片36は、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着する際に、サーマルヘッド50の
図4中右側端部が当接される。したがって、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着したときに、サーマルヘッド50は、本体31の幅方向(
図4中y方向)において位置決めされる。
【0019】
また、規制片34は、蓋部15を閉じたときに、後述するローラ保持部24の軸押さえ部89の位置決め突起89bの内側(蓋部15の回動中心側)に入り込み、位置決め突起89bと当接した状態で保持される。同様にして、規制片36は、蓋部15を閉じたときに、ローラ保持部24の軸押さえ部09の位置決め突起90bの内側(蓋部15の回動中心側)に入り込み、位置決め突起90bと当接した状態で保持される。したがって、蓋部15を閉じると、ヘッド保持部22は、ローラ保持部24に位置決めされる。
【0020】
係合突起35は、例えば下方に突出する係合突起であり、開閉扉32を閉じたときに、開閉扉32に設けた係止部44の凹部44aに入り込む。係合突起35は、開閉扉32を開閉したときに、開閉扉32に設けた係止部44の斜面44bの回動軌跡上に位置する。同様にして、係合突起37は、例えば下方に突出する係合突起であり、開閉扉32を閉じたときに、開閉扉32に設けた係止部45の凹部45aに入り込む。係合突起37は、開閉扉32を開閉したときに、開閉扉32に設けた係止部45の斜面45bの回動軌跡上に位置する。
【0021】
本体31は、規制片34,36間に位置決め突起38,39を有する。位置決め突起38は、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着する際に、サーマルヘッド50の放熱板52に設けた凹部58に入り込む。また、位置決め突起39は、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着する際に、サーマルヘッド50の放熱板52に設けた凹部59に入り込む。
【0022】
位置決め突起38,39の下方には、位置決め突起40,41を有する。位置決め突起40は、サーマルヘッド50の装着時に、サーマルヘッド50の回路基板51に設けた開口56に挿入される。また、位置決め突起41は、サーマルヘッド50の装着時に、サーマルヘッド50の回路基板51に設けた開口57に挿入される。
【0023】
本体31は、位置決め突起40,41の間に、端子部42を有する。端子部42は、複数の接続端子43を有する。端子部42は、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着したときに、複数の接続端子の各々がサーマルヘッド50の回路基板51に設けた接点部54の対応する接点に各々接触される。
【0024】
開閉扉32は、略長方形状の部材である。開閉扉32は、短手方向(
図4中x方向)の一端側を回動中心として、本体31の下端部に軸支される。開閉扉32は、長手方向(
図4中y方向)における両端部に係止部(請求項に記載の第1の係止部に相当)44,45を有する。
【0025】
係止部44は、例えば板部材を折曲した略V字形状の部材である。係止部44は、
図4に示す開閉扉32が開いた状態において、折曲した部分が上方に突出した状態となるように、一方の端部を開閉扉32に連結される。つまり、係止部44は、一方の端部が開閉扉32に固定される固定端となり、他方の端部が自由端となる。
【0026】
係止部44は、自由端が肉厚に構成され、肉厚となる部分に凹部44aを有する。凹部44aは、開閉扉32を閉じたときに、本体31に設けた係合突起35が入り込む。係止部44は、凹部44aに向けて上り傾斜する斜面44bを有する。上述したように、係合突起35は、開閉扉32の係止部44の斜面44bの回動軌跡上に位置する。したがって、開閉扉32が閉じ位置へと回動する過程で、係止部44の斜面44bが本体31の係合突起35に当接され、係止部44の自由端が弾性変形する。そして、開閉扉32が閉じ位置まで回動すると、係止部44の自由端が元の状態に復帰して、本体31の係合突起35が係止部44の凹部44aに入り込んだ状態、つまり、係止部44と係合突起35とが係合される。係止部44と係合突起35との係合は、係止部44の自由端を固定端に向けて(
図4中A方向に)押圧し、弾性変形させることで解除される。係止部44は、開閉扉32に連結される部分に、後述する保護カバー68の被押圧面68aを押圧する押圧部44cを有する。
【0027】
係止部45は、係止部44と同様の構成で、自由端が肉厚に構成され、肉厚となる部分に凹部45a、斜面45bを有する。係止部45の凹部45aは、開閉扉32を閉じたときに、本体31に設けた係合突起37が入り込む。斜面45bは、開閉扉32を閉じる過程で、斜面45bの回動軌跡上に位置する本体31の係合突起37により、係止部45の自由端を、固定端側に向けて弾性変形させる。なお、係止部45と係合突起37との係合は、係止部45の自由端を固定端に向けて(
図4中B方向に)押圧し、弾性変形させることで解除される。また、係止部45は、係止部44と同様に、開閉扉32に連結される部分に、後述する保護カバー68の被押圧面68bを押圧する押圧部45cを有する。
【0028】
開閉扉32は、内面に、押圧突起46,47を有する。押圧突起46、47は、開閉扉32が閉じ位置へと回動したときに、ヘッド保持部22に装着されるサーマルヘッド50の回路基板51を、本体31に向けて押圧する。押圧突起46,47が回路基板51を押圧する位置は、例えば、サーマルヘッド50の回路基板51の接点部54が形成された面とは反対側の面で、該接点部54の近傍となる位置である。したがって、本体31の端子部42の接続端子43と、サーマルヘッド50の回路基板51の接点部54の各接点との接触が維持される。
【0029】
サーマルヘッド50は、ヘッド保持部22の本体31と開閉扉32との間に挟持された状態で保持される。サーマルヘッド50がヘッド保持部22に保持された状態では、サーマルヘッド50の回路基板51に設けた発熱素子列53が露呈される。なお、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着する方法は、例えばヘッド保持部22の本体31にサーマルヘッド50を位置決めした後、開閉扉32を閉じるようにしてもよいし、開閉扉32にサーマルヘッド50を位置決めした後、サーマルヘッド50が位置決めされた開閉扉32を閉じるようにしてもよい。なお、
図4及び
図5においては、サーマルヘッド50を本体31に位置決めした後に開閉扉32を閉じることで、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に保持する場合を示している。
【0030】
サーマルヘッド50は、回路基板51及び放熱板52を有する。回路基板51は、発熱素子列53や接点部54を回路構成の一部とした回路を有する。発熱素子列53は、複数の発熱素子を、例えば回路基板51の幅方向(
図5中y方向)に沿って配列したものである。発熱素子列53は、各発熱素子の発熱により、用紙101の印字面に印字を行う。
【0031】
接点部54は、回路基板51において、発熱素子列53を有する一面とは反対側の面に設けられる。接点部54は、サーマルヘッド50をヘッド保持部22に装着したときに、本体31に有する端子部42の複数の接続端子43の各々に接触される複数の接点を有する。
【0032】
回路基板51は、接点部54の外側に開口56,57を有する。開口56は、本体31の位置決め突起40を挿入し、開口57は本体31の位置決め突起41を挿入する。
【0033】
放熱板52は、回路基板51において、接点部54が設けられる面に配置され、発熱素子列53の各発熱素子が発する熱を放熱する。放熱板52は、凹部58,59を有する。凹部58は、本体31の位置決め突起38を挿入し、凹部59は本体31の位置決め突起39を挿入する。
【0034】
図6から
図8に示すように、ローラ保持部(請求項に記載の第2の保持部に相当)24は、後述する送込みローラ96及びプラテンローラ97を軸支する。ローラ保持部24は、側板65,66、連結板67及び保持カバー68を有する。側板65,66は、一定間隔を空けて配置される。側板65,66は、プラテンローラ97を前端側で着脱自在に支持する。ここで、側板65は、プラテンローラ97の一端部を軸受部(請求項に記載の支持部に相当)65aに挿入して支持する(
図7参照)。同時に、側板66は、プラテンローラ97の他端部を軸受部(請求項に記載の支持部に相当)66aに挿入して支持する(
図7参照)。また、側板65,66は、保持カバー68を後端側で支持する。
【0035】
実施の形態において、側板65,66は、プラテンローラ97を支持する構成としているが、プラテンローラを側板65,66に支持するのではなく、連結板67に支持する構成としてもよい。
【0036】
側板65,66は、連結シャフト71を軸支する。連結シャフト71は、軸線方向(
図6中y方向)の両端部が、側板65,66の外方に各々突出される。連結シャフト71は、側板65,66の外方に突出された両端部に、係止部(請求項に記載の係止部材に相当)72,73を各々固定する。なお、係止部72,73は、請求項に記載の係止機構に相当する。
【0037】
係止部72,73は、図示を省略したばねにより、
図6中C方向に付勢されて、
図6に示す係止位置に保持される。係止位置は、蓋部15が閉じたときに、ヘッド保持部22の連結シャフト33に係止されるときの係止部72,73の位置である。係止部72,73は、蓋部15を閉じる過程で、連結シャフト33による押圧を受けて
図6中D方向に回動し、連結シャフト33による押圧が解除されると、図示を省略したばねにより係止位置へと復帰する。これら係止部72,73は、蓋部15を開く際の開閉レバー(図示省略)の操作を受けて
図6中B方向に回動する。
【0038】
詳細は省略するが、側板65,66のうち、側板65には、送込みローラ96及びプラテンローラ97を各々回転させる駆動機構(不図示)を備える。なお、駆動機構は、例えば複数のギヤを用いた機構、又は、ベルトとプーリとを用いた機構、或いは、これらを組み合わせた機構を用いることができる。
【0039】
連結板67は、ローラ保持部24の上面から、ローラ保持部24の後面に跨って配置されるL字形状の部材である。連結板67は、側板65,66の間に配置される。
【0040】
連結板67は、上面で且つ連結板67の折曲する部分の近傍において、軸受部77,78を有する。軸受部77は、送込みローラ96の一端側を下方から支持する。また、軸受部78は、送込みローラ96の他端側を下方から支持する。
【0041】
また、連結板67は、軸受部77,78に保持される送込みローラ96の回転軸方向(
図6中y方向)に沿って、開口(請求項に記載の係合部に相当)79,80を有する。開口79は、保持カバー68を閉じ位置へと移動させたときに、保持カバー68の下面側に設けられた係止部93を挿通する。開口80は、保持カバー68を閉じ位置へと移動させたときに、保持カバー68の下面側に設けられた係止部94を挿通する。
【0042】
保持カバー68は、ローラ保持部24に保持される送込みローラ96の近傍を回動中心として軸支される。保持カバー68は、
図5に示す閉じ位置と、
図6に示す開き位置の間で回動する。
【0043】
保持カバー68は、上面形状において、幅方向(
図6y方向)における中央部分が両端部分よりも下方に位置した、幅方向における中央部が窪んだ形状の部材である。保持カバー68が閉じ位置にあるときに、蓋部15が閉じられると、蓋部15に設けたヘッド保持部22の一部が、保持カバー68の上面の両端部の間に入り込む。これにより、ヘッド保持部22は、保持カバー68の幅方向において位置決めされる。なお、図示は省略するが、保持カバー68は、上面形状において、幅方向における中央部が両端部に対して下方に位置することで、中央部と両端部との間に段差を有している。これら段差を保持カバー68の幅方向における中央に向けて下り傾斜する傾斜面とすることで、蓋部68を閉じたときに、蓋部15に設けたヘッド保持部22を保持カバー68の両端部の間に案内することができる。
【0044】
保持カバー68が閉じ位置にあるとき、保持カバー68は、連結板67の上面の一部と、保持カバー68の下面の一部とが当接された状態となる。この状態では、保持カバー68は、ローラ保持部24に支持される送込みローラ96を、連結板67との間で軸支する。同時に、保持カバー68は、側板65,66に支持されるプラテンローラ97を、側板65,66との間で軸支する。
【0045】
一方、保持カバー68が開き位置にあるとき、保持カバー68は、連結板67の上方から退避する。その結果、保持カバー68及び連結板67による送込みローラ96の軸支や、保持カバー68及び側板65,66によるプラテンローラ97の軸支が解除される。したがって、保持カバー68が開き位置にあるとき、送込みローラ96及びプラテンローラ97は、ローラ保持部24に対して着脱可能となる。
【0046】
保持カバー68は、幅方向(
図6中y方向)における両端縁部の上面において、上述した係止部44の押圧部44c及び係止部45の押圧部45cの各々に押圧される。以下、係止部44の押圧部44cに押圧される面を被押圧面68a、係止部45の押圧部45cに押圧される面を被押圧面68bと称する。
【0047】
保持カバー68は、保持カバー68の回動中心となる端部近傍で、且つ保持カバー68の幅方向における一方の端部に、ガイド片85及び軸挿入部86を、他方の端部に、ガイド片87及び軸挿入部88を各々有する。
【0048】
ガイド片85は、保持カバー68を開き位置から閉じ位置へと回動させたときに、側板65と連結板67の軸受部77との間に入り込む。軸挿入部86は、保持カバー68を閉じ位置へと回動させたときに、送込みローラ96の回転軸方向における一端部(
図7においては、左側端部)が入り込む。
【0049】
ガイド片87は、保持カバー68を開き位置から閉じ位置へと回動させたときに、側板66と連結板67の軸受部78との間に入り込む。軸挿入部88は、保持カバー68を閉じ位置へと回動させたときに、送込みローラ96の回転軸方向における他端部(
図7においては、右側端部)が入り込む。
【0050】
保持カバー68は、自由端となる端部で、且つ保持カバー68の幅方向における両端部に、軸押さえ部89,90を有する。軸押さえ部89は、軸挿入部89a及び位置決め突起89bを有する。軸挿入部89aは、保持カバー68を閉じ位置へと回動させたときに、プラテンローラ97の回転軸方向における一端部(
図7においては左側端部)が入り込む。位置決め突起89bは、蓋部15を閉じたときに、ヘッド保持部22の本体31に設けた規制片34に当接される。
【0051】
軸押さえ部90は、軸挿入部90a及び位置決め突起90bを有する。軸挿入部90aは、保持カバー68を閉じ位置へと回動させたときに、プラテンローラ97の回転軸方向における他端部(
図7においては右側端部)が入り込む。位置決め突起90bは、蓋部15を閉じたときに、ヘッド保持部22の本体31に設けた規制片36に当接される。
【0052】
保持カバー68は、開口91,92を有する。保持カバー68は、保持カバー68の下面で、且つ開口91の周縁部から下方に突出する係止部(請求項に記載の第2の係止部に相当)93を有する。係止部93は、板部材を下方に凸となるように折り曲げた略V字形状の部材である。したがって、係止部93は、一端が保持カバー68に固定される固定端で、他端が自由端となる。係止部93は、自由端となる他端に係止突起93aを有する。係止突起93aは、係止部93が連結板67の開口79に挿入されたときに、連結板67の下面において、連結板67の開口79の周縁部に係止される(
図9参照)。
【0053】
同様にして、保持カバー68は、保持カバー68の下面で、且つ開口92の周縁部から下方に突出する係止部(請求項に記載の第2の係止部に相当)94を有する。係止部94は、板部材を下方に凸となるように折り曲げた略V字形状の部材である。したがって、係止部94は、一端が保持カバー68に固定される固定端で、他端が自由端となる。係止部94は、自由端となる他端に係止突起94aを有する。係止突起94aは、係止部94が連結板67の開口80に挿入されたときに、連結板67の下面において、連結板67の開口80の周縁部に係止される。
【0054】
なお、上述した開口91及び開口92は、係止部93,94による連結板67の係止を解除する際に、例えば使用者の指が挿入される。
【0055】
送込みローラ96は、蓋部15の蓋本体20に軸支される補助ローラ23との間で、用紙ロール100から送り出される用紙101を挟持しながら回転し、用紙101の搬送方向の下流側、すなわち、サーマルヘッド50及びプラテンローラ97に向けて送り出す。したがって、送込みローラ96は、用紙101をサーマルヘッド50及びプラテンローラ97に送り出す過程で、用紙101の接着面に接触する。このため、搬送される用紙101が送込みローラ96の周面に貼着され、ジャムの発生を引き起こす可能性がある。そこで、送込みローラ96は、円周方向に沿う溝を送込みローラ96の軸方向に沿って複数設けたローラや、非粘着処理を外周面に施したローラであることが好ましい。
【0056】
プラテンローラ97は、用紙ロール100から送り出される用紙101の搬送方向において、送込みローラ96の下流側に配置される。プラテンローラ97は、サーマルヘッド50が圧接された用紙101の接着面を受け止めながら回転する。したがって、プラテンローラ97は、送込みローラ96と同様にして、円周方向に沿う溝を、プラテンローラ97の軸方向に沿って複数設けたローラや、非粘着処理を外周面に施したローラであることが好ましい。
【0057】
蓋部15が閉じた状態で、用紙ロール100から引き出される用紙101は、送込みローラ96及び補助ローラ23により挟持され、同時に、サーマルヘッド50及びプラテンローラ97により挟持される。この状態では、用紙101は、保持カバー68から上方に離れた位置で、すなわち、保持カバー68に非接触で搬送される。
【0058】
次に、ヘッド保持部22に保持されたサーマルヘッド50の交換時の手順について説明する。蓋部15を開くと、蓋部15に配置されたヘッド保持部22が露呈される。同時に、プリンタ本体16の前面側に配置されたローラ保持部24が露呈される。ヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の自由端が下方に(
図4中A方向)押し下げられ、同時に、係止部45の自由端が下方に(
図4中B方向)押し下げられる。これにより、係止部44の凹部44aと係合突起35との係合、及び係止部45の凹部45aと係合突起37との係合が各々解除される。この状態で、開閉扉32が閉じ位置から開き位置へと回動される。開閉扉32が開き位置に回動されると、サーマルヘッド50はヘッド保持部22から取り外される。
【0059】
サーマルヘッド50がヘッド保持部22から取り外された後、新たに装着するサーマルヘッド50を本体31に位置決めする。例えば、新たに装着するサーマルヘッド50の回路基板51の開口56に本体31の位置決め突起40を、開口57に本体31の位置決め突起41を各々挿入する。同時に、サーマルヘッド50の放熱板52の凹部58に本体31の位置決め突起38を、放熱板52の凹部59に本体31の位置決め突起39を各々挿入する。これにより、サーマルヘッド50が本体31に位置決めされる。サーマルヘッド50が本体31に位置決めされた後、開き位置にある開閉扉32は、閉じ位置へと回動される。開閉扉32が閉じ位置に向けて回動すると、本体31の係合突起35が開閉扉32の係止部44の斜面44bに当接され、係止部44の自由端を弾性変形させる。同時に、本体31の係合突起37が開閉扉32の係止部45の斜面45bに当接され、係止部45の自由端を弾性変形させる。そして、開閉扉32が閉じ位置まで回動すると、係止部44の自由端が元の状態に復帰して、本体31の係合突起35が係止部44の凹部44aに入り込む。同時に、係止部45の自由端が元の状態に復帰して、本体31の係合突起37が係止部45の凹部45aに入り込む。これにより、開閉扉32の係止部44が本体31の係合突起35に係合され、同時に、開閉扉32の係止部45が本体31の係合突起37に係合される。その結果、開閉扉32が閉じ位置に保持される。
【0060】
開閉扉32が閉じ位置に保持されると、開閉扉32に設けた押圧突起46,47がサーマルヘッド50の回路基板51を本体31に向けて押圧する。したがって、開閉扉32が閉じ位置にあるときには、サーマルヘッド50の回路基板51の接点部54の各接点と、本体31の端子部42の各接続端子43との接続が維持される。
【0061】
次に、ローラ保持部24に、送込みローラ96やプラテンローラ97を着脱する手順を説明する。この場合も、サーマルヘッド50を交換するときと同様に、蓋部15を開く。これにより、プリンタ本体16に設けたローラ保持部24が露呈される。このとき、
図9に示すように、保持カバー68は、閉じ位置に保持されている。つまり、送込みローラ96は、連結板67と保持カバー68とにより軸支されている。同時に、プラテンローラ97は、側板65,66と保持カバー68とにより軸支されている。
【0062】
保持カバー68の開口91から挿入された指により、係止部93の自由端が係止部93の固定端に向けて押圧されると、係止部93と連結板67との係止が解除される。同時に、保持カバー68の開口92から挿入された指により、係止部94の自由端が係止部93の固定端に向けて押圧されると、係止部94と連結板67との係止が解除される。連結板67に対する係止部93,94の係止を各々解除することにより、保持カバー68は閉じ位置から開き位置へと回動させることができる。
【0063】
図10に示すように、保持カバー68を閉じ位置から開き位置へと回動させると、連結板67と保持カバー68とによる送込みローラ96の軸支、及び側板65,66と保持カバー68とによるプラテンローラ97の軸支が解除される。保持カバー68を開き位置に回動した状態では、送込みローラ96は、連結板67の軸受部77,78に跨って支持された状態である。また、プラテンローラ97は、側板65,66に跨って支持された状態である。
【0064】
例えば、送込みローラ96を交換する場合、装着されている送込みローラ96が上方に引き上げられて連結板67の軸受部77,78から取り外される。そして、新たな送込みローラ96が連結板67の軸受部77,78に跨って取り付けられる。
【0065】
また、プラテンローラ97を交換する場合、装着されているプラテンローラ97が上方に引き上げられて側板65,66から取り外される。そして、新たなプラテンローラ97が側板65,66に跨って取り付られる。
【0066】
新たなローラに交換した後、保持カバー68は、開き位置から閉じ位置へと回動される。保持カバー68が閉じ位置へと回動されると、保持カバー68の下面に設けたガイド片85が、連結板67の軸受部77と側板65との間に入り込む。同時に、保持カバー68の下面に設けたガイド片87が、連結板67の軸受部78と側板66との間に入り込む。これにより、保持カバー68が連結板67に対して位置決めされる。
【0067】
図9に示すように、保持カバー68が閉じ位置へとさらに回動されると、連結板67に支持された送込みローラ96の一端部が、保持カバー68の軸挿入部86に挿入される。同時に、連結板67に支持された送込みローラ96の他端部が、保持カバー68の軸挿入部88に挿入される。
【0068】
また、側板65,66に跨って保持されたプラテンローラ97の一端部が、保持カバー68の軸押さえ部89の軸挿入部89aに挿入される。同時に、側板65,66に跨って保持されたプラテンローラ97の他端部が、保持カバー68の軸押さえ部90の軸挿入部90aに挿入される。
【0069】
したがって、保持カバー68が閉じ位置まで回動すると、連結板67と保持カバー68とにより、送込みローラ96が軸支された状態となる。また、側板65,66と保持カバー68とにより、プラテンローラ97が軸支された状態となる。
【0070】
なお、保持カバー68が閉じ位置へと回動されたときには、保持カバー68の係止部93が連結板67の開口79に、保持カバー68の係止部94が連結板67の開口80に各々挿入される。保持カバー68の係止部93は、連結板67の開口79に挿入される過程で、自由端側が開口79の周縁部分に摺接されながら固定端側に向けて弾性変形する。そして、保持カバー68が閉じ位置まで回動したときに、係止部93の自由端側が自身の付勢力により元の状態に復帰する方向、すなわち、固定端側から離れる方向に移動する。この移動により、係止部93の係止突起93aが、連結板67の下面で、且つ開口79の周縁部に係止される。
【0071】
同様にして、保持カバー68の係止部94は、連結板67の開口80に挿入される過程で、自由端側が固定端側に向けて弾性変形する。そして、保持カバー68の係止部94は保持カバー68が閉じ位置へと回動したときに、弾性変形した自由端側が、自身の付勢力により元の状態に復帰する方向、すなわち、固定端側から離れる方向に移動して、連結板67の下面で、且つ開口80の周縁部に係止される。これにより、保持カバー68が閉じ位置で保持される。
【0072】
サーマルヘッド50、送込みローラ96或いはプラテンローラ97の少なくともいずれかが交換された後、蓋部15が閉じられる。
図11(a)及び
図11(b)に示すように、蓋部15を閉じると、ヘッド保持部22の連結シャフト33の一端側がローラ保持部24の係止部72に、連結シャフト33の他端側がローラ保持部24の係止部73に各々係止される。
【0073】
このとき、ヘッド保持部22の本体31が有する規制片34が、保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bの内側に(蓋部15の回動中心側に)入り込み、位置決め突起89bと当接される。同時に、ヘッド保持部22の本体31が有する規制片36が、保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bの内側に(蓋部15の回動中心側に)入り込み、位置決め突起89bと当接される。
【0074】
これにより、ヘッド保持部22がローラ保持部24に対して位置決めされる。ヘッド保持部22がローラ保持部24に対して位置決めされた状態では、蓋本体20に軸支される補助ローラ23が、ローラ保持部24に軸支された送込みローラ96に圧接される。また、ヘッド保持部22に保持されたサーマルヘッド50の発熱素子列53がプラテンローラ97に圧接され、搬送される用紙101の印字面とは反対側の面を下方から支持する。
【0075】
一方、サーマルヘッド50の交換において、ヘッド保持部22の開閉扉32が閉じ位置まで回動させずに蓋部15を閉じる場合がある。また、この他に、送込みローラ96又はプラテンローラ97の少なくともいずれかの交換において、ローラ保持部24の保持カバー68を確実に閉じることなく、蓋部15を閉じる場合がある。
【0076】
以下、ヘッド保持部22の開閉扉32、及びローラ保持部24の保持カバー68が、各々、閉じ位置まで回動させずに、蓋部15を閉じる場合を説明する。このとき、
図12から
図14に示すように、例えばヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の斜面44bが本体31の係合突起35の最頂部に、係止部45の斜面45bが本体31の係合突起37の最頂部に各々乗り上げた状態とする。また、ローラ保持部24の保持カバー68の係止部93の係止突起93aが連結板67の上面の開口79の周縁部に、係止部94の係止突起94aが連結板67の上面の開口80の周縁部に各々当接された状態とする。
【0077】
この状態では、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bは、蓋部15に保持されたヘッド保持部22の本体31に設けた規制片34の回動軌跡上に位置する。同様に、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bは、蓋部15に保持されたヘッド保持部22の本体31に設けた規制片36の回動軌跡上に位置する。また、係止部44の押圧部44cは、保護カバー68の被押圧面68aから離間した位置にある。同様にして、係止部45の押圧部45cは、保護カバー68の被押圧面68bから離間した位置にある。
【0078】
したがって、
図15に示すように、蓋部13が閉じられると、蓋本体20に保持されたヘッド保持部22の本体31の規制片34は、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bに当接される。同時に、蓋本体20に保持されたヘッド保持部22の本体31の規制片36は、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bに当接される。
【0079】
蓋本体20に保持されたヘッド保持部22の本体31の規制片34は、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bを押圧する。同時に、蓋本体30に保持されたヘッド保持部22の本体31の規制片36は、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bを押圧する。したがって、保持カバー68は、閉じ位置に向けて回動する。
【0080】
保持カバー68が回動を開始すると、保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bがヘッド保持部22の本体31の規制片34の回動軌跡上から退避していく。そして、ヘッド保持部22の本体31の規制片34による、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bの押圧が解除される位置で、開閉扉32に設けた係止部44の押圧部44cが保持カバー68の被押圧面68aに当接される。
【0081】
同様にして、保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bがヘッド保持部22の本体31の規制片36の回動軌跡上から退避していく。そして、
図16に示すように、ヘッド保持部22の本体31の規制片36による、ローラ保持部24の保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bの押圧が解除される位置で、開閉扉32に設けた係止部45の押圧部45cが保持カバー68の被押圧面68bに当接される。このとき、蓋部15は閉じられる方向に回動しているので、係止部44の押圧部44cは保持カバー68の被押圧面68aを押圧し、同時に、係止部45の押圧部45cが保持カバー68の被押圧面68bを押圧する。その結果、保持カバー68の保持カバー68が閉じ位置に向けて回動される。
【0082】
保持カバー68の閉じ位置への回動により、係止部93の係止突起93aが開口79の周縁部に押圧されて、係止部93の自由端は、固定端側に向けて弾性変形する。同時に、係止部94の係止突起94aが開口80の周縁部に押圧されて、係止部94の自由端は、固定端側に向けて弾性変形する。
【0083】
係止部93,94の自由端が各々弾性変形することで、係止部93,94は、開口79,80の周縁部分に摺接されながら開口79,80に挿通される。保持カバー68が閉じ位置まで回動したときに、係止部93,94の自由端側が自身の付勢力により元の状態に復帰する。したがって、
図9(b)に示すように、係止部93の係止突起93aが、連結板67の下面で且つ開口79の周縁部に係止され、同時に、係止部94の係止突起94aが、連結板67の下面で且つ開口80の周縁部に係止される。これにより、保持カバー68が閉じ位置に保持される。
【0084】
図16に示すように、保持カバー68が閉じ位置に保持された状態では、係止部44の押圧部44cは保持カバー68の被押圧面68aに当接され、係止部45の押圧部45cは保持カバー68の被押圧面68bに当接された状態である。この状態では、蓋部15は閉じられる方向に回動しているので、ヘッド保持部22の本体31は蓋部15とともに回動する一方で、開閉扉32は回動が規制される。その結果、
図17に示すように、蓋部15とともに回動する本体31によって、ヘッド保持部22の本体31の係合突起35が開閉扉32の係止部44の凹部44aに、ヘッド保持部22の本体31の係合突起37が開閉扉32の係止部45の凹部45aに各々係合する。その結果、開閉扉32が閉じ位置に保持される。
【0085】
開閉扉32が閉じ位置に保持された後も、蓋部15は閉じられる方向に回動している。上述したように、保持カバー68が閉じ位置にあるとき、保持カバー68の位置決め突起89bは、ヘッド保持部22の規制片34の回動軌跡上から退避した位置にある。同様にして、保持カバー68の位置決め突起90は、ヘッド保持部22の規制片36の回動軌跡上から退避した位置にある。したがって、
図11に示すように、蓋部15が完全に閉じられると、ヘッド保持部22の規制片34は、保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bに蓋部15の回転中心側から当接される。同時に、ヘッド保持部22の規制片36は、保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bに蓋部15の回転中心側から当接される。これにより、ヘッド保持部22はローラ保持部24に対してプリンタ10の前後方向において位置決めされる。
【0086】
また、蓋部15を閉じる過程において、蓋部15の蓋本体20に設けたヘッド保持部22が、ローラ保持部24の保持カバー68の上面に向けて移動する。上述したように、保持カバー68の上面形状は、幅方向における中央部が両端部よりも下方に位置した、所謂、幅方向における中央部が窪んだ形状である。したがって、蓋部15を閉じると、蓋部15の蓋本体20に設けたヘッド保持部22が、保持カバー68の窪んだ中央部分に入り込む。これにより、ヘッド保持部22が、保持カバー68に対して、保持カバー68の幅方向、すなわち、プリンタ10の左右方向において位置決めされる。
【0087】
なお、蓋部15が完全に閉じられた状態では、ヘッド保持部22の連結シャフト33の一端側が係止部72に、他端側が係止部73に係止されて、蓋部15が閉じた状態に保持される。
【0088】
このように、ヘッド保持部22の開閉扉32、ローラ保持部24の保持カバー68が各々閉じ位置に保持されていない状態で蓋部15が閉じられたとしても、蓋部15が閉じられるときに、ヘッド保持部22の開閉扉32、ローラ保持部24の保持カバー68が各々閉じ位置へと回動して、閉じ位置に保持された状態となる。すなわち、蓋部15を閉じると、ヘッド保持部22の開閉扉32やローラ保持部24の保持カバー68が自動的にロックされて、閉じ位置に各々保持される。これによれば、ヘッド保持部22の開閉扉32や、ローラ保持部24の保持カバー68がロックされているか否かを検知する検出手段の構成を設ける必要がなくなる。
【0089】
また、ヘッド保持部22の規制片34及び規制片36、係止部44及び係止部45は、サーマルヘッド50の幅方向における両端部から外方に配置、すなわち、プリンタ10の駆動時に、搬送される用紙101の幅方向における両端部から外方に位置する。つまり、これら部位は、用紙101に触れることがないので、用紙101がセットされている状態で蓋体15が閉じられたとしても、用紙101に影響されることなく、蓋部15を閉じ位置に回動させてロックさせると、ヘッド保持部22の開閉扉32やローラ保持部24の保持カバー68も自動的にロックされる。
【0090】
なお、上記に記載した実施の形態では説明を省略しているが、プリンタ10を構成する各部材において、サーマルヘッド50、送込みローラ96及びプラテンローラ97など、交換できる部材と、交換できない部材と異なる色とすることで、交換できる部材を認識しやすくすることも可能である。さらに、例えばヘッド保持部22の開閉扉32や、ヘッド保持部24の保持カバー68など、交換時に移動させる部材を、上記に記載した2種類の部材とは異なる色とすることで、交換時の作業を行いやすくすることも可能である。
【0091】
なお、上記に説明した実施の形態では、ヘッド保持部22の開閉扉32、ローラ保持部24の保持カバー68が各々閉じ位置に保持されていない状態を説明したが、ヘッド保持部22の開閉扉32、ローラ保持部24の保持カバー68のいずれか一方が、閉じ位置に保持されていない場合も、同様にして、蓋部15が閉じられたときに、閉じ位置へと回動して、閉じ位置に保持された状態となる。
【0092】
したがって、ヘッド保持部22に保持されるサーマルヘッド50の作動不良や、ローラ保持部24に保持される送込みローラ96及びプラテンローラ97による用紙の搬送不良の発生を防止することができる。
【0093】
上記に説明した実施の形態では、保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bがヘッド保持部22の規制片34の回動軌跡上から、保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bがヘッド保持部22の規制片36の回動軌跡上から各々退避したときに、ヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の押圧部44cが保持カバー68の被押圧面68aに、開閉扉32の係止部45の押圧部45cが保持カバー68の被押圧面68bに各々当接されるようにしている。しかしながら、ヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の押圧部44cが保持カバー68の被押圧面68aに、開閉扉32の係止部45の押圧部45cが保持カバー68の被押圧面68bに各々当接されるタイミングは、これに限定されるものではない。
【0094】
例えばヘッド保持部22の規制片34が保持カバー68の保持カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bに、ヘッド保持部22の規制片36が保持カバー68の保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bに当接されたときに、ヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の押圧部44cが保持カバー68の被押圧面68aに、開閉扉32の係止部45の押圧部45cが保持カバー68の被押圧面68bに各々当接されてもよい。この場合、ヘッド保持部22の規制片34及び規制片36とともに、ヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の押圧部44c及び係止部45の押圧部45cが保持カバー68を閉じ位置へと押圧する。
【0095】
また、保持カバー68を閉じ位置へと回動させる方法としては、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、ヘッド保持部22の規制片34が保護カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bを、規制片36が保持カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bを各々押圧するのではなく、ヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の押圧部44cが保持カバー68の被押圧面68aを、開閉扉32の係止部45の押圧部45cが保持カバー68の被押圧面68bを各々押圧して保持カバー68を閉じ位置へと回動させることも可能である。この場合、係止部44の押圧部44cは、ヘッド保持部22の規制片34が保護カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bに当接される前に、保持カバー68の被押圧面68aに当接される必要がある。同様にして、係止部45の押圧部45cは、ヘッド保持部22の規制片36が保護カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bに当接される前に、保持カバー68の被押圧面68bに当接される必要がある。
【0096】
また、ヘッド保持部22の開閉扉32の係止部44の押圧部44cが保持カバー68の被押圧面68aを、開閉扉32の係止部45の押圧部45cが保持カバー68の被押圧面68bを各々押圧する必要はなく、ヘッド保持部22の規制片34が保護カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bを、規制片36が保護カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bを各々押圧することで、保護カバー68の軸押さえ部89の位置決め突起89bをヘッド保持部22の規制片34の回動軌跡上から、保護カバー68の軸押さえ部90の位置決め突起90bをヘッド保持部22の規制片36の回動軌跡上から各々退避させた後、ヘッド保持部22の規制片34が保持カバー68の軸押さえ部89を、ヘッド保持部22の規制片36が軸押さえ部90を各々押圧して、保持カバー68を閉じ位置へと回動させることも可能である。
【0097】
<実施形態の総括>
本発明は、用紙に印字を行うサーマルヘッドに対向する位置に配置されるプラテンローラの保持構造及びプリンタに関する。
【0098】
例えば、従来のプリンタでは、サーマルヘッドの装着時に、サーマルヘッドの凹部をヘッドユニットに設けた凸部に嵌合させ、サーマルヘッドの上端に設けた溝にヘッドユニットに設けた爪を係合させた後、遮蔽部材を閉じる。遮蔽部材を閉じると、退避していたコネクタがサーマルヘッドに向けて移動して、サーマルヘッドの接続部がコネクタに差し込まれる構造となっている。しかしながら、遮蔽部材をしっかりと閉じずにカバーを閉じてしまうと、サーマルヘッドの接続部はコネクタに完全に差し込まれておらず、ヘッドユニットに対する給電が正常に行われない、また、サーマルヘッドの接続部とコネクタとの間でショートしてしまうなどの事象が発生する。
【0099】
また、従来のプリンタでは、インナーカバーは、裏面に設けたU字状の取付爪をプリンタのフレームの凹部に挿入する(圧入する)ことで、プリンタのフレームに取り付けられる構造となっている。しかしながら、インナーカバーの取付爪が、フレームの凹部にしっかりと圧入されていないと、インナーカバー近傍のコンポーネントがプリンタの内部に正しく装着できていないことになり、用紙の搬送や、サーマルヘッドによるの印字に支障をきたす。
【0100】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内部に設けられたカバー等がきちんと閉じられていない状態でプリンタのカバーを閉じたときに、カバー等を閉じた状態にして、プリンタ内部の構成部材が正しい位置に保持できる技術を提供するものである。
【0101】
上記の形態では、開閉時に回動される蓋部15を有するプリンタ10において、用紙の印字面に印字を行うサーマルヘッド50着脱用の開閉扉32を有するヘッド保持部22と、サーマルヘッド50による印字の際に前記用紙の印字面とは反対側の面を支持するプラテンローラ97着脱用の保持カバー68を有し、蓋部15が閉じられたときにヘッド保持部22の下方に配置されるローラ保持部24と、を含み、保持カバー68及び開閉扉32が閉じていない状態で、蓋部15が閉じられると、蓋部15の回動に合わせてヘッド保持部22がローラ保持部24の保持カバー68を押圧して保持カバー68を閉じた状態に保持されるとともに、ヘッド保持部22の開閉扉32が閉じた状態に保持される。
【0102】
これによれば、例えば送込みローラ96又はプラテンローラ97の交換時に、ローラ保持部24の保持カバー68が完全に閉じ位置まで回動されていない場合であっても、蓋部15を閉じるだけで、保持カバー68が閉じ位置に回動されて、閉じ位置に保持される。また、例えばサーマルヘッド50の交換時に、ヘッド保持部22の開閉扉32が完全に閉じ位置まで回動されていない場合であっても、蓋部15と閉じるだけで、開閉扉32が閉じ位置に回動されて、閉じ位置に保持される。その結果、内部のカバーを閉じ忘れた場合であっても、蓋部を閉じるだけで、各カバーを閉じることができる。
【0103】
また、ヘッド保持部22は、開閉扉32に連結シャフト33を介して取り付けられ、ローラ保持部24は、蓋部15が閉じられたときに連結シャフト33に係止される係止部72,73を有するものである。
【0104】
これによれば、ヘッド保持部22の開閉扉32、及びヘッド保持部22の保持カバー68が各々閉じ位置に保持された後に、蓋部15が閉じられる。したがって、蓋部15が閉じることで、ヘッド保持部22の開閉扉32、及びヘッド保持部22の保持カバー68を確実に、閉じ位置に保持することができる。
【0105】
また、蓋部15が閉じたときに、ローラ保持部24が有する係止部72,73が連結シャフト33に係止される構成とすることで、連結シャフト33を蓋部15とヘッド保持部とを連結する機能だけでなく、ローラ保持部24の係止部72,73を係止させる機能を兼用させることができる。
【0106】
また、ヘッド保持部22は、開閉扉32に設けられた係止部44,45と、開閉扉32が閉じたときに係止部44,45に係合される係合突起35,37を有し、閉じた開閉扉32との間でサーマルヘッド50を保持する本体31と、を有し、係止部44,45は、蓋部15が閉じられたときに保持カバー68を押圧して、保持カバー68を閉じるものである。
【0107】
これによれば、保持カバー68が閉じ位置に保持されていないときに蓋部15を閉じると、開閉扉32の係止部44,45に係合する係合突起35,37の押圧により、保持カバー68が閉じ位置に回動させることができる。
【0108】
また、開閉扉32は、閉じた保持カバー68に当接された状態で、蓋部15とともに回動する本体31との間で相対位置が変化し、係止部44が係合突起35に、係止部45が係合突起37に各々係合することで閉じた状態に保持される。
【0109】
これによれば、開閉扉32が閉じ位置にない場合には、保持カバー68を押圧した開閉扉32と本体31との相対位置が変化して、開閉扉32が閉じられ、閉じられた状態に保持される。その結果、ヘッド保持部22の開閉扉32が完全に閉じていない場合には、蓋部15と閉じるだけで、開閉扉32が閉じられ、サーマルヘッドが本体31と開閉扉32との間で保持され、サーマルヘッド50による用紙101への印字において、印字位置のずれの発生を防止することができる。
【0110】
また、ローラ保持部24は、保持カバー68に設けられた係止部93,94と、保持カバー68が閉じたときに係止部93,94に係合される開口79,80と、プラテンローラ97を支持する軸受部65a,66aと、保持カバー68に設けられ、保持カバー68が閉じたときに軸受部65a,66aに支持されたプラテンローラ97を押さえる軸押さえ部89,90と、を有し、保持カバー68は、係止部44,45に押圧されることで回動し、係止部93,94が開口79,80に係合して閉じた状態に保持される。
【0111】
これによれば、ローラ保持部24の保持カバー68を閉じずに蓋部15を閉じたとしても、保持カバー68が閉じられる。保持カバー68が閉じられることで、プラテンローラ97が側板65の軸受部65a,66aと保持カバー68の軸押さえ部89,90との間で確実に軸支される。その結果、用紙101の搬送時に、用紙101の搬送経路において、用紙詰まり(ジャム)の発生を抑止することができる。
【符号の説明】
【0112】
10…プリンタ
15…蓋部
16…プリンタ本体
22…ヘッド保持部
24…ローラ保持部
31…本体
32…開閉扉
35,37…係合突起
44,45…係止部
50…サーマルヘッド
67…連結板
68…保持カバー
96…送込みローラ
97…プラテンローラ
101…用紙