(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】組み立て収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/30 20060101AFI20240924BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20240924BHJP
B65D 5/20 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B65D5/30 A
B65D5/42 Z
B65D5/20 A
(21)【出願番号】P 2021215424
(22)【出願日】2021-12-29
【審査請求日】2024-01-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年3月8日、三栄工業株式会社に販売。 令和3年8月16日、トヨタ自動車株式会社に販売。
(73)【特許権者】
【識別番号】502215476
【氏名又は名称】豊田段ボール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【氏名又は名称】野村 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100161229
【氏名又は名称】加藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 智康
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-028015(JP,U)
【文献】実開昭51-033140(JP,U)
【文献】特開2014-133580(JP,A)
【文献】特開平11-310219(JP,A)
【文献】特開2001-058628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のブランクシートから組み立てられる組み立て収納箱であって、
前記ブランクシートは、
矩形状の底面部と、
前記底面部の対向する2辺それぞれに第1内折れ線を介して連接された一対の第1側面部と、
前記底面部の対向する他の2辺それぞれに第2内折れ線を介して連接された一対の第2側面部と、
前記一対の第1側面部それぞれの両側の端縁に第3内折れ線を介して連接された計4つの挿入片と、
前記一対の第2側面部それぞれの両側の端縁に第4内折れ線を介して連接された計4つのフラップと、
前記挿入片それぞれの上端縁に第5折れ線を介して連接された計4つの係合片と、
前記フラップそれぞれに形成された前記挿入片を挿入させる計4つの挿入孔と、
前記挿入孔に連続するように前記フラップそれぞれに形成された、前記係合片を差し込む計4つの係合孔と、を備え、
前記挿入孔の下部は、前記挿入片の下部が挿入しやすいように水平方向の長さが長くなっており、前記挿入孔の上部は、前記第1側面部と前記第2側面部をしっかり結合するように水平方向の長さが短くなっており、前記挿入孔の下部から前記挿入孔の上部にかけては、前記挿入片の上部を前記挿入孔の上部に誘導するように水平方向の長さが徐々に短くなっており、
前記第5折れ線で前記係合片を折り曲げた状態で前記係合片を前記係合孔に差し込み、その屈曲に対する反発により屈曲を伸ばすと、前記係合片の端縁と前記係合孔の開口縁とが係合し、前記係合孔から前記係合片が抜け止めされて、前記第1側面部と前記第2側面部とが閉止状態に保持されるようになっており、
前記係合孔は、前記係合片の曲げ角度が少なくとも90度から100度の状態において、前記係合片
を差し込め
るクリアランスを有し
、
前記一対の第2側面部それぞれには、前記第2側面部の外側から前記係合片を前記第5折れ線で折り曲げて前記係合片と前記係合孔の係合を解除できるように、成人男性の人差し指が容易に差し込める展開用孔が形成されており、
さらに、前記一対の第1側面部それぞれの上端縁に第6内折れ線を介して連接された一対の桟部と、
前記一対の第2側面部それぞれの上端縁に第7内折れ線を介して連接された一対の第2フラップと、
前記一対の桟部それぞれの両側の端縁に第8内折れ線を介して連接された計4つの第2挿入片と、
前記第2挿入片それぞれの上端縁に第9折れ線を介して連接された計4つの第2係合片と、
前記第2フラップそれぞれに形成された前記第2挿入片を挿入させる計4つの第2挿入孔と、
前記第2挿入孔に連続するように前記第2フラップそれぞれに形成された、前記第2係合片を差し込む計4つの第2係合孔と、を備え、
前記第9折れ線で前記第2係合片を折り曲げた状態で前記第2係合片を前記第2係合孔に差し込み、その屈曲に対する反発により屈曲を伸ばすと、第2係合片の端縁と第2係合孔の開口縁とが係合し、前記第2係合孔から前記第2係合片が抜け止めされて、前記桟部と前記第2フラップとが閉止状態に保持されるようになっており、
前記第2係合孔は、前記第2係合片の曲げ角度が少なくとも90度から100度の状態において、前記第2係合片を差し込めるクリアランスを有しており、
前記一対の第2側面部それぞれには、前記第2側面部の外側から前記第2係合片を前記第9折れ線で折り曲げて前記第2係合片と前記第2係合孔の係合を解除できるように、成人男性の人差し指が容易に差し込める第2展開用孔が形成されている、組み立て収納箱。
【請求項2】
プラスチック段ボール製で、前記第1側面部の中芯の目の方向が水平方向である請求項
1に記載の組み立て収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て式の収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば段ボール紙を所定の折り目に沿って折り曲げることで組み立てられる収納箱が用いられている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、組み立て収納箱の性質上、常により組み立てやすく、より展開しやすいものが求められてきた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単に組み立てられ、簡単に展開できる組立収納箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る組み立て収納箱は、
1枚のブランクシートから組み立てられる組み立て収納箱であって、
前記ブランクシートは、
矩形状の底面部と、
前記底面部の対向する2辺それぞれに第1内折れ線を介して連接された一対の第1側面部と、
前記底面部の対向する他の2辺それぞれに第2内折れ線を介して連接された一対の第2側面部と、
前記一対の第1側面部それぞれの両側の端縁に第3内折れ線を介して連接された計4つの挿入片と、
前記一対の第2側面部それぞれの両側の端縁に第4内折れ線を介して連接された計4つのフラップと、
前記挿入片それぞれの上端縁に第5折れ線を介して連接された計4つの係合片と、
前記フラップそれぞれに形成された前記挿入片を挿入させる計4つの挿入孔と、
前記挿入孔に連続するように前記フラップそれぞれに形成された、前記係合片を差し込む計4つの係合孔と、を備え、
前記挿入孔の下部は、前記挿入片の下部が挿入しやすいように水平方向の長さが長くなっており、前記挿入孔の上部は、前記第1側面部と前記第2側面部をしっかり結合するように水平方向の長さが短くなっており、前記挿入孔の下部から前記挿入孔の上部にかけては、前記挿入片の上部を前記挿入孔の上部に誘導するように水平方向の長さが徐々に短くなっており、
前記第5折れ線で前記係合片を折り曲げた状態で前記係合片を前記係合孔に差し込み、その屈曲に対する反発により屈曲を伸ばすと、前記係合片の端縁と前記係合孔の開口縁とが係合し、前記係合孔から前記係合片が抜け止めされて、前記第1側面部と前記第2側面部とが閉止状態に保持されるようになっており、
前記係合孔は、前記係合片の曲げ角度が少なくとも90度から100度の状態において、前記係合片をスムーズに差し込める十分なクリアランスを有していることを要旨とする。
【0007】
また、本発明に係る組み立て収納箱は、
前記一対の第2側面部それぞれには、前記第2側面部の外側から前記係合片を前記第5折れ線で折り曲げて前記係合片と前記係合孔の係合を解除できるように、成人男性の人差し指が容易に差し込める展開用孔が形成されているようにしてもよい。
【0008】
また、本発明に係る組み立て収納箱は、
さらに、前記一対の第1側面部それぞれの上端縁に第6内折れ線を介して連接された一対の桟部と、
前記一対の第2側面部それぞれの上端縁に第7内折れ線を介して連接された一対の第2フラップと、
前記一対の桟部それぞれの両側の端縁に第8内折れ線を介して連接された計4つの第2挿入片と、
前記第2挿入片それぞれの上端縁に第9折れ線を介して連接された計4つの第2係合片と、
前記第2フラップそれぞれに形成された前記第2挿入片を挿入させる計4つの第2挿入孔と、
前記第2挿入孔に連続するように前記第2フラップそれぞれに形成された、前記第2係合片を差し込む計4つの第2係合孔と、を備え、
前記第9折れ線で前記第2係合片を折り曲げた状態で前記第2係合片を前記第2係合孔に差し込み、その屈曲に対する反発により屈曲を伸ばすと、第2係合片の端縁と第2係合孔の開口縁とが係合し、前記第2係合孔から前記第2係合片が抜け止めされて、前記桟部と前記第2フラップとが閉止状態に保持されるようになっており、
前記第2係合孔は、前記第2係合片の曲げ角度が少なくとも90度から100度の状態において、前記第2係合片をスムーズに差し込める十分なクリアランスを有しており、
前記一対の第2側面部それぞれには、前記第2側面部の外側から前記第2係合片を前記第9折れ線で折り曲げて前記第2係合片と前記第2係合孔の係合を解除できるように、成人男性の人差し指が容易に差し込める第2展開用孔が形成されているようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る組み立て収納箱は、
プラスチック段ボール製で、前記第1側面部の中芯の目の方向が水平方向であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
不使用時にはシート状であり、簡単に組み立てられ、簡単に展開できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態である組み立て収納箱1を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の組み立て収納箱を具現化した実施形態について、図面を用いて説明するが、本発明の技術的範囲は、もちろんこれだけに限定されるものではない。なお、周知の技術に関しては、詳細な説明を省略する。また、本明細書中で特に断りなく組み立て収納箱について上方向又は下方向等という場合、
図1を正面視した状態においての上下方向を指すものとする。
【0013】
(実施形態)
まず、実施形態である組み立て収納箱1の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は本実施形態の組み立て収納箱1を示した説明図である。
図2は組み立て収納箱1を構成するブランクシートを示した説明図である。
【0014】
組み立て収納箱1は、1枚のブランクシート10によって構成される。ブランクシート10は、紙などのシートをプレス打ち抜き加工して得られたものである。本実施形態では、ブランクシート10の材質は、プラスチック段ボール(一般に「プラスチック段ボール」と称される樹脂製の段ボール構造板、以下、単に「プラスチック段ボール」という。)である。なお、本実施形態では、ブランクシート10の材質をプラスチック段ボールとしたが、段ボールでもよく、可撓性の薄板でもよい。
【0015】
ブランクシート10には、箱に組み立てたときに底面となる矩形状(本実施形態では長方形)の底面部20、底面部20の対向する2辺21,21に第1内折れ線23,23を介して連接され、箱に組み立てたときに側面となる一対の第1側面部30,30、底面部20の他の対向する2辺22,22に第2内折れ線24,24を介して連接され、箱に組み立てたときに側面となる一対の第2側面部40,40が設けられている。
【0016】
また、一対の第1側面部30,30それぞれの両側の端縁には、第3内折れ線31,31,31,31を介して挿入片50,50,50,50が連接形成されている。
また、一対の第2側面部40,40それぞれの両側の端縁には、第4内折れ線41,41,41,41を介してフラップ60,60,60,60が連接形成されている。
【0017】
また、挿入片50,50,50,50それぞれの上端縁には、第5折れ線51,51,51,51を介して係合片70,70,70,70が連接形成されている。
また、フラップ60,60,60,60それぞれには、挿入片50を挿入させる挿入孔80,80,80,80が形成されている。
【0018】
挿入孔80の下部は、挿入片50の下部が挿入しやすいように水平方向の長さが長くなっており、挿入孔80の上部は、第1側面部30と第2側面部40をしっかり結合するように水平方向の長さが短くなっており、挿入孔80の下部から挿入孔80の上部にかけては、挿入片50の上部を挿入孔80の上部に誘導するように水平方向の長さが徐々に短くなっている。
【0019】
ブランクシート10の構造上、挿入孔80に挿入片50を挿入しようとすると、挿入片50の下部が最初に挿入孔80に入る。そして、中間部、上部の順に入っていく。このため、挿入孔80の形状を上記のようにすることで、組み立てるときの作業性が格段によくなる。
【0020】
挿入孔80の下部の水平方向の長さは、少なくともブランクシート10の板厚の3倍以上が望ましい。本実施形態では、約4倍となっている。挿入孔80の上部の水平方向の長さはブランクシート10の板厚より、若干長めになっている。
【0021】
また、フラップ60,60,60,60それぞれには、挿入片50に連続するように係合片70を差し込む係合孔90,90,90,90が形成されている。
【0022】
第5折れ線51で係合片70を折り曲げた状態で係合片70を係合孔90に差し込み、その屈曲に対する反発により屈曲を伸ばすと、係合片70の端縁と係合孔90の開口縁とが係合し、係合孔90から係合片70が抜け止めされて、第1側面部30と第2側面部40とが閉止状態に保持されるようになっている。
【0023】
係合孔90,90,90,90は、係合片70の曲げ角度が少なくとも90度から100度の状態において、係合片70をスムーズに差し込める十分なクリアランスを有している。
【0024】
第2側面部40,40それぞれには、第2側面部40の外側から係合片70を第5折れ線51で折り曲げて、係合片70と係合孔90の係合を解除できるように、成人男性の人差し指が容易に差し込める展開用孔100,100,100,100が形成されている。
【0025】
また、第1側面部30,30それぞれの上端縁には、第6内折れ線36,36を介して桟部110,110が連接形成されている。
【0026】
また、第2側面部40,40それぞれの上端縁には、第7内折れ線46,46を介して第2フラップ120,120が連接形成されている。
【0027】
また、一対の桟部110,110それぞれの両側の端縁には、第8内折れ線111,111,111,111を介して第2挿入片130,130,130,130が連接形成されている。
【0028】
また、第2挿入片130,130,130,130それぞれの上端縁には、第9折れ線131,131,131,131を介して第2係合片140,140、140、140が連接形成されている。
【0029】
また、第2フラップ120,120それぞれには、第2挿入片130,130,130,130を挿入させる第2挿入孔150,150,150,150が形成されている。
【0030】
また、第2フラップ120,120それぞれには、第2挿入孔150,150,150,150に連続するように第2係合片140,140、140、140を差し込む第2係合孔160,160,160,160が形成されている。
【0031】
第9折れ線131で第2係合片140を折り曲げた状態で第2係合片140を第2係合孔160に差し込み、その屈曲に対する反発により屈曲を伸ばすと、第2係合片140の端縁と第2係合孔160の開口縁とが係合し、第2係合孔160から第2係合片140が抜け止めされて、桟部110と第2フラップ120とが閉止状態に保持されるようになっている。
【0032】
第2係合孔160,160,160,160は、第2係合片140の曲げ角度が少なくとも90度から100度の状態において、第2係合片140をスムーズに差し込める十分なクリアランスを有している。
【0033】
第2側面部40,40それぞれには、第2側面部40の外側から第2係合片140を第9折れ線131で折り曲げて、第2係合片140と第2係合孔160の係合を解除できるように、成人男性の人差し指が容易に差し込める第2展開用孔170,170,170,170が形成されている。
【0034】
組み立て収納箱1は、プラスチック段ボール製で、第1側面部30の中芯の目の方向が水平方向である。
【0035】
第1内折れ線23,23、第2内折れ線24,24、第3内折れ線31,31,31,31、第4内折れ線41,41,41,41、第5折れ線51,51,51,51、第6内折れ線36,36、第7内折れ線46,46、第8内折れ線111,111,111,111、第9折れ線131,131,131,131は、リード罫線で構成されている。
【0036】
罫線とは、段ボール板を箱などの立体的な形状に組み立てる際に綺麗に折り曲がるように、対象の位置に加工する段を潰した折線のことである。リード罫線とは、スジ押しと切込みを交互に入れて折り易くしたものである。
【符号の説明】
【0037】
1 組み立て収納箱
10 ブランクシート
20 底面部 21 対向する2辺 22 他の対向する2辺
23 第1内折れ線 24 第2内折れ線
30 第1側面部 31 第3内折れ線 36 第6内折れ線
40 第2側面部 41 第4内折れ線 46 第7内折れ線
50 挿入片 51 第5折れ線
60 フラップ
70 係合片
80 挿入孔
90 係合孔
100 展開用孔
110 桟部 111 第8内折れ線
120 第2フラップ
130 第2挿入片 131 第9折れ線
140 第2係合片
150 第2挿入孔
160 第2係合孔
170 第2展開用孔