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特許7558594ガラクトースを含有する免疫過敏疾病の予防、改善、または治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ガラクトースを含有する免疫過敏疾病の予防、改善、または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20240924BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240924BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20240924BHJP
【FI】
A61K31/7004
A61P37/06
A61P37/08
A61P17/00
A61P43/00 111
A23L33/125
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023524411
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2021009326
(87)【国際公開番号】W WO2022092495
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140404
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517241097
【氏名又は名称】クオルム バイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Quorum Bio Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】501-1, Saengchaedong, Seoul National University School of Dentistry, 101, Daehak-ro, Jongno-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘ ユン
(72)【発明者】
【氏名】リュ ユンジュ
(72)【発明者】
【氏名】シム ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】シム ジュン
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-109419(JP,A)
【文献】特表2022-538561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A23L 33/00-33/29
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトースを有効成分として含む、免疫過敏疾病の予防または治療用薬学組成物であって、
前記薬学組成物は経口投与用であり、前記免疫過敏疾病はアトピー症候群である、薬学組成物
【請求項2】
ガラクトースを含む、免疫過敏疾病の予防または改善用健康機能食品であって、
前記免疫過敏疾病はアトピー症候群である、健康機能食品
【請求項3】
ガラクトースを含む、アトピー症候群の対象における免疫グロブリンE減少させるための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラクトースを含有する免疫過敏疾病の予防および/または緩和および/または治療用途に関し、具体的には、ガラクトースを含むアトピー性皮膚炎などの免疫過敏疾病の予防、改善、および/または治療用薬学組成物および健康機能食品を提供する。
【背景技術】
【0002】
アトピー性皮膚炎は21世紀の現代人の難病の一つである。小児期に最もよく見られるこの疾病は慢性的に再発して強いかゆみを伴う疾患である。韓国の疾病管理本部の資料によれば、アトピー性皮膚炎は持続的に増加する傾向にあり、特に小児青少年における有病率が高く、成人期疾患に移行する可能性が高いことが示されている。現在のアトピー性皮膚炎に対する治療戦略としては保湿管理が優先され、悪化が誘発されると局所抗炎症剤を一時的に使用することが一般的である。しかし、一部の患者からは重度のかゆみを訴えて広範囲な皮膚病変が現れることもあり、抗炎症剤の持続的な使用による副作用が報告されている。
【0003】
一般にアトピー性皮膚炎治療剤として抗ヒスタミン剤、ステロイド剤(コルチゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン注射および軟膏など)、保湿剤などが使用されているが、効果的ではない。特に、ステロイド剤の場合、毛細血管が拡張され、皮膚層が薄くなり、より重度の過敏反応を示し、さらにステロイド剤の適用を中断した場合、ステロイドリバウンドというより重度の症状を示す。
【0004】
したがって、アトピー性皮膚炎のような炎症性皮膚疾患に対して効果的でかつ副作用が少ない治療剤の開発が求められる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書ではガラクトースの免疫グロブリンEの減少用途、および免疫過敏疾病の予防および/または治療および/または改善用途が提供される。
【0006】
一例はガラクトースを含む免疫過敏疾病の予防および/または治療用薬学組成物を提供する。上記薬学組成物は経口投与用であり得る。
【0007】
他の例はガラクトースを含む免疫過敏疾病の予防および/または改善用健康機能食品を提供する。
【0008】
他の例はガラクトースを含む免疫過敏疾病の予防および/または改善用化粧料組成物を提供する。
【0009】
他の例はガラクトースを免疫過敏疾病の予防および/または治療を必要とする対象に投与する段階を含む、免疫過敏疾病の予防および/または治療方法を提供する。上記方法は、上記投与する段階の前に、免疫過敏疾病の予防および/または治療を必要とする対象を確認する段階をさらに含むことができる。
【0010】
他の例はガラクトースの免疫過敏疾病の予防、治療、および/または改善に使用するための用途または免疫過敏疾病の予防、治療、および/または改善のための薬学組成物、健康機能性食品、および/または化粧料組成物の製造に使用するための用途を提供する。
【0011】
他の例はガラクトースを含む免疫グロブリンE減少用組成物が提供される。上記組成物は経口投与形態であり得る。上記組成物は薬学組成物、健康機能食品、または化粧料組成物として適用することができる。他の例はガラクトースを免疫グロブリンEの減少を必要とする対象に投与する段階を含む、免疫グロブリンEの減少方法を提供する。上記方法は、上記投与する段階の前に、免疫グロブリンEの減少を必要とする対象を確認する段階をさらに含むことができる。
【0012】
他の例はガラクトースの免疫グロブリンEの減少に使用するための用途または免疫グロブリンEの減少のための薬学組成物、健康機能性食品、および/または化粧料組成物の製造に使用するための用途を提供する。
【0013】
本明細書はガラクトースのアトピー性皮膚炎治療/改善、脾臓およびリンパ節減少、および血中の免疫グロブリンEの減少効果を確認して、ガラクトースの免疫グロブリンE減少用途、および免疫過敏疾病の予防および/または治療および/または改善用途を提案する。
【0014】
一例はガラクトースを有効成分として含む免疫過敏疾病の予防および/または治療用薬学組成物を提供する。上記薬学組成物は経口投与用であり得る。
【0015】
他の例はガラクトースを有効成分として含む免疫過敏疾病の予防および/または改善用健康機能食品を提供する。
【0016】
他の例はガラクトースを有効成分として含む免疫過敏疾病の予防および/または改善用化粧料組成物を提供する。
【0017】
他の例はガラクトースの薬学的有効量を免疫過敏疾病の予防および/または治療を必要とする対象に投与する段階を含む、免疫過敏疾病の予防および/または治療方法を提供する。上記方法は、上記投与する段階の前に、免疫過敏疾病の予防および/または治療を必要とする対象を確認する段階をさらに含み得る。
【0018】
他の例はガラクトースの免疫過敏疾病の予防、治療、および/または改善に使用するための用途または免疫過敏疾病の予防、治療、および/または改善のための薬学組成物、健康機能性食品、および/または化粧料組成物の製造に使用するための用途を提供する。
【0019】
他の例はガラクトースを有効成分として含む免疫グロブリンE減少用組成物が提供される。上記組成物は経口投与形態であり得る。上記組成物は薬学組成物、健康機能食品、または化粧料組成物として適用し得る。他の例はガラクトースの薬学的有効量を免疫グロブリンEの減少を必要とする対象に投与する段階を含む、免疫グロブリンEの減少方法を提供する。上記方法は、上記投与する段階の前に、免疫グロブリンEの減少を必要とする対象を確認する段階をさらに含み得る。
【0020】
他の例はガラクトースの免疫グロブリンEの減少に使用するための用途または免疫グロブリンEの減少のための薬学組成物、健康機能性食品、および/または化粧料組成物の製造に使用するための用途を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書においては、「免疫過敏疾病」は抗原に対する過剰な免疫反応によって誘発される疾病を意味し、免疫グロブリン、例えば、免疫グロブリンEが関与する体液性免疫過敏反応および/またはTリンパ球と大食細胞が関与する細胞媒介免疫過敏と関連反応によって誘発される疾病、例えば各種過敏症、自己免疫疾患などを包括するものであり得る。一例で、免疫過敏疾病は、免疫グロブリンEと関連する過敏症、脾腫、リンパ節腫大症、またはこれと関連する疾病であり得る。例えば、免疫過敏疾病は、アトピー症候群(例えば、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、喘息など)、各種アレルギー(例えば、アレルギー性皮膚炎)、過敏症(anaphylaxis)、高免疫グロブリンE症候群、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、リウマチ関節炎、乾癬など)、脾腫(enlarged spleen)、リンパ節腫大症(enlarged lymph node)などからなる群より選ばれた1種以上であり得るが、これに制限されるものではない。一具体例で、免疫過敏疾病はアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎(アレルゲン露出時の皮膚過敏反応)などであり得る。
【0022】
本明細書で、「ガラクトース(galactose)」は、6個の炭素原子が含まれた単糖類であって、アルデヒド基を有しているアルドースであり、化学式はC12である。ガラクトースとグルコースは4番炭素(C4)で立体化学的性質が異なるエピマーである。本明細書で使用されるガラクトースはD-ガラクトースであり得、オリゴマー化およびポリマー化されていないモノマー形態であり得る。
【0023】
本明細書で、「治療」は疾患の範囲の減少、疾患進行の遅延または緩和、疾患状態または症状の改善、軽減、安定化、除去、部分的または完全な回復、生存の延長、その他異なる有用な治療結果などをすべて含む意味で使用されることができる。「予防」は特定の疾病を有しない対象に作用して特定の疾病が発病しないようにするか、その発病時期を遅らせるすべての機作および/または効果を含む意味で使用することができる。
【0024】
本明細書で提供される薬学組成物または健康機能食品の投与対象は、ヒト、犬、猫、馬、牛、豚、ヤギ、ウサギ、マウス、ラットなどを含む哺乳動物またはこれから分離した細胞、組織、またはその培養物であり得、一例で対象は先立って説明したような免疫過敏疾病(例えば、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎など)の予防または治療を必要とするか免疫過敏疾病を有する個体(ヒトなどの哺乳動物)またはこれから分離した細胞、組織、またはその培養物であり得る。投与方式は通常使用されるすべての方式であり得、例えば、経口投与、または経皮投与(例えば、皮膚に塗布)、静脈投与、筋肉投与、皮下投与、腹腔内投与のような非経口投与であり得、特に経口投与によって投与されることができる。薬学組成物は通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エーロゾルなどの経口型剤形などに剤形化して使用することができる。
【0025】
上記薬学組成物はそれぞれ通常の方法によって、経皮剤、坐剤、滅菌注射溶液の形態の非経口剤形、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エーロゾルなどの経口型剤形などに剤形化して使用することができる。一例で、薬学的組成物は経皮投与用に剤形化されたもの(経皮剤)であり得、例えば、軟膏、ペースト、クリーム、ゲル、エマルジョン(ローション)、溶液、懸濁液、パウダー、パッチ、フォーム、スプレー、オイル、または固形製剤などのように皮膚外用に適するように剤形化されたものであり得る。
【0026】
本明細書で提供される薬学組成物は、有効成分としてガラクトースの他に薬剤学的に適し、生理学的に許される担体、賦形剤、および/または希釈剤などの補助剤を追加で含有するものであり得る。上記担体、賦形剤、または希釈剤の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油などからなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。製剤化する場合は、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などからなる群より選ばれた1種以上の希釈剤または賦形剤を使用することができる。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、粉末剤、懸濁剤などからなる群より選ばれた1種以上が含まれ、このような固形製剤はガラクトースに少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、カルシウムカーボネート、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどからなる群より選ばれた1種以上を混ぜて調製されることができる。また、単純な賦形剤の他にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤としては懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などからなる群より選ばれた1種以上が該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などからなる群より選ばれた1種以上が含まれ得る。
【0027】
本明細書で提供される薬学組成物または有効成分としてのガラクトースは薬学的有効量で投与されることができる。上記薬学的組成物または有効成分としてのガラクトースの投与量は製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与間隔、投与経路、排泄速度および反応感応性のような要因によって多様に処方することができる。投与容量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態および疾患程度によって変わり、医師または薬剤師の判断により一定時間の間隔で1回ないし数回分割投与することもできる。例えば、薬学組成物の1回または1日投与量は、有効成分(ガラクトース)重量を基準として、0.001~10000mg/kg、具体的には、0.01~10000mg/kg、0.01~5000mg/kg、0.01~3000mg/kg、0.01~2500mg/kg、0.01~2000mg/kg、0.01~1500mg/kg、0.01~1000mg/kg、0.01~500mg/kg、0.01~300mg/kg、0.01~200mg/kg、0.1~10000mg/kg、0.1~5000mg/kg、0.1~3000mg/kg、0.1~2500mg/kg、0.1~2000mg/kg、0.1~1500mg/kg、0.1~1000mg/kg、0.1~500mg/kg、0.1~300mg/kg、0.1~200mg/kg、1~10000mg/kg、1~5000mg/kg、1~3000mg/kg、1~2500mg/kg、1~2000mg/kg、1~1500mg/kg、1~1000mg/kg、1~500mg/kg、1~300mg/kg、1~200mg/kg,10~10000mg/kg、10~5000mg/kg、10~3000mg/kg、10~2500mg/kg、10~2000mg/kg、10~1500mg/kg、10~1000mg/kg、10~500mg/kg、10~300mg/kg、10~200mg/kg、30~10000mg/kg、30~5000mg/kg、30~3000mg/kg、30~2500mg/kg、30~2000mg/kg、30~1500mg/kg、30~1000mg/kg、30~500mg/kg、30~300mg/kg、30~200mg/kg、50~10000mg/kg、50~5000mg/kg、50~3000mg/kg、50~2500mg/kg、50~2000mg/kg、50~1500mg/kg、50~1000mg/kg、50~500mg/kg、50~300mg/kg、または50~200mg/kg範囲であり得るが、これに制限されるものではない。1回または1日投与量は、単位容量形態で一つの製剤に製剤化されるか、適切に分量して製剤化されるか、多用量容器内に入れて製造することができる。上記した投与量は平均的な場合を例示したものであり、個人的な差に応じてその投与量は高いか低い。
【0028】
本明細書で提供される薬学的組成物または健康機能食品に含有されたガラクトースの含有量は、薬物または食品の形態、所望する用途などに応じて適宜調整されるが、特に制限されず、例えば、全体健康機能食品重量の0.001~99重量%、0.01~99重量%、0.01~95重量%、0.01~90重量%、0.01~80重量%、0.01~50重量%、0.1~99重量%、0.1~95重量%、0.1~90重量%、0.1~80重量%、0.1~50重量%、1~99重量%、1~95重量%、1~90重量%、1~80重量%、1~50重量%、10~99重量%、10~95重量%、10~90重量%、10~80重量%、10~50重量%、25~99重量%、25~95重量%、25~90重量%、25~80重量%、25~50重量%、40~99重量%、40~95重量%、40~90重量%、40~80重量%、40~50重量%、50~99重量%、50~95重量%、50~90重量%、50~80重量%、60~99重量%、60~95重量%、60~90重量%、または60~80重量%であり得る。
【0029】
上記健康機能食品は日常食生活で不足しがちな栄養素や人体に有用な機能を有する原料(以下、「機能性原料」)を用いて製造した食品であって、健康の維持、所定の疾病または症状の予防および/または改善(緩和)に役立つすべての食品を意味し、最終製品形態は特に制限されない。例えば、上記健康機能食品は通常の各種食品、食品補助剤、飲料、食品添加剤などからなる群より選択されるが、これに制限されるものではない。上記健康機能食品は固形、半固形、または液体形態であり得、具体的に散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エーロゾルなどに剤形化されたものであり得るが、これに制限されるものではない。
【0030】
上記健康機能食品は様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤または天然風味剤などの風味剤、着色剤、エクステンダー(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸またはその塩、アルギン酸またはその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などからなる群より選ばれた1種以上を追加で含有することができる。このような添加剤の比率は全体健康機能性食品100重量部当たり0.001~約20重量部の範囲から選択されることが一般的であるが、これに制限されるものではない。
【0031】
上記化粧料組成物はアトピー症候群(例えば、アトピー性皮膚炎)、皮膚アレルギー性皮膚炎などの予防および/または改善のためのものであり得る。
【0032】
上記化粧料組成物は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、日焼け止めクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤-含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ、スプレーなどからなる群より選ばれた剤形に製造できるが、これに制限されるものではない。
【0033】
また、上記化粧料組成物は一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容可能な担体の1種以上を追加で含み得、例えば、上記担体は乳分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などからなる群より選ばれた1種以上を適宜配合したものであり得るが、これに制限されるものではない。
【0034】
上記化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容可能な担体は剤形によって適宜選択することができる。上記剤形が軟膏、ペースト、クリームまたはゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛、またはこれらの混合物が用いられる。上記剤形がパウダーまたはスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、ポリアミドパウダー、またはこれらのうち2以上の混合物が用いられ、特にスプレーである場合は追加的にクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含むことができる。上記剤形が溶液または乳濁液である場合は、担体成分として溶媒、溶解化剤および/または乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、またはこれらのうち2以上の混合物が用いられ、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚種子油、オリーブ油、ヒマシ油およびごま油、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらのうち2以上の混合物が用いられる。上記剤形が懸濁液である場合は、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールなどのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルなどのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー、トラガント、またはこれらのうち2以上の混合物が用いられる。上記剤形が石鹸である場合は担体成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質ヒドロリゼート、イセチオネート、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセロール、糖、またはこれらのうち2以上の混合物が用いられる。
【0035】
以上、調べた通り、本明細書で提供されるガラクトースは、脾臓およびリンパ節減少、および血中免疫グロブリンEの減少効果に優れ、アトピー性皮膚炎をはじめとする多様な免疫過敏疾病の予防、治療、および/または改善に効果的に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】参考例1での実験動物の準備日程を示す。
図2】DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルにおける試験薬物投与時の病変の様子を陰性対照群(PBS投与群;G3)と比較して示す写真である。
図3】DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルにおける試験薬物投与時の耳の厚さの測定結果を陰性対照群(PBS投与群;G3)と比較して示すグラフである。
図4】DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルにおける試験薬物投与時のclinical scoring結果を陰性対照群(PBS投与群;G3)と比較して示すグラフである。
図5】DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルにおける試験薬物投与時の脾臓重量を陰性対照群(PBS投与群;G3)と比較して示すグラフである。
図6】DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルにおける試験薬物投与時のリンパ節重量を陰性対照群(PBS投与群;G3)と比較して示すグラフである。
図7】DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルにおける試験薬物投与時の血清内IgE総量を陰性対照群(PBS投与群;G3)と比較して示すグラフである。
【実施例
【0037】
以下、本発明を次の実施例によってより具体的に説明する。しかし、これらは本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0038】
参考例1.試験動物の準備
下記実施例での動物実験は湿度50±5%および温度24~26℃を維持する環境で全南大学校IACUCで定めた規定に従って行った。試験動物として飼育された7週齢の雄BALB/c mouse(ダムルサイエンス(株))を使用し、飼料と水を十分に供給しながら1週間実験室環境で適応させた後に実験に使用した。敷きわらはアレルギーを誘発せず、ホコリがなく、毒性がなく、吸水性があり、病原体がないものを使用し、ケージは清潔な環境を維持するために一週間に一度交換し、水はボトルから自由に給水した。
【0039】
準備されたマウスが8週齢になる期間から2週間ガラクトースを事前投与した。事前投与は2週間毎日1回経口投与して行い、1回当たりのガラクトース投与量は100mg/kgまたは200mg/kgとした。対照群として、PBSを同じ期間の間投与(経口)したマウスを準備した。2週間事前投与後、クリッパーと除毛クリームを用いてマウスの頭および背中の毛を除去した。
【0040】
アトピー性皮膚炎を誘導するために、2,4-ジニトロクロロベンゼン(2,4-Dinitrochlorobenzene)(以下「DNCB」;Sigma-aldrich)を溶媒(アセトン:オリーブオイル=3:1(v:v))に溶かして使用した。上記DNCBの濃度は感作(Sensitization)時1.5%(w/v)で使用し、誘発(Challenge)時0.4%(w/v)で使用した。上記濃度のDNCB溶液を準備されたマウスに一週間に2回マウスの背中と耳にそれぞれ200ul、50ulずつ塗ってアトピー性皮膚炎を誘発した。合計2回の感作と3回の誘発を行った。これによりDNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルを準備した。
【0041】
ガラクトースは最初のDNCB適用時(0日目)から16日間毎日100mg/kgまたは200mg/kgの量で経口投与した。比較のために、アトピー性皮膚炎が誘発されたマウスにガラクトースの代わりにPBSを投与した陰性対照群とデキサメタゾン5mg/kgを最初のDNCB適用時(0日目)から腹腔投与した陽性対照群を準備した。最初のDNCB適用時から16日になる日(剖検直前)にマウスの耳の厚さと臨床症状を測定した。
【0042】
上記で準備された実験動物を下記の表1に整理した。
【0043】
【表1】
【0044】
参考例2.実験方法
(1)臨床症状の評価及び耳の厚さの測定
参考例1で準備したマウスは週3回(月、水、金)に臨床症状(発赤、角質形成(乾燥程度)、痂皮形成)を評価し、耳の厚さを測定した後に記録した。耳の厚さはカリパス(R12-1A、日本国、東京、Ozaki社)を用いて週3回測定した。
【0045】
(2)血液分析
剖検時(最初のDNCB適用時から16日目)に全血を採取した後に、血清を分離してELISAにより血清内のIgE水準を測定した。
【0046】
(3)組織病理学的分析
剖検時に皮膚組織と耳をホルマリン固定して、固定された組織を用いてパラフィン包埋を製作し、H&E染色およびトルイジンブルー染色によりマスト細胞を染色した。また、光学顕微鏡により組織学的観察を行った。
【0047】
実施例1.アトピー性皮膚炎の肉眼確認
参考例1で準備さしたマウスの剖検前日に、マウスの全体的なアトピー反応を確認するために、DNCBが適用された部位(アトピー性皮膚炎誘発部位)の写真を撮った。
【0048】
得られた結果を図2に示した(各群当たりn=2)。図2に示すように、DNCB処理したマウス(G3,G4,G5,G6)で皮膚の発赤、痂皮形成、角質形成などの皮膚炎症病変が観察され、DNCB処理群では、陰性対照群(G3)に比べて、ガラクトース(G)を経口投与した群(G5,G6)で皮膚の発赤程度が抑制され、痂皮形成程度が減少した。
【0049】
実施例2.マウスの耳の厚さの測定
DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルで耳にDNCBを処理したとき、浮腫および発赤などの炎症症状により耳の厚さが増加するので、本実施例では耳の厚さを測定することによってアトピー性皮膚炎の症状程度を間接的に評価することができる(耳の厚さが厚いほどアトピー性皮膚炎症状が重い)。
【0050】
参考例2の(1)を参照して、参考例1で準備されたマウスの耳の厚さを測定して、その結果を図3に示した。図3に示すように、DNCBを処理したマウス群ではそうではない群に比べて耳の厚さが増加することを観察し、陰性対照群(G3)に比べて、ガラクトースを投与した群(G5,G6)で耳の厚さが顕著に減少したことを確認することができる。
【0051】
実施例3.アトピー性皮膚炎の臨床症状の評価
DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルで皮膚にDNCBを処理したとき、アトピー性皮膚炎の臨床症状として発赤、痂皮形成、角質形成などの皮膚炎症症状が増加することが知られているので、本実施例では臨床症状としてDNCB適用部位の発赤、痂皮形成、角質形成を評価してアトピー性皮膚炎の保護効果を間接的に評価した。
【0052】
参考例1で準備したマウスについて上記三つの項目(発赤、角質形成(乾燥)、痂皮形成)の臨床症状を、次を基準として点数化した:0点:無し、1点:軽傷、2点:中傷、3点:重傷)。
【0053】
得られた結果(臨床スコア、三つの項目の点数の合計)を図4に示した。図4に示すように、DNCBを処理したマウス群ではそうではない群に比べて皮膚の臨床スコアが増加し、陰性対照群(G3)に比べて、ガラクトース投与群(G5,G6)で有意的に臨床スコアが減少したことを確認することができる。
【0054】
実施例4.脾臓およびリンパ節重量の測定
DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルで皮膚にDNCBを処理したとき、免疫臓器である脾臓とリンパ節が肥大化することが知られている。本実施例では参考例1で準備したマウスの剖検直前に脾臓と腋窩リンパ節の重量を測定してアトピー性皮膚炎の保護効果を間接的に評価した。
【0055】
得られた結果を図5(脾臓重量)および図6(リンパ節重量)に示した。図5および図6に示すように、DNCBを処理したマウス群ではそうではない群に比べて脾臓およびリンパ節の重量が増加し、陰性対照群(G3)に比べて、ガラクトース投与群(G5,G6)で脾臓およびリンパ節の重量が概ね減少したことを確認することができる。
【0056】
実施例5.マウス血清内の免疫グロブリンE(IgE)の総量
DNCB誘導アトピー性皮膚炎マウスモデルで皮膚にDNCBを処理したとき、血清内のIgE総量が増加するので、本実施例では参考例1で準備したマウスの剖検直前に血液を採取した後、血清を分離してELISA技法により血清内のIgE総量(ug/ml)を評価してアトピー性皮膚炎の保護効果を間接的に評価した。
【0057】
得られた結果を図7に示した。図7に示すように、DNCBを処理したマウス群ではそうではない群に比べて血清内IgEの数値が増加し、陰性対照群(G3)に比べてガラクトース投与群(G6)でIgE総量が顕著に減少したことを確認することができる。
【0058】
以上のように、アトピー誘導マウスモデルでガラクトースの経口投与は臨床症状(発赤、角質、痂皮形成など)および耳の厚さの変化、皮膚に対する肉眼所見、リンパ節の大きさおよび血清IgE水準などの指標でアトピー症状緩和を誘導すると評価した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7