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特許7558595マルチアンテナ構造体並びに、これを備えた電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】マルチアンテナ構造体並びに、これを備えた電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20240924BHJP
   H01Q 9/28 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H01Q1/52
H01Q9/28
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2023527536
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2022015901
(87)【国際公開番号】W WO2022259729
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2021095887
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504300228
【氏名又は名称】FXC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷輪 重之
(72)【発明者】
【氏名】亀野 昌志
(72)【発明者】
【氏名】中島 哲夫
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0021028(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106876983(CN,A)
【文献】特開2011-176430(JP,A)
【文献】国際公開第2009/025040(WO,A1)
【文献】特開2006-262355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/52
H01Q 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部材が薄板状(薄膜状を含む。以下同じ。)のアンテナであって、
信号が供給され又は信号を受給する導電部材である直流的に相互に絶縁された二以上の給電部材と、
給電部材と対となって電磁波の送受信をするために接地される導電部材である接地部材と、が略一列に並べられ、
少なくとも一の給電部材と、他の給電部材との間に両給電部材の接地部材が配置されたマルチアンテナ構造体。
【請求項2】
前記略一列に並べられた導電部材は、略同一平面に並べられている請求項1に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項3】
前記導電部材は、少なくともコの字状形態、又はUの字状形態を含む請求項1又は請求項2に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項4】
前記導電部材は、絶縁基板上に配置された請求項1から請求項3のいずれか一に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項5】
絶縁基板上に配置された導電部材の表面に絶縁被覆層が配置されている請求項1から請求項4のいずれか一に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項6】
前記複数の給電部材は、お互いに全長が異なる請求項1から請求項5に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項7】
前記一の給電部材と、他の給電部材に給電される信号の周波数は異なる周波数帯の信号である請求項1から請求項6のいずれか一に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項8】
前記接地部材は、並べられている略同一平面内では直流的に絶縁されている複数の部材から構成されている請求項2及び請求項2に従属する請求項3から請求項7のいずれか一に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項9】
前記接地部材を構成する複数の部材は、略同一平面内では前記給電される信号の周波数帯では相互に交流的に絶縁されている請求項8に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載のマルチアンテナ構造体を有する電子機器。
【請求項11】
少なくとも平面である内壁を有するとともに、その内壁に沿って請求項1から請求項9のいずれか一に記載のマルチアンテナ構造体が配置された請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記複数の接地部材のための接地線は、抵抗を介して接続されている請求項10又は請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
請求項1から請求項9のいずれか一に記載のマルチアンテナ構造体を一以上備えた請求項10から請求項12のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項14】
チップタイプのアンテナ構造体であるチップタイプアンテナ構造体を一以上さらに備えた請求項10から請求項13のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項15】
設置環境に応じて活性化するアンテナ構造体を選択するアンテナ構造体選択回路をさらに有する請求項13又は請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
アンテナ構造体が使用する周波数帯に干渉する周波数の電波を監視するための監視アンテナをさらに有する請求項10から請求項15のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項17】
マルチアンテナ構造体の使用電波周波数帯を複数のチャンネルに分割して信号処理をするマルチチャンネル分割処理部と、監視アンテナの監視結果に応じて前記マルチチャンネル分割処理部を制御して使用チャンネルを変更するチャンネル制御部をさらに有する請求項16に記載の電子機器。
【請求項18】
ルータ回路をさらに有する請求項10から請求項17のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項19】
電話回線接続端子をさらに有する請求項10から請求項18のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項20】
設置環境に応じて活性化するアンテナ構造体をアンテナ構造体選択回路によって選択する請求項15に記載の電子機器の動作方法。
【請求項21】
監視アンテナによって、アンテナ構造体が使用する周波数帯に干渉する周波数帯の電波を監視する請求項16に記載の電子機器の動作方法。
【請求項22】
監視アンテナの監視結果に応じてチャンネル制御部により前記マルチチャンネル分割処理部を制御して使用チャンネルを変更する請求項17に記載の電子機器の動作方法。
【請求項23】
給電部材、接地部材ともに一筆書き形状である請求項1から9のいずれか一に記載の マルチアンテナ構造体。
【請求項24】
給電部材と接地部材との隣接領域では絶縁空間をへだてて互いに平行端部で隣接する請求項23に記載のマルチアンテナ構造体。
【請求項25】
PoE受電部をさらに有する請求項10から請求項19のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項26】
周辺の電波強度を示す情報又は/及びその電波の使用チャンネルを示す情報であるサイトサーベイ情報を取得するサイトサーベイ情報取得部と、
取得したサイトサーベイ情報を出力するサイトサーベイ情報出力部と、
をさらに有する請求項10から請求項19,請求項25のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項27】
出力されたサイトサーベイ情報に基づいて電波強度を調整するための電波強度調整部をさらに有する請求項26に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、住居や職場やホテルや公共施設等の建物内に設けられた情報コンセント(Ethernet wall jack)に取り付けて無線LAN環境を提供する情報コンセント型無線LANルータに用いられるアンテナ構造体並びに、これを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したような電子機器である情報コンセント型無線LANルータとしては、 例えば、特許文献1に記載されたがものある。
【0003】
この情報コンセント型無線LANルータは、無線LAN用のアンテナを構成する2つの給電部材(導電部材)を箱状のケーシングに内蔵しており、二つの給電部材は、無線LANの周波数帯域が互いに異なっている。例えば、一方は2.4GHz帯用であり、他方は5GHz帯用である。これらの導電部材である給電部材はいずれも薄板状をなしており、相互の干渉を少なく抑えるためにケーシングの互いに対向する平面である内壁に配置されている。
【0004】
このような情報コンセント型無線LANルータでは、建物内の広い範囲において、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル通信端末を用いた無線LAN環境を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5894635号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した情報コンセント型無線LANルータを取り付けて使用する情報コンセントは、電源コンセントに隣接して設置されている場合が多い。このような場合には、ケーシング内において互いに対向する内壁に配置されている二つの給電部材のうちの一方の給電部材が、電源コンセントに取り付けられる電源アダプタの金属部材や電源コンセント自体に用いられる金属部材の近傍に位置することとなる。
【0007】
つまり、従来の情報コンセント型無線LANルータでは、二つの給電部材のうちの一方の給電部材が傍にある金属部材による外乱を受けて、電波感度が落ちてしまうことがあるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっている。
【0008】
本発明は、上記した従来の課題を解決するためになされたものであり、二つの給電部材の相互の干渉を少なく抑えたうえで、例えば、電子機器である情報コンセント型無線LANルータに採用した場合において、近傍に電源コンセント等の金属部材があったとしても、この金属部材による外乱を受けることなく安定した電波感度を得ることができるマルチアンテナ構造体並びにこれを備えた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のマルチアンテナ構造体を備えた電子機器を提供する。
すなわち、本発明の第一の態様は、導電部材が薄板状のアンテナであって、信号が供給され又は信号を受給する導電部材である直流的に相互に絶縁された二以上の給電部材と、給電部材と対となって電磁波の送受信をするために接地される導電部材である接地部材と、が略一列に並べられ、少なくとも一の給電部材と、他の給電部材との間に両給電部材の接地部材が配置された構成としている。
【0010】
また、本発明の第二の態様において、前記略一列に並べられた導電部材は、略同一平面に並べられている構成としている。
【0011】
さらに、本発明の第三の態様において、前記導電部材は、少なくともコの字状形態、又はUの字状形態を含む構成としている。
【0012】
さらにまた、本発明の第四の態様において、前記導電部材は、絶縁基板上に配置された構成としている。
【0013】
さらにまた、本発明の第五の態様は、絶縁基板上に配置された導電部材の表面に絶縁被覆層が配置されている構成としている。
【0014】
さらにまた、本発明の第六の態様において、前記複数の給電部材は、お互いに全長が異なる構成としている。
【0015】
さらにまた、本発明の第七の態様は、前記一の給電部材と、他の給電部材に給電される信号の周波数は異なる周波数帯の信号である構成としている。
【0016】
さらにまた、本発明の第八の態様において、前記接地部材は、並べられている略同一平面内では直流的に絶縁されている複数の部材から構成されている構成としている。
【0017】
さらにまた、本発明の第九の態様において、前記接地部材を構成する複数の部材は、略同一平面内では前記給電される信号の周波数帯では相互に交流的に絶縁されている構成としている。
【0018】
一方、本発明の第十の態様において、第一から第九の態様のいずれか一の態様のマルチアンテナ構造体を有する電子機器を提供する。
【0019】
また、本発明の第十一の態様は、少なくとも平面である内壁を有するとともに、その内壁に沿って第一から第七のいずれか一に記載の態様のマルチアンテナ構造体が配置された構成としている。
【0020】
さらに、本発明の第十二の態様において、前記複数の接地部材のための接地線は、抵抗を介して接続されている構成としている。
【0021】
さらにまた、本発明の第十三の態様は、第一から第九のいずれか一に記載の態様のマルチアンテナ構造体を一以上備えた構成としている。
【0022】
さらにまた、本発明の第十四の態様において、チップタイプのアンテナ構造体であるチップタイプアンテナ構造体を一以上さらに備えた構成としている。
【0023】
さらにまた、本発明の第十五の態様は、設置環境に応じて活性化するアンテナ構造体を選択するアンテナ構造体選択回路をさらに有する構成としている。
【0024】
さらにまた、本発明の第十六の態様は、アンテナ構造体が使用する周波数帯に干渉する周波数の電波を監視するための監視アンテナをさらに有する構成としている。
【0025】
さらにまた、本発明の第十七の態様は、マルチアンテナ構造体の使用電波周波数帯を複数のチャンネルに分割して信号処理をするマルチチャンネル分割処理部と、監視アンテナの監視結果に応じて前記マルチチャンネル分割処理部を制御して使用チャンネルを変更するチャンネル制御部をさらに有する構成としている。
【0026】
さらにまた、本発明の第十八の態様は、ルータ回路をさらに有する構成としている。
【0027】
さらにまた、本発明の第十九の態様は、電話回線接続端子をさらに有する構成としている。
【0028】
そして、本発明の第二十の態様は、第十六態様に係る電子機器の動作方法であって、設置環境に応じて活性化するアンテナ構造体をアンテナ構造体選択回路によって選択する構成としている。
【0029】
また、本発明の第二十一の態様は、監視アンテナによって、アンテナ構造体が使用する周波数帯に干渉する周波数帯の電波を監視する構成としている。
【0030】
さらに、本発明の第二十二の態様は、監視アンテナの監視結果に応じてチャンネル制御部により前記マルチチャンネル分割処理部を制御して使用チャンネルを変更する構成としている。
【0031】
さらにまた、本発明の第二十三の態様は、給電部材、接地部材ともに一筆書き形状である構成としている。
【0032】
さらにまた、本発明の第二十四の態様は、給電部材と接地部材との隣接領域では絶縁空間をへだてて互いに平行端部で隣接する構成としている。
【0033】
さらにまた、本発明の第二十五の態様は、PoE受電部をさらに有する構成としている。
【0034】
さらにまた、本発明の第二十六の態様は、周辺の電波強度を示す情報又は/及びその電波の使用チャンネルを示す情報であるサイトサーベイ情報を取得するサイトサーベイ情報取得部と、取得したサイトサーベイ情報を出力するサイトサーベイ情報出力部と、をさらに有する構成としている。
【0035】
さらにまた、本発明の第二十七の態様は、出力されたサイトサーベイ情報に基づいて電波強度を調整するための電波強度調整部をさらに有する構成としている。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、二つの給電部材の相互の干渉を少なく抑えつつ、例えば、電子機器である情報コンセント型無線LANルータに採用した場合において、近傍に電源コンセント等の金属部材があったとしても、この金属部材による外乱を受けることなく安定した電波感度を得ることができるという非常に優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】実施形態1に係るマルチアンテナ構造体における絶縁基板の給電部材及び接地部材が配置されている表面図
図1B図1Aのマルチアンテナ構造体における絶縁基板の給電部材及び接地部材に配線した状態の表面図
図2A】実施形態2に係るマルチアンテナ構造体における絶縁基板の給電部材及び接地部材に配線した状態の表面図
図2B】実施形態2に係るマルチアンテナ構造体の図2Aにおける黒太矢印方向からの部分拡大断面図
図3A】実施形態3に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器である情報コンセント型無線LANルータにおける室内側筐体の背面側からの斜視図
図3B図3Aに示した情報コンセント型無線LANルータを情報コンセントに配置した状態の正面図
図3C図3Aに示した情報コンセント型無線LANルータ情報コンセントに配置した状態の断面図
図3D図3Aに示した情報コンセント型無線LANルータの分解斜視図
図4】実施形態4に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器の一例である情報コンセント型無線LANルータの回路ブロック図
図5】実施形態5に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器の一例である情報コンセント型無線LANルータの回路ブロック図
図6】実施形態6に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器の一例である情報コンセント型無線LANルータの回路ブロック図
図7】実施形態7に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器の一例である情報コンセント型無線LANルータの部分回路図
図8A】実施形態8に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器の一例である情報コンセント型無線LANルータの回路ブロック図
図8B】実施形態8に係る電子機器である情報コンセント型無線LANルータの背面側からの斜視図
図9A】実施形態9に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器の一例である情報コンセント型無線LANルータの機能ブロック図
図9B】実施形態9に係る情報コンセント型無線LANルータのハードウェア構成例を示す図
図9C】実施形態9に係る情報コンセント型無線LANルータのサイトサーベイ機能により取得した電波状況の説明図
図10A】実施形態10に係るマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器の一例である情報コンセント型無線LANルータの機能ブロック図
図10B】実施形態10に係る情報コンセント型無線LANルータのハードウェア構成例を示す図
図11】ハードウェア構成を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1~4,6~9,23,24に関し、実施形態2は主に請求項5に関し、実施形態3は主に請求項10,11,13,18,19に関し、実施形態4は主に請求項14,15,20に関し、実施形態5は主に請求項16,21に関し、実施形態6は主に請求項17,22に関し、実施形態7は主に請求項12に関し、実施形態8は主に請求項25に関し、実施形態9は主に請求項26に関し、実施形態10は主に請求項27に関する。
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0039】
<本発明を構成し得るハードウェアについて>
本発明は、原則的に電子計算機を利用する発明であるが、ソフトウェアによって実現され、ハードウェアによっても実現され、ソフトウェアとハードウェアの協働によっても実現される。本発明の各構成要件の全部又は一部を実現するハードウェアでは、コンピュータの基本的構成であるCPU,メモリ,バス,入出力装置,各種周辺機器,ユーザインターフェースなどによって構成される。各種周辺機器には、記憶装置,インターネット等のインターフェース,インターネット等機器,ディスプレイ,キーボード,マウス,スピーカー,カメラ,ビデオ,テレビ,実験室又は工場等での生産状態を把握するための各種センサ(流量センサ,温度センサ,重量センサ,液量センサ,赤外線センサ,出荷個数計数機,梱包個数計数機,異物検査装置,不良品計数機,放射線検査装置,表面状態検査装置,回路検査装置,人感センサ,作業者作業状況把握装置(映像,ID,PC作業量などで)等),CD装置,DVD装置,ブルーレイ装置,USBメモリ,USBメモリインターフェイス,着脱可能タイプのハードディスク,一般的なハードディスク,プロジェクタ装置,SSD,電話,ファックス,コピー機,印刷装置,ムービー編集装置,各種センサ装置などが含まれる。
【0040】
また、本発明のシステムは、必ずしも一つの筐体によって構成されている必要はなく、複数の筐体を通信で結合して構成されるものであってもよい。また、通信は、LAN,WAN,wifi(登録商標),ブルートゥース(登録商標),赤外線通信,超音波通信であってもよく、一部が国境を跨いで設置されていてもよい。さらに、複数の筐体のそれぞれが異なる主体によって運営されていてもよく、一の主体によって運営されていてもよい。本発明のシステムの運用主体は、単数であるか複数であるかは問わない。また、本発明のシステムの他に第三者の利用する端末、さらに他の第三者の利用する端末を含むシステムとしても発明を構成することができる。また、これらの端末は国境を越えて設置されていてもよい。さらに、本発明のシステムや前記端末の他に第三者の関連情報や、関連人物の登録のために利用される装置、登録の内容を記録するためのデータベースに利用される装置等が用意されてもよい。これらは、本発明のシステムに備えてもよいし、本発明のシステム外に備えてこれらの情報を利用することができるように本発明のシステムを構成してもよい。
【0041】
図11に示すように、コンピュータは、マザーボード上に構成される、チップセット,CPU,不揮発性メモリ,メインメモリ,各種バス,BIOS,各種インターフェース,リアルタイムクロック等からなる。これらはオペレーティングシステムやデバイスドライバ,各種プログラム等と協働して動作する。本発明を構成する各種プログラムや各種データはこれらのハードウェア資源を効率的に利用して各種の処理を実行するように構成されている。
【0042】
≪チップセット≫
「チップセット」は、コンピュータのマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまり、ブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。2チップセット構成を採用する場合と、1チップセット構成を採用する場合とがある。CPUやメインメモリに近い側をノースブリッジ、遠い側で比較的低速な外部I/Oとのインターフェースの側にサウスブリッジが設けられる。
【0043】
(ノースブリッジ)
ノースブリッジには、CPUインターフェース,メモリコントローラ,グラフィックインターフェースが含まれる。従来のノースブリッジの機能のほとんどをCPUに担わせてもよい。ノースブリッジは、メインメモリのメモリスロットとはメモリバスを介して接続し、グラフィックカードのグラフィックカードスロットとは、ハイスピードグラフィックバス(AGP,PCI Express)で接続される。
【0044】
(サウスブリッジ)
サウスブリッジは、PCIインターフェース(PCIスロット)とPCIバスを介して接続して、ATA(SATA)インターフェース,USBインターフェース,Ethernetインターフェース等とのI/O機能やサウンド機能を担う。高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート,フロッピーディスクドライブ,シリアルポート,パラレルポート,ISAバスをサポートする回路を組み込むことは、チップセット自体の高速化の足かせとなるため、サウスブリッジのチップから分離させ、スーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIに担当させることとしてもよい。CPU(MPU)と、周辺機器や各種制御部を繋ぐためにバスが用いられる。バスはチップセットによって連結される。メインメモリとの接続に利用されるメモリバスは、高速化を図るために、これに代えてチャネル構造を採用してもよい。バスとしてはシリアルバスかパラレルバスを採用できる。パラレルバスは、シリアルバスが1ビットずつデータを転送するのに対して、元データそのものや元データから切り出した複数ビットをひとかたまりにして、同時に複数本の通信路で伝送する。クロック信号の専用線がデータ線と平行して設けられ、受信側でのデータ復調の同期を行う。CPU(チップセット)と外部デバイスをつなぐバスとしても用いられ、GPIB,IDE/(パラレル)ATA,SCSI,PCI等がある。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI ExpressやパラレルATAの改良版シリアルATAでは、データラインはシリアルバスでもよい。
【0045】
≪CPU≫
CPUは、メインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは、コンピュータ内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは、演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部に、レジスター,キャッシュメモリ,キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス,DMAコントローラ,タイマ,ノースブリッジとの接続バスとのインターフェース等が含まれる。なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。また、CPUに加えてグラフィックインターフェース(GPU)若しくはFPUによって、処理を行ってもよい。
【0046】
≪不揮発性メモリ≫
(HDD)
ハードディスクドライブの基本構造は、磁気ディスク,磁気ヘッド及び磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インターフェースは、SATAA(過去ではATA)を採用することができる。高機能なコントローラ、例えば、SCSIを用いて,ハードディスクドライブ間の通信をサポートする。例えば、ファイルを別のハードディスクドライブにコピーする時、コントローラがセクタを読み取って別のハードディスクドライブに転送して書き込むといったことができる。この時ホストCPUのメモリにはアクセスしない。したがってCPUの負荷を増やさないで済む。
なお、不揮発性メモリとしては「NANDフラッシュ」から構成されるSSDをHDDとともに採用してもよいし、HDDに置き換えて採用してもよい。
【0047】
≪メインメモリ≫
CPUが直接アクセスしてメインメモリ上の各種プログラムを実行する。メインメモリは揮発性のメモリでDRAMが用いられる。メインメモリ上のプログラムはプログラムの起動命令を受けて不揮発性メモリからメインメモリ上に展開される。その後もプログラム内で各種実行命令や、実行手順にしたがってCPUがプログラムを実行する。
【0048】
≪オペレーティングシステム(OS)≫
オペレーティングシステムは、コンピュータ上の資源をアプリケーションに利用させるための管理をしたり、各種デバイスドライバを管理したり、ハードウェアであるコンピュータ自身を管理するために用いられる。小型のコンピュータではオペレーティングシステムとしてファームウェアを用いることもある。
【0049】
≪デバイスドライバ≫
デバイスドライバは、オペレーティングシステムを介して計算機に付属する各種のデバイスをユーザやアプリケーションに利用可能にするためのデバイスのハードウェアを制御するプログラムである。
【0050】
≪BIOS≫
BIOSは、コンピュータのハードウェアを立ち上げてオペレーティングシステムを稼働させるための手順をCPUに実行させるもので、最も典型的にはコンピュータの起動命令を受けるとCPUが最初に読取りに行くハードウェアである。ここには、ディスク(不揮発性メモリ)に格納されているオペレーティングシステムのアドレスが記載されており、CPUに展開されたBIOSによってオペレーティングシステムが順次メインメモリに展開されて稼働状態となる。なお、BIOSは、バスに接続されている各種デバイスの有無をチェックするチェック機能をも有している。チェックの結果はメインメモリ上に保存され、適宜オペレーティングシステムによって利用可能な状態となる。なお、外部装置などをチェックするようにBIOSを構成してもよい。
【0051】
≪I/Oコントローラ≫
I/Oコントローラは、外部機器との接続に利用される。USBコネクタもその一例である。
【0052】
≪USB,IEEE1394コネクタ,LAN端子等≫
USB,IEEE1394コネクタ、LAN端子等は、最も代表的な通信規格のインターフェースである。
【0053】
以上については、本願明細書中の全ての実施形態におけるハードウェア構成の説明で共通に利用される構成である。
<実施形態1>
【0054】
本実施形態は、主に請求項1~4,6~9,23,24に関する。
<実施形態1 マルチアンテナ構造体 概要>
【0055】
本実施形態は、電子機器に採用されるマルチアンテナ構造体に係るものであって、給電される薄板状の導電部材である二以上の給電部材と、接地される薄板状の導電部材である接地部材と、を有しており、これらの給電部材及び接地部材が略一列に並べられて、少なくとも一の給電部材と、他の給電部材との間に、両アンテナの接地部材が配置されていることを主たる特徴とする。本実施形態に係るマルチアンテナ構造体が採用される電子機器としては、例えば、情報コンセント型無線LANルータやパソコンやスマートフォン等があるが、送受信を行う機器であればいずれにも採用し得る。
【0056】
このような構成を成すマルチアンテナ構造体では、二以上の給電部材の相互の干渉を少なく抑えつつ、例えば、電子機器に採用した場合において、近傍に電源コンセント等の金属部材があったとしても、この金属部材による外乱を受けることなく安定した電波感度を得ることができるという効果を奏する。
<実施形態1 構成>
<実施形態1 構成 マルチアンテナ構造体>
【0057】
すなわち、図1Aに示すように、本実施形態のマルチアンテナ構造体0100は、信号が供給され又は信号を受給する薄板状の導電部材である直流的に相互に絶縁された二つの給電部材0101A,0101Bと、給電部材0101A,0101Bとそれぞれ対となって電磁波の送受信をするために接地される薄板状の導電部材である二つの接地部材0102A,0102Bと、これらの給電部材0101A,0101B及び接地部材0102A,0102Bが配置された絶縁基板0103を備えており、二つの接地部材0102A,0102Bも互いに直流的に絶縁されている。
<実施形態1 構成 マルチアンテナ構造体 導電部材>
【0058】
給電部材0101A,0101B及び接地部材0102A,0102Bである導電部材は、厚さが35μmの薄膜状の金属材料、例えば銅箔により形成されている。なお、導電部材の厚さは35μmに限定されるものではなく、厚さが18~100μmのものを適宜使用することができる。
<実施形態1 構成 マルチアンテナ構造体 給電部材>
【0059】
本実施形態において、上記仕様の導電部材からなる二つの給電部材0101A,0101Bは、いずれも一筆書き形状であるコの字状形態を成すようにして絶縁基板0103の同一平面上に形成されている。これらの二つの給電部材0101A,0101Bは、互いに全長が異なるように形成されており、周波数2.4GHz用及び周波数5GHz用のいずれにも兼用されるものとなっている。
<実施形態1 構成 マルチアンテナ構造体 接地部材>
【0060】
一方、給電部材と同じく上記仕様の導電部材からなる二つの接地部材0102A,0102Bも、いずれも一筆書き形状であるコの字状形態を成すようにして絶縁基板0103の同一平面上に形成されている。この場合、絶縁基板0103は縦長の形状を成しており、二つの給電部材0101A,0101B及び二つの接地部材0102A,0102Bは、この縦長の絶縁基板0103の同一平面上において長手方向(図1A上下方向)に略一列に並べて配置されている。そして、一の給電部材0101Aと、他の給電部材0101Bとの間に、両接地部材0102A,0102Bが配置されるように構成されており、一の給電部材0101A及び接地部材0102Aは、隣接する領域において絶縁空間をへだてて互いに平行端部0101Aa,0102Aaで隣接し、他の給電部材0101B及び接地部材0102Bは、隣接する領域において絶縁空間をへだてて互いに平行端部0101Ba,0102Baで隣接している。これらの接地部材0102A,0102Bは、絶縁基板0103の同一平面内において給電される信号の周波数帯では相互に交流的に絶縁されている。
【0061】
本実施形態において、一筆書き形状であるコの字状形態を成す給電部材0101A,0101Bに折曲端を設けたり、接地部材0102A,0102Bとの各隣接領域を斜めに形成したりすることで、送受信面積を広げるようにしていると共に、相互に干渉するのを少なく抑えるようにしている。
<実施形態1 構成 マルチアンテナ構造体 絶縁基板>
【0062】
本実施形態において、絶縁基板0103には、厚さが1mm前後のガラスエポキシ基板(比誘電率εの値が約4.7)を採用している。このガラスエポキシ基板は、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂をしみ込ませて熱硬化処理を施したFR4と呼称される板状のものに、上記導電部材の薄膜状の金属材料である銅箔を貼付けた構成を成している。
<実施形態1 構成 マルチアンテナ構造体 絶縁基板 導電部材の形成>
【0063】
この絶縁基板0103に対する導電部材である給電部材0101A,0101B及び接地部材0102A,0102Bの形成加工は、まず、全面銅箔張りのガラスエポキシ基板に対して、給電部材0101A,0101B及び接地部材0102A,0102Bとなる部分にドライフィルムを貼り付けた後、UV光を照射して露光させる。このドライフィルムとは、フィルム状に加工した感光性樹脂を厚さ20~25μmのベースフィルムと保護フィルムの間に挟み込んだ3層構造をなすものである。
ドライフィルムを貼り付けることで感光された部分は硬化して残る。つまり、給電部材0101A,0101B及び接地部材0102A,0102Bとなる部分が残るので、それ以外の銅箔部分をサンドブラストで除去することで、絶縁基板0103上に給電部材0101A,0101B及び接地部材0102A,0102Bが形成される。なお、絶縁基板0103に対する導電部材である給電部材0101A,0101B及び接地部材0102A,0102Bの形成加工に、化学エッチングを用いてもよい。
【0064】
なお、絶縁基板0103として、リジット基板であるガラスエポキシ基板を採用することに限定さるものではなく、他の基板として、紙にフェノール樹脂をしみ込ませて熱硬化処理を施したFR1,FR2と呼称されるものを採用してもよい。また、例えば、ポリイミドフィルム及びアルミナ樹脂から成るフレキシブル基板を採用してもよい。さらに、他の誘電体材料により形成された基板、例えば、AlN(窒化アルミニウム)やAl2O3(酸化アルミニウム)等により形成されたセラミックス基板等を採用してもよい。
<実施形態1 構成 マルチアンテナ構造体 その他 同軸ケーブル>
【0065】
本実施形態のマルチアンテナ構造体0100は、図1Bに示すように、2本の同軸ケーブル0104A,0104Bを備えている。2本の同軸ケーブル0104A,0104Bのうちの一方の同軸ケーブル0104Aは、給電部材0101A及びこれに隣接して配置されている接地部材0102Aに対応するものであり、他方の同軸ケーブル0104Bは、給電部材0101B及びこれに隣接して配置されている接地部材0102Bに対応するものである。
【0066】
この場合、図1Bに拡大して示すように、同軸ケーブル0104A(0104B)は、内部導体(軟銅線:芯線)0104c,絶縁体0104i,外部導体(編組銅線)0104s及び保護体0104pを同軸配置したものであり、図1Bでは、同軸ケーブル0104A,0104Bの各内部導体0204c及び各外部導体0204sがいずれも半田付けされる前の状態を表している。一方の同軸ケーブル0104Aの内部導体0104cは、給電部材0101Aの接地部材0102Aと隣接する平行端部(図示例では斜めに形成した部分)0101Aaに半田付けされて高周波電圧を印加し、外部導体0104sは、接地部材0102Aの給電部材0101Aと隣接する平行端部(図示例では斜めに形成した部分)0102Aaに半田付けされて接地するようになっている。これと同様に、他方の同軸ケーブル0104Bの内部導体0104cも、給電部材0101Bの接地部材0102Bと隣接する平行端部0101Baに半田付けされて高周波電圧を印加し、外部導体0104sも、接地部材0102Bの給電部材0101Bと隣接する平行端部0102Baに半田付けされて接地するようになっている。なお、給電部材0101A,0101Bに高周波電圧を印加するのは発信時であり、受信時には給電されない。
【0067】
つまり、絶縁基板0103の長手方向(二つの給電部材0101A,0101B及び二つの接地部材0102A,0102Bの配列方向)に沿うようにして、2本の同軸ケーブル0104A,0104Bを配置することで、マルチアンテナ構造体0100を電子機器の筐体に収める状態において、同軸ケーブル0104A,0104Bの湾曲部分における曲がりの程度を緩やかにして、干渉等の不具合を少なく抑えるようにしている。
<実施形態1 マルチアンテナ構造体 効果>
【0068】
本実施形態に係るマルチアンテナ構造体0100は、縦長の絶縁基板0103の同一平面上に二つの給電部材0101A,0101B及び二つの接地部材0102A,0102Bを略一列に並べて配置しているので、二つの給電部材0101A,0101Bの相互の干渉を少なく抑えることができる。加えて、絶縁基板0103が1枚で済む分だけ部品点数の削減を実現することが可能である。
また、本実施形態に係るマルチアンテナ構造体0100は、電子機器に採用する場合において、近傍に電源コンセント等の金属部材があったとしても、マルチアンテナ構造体0100がこの金属部材から遠くなるように電子機器を配置することで、外乱を受けることなく安定した電波感度を得ることが可能であるうえ、このようなテナ構造体0100を採用することで電子機器内に生じる余剰空間を有効に利用することができる、すなわち、設計の自由度が広がるという効果が得られる。
<実施形態2>
【0069】
本実施形態は、主に請求項5に関する。
<実施形態2 マルチアンテナ構造体 絶縁被覆層 概要>
【0070】
本実施形態は実施形態1を基本とし、絶縁基板上に配置された導電部材である給電部材及び接地部材の表面に絶縁被覆層を配置していることを特徴としている。
【0071】
このように、絶縁基板上の導電部材である給電部材及び接地部材の表面に絶縁被覆層を配置することで、給電部材及び接地部材の腐食やさびの発生を抑えることができる。
<実施形態2 構成 マルチアンテナ構造体 絶縁被覆層>
【0072】
すなわち、図2Aに示すように、本実施形態のマルチアンテナ構造体0200が、先の実施形態のマルチアンテナ構造体と相違するところは、導電部材である給電部材0201A,0201B及び接地部材0202A,0202Bを配置した絶縁基板0203の表面全体を絶縁被覆層0205で覆った点にある。絶縁被覆層0205を形成する被覆材料には、エナメル樹脂や、ポリウレタンや、ポリエチレンや、フッ素樹脂等の樹脂を用いることができる。そして、絶縁被覆層0205を形成するにあたっては、被覆材料をスプレーで吹き付ける方法や、スクリーン印刷する方法等が採用される。また、絶縁被覆層0205の厚みは特に限定しないが、20~40μmとするのが一般的であり、無駄が生じないように均一に形成することが望ましい。
<実施形態2 マルチアンテナ構造体 絶縁被覆層>
<マルチアンテナ構造体 給電部材及び接地部材の各導電部>
【0073】
この場合、絶縁基板0203上の給電部材0201A,0201Bにおける斜めに形成した各平行端部0201Aa, 0201Baには、給電部材0201A,0201Bに後述する同軸ケーブルを接続するための導電部0201Ab,0201Bbがそれぞれ設けられている。一方、絶縁基板0203上の接地部材0202A,0202Bにおける斜めに形成した各平行端部0202Aa,0202Baにも、接地部材0202A,0202Bに後述する同軸ケーブルを接続するための導電部0202Ab,0202Bbがそれぞれ設けられている。これらの導電部0201Ab,0201Bb,0202Ab,0202Bbは、絶縁被覆層0205を形成する際に、導電部0201Ab,0201Bb,0202Ab,0202Bbとなる部分にマスキングをして被覆材料でコーティングし、このコーティングの後にマスキングを除去することで形成されるようになっている。
<実施形態2 マルチアンテナ構造体 絶縁被覆層>
<構成 同軸ケーブルとの接続>
【0074】
図2A及び以下の説明で用いる図2Bでは、同軸ケーブル0204A(0204B)の各内部導体0204c及び各外部導体0204sがいずれも半田付けされる前の状態を表しており、図2Bの拡大部分断面図では半田付けの半田Sを仮想線で示している。
本実施形態のマルチアンテナ構造体0200において、給電部材0201A及びこれに隣接して配置されている接地部材0202Aに対応する一方の同軸ケーブル0204Aの内部導体0204cは、図2Bの拡大部分断面図に示すように、給電部材0201Aの平行端部0201Aaにおける導電部0201Abに半田付けされて高周波電圧を印加し、外部導体0204sは、接地部材0202Aの平行端部0202Aaにおける導電部0202Abに半田付けされて接地するようになっている。これと同様に、給電部材0201B及びこれに隣接して配置されている接地部材0202Bに対応する他方の同軸ケーブル0204Bの内部導体0204cも、給電部材0201Bの平行端部0201Baにおける導電部0201Bbに半田付けされて高周波電圧を印加し、外部導体0204sも、接地部材0202Bの平行端部0202Baにおける導電部0202Bbに半田付けされて接地するようになっている。
<実施形態2 マルチアンテナ構造体 絶縁被覆層 効果>
【0075】
本実施形態に係るマルチアンテナ構造体0200では、絶縁基板0203の導電部材である給電部材0201A,0201B及び接地部材0202A,0202Bの表面を絶縁被覆層0205で覆っているので、給電部材及び接地部材の腐食やさびの発生を抑えることが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
<実施形態3>
【0076】
本実施形態は、主に請求項10,11,13,18,19に関する。
<実施形態3 電子機器 概要>
【0077】
本実施形態は、給電される薄板状の導電部材である二以上の給電部材と、接地される薄板状の導電部材である接地部材とが、略一列に並べられて、少なくとも一の給電部材と、他の給電部材との間に、両アンテナの接地部材が配置されているマルチアンテナ構造体を内蔵する電子機器に係るものである。
【0078】
このような構成を成すマルチアンテナ構造体を内蔵した電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータでは、近傍に金属部材を有する電源コンセント等があったとしても、電源交流による外乱をほとんど受けることなく安定した電波感度を得ることができるという効果を奏する。
<実施形態3 構成 電子機器>
<実施形態3 構成 情報コンセント型無線LANルータ(電子機器)>
【0079】
図3Aに示すように、本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0350は、後述するように一部が室内に露出する縦長の室内側筐体0351を備えており、この室内側筐体0351が有する上下方向の二つの内壁のうちの一方の内壁0351aに沿って上述した実施形態1に係るマルチアンテナ構造体0300が配置されている。この際、マルチアンテナ構造体0300は、その絶縁基板0303上の給電部材0301A,0301B及び接地部材0302A,0302B並びに2本の同軸ケーブル0304A,0304Bが配置されていない面を一方の内壁0351aに向けた状態で配置されている。
【0080】
また、電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0350は、後述するように室内側筐体0351とともに筐体内部空間を形成する壁側筐体0352を備えており、この空間には、マルチアンテナ構造体0300以外の情報通信のための複数の部品が収納される。本実施形態では、図3Aに仮想線で示すLAN回路用アダプタ0310に加えて、電話回線用アダプタ0311が収納されているほか、図示はしないが各種電子部品等が配置される複数の基板や、これらの基板同士を接続するコネクタ等が収納されている。
<実施形態3 電子機器 情報コンセント型無線LANルータ>
【0081】
この電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0350は、図3Bに示すように、例えば、部屋の壁W等の所定部位に設置される情報コンセント0380に電源コンセント0360とともに配置して使用される。この情報コンセント0380は、図3Cに示すように、壁Wに設けられた設置孔Whに嵌め込まれて固定されるコンセントボックス0381と、このコンセントボックス0381の室内側に位置する開口周縁部に固定される枠体0382と、この枠体0382に対して取り外し可能に固定されるカバー0383とを有している。このカバー0383には、情報コンセント型無線LANルータ0350及び電源コンセント0360にそれぞれ対応した窓0383a,0383b(図3Bにのみ示す)が形成されており、各窓0383a,0383bを通して情報コンセント型無線LANルータ0350及び電源コンセント0360の各機能部分が室内側に露出するようになっている。
【0082】
この際、電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0350の室内側筐体0351には、図3Dに示すように、壁側筐体0352にねじ等により固定される側方向(図示左右方向)に延出するフランジ0351b,フランジ0351bが一体で設けられており、この室内側筐体0351のフランジ0351b,フランジ0351bには、ルータ取付枠0353が取り外し可能に固定されている。このルータ取付枠0353の室内側筐体0351に対する固定は、フランジ0351b,フランジ0351bの各側面に設けた図示しない係止爪と、ルータ取付枠0353の縦枠部に設けた図示しない係止爪受とを互いに係止させることで成されるようになっている。
【0083】
そして、情報コンセント型無線LANルータ0350は、その壁側筐体0352をコンセントボックス0381内に位置させた状態で、ルータ取付枠0353を貫通させたボルト0354をコンセントボックス0381の開口周縁部のボルト孔0381aにねじ込むことで、コンセントボックス0381に固定されるようになっている。
本実施形態において、情報コンセント型無線LANルータ0350は、図3Bに示すように、内蔵するマルチアンテナ構造体0300が電源コンセント0360とは反対側に位置するようにして、コンセントボックス0381に配置されている。
【0084】
なお、図3Bにおける符号0355はLAN回路用プラグとの接続口であり、符号0356は電話回線用アダプタとの接続口である。また、図3Bにおける符号0357は電源スイッチであり、符号0358は動作状態等を示す表示用ランプであり、符号0359はリセット操作用のリセットボタンである。
【0085】
本実施形態では、本発明に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータが、二以上の給電部材と接地される接地部材とが略一列に並べられて、一の給電部材と他の給電部材との間に接地部材が配置されているマルチアンテナ構造体を一つ内蔵している場合を例に挙げて説明したが、上記マルチアンテナ構造体を複数内蔵している構成としてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、本発明に係る電子機器が情報コンセント型無線LANルータである場合を例に挙げて説明したが、電子機器は情報コンセント型無線LANルータに限定されるものではなく、例えば、テレビ、ハードディスクドライブ、録画機器、固定電話、レジスター、POS端末、パソコン、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、スマートスピーカー、ゲーム機器(固定型、携帯型)、ナビゲーション機器(車載等の輸送機器固定型、携帯型)、スマートグラス(眼鏡)、スマートシューズ(歩行情報を端末等に送信する)、カメラ(スチルカメラ、ムービー)等の送受信を行う機器であってもよい。
<実施形態3 電子機器 効果>
【0087】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0350では、図3Aに示すように、縦長の絶縁基板0303の同一平面上に二つの給電部材0301A,0301B及び二つの接地部材0302A,0302Bを略一列に並べて配置して成るマルチアンテナ構造体0300を室内側筐体0351の一方の内壁0352に沿って配置している。加えて、図3Bに示すように、マルチアンテナ構造体0300が電源コンセント0360とは反対側に位置するようにして、コンセントボックス0381に配置しているので、隣接する電源コンセント0360の電源交流による外乱を少なく抑え得ることとなり、その結果、安定した電波感度を得ることが可能であるという非常に優れた効果が得られる。
【0088】
また、本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0350では、上記マルチアンテナ構造体0300を室内側筐体0351の一方の内壁0352に沿って配置するので、室内側筐体0351の他方の内壁側にできる余剰空間を有効に利用することができる、すなわち、設計の自由度が広がるという効果が得られる。
<実施形態4>
【0089】
本実施形態4は主に請求項14,15に関する。
<実施形態4 チップタイプアンテナ構造体をさらに備えた電子機器 概要>
【0090】
本実施形態に係る電子機器は実施形態3を基本とし、実施形態1又は実施形態2のマルチアンテナ構造体を備えると共に、チップタイプのアンテナ構造体であるチップタイプアンテナ構造体を一以上備え、これらのアンテナ構造体の中から、設置環境に応じて活性化するアンテナ構造体を選択するアンテナ選択回路をさらに有することを特徴としている。
このように、複数のアンテナ構造体の中から、設置環境に応じて活性化するアンテナ構造体を選択するアンテナ構造体選択回路を有する電子機器とすることで、常に感度の良いチャンネルが選択されることとなり、良好な送受信を行うことができる。
<実施形態4 構成>
<実施形態4 構成 チップタイプアンテナ構造体をさらに備えた電子機器>
【0091】
すなわち、図4に示すように、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0450は、実施形態1又は実施形態2のマルチアンテナ構造体、本実施形態では実施形態1のマルチアンテナ構造体0400を備えていると共に、2つのチップタイプのアンテナ構造体(以下チップタイプアンテナ0421,0422と呼称する)を備えており、マルチアンテナ構造体0400は、2つの給電部材(以下アンテナ0401A,0401Bと呼称する)を有している。また、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0450は、アンテナ構造体選択回路0430を備えている。
<実施形態4 構成 チップタイプアンテナ構造体をさらに備えた電子機器>
<アンテナ構造体選択回路>
【0092】
アンテナ構造体選択回路0430は、電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0450におけるマルチアンテナ構造体0400の2つのアンテナ0401A,0401B及びチップタイプアンテナ0421,0422の各中から、設置環境に応じて活性化する最適なアンテナ構造体を選択する回路である。
本実施形態において、アンテナ構造体選択回路0430は、信号の同時送受信が可能な双方向通信トランシーバー0431を介してアンテナ0401A,0401B及びチップタイプアンテナ0421,0422に接続するスイッチ0432及びCPU0433から構成されている。
<実施形態4 チップタイプアンテナ構造体をさらに備えた電子機器 動作>
<アンテナ構造体選択回路>
【0093】
本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0450では、使用を開始する際の初期設定時、或いは、あらかじめプログラミングされた所定の時期において、アンテナ構造体選択回路0430のCPU0433及びスイッチ0432により、マルチアンテナ構造体0400のアンテナ0401Aのみを選択して、このアンテナ0401Aの感度を確かめる。
次に、アンテナ構造体選択回路0430のCPU0433及びスイッチ0432により、マルチアンテナ構造体0400のアンテナ0401Bのみを選択して、このアンテナ0401Bの感度を確かめる。
これと同じようにして、アンテナ構造体選択回路0430のCPU0433及びスイッチ0432により、チップタイプアンテナ0421のみを選択して、このチップタイプアンテナ0421の感度を確かめ、同じくチップタイプアンテナ0422のみを選択して、このチップタイプアンテナ0422の感度を確かめる。
そして、上記のアンテナ0401A,0401B及び2つのチップタイプアンテナ0421,0422の中から、受信感度の良い2つの組み合わせを、例えば、アンテナ0401A及びチップタイプアンテナ0421の組み合わせを選択して通信を開始し、残りのアンテナ0401B及びチップタイプアンテナ0422の電源をオフにする。
<実施形態4 チップタイプアンテナ構造体をさらに備えた電子機器 効果>
【0094】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0450では、常に感度の良いアンテナを選択することができるので、良好な送受信を行うことが可能である。加えて、選択しなかったアンテナの電源をオフにすることで、電力消費量の増加を抑えることができる。
<実施形態5>
【0095】
本実施形態5は主に請求項16,21に関する。
<実施形態5 監視アンテナを備えた電子機器 概要>
【0096】
一般的な電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータでは、DFS(Dynamic Frequency Selection)機能の実装が義務付けられている。このDFS機能では、情報コンセント型無線LANルータが使用する周波数帯に干渉するような周波数、例えば、気象レーダの周波数を検出すると、通信が少なくとも1分程度遮断される。
本実施形態に係る電子機器は実施形態3を基本とし、実施形態1又は実施形態2のマルチアンテナ構造体を備えたうえで、アンテナ構造体が使用する周波数帯の通信が停止するような周波数の電波を監視するための監視アンテナをさらに有する構成としたことを特徴としている。
このように、アンテナ構造体の周波数帯に干渉するような周波数帯を使用している、例えば、気象レーダの周波数の電波を監視アンテナで監視することで、気象レーダの周波数を検出した場合に、アンテナ構造体の使用チャンネルを他のチャンネルに切り替える等の対応を取り得ることとなる。
<実施形態5 構成>
<実施形態5 構成 監視アンテナを備えた電子機器>
【0097】
図5に示すように、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0550は、実施形態1又は実施形態2のマルチアンテナ構造体、本実施形態では実施形態1のマルチアンテナ構造体0500と、このマルチアンテナ構造体0500の2つの給電部材(以下アンテナ0501A,0501Bと呼称する)に双方向通信トランシーバー0531を介して接続するCPU0533と、監視アンテナ0540を備えている。
<実施形態5 構成 監視アンテナを備えた電子機器>
<監視アンテナ>
【0098】
監視アンテナ0540は、通信トランシーバー0541及びコントローラ0542を介してCPU0533と接続しており、この監視アンテナ0540は、マルチアンテナ構造体0500のアンテナ0501A,0501Bの各周波数帯と干渉する周波数帯を使用している、例えば、気象レーダの周波数の電波を常時監視するようになっている。そして、監視アンテナ0540では、気象レーダの周波数を検出した場合に、通信トランシーバー0541及びコントローラ0542を介してCPU0533に監視信号を送るようになっている。
<実施形態5 監視アンテナを備えた電子機器 動作 >
【0099】
本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0550では、マルチアンテナ構造体0500のアンテナ0501A,0501Bの一方、例えば、アンテナ0501Aの周波数帯に干渉する、例えば、気象レーダの周波数の電波を監視アンテナ0540が検出すると、監視信号が通信トランシーバー0541及びコントローラ0542を介してCPU0533に送られる。つまり、監視信号がCPU0533に送られることで、上記したDFS機能による通信遮断よりも前乃至は同時位に、マルチアンテナ構造体0500で使用しているチャンネルを他のチャンネルに切り替える等の対応を取り得ることとなる。
<実施形態5 監視アンテナを備えた電子機器 効果>
【0100】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0550では、DFS機能とは別に、監視アンテナ0540によりマルチアンテナ構造体0500のアンテナ0501A,0501Bの各周波数帯に干渉する周波数帯を使用している、例えば、気象レーダの周波数の電波を常時監視しているので、マルチアンテナ構造体0500の使用しているチャンネルを他のチャンネルに切り替える等の対応を迅速に行うことができる。その結果、DFS機能による通信遮断を回避できる、または、通信遮断があったとしても短時間に抑えることが可能になる。
<実施形態6>
【0101】
本実施形態6は主に請求項17,22に関する。
<実施形態6 マルチチャンネル分割処理部,チャンネル制御部を備えた電子機器 概要>
【0102】
本実施形態に係る電子機器は実施形態4,5を基本とし、マルチアンテナ構造体の使用電波周波数帯を複数のチャンネルに分割して信号処理をするマルチチャンネル分割処理部と、アンテナ構造体が使用する周波数帯に干渉するような周波数の電波を監視する監視アンテナの監視結果に応じて、マルチチャンネル分割処理部を制御してアンテナ構造体の使用チャンネルを変更するチャンネル制御部をさらに有することを特徴としている。
このように、マルチチャンネル分割処理部及びチャンネル制御部をさらに有することで、監視アンテナが、例えば、気象レーダの周波数を検出した場合に、使用しているアンテナ構造体のチャンネルを使用していないアンテナ構造体の他のチャンネルに変更することができる。
<実施形態6 構成>
<実施形態6 構成 マルチチャンネル分割処理部,チャンネル制御部を備えた電子機器>
【0103】
図6に示すように、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0650が、実施形態4の電子機器である情報コンセント型無線LANルータと比べて特徴とするところは、監視アンテナ0640と、マルチチャンネル分割処理部0644と、使用チャンネルを変更するチャンネル制御部0645を設けた点にある。
<実施形態6 構成 マルチチャンネル分割処理部,チャンネル制御部を備えた電子機器>
<監視アンテナ>
【0104】
本実施形態に係る監視アンテナ0640も、通信トランシーバー0641及びコントローラ0642を介してCPU0633と接続しており、マルチアンテナ構造体0600の2つの給電部材(以下アンテナ0601A,0601Bと呼称する)及びチップタイプアンテナ構造体(以下チップタイプアンテナ0621,0622と呼称する)の中の動作中のアンテナに干渉するような周波数帯を使用している気象レーダ等の周波数の電波を常時監視するようになっている。
<実施形態6 構成 マルチチャンネル分割処理部,チャンネル制御部を備えた電子機器>
<マルチチャンネル分割処理部>
【0105】
マルチチャンネル分割処理部0644は、マルチアンテナ構造体0600の2つのアンテナ0601A,0601B及びチップタイプアンテナ0621,0622の使用電波周波数帯を複数のチャンネルに分割して信号処理をするようになっている。
<実施形態6 構成 マルチチャンネル分割処理部,チャンネル制御部を備えた電子機器>
<チャンネル制御部>
【0106】
チャンネル制御部0645は、監視アンテナ0640が気象レーダ等の周波数を検出して、監視信号を通信トランシーバー0641及びコントローラ0642を介してCPU0633に送った場合に、アンテナ構造体選択回路0630を駆動してアンテナ0601A,0601B及びチップタイプアンテナ0621,0622を切替えるようになっており、この際、マルチチャンネル分割処理部0644を制御して、使用チャンネルを気象レーダ等の周波数に干渉しないチャンネルに変更する。
<実施形態6 マルチチャンネル分割処理部,チャンネル制御部を備えた電子機器 動作>
【0107】
本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0650では、監視アンテナ0640がマルチアンテナ構造体0600のアンテナ0601A,0601B及びチップタイプアンテナ0621,0622に干渉するような周波数帯を使用している、例えば、気象レーダの周波数の電波を常時監視している。
そして、この監視アンテナ0640が、気象レーダ等の周波数を検出すると、チャンネル制御部0645によりアンテナ構造体選択回路0630が駆動し、例えば、マルチアンテナ構造体0600のアンテナ0601Aを未使用のアンテナ0601B及びチップタイプアンテナ0621,0622の中から感度の良いアンテナを選択して切り替える。
加えて、マルチチャンネル分割処理部0644を制御して、使用チャンネルを気象レーダ等の周波数に干渉しないチャンネルに変更する。つまり、監視信号がCPU0633に送られることで、上記したDFS機能による通信遮断よりも前乃至は同時位に、マルチアンテナ構造体0600のアンテナ0601A,0601B及びチップタイプアンテナ0621,0622で使用しているチャンネルを他のチャンネルに切り替え得ることとなる。
<実施形態6 マルチチャンネル分割処理部,チャンネル制御部を備えた電子機器 効果>
【0108】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0650では、監視アンテナが、例えば、気象レーダの周波数を検出した場合に、使用しているチャンネルが他のチャンネルに切り替わるので、通信遮断を回避することができる、また、回避し得ない場合でも、通信遮断時間を少なく抑えることが可能である。
<実施形態7>
【0109】
本実施形態7は主に請求項12に関する。
<実施形態7 抵抗を備えた電子機器 概要>
【0110】
本実施形態に係る電子機器は実施形態3を基本とし、抵抗を介して複数の接地部材のための接地線を接地させていることを特徴としている。
このように、複数の接地部材のための接地線に抵抗を接続させることで、地面の環境により接地線を介して入り込んでくるノイズを低減ないし除去することができる。
<実施形態7 構成>
<実施形態7 構成 情報コンセント型無線LANルータ(電子機器)>
【0111】
すなわち、図7に部分的に示すように、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0750が、先の実施形態の情報コンセント型無線LANルータと相違するところは、マルチアンテナ構造体0700の2つの接地部材0702A,0702Bのための接地線0702Ag,0702Bgが、抵抗Rを介してそれぞれ接地されている点にある。
<実施形態7 情報コンセント型無線LANルータ(電子機器)効果>
【0112】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0750では、2つの接地部材0702A,0702Bのための接地線0702Ag,0702Bgに抵抗Rをそれぞれ接続しているので、高周波的に抵抗が大きくなり、その結果、接地部材0702A,0702Bの相互の干渉を抑えることができる。
<実施形態8>
【0113】
本実施形態8は主に請求項25に関する。
<実施形態8 PoE受電部を備えた電子機器 概要>
【0114】
本実施形態に係る電子機器は実施形態3を基本とし、PoE受電部(Power over Ethernet)をさらに有することを特徴としている。
ここで、PoE受電とは、コンセントからではなくLANケーブルによって電源を受けるシステムのことであり、このように、PoE受電部をさらに有する電子機器、例えば、PoE受電部をさらに有する情報コンセント型無線LANルータとした場合には、PoE機能を有するイーサネットスイッチ等のネットワーク機器と接続することで電源を得ることができ、電源用配線を不要なものとすることができる。
<実施形態8 構成>
<実施形態8 構成 PoE受電部を備えた電子機器>
【0115】
図8Aの回路ブロック図に示すように、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0850は、実施形態1のマルチアンテナ構造体0800と、このマルチアンテナ構造体0800の2つの給電部材(以下アンテナ0801A,0801Bと呼称する)に双方向通信トランシーバー0831を介して接続するCPUを含むメイン回路0833と、PoE受電部としてのPoEコントローラ0830と、DC-DCコンバータ0832と、PoE機能を有するイーサネットスイッチ等のネットワーク機器と接続するポート0834を備えており、このポート0834は、例えば、図8Bに示すように、情報コンセント型無線LANルータ0850の背面側に配置される。
<実施形態8 構成 PoE受電部を備えた電子機器>
<PoE受電部>
【0116】
PoE受電部としてのPoEコントローラ0830は、ポート0834とCPU0833との間に設けられており、ポート0834及びCPU0833間において信号を伝達しつつ、DC-DCコンバータ0832を介してネットワークケーブルから得た電源を安定した状態でメイン回路0833に送るようになっている。
<実施形態8 PoE受電部を備えた電子機器 効果>
【0117】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0850では、PoE機能を有するイーサネットスイッチ等のネットワーク機器と接続することで電源を得ることができるので、ルータの電源用配線を不要なものとすることが可能である。つまり、ルータの電源用配線を床や壁に這わせなくて済む分だけ、ルータの周囲がすっきりして電源用配線に係るストレスを軽減することができる。
<実施形態9>
【0118】
本実施形態9は主に請求項26に関する。
<実施形態9 サイトサーベイ情報取得部,サイトサーベイ情報出力部を備えた電子機器 概要>
【0119】
本実施形態に係る電子機器は実施形態3を基本とし、サイトサーベイ情報取得部とサイトサーベイ情報出力部をさらに有することを特徴としている。
本実施形態に係る電子機器を、例えば、サイトサーベイ情報取得部とサイトサーベイ情報出力部をさらに有する情報コンセント型無線LANルータとした場合には、使用している無線LANの電波状況を確認することができる。
<実施形態9 構成>
<実施形態9 構成 サイトサーベイ情報取得部,サイトサーベイ情報出力部を備えた電子機器>
【0120】
図9Aに示すように、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0950は、実施形態1のマルチアンテナ構造体0900と、このマルチアンテナ構造体0900と接続するサイトサーベイ情報取得部0910と、サイトサーベイ情報出力部0920を有している。
<実施形態9 構成 サイトサーベイ情報取得部,サイトサーベイ情報出力部を備えた電子機器>
<サイトサーベイ部>
【0121】
「サイトサーベイ情報取得部」0910は、周辺の電波強度を示す情報又は/及びその電波の使用チャンネルを示す情報であるサイトサーベイ情報をマルチアンテナ構造体0900から取得する。なお、実施形態5に係る情報コンセント型無線LANルータのように、監視アンテナを備えている場合には、この監視アンテナによってサイトサーベイ情報を取得するようにしてもよい。
<実施形態9 構成 サイトサーベイ情報取得部,サイトサーベイ情報出力部を備えた電子機器>
<サイトサーベイ情報出力部>
【0122】
「サイトサーベイ情報出力部」0920は、サイトサーベイ情報取得部0910で取得したサイトサーベイ情報を出力して、専用のツールで可視化する。
【0123】
図9Bに示すように、本実施形態における情報コンセント型無線LANルータ0950は、CPU0951と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ0952と、D-RAM等のメインメモリ0953と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ0952には、プログラムとしてサイトサーベイ情報取得プログラム、サイトサーベイ情報出力プログラムが格納されている。これらのプログラムやデータは、メインメモリ0953の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。
【0124】
本実施形態における情報コンセント型無線LANルータ0950は、例えば、図9Cに示すように、建物内に複数箇所(図示例では3カ所)に設置してAP1~AP3とした場合、電波強度及び使用チャンネルの相互監視が可能である。例えば、AP1及びAP2の各電波強度及び使用チャンネルをAP3の情報コンセント型無線LANルータ0950のサイトサーベイ情報取得部0910で取得し、ディスプレイ等のツールに対してサイトサーベイ情報出力部0920から出力することで、電波状況を可視化することができる。
<実施形態9 サイトサーベイ情報取得部,サイトサーベイ情報出力部を備えた電子機器 効果>
【0125】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ0950では、使用している無線LANの電波状況を確認することができ、アクセスポイントの設置数や設置位置や電波強度や使用チャンネルの決定に寄与することができる。
<実施形態10>
【0126】
本実施形態10は主に請求項27に関する。
<実施形態10 電波強度調整部を備えた電子機器 概要>
【0127】
本実施形態に係る電子機器は実施形態9を基本とし、電波強度調整部をさらに有することを特徴としている。
本実施形態に係る電子機器を例えば、電波強度調整部をさらに有する情報コンセント型無線LANルータとした場合には、使用している無線LANの電波強度を最適化することができる。
<実施形態10 構成>
<実施形態10 構成 電波強度調整部を備えた電子機器>
【0128】
図10Aに示すように、本実施形態の電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ1050は、マルチアンテナ構造体1000,サイトサーベイ情報取得部1010及びサイトサーベイ情報出力部1020に加えて、電波強度調整部1030を有している。
<実施形態10 構成 電波強度調整部を備えた電子機器>
<電波強度調整部>
【0129】
「電波強度調整部」1030は、サイトサーベイ情報出力部1020から出力されたサイトサーベイ情報に基づいて電波強度を調整する。
【0130】
図10Bに示すように、本実施形態における情報コンセント型無線LANルータ1050は、CPU1051と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ1052と、D-RAM等のメインメモリ1053と、インターフェースとから構成されている。不揮発性メモリ1052には、プログラムとしてサイトサーベイ情報取得プログラム、サイトサーベイ情報出力プログラムが格納されている。これらのプログラムやデータは、メインメモリ1053の保持領域に読み込まれて作動領域で実行される。
【0131】
本実施形態における情報コンセント型無線LANルータ1050では、可視化された電波状態に基いて電波強度を調整することで、電波強度を最適化し得ることとなる。
<実施形態10 電波強度調整部を備えた電子機器 効果>
【0132】
本実施形態に係る電子機器、例えば、情報コンセント型無線LANルータ1050では、使用している無線LANの電波状況を確認したうえで、最適な電波強度に調整することができる。
【符号の説明】
【0133】
0100 マルチアンテナ構造体
0101A,0101B 給電部材
0102A,0102B 接地部材
0103 絶縁基板
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11