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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】型締装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/20 20060101AFI20240924BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20240924BHJP
   B29C 43/58 20060101ALI20240924BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20240924BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B29C33/20
B29C43/18
B29C43/58
B29C45/02
B29C45/76
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023563436
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2021043339
(87)【国際公開番号】W WO2023095275
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】朝日 真一
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-252311(JP,A)
【文献】特開2007-324377(JP,A)
【文献】特開2013-220550(JP,A)
【文献】特開2001-315130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/58
B29C 45/02
B29C 45/76
B29C 43/18
B29C 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の昇降機構と第2の昇降機構とを含む複数の昇降機構を備えた型締装置を用いて電子部品を樹脂封止する方法であって、
樹脂封止により得られた樹脂封止品を測定して厚みの最大値と最小値との差であるTTVを測定すること、
前記TTVがより小さくなるように、前記第1の昇降機構に対応する可動プラテンの第1の部位と前記第2の昇降機構に対応する前記可動プラテンの第2の部位との高低差を決定すること、
前記第1の部位と前記第2の部位とが前記高低差となるように前記第1の昇降機構及び前記第2の昇降機構を駆動させること、並びに、
前記高低差を維持した状態で型締めすること、を含む、
樹脂封止方法。
【請求項2】
前記高低差を決定することは、
前記第1の部位に対応する位置で樹脂封止された樹脂封止品の第1の厚みと、前記第2の部位に対応する位置で樹脂封止された樹脂封止品の第2の厚みとを比較し、前記第1の厚みが前記第2の厚みよりも第1の差分だけ大きいとき、
前記第1の部位において前記第1の差分だけ型締めの移動量が大きくなるように前記高低差を決定する、
前記第2の部位において前記第1の差分だけ型締めの移動量が小さくなるように前記高低差を決定する、又は、
前記第1の部位において前記第1の差分の一部だけ型締めの移動量が大きくなり、かつ前記第2の部位において前記第1の差分の残余だけ型締めの移動量が小さくなるように前記高低差を決定する、
請求項1に記載の樹脂封止方法。
【請求項3】
前記TTVを測定すること、前記高低差を決定すること、前記駆動させること、及び、前記高低差を維持した状態で型締めすること、を所定の条件に合致するまで繰り返す、
請求項1又は2に記載の樹脂封止方法。
【請求項4】
前記型締装置に第1の金型を取り付けられた状態で前記所定の条件に合致する前記高低差を決定すること、
前記所定の条件に合致する前記高低差を記憶させること、及び
前記第1の金型を前記型締装置に再び取り付けるとき、記憶された前記高低差を読み出すこと、を更に含む、
請求項3に記載の樹脂封止方法。
【請求項5】
前記型締装置は、当該装置に固有の装置IDを有し、前記第1の金型は、当該金型に固有の金型IDを有し、
前記第1の金型を前記型締装置に再び取り付けるとき、前記装置IDと前記金型IDとの組合せを照合することにより、当該組合せに紐づけられた前記高低差を読み出す、
請求項4に記載の樹脂封止方法。
【請求項6】
前記型締装置は、前記第1の昇降機構と前記第2の昇降機構とを含む四つの昇降機構を備えている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の昇降機構を備えた型締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂封止品の厚みの最大値と最小値との差であるTTV(total thickness variation)をできるだけ小さくしたい要望がある。TTVを小さくするには、型締め時に固定プラテンと可動プラテンとの間隔を高精度に調整して上型と下型とが平行になるように配置しなければならない。例えば、特許文献1及び2には、複数の昇降機構を備え、各々の昇降機構に対応する部位毎に可動プラテンの高さを任意に調整できる型締装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-324377号公報
【文献】特開2008-087408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載の装置はいずれも、圧力検知手段による検出値を常時監視し、検出値に基づいて、加圧力が均一になるように昇降機構のサーボモータを制御する。しかしながら、昇降機構を駆動させながら検知した検出値は、外乱による誤差を含んでいる。検出値をサーボモータの制御にリアルタイムでフィードバックする従来の方法は、装置の設置環境によっては外乱があるため高精度の樹脂封止品の製造に不向きなことがある。そこで、本発明は、高精度の樹脂封止品を製造可能な樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、第1の昇降機構と第2の昇降機構とを含む複数の昇降機構を備えた型締装置を用いて電子部品を樹脂封止する方法であって、樹脂封止により得られた樹脂封止品を測定して厚みの最大値と最小値との差であるTTVを測定すること、TTVがより小さくなるように、第1の昇降機構に対応する可動プラテンの第1の部位と第2の昇降機構に対応する可動プラテンの第2の部位との高低差を決定すること、第1の部位と第2の部位とが決定した高低差となるように第1の昇降機構及び第2の昇降機構を駆動させること、並びに、高低差を維持した状態で型締めすること、を含む。
【0006】
この態様によれば、TTVが小さい高精度の樹脂封止品を製造可能な樹脂封止方法を提供できる。
【0007】
上記態様において、高低差を決定することは、第1の部位に対応する位置で樹脂封止された樹脂封止品の第1の厚みと、第2の部位に対応する位置で樹脂封止された樹脂封止品の第2の厚みとを比較する。第1の厚みが第2の厚みよりも第1の差分だけ大きいとき、第1の部位において第1の差分だけ型締めの移動量が大きくなるように高低差を決定してもよいし、第2の部位において第1の差分だけ型締めの移動量が小さくなるように高低差を決定してもよい。あるいは、第1の部位において第1の差分の一部だけ型締めの移動量が大きくなり、かつ第2の部位において第1の差分の残余だけ型締めの移動量が小さくなるように高低差を決定してもよい。
【0008】
この態様によれば、厚みの差分に基づいた簡易な手順でTTVがより小さくなる高低差を決定できる。なお、第1の部位に対応する位置が第2の部位に対応する位置よりも厚いとき、第1の部位に対応する位置を薄くして差分を解消してもよいし、第2の部位に対応する位置を厚くして差分を解消してもよい。それらを組み合わせて差分を解消してもよい。
【0009】
上記態様において、TTVを測定すること、高低差を決定すること、駆動させること、及び、高低差を維持した状態で型締めすること、を所定の条件に合致するまで繰り返してもよい。
【0010】
この態様によれば、TTVが極めて小さい高精度の樹脂封止品を製造できる。所定の条件に合致することは、漸減するTTVの変化量が閾値以下になることであってもよいし、TTVが閾値以下になることであってもよいし、TTVとは無関係に試し打ちの回数が規定回数に到達することであってもよい。
【0011】
上記態様において、型締装置に第1の金型を取り付けられた状態で所定の条件に合致する高低差を決定すること、所定の条件に合致する高低差を記憶させること、及び、第1の金型を型締装置に再び取り付けるとき、記憶された高低差を読み出すこと、を更に含んでいてもよい。
【0012】
この態様によれば、第1の昇降装置と第2の昇降装置とを含む複数の昇降装置が、金型交換時に所定の条件に合致した高低差を再現する。試し打ちを繰り返して金型交換毎にシムを挿入して金型を調整したり、試し打ちを繰り返して可動プラテンの高低差を決定したりする必要がないため、作業者の負担を軽減できる。
【0013】
上記態様において、型締装置は、当該装置に固有の装置IDを有し、第1の金型は、当該金型に固有の金型IDを有していてもよい。第1の金型を型締装置に再び取り付けるとき、装置IDと金型IDとの組合せを照合することにより、当該組合せに紐づけられた高低差を読み出してもよい。
【0014】
この態様によれば、装置IDと金型IDとの組合せに紐づけられた高低差を金型交換時に自動で読み出すため、操作パネル等を操作して手動で読み出す場合と比較して作業者の負担を軽減できる。作業者の操作に起因する人為的過誤を未然に防ぐことができる。
【0015】
上記態様において、型締装置は、第1の昇降機構と第2の昇降機構とを含む四つの昇降機構を備えていてもよい。
【0016】
この態様によれば、複数の昇降機構を組み合わせて可動プラテンを多様な向きに傾斜させることができる。例えば、正面から見て左前及び左後の昇降機構を他の昇降機構よりも大きく上昇させて可動プラテンを左上がりに傾斜させたり、左前及び右前の昇降機構を他の昇降機構よりも大きく上昇させて可動プラテンを前上がりに傾斜させたりすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高精度の樹脂封止品を製造可能な樹脂封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態の樹脂封止方法に用いられる樹脂封止装置の一例を示す断面図である。
図2図2は、図1に示された可動プラテンを概略的に示す平面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態の樹脂封止方法の一例を説明するフローチャートである。
図4図4は、本発明の一実施形態の樹脂封止方法の他の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の参照符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。本発明の一実施形態は、第1の昇降機構10Aと第2の昇降機構10Bとを含む複数の昇降機構(10A,10B,…)を備えた型締装置1を用いて半導体チップ等の電子部品を樹脂封止する方法である。樹脂封止は、圧縮成形であってもよいし、トランスファ成形であってもよい。以下、図面を参照して本発明について詳しく説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態の樹脂封止方法に用いられる樹脂封止装置100の一例を示す断面図であり、後述する第1及び第2の昇降機構10A,10Bの軸部11の中心を通る平面で切断した断面図である。図1に示すように、樹脂封止装置100は、型締装置1と、型締装置1に着脱可能に取り付けられた金型30と、を備えている。
【0021】
型締装置1は、上下に延在する円柱状のタイバー4、タイバー4の端部に固定された固定プラテン(「固定盤」ともいう)2、タイバー4に沿って上下に移動する可動プラテン(「可動盤」ともいう)3、可動プラテン3を上下に移動させる駆動機構10等を備えている。金型30は、上型32と下型33とで構成されている。図示した例では、固定プラテン2に上型32が取り付けられ、可動プラテン3に下型33が取り付けられている。
【0022】
駆動機構10は、第1及び第2の昇降機構10A,10Bを含む複数の昇降機構(10A,10B,…)で構成されている。図示した例では、固定プラテン2が上側に配置され、可動プラテン3が下側に配置されているが、固定プラテン2を下側に配置し、可動プラテン3を上側に配置してもよい。各々の昇降機構10A,10B,…は、例えば、ボールねじ(11,12,13,14)、モータ15、図示しない伝達機構等で構成されている。
【0023】
伝達機構は、図示しないが、例えば、減速機、ベルト、プーリ等で構成されている。ボールねじは、軸部11、ナット12、リング13、締付けねじ14等で構成されている。軸部11は、タイバー4の延在方向に平行に延在し、伝達機構を介してサーボ制御のモータ15に回転駆動される。軸部11が回転すると、ナット12が上下方向に直線運動する。リング13の下端部は、複数の締付けねじ14でナット12に固定されている。リング13の上端部は、複数の締付けねじ21で可動プラテン3に固定されている。リング13と可動プラテン3との間をフリーシャンク構造で連結してもよい。
【0024】
型締装置1は、第1の昇降機構10Aに対応する第1の部位3A(図2に示す)が第2の昇降機構10Bに対応する第2の部位3B(図2に示す)よりも高い位置又は低い位置になるように高低差βをつけて可動プラテン3を移動させることができる。可動プラテン3を上下に移動させるために協働するこれら複数の昇降機構(10A,10B,…)を総称して、駆動機構10と称する。
【0025】
図2は、図1に示された可動プラテン3を概略的に示す平面図である。図示した例では、型締装置1の駆動機構10が四つの昇降機構10A,10B,10C,10Dを含んでいる。三つ以下の昇降機構で駆動機構10を構成してもよいし、五つ以上の昇降機構で駆動機構10を構成してもよい。各々の昇降機構10A,10B,10C,10Dは、当該昇降機構の直上に位置した対応する部位3A,3B,3C,3Dを押圧する。
【0026】
複数の昇降機構を組み合わせて可動プラテンを多様な向きに傾斜させることができる。例えば、作業者が操作する樹脂封止装置100の正面から見て左前及び左後の昇降機構を他の昇降機構よりも大きく上昇させて可動プラテンを左上がりに傾斜させたり、左前及び右前の昇降機構を他の昇降機構よりも大きく上昇させて可動プラテンを前上がりに傾斜させたりすることができる。
【0027】
なお、図示した例では、第1乃至第4の昇降機構10A,10B,10C,10Dのうちの第1及び第2の昇降機構10A,10Bが正面から見て左右に並んでいたが、第1及び第2の昇降機構10A,10Bが前後に並んでいてもよいし、第1及び第2の昇降機構10A,10Bが斜め(すなわち、略矩形の可動プラテン3の対角線上)に並んでいてもよい。換言すると、本発明でいう可動プラテン3の第1の部位3Aと第2の部位3Bとの高低差βとは、図示された可動プラテン3内の左右の高低差に限定されず、図示しない前後の高低差であってもよいし、図示しない対角の高低差であってもよい。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態の樹脂封止方法の一例を説明するフローチャートである。この樹脂封止方法では、樹脂封止により得られた樹脂封止品を測定して厚みの最大値と最小値との差であるTTVを測定する(手順S11)。次いで、TTVがより小さくなるように、第1の部位3Aと第2の部位3Bとの高低差βを決定する(手順S12)。
【0029】
手順S12について詳しく説明すると、第1の部位3Aに対応する位置で樹脂封止された樹脂封止品の第1の厚みと、第2の部位3Bに対応する位置で樹脂封止された樹脂封止品の第2の厚みとを比較する。樹脂封止品において、可動プラテン3の第1の部位3Aに対応する位置とは、例えば、第1の部位3Aの直上の位置であり、第2の部位3Bに対応する樹脂封止品の位置とは、例えば、第2の部位3Bの直上の位置である。
【0030】
図1に示された例とは逆に、固定プラテン2が下側になり、可動プラテン3が上側になる場合、第1の部位3Aに対応する位置が第1の部位3Aの直下の位置になり、第2の部位3Bに対応する位置が第2の部位3Bの直下の位置になってもよい。
【0031】
例えば、第1の厚みt1が第2の厚みt2よりも第1の差分(t1-t2)だけ大きいとき、第1の厚みt1を薄くして第1の差分(t1-t2)を解消してもよいし、第2の厚みt2を厚くして第1の差分(t1-t2)を解消してもよい。第1の厚みt1を薄くし、かつ第2の厚みt2を厚くして第1の差分(t1-t2)を解消してもよい。
【0032】
第1の厚みt1を薄くするには、例えば、第1の部位3Aにおいて第1の差分(t1-t2)だけ第1の昇降機構10Aによる型締めの移動量が大きくなるように型締装置1に入力して高低差βを決定する。型締装置1への入力方法は、作業者による操作パネル等の手動入力であってもよいし、測定装置等との通信による自動入力であってもよい。
【0033】
第2の厚みt2を厚くするには、例えば、第2の部位3Bにおいて第1の差分(t1-t2)だけ第2の昇降機構10Bによる型締めの移動量が小さくなるように入力して高低差βを決定する。あるいは、第1の部位3Aにおいて第1の差分(t1-t2)の一部であるxだけ型締めの移動量が大きくなり、かつ第2の部位3Bにおいて第1の差分(t1-t2)の残余である(t1-t2-x)だけ型締めの移動量が小さくなるように高低差βを決定してもよい。厚みt1,t2の差分に基づいた簡易な手順でTTVがより小さくなる高低差を決定できる。
【0034】
このようにして高低差βが決定されると、型締装置1は、第1の部位3Aと第2の部位3Bとが決定した高低差βとなるように第1及び第2の昇降機構10A,10Bを駆動させる(手順S13)。さらに、高低差βを維持した状態で型締めする(手順S14)。樹脂封止で得られた樹脂封止品を金型30から取り出してTTVを測定し(手順S11)、樹脂封止品の平坦度を評価する。
【0035】
所定の条件に合致するまで(手順S15:No)、手順S11~S14を繰り返してもよい。所定の条件に合致することは、漸減するTTVの変化量が閾値以下になって安定することであってもよいし、TTVが品質的に許容できる閾値以下になることであってもよいし、TTVとは無関係に試し打ちの回数があらかじめ決めておいた規定回数に到達することであってもよい。所定の条件に合致すると(手順S15:Yes)、図3に示された手順が終了する。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態の樹脂封止方法の他の一例を説明するフローチャートである。図4に示された手順は、図3に示された手順に加えて、金型交換を省力化するための手順を更に含んでいる。図4に示された手順では、まず、型締装置1に金型30(「第1の金型」の一例)を取り付けられた状態で図3に示された手順S11~S14を繰り返して所定の条件に合致する高低差βを決定する(手順S21)。
【0037】
決定した所定の条件に合致する高低差βを記憶させる(手順S22)。型締装置1に内蔵の記憶部に記憶させてもよいし、型締装置1と通信可能な外部装置に記憶させてもよいし、型締装置1から取り外して携行可能な記憶媒体に記憶させてもよい。型締装置1が当該装置に固有の装置IDを有し、金型30が当該金型に固有の金型IDを有している場合、装置IDと金型IDとの組合せに紐づけて高低差βを記憶させてもよい。
【0038】
そして、金型30を型締装置1に再び取り付けるとき、記憶されていた高低差βを読み出して所定の条件に合致した高低差を再現する(手順S23)。このとき、装置IDと金型IDとの組合せを照合することにより、当該組合せに紐づけられた高低差βを読み出してもよい。金型交換が省力化され、図4に示された手順が終了する。
【0039】
図3に示された手順S11~S14の樹脂封止方法は、型締装置1の運転中に検知した検出値を複数の昇降機構10A,10B,…の制御にリアルタイムでフィードバックするのではなく、型締装置1の運転後に樹脂封止品を測定した測定値をフィードバックして複数の昇降機構10A,10B,…の設定に反映する。そのため、可動プラテン3内の高低差βの調整において、外乱による誤差が含まれにくい。図3に示された手順S11~S14の樹脂封止方法によれば、どのような設置場所でもTTVが小さい高精度の樹脂封止品を製造できる。
【0040】
さらに、図4に示された手順S21~S23の手順の樹脂封止方法によれば、試し打ちを繰り返して金型交換毎にシムを挿入して金型を調整したり、試し打ちを繰り返して可動プラテンの高低差を決定したりする必要がない。装置IDと金型IDとの組合せに紐づけられた高低差を金型交換時に自動で読み出すため、操作パネル等を操作して手動で読み出す場合と比較して作業者の負担を軽減できる。作業者の操作に起因する人為的過誤を未然に防ぐことができる。
【0041】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を領域的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…型締装置、2…固定プラテン、3…可動プラテン、3A,3B,3C,3D…第1乃至第4の部位、4…タイバー、10…駆動機構、10A,10B,10C,10D…第1乃至第4の昇降機構、11…軸部、12…ナット、13…リング、14…締付けねじ、15…モータ、20…連結構造、21…締付けねじ、30…金型、32…上型、33…下型、100…樹脂封止装置、β…高低差。
図1
図2
図3
図4