(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】格子状構造体、基礎構造装置および支柱の設置方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/42 20060101AFI20240924BHJP
E01F 15/00 20060101ALI20240924BHJP
E01F 13/02 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
E02D27/42 A
E01F15/00
E01F13/02 Z
(21)【出願番号】P 2024022061
(22)【出願日】2024-02-16
【審査請求日】2024-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000131027
【氏名又は名称】株式会社サンポール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】山根 令
(72)【発明者】
【氏名】松本 淳
(72)【発明者】
【氏名】畠中 清
(72)【発明者】
【氏名】大江 卓浩
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036249(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102926342(CN,A)
【文献】国際公開第2012/059766(WO,A1)
【文献】特開2021-085140(JP,A)
【文献】特開2007-231643(JP,A)
【文献】登録実用新案第3111247(JP,U)
【文献】登録実用新案第3061501(JP,U)
【文献】特開昭64-034383(JP,A)
【文献】特開2020-180508(JP,A)
【文献】特開2021-038588(JP,A)
【文献】特開2021-011696(JP,A)
【文献】特開2011-163009(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02893957(FR,A1)
【文献】特開2021-085141(JP,A)
【文献】特開昭59-192133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/00-15/14
E01F 1/00
E01F 9/00-11/00
E01F 3/00-8/02
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強装置が内蔵された支柱を支持するとともに、地中に形成された同一水平面上に延びる底面を含む掘削穴内に埋め込まれる格子状構造体において、
前記支柱を支持するとともに鉛直方向に延びる円筒状さや管と、
前記円筒状さや管を保持するとともに水平方向に配置され、地中に埋め込まれる格子状体とを備え、
前記格子状体は互いに平行する複数の縦方向部材と、互いに平行する複数の横方向部材とを有し、
前記円筒状さや管は前記縦方向部材と前記横方向部材を切断して形成された開口内に嵌め込まれ、
前記円筒状さや管と前記格子状体と含む前記格子状構造体は、前記格子状体を前記掘削穴の前記同一水平面上に延びる底面に載置させた状態で、前記同一水平面上に延びる底面上方の前記掘削穴内に収ま
り、
前記円筒状さや管は前記格子状体の中心に対して、前記縦方向部材と平行する方向に沿って一側へ寄った位置に設けられ、
前記円筒状さや管が前記格子状体の中心から寄った方向に延びる前記縦方向部材は、I字状断面を有し、前記横方向部材は前記縦方向部材に直交し、かつ正方形断面の角棒をねじって形成される、格子状構造体。
【請求項2】
前記円筒状さや管の対向する一対の側面と前記格子状体上面との間に一対のサポート部材が設けられ、各サポート部材は前記円筒状さや管の一対の側面に接合される鉛直面と、前記格子状体上面に接合される底面とを有する、請求項1記載の格子状構造体。
【請求項3】
前記円筒状さや管の前記一対の側面に対して平面視で前記円筒状さや管の中心回りに90°回転して離間する側面と、前記格子状体上面との間に追加サポート部材が設けられ、前記追加サポート部材は前記円筒状さや管の前記側面に接合される追加鉛直面と、前記格子状体に接合される追加底面とを有する、請求項2記載の格子状構造体。
【請求項4】
地中に埋め込まれた請求項1乃至3のいずれか記載の格子状構造体と、
前記格子状構造体上に配置されたコンクリート部材とを備えた、基礎構造体。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか記載の格子状構造体を準備する工程と、
地表から地中を掘削して同一水平面上に延びる底面を含む掘削穴を形成する工程と、
前記掘削穴内に前記格子状構造体を配置するとともに、前記円筒状さや管と前記格子状体と含む前記格子状構造体は、前記格子状体を前記掘削穴の前記同一水平面上に延びる底面に載置させた状態で、前記同一水平面上に延びる底面上方の前記掘削穴内に収まる、工程と、
前記格子状構造体の前記円筒状さや管に前記
補強装置が内蔵された前記支柱を嵌め込む工程と、
前記掘削穴内にコンクリート部材を設ける工程とを備えた、支柱の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地中に埋められ、道路、歩道、公園等に設置される車止めポール等の支柱を支持する格子状構造体、基礎構造装置および支柱の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路、歩道、公園等において、車両の進入を禁止する目的で車止めポール等の支柱が設置されている。
【0003】
このような車止めポール等の支柱は、鉛直方向に延び、全体として細長状の円筒体を有し、地中に埋め込まれて設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような車止めポール等の支柱は地中に埋められ、地中に埋められた支柱は基礎構造体により保持される。しかしながら、従来より容易かつ簡単に支柱を地中内に設置することができ、かつ支柱を十分な強度で保持することができる基礎構造体は開発されていない。
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、容易かつ簡単に支柱を地中内に設置することができ、かつ支柱を十分な強度で保持することができる格子状構造体、基礎構造装置および支柱の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、支柱を支持するとともに、地中に埋め込まれる格子状構造体において、前記支柱を支持するとともに鉛直方向に延びる円筒状さや管と、前記円筒状さや管を保持するとともに水平方向に配置され、地中に埋め込まれる格子状体とを備え、前記格子状体は互いに平行する複数の縦方向部材と、互いに平行する複数の横方向部材とを有し、前記円筒状さや管は前記縦方向部材と前記横方向部材を切断して形成された開口内に嵌め込まれる、格子状構造体である。
【0008】
本開示は、前記円筒状さや管の対向する一対の側面と前記格子状体との間に一対のサポート部材が設けられ、各サポート部材は前記円筒状さや管の一対の側面に接合される鉛直面と、前記格子状体に接合される底面とを有する、格子状構造体である。
【0009】
本開示は、前記円筒状さや管の前記一対の側面に対して平面視で90°離間する側面と、前記格子状体との間に追加サポート部材が設けられ、前記追加サポート部材は前記円筒状さや管の前記側面に接合される追加鉛直面と、前記格子状体に接合される追加底面とを有する、格子状構造体である。
【0010】
本開示は、地中に埋め込まれた上記記載の格子状構造体と、前記格子状構造体上に配置されたコンクリート部材とを備えた、基礎構造体である。
【0011】
本開示は、上記記載の格子状構造体を準備する工程と、地表から地中を掘削して掘削穴を形成する工程と、前記掘削穴内に前記格子状構造体を配置する工程と、前記格子状構造体の前記円筒状さや管に前記支柱を嵌め込む工程と、前記掘削穴内にコンクリート部材を設ける工程とを備えた、支柱の設置方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本開示によれば、容易かつ簡単に支柱を地中内に設置することができ、かつ支柱を十分な強度で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は車止めポールを支持する基礎構造体の施工時の側断面図。
【
図3】
図3は車止めポールを支持する格子状構造体を示す平面図。
【
図4】
図4は車止めポールを取り外した格子状構造体を示す平面図。
【
図6】
図6は円筒状さや管と、サポート部材と追加サポート部材を示す平面図。
【
図7】
図7は車止めポールの設置方法を示す工程図。
【
図8】
図8は車止めポールの設置方法を示す工程図。
【
図9】
図9は車止めポールの設置方法を示す工程図。
【
図12A】
図12Aは補強装置を示す斜視図であって便宜上、上方の蓋体を取り外した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
【0015】
【0016】
まず、
図1および
図2に示すように、本開示による基礎構造体50は地中1Aに埋め込まれるとともに、車止めポール10等の支柱を支持するものである。
【0017】
すなわち、道路、歩道、公園等に車両の進入を禁止する目的で車止めポール(支柱ともいう)10が設置され、このような車止めポール10は、地中1Aに埋め込まれた基礎構造体50により堅固に支持されている。
【0018】
次に車止めポール10について述べる。
【0019】
図1、
図2および
図7に示すように、車止めポール10は地中1Aに埋め込まれるとともに、下端部11aと上端部11bとを有する細長状の円筒体11を含み、車止めポール10の円筒体11内に車止めポール10を補強する細長状の補強装置20が設けられている。この補強装置20は車止めポール10内に配置され、車止めポール10に対して車両が衝突した際、その衝突を受け止めることができる。
【0020】
このうち、車止めポール10は、地中1Aに埋め込まれる円筒体11を含むが、本実施の形態において地中1Aは地表1の下方に形成された各層からなる。すなわち地中1Aは下層から上層に向かって順次形成された路床2と、路床2上の路盤3と、路盤3上の舗装4とからなる。
【0021】
そして舗装4の上面が地表1となり、車止めポール10の円筒体11は地中1Aに埋め込まれる。そして地中1A内に埋め込まれた円筒体11の下方部は、地中1A中に充填されたコンクリート部材51に囲まれて補強される(
図1および
図2参照)。
【0022】
なお、車止めポール10は上述のように地中1Aに埋め込まれた基礎構造体50により堅固に保持されて固定されるが、この基礎構造体50については後述する。
【0023】
また、地中1A内に埋め込まれた円筒体11の下端部11aは開口し、上端部11bは開口するとともに、キャップ11cにより密閉されている。このキャップ11cの外面には、ガラスビーズを含む反射テープ11c1を取り付けることもできる。
【0024】
次に円筒体11内に設けられた細長状の補強装置20について
図11A乃至
図12Bにより述べる。
図11A乃至
図12Bに示すように、補強装置20は4つの角部21aと4つの面21bを有する正四角筒体からなる外側筒体21と、外側筒体21内に挿着され、4つの角部22aと4つの面22bとを有する正四角筒体からなる内側筒体22とを有する。そして内側筒体22の各角部22aは、外側筒体21の対応する面21bに当接している。
【0025】
本実施の形態において、内側筒体22の各角部22aは外側筒体21の対応する面21bの中央部21cに当接し、この面21bの中央部21cに溶接され固定される。
【0026】
ここで外側筒体21の対応する面21bの中央部21cとは、面21bのうち外側筒体21の角部21a間の中央部をいう。このように内側筒体22の各角部22aが外側筒体21の対応する面21bの中央部21cに当接するため、正四角筒体からなる外側筒体21と、正四角筒体からなる内側筒体22は、互いに相似する形状のものを45°ずつ回転させた状態で配置される。
【0027】
このように補強装置20は互いに相似する形状のものを45°ずつ回転させた外側筒体21と内側筒体22とからなり、このことにより補強装置20自体は大きな曲げ剛性をもつことになる。
【0028】
上述のように補強装置20は、外側筒体21と、内側筒体22とを有するが、外側筒体21の両端部は蓋体23,23により密封されていることが好ましい(
図11Aおよび
図11B参照)。
【0029】
また
図2に示すように、円筒体11内に設けられた補強装置20は、地表1から下方へ向かって長さL1だけ延び、地表1から上方へ向かって長さL2だけ延びている。
【0030】
本実施の形態において補強装置20の地表1から下端までの長さL1は、200mm~400mm、地表1から上端までの長さL2は200mm~600mmとなっている。
【0031】
ここで補強装置20の地表1から上端までの長さL2は、車止めポール10に対して車両が衝突する際の衝突可能高さに対応する。
【0032】
そして補強装置20の地表1から下端までの長さL1は、長さL2に対応する長さに定められている。このように補強装置20の長さL1と長さL2を定めることにより、車止めポール10に対して車両が衝突しても、この車両の衝突を効果的に受け止めることができる。
【0033】
なお、車止めポール10の地表1からキャップ11c上端までの長さはLとなっており、このLは600mm~850mmとなっている。また車止めポール10の外径D1は例えば110mm~130mmとなっている。
【0034】
次に
図1乃至
図6により、地中1A中に埋め込まれ、車止めポール10を保持する基礎構造体50について述べる。
【0035】
基礎構造体50は車止めポール10を保持するものであり、格子状体30とこの格子状体30に取り付けられた格子状構造体30Aと、この格子状構造体30A上に設けられたコンクリート部材51とを備える。
【0036】
次に基礎構造体50の格子状構造体30Aについて述べる。
【0037】
格子状構造体30Aは
図4乃至
図6に示すように、鉛直方向に延びる車止めポール10が挿入されてこの車止めポール10を支持するとともに鉛直方向に延びる円筒状さや管31と、円筒状さや管31を保持するとともに地中1Aに埋め込まれ、水平方向に配置された格子状体30とを有する。このうち、格子状体30は、互いに平行する複数、例えば10本の縦方向部材32と、互いに平行する複数、例えば8本の横方向部材33とを有し、全体として水平方向に延びる平板状に形成され、後述する掘削穴5の底面5a上に水平方向に載置される。
【0038】
10本の縦方向部材32は、
図13Aに示すように、I字状の断面形状をもち、この断面形状は高さS1が例えば25mm、下部32aおよび上部32bの幅S2が例えば5mm、中央部32cの幅S3が例えば3mmとなっている。
【0039】
このようなI字状の断面形状をもつ10本の縦方向部材32は、下部32aを下方に向け、上部32bを上方に向けて配置される。
【0040】
また8本の横方向部材33は、例えば一辺が5mmの正方形状の断面をもつ角棒をひねり加工することにより得られる。
【0041】
さらに8本の横方向部材33の両側に、横方向部材33と平行して延びる一対の側板34,34が設けられている。
【0042】
この一対の側板34,34は矩形状の断面形状をもち、この断面形状は高さt1が例えば50mm、その幅t2が例えば4.5mmとなっている(
図13B参照)。
【0043】
この一対の側板34,34は高さt1方向が上下方向を向くよう配置される。
【0044】
なお、本実施の形態において、「上方」および「下方」とは、基礎構造体50を
図1および
図2に示すよう配置した場合における「上方」および「下方」をいう。
【0045】
また10本の縦方向部材32と、8本の横方向部材および一対の側板34とは、平面視で互いに直交して配置されて格子状の格子状体30を構成する。この場合、10本の縦方向部材32は、ピッチP1(例えば90mm)の間隔をもって配置され、8本の横方向部材33は、ピッチP2(例えば100mm)の間隔をもって配置されている。
【0046】
このように格子状に形成された10本の縦方向部材32と、8本の横方向部材33および一対の側板34とにより、堅固に形成された格子状体30が得られる。この格子状体30は全体として鋼製となっている。
【0047】
また平面視で格子状体30は矩形状に形成され、その縦方向長さW1が例えば780mm~820mm、その横方向長さW2が例えば800mm~840mmとなっている。
【0048】
また格子状体30のうち、2本の縦方向部材32と、2本の横方向部材33を切断することにより開口40が形成され、この開口40内に円筒状さや管31が嵌め込まれて保持される(
図5参照)。
【0049】
図1および
図2、および
図5に示すように、円筒状さや管31は例えば、肉厚6mmの鋼管からなり、円筒状さや管31の内径D2は、車止めポール10の外径D1よりわずかに大きくなっており、内径D2は例えば140mm~160mmとなっている。
【0050】
また
図5に示すように、円筒状さや管31の上端から格子状体30の表面までの長さL4は例えば180mm~220mm、円筒状さや管31の下端から格子状体30の表面までの長さL5は例えば40mm~60mmとなっている。
【0051】
また円筒状さや管31の対向する一対の側面31a,31aと格子状体30との間に一対のサポート部材36,36が設けられ、この一対のサポート部材36,36により円筒状さや管31は格子状体30に堅固に固定されている(
図5および
図6参照)。
【0052】
各サポート部材36,36は断面L字状をなし、円筒状さや管31の側面31aに溶接により接合された鉛直面36aと、格子状体30の表面に溶接により接合された底面36bとを有する。
【0053】
このように円筒状さや管31の対向する一対の側面31a,31aと格子状体30との間に断面L字状の一対のサポート部材36,36を設けることにより、この一対のサポート部材36,36により円筒状さや管31を格子状体30に堅固に固定することができる。
【0054】
また円筒状さや管31の対向する一対の側面31aに対して平面視で90°離間する側面31bに、この円筒状さや管31の側面31bと格子状体30との間を堅固に連結する追加サポート部材37が設けられている(
図4および
図6参照)。
【0055】
この追加サポート部材37は断面L字状をなし、円筒状さや管31の側面31bに溶接により接合された追加鉛直面37aと、格子状体30の表面に溶接により接合された追加底面37bとを有している。
【0056】
このように円筒状さや管31の一対の側面31aに対して平面視で90°離間する側面31bに、側面31bと格子状体30を連結する断面L字状の追加サポート部材37を設けることにより、追加サポート部材37により円筒状さや管31をサポート部材36とともに格子状体30により堅固に固定することができる。
【0057】
サポート部材36および追加サポート部材37はいずれも断面L字状をなし、略同一断面形状をもつ。サポート部材36および追加サポート部材37は、鉛直面36aおよび追加鉛直面37aの長さがいずれもL6となっており、底面36bおよび追加底面37bの長さがいずれもL7となっている。
【0058】
本実施の形態において、L6は例えば80mm、L7は80mmとなっている。
【0059】
上述のように、格子状体30および円筒状さや管31は、いずれも鋼製となっている。また円筒状さや管31と格子状体30を連結して、円筒状さや管31を格子状体30に堅固に固定するサポート部材36および追加サポート部材37も、いずれも鋼製となっている。
【0060】
ところで、
図1に示すように、車止めポール10を支持する基礎構造体50は地中1A内に埋め込まれるが、この場合、基礎構造体50に支持された車止めポール10は地表1に置かれた縁石6近傍に配置される。
図1において、地中1Aの地表1のうち縁石6より右側が歩道となり、縁石6より左側が車道となる。
【0061】
本実施の形態において、格子状体30により支持される円筒状さや管31は、格子状体30の中心30aに対して縁石6側に寄った位置に取り付けられている。このため、歩道の有効幅員をより広く確保することができる。
【0062】
また、このように格子状体30の中心30aに対して縁石6側に寄った位置に円筒状さや管31を取り付けることにより、円筒状さや管31に対して縁石6と反対側に向かって格子状体30が長く延びることになる(
図1参照)。このため例えば縁石6側から車両が車止めポール10に衝突した場合、車止めポール10にかかるモーメントを縁石6と反対側に向かって円筒状さや管31から長く延びる格子状体30により確実に受け止めることができ、車止めポール10が地中1Aからの抜けを確実に防止することができる。
【0063】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について
図7乃至
図10により説明する。
【0064】
まず上述した格子状構造体30Aを作製して準備する。この格子状構造体30Aは車止めポール10が挿入されてこの車止めポール10を支持する円筒状さや管31と、この円筒状さや管31を保持する格子状体30とを有する。
【0065】
格子状構造体30Aを作製するに際し、格子状体30のうち、2本の縦方向部材32と、2本の横方向部材33を切断することにより開口40を形成し、この開口40内に円筒状さや管31を嵌め込むことにより格子状構造体30Aが作製される。
【0066】
また円筒状さや管31は円筒状さや管31の一対の側面31aと格子状体30の表面に接合された一対のサポート部材36,36と、円筒状さや管31の一対の側面31a,31aから90°離間する側面31bと格子状体30の表面に接合された追加サポート部材37とにより、格子状体30に堅固に固定される。
【0067】
次に地表1側から地中1Aを掘削して、地中1Aに掘削穴5を形成する(
図7参照)。
【0068】
この掘削穴5は、格子状構造体30Aを収納するものであるから平面視で格子状構造体30Aの格子状体30よりわずかに大きな形状をもつ。
【0069】
本実施の形態において、掘削穴5の縦方向長さW3は、格子状体30の縦方向長さW1(780mm~820mm)よりわずかに大きく、例えばW3は810mm~850mmとなっている。また掘削穴5の横方向長さW4は、格子状体30の横方向長さW2(800mm~840mm)よりわずかに大きく、例えばW4は830mm~870mmとなっている。
【0070】
また掘削穴5の深さHは路床2および路盤3の深さH1と、舗装4の深さH2とからなり、本実施の形態においてHは、例えば260mm~300mmとなっている。
【0071】
このように本実施の形態において、掘削穴5の深さH(260mm~300mm)を、掘削穴5の縦方向長さW3(810mm~850mm)および横方向長さW4(830mm~870mm)に比較してかなり小さくすることができる。このように掘削穴5の縦横比に関し、深さHを浅く設定することにより、地表1から地中1Aをスコップ等を用いて掘削する作業を容易に実施することができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、地中1Aに比較的浅い掘削穴5を形成することにより、地中1Aの深い部分に異物等が埋められていても、この異物等と干渉することなく掘削穴5を形成することができる。
【0073】
次に
図7に示すようにして、掘削穴5内に上述のように準備した格子状構造体30Aを配置する。
【0074】
その後、格子状構造体30Aの円筒状さや管31内に細長状の補強装置20と車止めポール10の円筒体11を順次挿入する。その後円筒体11の上端部11bにキャップ11cが挿着される。
【0075】
この際、格子状構造体30Aの格子状体30は掘削穴5の底面5a上に載置され、この底面5a上に支持されている。また円筒状さや管31内に挿入された車止めポール10の円筒体11および補強装置20を掘削穴5の底面5a上に載置してもよく、底面5a上に小石等を置くことにより、円筒体11および補強装置20を底面5aからわずかに浮かして配置してもよい(
図8参照)。
【0076】
このようにして地中1Aに形成された掘削穴5内に格子状構造体30Aを配置することができ、かつ格子状構造体30Aの円筒状さや管31内に車止めポール10の円筒体11を挿入することができる。この場合、車止めポール10の円筒体11内に補強装置20が配置され、円筒体11はこの補強装置20により補強される。
【0077】
その後、
図9に示すように、掘削穴5内であって格子状構造体30A上に生コンクリートを流し込んで充填し、この生コンクリートを固めることにより、掘削穴5内にコンクリート部材51を設けることができる。
【0078】
掘削穴5内であって格子状構造体30A上に生コンクリートを充填した場合、生コンクリートは格子状体30の上方から格子状体30の下方まで回り込み、生コンクリートを固めることにより得られたコンクリート部材51により、掘削穴5内で格子状構造体30Aを堅固に固定することができる。
【0079】
掘削穴5内に生コンクリートを充填する場合、地中1Aの舗装4の部分を除いて生コンクリートが充填され、生コンクリートが固まって得られたコンクリート部材51は地中1Aの舗装4の部分を除いて設けられることになる。
【0080】
次に
図10に示すように、掘削穴5内のコンクリート部材51上に追加舗装4aを設ける。この追加舗装4aは、他の舗装4と同一平面上に設けられる。
【0081】
このようにして地中1Aに、補強装置20により補強された車止めポール10を設置することができる。この場合、車止めポール10は地中1Aに埋め込まれた格子状構造体30Aと、この格子状構造体30A上に設けられたコンクリート部材51とからなる基礎構造体50により堅固に固定される。
【0082】
以上のように、本実施の形態によれば、車止めポール10を、この車止めポール10が挿入される円筒状さや管31と、円筒状さや管31を支持するとともに掘削穴5の底面5a内に水平方向に配置された全体として水平方向に延びる格子状体30とを有する格子状構造体30Aにより支持することができる。このため車止めポール10に対して車両が衝突した際、車止めポール10に加わるモーメントを掘削穴5の底面5a上に配置され、全体として水平方向に延びる格子状体30により受け止めることができる。
【0083】
このように車止めポール10に加わるモーメントを掘削穴5の底面5a上に全体として水平方向に延びる格子状体30により受け止めることができるため、車止めポール10を支持する基礎構造体50を地中1Aの浅い部分に設置することができる。このため基礎構造体50を設置するための掘削穴5の深さHを比較的小さく、例えば、Hを260mm~300mmの小さな深さに設定することができる。このことにより、掘削穴5の縦横比に関し、掘削穴5の深さHを浅く設定することにより、地表1から地中1Aをスコップ等を用いて掘削する作業を容易に実施することができる。具体的には掘削穴5の縦横比を0.3程度に設定することができる。
【0084】
また、掘削穴5内に格子状構造体30Aを設置し、格子状構造体30Aの円筒状さや管31に車止めポール10と補強装置20を設置し、掘削穴5内に生コンクリートを流し込んでコンクリート部材51を形成するだけで、容易に車止めポール10の基礎構造体を得ることができる。
【0085】
また格子状構造体30Aの円筒状さや管31が一対のサポート部材36,36および追加サポート部材37とにより格子状体30に取り付けられる。この場合、一対のサポート部材36,36および追加サポート部材37は円筒状さや管31および格子状体30に溶接により接合される。
【0086】
このことにより円筒状さや管31を格子状体30に、一対のサポート部材36および追加サポート部材37により堅固にかつ確実に取り付けることができる。
【0087】
また格子状体30により支持される円筒状さや管31は格子状体30の中心30aに対して縁石6側に寄った位置に取り付けられている。このため、歩道の有効幅員をより広く確保することができる。また、縁石6側から車両が車止めポール10に衝突した場合、車止めポール10に加わるモーメントを縁石6と反対側に向かって円筒状さや管31から長く延びる格子状体30により確実に受け止めることができる。
【0088】
さらにまた基礎構造体50のコンクリート部材51は、掘削穴5内に流し込まれた生コンクリートから得られる。このため掘削穴5内に予め完成されたコンクリートブロックを配置して基礎構造体50を作製する場合に比べて、重量の大きなコンクリートブロックの搬入作業を不要とすることができる。
【0089】
また掘削穴5内に流し込まれた生コンクリートは、地中1Aとの馴染みが良好なので、基礎構造体50のコンクリート部材51を地中1Aに堅固に設置することができる。
【0090】
さらに掘削穴5内に流し込まれた生コンクリートは格子状構造体30Aの格子状体30内まで行き渡るため、コンクリート部材51と格子状構造体30Aとを堅固に連結することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 地表
1A 地中
2 路床
3 路盤
4 舗装
4a 追加舗装
10 車止めポール
11 円筒体
11a 下端部
11b 上端部
11c キャップ
20 補強装置
21 外側筒体
21a 角部
21b 面
21c 中央部
22 内側筒体
22a 角部
22b 面
23 蓋体
30 格子状体
30A 格子状構造体
31 円筒状さや管
32 縦方向部材
33 横方向部材
34 側板
36 サポート部材
36a 鉛直面
36b 底面
37 追加サポート部材
37a 追加鉛直面
37b 追加底面
50 基礎構造体
51 コンクリート部材
H 掘削穴の深さ
W1 格子状体の縦方向長さ
W2 格子状体の横方向長さ
W3 格子状構造体の縦方向長さ
W4 格子状構造体の横方向長さ
【要約】
【課題】車止めポールの基礎構造体を容易に地中に設置する。
【解決手段】車止めポール10の基礎構造体50は円筒状さや管31と、円筒状さや管31を支持する格子状体30とを含む格子状構造体30Aを有する。格子状構造体30A上に生コンクリートを充填して得られたコンクリート部材51が設けられている。
【選択図】
図1