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特許7558608電極、その製造方法、およびそれを含む二次電池
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  • 特許-電極、その製造方法、およびそれを含む二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電極、その製造方法、およびそれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240924BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20240924BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20240924BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20240924BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240924BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALI20240924BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20240924BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240924BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240924BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20240924BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20240924BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240924BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/04 A
H01M4/133
H01M4/134
H01M4/139
H01M4/1393
H01M4/1395
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
H01M4/74 Z
H01M4/80 C
H01M10/052
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022543003
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 KR2021002290
(87)【国際公開番号】W WO2021172855
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0024422
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スー・パク
(72)【発明者】
【氏名】ブム・ヨン・ジュン
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/145109(WO,A1)
【文献】特開2019-129075(JP,A)
【文献】特開2002-025547(JP,A)
【文献】特表2019-527452(JP,A)
【文献】特開2014-238971(JP,A)
【文献】特開2014-078318(JP,A)
【文献】特開2011-134691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13
H01M 4/62
H01M 4/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質およびバインダー高分子を含む電極活物質シートと、
三次元の網状を有するメッシュ構造体を含む集電体と、
を含み、
前記メッシュ構造体の少なくとも一部は前記電極活物質シートの内部に挿入された状態で存在しており、
前記バインダー高分子は、第1バインダー高分子および第2バインダー高分子のみからなり、前記第1バインダー高分子は、スチレン-ブタジエンゴム、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー、およびフッ素ゴムからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記第2バインダー高分子は、ポリテトラフルオロエチレンであり、
前記バインダー高分子の熱分解温度は270℃~315℃である、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記バインダー高分子は、前記第1バインダー高分子および前記第2バインダー高分子を60:40~99.9:0.1の重量比で含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
前記バインダー高分子は、前記電極活物質シート内に0.5重量%~20重量%で含まれる、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項4】
前記メッシュ構造体は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群から選択された少なくとも1種を含む、請求項1からの何れか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項5】
前記リチウム二次電池用電極は、負極である、請求項1からの何れか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項6】
前記電極活物質は、炭素系活物質およびシリコン系活物質の中から選択された少なくとも1種である、請求項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項7】
前記メッシュ構造体内のメッシュの孔の広さは、0.010mm~225mmである、請求項1からの何れか一項に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項8】
網状を有するメッシュ構造体を含む集電体と、電極活物質およびバインダー高分子を含む電極活物質シートとを準備するステップと、
前記電極活物質シートを前記集電体上に位置させて加圧し、前記メッシュ構造体の少なくとも一部を前記電極活物質シートに挿入させるステップと、
を含む、請求項1からの何れか一項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項9】
前記電極活物質シートは、下記ステップを含む方法により製造される、請求項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
(a)電極活物質およびバインダー高分子を混合して顆粒型複合体を製造するステップ、
(b)前記顆粒型複合体を篩にかけるステップ、および
(c)前記顆粒型複合体を加圧して電極活物質シートを製造するステップ。
【請求項10】
前記加圧は、線圧で行われる、請求項またはに記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項11】
請求項1からの何れか一項に記載のリチウム二次電池用電極を含む二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月27日付けの韓国特許出願第10-2020-0024422号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
本発明は、電極、その製造方法、およびそれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料使用の急激な増加により代替エネルギーやクリーンエネルギーの使用に対する要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学反応を用いた発電、蓄電の分野である。
【0003】
現在、かかる電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表的な例として二次電池が挙げられる。二次電池は、電気化学的な酸化および還元反応により電気エネルギーを生成するものであって、広範囲にわたって多様な用途として用いられる。例えば、二次電池は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、タブレットPC、電動工具などのように人の手に携帯可能な装置;電気自転車、電気バイク、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気船、電気飛行機などのような各種電気駆動動力装置;再生可能エネルギーを介して発電した電力や余剰の発電電力を貯蔵するのに用いられる電力貯蔵装置;サーバコンピュータおよび通信用基地局をはじめとする各種情報通信装置に電力を安定的に供給するための無停電電源供給装置などに至るまで、その使用領域が次第に拡大している。
【0004】
一般的に、二次電池は、正極、負極、電解質、およびセパレータで構成される。この際、前記正極、負極などの電極は、一般的に、集電体上に電極活物質を含む電極スラリーを塗布し、圧延および乾燥することで製造することができる。前記二次電池は、外装材内に挿入され、電池パックの形態で用いられることができる。
【0005】
一方、二次電池は、金属材質の尖った物体から大きい衝撃が加えられた際に、前記物体が電極を貫通し得る。この場合、前記金属材質の物体と集電体が電気的に連結されるか、または互いに異なる極性の電極が前記金属材質の物体により電気的に連結されて短絡回路を形成し得る。これにより、大きい短絡電流が前記短絡回路に流れ、多量の熱を生じさせ得る。これより発生した熱は、電解質の急激な分解を誘発して多量のガスとともに急激な発熱を起こし、二次電池を爆発させる恐れがある。
【0006】
したがって、二次電池分野において、釘刺し安全性(safety for nail-penetration)を向上させるための多様な方法が試みられており、例えば、電極の抵抗を増加させて電流量を減らす方法、電極上にコーティング層を形成する方法などが試みられている。しかし、かかる方法は、抵抗の増加または電流量の減少を誘発するため、高出力を求める二次電池の開発方向とは逆になるという問題がある。
したがって、高出力を求める二次電池分野において、釘刺し安全性が向上した二次電池の開発が求められる状態である。
【0007】
韓国公開特許第10-2014-0015841号には釘刺し安全性を向上させるために二重コーティング層が形成された電極を含むリチウム二次電池について開示されているが、前述した問題を解決するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0015841号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一課題は、釘刺し安全性に優れ、抵抗が低減され、出力特性に優れた電極を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、前述した電極の製造方法を提供することにある。
また、本発明のまた他の課題は、前記電極を含む二次電池に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電極活物質およびバインダー高分子を含む電極活物質シートと、メッシュ構造体を含む集電体と、を含み、前記メッシュ構造体の少なくとも一部は前記電極活物質シートに挿入されており、前記バインダー高分子の熱分解温度は270℃~315℃である、電極を提供する。
【0011】
また、本発明は、メッシュ構造体を含む集電体と、電極活物質およびバインダー高分子を含む電極活物質シートとを準備するステップと、前記電極活物質シートを前記集電体上に位置させて加圧し、前記メッシュ構造体の少なくとも一部を前記電極活物質シートに挿入させるステップと、を含む、前述した電極の製造方法を提供する。
また、本発明は、前述した電極を含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電極は、電極活物質シートと、前記電極活物質シートに少なくとも一部が挿入されるメッシュ構造体を含む集電体と、を含んでおり、釘などの金属物体が電極を貫通するとしても、メッシュ構造体と金属物体が互いに接触しないか、または金属物体がメッシュ構造体と接触するとしてもメッシュ構造体の一部のみが切れるだけである。このため、金属物体と集電体が接する面積を減少させることができるため、電気的短絡を防止し、釘刺し安全性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の電極によると、特定範囲の熱分解温度を有するバインダー高分子を電極活物質シートに含ませており、電極活物質シートの耐熱性を好ましいレベルに向上させて釘刺し安全性を向上できるとともに、電極活物質シート内の抵抗を低減させることができるため、釘刺し安全性および出力特性が同時に向上した電極および二次電池の実現が可能である。
【0014】
また、本発明の電極の製造方法によると、メッシュ構造体を含む集電体上に電極活物質シートを位置させて加圧する工程により行われることができ、釘刺し安全性および出力特性が向上した前記電極の製造が可能である。また、特定範囲の熱分解温度を有するバインダー高分子を用いて製造された電極活物質シートは、集電体と優れた接着力を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の電極の製造方法を概略的に説明するための図である。
図2】本発明の電極の製造方法により製造された電極の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0017】
本明細書で用いられている用語は、単に例示的な実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において、「含む」、「備える」、または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないことを理解しなければならない。
【0019】
本明細書において、平均粒径(D50)は、粒子の粒径分布曲線において、体積累積量の50%に該当する粒径に定義することができる。前記平均粒径(D50)は、例えば、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。前記レーザ回折法は、一般的にサブミクロン(submicron)領域から数mm程度の粒径の測定が可能であり、高再現性および高分解性の結果を得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0020】
<電極>
本発明は、電極、具体的には、リチウム二次電池用電極に関する。
具体的に、本発明に係る電極は、電極活物質およびバインダー高分子を含む電極活物質シートと、メッシュ構造体を含む集電体と、を含み、前記メッシュ構造体の少なくとも一部は前記電極活物質シートに挿入されており、前記バインダー高分子の熱分解温度は270℃~315℃である。
【0021】
本発明に係る電極は、電極活物質シートと、前記電極活物質シートに少なくとも一部が挿入されるメッシュ構造体を含む集電体と、を含んでおり、釘などの金属物体が電極を貫通するとしても、メッシュ構造体と金属物体が互いに接触しないか、または金属物体がメッシュ構造体と接触するとしてもメッシュ構造体の一部のみが切れるだけである。このため、金属物体と集電体が接する面積を減少させることができるため、電気的短絡を防止し、釘刺し安全性を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の電極によると、特定範囲の熱分解温度を有するバインダー高分子を電極活物質シートに含ませており、電極活物質シートの耐熱性を好ましいレベルに向上させて釘刺し安全性を向上できるとともに、電極活物質シート内の抵抗を低減させることができるため、釘刺し安全性および出力特性が同時に向上した電極および二次電池の実現が可能である。
【0023】
前記電極活物質シートは、電極活物質およびバインダー高分子を含む。
前記電極活物質は、正極活物質および負極活物質から選択されてもよく、具体的には、負極活物質であってもよい。前記正極活物質および前記負極活物質は、当該分野で用いられる一般的な正極活物質および負極活物質が制限されずに用いられてもよい。
【0024】
前記負極活物質は、炭素系活物質およびシリコン系活物質の中から選択された少なくとも1種であってもよく、具体的には、炭素系活物質であってもよい。
前記炭素系活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラック、グラフェン、および繊維状炭素からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよく、好ましくは、人造黒鉛および天然黒鉛からなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよい。
【0025】
前記炭素系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的安定を図り、活物質および集電体を結着させるためのバインダー高分子の接近性をさらに容易にするという面で3μm~25μm、好ましくは8μm~15μmであってもよい。
【0026】
前記シリコン系活物質は、SiO(0≦x<2)で表される化合物を含んでもよい。SiOの場合、リチウムイオンと反応せず、リチウムを貯蔵することができないため、xは、前記範囲内であることが好ましい。
【0027】
前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、充放電時の活物質の構造的安定を図り、活物質および集電体を結着させるためのバインダー高分子の接近性をさらに容易にするという面で1μm~15μm、好ましくは2μm~10μmであってもよい。
【0028】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物であって、具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、またはアルミニウムのような1種以上の金属およびリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含んでもよい。より具体的に、前記リチウム複合金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO、LiMnなど)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoOなど)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiOなど)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、LiMn2-zNi(ここで、0<Z<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y1CoY1(ここで、0<Y1<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y2MnY2(ここで、0<Y2<1)、LiMn2-z1Coz1(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(NiCoMnr1)O(ここで、0<p<1、0<q<1、0<r1<1、p+q+r1=1)またはLi(Nip1Coq1Mnr2)O(ここで、0<p1<2、0<q1<2、0<r2<2、p1+q1+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip2Coq2Mnr3S2)O(ここで、Mは、Al、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg、およびMoからなる群から選択され、p2、q2、r3、およびs2は、それぞれ独立した元素の原子分率であって、0<p2<1、0<q2<1、0<r3<1、0<s2<1、p2+q2+r3+s2=1である)など)などが挙げられ、これらの何れか1つまたは2つ以上の化合物が含まれてもよい。中でも、電池の容量特性および安全性を高めることができるという点で、前記リチウム複合金属酸化物は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなど)、またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)Oなど)などであってもよい。リチウム複合金属酸化物を形成する構成元素の種類および含量比の制御に応じた改善効果の顕著性を考慮すると、前記リチウム複合金属酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)Oなどであってもよく、これらの何れか1つまたは2つ以上の混合物が用いられてもよい。
前記電極活物質は、前記電極活物質シート内に80重量%~99重量%、好ましくは90重量%~97重量%で含まれてもよい。
【0029】
前記バインダー高分子は、電極活物質シートと集電体、電極活物質シート内の電極活物質間の結着のために用いられてもよい。
前記バインダー高分子の熱分解温度は270℃~315℃である。前記バインダー高分子の熱分解温度が前記範囲にある際に、バインダー高分子の耐熱性および強度が好ましいレベルに向上することができるため、外部物体により電極が貫通されるとしても電極の爆発可能性が顕著なレベルに減少できるとともに、電極活物質シートの抵抗の低減が可能であるため電極の出力特性を向上させることができる。
【0030】
仮に前記バインダー高分子の熱分解温度が270℃未満であれば、バインダー高分子の耐熱性および強度が適切なレベルに向上しないため、釘刺し安全性が低下し得る。仮に前記バインダー高分子の熱分解温度が315℃を超えれば、バインダー高分子の耐熱性は増加する反面、バインダー高分子の接着力が顕著に低下し得る。これにより、活物質が集電体から脱離して安定性が減少し、電極活物質シートの抵抗が上昇して出力特性が阻害される恐れがある。
【0031】
好ましくは、前記バインダー高分子の熱分解温度は290℃~305℃であってもよく、前記範囲である際に、バインダー高分子の耐熱性、強度、および接着力の何れにも優れたレベルに向上することができるため、釘刺し安全性および電池特性が向上することができる。
【0032】
前記バインダー高分子は、互いに異なる異種の第1バインダー高分子および第2バインダー高分子を含んでもよい。前記第1バインダー高分子および前記第2バインダー高分子をともに用いることで、所望レベルの熱分解温度を有するバインダー高分子の実現が可能であるため、釘刺し安全性および出力特性が同時に向上した電極の製造が可能である。
【0033】
前記第1バインダー高分子は、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride、PVDF)、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、およびフッ素ゴムからなる群から選択される少なくとも1種であってもよく、好ましくは、スチレン-ブタジエンゴムおよびポリビニリデンフルオライドの中から選択された少なくとも1種であってもよく、より好ましくは、スチレン-ブタジエンゴムであってもよい。第1バインダー高分子として前記物質を用いる際に、メッシュ構造体を含む集電体との接着力をさらに向上させることができるという面で好ましい。
【0034】
前記第2バインダー高分子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。前記第2バインダー高分子としてポリテトラフルオロエチレンの使用時、乾式で電極活物質層を形成する際に、第2バインダー高分子が電極活物質層に円滑に分散されることができ、電極活物質シートの耐熱性および強度を好ましいレベルに向上させることができるため、金属材質の外部物体が電極を貫通するとしても釘刺し安全性を向上させることができる。また、第2バインダー高分子を第1バインダー高分子とともに用いる際に、電極活物質およびバインダー高分子の乾式混合などによりシート状の電極活物質シートを製造することができるため、後述するメッシュ構造体を含む集電体に電極活物質シートを円滑に挿入させることができる。
【0035】
前記ポリテトラフルオロエチレンの重量平均分子量は8,000~56,000、好ましくは24,000~50,000であってもよく、前記範囲にある際に、電極活物質シートの耐熱性および強度を向上できるとともに、接着力をさらに向上させることができるため好ましい。
【0036】
前記バインダー高分子は、前記第1バインダー高分子および前記第2バインダー高分子を60:40~99.9:0.1の重量比、好ましくは75:25~99:1の重量比、より好ましくは85:15~92.5:7.5の重量比で含んでもよく、この場合、本発明に係るバインダー高分子の熱分解温度を容易に達成できるとともに、前述した釘刺し安全性および出力特性の同時向上効果が好ましく実現されるため好ましい。
【0037】
前記バインダー高分子が前記第1バインダー高分子および前記第2バインダー高分子を含む場合、前記第1バインダー高分子および前記第2バインダー高分子は、何れも本発明に係る熱分解温度範囲を満たしてもよく、前記第1バインダー高分子および前記第2バインダー高分子の種類、重量比に応じて全体的なバインダー高分子の熱分解温度が本発明に係る熱分解温度範囲を満たしてもよい。
【0038】
前記バインダー高分子の熱分解温度は、熱重量分析(Thermogravimetric analysis、TGA)により測定されてもよい。前記バインダー高分子の熱分解温度は、バインダー高分子のTGAによる分析時、熱分解によりバインダー高分子の質量が減少する時点での温度(開始温度(onset temperature))に定義することができる。
【0039】
前記バインダー高分子は、前記電極活物質シート内に0.5重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%で含まれてもよく、前記範囲にある際に、集電体との接着力を十分に向上させながらも、バインダー高分子が過量添加されることに応じた抵抗の上昇を防止することができるため好ましい。
【0040】
前記電極活物質シートは、前記電極活物質、前記バインダー高分子とともに、導電材をさらに含んでもよい。
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず且つ導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。
【0041】
前記導電材は、前記電極活物質シート内に0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%で含まれてもよい。
前記電極活物質シートの厚さは50μm~500μm、好ましくは100μm~300μmであってもよい。
【0042】
前記集電体は、メッシュ構造体を含む。本発明に係る電極は、メッシュ構造体を含む集電体を用いるため、外部物体により電極貫通が発生するとしても、一般的に用いられるシート状の集電体よりは外部物体と集電体が接する面積を減少させることができるため、電気的短絡による発火、爆発の可能性が減少することができる。
【0043】
前記メッシュ構造体は、三次元の網状を有する構造体であってもよく、複数の直線または曲線の交差により形成されたメッシュまたは孔を形成してもよい。
前記メッシュ構造体の少なくとも一部は、前記電極活物質シートに挿入される。本発明の電極によると、前記メッシュ構造体の少なくとも一部は、前記電極活物質シート内に挿入されてもよく、前記メッシュ構造体内のメッシュは、前記電極活物質シートの内部に存在してもよい。
【0044】
前記メッシュ構造体は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、およびアルミニウム-カドミウム合金からなる群から選択された少なくとも1種を含んでもよく、より好ましくは、銅を含んでもよい。
【0045】
前記メッシュ構造体を含む集電体は、前記電極活物質シートに少なくとも一部が挿入されるため、電極活物質シートの大きさ、厚さなどを考慮してメッシュ構造体の大きさ、厚さを調節してもよい。
【0046】
前記メッシュ構造体は、複数のメッシュを含む。前記メッシュ構造体内のメッシュがなす孔(hole)の広さは0.010mm~225mm、好ましくは0.25mm~9.0mmであってもよい。前記範囲である際に、釘などの外部物体の貫通時、メッシュ構造体と外部物体との間の電気的連結が誘発される可能性を減らしながらも、電極活物質シートとの接着力を向上させることができるため、釘刺し安全性を向上させながらも、電極活物質シートがメッシュ構造体から脱離する可能性を減少させることができる。本明細書において、「メッシュの孔」とは、メッシュ内で隣接した直線または曲線の交差により形成された平面図形に定義することができ、前記平面図形は、三角形、四角形などの多角形、円形などの形状であってもよい。
【0047】
前記電極は、正極および/または負極であってもよく、具体的には、負極であってもよい。具体的に、前記負極の集電体として銅などを用いてもよいが、銅は軟性が高いため、シート状の集電体に釘などの外部物体が貫通される際に、正極集電体に接触するなどで電気的短絡を誘発する可能性が大きい。しかし、本発明の電極を負極に適用する場合、釘刺し安全性に優れ、電気的短絡の危険を防止することができるため好ましい。
【0048】
<電極の製造方法>
また、本発明は、電極の製造方法、具体的には、前述した電極の製造方法を提供する。
【0049】
具体的に、本発明の電極の製造方法は、メッシュ構造体を含む集電体と、電極活物質およびバインダー高分子を含む電極活物質シートとを準備するステップと、前記電極活物質シートを前記集電体上に位置させて加圧し、前記メッシュ構造体の少なくとも一部を前記電極活物質シートに挿入させるステップと、を含む、前述した電極の製造方法を提供する。
【0050】
本発明の電極の製造方法によると、メッシュ構造体を含む集電体上に電極活物質シートを位置させて加圧する工程により行われることができ、釘刺し安全性および出力特性が向上した前記電極の製造が可能である。また、特定範囲の熱分解温度を有するバインダー高分子を用いて製造された電極活物質シートは、集電体と優れた接着力を有することができる。
【0051】
以下、図面を参照して、本発明の電極の製造方法について詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付するにおいて、同一の構成要素に対しては、他の図面上に表示される際にも可能な限り同一の符号を有するようにすることができる。また、本発明を説明するにおいて、関連した公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を濁す恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図1は、本発明の電極の製造方法を概略的に説明するための図である。図2は、本発明の電極の製造方法により製造された電極の平面図である。
図1を参照すると、本発明の電極の製造方法は、メッシュ構造体11を含む集電体10と、電極活物質およびバインダー高分子を含む電極活物質シート20a、20bとを準備するステップを含む。
【0053】
メッシュ構造体11は、複数のメッシュを含む。図1および図2に示されたように、メッシュ構造体11内のメッシュの孔12の広さは0.010mm~225mm、好ましくは0.25mm~9.0mmであってもよい。前記範囲である際に、釘などの外部物体の貫通時、メッシュ構造体と外部物体との間の電気的連結が誘発される可能性を減らしながらも、電極活物質シートとの接着力を向上させることができるため、釘刺し安全性を向上させながらも、電極活物質シートがメッシュ構造体から脱離する可能性を減少させることができる。本明細書において、「メッシュの孔12」とは、メッシュ内で隣接した直線または曲線の交差により形成された平面図形に定義することができ、前記平面図形は、三角形、四角形などの多角形、円形などの形状であってもよい。
前記メッシュ構造体11を含む集電体10は、前述した電極において説明したとおりである。
【0054】
前記電極活物質シート20a、20bは、下記ステップを含む方法により製造されてもよい:
(a)電極活物質およびバインダー高分子を混合して顆粒型複合体を製造するステップ、
(b)前記顆粒型複合体を篩にかけるステップ、および
(c)前記顆粒型複合体を加圧して電極活物質シートを製造するステップ。
【0055】
前記電極活物質シートの製造方法によると、電極活物質およびバインダー高分子を混合して顆粒型複合体を製造する((a)ステップ)。前記電極活物質および前記バインダーを混合する場合、バインダーの接着力により電極活物質とバインダーが複合化された顆粒型の複合体を形成することができる。
前記電極活物質および前記バインダー高分子は、前述した電極において説明したとおりである。
【0056】
前記電極活物質および前記バインダー高分子とともに、導電材をさらに混合してもよい。前記導電材に関する説明は、前述した電極において説明したとおりである。
【0057】
前記電極活物質および前記バインダー高分子の混合は、乾式混合により行われてもよい。前記乾式混合により行われる際に、これらの混合物の乾燥工程を行う必要がないため好ましい。
【0058】
前記電極活物質シートの製造方法によると、前記顆粒型複合体を篩にかける(sieving)ステップを含む((b)ステップ)。前記篩かけ工程により顆粒型複合体の均一性を向上させることができるため、電極活物質シート内の成分の分布が均一になることができる。
【0059】
前記電極活物質シートの製造方法によると、前記顆粒型複合体を加圧して電極活物質シートを製造する((c)ステップ)。前記顆粒型複合体に圧力が加えられることにより、前記顆粒型複合体が凝集し、シート状の電極活物質シートが製造されることができる。
その他の電極活物質シート20a、20bに関する説明は、前述した電極において説明したとおりである。
【0060】
また、本発明の電極の製造方法は、前記電極活物質シート20a、20bを前記集電体10上に位置させて加圧し、前記メッシュ構造体11の少なくとも一部を前記電極活物質シート20a、20bに挿入させるステップを含む。
【0061】
図1および図2に示されたように、前記電極活物質シート20a、20bを前記集電体10上に位置させた後に加圧させることにより、前記電極活物質シート20a、20bの少なくとも一部に前記メッシュ構造体11が挿入されることになる。
【0062】
前記電極活物質シート20a、20bは、前記集電体10の一面または両面に配置されてもよい。例えば、図1に示されたように、前記電極活物質シート20a、20bは、前記集電体10の両面に配置されてもよい。
【0063】
前記加圧は、線圧で行われてもよく、例えば、前記集電体上に配置された前記電極活物質シートにロールプレス30a、30bを行い、前記メッシュ構造体の少なくとも一部を前記電極活物質シートに挿入させてもよい。
【0064】
<二次電池>
また、本発明は、前述した電極を含む二次電池、より具体的には、リチウム二次電池を提供する。
【0065】
具体的に、前記二次電池は、負極と、前記負極に対向する正極と、前記負極および前記正極に介在されるセパレータと、電解質と、を含んでもよい。前記負極および/または正極、好ましくは前記負極は、前述した電極であってもよい。
【0066】
前記セパレータは、負極と正極を分離しリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、二次電池においてセパレータとして用いられるものであれば特に制限されずに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、且つ、電解液含湿能力に優れることが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が用いられてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するためにセラミック成分または高分子物質含みのコーティングされたセパレータが用いられてもよく、選択的に単層または多層構造として用いられてもよい。
【0067】
前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0068】
具体的に、前記電解質は、非水系有機溶媒および金属塩を含んでもよい。
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられてもよい。
【0069】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒として誘電率が高くてリチウム塩をよく解離させるため、好ましく用いることができ、かかる環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の直鎖状カーボネートを適した割合で混合して用いると、高い電気伝導率を有する電解質を作製することができるため、さらに好ましく用いることができる。
【0070】
前記金属塩としては、リチウム塩を用いてもよく、前記リチウム塩は、前記非水電解液に溶解されやすい物質であって、例えば、前記リチウム塩のアニオンとしては、F、Cl、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN、および(CFCFSOからなる群から選択される1種以上を用いてもよい。
【0071】
前記電解質には、前記電解質の構成成分の他にも電池の寿命特性の向上、電池容量の減少抑制、電池の放電容量の向上などを目的に、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、または三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。
【0072】
本発明の他の実施形態によると、前記二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュールおよび電池パックは、高容量、高いレート特性、およびサイクル特性を有する前記二次電池を含むため、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ-インハイブリッド電気自動車、および電力貯蔵用システムからなる群から選択される中大型デバイスの電源として用いられることができる。
【0073】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本記載を例示するものにすぎず、本記載の範囲および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することはいうまでもない。
【0074】
実施例
実施例1
<電極活物質シートの製造>
バインダー高分子としては、第1バインダー高分子としてスチレン-ブタジエンゴム、および第2バインダー高分子としてポリテトラフルオロエチレン(重量平均分子量:40,000g/mol)を90:10の重量比で混合したものを用いた。熱重量分析法(TGA)により測定された前記バインダー高分子の熱分解温度は297℃であった。
【0075】
負極活物質として人造黒鉛(平均粒径(D50):18μm)、前記バインダー高分子、導電材としてカーボンブラック(製品名:Super-C、製造会社:Timcal)を95:4:1の重量比で乾式混合し、顆粒型複合体を製造した。前記顆粒型複合体を蒸留水に固形分85%となるように添加し、プラネタリーミキサーを介して2時間撹拌し、それをメッシュ直径5mmの篩にかけた。
前記顆粒型複合体をシート状で配置し、ロールプレスで線圧による加圧を行い、シート状の電極活物質シートを製造した。
【0076】
<電極の製造>
横×縦×高さが36mm×56mm×0.05mmであり、メッシュ直径が1mmであり、メッシュの孔の広さが1mm(横1mm×縦1mm)である銅メッシュ構造体を含む集電体を準備した。
【0077】
上記で製造された電極活物質シートを集電体の両面に配置し、ロールプレスを介して線圧を加えて、前記メッシュ構造体を前記電極活物質シートに挿入させ、それを実施例1の負極とした。上記で製造された負極において、電極活物質シートの厚さは200μmであった。
【0078】
実施例2
第1バインダー高分子および第2バインダー高分子を95:5の重量比で混合したものをバインダー高分子(熱分解温度:308℃)として用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0079】
実施例3
第1バインダー高分子および第2バインダー高分子を80:20の重量比で混合したものをバインダー高分子(熱分解温度:284℃)として用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0080】
比較例1
バインダー高分子として、実施例1で用いられた第2バインダー高分子(熱分解温度:326℃)のみを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で負極を製造した。
【0081】
比較例2
バインダー高分子として、実施例1で用いられた第1バインダー高分子(熱分解温度:263℃)のみを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法を行った。しかし、比較例2の場合、用いられたバインダー高分子の分散性が低いため、負極自体の製造が不可能であった。
【0082】
比較例3
実施例1で用いられた負極活物質、バインダー高分子としてスチレン-ブタジエンゴムおよびカルボキシメチルセルロースを2:1の重量比で混合したもの、および導電材としてカーボンブラック(製品名:Super-C、製造会社:Timcal)を95:4:1の重量比で蒸留水に添加し、負極スラリーを製造した。
【0083】
シート状の銅集電体(厚さ:20μm)に前記負極スラリーを塗布して圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層(厚さ:210μm)を形成し、負極を製造した。
【0084】
【表1】
【0085】
実験例
<二次電池の製造>
正極活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1、導電材としてカーボンブラック、バインダーとしてPVdFを94:3.5:2.5の重量比で混合し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加し、正極スラリーを製造した。製造された正極スラリーをアルミニウム集電体にコーティングし、乾燥および圧延後に一定大きさに切断し、正極を製造した。
【0086】
上記のように製造された正極と実施例1の負極との間に多孔性ポリエチレンのセパレーターを介在して電極組立体を製造し、前記電極組立体をケースの内部に位置させた後、ケースの内部に電解質を注入し、実施例1の二次電池を製造した。
【0087】
電解質としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を30:70の体積比で混合した有機溶媒に、リチウム塩としてLiPFを1Mの濃度で添加したものを用いた。
【0088】
前記実施例2~3、比較例1~3の負極をそれぞれ用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で実施例2~3、比較例1~3の二次電池を製造した。
【0089】
実験例
実験例1:釘刺し安全性テスト
実施例1~3、比較例1~3で製造された二次電池を0.1C、4.2Vの条件でフル充電した後、直径10mmの釘を25mm/sの速度で下降させて電池の中央部を通過させ、電池を通過して出た釘の長さが10mmである地点で貫通実験を完了した。実施例1~3、比較例1~3で製造された二次電池を5個準備し、上記のような貫通実験を5回繰り返し行った。
【0090】
表2に、1)5回の実験中の二次電池の発火回数、2)未発火の二次電池が存在する場合、未発火の二次電池の最高温度を示した。
【0091】
【表2】
【0092】
表2を参照すると、実施例の二次電池の場合、比較例に比べて、発火回数が少なく、未発火の二次電池の最高温度も低いため、釘刺し安全性に優れることを確認することができる。
【符号の説明】
【0093】
10:集電体
11:メッシュ構造体
12:メッシュ孔
20a、20b:電極活物質シート
30a、30b:ロールプレス
図1
図2