(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびこれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240924BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240924BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/342 201
(21)【出願番号】P 2023503481
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 KR2022000651
(87)【国際公開番号】W WO2022158791
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0007657
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ダヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュンフン・イ
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/131221(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205488293(CN,U)
【文献】中国実用新案第207587799(CN,U)
【文献】中国実用新案第211789199(CN,U)
【文献】中国実用新案第209785997(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、
前記モジュールフレーム上部と前記電池セル積層体の上部との間に位置する消火部材とを含み、
前記モジュールフレーム上部の中心部と前記モジュールフレーム上部の周辺部との間に位置し、かつ、前記電池セル積層体に向かって貫通しているベンティング部を含む
電池モジュールであって、
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上部のうち貫通孔が形成されていない中心部を囲むように形成されており、
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上部の中心部と前記モジュールフレーム上部の周辺部とを連結する少なくとも1つの連結部を含み、
前記少なくとも1つの連結部は、前記モジュールフレーム上部の中心部を、前記電池モジュール内の圧力が増加したことに応答して前記モジュールフレーム上部の周辺部に対して上方向に変位できるように、前記モジュールフレーム上部の周辺部に対して支持する、電池モジュール。
【請求項2】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上部の中心部を囲む額縁型構造に形成されている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、
前記モジュールフレーム上部と前記電池セル積層体の上部との間に位置する消火部材とを含み、
前記モジュールフレーム上部の中心部と前記モジュールフレーム上部の周辺部との間に位置し、かつ、前記電池セル積層体に向かって貫通しているベンティング部を含む電池モジュールであって、
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上部のうち貫通孔が形成されていない中心部を囲むように形成されており、
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上部の中心部と前記モジュールフレーム上部の周辺部とを連結する少なくとも1つの連結部を含
み、
前記少なくとも1つの連結部は、前記モジュールフレーム上部の中心部および周辺部とは異なる弾性素材で形成される、電池モジュール。
【請求項4】
前記ベンティング部を形成するそれぞれの角に少なくとも1つの前記連結部が形成されている、請求項
1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記ベンティング部は、第1ベンティング部および第2ベンティング部を含み、
前記第2ベンティング部は、前記第1ベンティング部に囲まれる前記モジュールフレーム上部の中心部に位置し、かつ、前記第1ベンティング部と離隔して位置する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記連結部は、第1連結部および第2連結部を含み、
前記第1連結部は、前記第1ベンティング部を形成するそれぞれの角に形成されており、
前記第2連結部は、前記第2ベンティング部を形成するそれぞれの角に形成されている、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記ベンティング部は、前記電池セル積層体に向かって斜線方向に貫通している、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記斜線方向は、前記モジュールフレーム上部を基準として前記電池セル積層体の中心部に向かう角度を有する、請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記ベンティング部の一端部は、外部に露出しており、前記ベンティング部の他端部は、前記消火部材と隣接して位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記消火部材は、前記モジュールフレーム上部と前記電池セル積層体の上部との間で前記電池セル積層体の積層方向に沿って延びている、請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記消火部材の厚さは、前記モジュールフレーム上部と前記電池セル積層体の上部との間に離隔している距離と同一であるか、これより小さい、請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記消火部材は、消火薬剤が含まれている消火物質からなる、請求項1~11のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年1月19日付の韓国特許出願第10-2021-0007657号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関し、より具体的には、電池モジュール内の発火時に火炎を効果的に抑制し、内部ガスを効果的に排出させる電池モジュールおよびこれを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
小型モバイル機器にはデバイス1台あたり1個または2、3、4個の電池セルが用いられるのに対し、自動車などのような中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが用いられる。
【0005】
中大型電池モジュールは、できるだけ小さい大きさと重量で製造されることが好ましいので、高い集積度で積層可能であり、容量に比べて重量が小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に用いられている。一方、電池モジュールは、電池セル積層体を外部衝撃、熱または振動から保護するために、前面と後面が開放されて電池セル積層体を内部空間に収納するモジュールフレームを含むことができる。
【0006】
図1は、従来の電池モジュールを示す斜視図である。
図2は、
図1のA-A軸に沿った断面図である。
【0007】
図1および
図2を参照すれば、従来の電池モジュール10は、複数の電池セル11が一方向に積層されている電池セル積層体12と、電池セル積層体12を収容するモジュールフレーム30、40と、電池セル積層体12の前後面をカバーするエンドプレート50と、エンドプレート50と電池セル積層体12の前後面との間に形成されたバスバーフレーム(図示せず)とを含む。ここで、モジュールフレーム30、40は、前後面と上面が開放されている下部フレーム30および上部プレート40を含む。ここで、電池セル積層体12とモジュールフレーム30、40との間には圧縮パッド15が含まれている。
【0008】
ここで、電池モジュール10は、モジュールフレーム30、40によって電池モジュール10の内部が密閉されている構造を有し、電池セル積層体12に含まれている一部の電池セル11で発火した時、他の隣接した電池セル11に火炎および/または熱が伝播しうる。これとともに、電池モジュール10内の圧力が発火によって大きく増加し、隣接した電池モジュール10に対しても影響を及ぼすなど発火現象の連続性を有する問題がある。
【0009】
これによって、従来とは異なり、電池モジュール10内の発火時に熱伝播速度を効果的に遅延させ、安全性が向上した電池モジュールを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、電池モジュール内の発火時に火炎を効果的に抑制し、内部ガスを効果的に排出させる電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする課題が上述した課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体の下部および両側面を収容する下部フレームと、前記電池セル積層体の上面を覆う上部プレートと、前記モジュールフレーム上部と前記電池セル積層体の上部との間に位置する消火部材とを含み、前記モジュールフレーム上部の中心部と前記モジュールフレーム上部の周辺部との間に位置し、かつ、前記電池セル積層体に向かって貫通しているベンティング部を含む。
【0013】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上部の中心部を囲む額縁型構造に形成されている。
【0014】
前記ベンティング部は、前記モジュールフレーム上部の中心部と前記モジュールフレーム上部の周辺部とを連結する少なくとも1つの連結部を含むことができる。
【0015】
前記ベンティング部を形成するそれぞれの角に少なくとも1つの前記連結部が形成されている。
【0016】
前記ベンティング部は、第1ベンティング部および前記第2ベンティング部を含み、前記第2ベンティング部は、前記第1ベンティング部に囲まれる前記モジュールフレーム上部の中心部に位置し、かつ、前記第1ベンティング部と離隔して位置することができる。
【0017】
前記連結部は、第1連結部および前記第2連結部を含み、前記第1連結部は、前記第1ベンティング部を形成するそれぞれの角に形成されており、前記第2連結部は、前記第2ベンティング部を形成するそれぞれの角に形成されている。
【0018】
前記ベンティング部は、前記電池セル積層体に向かって斜線方向に貫通している。
【0019】
前記斜線方向は、前記モジュールフレーム上部を基準として前記電池セル積層体の中心部に向かう角度を有することができる。
【0020】
前記ベンティング部の一端部は、外部に露出しており、前記ベンティング部の他端部は、前記消火部材と隣接して位置することができる。
【0021】
前記消火部材は、前記モジュールフレーム上部と前記電池セル積層体の上部との間で前記電池セル積層体の積層方向に沿って延びている。
【0022】
前記消火部材の厚さは、前記モジュールフレーム上部と前記電池セル積層体の上部との間に離隔している距離と同一であるか、これより小さい。
【0023】
前記消火部材は、消火(fire extinguishing)薬剤が含まれている消火物質からなってもよい。
【0024】
本発明の他の実施例による電池パックは、上記で説明した電池モジュールを含む。
【発明の効果】
【0025】
実施例によれば、本発明は、電池セル積層体の上部に消火部材が位置し、モジュールフレーム上部にベンティング部が形成されている電池モジュールおよびこれを含む電池パックであって、電池モジュール内の発火時に火炎を効果的に抑制し、内部ガスを効果的に排出させることができる。
【0026】
本発明の効果が上述した効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】本発明の一実施例による電池モジュールの斜視図である。
【
図6】
図3の電池モジュールのモジュールフレーム上部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0029】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0030】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0031】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0032】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0033】
以下、本発明の実施例による電池モジュールについて説明する。ただし、ここで電池モジュールの前後面のうち前面を基準として説明されるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、後面の場合にも、同一または類似の内容で説明される。
【0034】
図3は、本発明の一実施例による電池モジュールの斜視図である。
図4は、
図3のB-B軸に沿った断面図である。
【0035】
図3および
図4を参照すれば、本発明の一実施例による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層されている電池セル積層体120と、電池セル積層体120を収容するモジュールフレーム300、400とを含む。また、前記電池セル積層体120の前後面とエンドプレート500との間にはバスバーフレーム(図示せず)が位置し、前記バスバーフレーム(図示せず)にはバスバーが位置することができる。さらに、前記電池セル積層体120の側面とモジュールフレーム300、400との間に圧縮パッド150が位置することができる。
【0036】
モジュールフレーム300、400は、電池セル積層体120の下部および両側面を収容するモジュールフレーム下部300と、電池セル積層体120の上面を覆うモジュールフレーム上部400とを含む。ただし、これに限定されたものではなく、L字状フレームまたはU字状フレームおよび上部プレートのような他の形状のフレームに代替されてもよい。
【0037】
電池セル110は、パウチ型電池セルであることが好ましい。電極組立体を、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートのパウチケースに収納した後、前記パウチケースのシーリング部を熱融着して製造される。このような電池セル110は、複数個から構成され、複数の電池セル110は、相互電気的に連結できるように積層された電池セル積層体120を形成する。特に、
図3および
図4に示されているように、y軸と平行な積層方向に沿って複数の電池セル110が積層される。
【0038】
また、
図3および
図4を参照すれば、本実施例による電池モジュール100は、モジュールフレーム上部400と電池セル積層体120の上部との間に位置する消火部材170を含む。
【0039】
さらに、消火部材170は、モジュールフレーム上部400の下面に付着している。一例として、消火部材170は、モジュールフレーム上部400の下面に別の接着層を介して付着している。他の例として、消火部材170は、シートあるいはフォーム形状を有し、かつ、消火部材170自体が有する接着力によってモジュールフレーム上部400の下面に付着していてもよい。他の例として、消火部材170は、液状形態で用意されており、モジュールフレーム上部400の下面に所定の厚さに塗布あるいは噴射されてもよい。ただし、これに限定されるものではなく、消火部材170は、多様な形態でモジュールフレーム上部400の下面に付着してもよい。
【0040】
また、消火部材170は、モジュールフレーム上部400と電池セル積層体120の上部との間で電池セル積層体120の積層方向(y軸方向)に沿って延びている。より具体的には、消火部材170の幅は、モジュールフレーム上部400と電池セル積層体120の上部との間で電池セル積層体120の積層方向(y軸方向)に沿って延びている。より好ましくは、消火部材170の幅は、モジュールフレーム上部400と電池セル積層体120の上部との間で電池セル積層体120の上部の幅と同一であるか、これより小さく延びている。
【0041】
また、消火部材170は、モジュールフレーム上部400と電池セル積層体120との間の離隔している空間に位置することができる。より具体的には、消火部材170の厚さは、モジュールフレーム上部400と電池セル積層体120の上部との間に離隔している距離と同一であるか、これより小さい。
【0042】
これによって、本実施例による電池モジュール100において消火部材170が電池セル積層体120の上部に対応する位置に配置されて、電池セル積層体120の一部の電池セル110において火炎発生時、電池セル110で発生した火炎の強度を効果的に抑制させることができる。さらに、電池モジュール100の安全性も向上できる。
【0043】
また、消火部材170は、消火(fire extinguishing)薬剤が含まれている消火物質からなってもよい。ここで、消火部材170は、フォーム(foam)、エアロゲルブランケット(Aerogel Blanket)、雲母シート(MICA Sheet)形態の部材であってもよい。また、前記消火薬剤物質は、一般に使用される粉末状の消火薬剤物質であってもよい。一例として、前記消火薬剤物質は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、リン酸アンモニウム(NH4H2PO3)、および「炭酸水素カリウム(KHCO3)と尿素((NH2)2CO)」の混合物のいずれか1つであってもよい。特に、消火部材170に含まれている消火薬剤物質は、炭酸水素カリウム(KHCO3)を含むことができる。ただし、前記消火薬剤物質はこれに限定されず、消火機能を行う物質であれば制限なく使用可能である。
【0044】
これによって、本実施例による電池モジュール100内に発火現象が発生した時、消火部材170が電池セル積層体120の上部に隣接して位置して、電池セル110で発生した火炎の強度を効果的に抑制することができる。これとともに、消火部材170による電池セル110で発生した火炎の消火過程で、二酸化炭素および水蒸気が発生できる。このような反応は吸熱反応で電池セル110の熱を吸収することができ、酸素供給も遮断可能で、電池セル110間の火炎および熱伝播速度が効果的に遅延可能である。また、電池モジュール100の安全性も向上できる。
【0045】
以下、モジュールフレーム上部400およびベンティング部410についてより具体的に説明する。
【0046】
図5は、
図3の電池モジュールの上面図である。
図6は、
図3の電池モジュールのモジュールフレーム上部を示す図である。
【0047】
図4~
図6を参照すれば、本実施例において、モジュールフレーム上部400は、モジュールフレーム上部400の中心部とモジュールフレーム上部の周辺部との間に位置し、かつ、電池セル積層体120に向かって貫通しているベンティング部410を含む。
【0048】
また、モジュールフレーム上部400において、ベンティング部410は、モジュールフレーム上部400の中心部を囲む額縁型構造に形成されている。一例として、ベンティング部410は、4個の角を有する額縁型構造に形成されている。ここで、前記4個の角は、互いに垂直な方向に配置されて連結される。ただし、ベンティング部410の形状はこれに限定されるものではなく、多様な形状を有する構造に形成されていてもよい。
【0049】
これによって、電池モジュール100内に発火現象が発生した時、先に言及した消火部材170の一部が溶ける場合、ベンティング部410を介して内部電池モジュール100内のガスが排出できる。
【0050】
また、
図5および
図6を参照すれば、ベンティング部410は、モジュールフレーム上部400の中心部とモジュールフレーム上部400の周辺部とを連結する少なくとも1つの連結部450を含むことができる。より具体的には、ベンティング部410を形成するそれぞれの角に少なくとも1つの連結部450が形成されている。一例として、ベンティング部410が4個の角からなる額縁型構造を有する場合、前記4個の角にそれぞれ少なくとも1つの連結部450が形成されている。
【0051】
ここで、連結部450は、難燃性および/または耐火性物質を含む素材であってもよい。より具体的には、連結部450は、難燃性および/または耐火性物質がコーティングされている弾性素材であってもよい。ただし、これに限定されるものではなく、電池モジュール100の発火時に発生する火炎または高温のガスに変形しない程度の十分な難燃性および/または耐火性を有する素材であれば適用可能である。
【0052】
これによって、連結部450は、電池モジュール100の発火時にも変形せず、モジュールフレーム上部400の中心部とモジュールフレーム上部400の周辺部との間で十分に支持されており、ベンティング部410を介して高温のガスおよび/または火炎が外部に十分に排出できる。
【0053】
また、本実施例において、ベンティング部410は、第1ベンティング部411および第2ベンティング部415を含み、第2ベンティング部415は、第1ベンティング部411に囲まれるモジュールフレーム上部400の中心部に位置し、かつ、第1ベンティング部411と離隔して位置することができる。ここで、連結部450は、第1連結部451および第2連結部455を含み、第1連結部451は、第1ベンティング部411を形成するそれぞれの角に形成されており、第2連結部455は、第2ベンティング部415を形成するそれぞれの角に形成されている。ただし、他の実施例によれば、ベンティング部410において、第1ベンティング部411および第2ベンティング部415のうちの1つが省略されていたり、別のベンティング部が追加的に配置されてもよい。
【0054】
これによって、電池モジュール100内の発火現象によって電池モジュール100内の圧力が過度に増加しても、ベンティング部410が囲むモジュールフレーム上部400の中心部が垂直方向に膨張し、この時、連結部450が膨張したモジュールフレーム上部400の中心部を支持することができる。つまり、膨張しているモジュールフレーム上部400の中心部とベンティング部410との間の空間を通して電池モジュール100内のガスを外部に排出することができる。また、連結部450にモジュールフレーム上部400の中心部が過度に膨張しないように防止することによって、ベンティング部410を介してベンティングガスが過度に急速に排出されるのを防止することができる。つまり、電池モジュール100の発火時間を遅延させて、電池モジュール100の安全性がさらに向上できる。
【0055】
図7および
図8は、
図4の一部を拡大して示す図である。
図9(a)は、
図7の上部プレートを拡大して示す図であり、
図9(b)は、
図8の一部を拡大して示す図である。
図7~
図9は、
図4を参照する時、ベンティング部410が第1ベンティング部411および第2ベンティング部を含む場合を基準として説明したもので、
図7~
図9における第1ベンティング部411および第2ベンティング部415をベンティング部410と通称して説明する。
【0056】
図7、および
図8を参照すれば、ベンティング部410の一端部は、外部に露出しており、ベンティング部410の他端部は、消火部材170と隣接して位置することができる。より具体的には、ベンティング部410の他端部は、消火部材170の一面と互いに接することができる。言い換えれば、ベンティング部140の他端部は、消火部材170で密閉されている。
【0057】
これによって、
図7および
図9(a)を参照すれば、電池モジュール100の正常作動時にはベンティング部410が密閉されていて、外部汚染物あるいは外部空気が電池モジュール100内に流入するのを防止することができる。また、
図8および
図9(b)を参照すれば、電池モジュール100内の発火時には消火部材170が火炎に先に接して、火炎を効果的に抑制することができる。
【0058】
これとともに、消火部材170が電池モジュール100内の火炎を消化する過程で消火部材170の少なくとも一部が溶け、消火部材170が接していたベンティング部410の一部が開放される。これによって、ベンティング部410を介して電池モジュール100内の火炎が大部分除去された状態で、電池モジュール100の内部に残存するガスが外部に排出できる。
【0059】
また、ベンティング部410は、電池セル積層体120に向かって斜線方向に貫通している。ここで、前記斜線方向は、モジュールフレーム上部400を基準として電池セル積層体120の中心部に向かう角度を有することができる。一例として、ベンティング部410は、4個の角を有する額縁型構造を有する場合、互いに対面する角は、モジュールフレーム上部400を中心に互いに対称の斜線方向に貫通している。
【0060】
これによって、本実施例による電池モジュール100において、ベンティング部410が斜線方向に形成されていて、外部物質が流入するのを間接的に遮断することができる。これとともに、電池モジュール100内の発火時にベンティング経路を最大限に長く確保して、電池モジュール100内の火炎および/またはガスが外部に排出される速度を遅延させることができる。
【0061】
本発明の他の実施例による電池パックは、上記で説明した電池モジュールを含む。一方、本実施例による電池モジュールは、1つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成することができる。
【0062】
上述した電池モジュールおよびこれを含む電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0064】
110:電池セル
120:電池セル積層体
170:消火部材
300、400:モジュールフレーム
410:ベンティング部
450:連結部
500:エンドプレート