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特許7558634印刷装置、印刷装置の制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240924BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240924BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B41J29/38
G03G21/00 388
H04N1/00 912
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2018073490
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019181757
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】八木 優一
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】門 良成
【審判官】殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-74698(JP,A)
【文献】特開2017-52235(JP,A)
【文献】特開2017-87591(JP,A)
【文献】特開2000-62292(JP,A)
【文献】特開平8-11394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
印刷ジョブを受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けた印刷ジョブの実行を制御する実行手段と、
前記実行手段によって印刷ジョブが実行されることによって、印刷媒体に記録剤を用いて画像を印刷する印刷手段と、
前記実行手段による実行待ち状態の印刷ジョブを保持可能な記憶手段と、
前記印刷ジョブの実行中に所定の停止要因の発生に基づいて前記印刷ジョブを停止する停止手段と、
前記所定の停止要因の発生に基づいて時間を計測する計測手段と、
前記所定の停止要因が解消されずに前記時間が所定時間に達することによって、前記停止中の印刷ジョブおよび全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブをキャンセルするキャンセル手段と、を有し、
前記キャンセル手段は、
前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた新たな印刷ジョブを、前記所定時間を待たずにキャンセルすることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記実行手段は、前記時間が所定時間に達する前に前記所定の停止要因が解除されることによって、前記停止中の印刷ジョブの実行を再開することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた前記新たな印刷ジョブを自動的にキャンセルすることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
ユーザ操作を受け付ける操作手段を有し、
前記キャンセル手段は、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で、前記受付手段が前記新たな印刷ジョブを前記操作手段がユーザの指示を受け付けることなくキャンセルすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記所定時間は、前記操作手段によって設定可能であることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記受付手段は、ネットワークを介して印刷ジョブを受け付けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記所定の停止要因は、前記印刷手段における印刷媒体のジャムまたは記録剤不足であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷媒体は用紙であり、前記記録剤はトナーであることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記実行待ち状態の印刷ジョブは、前記停止中の印刷ジョブの実行後に実行される少なくとも1つの印刷ジョブであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷装置であって、
印刷ジョブを受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けた印刷ジョブの実行を制御する実行手段と、
前記実行手段によって印刷ジョブが実行されることによって、印刷媒体に記録剤を用いて画像を印刷する印刷手段と、
前記実行手段による実行待ち状態の印刷ジョブを保持可能な記憶手段と、を有し、
前記実行手段は、所定の停止要因の発生後に所定時間が経過したことに基づいて、前記受付手段が受け付けた印刷ジョブであって停止中の印刷ジョブおよび全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブをキャンセルし、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた新たな印刷ジョブを、前記所定時間を待たずにキャンセルすることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
前記実行手段は、前記所定の停止要因の発生後に前記所定時間が経過する前に前記所定の停止要因が解除されることによって、前記停止中の印刷ジョブの実行を再開することを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記実行手段は、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた新たな印刷ジョブを自動的にキャンセルすることを特徴とする請求項10又は11に記載の印刷装置。
【請求項13】
ユーザ操作を受け付ける操作手段を有し、
前記実行手段は、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた前記新たな印刷ジョブを前記操作手段がユーザの指示を受け付けることなくキャンセルすることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記所定時間は、前記操作手段によって設定可能であることを特徴とする請求項13に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記受付手段は、ネットワークを介して印刷ジョブを受け付けることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項16】
前記所定の停止要因は、前記印刷手段における印刷媒体のジャムまたは記録剤不足であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項17】
前記印刷媒体は用紙であり、前記記録剤はトナーであることを特徴とする請求項16に記載の印刷装置。
【請求項18】
前記実行待ち状態の印刷ジョブは、前記停止中の印刷ジョブの実行後に実行される少なくとも1つの印刷ジョブであることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項19】
印刷ジョブを受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けた印刷ジョブの実行を制御する実行手段と、前記実行手段によって印刷ジョブが実行されることによって、印刷媒体に記録剤を用いて画像を印刷する印刷手段と、前記実行手段による実行待ち状態の印刷ジョブを保持可能な記憶手段と、印刷ジョブの実行中に所定の停止要因の発生に基づいて前記印刷ジョブを停止する停止手段と、前記所定の停止要因の発生に基づいて時間を計測する計測手段と、を有する印刷装置の制御方法であって、
前記所定の停止要因が解消されずに前記時間が所定時間に達することによって、前記停止中の印刷ジョブおよび全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブをキャンセルするステップと、
前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた新たな印刷ジョブを、前記所定時間を待たずにキャンセルするステップと、を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項20】
前記時間が所定時間に達する前に前記所定の停止要因が解除されることによって、前記停止中の印刷ジョブの実行を再開するステップを有することを特徴とする請求項19に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項21】
前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた前記新たな印刷ジョブをキャンセルする際に、自動的にキャンセルすることを特徴とする請求項19又は20に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項22】
前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた前記新たな印刷ジョブをキャンセルする際に、ユーザの指示を操作部で受け付けることなくキャンセルすることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項23】
前記所定時間は、前記操作部によって設定可能であることを特徴とする請求項22に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項24】
前記受付手段は、ネットワークを介して印刷ジョブを受け付けることを特徴とする請求項19乃至23のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項25】
前記所定の停止要因は、前記印刷手段における印刷媒体のジャムまたは記録剤不足であることを特徴とする請求項19乃至24のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項26】
前記印刷媒体は用紙であり、前記記録剤はトナーであることを特徴とする請求項25に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項27】
前記実行待ち状態の印刷ジョブは、前記停止中の印刷ジョブの実行後に実行される少なくとも1つの印刷ジョブであることを特徴とする請求項19乃至26のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項28】
印刷ジョブを受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けた印刷ジョブの実行を制御する実行手段と、前記実行手段によって印刷ジョブが実行されることによって、印刷媒体に記録剤を用いて画像を印刷する印刷手段と、前記実行手段による実行待ち状態の印刷ジョブを保持可能な記憶手段と、を有する印刷装置の制御方法であって、
前記実行手段が、前記印刷ジョブが停止した状態で所定時間が経過したことに基づいて、前記受付手段が受け付けた印刷ジョブであって停止中の印刷ジョブおよび全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブをキャンセルするステップと、
前記実行手段が、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた新たな印刷ジョブを、前記所定時間を待たずにキャンセルするステップと、を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項29】
前記実行手段は、前記所定の停止要因の発生後に前記所定時間が経過する前に前記所定の停止要因が解除されることによって、前記停止中の印刷ジョブの実行を再開することを特徴とする請求項28に記載の印刷装置。
【請求項30】
前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた前記新たな印刷ジョブをキャンセルする際に、自動的にキャンセルすることを特徴とする請求項28又は29に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項31】
前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセルを完了し、前記停止中の印刷ジョブ及び全ての前記実行待ち状態の印刷ジョブのキャンセル後であって且つ前記所定の停止要因が解消されない状態で前記受付手段が受け付けた前記新たな印刷ジョブをキャンセルする際に、ユーザの指示を操作部で受け付けることなくキャンセルすることを特徴とする請求項28乃至30のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項32】
前記所定時間は、前記操作部によって設定可能であることを特徴とする請求項31に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項33】
前記受付手段は、ネットワークを介して印刷ジョブを受信することを特徴とする請求項29乃至32のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項34】
前記所定の停止要因は、前記印刷手段における印刷媒体のジャムまたは記録剤不足であることを特徴とする請求項29乃至33のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項35】
前記印刷媒体は用紙であり、前記記録剤はトナーであることを特徴とする請求項34に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項36】
前記実行待ち状態の印刷ジョブは、前記停止中の印刷ジョブの実行後に実行される少なくとも1つの印刷ジョブであることを特徴とする請求項29乃至35のいずれか1項に記載の印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷装置の制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス環境では、複数のユーザがそれぞれのホストコンピュータからプリンタドライバ等を使用して印刷ジョブをプリンタに投入(送信)し、プリンタは投入された印刷ジョブの印刷を実行する。このようなオフィス環境に設置されたプリンタは、紙詰まり、トナー不足など、印刷を妨げる特定要因(中断要因)が発生すると、受け付けた印刷ジョブの印刷を実行せず、中断要因が解消されるのを待つ。この中断要因が解消されると、プリンタは印刷を実行する。
【0003】
特許文献1は、中断要因が解消されないまま設定時間が経過すると、その時点までに受け付けられた印刷ジョブの印刷を自動的にキャンセルする印刷装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-87591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によれば、設定時間にしたがって印刷ジョブが自動的にキャンセルされた後に受け付けられた新規の印刷ジョブは、中断要因が未だ解消されていなければ、設定時間が再び経過した後に自動的にキャンセルされる。一方で、設定時間が再び経過する前に中断要因が解消されると、新規の印刷ジョブの印刷は自動的に実行される。このような従来技術によれば次のようなことが起こりうる。例えば、ユーザAが印刷ジョブを投入した後、中断要因が解消されないまま設定時間が経過したことによってその印刷ジョブがキャンセルされたとする。さらにその後、中断要因が解消されない状態で、ユーザBが印刷ジョブを投入したとする。この場合、ユーザBが投入した印刷ジョブの印刷は、設定時間が再び経過するまで保留されるので、ユーザAが中断要因を解消すると自動的に印刷される。その結果、ユーザAが、本来はユーザBのものである印刷物を、誤って持ち帰ってしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、印刷ジョブを受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた印刷ジョブの印刷を実行可能な実行手段であって、当該印刷ジョブの印刷を妨げる特定要因が解消されないまま設定時間以上が経過した場合に、当該印刷ジョブの印刷をキャンセルする機能を有する実行手段と、を有し、前記実行手段は、前記特定要因が解消されないまま前記設定時間以上が経過している状態において前記受付手段によって受け付けられた新規の印刷ジョブの印刷を、当該新規の印刷ジョブが受け付けられてから前記設定時間以上がさらに経過する前にキャンセルする機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷ジョブの印刷を妨げる特定要因が解消しないまま設定時間以上経過した状態で新規に受け付けられた印刷ジョブの印刷を、設定時間さらに経過する前にキャンセルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2】画像形成装置のソフトウェアモジュール構成を示す図である。
図3】印刷ジョブの自動キャンセルの設定画面を示す図である。
図4】印刷ジョブの自動キャンセルの実行制御処理を示すフローチャートである。
図5】印刷ジョブの自動キャンセルの実行制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、画像形成装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、図1に示すように、画像形成装置1は、例えばスキャン機能やプリント機能等、複数の機能が一体化された印刷装置である。画像形成装置1は、装置全体を制御するコントローラユニット100、スキャナ113、プリンタ114、操作部106を含む。スキャナ113は、セットされた原稿上の画像を光学的に読み取る画像入力デバイスである。プリンタ114は、画像データに基づいて、印刷用紙等の記録媒体に画像を印刷する画像出力デバイスである。
【0011】
操作部106は、ユーザからのジョブ実行等の指示の入力を受け付けるためのテンキー等のハードキーやタッチセンサーを含み、また、ユーザへ装置情報やジョブ進捗情報等、または、画像形成装置1が実行可能な機能の設定画面を表示する表示パネルを含む。本実施形態の操作部106は、タッチスクリーンを含むユーザーインターフェースであり、タッチスクリーンはユーザーに画像形成装置1の状態情報や設定画面等の情報を表示(通知)し、表示されている画面に対する操作を受け付ける。
【0012】
スキャナ113、プリンタ114はそれぞれ、コントローラユニット100に含まれるスキャナ処理部111、プリンタ処理部112と接続される。操作部106は、コントローラユニット100に含まれる操作部インタフェース(I/F)に接続される。そのような構成により、スキャナ113、プリンタ114、操作部106はそれぞれ、コントローラユニット100から制御されて動作する。
【0013】
コントローラユニット100は、コントローラユニット100の各ブロックを統括的に制御するCPU101を含む。CPU101は、システムバス108を介して、RAM102、ROM103、ハードウェアディスクドライブ(HDD)104、操作部I/F105、ネットワークI/F107と接続される。RAM102は、汎用的なRAMであり、CPU101の作業領域を提供するためのメモリである。また、RAM102は、パラメータや設定値等を一時的に記憶するためのメモリや、画像データをページ等、所定単位で記憶するための画像メモリとしても使用される。またこのRAM102は、スキャナ113で読み取られた画像データ(情報)をプリンタ114で印刷する印刷ジョブとして記憶し、また、ネットワークI/F107で受信された画像データ(情報)をプリンタ114で印刷する印刷ジョブとして記憶する。本実施形態においては、このRAM102から印刷ジョブを削除することを、印刷ジョブのキャンセル、あるいは印刷ジョブの印刷のキャンセル、と呼ぶ。ROM103は、汎用的なROMであり、例えばブートROMとしてシステムブートプログラムが格納されている。HDD104には、システムソフトウェアプログラム、履歴データ、画像データ、テーブルなどが格納される。画像形成装置1の機能は、例えば、CPU101がROM103に格納されたプログラムをRAM102に読み出して実行することにより実現される。
【0014】
操作部I/F105は、操作部106との間で情報の入出力を行うためのインタフェースである。操作部I/F105は、CPU101からの指示により、表示用データを操作部106へ出力し、また、ユーザが操作部106上で入力した情報を、CPU101へ伝送する。ネットワークI/F107は、有線や無線媒体のLAN(ローカルエリアネットワーク)115と接続され、画像形成装置1とLAN115上の機器との間の情報の入出力を可能にする。ネットワークI/F107は、LAN115に対応した構成を有し、例えば、無線距離が数十cm程度の近距離無線通信(NearFieldCommunication)に対応した構成を有する場合もある。その場合には、携帯無線端末との間で相互に通信が行われる。
【0015】
画像処理部109は、汎用的な画像処理を実行し、例えばLAN115を介して外部から取得した画像データに対して、拡大/縮小、回転、変換等の処理を実行するハードウェアモジュールである。また、画像処理部109は、LAN115を介して受信したPDLコードをビットマップ画像へ展開する処理を実行する。また、画像処理部109は、プリンタ処理部112を介してプリンタ114で出力する場合に、HDD104に圧縮・符号化されて記憶されている画像データをプリンタ処理部112で処理可能な形式にするための処理を実行する。デバイスI/F110は、スキャナ処理部111およびプリンタ処理部112を介してスキャナ113やプリンタ114に接続され、画像データの同期系/非同期系の変換や、設定値、調整値等を伝送する。また、デバイスI/F110は、スキャナ113やプリンタ114での状態情報をCPU101へ伝送する。その状態情報は、例えば、スキャナ113やプリンタ114で発生したジャム(紙詰まり)や、プリンタ114による印刷で用いられるトナー(現像剤)が空になったこと、などのエラー情報を含む。
【0016】
スキャナ処理部111は、スキャナ113で読み取られて入力した読取データ(画像データ)に対して、補正、加工、像域分離、変倍、2値化処理などのスキャン機能に対応した各種処理を行うハードウェアモジュールである。スキャナ113は、不図示の自動連続原稿給送装置と圧板読取装置を含み、原稿ガラス台に設置された原稿の読取りや、複数枚の原稿の両面読取りなども実行可能である。また、不図示の原稿カバーの開閉、原稿の有無、原稿サイズ検知等を行うセンサがスキャナ113に設けられている。それらのセンサの検知信号やスキャナ113の状態情報は、スキャナ処理部111とデバイスI/F110を介してCPU101へ送信され、CPU101は、スキャナ113でのエラー発生やエラー解消等の状態を認識する。
【0017】
プリンタ処理部112は、プリント出力する画像データに対して、プリンタ114の出力特性に対応した出力補正、解像度変換、画像の印刷位置の調整などのプリント機能に対応した処理を行うハードウェアモジュールである。プリンタ114は、印刷用紙を収納するための給紙カセットを少なくとも1つ含む。各給紙カセットの用紙残量、トナーの有無、紙搬送路上の紙詰まりなどを検知するセンサがプリンタ114に設けられている。センサからの検知信号やプリンタ114の状態情報は、プリンタ処理部112とデバイスI/F110を介してCPU101へ送信され、CPU101は、プリンタ114でのエラー発生やエラー解消等の状態を認識する。すなわち、CPU101は、印刷ジョブの印刷を妨げる特定要因(例えば用紙不足、トナー不足、用紙詰まりなど)の発生および解消をセンサからの情報に基づいて検知し、その検知に応じて印刷を実行するかしないかを制御する。以下の説明において、印刷ジョブの印刷を妨げる特定要因のことをエラーと呼ぶことにする。なお、本実施形態において用紙不足のエラーは、印刷ジョブに紐づけられたエラーであり、用紙不足を起こした印刷ジョブがキャンセルされるかあるいは用紙が補充されることで解消される。またトナー不足のエラーは、画像形成装置1に紐づけられたエラーであり、トナーが補充されることで解消されるが、トナー不足を起こした印刷ジョブがキャンセルされても解消されない。紙詰まりのエラーは、画像形成装置1に紐づけられたエラーであり、紙詰まりが解消されることで解消されるが、紙詰まりを起こした印刷ジョブがキャンセルされても解消されない。
【0018】
図2は、画像形成装置1のソフトウェアモジュール構成を示す図である。図2の各モジュールは、CPU101がプログラムを実行することにより実現される。ジョブコントロール処理部201は、他のモジュールを制御し、コピー、プリント、スキャン、ユーザインタフェース(UI)処理などの画像形成装置1内で発生する各ジョブの実行を統括的に制御する。
【0019】
UI処理部202は、操作部106、操作部I/F105に関する処理を行う。UI処理部202は、ユーザが操作部106上で行った操作の情報を、ジョブコントロール処理部201へ送信するとともに、ジョブコントロール処理部201からの指示により、操作部106上に表示画面を表示させる。このUI処理部202は、スキャナ113で画像データを読み取ってプリンタ114で印刷させる複写指示を、ユーザから受け付け、その複写指示をジョブコントロール処理部201へ送信する。また、UI処理部202は、操作部106に表示させるための描画データの編集などを行う。
【0020】
ネットワーク処理部203は、ネットワークI/F107を介してLAN115上の機器(例えばホストコンピュータ)との通信処理を行う。ネットワーク処理部203は、LAN115上の機器からの制御コマンドやデータ(例えばページ記述言語で記述された印刷データや画像データ)を受信すると、それらの情報をジョブコントロール処理部201へ送信する。つまりネットワーク処理部203は、画像データ(情報)および当該画像データをプリンタ114で印刷させる印刷指示を、LAN115上の外部装置から受け付け、その指示および画像データをジョブコントロール処理部201へ送信する。また、ネットワーク処理部203は、ジョブコントロール処理部201からの指示により、LAN115上の機器へ制御コマンドやデータを送信する。
【0021】
スキャン処理部204は、ジョブコントロール処理部201からの指示により、スキャナ113とスキャナ処理部111を制御して、スキャナ113上に設置されている原稿の読取処理を実行させる。スキャン処理部204は、スキャナ処理部111を制御して、読み取られた画像データに対して画像処理を実行させる。また、スキャン処理部204は、スキャナ処理部111とスキャナ113の状態情報(エラーの有無を示すエラー情報など)を取得し、ジョブコントロール処理部201へ送信する。
【0022】
プリント処理部205は、ジョブコントロール処理部201からの指示により、画像処理部109、プリンタ処理部112およびプリンタ114を制御して、印刷ジョブの印刷処理を実行させる。プリント処理部205は、ジョブコントロール処理部201から、印刷される画像データ、画像情報(画像データのサイズ、カラーモード、解像度等)、及び出力用紙情報(サイズ、印刷方向等)等の情報を受信する。そして、プリント処理部205は、画像処理部109とプリンタ処理部112を制御して、画像データに対して適切な画像処理を実行させ、プリンタ処理部112とプリンタ114を制御して、画像データの印刷用紙(シート)への印刷処理を実行させる。また、プリント処理部205は、プリンタ処理部112とプリンタ114の状態情報(例えば用紙不足やトナー不足や紙詰まりなどエラーの発生の有無を示すエラー情報)を取得し、ジョブコントロール処理部201へ送信する。
【0023】
ジョブコントロール処理部201は、UI処理部202、ネットワーク処理部203から送信された情報を印刷ジョブとして受け付け、RAM102上で管理されるジョブリストに印刷ジョブを登録する。すなわち、ジョブコントロール処理部201は、ネットワークI/F107を介して外部装置から印刷データを受信したり、操作部106および操作部I/F105を介して複写指示をユーザから受け付けたりすると、印刷ジョブを受付ける。そして印刷ジョブをRAM102に記憶する。また後述するようにジョブコントロール処理部201は、RAM102から印刷ジョブを削除することで、印刷ジョブの印刷をキャンセルする。またジョブコントロール処理部201は、RAM102から印刷ジョブを削除せずに、ジョブリスト上で印刷待機状態に変更することで、中断要因が解消されても印刷が自動的に実行されないようにすることができる。また、各モジュールに対してジョブ処理するための指示を行う。
【0024】
図3は、本実施形態におけるエラーの発生による印刷処理中断時のジョブの自動キャンセルに関する設定画面を示す図である。設定項目301は、エラー発生後に設定時間が経過したときに中断ジョブを自動的にキャンセルする機能を有効にするか否かの設定を受け付けるための項目である。中断ジョブとは、エラーによって印刷が妨げられている印刷ジョブのことである。ユーザにより「ON」が指定された場合、エラー発生後に所定の時間が経過したときに中断ジョブのキャンセルを実行する。ユーザにより「OFF」が指定された場合、上記の中断ジョブのキャンセルは実行しない。ジョブを自動的にキャンセルするとは、ジョブの受信後にユーザからのキャンセル指示がなくともそのジョブをキャンセルすることである。
【0025】
設定項目302は、中断ジョブの自動キャンセルの実行までの時間の指定をユーザから受け付け、指定された時間を設定時間として設定するための項目である。この設定項目302は、設定項目301において「ON」が指定されている場合に設定可能な状態になり、「OFF」が指定されている場合には設定できないようにグレーアウトの状態となる。設定時間は0分から999分までの範囲で分単位で指定可能である。図3では、ユーザは、設定時間を、デフォルトで表示されている「5分」という値から、プラスボタンとマイナスボタンにより調節可能である。ユーザにより確定ボタンが押下されると、図3の設定画面で受け付けた設定内容は確定され、ジョブコントロール処理部201およびUI処理部202によって、HDD104もしくはRAM102に保存される。ユーザによりキャンセルボタンが押下されると、図3の設定画面で受け付けた設定内容はキャンセルされる。ここでユーザが自動キャンセルまでの時間として0分を設定した場合、本実施形態では、エラーが発生した時点でジョブリストに登録されている全ての印刷ジョブが、エラーが発生した時点で即座にキャンセルされる。一方、0分以外の時間が設定された場合、エラーが発生した時点からその設定された時間の間はジョブリストに登録された印刷ジョブはキャンセルされない。しかし、エラーが解消されないまま設定時間あるいは設定時間以上が経過すると、本実施形態では、その時点でジョブリストに登録されている印刷ジョブすべてがキャンセルされる。ただし、後述するように、エラーが解消されないまま設定時間以上が経過している状態(設定時間以上、エラーが継続している状態)において印刷ジョブが受け付けられた場合には、その印刷ジョブは即時キャンセルされる。すなわち、新規の印刷ジョブがジョブリストに登録された時点から設定時間が経過する前に、その新規の印刷ジョブはキャンセルされる。なお、本実施形態において各設定項目301、302を設定可能なユーザは、画像形成装置1の管理者権限を有するユーザのみである。そのため、画像形成装置1は、管理者を認証する機能を有し、ユーザは、管理者のIDおよびパスワードを操作部106に入力し、そのIDとパスワードが正しいものであれば、画像形成装置1は、そのユーザを管理者権限を持つユーザとして認証する。
【0026】
図4は、ジョブキャンセルの実行制御処理を示すフローチャートである。本実施形態では、エラーにより印刷が完了していないジョブについて、設定項目302で設定された時間の経過後に、その時点でジョブリストに登録されている全ての印刷ジョブを自動的にキャンセルする機能が実行される。この機能は、後述するS406YES~S408の処理に対応する。また、そのエラーが解消されないまま設定時間以上が経過している状態で新規に受け付けられた印刷ジョブについて、受け付けられた時点から設定時間が経過する前にその印刷ジョブを自動的にキャンセルする機能も実行される。この機能は、後述するS409YES、S405NO、S406YES~S408の処理に対応する。
【0027】
本フローチャートの処理は、例えば、CPU101がHDD104に記憶されているプログラムをRAM102に読み出して実行することにより実現される。ジョブコントロール処理部201がジョブリストに登録することでフローチャートが開始される。以下、ジョブと呼ぶ場合には印刷ジョブのことを指している。なお、画像形成装置1が受け付けたジョブのジョブリストへの登録は、このフローチャートの処理と並行して行われる。
【0028】
ジョブコントロール処理部201は、S401でジョブリストにジョブが登録されているか否かを確認する。ジョブが登録されている場合は、S402に進む。ジョブがジョブリストに登録されていない場合には、S401に戻る。
【0029】
S402において、ジョブコントロール処理部201は、エラーが発生したか否かを判定する。ジョブコントロール処理部201は、スキャン処理部204またはプリント処理部205からエラー情報を受信する。そしてこのエラー情報の内容が、印刷の実行(継続)を妨げる特定要因が発生していることを示すものであれば、上記エラーが発生したと判定される。このエラーの発生に基づいて、ジョブコントロール処理部201は、後述のタイマーによる時間計測を開始する。
【0030】
プリンタ114要因によるエラー(印刷を妨げる特定要因、中断要因)には、次のようなものが挙げられる。例えば、給紙カセットにおける用紙がなくなった場合の用紙不足や、指定された用紙が用紙カセットに無い場合の用紙ミスマッチ、用紙搬送路上の紙詰まり(用紙ジャム)、トナー不足等である。プリント処理部205がジョブコントロール処理部201にエラー情報を通知すると、ジョブコントロール処理部201は、ジョブリストに対象のジョブが中断ジョブである旨を登録する。そしてジョブコントロール処理部201は、スキャン処理部204とプリント処理部205にジョブの印刷停止を指示する。
【0031】
スキャナ115要因によるエラーには、例えば、不図示の自動連続原稿給送装置の紙詰まりがある。スキャン処理部204がジョブコントロール処理部201にエラー情報を通知すると、ジョブコントロール処理部201は、ジョブリストに対象のジョブが中断ジョブである旨を登録する。そしてジョブコントロール処理部201は、スキャン処理部204とプリント処理部205にジョブの印刷停止を指示する。
【0032】
S402でエラーが発生したと判定された場合、ジョブコントロール処理部201は、UI処理部202によって操作部106にエラーが発生したことを示す画面(エラー画面)を表示し、処理はS403に進む。エラーが発生していないと判定された場合、処理はS411に進む。
【0033】
S403において、ジョブコントロール処理部201は、図3の設定項目301がONであるか否かを判定する。設定項目301がONであると判定された場合はS404に進み、ONでないと判定された場合はS411に進む。
【0034】
S404において、ジョブコントロール処理部201は、図3の設定項目302で受け付けた自動キャンセルが実行されるまでの時間(猶予時間、設定時間、タイマー時間とも呼ぶ)をタイマーにセットし、このタイマーをスタートする。本実施形態におけるタイマーは、カウントダウンタイマーであり、ジョブコントロール処理部201は、タイマーをスタートすると、セットされた設定時間をカウントダウンする。このカウントダウンタイマーは所定時間単位(例えば1分単位)で時間がカウントダウンされる。例えば設定時間に「5分」が設定されていれば、ジョブコントロール処理部201は、カウントダウンタイマーを「5(分)」から1分経過する度に「1」ずつカウントダウンする。
【0035】
S405において、ジョブコントロール処理部201は、エラーが解消された(中断要因が解消された)か否かを判定する。具体的には、ジョブコントロール処理部201は、スキャン処理部204またはプリント処理部205からエラー情報を受信する。このエラー情報の内容が、特定のエラーが発生していないことを示す情報であれば、エラーが解消されたと判定される。エラー解消されたと判定された場合、S410に進み、エラー解消されなかったと判定された場合、S406に進む。
【0036】
S406において、ジョブコントロール処理部201は、S404でセットしたタイマー時間が満了しているか否かを判定する。すなわち、エラーが解消されないまま設定時間以上が経過しているか否かが判定される。ここではカウントダウンタイマーが0(ゼロ)となっていれば、タイマー時間が満了していると判定される。タイマー時間が満了したと判定された場合、ジョブの自動キャンセルを実行するためにS407に進む。一方、タイマー時間が満了していないと判定された場合、S405に戻る。なお、タイマー時間満了後もカウントダウンタイマーは0のままなので、再びS406でタイマー時間が満了したか否かの判定をした場合もS407に進む。なお、ジョブコントロール処理部201は、カウントダウンタイマーが0になった場合に画像形成装置1の状態を自動キャンセル実行状態として管理してもよい。この場合に、ジョブコントロール処理部201は、S406において、画像形成装置1の状態が自動キャンセル実行状態であるか否かを判定し、自動キャンセル実行状態であると判定されれば処理をS407に進めるようにしてもよい。
【0037】
次にS407~S409の処理のループにおいて、タイマー時間が満了した時点でジョブリストに登録されている全ての印刷ジョブの印刷がキャンセルされる。具体的な処理は以下のとおりである。
【0038】
S407において、ジョブコントロール処理部201は、自動キャンセルまでの時間(タイマー時間)が満了したことを検出すると、現時点まで(即ち、タイマー満了時まで)に受け付けたジョブのリスト(ジョブリスト)を取得する。そして、ジョブコントロール処理部201は、ジョブリストの先頭のジョブを選択する。
【0039】
S408において、ジョブコントロール処理部201は、S407で選択されたジョブをキャンセルする。すなわち、選択された印刷ジョブの印刷がキャンセルされる。具体的な一例としては、ジョブコントロール処理部201は、選択された印刷ジョブの情報をジョブリスト(すなわちRAM102)から削除することで、選択された印刷ジョブの印刷が今後実行されないようにする。このときジョブコントロール処理部201は、印刷ジョブの印刷データも併せて削除する。これにより、タイマー時間の経過後に中断要因が解消されても、印刷ジョブが自動的に印刷されないようになる。ジョブコントロール処理部201は、このS408において、エラーが一定時間解消されなかったためにキャンセルされたことを示す情報(メッセージ、あるいは、識別番号)を、S408でキャンセルされた印刷ジョブの履歴情報として記録してもよい。この情報は、後でユーザーによって参照可能である。
【0040】
なお、S408のキャンセル処理に代えて、次の処理を行ってもよい。すなわち、ジョブコントロール処理部201は、S407で選択された印刷ジョブをRAM102から削除せず(つまり印刷ジョブをキャンセルせず)、その印刷ジョブを印刷指示待ち状態に変更する。これにより、印刷ジョブはユーザからの印刷指示を待っている状態なので、タイマー時間経過後に中断要因が解消されても、印刷ジョブが自動的に印刷されることはない。中断要因が解消された後にユーザが不図示の印刷未完了ジョブリストを介して印刷ジョブの印刷指示を行うことで、印刷指示待ち状態の印刷ジョブは、印刷される。
【0041】
S409において、ジョブコントロール処理部201は、ジョブリスト内の最後のジョブ、即ち、ジョブリスト内での最新のジョブまで走査したか否かを判定する。ジョブリストの最後のジョブまで走査していないと判定された場合、ジョブコントロール処理部201は、S407において、ジョブリスト中の次のジョブを選択し、S408において、キャンセルを実行する。一方、S409でジョブリストの最後のジョブまで走査したと判定された場合、S405に戻る。
【0042】
このS409の処理の次に処理がS405へ戻ることが、本実施形態の特徴の一つである。すなわち、S409の処理の後にタイマーを解除せずにS405へ処理が戻るので、エラーが依然として解消されていなければ、タイマーは満了したままなので、S405およびS406の判定を経て、S407~S409の処理が実行される。その結果、タイマー時間が満了した後であって、かつ、エラーが解消される前に受け付けられて、ジョブリストに新規に登録された印刷ジョブは、タイマー時間の更なる経過を待たずに、速やかにキャンセルされる。なお、ここでのキャンセル処理に代えて、印刷ジョブを印刷指示待ち状態に変更する処理を実行してもよい。印刷指示待ち状態の印刷ジョブは、画像形成装置1がユーザーから印刷指示を受け付けるまで印刷されずに、画像形成装置1内に保留される。
【0043】
S405でエラーが解消されたと判定された場合、S410において、ジョブコントロール処理部201は、S404でセットしたタイマーを解除する。ジョブコントロール処理部201は、UI処理部202に、操作部106に表示されていたエラー画面を消して通常画面(待ち受け画面)に戻す。またはエラー画面を消した後に所定時間だけ、操作部106にエラーが解消された旨を示す画面を表示させてから通常画面(待ち受け画面)を表示する。そして、ジョブコントロール処理部201は、スキャン処理部204とプリント処理部205に中断された印刷ジョブの印刷処理を自動的に再開させる。この印刷再開は、エラー解消操作後のユーザからの追加的な印刷指示なしに、実行される。このように、中断要因(エラー)が発生してから猶予時間(設定時間)が経過する前にその中断要因が解消されると、中断された印刷ジョブおよびその後続の印刷ジョブの印刷処理が自動的に再開される。S410の処理後、S402に戻る。
【0044】
S402でエラーが発生していないと判定された場合に、または、S403で設定項目301がONでないと判定された場合に、S411において、ジョブコントロール処理部201は、ジョブリストにジョブが登録されているか否かを判定する。ジョブリストにジョブが登録されていると判定されれば、処理はS402に戻る。またジョブリストにジョブが登録されていないと判定されれば、本フローの処理は終了する。本フローが終了するときは、ジョブの印刷が完了した場合である。本フローの終了後、新たにジョブが受け付けられたジョブリストに登録されると、本フローは再び開始する。
【0045】
なお、本実施形態ではカウントダウンタイマーを使っていたが、それに限られず、エラーが発生して継続している時間(すなわちエラーが解消されないままの経過時間)を測定できる手段であればよい。例えばS404においてジョブコントロール処理部201は、カウントアップタイマーを0(ゼロ)からスタートし、S406においてジョブコントロール処理部201は、カウントアップタイマーが設定時間に達しているかを判定してもよい。
【0046】
また例えばS404においてジョブコントロール処理部201は、RTCから現在時刻を取得して記憶し、S406においてジョブコントロール処理部201は、RTCから現在時刻を取得する。そしてジョブコントロール処理部201は、その取得された時刻と、S404で記憶された時刻との差分時間が設定時間に達しているかを判定してもよい。
【0047】
本実施形態によれば、印刷ジョブの印刷をタイマー時間の満了後、自動的にキャンセルできる。そしてさらに、タイマー時間の満了後でエラーが継続している最中に新たに受け付けられた印刷ジョブを、タイマー時間の更なる満了を待たずに、速やかに自動的にキャンセルできる。それにより機密性の高い文書が他の人に見られてしまったり、誤って持ち去られてしまったりするというセキュリティに関する問題を解決することが可能となった。
【0048】
<第2の実施形態>
上記の第1の実施形態では、エラーが解消されない(中断要因が解消されない)限り、ジョブリストに登録されたジョブの削除を継続する構成であった。第2の実施形態では、自動キャンセルまでの時間(タイマー時間)が満了した後の時間を計測し、その時間が一定時間を超えた場合は、自動キャンセルを中止する構成になっている。
【0049】
図5は、ジョブキャンセルの実行制御処理を示すフローチャートである。本実施形態では、ジャム等のエラーにより実行が中断されたジョブについて一定時間後に自動的にジョブがキャンセルされるジョブキャンセル動作が実行される。本フローチャートの処理は、例えば、CPU101がHDD104に記憶されているプログラムをRAM102に読み出して実行することにより実現される。ジョブコントロール処理部201がジョブリストに登録することでフローチャートが開始される。
【0050】
なお、S501~S506、S509~S511、S513、S514の処理内容と、S401~S406、S407~S409、S410、S411の処理内容はそれぞれ同じであるため、それら処理の詳細な説明は省略する。ただし、S506において、ジョブコントロール処理部201が、タイマー時間が満了していると判定した場合には、処理はS507へ進む点がS406の処理と異なる。またS511においてジョブリストの最後のジョブまで走査したと判定された場合に、処理がS512へ進む点がS409の処理と異なる。そして本実施形態は、S512の判定結果に応じて本フローの処理が終了することが特徴的である。
【0051】
すなわちS507~S512の処理が、次の2つの機能に相当する。1つは、タイマー時間の満了後、その時点で受け付けられている印刷ジョブの全ての印刷をキャンセルする第1の自動キャンセル機能である。もう1つは、タイマー時間の満了後、エラーが解消されない経過時間が一定時間に達するまでの間に新規に受け付けられた印刷ジョブの印刷をキャンセルする第2の自動キャンセル機能である。
【0052】
S507において、ジョブコントロール処理部201は、タイマー満了後の経過時間を計測中か否かを判定する。計測中の場合はS509に進み、計測中でない場合はS508に進む。
【0053】
S508において、ジョブコントロール処理部201は、タイマー時間が満了してからの経過時間の計測を開始する。なお、タイマー時間満了後もカウントダウンタイマーは0のままなので、再びS506でタイマー時間が満了したか否かの判定をした場合もS507に進む。
【0054】
S512において、ジョブコントロール処理部201は、S508で計測を開始したタイマー満了後の経過時間が一定時間以上であるか否かを判定する。一定時間の設定は操作部106から不図示の設定項目で設定した時間、または、HDD104に記憶された予め決められた時間を用いる。タイマー満了後一定時間経過していない場合は、S505に戻る。S505に処理が戻ると、エラーが未だ解消されていない場合にS506の処理が実行されるが、タイマー時間が満了しているので処理はS507へ進む。すると、S508によってタイマー満了後の経過時間の計測が開始されているので、今回は処理はS507からS509へ進む。ここでS509~S511の処理は、タイマー時間の満了後にエラーが解消されない状態で新規に受け付けられた印刷ジョブの印刷をキャンセルする処理として機能する。
【0055】
一方、S512においてタイマー満了後一定時間経過していると判定された場合はフローチャートを終了する。本フローが終了するので、タイマー満了後の一定期間の経過後において新規に受け付けられた印刷ジョブについては、本フローの先頭(S501)からの処理が行われる。すなわち、タイマー満了後の一定期間経過後、かつ、エラーが未だ解消されていない状態において新規に受け付けられた印刷ジョブの印刷は、速やかにキャンセルされず、エラーが解消されないまま設定時間以上が経過した後に自動的にキャンセルされる。なお、この設定時間内にエラーが解消されれば、新規に受け付けられた印刷ジョブは自動的に印刷される。
【0056】
このように、S507、S508の処理を経由してS509~S511の処理が行われることが、上述の第1の自動キャンセル機能に相当する。また、S512の判定からS505へ処理が戻り、そしてS507の処理の次にS509~S511の処理が行われることが、上述の第2の自動キャンセル機能に相当する。
【0057】
本実施形態によれば、印刷ジョブの印刷をタイマー時間の満了後、自動的にキャンセルできる。そしてさらに、タイマー時間の満了後でエラーが継続している時間のうちの、一定の時間に新たに受け付けられた印刷ジョブを、タイマー時間の更なる満了を待たずに、速やかに自動的にキャンセルできる。またさらに、その一定の時間の経過後に受け付けられた印刷ジョブについては、タイマー時間が再度満了するまでは印刷を自動的にキャンセルせず、エラー解消後に自動的に印刷を実行することを可能にする。それにより機密性の高い文書が他の人に見られてしまったり、誤って持ち去られてしまったりするというセキュリティに関する問題を解決するとともに、エラー解消による印刷の自動実行の機会を提供することで、より使い勝手が良い印刷装置を提供できる。
【0058】
<その他の実施の形態>
上記実施形態では、タイマー時間が満了したことを検出すると、現時点まで(タイマー満了時まで)に受け付けたジョブのリストの先頭から最後までのジョブのキャンセルを継続して行う構成となっていた。すなわち、タイマー時間が満了すると、リスト中の全ての印刷ジョブがキャンセルされた。しかし、1つのジョブをキャンセル後、エラーが解消されたか否かを確認する構成にしても本発明は適応可能である。つまり、図4のフローチャートでは、S409の処理を省き、S408からS405に進む構成にしてもよい。図5のフローチャートでは、S511の処理を省き、S510からS512に進む構成にしてもよい。このようにS408で印刷ジョブのキャンセルが行われるので例えば用紙不足を起こした印刷ジョブがキャンセルされると、エラーは解消されることになり、S405の判定によってS410へ処理が進む。そうすると、次の印刷ジョブはエラーが解消された状態、かつ、タイマーが解除された状態で開始されるので、この印刷ジョブの印刷においてエラーが発生した場合には改めてカウントダウンタイマーが走る。そして、エラーが解消されないまま設定時間以上が経過した場合にその印刷ジョブの印刷はキャンセルされる。
【0059】
また上記実施形態においては、すべてのジョブをキャンセル対象にしていたが、ジョブの種別によってキャンセル対象から外すようにしてもよい。例えば、ファクシミリなど送信者の特定が困難で、ジョブの再投入が難しいようなジョブはキャンセル対象から外すようにしてもよい。ジョブをメモリに蓄積しておき、印刷にはユーザの操作が必要なジョブ(溜め置きプリント、ファクシミリのメモリ受信)はキャンセル対象から外すようにしてもよい。
【0060】
また上記実施形態においては、タイマー時間が経過することで、それまでに受け付けていた印刷ジョブならびにその後に受け付けた印刷ジョブをキャンセルしていた。しかし、上述の通り、キャンセルではなく、中断要因が解消後に印刷ジョブが自動的に実行されないようにしておいてもよい。例えば、中断要因が解消後にユーザからの指示によって実行されるように、印刷ジョブを印刷装置内に留め置いてもよい。
【0061】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
図1
図2
図3
図4
図5