(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】合繊糸用スプライサ
(51)【国際特許分類】
B65H 69/06 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B65H69/06
(21)【出願番号】P 2019071379
(22)【出願日】2019-04-03
【審査請求日】2021-11-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2018076686
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】林 靖史
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】道祖土 新吾
【審判官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5280698(US,A)
【文献】実開昭55-113356(JP,U)
【文献】特開平10-101267(JP,A)
【文献】特開昭51-19843(JP,A)
【文献】特開平10-17214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H65/00
B65H69/00-73/00
B65H77/00-79/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維からなる一方の糸と他方の糸との糸継ぎを行う合繊糸用スプライサであって、
前記一方の糸及び前記他方の糸が挿通可能である空間を形成する通路と、前記通路に開口すると共に流体を噴射する噴射孔と、を有する糸継部と、
前記糸継部の前記通路を挟む位置に設けられ、前記空間に挿通される前記一方の糸及び前記他方の糸のそれぞれを保持する一対の挟持機構と、を備え、
一対の前記挟持機構のそれぞれは、前記一方の糸及び前記他方の糸のそれぞれを挟持する挟持部を有し、
前記通路の貫通方向と直交する平面に形成される前記通路の断面形状は、円形状を呈しており、
前記通路の中心を通り且つ当該通路の内周面を結ぶ第1直線、及び、前記通路の前記中心を通り且つ前記通路の前記内周面を結ぶと共に前記第1直線に直交する第2直線は、
6.0m
mであり、
前記噴射孔は、円形状を呈しており、
前記噴射孔の直径は、φ
1.3mm
又はφ
1.6mmである、合繊糸用スプライサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合繊糸用スプライサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の合繊糸用スプライサとして、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の合繊糸用スプライサは、2本の合繊糸の始端と終端とを逆方向に引き揃えてエアノズル内に引き込み、引き込んだ糸端のエアノズル外の両側部分を押さえ、押さえた両側部分をエアノズル内の方向に移動させることにより引き揃えた糸端に、エアノズル内で弛みを持たせ、エアノズル内の空気流により糸継ぎを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
合繊糸用スプライサは、例えば、合成繊維を巻き取る糸巻取機において、一の供給ボビンの糸の終端と他の供給ボビンの糸の始端とを糸継ぎするために使用される。糸巻取機では、糸にテンションを与えつつ糸をボビンに巻き取り、パッケージを形成する。そのため、合繊糸用スプライサによって糸継ぎされた糸同士の絡合部は、テンションが加わると引っ張られる。糸巻取機では、糸の巻き取り中に絡合部が解けると、巻取動作を一時停止して作業を行わなければならないため、生産効率が低下する。そのため、合繊糸用スプライサには、巻取テンションに耐え得る引張伸度を有する絡合部を形成することが求められる。
【0005】
本発明の一側面は、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきを抑制できる合繊糸用スプライサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る合繊糸用スプライサは、合成繊維からなる一方の糸と他方の糸との糸継ぎを行う合繊糸用スプライサであって、一方の糸及び他方の糸が挿通可能である空間を形成する通路と、通路に開口すると共に流体を噴射する噴射孔と、を有する糸継部と、糸継部の通路を挟む位置に設けられ、空間に挿通される一方の糸及び他方の糸のそれぞれを保持する一対の挟持機構と、を備え、通路の貫通方向と直交する平面に形成される通路の断面形状は、円形状を呈しており、通路の中心を通り且つ当該通路の内面を結ぶ第1直線、及び、通路の中心を通り且つ通路の内面を結ぶと共に第1直線に直交する第2直線は、4.0mm以上7.0mm以下である。
【0007】
本発明の一側面に係る合繊糸用スプライサでは、第1直線及び第2直線は、4.0mm以上7.0mm以下である。合繊糸用スプライサでは、第1直線及び第2直線を4.0mm以上とすることにより、一方の糸及び他方の糸が、挟持機構を固定点として通路内で振り回されたときに、通路の内面との接触による影響を抑制することができる。また、合繊糸用スプライサでは、第1直線及び第2直線が7.0mmよりも大きくなると、通路内において一方の糸及び他方の糸に対して流体が作用し難くなるため、絡合部が適切に形成されない。したがって、合繊糸用スプライサでは、第1直線及び第2直線を4.0mm以上7.0mm以下とすることより、絡合部を適切に形成できる。その結果、合繊糸用スプライサでは、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきを抑制できる。
【0008】
一実施形態においては、噴射孔は、円形状を呈しており、噴射孔の直径は、φ0.8mm以上φ2.0mm以下であってもよい。この構成では、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきを抑制できる。
【0009】
一実施形態においては、噴射孔の直径は、φ1.0mm以上φ1.8mm以下であってもよい。この構成では、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきをより一層抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る合繊糸用スプライサを示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、糸継機構の動作を示す図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、絡合部の引張伸度の測定結果を示す図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、実施例及び比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1に示される合繊糸用スプライサ1は、合成繊維からなる第1糸(一方の糸)Y1(
図6参照)の糸端と合成繊維からなる第2糸(他方の糸)Y2(
図6参照)の糸端との糸継ぎを行う装置である。合繊糸用スプライサ1は、例えば、供給ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取機において、一の供給ボビンの糸の終端と他の供給ボビンの糸の始端との糸継ぎを行うために使用される。本実施形態では、合繊糸用スプライサ1は、いわゆるハンドスプライサである。
【0014】
合繊糸用スプライサ1は、本体3と、糸継機構5と、を備えている。本体3は、糸継機構5を保持する筐体である。本体3は、第1本体部3aと、第2本体部3bと、から構成されている。本体3は、側面から見て、例えば略L字形状を呈している。
【0015】
第1本体部3aは、合繊糸用スプライサ1を使用する際に、作業者によって把持される部分である。第1本体部3aは、例えば、略直方体形状を呈している。第1本体部3aには、操作部7が設けられている。操作部7は、合繊糸用スプライサ1において糸継作業を行う際に操作されるボタンである。本実施形態では、操作部7は、第1本体部3aの長手方向の一端部側(第2本体部3b側)において、第1本体部3aが作業者に把持されたときに人差し指の稼動範囲内に位置する部位に設けられている。
【0016】
第1本体部3aの下端部(長手方向の他端部)には、接続部9が設けられている。接続部9には、圧縮空気(流体)(以下、単に「空気」とも称する。)を供給するチューブ(図示省略)が接続される。第1本体部3aには、操作部7の動作に連動するスイッチ、及び、接続部9を介して供給された圧縮空気を分岐する部品等が収容されていてもよい。
【0017】
第2本体部3bには、糸継機構5が設けられている。第2本体部3bは、例えば、略直方体形状を呈している。第2本体部3bは、第1本体部3aの一端部に設けられている。具体的には、第2本体部3bは、第2本体部3bの長手方向と第1本体部3aの長手方向とが所定の角度(例えば90°以下)を成すように、第1本体部3aと一体に設けられている。第2本体部3bは、糸継機構5を露出させている。第2本体部3bには、後述する第1挟持機構20及び第2挟持機構30を駆動させる駆動部等(例えば、シリンダ等)が収容されている。
【0018】
図2又は
図3に示されように、糸継機構5は、糸継部10と、第1挟持機構20と、第2挟持機構30と、を備えている。第1挟持機構20及び第2挟持機構30は、糸継部10のチャンバー14を挟む位置に設けられている。
【0019】
図4に示されるように、糸継部10は、糸継ノズル12と、チャンバー(通路)14と、空気流路16と、を有している。
【0020】
糸継ノズル12は、金属又はセラミック材料で形成されているブロック体である。糸継ノズル12には、スリット13が設けられている。スリット13は、チャンバー14に糸を導入する部分である。スリット13の上部には、傾斜面15が設けられている。傾斜面15は、スリット13に糸を案内する。傾斜面15は、糸継ノズル12の上面12aからスリット13に向かって先細りとなるテーパー状を呈している。
【0021】
チャンバー14は、第1糸Y1及び第2糸Y2が挿通される通路である。
図5に示されるように、チャンバー14は、糸継ノズル12の一方の側面12bと他方の側面12cとを貫通している。チャンバー14は、第1糸Y1及び第2糸Y2が挿通可能である空間を形成している。
図4に示されるように、チャンバー14の貫通方向と直交する平面に形成されるチャンバー14の断面形状は、円形状を呈している。円形状には、真円形状、楕円形状等が含まれる。本実施形態では、チャンバー14の貫通方向は、糸継ノズル12の一対の側面12b,12c(
図5参照)の対向方向である。本実施形態では、チャンバー14の断面形状は、真円形状である。
【0022】
チャンバー14において、チャンバー14の中心Cを通り且つチャンバー14の内周面14aを結ぶ第1直線及びチャンバー14の中心Cを通り且つチャンバー14の内周面14aを結ぶと共に第1直線に直交する第2直線は、4.0mm以上7.0mm以下である。本実施形態では、チャンバー14の断面形状は、真円形状である。そのため、
図4に示されるように、第1直線及び第2直線は、同じ寸法であり、チャンバー14の直径R1である。本実施形態では、チャンバー14の直径R1は、φ4.0mm以上φ7.0mm以下である。
【0023】
空気流路16は、チャンバー14に供給する空気を流通させる。空気流路16は、チャンバー14に開口する噴射孔16aを有している。噴射孔16aは、空気流路16とチャンバー14とを連通させる。噴射孔16aからは、チャンバー14に対して、空気が噴射される。噴射孔16aの直径R2は、φ0.8mm以上φ2.0mm以下であり、好ましくはφ1.0mm以上φ1.8mm以下であり、より好ましくはφ1.3mm以上φ1.6mm以下である。噴射孔16aのチャンバー14における位置は、設計に応じて適宜設定されればよい。空気流路16の上流側(噴射孔16aと反対側)には、接続部18が設けられている。接続部18には、空気を供給する供給管等が接続される。
【0024】
図2及び
図3に示されるように、第1挟持機構20は、支持部22と、挟持部23と、を有している。第1挟持機構20は、糸継部10のチャンバー14に挿通される糸を挟持(クランプ)する。
【0025】
支持部22は、直方体形状(角柱状)を呈している。
図5に示されるように、支持部22は、互いに対向する一対の主面22a,22bと、互いに対向する一対の側面22c,22dと、を有している。側面22dは、糸継ノズル12の側面12bと対向する面である。
【0026】
支持部22は、挟持部23を保持する。支持部22は、揺動可能に設けられている。具体的には、
図2に示されるように、支持部22の基端部(長手方向の一端部)には、軸21が設けられている。軸21は、図示しないフレーム等に固定されている。支持部22は、軸21を中心に揺動する。支持部22は、先端部(長手方向の他端部)が糸継部10に近づく第2位置P2(
図6(b)参照)と、先端部が第2位置P2よりも糸継部10から離間する第1位置P1(
図6(a)参照)と、の間で移動する。すなわち、第1挟持機構20は、第1位置P1と第2位置P2との間で移動する。支持部22は、例えばシリンダ等の駆動部(図示省略)の駆動によって移動する。本実施形態では、上記のように、支持部22において、軸21が設けられている長手方向の一端部を基端部、当該一端部の反対側の長手方向の他端部を先端部とする。
【0027】
支持部22には、凹部25が設けられている。凹部25は、支持部22の先端部側に設けられている。凹部25は、支持部22の主面22a及び一対の側面22c,22dに開口している。凹部25は、挟持部23の一部を露出させる。
図2に示されるように、凹部25は、支持部22の主面22a側から見て、矩形形状を呈している。
図3に示されるように、凹部25は、支持部22の側面22c側から見て、矩形形状を呈している。
【0028】
図5に示されるように、支持部22は、挟持部23の後述する第2挟持部材26(第1挟持部材24)を摺動可能に支持する支持面27aを有している。支持面27aは、支持部22の一対の側面22c,22dの対向方向において、中央部に設けられている。支持面27aは、第2挟持部材26(第1挟持部材24)の外周面の形状に応じて、下方に凸状に湾曲した形状(半円形状)を呈している。支持面27aは、支持部22の長手方向に沿って延在している。
【0029】
支持部22は、一対の側面22c,22dの対向方向(第1挟持機構20と第2挟持機構30との対向方向)において支持面27aを挟む位置に、第1当接面27bと、第2当接面27cと、を有している。第1当接面27b及び第2当接面27cは、凹部25の底面を構成している。第1当接面27bは、挟持部23に挟持される第1糸Y1及び第2糸Y2と当接可能な面である。当接可能とは、挟持部23に挟持される第1糸Y1及び第2糸Y2と第1当接面27bとが当接する場合、及び、第1糸Y1及び第2糸Y2と第1当接面27bとが当接しない場合を含むことを意味する。第2当接面27cは、挟持部23に挟持される第1糸Y1及び第2糸Y2と当接する面である。
図2に示されるように、第1当接面27b及び第2当接面27cは、少なくとも、第1挟持部材24と第2挟持部材26とが当接する位置に設けられている。
【0030】
図5に示されるように、第1当接面27bは、支持面27aの一端(側面22c側の端)に連続する平坦面である。第2当接面27cは、支持面27aの他端(側面22d側の端)に連続する平坦面である。支持部22では、一対の主面22a,22bの対向方向から見て、糸継部10側から、第2当接面27c、支持面27a及び第1当接面27bの順で各面が設けられている。すなわち、第2当接面27cは、糸継部10と挟持部23との間に配置されている。第2当接面27cは、糸継部10を間に挟んで対向する第1挟持機構20と第2挟持機構30との対向方向において内側に位置しており、第1当接面27bは、当該対向方向において外側に位置している。
【0031】
第1当接面27bは、主面22a,22bと略平行である。第1当接面27bは、支持面27aと側面22cとにわたって設けられている。第2当接面27cは、主面22a,22bと略平行である。第2当接面27cは、支持面27aと側面22dとにわたって設けられている。第1当接面27bと第2当接面27cとは、支持部22の一対の主面22a,22bの対向方向における位置が同じである。
【0032】
図2に示されるように、挟持部23は、第1挟持部材24と、第2挟持部材26と、を有している。第1挟持部材24及び第2挟持部材26のそれぞれは、円柱状を呈している。第1挟持部材24及び第2挟持部材26のそれぞれは、例えば、耐摩耗性を有するSUS等の金属で形成されている。第1挟持部材24及び第2挟持部材26のそれぞれの直径は、適宜設定されればよい。
【0033】
第1挟持部材24及び第2挟持部材26は、支持部22において、それぞれの端面が対向するように配置されている。具体的には、第1挟持部材24は、支持部22の先端部側に配置されており、第2挟持部材26は、第1挟持部材24よりも支持部22の基端部側に配置されている。第1挟持機構20では、挟持部23において、第1挟持部材24の端面と第2挟持部材26の端面との間で糸を挟持することにより、糸を保持する。
【0034】
第1挟持部材24の一部は、支持部22に収容されており、第1挟持部材24の一部は、支持部22の凹部25において露出している。第1挟持部材24は、支持部22に固定されていてもよいし、第1挟持部材24と第2挟持部材26との対向方向(以下、単に「対向方向」とも称する)において移動自在(支持面27aに摺動可能)に設けられていてもよい。
【0035】
第2挟持部材26一部は、支持部22に収容されており、第2挟持部材26の一部は、支持部22の凹部25において露出している。第2挟持部材26は、支持部22において移動可能に設けられている。第2挟持部材26は、上記対向方向において移動する。第2挟持部材26は、ばね等の付勢部材(図示省略)によって、第1挟持部材24に向かって付勢されている。すなわち、第2挟持部材26と第1挟持部材24とは、第2挟持部材26に付勢部材以外の力が作用していない状態では、付勢部材の付勢力によって、互いの端面が当接している。
【0036】
第2挟持部材26は、支持部22の移動に連動して移動する。第2挟持部材26は、支持部22の第2位置P2(
図6(b)参照)から第1位置P1(
図6(a))への移動によって、第1挟持部材24から離間する方向に移動する。具体的には、第2挟持部材26は、支持部22が第2位置P2から第1位置P1に移動すると、図示しないカム機構等によって、付勢部材の付勢方向に反した方向に押し下げられる。これにより、挟持部23では、第1挟持部材24と第2挟持部材26との間に隙間(空間)が形成される。なお、第2挟持部材26の移動は、支持部22の移動と連動しなくてもよい。
【0037】
図2及び
図3に示されるように、第2挟持機構30は、支持部32と、挟持部33と、を有している。第2挟持機構30は、糸継部10のチャンバー14に挿通される糸を挟持(クランプ)する。
【0038】
支持部32は、直方体形状(角柱状)を呈している。
図5に示されるように、支持部32は、互いに対向する一対の主面32a,32bと、互いに対向する一対の側面32c,32dと、を有している。側面32dは、糸継ノズル12の側面12cと対向する面である。
【0039】
支持部32は、挟持部33を保持する。支持部32は、揺動可能に設けられている。具体的には、
図2に示されるように、支持部32の基端部(長手方向の一端部)には、軸31が設けられている。軸31は、図示しないフレーム等に固定されている。支持部32は、軸31を中心に揺動する。支持部32は、先端部(長手方向の他端部)が糸継部10に近づく第2位置P2(
図6(b)参照)と、先端部が第2位置P2よりも糸継部10から離間する第1位置P1(
図6(a)参照)と、の間で移動する。すなわち、第1挟持機構20は、第1位置P1と第2位置P2との間で移動する。支持部32は、例えばシリンダ等の駆動部(図示省略)の駆動によって移動する。当該駆動部は、支持部22を駆動する駆動部と同じであってもよいし、別途設けられていてもよい。本実施形態では、上記のように、支持部32において、軸31が設けられている長手方向の一端部を基端部、当該一端部の反対側の長手方向の他端部を先端部とする。
【0040】
支持部32には、凹部35が設けられている。凹部35は、支持部32の先端部側に設けられている。凹部35は、支持部32の主面32a及び一対の側面32c,32dに開口している。凹部35は、挟持部33の一部を露出させる。
図2に示されるように、凹部35は、支持部32の主面32a側から見て、矩形形状を呈している。凹部35は、支持部32の側面32c,32d側から見て、矩形形状を呈している。
【0041】
図5に示されるように、支持部32は、挟持部33の後述する第2挟持部材36(第1挟持部材34)を摺動可能に支持する支持面37aを有している。支持面37aは、支持部32の一対の側面32c,32dの対向方向において、中央部に設けられている。支持面37aは、第2挟持部材36(第1挟持部材34)の外周面の形状に応じて、下方に凸状に湾曲した形状(半円形状)を呈している。支持面37aは、支持部32の長手方向に沿って延在している。
【0042】
支持部32は、一対の側面32c,32dの対向方向において支持面37aを挟む位置に、第1当接面37bと、第2当接面37cと、を有している。第1当接面37b及び第2当接面37cは、凹部35の底面を構成している。第1当接面37bは、挟持部33に挟持される第1糸Y1及び第2糸Y2と当接可能な面である。第2当接面37cは、挟持部33に挟持される第1糸Y1及び第2糸Y2と当接する面である。
図2に示されるように、第1当接面37b及び第2当接面37cは、少なくとも、第1挟持部材34と第2挟持部材36とが当接する位置に設けられている。
【0043】
図5に示されるように、第1当接面37bは、支持面37aの一端(側面32c側の端)に連続する平坦面である。第2当接面37cは、支持面37aの他端(側面32d側の端)に連続する平坦面である。支持部32では、一対の主面32a,32bの対向方向から見て、糸継部10側から、第2当接面37c、支持面37a及び第1当接面37bの順で各面が設けられている。すなわち、第2当接面37cは、糸継部10と挟持部33との間に配置されている。第2当接面37cは、糸継部10を間に挟んで対向する第1挟持機構20と第2挟持機構30との対向方向において内側に位置しており、第1当接面37bは、当該対向方向において外側に位置している。
【0044】
第1当接面37bは、主面32a,32bと略平行である。第1当接面37bは、支持面37aと側面32cとにわたって設けられている。第2当接面37cは、主面32a,32bと略平行である。第2当接面37cは、支持面37aと側面32dとにわたって設けられている。第1当接面37bと第2当接面37cとは、支持部32の一対の主面32a,32bの対向方向における位置が同じである。
【0045】
図2に示されるように、挟持部33は、第1挟持部材34と、第2挟持部材36と、を有している。第1挟持部材34及び第2挟持部材36のそれぞれは、円柱状を呈している。第1挟持部材34及び第2挟持部材36のそれぞれは、例えば、耐摩耗性を有するSUS等の金属で形成されている。第1挟持部材34及び第2挟持部材36のそれぞれの直径は、適宜設定されればよい。
【0046】
第1挟持部材34及び第2挟持部材36は、支持部32において、それぞれの端面が対向するように配置されている。具体的には、第1挟持部材34は、支持部32の先端部側に配置されており、第2挟持部材36は、第1挟持部材34よりも支持部32の基端部側に配置されている。第2挟持機構30では、挟持部33において、第1挟持部材34の端面と第2挟持部材36の端面との間で糸を挟持することにより、糸を保持する。
【0047】
第1挟持部材34の一部は、支持部32に収容されており、第1挟持部材34の一部は、支持部32の凹部35において露出している。第1挟持部材34は、支持部32に固定されていてもよいし、第1挟持部材34と第2挟持部材36との対向方向において移動自在(支持面37aに摺動可能)に設けられていてもよい。
【0048】
第2挟持部材36一部は、支持部32に収容されており、第2挟持部材36の一部は、支持部32の凹部35において露出している。第2挟持部材36は、支持部32において移動可能に設けられている。第2挟持部材36は、上記対向方向において移動する。第2挟持部材36は、ばね等の付勢部材(図示省略)によって、第1挟持部材34に向かって付勢されている。すなわち、第2挟持部材36と第1挟持部材34とは、第2挟持部材36に付勢部材以外の力が作用していない状態では、付勢部材の付勢力によって、互いの端面が当接している。
【0049】
第2挟持部材36は、支持部32の移動に連動して移動する。第2挟持部材36は、支持部32の第2位置P2(
図6(b)参照)から第1位置P1(
図6(a))への移動によって、第1挟持部材34から離間する方向に移動する。具体的には、第2挟持部材36は、支持部32が第2位置P2から第1位置P1に移動すると、図示しないカム機構等によって、付勢部材の付勢方向に反した方向に押し下げられる。これにより、挟持部33では、第1挟持部材34と第2挟持部材36との間に隙間(空間)が形成される。なお、第2挟持部材36の移動は、支持部32の移動と連動しなくてもよい。
【0050】
続いて、合繊糸用スプライサ1を用いた絡合部の形成方法(糸継ぎ方法)について説明する。
【0051】
最初に、
図6(a)に示されるように、第1糸Y1及び第2糸Y2を、合繊糸用スプライサ1にセットする。具体的には、第1糸Y1及び第2糸Y2を、糸継部10のスリット13を介してチャンバー14に位置させると共に、第1位置P1に位置する第1挟持機構20及び第2挟持機構30に配置する。より詳細には、第1糸Y1及び第2糸Y2を、第1挟持機構20の第1挟持部材24と第2挟持部材26との間に配置すると共に、第2挟持機構30の第1挟持部材34と第2挟持部材36との間に配置する。これにより、第1糸Y1及び第2糸Y2は、第1挟持機構20の第1当接面27b及び第2当接面27c上に載置されると共に、第2挟持機構30の第1当接面37b及び第2当接面37c上に載置される。
【0052】
合繊糸用スプライサ1に第1糸Y1及び第2糸Y2をセットすると、操作部7を操作(押下)する。これにより、合繊糸用スプライサ1では、駆動部が作動し、第1挟持機構20及び第2挟持機構30が動作する。
【0053】
具体的には、第1挟持機構20において、第1挟持部材24と第2挟持部材26とにより第1糸Y1及び第2糸Y2が挟持される。また、第2挟持機構30において、第1挟持部材34と第2挟持部材36とにより第1糸Y1及び第2糸Y2が挟持される。その後、
図6(b)に示されるように、第1挟持機構20及び第2挟持機構30は、第1位置P1から第2位置P2に移動する。これにより、第1糸Y1及び第2糸Y2は、挟持部23と挟持部33との間で弛んだ状態で保持される。また、第1糸Y1及び第2糸Y2は、少なくとも第2当接面27c及び第2当接面37cに当接した状態で保持される。
【0054】
また、操作部7が操作されると、空気流路16を介して、噴射孔16aからチャンバー14に対して空気が噴射される。これにより、チャンバー14内に位置する第1糸Y1及び第2糸Y2は、空気の作用によって糸継ぎされ、絡合部が形成される。
【0055】
続いて、操作部7の操作を解除する。これにより、合繊糸用スプライサ1では、噴射孔16aからチャンバー14に対しての空気の噴射が停止されると共に、第1挟持機構20及び第2挟持機構30が動作する。
【0056】
具体的には、
図6(a)に示されるように、第1挟持機構20及び第2挟持機構30は、第2位置P2から第1位置P1に移動する。この動作に伴って、第1挟持機構20において、第2挟持部材26が第1挟持部材24から離間する方向に移動し、第1挟持部材24と第2挟持部材26とによる第1糸Y1及び第2糸Y2の挟持が解除される。第2挟持機構30においても同様に、第2挟持部材36が第1挟持部材34から離間する方向に移動し、第1挟持部材34と第2挟持部材36とによる第1糸Y1及び第2糸Y2の挟持が解除される。なお、第1挟持機構20が第2位置P2から第1位置P1に移動した後に、第1挟持部材24と第2挟持部材26とによる第1糸Y1及び第2糸Y2の挟持が解除されてもよい。同様に、第2挟持機構30が第2位置P2から第1位置P1に移動した後に、第1挟持部材34と第2挟持部材36とによる第1糸Y1及び第2糸Y2の挟持が解除されてもよい。以上により、合繊糸用スプライサ1による、第1糸Y1及び第2糸Y2の糸継ぎが完了する。これにより、第1糸Y1及び第2糸Y2は、一本の糸になる。
【0057】
続いて、本実施形態に係る合繊糸用スプライサ1の作用効果について説明する。
【0058】
合繊糸用スプライサ1において、チャンバー14の直径R1がφ4.0mm未満である場合、第1糸Y1及び第2糸Y2が、空気の噴射によって挟持部23,33を固定点としてチャンバー14で振り回されたときに、チャンバー14の内周面14aと接触しやすくなる。このように、第1糸Y1及び第2糸Y2がチャンバー14の内周面14aに接触する割合が増えると、接触による摩擦の影響が顕著になる。これにより、第1糸Y1及び第2糸Y2が何らかのダメージを受けて、絡合部が適切に形成されないおそれがある。また、合繊糸用スプライサでは、チャンバー14の直径R1がφ7.0mmよりも大きくなると、チャンバー14内において第1糸Y1及び第2糸Y2に対して空気が作用し難くなるため、絡合部が適切に形成されない。その結果、絡合部の引張伸度が低下し得る。
【0059】
これに対して、本実施形態に係る合繊糸用スプライサ1では、チャンバー14の直径R1は、φ4.0mm以上φ7.0mm以下である。これにより、合繊糸用スプライサでは、第1糸Y1及び第2糸Y2が、チャンバー14内で振り回されたときに、チャンバー14の内周面14aとの接触による影響を抑制できると共に、第1糸Y1及び第2糸Y2に適切に空気を作用させることができる。したがって、合繊糸用スプライサ1では、絡合部を適切に形成できる。その結果、合繊糸用スプライサ1では、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきを抑制できる。
【0060】
図7(a)及び
図7(b)に、本実施形態に係る合繊糸用スプライサ1において、チャンバー14の直径R1及び噴射孔16aの直径R2の組み合せを変えて絡合部を形成したときの絡合部の引張伸度の測定結果を示す。測定には、USTER社製のTENSORAPID4(商品名)を用いた。
図7(a)は、噴射孔16aから噴射される空気の圧力を4kgf/cm
2に設定した場合の結果を示している。
図7(b)は、噴射孔16aから噴射される空気の圧力を5kgf/cm
2に設定した場合の結果を示している。糸は、半延伸糸(POY:Pre Oriented Yarn)である。測定対象とした糸は、88dtex-72fである。
図7(a)の測定に用いた絡合部が形成されていない糸の引張伸度は、132.3(%)であった。
図7(b)の測定に用いた絡合部が形成されていない糸の引張伸度は、131.1(%)であった。
【0061】
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、噴射孔16aの直径R2がφ0.8mm以上2.0mm以下であり、且つ、チャンバー14の直径R1がφ4.0mm以上7.0mm以下である場合では、引張伸度の低下量が比較的小さくなる結果が得られた。
図7(a)に示されるように、空気の圧力が4kgf/cm
2の場合では、特に、チャンバー14の直径R1がφ5.5mm、φ6.0mm及びφ7.0mmである場合に、引張伸度の低下量が比較的小さくなる結果が得られた。
図7(b)に示されるように、空気の圧力が5kgf/cm
2の場合では、特に、チャンバー14の直径R1がφ6.0mm及びφ7.0mmである場合に、引張伸度の低下量が比較的小さくなる結果が得られた。以上のことから、合繊糸用スプライサ1では、チャンバー14の直径R1をφ4.0mm以上φ7.0mm以下とすることにより、絡合部の引張伸度の低下を抑制できることが確認された。
【0062】
続いて、実施例及び比較例に基づいて、合繊糸用スプライサ1の効果を説明する。
図8(a)及び
図8(b)では、絡合部が形成されていない合成繊維における引張伸度の測定値を基準値として、実施例及び比較例について、基準値からの引張伸度の低下量(%)を示している。測定には、USTER社製のTENSORAPID4(商品名)を用いた。実施例は、本実施形態に係る合繊糸用スプライサ1において、チャンバー14の直径R1をφ6.0mmとした場合において、絡合部を形成した糸の結果を示している。比較例は、チャンバー14の直径R1をφ3.5mmとした場合において、絡合部を形成した糸の結果を示している。糸は、半延伸糸である。測定対象とした糸は、88dtex-48f-CD(カチオン可染糸)である。噴射孔16aから噴射される空気の圧力は、3.5kgf/cm
2に設定した。「A」、「B」、「C」及び「D」は、同条件における繰り返し試験の結果を示している。
【0063】
(実施例1、比較例1)
実施例1及び比較例1では、噴射孔16aの直径R2をφ1.3mmとした。実施例1では、基準値からの引張伸度の低下量[%]が、「A」は-3.5%、「B」は-2.1%、「C」は-2.3%、「D」は-0.7%であった。実施例1において、低下量の最小値と最大値との差は、2.8%であった。
【0064】
比較例1では、基準値からの引張伸度の低下量[%]が、「A」は-7.6%、「B」は-5.3%、「C」は-14.9%、「D」は-12.8%であった。比較例1において、低下量の最小値と最大値との差は、9.6%であった。
【0065】
(実施例2、比較例2)
実施例2及び比較例2では、噴射孔16aの直径R2をφ1.6mmとした。実施例2では、基準値からの引張伸度の低下量[%]が、「A」は-8.5%、「B」は-12.4%、「C」は-12.3%、「D」は-8.8%であった。実施例2において、低下量の最小値と最大値との差は、3.9%であった。
【0066】
比較例2では、基準値からの引張伸度の低下量[%]が、「A」は-10.5%、「B」は-8.4%、「C」は-16.6%、「D」は-9.6%であった。比較例2において、低下量の最小値と最大値との差は、8.2%であった。
【0067】
以上のように、チャンバー14の直径R1をφ6.0mmとした場合には、φ3.5mmの場合に比べて、引張伸度の低下量が小さい傾向がある。また、実施例1,2では、「A」~「D」の低下量の最小値と最大値との差が、比較例1,2よりも小さい。そのため、合繊糸用スプライサ1では、引張伸度の低下量のばらつきが小さいことが確認された。したがって、合繊糸用スプライサ1では、安定的に絡合部を形成でき、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきを抑制できることが確認された。
【0068】
本実施形態に係る合繊糸用スプライサ1では、糸継部10の噴射孔16aは、円形状を呈している。噴射孔16aの直径R2は、φ0.8mm以上φ2.0mm以下である。この構成では、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、絡合部の引張伸度の低下を抑制しつつ、引張伸度の低下量のばらつきを抑制できる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0070】
上記実施形態では、本体3の形状として、
図1に示される形態を一例に説明した。しかし、本体3の形状は、
図1に示される形態に限定されない。
【0071】
上記実施形態では、第1挟持部材24,34及び第2挟持部材26,36が円柱状を呈する、すなわち第1挟持部材24,34及び第2挟持部材26,36の断面が円形状を呈する形態を一例に説明した。しかし、第1挟持部材及び第2挟持部材は、糸を挟持可能な形状であれば、円柱状に限定されず、様々な形状(例えば、角柱状等)とすることができる。
【0072】
上記実施形態では、支持部22,32が軸21,31を中心に揺動することにより、第1位置P1及び第2位置P2に移動する形態を一例に説明した。しかし、支持部22,32は、例えば、互いに平行な状態で、互いに近づく方向及び互いに離間する方向に移動してもよい。
【0073】
上記実施形態では、チャンバー14の断面形状が、真円形状である形態を一例に説明した。しかし、チャンバー14の断面形状は、楕円形状であってもよい。この場合、チャンバー14において、チャンバー14の中心Cを通り且つチャンバー14の内周面14aを結ぶ第1直線及びチャンバー14の中心Cを通り且つチャンバー14の内周面14aを結ぶと共に第1直線に直交する第2直線のそれぞれが、4.0mm以上7.0mm以下であればよい。すなわち、楕円形状のチャンバー14の長軸及び短軸が、4.0mm以上7.0mm以下であればよい。
【0074】
上記実施形態では、第1糸Y1及び第2糸Y2を第1位置P1に位置する第1挟持機構20及び第2挟持機構30に配置した後で、第1挟持機構20及び第2挟持機構30を第1位置P1から第2位置P2に移動させて、噴射孔16aからチャンバー14に対して空気を噴射して絡合部を形成する形態を一例に説明した。しかし、合繊糸用スプライサ1を用いた絡合部の形成方法はこれに限定されない。
【0075】
例えば、第1糸Y1及び第2糸Y2を第2位置P2に位置する第1挟持機構20及び第2挟持機構30に配置した後で、第1挟持機構20及び第2挟持機構30を第2位置P2から第1位置P1に移動させて、更に、第1挟持機構20及び第2挟持機構30を第1位置P1から第2位置P2に移動させた後に、噴射孔16aからチャンバー14に対して空気を噴射して絡合部を形成してもよい。
【0076】
上記実施形態では、合繊糸用スプライサ1が、作業者によって把持されて使用されるハンドスプライサである形態を一例に説明した。しかし、合繊糸用スプライサは、装置等に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…合繊糸用スプライサ、10…糸継部、14…チャンバー(通路)、14a…内周面、16a…噴射孔、20…第1挟持機構、30…第2挟持機構、C…中心、R1…直径(第1直線、第2直線)、R2…直径、Y1…第1糸(一方の糸)、Y2…第2糸(他方の糸)。