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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】照明器具および温度検知ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/00 20200101AFI20240924BHJP
【FI】
H05B47/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019080383
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020177846
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-02-15
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木所 孝元
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克磨
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】草野 顕子
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-173029(JP,A)
【文献】特開2014-157781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B45/00,H05B47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点灯させる点灯装置と、
温度を検出し、前記温度に応じて決まる第1調光率と外部から指示された第2調光率とを比較し、比較結果に応じて前記第1調光率と前記第2調光率の何れかの調光率で前記光源が点灯するように前記点灯装置を制御する温度検知ユニットと、
を備え、
前記温度検知ユニットは、前記第1調光率と前記第2調光率のうち低い方の調光率で前記光源が点灯するように前記点灯装置を制御するとともに、前記第1調光率で前記点灯装置を制御するときは、前記第1調光率または前記温度に応じた点灯制御であることを使用者に報知し、前記温度が高くなるほど前記第1調光率を低くすることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記第1調光率は、前記温度が高くなるほど低くなるように予め設定されている請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記温度検知ユニットは、
前記温度を検出する感温回路と、
外部から前記第2調光率を受信する通信回路と、
前記第1調光率と前記第2調光率とを比較し、前記比較結果に応じて前記点灯装置を制御する制御回路と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記温度検知ユニットは、前記温度、前記第1調光率または前記第2調光率を使用者に報知することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記温度検知ユニットは、前記第1調光率で前記光源が点灯するように前記点灯装置を制御する場合に、前記第1調光率または前記温度を使用者に報知することを特徴とする請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
前記温度検知ユニットは、前記温度、前記第1調光率または前記第2調光率に応じて点灯または点滅する表示部を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の照明器具。
【請求項7】
前記温度検知ユニットは、前記温度、前記第1調光率または前記第2調光率に応じて前記光源が点滅するように前記点灯装置を制御することを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記点灯装置は、前記光源を点滅させた後、前記温度検知ユニットから指示された前記調光率で前記光源を点灯させることを特徴とする請求項7に記載の照明器具。
【請求項9】
前記温度検知ユニットは、前記温度、前記第1調光率または前記第2調光率に応じた信号を外部に送信することを特徴とする請求項4から8の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項10】
前記温度検知ユニットは、前記温度に応じて決まるフェード時間を設けて、前記第1調光率と前記第2調光率の何れかの調光率で前記光源を点灯させることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項11】
前記フェード時間は、前記温度が低いほど長いことを特徴とする請求項10に記載の照明器具。
【請求項12】
前記温度検知ユニットは、外部から前記第2調光率で前記光源を点灯させる指示を受けると、前記温度に応じて決まる待機時間の経過後に、前記第1調光率と前記第2調光率の何れかの調光率で前記光源を点灯させることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項13】
前記待機時間は、前記温度が低いほど長いことを特徴とする請求項12に記載の照明器具。
【請求項14】
光源と、
前記光源を点灯させる点灯装置と、
温度を検出し、前記温度に応じて決まる第1調光率と外部から指示された第2調光率とを比較し、比較結果に応じて前記第1調光率と前記第2調光率の何れかの調光率で前記光源が点灯するように前記点灯装置を制御する温度検知ユニットと、
を備え、
前記温度検知ユニットは、前記光源が消灯状態のとき外部から前記第2調光率で前記光源を点灯させる指示を受けると、前記光源を消灯状態に維持して前記点灯装置を起動させ、前記温度に応じて決まる待機時間の経過後に、前記第1調光率と前記第2調光率の何れかの調光率で前記光源を点灯させることを特徴とする照明器具。
【請求項15】
温度を検出する感温回路と、
外部から第2調光率を受信する通信回路と、
前記温度に応じて決まる第1調光率と、前記第2調光率と、を比較し、比較結果に応じて前記第1調光率と前記第2調光率の何れかの調光率で光源が点灯するように外部の点灯装置を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記第1調光率と前記第2調光率のうち低い方の調光率で前記光源が点灯するように前記点灯装置を制御するとともに、前記第1調光率で前記点灯装置を制御するときは、前記第1調光率または前記温度に応じた点灯制御であることを使用者に報知し、前記温度が高くなるほど前記第1調光率を低くすることを特徴とする温度検知ユニット。
【請求項16】
前記温度検知ユニットは、前記第1調光率または前記温度を使用者に報知することを特徴とする請求項15に記載の温度検知ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具および温度検知ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交流電源電圧を直流電圧に変換する整流回路と、直流電圧を変換してLED負荷に給電するDC-DC変換回路とを備えるLED点灯装置が開示されている。このLED点灯装置は、さらに感温回路を備える。感温回路は、周囲温度が高温であるときに、DC-DC変換回路の電流設定値を減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5526095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、温度に対して保護機能を有する照明器具が、さらに外部との通信機能を有する場合、外部からの指令と保護回路の判定結果が食い違うおそれがある。この場合、適切な保護動作が実施されず、照明器具が故障する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、適切に保護できる照明器具および温度検知ユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に係る照明器具は、光源と、該光源を点灯させる点灯装置と、温度を検出し、該温度に応じて決まる第1調光率と外部から指示された第2調光率とを比較し、比較結果に応じて該第1調光率と該第2調光率の何れかの調光率で該光源が点灯するように該点灯装置を制御する温度検知ユニットと、を備え、該温度検知ユニットは、該第1調光率と該第2調光率のうち低い方の調光率で該光源が点灯するように該点灯装置を制御するとともに、該第1調光率で該点灯装置を制御するときは、該第1調光率または該温度に応じた点灯制御であることを使用者に報知し、該温度が高くなるほど該第1調光率を低くする。
第2の開示に係る照明器具は、光源と、該光源を点灯させる点灯装置と、温度を検出し、該温度に応じて決まる第1調光率と外部から指示された第2調光率とを比較し、比較結果に応じて該第1調光率と該第2調光率の何れかの調光率で該光源が点灯するように該点灯装置を制御する温度検知ユニットと、を備え、該温度検知ユニットは、該光源が消灯状態のとき外部から該第2調光率で該光源を点灯させる指示を受けると、該光源を消灯状態に維持して該点灯装置を起動させ、該温度に応じて決まる待機時間の経過後に、該第1調光率と該第2調光率の何れかの調光率で該光源を点灯させる。
【0007】
第3の開示に係る温度検知ユニットは、温度を検出する感温回路と、外部から第2調光率を受信する通信回路と、該温度に応じて決まる第1調光率と、該第2調光率と、を比較し、該比較結果に応じて該第1調光率と該第2調光率の何れかの調光率で光源が点灯するように外部の点灯装置を制御する制御回路と、を備え、該制御回路は、該第1調光率と該第2調光率のうち低い方の調光率で該光源が点灯するように該点灯装置を制御するとともに、該第1調光率で該点灯装置を制御するときは、該第1調光率または該温度に応じた点灯制御であることを使用者に報知し、該温度が高くなるほど該第1調光率を低くする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明器具および温度検知ユニットでは、温度に応じて決まる第1調光率と外部から指示された第2調光率とを比較し、比較結果に応じて第1調光率と第2調光率の何れかの調光率で光源が点灯するように点灯装置を制御する。従って、照明器具を適切に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明器具の斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明器具の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係る点灯装置の構成を示す図である。
図4】実施の形態1に係る温度検知ユニットの動作を説明する図である。
図5】実施の形態1に係る制御パラメータの対応関係を説明する図である。
図6】実施の形態2に係る温度検知ユニットの動作を説明する図である。
図7】実施の形態3に係る温度検知ユニットの動作を説明する図である。
図8】実施の形態4に係る制御パラメータの対応関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る照明器具および温度検知ユニットについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具1の斜視図である。照明器具1は、光源2、温度検知ユニット3および点灯装置4を備える。光源2はLEDなどの発光素子である。点灯装置4は、光源2に供給する電力を制御し、光源2を点灯させる。温度検知ユニット3は、周囲温度を検出し、検出結果に基づき点灯装置4を点灯制御する。光源2、温度検知ユニット3および点灯装置4間は配線またはコネクタ等で接続される。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る照明器具1の構成を示す図である。点灯装置4は外部電源5に接続される。点灯装置4は外部電源5からの入力電圧を、光源2を点灯させる電力に変換し、光源2へ供給する。点灯装置4は、入力電圧を目標とする光出力が得られるような直流電圧または直流電流に変換する。点灯装置4では、ダイオード、トランジスタなどの半導体素子と、インダクタ、コイル、抵抗などの受動部品とがプリント基板上に実装されている。
【0013】
温度検知ユニット3は、感温回路6、通信回路7、制御回路8および表示部9を備える。感温回路6は温度を検出する。感温回路6には温度によって抵抗値が変化するサーミスタ等が用いられる。制御回路8はサーミスタの抵抗値を読み取ることで周囲温度を検出する。感温回路6が検出する温度は、感温回路6または温度検知ユニット3の周囲温度である。図1に示されるように、温度検知ユニット3は照明器具1の本体1aの側面に取り付けられる。感温回路6は、本体1aの周囲温度または本体1aの側面の温度を検出しても良い。
【0014】
また、温度検知ユニット3が取り付けられる位置は、図1に示される位置に限らない。温度検知ユニット3は、光源2または点灯装置4の側面に取り付けられても良い。また、感温回路6は、点灯装置4の周囲温度または点灯装置4の内部温度を検出しても良い。また、感温回路6は、光源2の周囲温度、光源2の温度、またはLED素子が実装されるLED基板の温度を検出しても良い。
【0015】
制御回路8は、感温回路6の検出温度または外部機器10からの指示に応じて点灯装置4を制御する。制御回路8は、マイコンであっても良い。制御回路8は、例えば不揮発性メモリである記憶部を有する。制御回路8は、感温回路6が検出する検出温度と、後述する第1調光率との対応関係を記憶部に記憶している。
【0016】
通信回路7は外部機器10と有線または無線で通信する。外部機器10と通信回路7との間で送受信されるデータは、照明器具1の調光率、周囲温度、保護情報等である。通信回路7は、外部機器10から第2調光率を受信する。
【0017】
ここで、外部機器10は例えばリモコンである。また、照明器具1の外部に制御システムが構築される場合、外部機器10は制御システムが有する照明コントローラまたはパソコン等であっても良い。
【0018】
表示部9はLEDなどの発光素子を有する。表示部9は、制御回路8からの信号に応じて点灯または点滅する。これにより、情報をユーザーに通知することができる。なお、表示部9は発光素子以外であっても良い。
【0019】
制御回路8は、記憶部に格納された検出温度と第1調光率との対応関係を参照し、検出温度に対応する第1調光率を読み出す。このように、第1調光率は、検出温度に応じて決まる調光率である。制御回路8は、第1調光率と第2調光率とを比較し、比較結果に応じて点灯装置4に制御信号を送信し、制御する。また、制御回路8は、比較結果に応じて表示部9へ制御信号を送信し、表示部9を点灯または点滅させる。
【0020】
図3は、実施の形態1に係る点灯装置4の構成を示す図である。点灯装置4はスイッチング回路などで構成される。点灯装置4において、外部電源5にPFC(power factor correction)回路18が接続される。
【0021】
PFC回路18の高電位側の出力には、スイッチング素子15のドレインと、制御電源回路17が接続される。スイッチング素子15は例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子15のソースには、ダイオードのカソードとインダクタの一端が接続される。ダイオードのアノードは、PFC回路18の低電位側の出力と光源2を繋ぐ線路に接続される。インダクタの他端は光源2に接続される。スイッチング素子15、ダイオードおよびインダクタは、例えばバックコンバータ回路を構成する。スイッチング素子15がオンオフすることで、PFC回路18の出力電圧から光源2に供給される定電流が生成される。
【0022】
スイッチング素子15のゲートは制御回路16に接続される。制御回路16は例えばマイコンである。点灯装置4では、制御回路16がスイッチング素子15のオンオフを制御することで、光源2に供給する電力を制御している。
【0023】
制御電源回路17は、PFC回路18の出力電圧である直流高電圧から制御回路16の制御電源を生成する。制御回路16は、制御電源が供給されることにより起動、動作する。一般に、制御電源はスイッチング回路内で使用される。本実施の形態では、制御電源は、温度検知ユニット3に供給され、温度検知ユニット3を動作させる動作電源となる。また、制御電源は制御回路8の制御電源となる。これにより、温度検知ユニット3専用の電源が不要となる。従って、温度検知ユニット3を小型化および軽量化できる。また、温度検知ユニット3内部の電源回路を削減できるため、温度検知ユニット3の大型化を抑制しつつ、温度検知ユニット3にさまざまな機能を搭載できる。本実施の形態では、温度検知ユニット3に通信機能および表示機能を搭載している。
【0024】
図4は、実施の形態1に係る温度検知ユニット3の動作を説明する図である。外部機器10には、ユーザーが設定した外部機器調光指令値81が入力される。外部機器調光指令値81は、第2調光率に該当し、例えば調光率100%である。外部機器10は、外部機器調光指令値81を通信回路7に送信する。通信回路7は、外部機器調光指令値81を読み込み、制御回路8へ送信する。
【0025】
感温回路6は、検出温度82を検出する。検出温度82は例えば80℃である。感温回路6は、検出温度82を制御回路8へ送信する。制御回路8は回路内部にて検出温度82を調光指令値に変換する。80℃に対応する調光指令値は例えば20%である。この調光指令値は第1調光率に該当する。
【0026】
制御回路8は、第1調光率と第2調光率を比較し、調光指令値の低いほうを優先して点灯装置4へ調光指令値83を送信する。ここでは、第1調光率である20%の調光指令値83が送信される。このように、制御回路8は、第1調光率と第2調光率のうち、低い方の調光率で光源2が点灯するように点灯装置4を制御する。
【0027】
また、制御回路8は、第1調光率を点滅回数指令値84に変換し、表示部9に送信する。点滅回数指令値84は、表示部9の点滅回数を示す値である。点滅回数は例えば3回である。制御回路8は、第1調光率と第2調光率を比較し、第1調光率と第2調光率のうち低い方の調光率に対応する回数だけ、表示部9に点滅を指示する。
【0028】
点灯装置4は調光指令値83を受けて、光源2の光出力を20%で点灯させる。また、表示部9は、点滅回数指令値84を受けて、制御回路8から指示された回数だけ点滅する。これにより、表示部9は、ユーザーに光源2の制御状態を通知する。
【0029】
以上の動作は、例えば通信回路7が外部機器10から第2調光率を受信したことをトリガとして、発生しても良い。これにより、ユーザーが外部機器10から第2調光率を入力すると、制御状態に応じて表示部9が点滅する。従って、ユーザーは、第1調光率と第2調光率の何れが反映されたかを確認できる。なお、第2調光率を受信する前の状態は、消灯状態であっても点灯状態であっても良い。
【0030】
図5は、実施の形態1に係る制御パラメータの対応関係を説明する図である。制御回路8において、感温回路6の検出温度と、感温回路6からの指令値が紐付けられている。感温回路6からの指令値は、第1調光率と表示部9の点滅回数指令値とを含む。周囲温度が高いほど、第1調光率は低くなる。また、点滅回数指令値は、第1調光率毎に異なる値が割り当てられる。
【0031】
図5では、外部機器10からの第2調光率が60%である場合の制御回路8からの調光指令値が示されている。制御回路8からの調光指令値は、第1調光率と第2調光率のうち低い方である。このため、第1調光率が60%よりも大きい場合、制御回路8からの調光指令値は、第2調光率である60%となる。また、第1調光率が60%よりも小さい場合、制御回路8からの調光指令値は、第1調光率となる。
【0032】
図5の例では、制御回路8が外部機器10からの第2調光率で光源2を点灯させる場合、表示部9の点滅回数は0回である。また、制御回路8が検出温度で決まる第1調光率で光源2を点灯させる場合、表示部9の点滅回数は第1調光率に対応する回数となる。このように、温度検知ユニット3は、第1調光率で光源2が点灯するように点灯装置4を制御する場合に、第1調光率または検出温度を使用者に報知する。これにより、ユーザーが指示した第2調光率以外の調光率で光源2が制御されていることを、ユーザーに報知できる。
【0033】
これに限らず、表示部9は、検出温度、第1調光率または第2調光率に応じて点灯または点滅すれば良い。例えば、制御回路8は、第2調光率で点灯装置4を制御する場合は、第2調光率に応じた回数だけ表示部9を点滅させても良い。また、制御回路8は、点灯装置4の制御に用いられる調光率に応じた回数だけ表示部9を点滅させても良い。また、制御回路8は、第1調光率と第2調光率の大小によらず、検出温度に応じた回数だけ表示部9を点滅させても良い。また、制御回路8は、検出温度、第1調光率または第2調光率に応じた色で、表示部9を点灯させても良い。以上から、検出温度、第1調光率または第2調光率を使用者に報知できる。
【0034】
また、制御回路8は、検出温度に応じて第1調光率で点灯装置4を制御することのみを使用者に報知しても良い。このとき、第1調光率または検出温度によって、表示部9の色または点滅回数を変更しなくても良い。この場合も、表示部9の点灯または点滅により、ユーザーが指示した第2調光率以外の調光率で光源2が制御されていることを、ユーザーに報知できる。
【0035】
また、表示部9はLEDに限らず、モニターを有しても良い。これにより、直接、第1調光率、第2調光率または検出温度等の情報をモニターに表示できる。なお、図5のテーブルは一例であり、自由に設定できる。
【0036】
次に、本実施の形態の効果について説明する。LED素子は発光する際に発熱を伴う。また、点灯装置4においても、一般に供給する電力の大きさに比例して発熱が大きくなる。一般に照明器具において、周囲温度または光源、点灯装置の温度に関わらず、常に一定の光出力となるよう光源が制御されることがある。このとき、なんらかの要因によって光源または点灯装置の温度が上昇した場合、LED素子または点灯装置の効率が低下するおそれがある。また、LED素子または点灯装置が短寿命となり、故障に至る可能性がある。
【0037】
さらに、温度に対して保護機能を有する照明器具が、外部との通信機能を有する場合、外部からの指令と保護回路の判定結果が食い違うおそれがある。この場合、適切な保護動作が実施されず、照明器具が故障する可能性がある。
【0038】
これに対し、本実施の形態の温度検知ユニット3は、第1調光率と第2調光率の比較結果に応じて、低い方の調光率で光源2が点灯するように点灯装置4を制御する。これにより、確実に検出温度で決まる第1調光率以下の調光率で光源2を点灯させることができる。このため、高温時に光源2の調光率を低く設定し、照明器具1の温度上昇を抑制できる。従って、照明器具1の安全性を確保できる。
【0039】
また、第1調光率よりも外部から指示された第2調光率が低いときは、第2調光率で光源2が点灯する。従って、通信による調光機能と温度保護機能を両立し、照明器具1を適切に保護できる。
【0040】
また、本実施の形態では表示部9により、保護機能が正常に動作していることをユーザーが把握できる。また、表示部9により、照明器具1の現在の動作モードをユーザーが視覚的に把握できる。これにより、ユーザーは、照明器具1が高温であることを把握でき、照明器具1の安全性をさらに向上できる。なお、表示部9によるユーザーへの通知機能は、必要に応じて設けなくても良い。
【0041】
また、本実施の形態では、温度上昇の抑制のため、第1調光率と第2調光率のうち低い方の調光率で光源2が制御される。この変形例として、例えば氷点下等の低温時においては、温度検知ユニット3は第1調光率と第2調光率のうち高い方の調光率で光源2を制御しても良い。低温時に調光率を高く維持することで、照明器具1の温度低下を抑制できる。これにより、例えば照明器具1の凍結を防止できる。
【0042】
制御回路8は、感温回路6の検出温度に応じて、高い調光率と低い調光率のどちらを優先するかを決定しても良い。制御回路8、検出温度が閾値よりも高い場合に、低い方の調光率を優先させても良い。このように、温度検知ユニット3は、第1調光率と第2調光率の比較結果に応じて、第1調光率と該第2調光率の何れかの調光率で光源2が点灯するように点灯装置4を制御すれば良い。
【0043】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明器具および温度検知ユニットについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明器具および温度検知ユニットについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0044】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る温度検知ユニット3の動作を説明する図である。本実施の形態の温度検知ユニット3は、表示部9に代えて、検出温度、第1調光率または第2調光率に応じて、光源2を点滅させる。
【0045】
制御回路8が第1調光率と第2調光率を比較するまでの動作は、実施の形態1と同様である。制御回路8は、第1調光率と第2調光率のうち低い方の調光指令値83を点灯装置4に送信する。また、制御回路8は、低い方の調光率である第1調光率を点滅回数指令値84に変換し、点灯装置4に送信する。制御回路8は、第1調光率と第2調光率を比較し、第1調光率と第2調光率のうち低い方の調光率に対応する回数だけ、点灯装置4に光源2の点滅を指示する。
【0046】
点灯装置4は、点滅回数指令値84に応じて光源2を点滅させた後、温度検知ユニット3から指示された調光指令値83で光源2を点灯させる。
【0047】
本実施の形態では、表示部9を設けなくてもユーザーに光源2の制御状態を通知できる。従って、照明器具1の構成を簡易にできる。
【0048】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3に係る温度検知ユニット3の動作を説明する図である。本実施の形態の温度検知ユニット3は、検出温度、第1調光率または第2調光率に応じた信号を外部に送信する点が実施の形態1、2と異なる。
【0049】
制御回路8が第1調光率と第2調光率を比較するまでの動作は、実施の形態1、2と同様である。制御回路8は、第1調光率と第2調光率のうち低い方の調光指令値83を点灯装置4に送信する。これにより、点灯装置4は調光指令値83に応じて光源2の光出力を制御する。また、制御回路8は、調光指令値83を通信回路7に送信する。通信回路7は、調光指令値83を外部機器10に対応した信号に変換して、外部機器10に出力する。
【0050】
外部機器10は液晶画面等の表示部を有する。温度検知ユニット3から受信したデータは、表示部に表示される。ユーザーは外部機器10の表示部を確認することで、照明器具1の状態を把握できる。
【0051】
このように本実施の形態では、表示部9を設けなくてもユーザーに光源2の制御状態を通知できる。従って、照明器具1の構成を簡易にできる。また、光源2の点滅も必要ないため、点灯装置4の制御を容易にできる。
【0052】
通信回路7から外部へ出力するデータは、調光指令値83に限らない。外部へ出力するデータは、周囲温度の情報または制御の状態などでもよい。
【0053】
図5に示される通信データは、通信回路7から外部機器10に送信されるデータの一例である。ここでは、検出温度に応じて決まる4桁の通信データが通信回路7から送信される。これにより、ユーザーは検出温度を把握できる。
【0054】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4に係る制御パラメータの対応関係を説明する図である。温度検知ユニット3は、検出温度に応じて決まるフェード時間を設けて、第1調光率と第2調光率の何れかの調光率で光源2を点灯させる。フェード時間は、光源2に電力供給を開始してから目標の光出力に到達するまでの時間である。
【0055】
本実施の形態では、制御回路8は点灯装置4に対して、調光指令値83とともにフェード時間を送信する。点灯装置4は、フェード時間だけかけて、光源2の調光率を現在の値から調光指令値83まで変化させる。
【0056】
図8の例においてフェード時間は、検出温度が0°より低いとき5秒であり、0°以上のとき1秒である。このように、フェード時間は、温度が低いほど長く設定される。図8のテーブルは一例であり、自由に設定ができる。
【0057】
一般に-40℃等の低温時において、起動特性によっては点灯装置を急峻に起動させると故障する恐れがある。このため、起動フェード時間を設定することで、点灯装置4を安定して起動させることができる。また、低温時においても照明器具1を保護できる。また、高温時にフェード時間を短く設定すると、照明器具1の故障を抑制しつつ、高温時には迅速に点灯させることができる。
【0058】
また、フェード時間を設けた制御は、定常点灯時に調光率を変化させる場合に行わせても良く、消灯状態からの起動時に行われても良い。
【0059】
本実施の形態の変形例として、制御パラメータとして点灯装置4に電力供給を開始してから、光源2が点灯するまでの待機時間が設定されても良い。待機時間は、検出温度に応じて決まる。待機時間は、例えば検出温度が低いほど長く設定される。
【0060】
制御回路8は外部から第2調光率で光源2を点灯させる指示を受けると、検出温度で決まる第1調光率と、第2調光率とを比較する。このとき、点灯装置4は停止状態であり、光源2は消灯状態である。停止状態は、例えばPFC回路18、バックコンバータ回路に電流が流れていない状態である。停止状態において制御回路16のみが動作していても良い。
【0061】
制御回路8は、点灯装置4に対して、第1調光率と第2調光率の何れかの調光率である調光指令値83と、待機時間とを送信する。これにより、点灯装置4は、光源2を消灯状態に維持して起動する。点灯装置4は、待機時間の経過後に、調光指令値83に応じた調光率で光源2を点灯させる。
【0062】
このように、温度検知ユニット3は、比較結果に応じて、待機時間の経過後に第1調光率と第2調光率の何れかの調光率で光源2が点灯するように、点灯装置4を制御する。これにより、光源2が点灯するまでの待機時間中は光源2に電力が供給されず、点灯装置4のみに電流が流れる。従って、電流を十分に安定させてから光源2を制御することで、点灯装置4を安全に起動させることができる。
【0063】
各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 照明器具、1a 本体、2 光源、3 温度検知ユニット、4 点灯装置、5 外部電源、6 感温回路、7 通信回路、8 制御回路、9 表示部、10 外部機器、15 スイッチング素子、16 制御回路、17 制御電源回路、18 PFC回路、81 外部機器調光指令値、82 検出温度、83 調光指令値、84 点滅回数指令値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8