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特許7558654セルライトを評価及び処置するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】セルライトを評価及び処置するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20240924BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240924BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20240924BHJP
   A61K 38/46 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240924BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61B5/107 800
A61B5/00 M
A61K35/742
A61K38/46
A61P17/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019568589
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018020551
(87)【国際公開番号】W WO2018160905
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】62/607,188
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/465,622
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/485,705
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519316092
【氏名又は名称】エンド ベンチャーズ アンリミテッド カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】519316106
【氏名又は名称】ダビッドソン,ジェフリー
(73)【特許権者】
【識別番号】519316117
【氏名又は名称】マクレーン,マイケル
(73)【特許権者】
【識別番号】519316128
【氏名又は名称】リウ,ゲンチョウ
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ダビッドソン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】マクレーン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ゲンチョウ
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134840(JP,A)
【文献】米国特許第11123280(US,B2)
【文献】米国特許第11813347(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第3589204(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/00 - 5/01
A61K 35/00 - 35/768
A61K 38/00 - 38/58
A61B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象の患部におけるセルライトの重症度を臨床医が評定に使用するための、検証済みの写真数値化スケールであって、前記写真数値化スケールは、
1人以上の実例患者の患部を示す5~10点の画像、ここで、前記実例患者の画像中の患部は、ヒト対象の患部の位置に対応し、各画像は、凹みの数、凹みの深さ、凹みのサイズ、凹みの幅、凹みの直径、及び凹みの分布からなる群より選択されるセルライトの特徴に基づく異なる重症度評定を有する、
を含み、前記5~10点の画像は:
第1の画像、ここで前記第1の画像は、重症度評定0を有し、凹みも明らかなセルライトもない実例患者の患部を示
第2の画像、ここで前記第2の画像は、重症度評定1を有し、ほとんどが表面的な深さの少数の凹みを有する実例患者の患部を示
第3の画像、ここで前記第3の画像は、重症度評定2を有し、ほとんどが浅い深さのいくつかの凹みを有する実例患者の患部を示
第4の画像、ここで前記第4の画像は、重症度評定3を有し、ほとんどが中程度の深さの多数の凹みを有する実例患者の患部を示及び
第5の画像、ここで前記第5の画像は、重症度評定4を有し、一部がより重度の深さを伴った沢山の凹みを有する実例患者の患部を示す、
を含み、
前記写真数値化スケールが試験-再試験信頼性分析を使用して検証されたものである、検証済みの写真数値化スケール。
【請求項2】
前記患部が臀部である、請求項1に記載のスケール。
【請求項3】
前記スケールが、少なくとも2名の実例患者の患部を示す画像を含む、請求項1又は2に記載のスケール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年3月1日に出願された米国仮出願第62/465,622号、2017年4月14日に出願された同第62/485,705号、及び2017年12月18日に出願された同第62/607,188号の優先権を主張するものであり、これらの出願は、法律で認められる最大限の範囲において、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、浮腫性線維硬化性皮下脂肪組織異常(edematous fibrosclerotic panniculopathy)(EFPまたはセルライト)の評価及び処置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
セルライトとして一般的に知られている浮腫性線維硬化性皮下脂肪組織異常(EFP)は、皮膚の外形異常をもたらす皮下組織の局所的代謝障害として定義される。当該状態は、特に臀部-大腿区域において、凹んだ皮膚として現れる。EFPは、皮膚皮下組織結合を通じた皮下脂肪小葉のヘルニア形成、及び/または皮下組織層を横断し真皮を下層の筋膜に接続するコラーゲン中隔が短縮することにより引き起こされる。これにより、凹みを伴った平坦でない表面が創出される。EFPは、潜在的に美容的に許容されない皮膚の変質をもたらす医学的状態であり、推定で思春期後の女性の85%~98%に影響を及ぼす。
【0004】
EFPの病態生理は、完全には理解されていないが、3つの主な理論:細胞内マトリックスの過剰な親水性からもたらされる浮腫、局所的な微小循環の変化、及び女性における男性と異なるコラーゲン性皮下組織の解剖学的構造が存在する。
【0005】
EFPは全身性肥満とは異なることが知られている。全身性肥満において、脂肪細胞は、骨盤、大腿、及び腹部に限定されない肥大及び過形成を受ける。EFPの領域内では、脂肪細胞は、他の領域に位置する脂肪組織とは異なる生理的及び生化学的特性を有する。大きな代謝的に安定した脂肪細胞は、EFPを生じやすい領域を特徴づけるため、カテコールアミン誘導脂肪分解に対する応答性は、EFP組織内では、最も応答性が高い内臓脂肪に比べると低い。
【0006】
皮下脂肪葉は、薄い、通常は剛性のコラーゲン性結合組織の撚り糸によって相互に分離されており、この撚り糸は、脂肪層を横断し真皮を下層の筋膜に接続している。これらの中隔は、皮下組織を安定させ、脂肪を分割する。EFPにおいて、線維化によるコラーゲン中隔の短縮は、線維柱帯の挿入点における収縮を誘発し、EFPを特徴づける窪みの原因となる。EFPを有する女性における、より薄い垂直な皮下組織中隔のパーセンテージは、男性よりも高い。体重増加はEFPをより目立たせるが、EFPは痩せ型の対象にも存在し得る。EFPは家族内で広まる傾向があるため、遺伝学も役割を果たし得る。
【0007】
セルライトを処置する試みとして利用されている治療は存在するが、承認された薬理学的処置は存在しない。複数の治療モダリティーがあるにもかかわらず、これらの処置のいずれかが有益であるという科学的エビデンスはほとんど存在しない。実際のところ、エビデンスの多くは事例的、主観的であり、あるいは患者の自己査定のみに基づいている。EFPに対する歴史的な処置の一部としては、体重減少、局所用薬剤、マッサージ、脂肪吸引、メソセラピー、高周波、真皮切除(subcision)及び電動真皮切除、ならびにレーザー治療が挙げられ、これらの処置の一部は、有害作用のリスク増加をもたらす恐れがある。
【0008】
セルライトを有する女性における美的結果を改善するための、安全かつ有効な治療に対するアンメットニーズが依然として存在する。セルライトを有効に処置するために、治療アプローチには、コラーゲンから構成されており、多くの女性にとって厄介な皮膚の凹みの原因となる皮膚中隔の分断が求められる場合がある。
【0009】
XIAFLEX(登録商標)(コラゲナーゼClostridium histolyticum、またはCCH、またはEN3835)は、触知可能な拘縮索を伴う成人のデュピュイトラン拘縮(DC)患者の処置向けに米国、EU、カナダ、オーストラリア、及び日本で承認され、触知可能なプラーク及び治療開始時における少なくとも30度の陰茎の湾曲変形を伴うペロニー病(PD)を有する成人男性の処置向けに米国及びEUで承認された、生物学的薬剤である。XIAFLEX(登録商標)(ヨーロッパではXIAPEXとしても知られている)は、Clostridium histolyticumから導出されるコラゲナーゼの2つのサブタイプの組合せを含む。これらのコラゲナーゼサブタイプは一緒になって、コラーゲン構造の結合を切断するように相乗的に働くと考えられている。後外側大腿または臀部内にEFPを有する女性150名における過去の用量設定研究では、0.84mgのCCHの3回までの注射が、プラセボとの対比でEFP外観を著しく改善することが実証された(P<0.05)。Goldman MP,et al.J AM ACAD DERMATOL.2015;72(5 Suppl).Abstract 1721。
【0010】
処置結果は、医師及び/または患者によって査定され得る。その目的に向け、米国食品医薬品局(FDA)は、業界向けのガイダンス:Patient-Reported Outcome Measures:Use in Medical Product Development to Support Labeling Claims(2009)を発表している。当該ガイダンスは、承認された医療製品表示物における主張を裏付けるために使用される、既存の、修正された、または新規に創出された患者報告による結果装置を、どのようにFDAが検討及び評価するかについて説明するものである。
【0011】
セルライトの外観は、様々な写真数値化スケール及びその他のスケールを使用する数多くの方法で査定されてきた。このようなスケールとしては、Hexselセルライト重症度スケール(「Hexsel CSS」)及びグローバル美的改善スケール(Global Aesthetic Improvement Scale)(「GAIS」)が挙げられる。Hexsel CSSは、Hexsel et al.,“A Validated Photonumeric Cellulite Severity Scale,”J.EUR.ACAD.DERMATOL.Venereol.2009 May;23(5):523-8で説明されている。簡潔に述べると、Hexsel CSSは、以下のセルライトの5つの臨床形態学的特色にわたって患者をスコア化する:(A)明らかな窪みの数;(B)窪みの深さ;(C)皮膚表面変質の形態学的外観;(D)弛緩、皮膚のしまりのなさ、または皮膚下垂のグレード;(E)Nurnberger及びMullerによって最初に説明された分類スケール(Nurnberger et al.,“So-called Cellulite:An Invented Disease”J.DERMATOL.SURG.ONCOL.1978;4:221-229)。20点の別々の写真(すなわち、5つの形態学的特色の各々につき4点ずつ)を使用して、各項目の重症度を0から3までグレード付けし、これらを足し合わせて0から15までの数値範囲の最終合計スコアを得る。最終数値スコアに基づいて、セルライトはさらに、軽度、中等度、または重度に分類された。
【0012】
Hexsel CSSは、まとめて考慮されている臀部及び大腿の後部上のセルライトの評価に使用するときに信頼でき、かつ一貫しているという報告がなされたが、「弛緩、皮膚のしまりのなさ、または皮膚下垂の程度のグレードは、スケールの最終的な一貫性に対し積極的に寄与しているわけではない」。Almeida et al.,“Intra- and inter-observer reliability of the application of the cellulite severity scale to a Spanish female population”J.EUR.ACAD.DERMATOL.VENEREOL.,2013 June;27(6):694-8。さらに、Hexsel CSSは、求められるステップの数ゆえに、セルライトの重症度の査定のための簡潔な手段を提供しない。Hexsel CSSは複雑であり、複数の下位カテゴリーの結果を合計して最終スコアにするユーザーに依存する。
【0013】
GAISは、処置前と比較した外観のグローバル美的改善を研究者による判断で評定する5ポイントのスケールである。概して、評定カテゴリーは「悪化」、「変化なし」、「改善」、「大きく改善」、及び「非常に大きく改善」と不均衡である。
【0014】
それ故に、先行技術のこれらのスケールは、医師間及び患者間からの正確さの欠如を含めた数多くの難点を有する。したがって、当技術分野では、セルライトの性質及び程度を査定、定量化、及び評定するための信頼できる一貫した方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0015】
本開示は上記のニーズを満たしており、また本開示は、セルライトの診断、査定、及び処置に有用な新規の検証済みのスケールに関するものである。本開示はさらに、セルライトを処置する方法に関し、具体的には、治療有効量の、例えば、XIAFLEX(登録商標)などの、Clostridium histolyticumから得られるまたは由来するコラゲナーゼを、セルライトの処置を必要とする対象に投与し、次に新規のスケールを使用して改善の程度を査定することに関する。本開示のスケールは、セルライトのための任意の治療剤または処置と共に、(a)処置前のベースラインを確立するため、(b)処置中の進捗を査定するため、または(c)処置後の治療効果を評価するために使用することができる。
【0016】
一実施形態において、本開示は、各々が異なるセルライト重症度の評定またはレベルを有する、一連の3~15点の写真、イラスト、図、コンピューター画像、3Dモデル、MRI画像、サーモグラム、超音波画像、またはこれに類するものを提供する。当該スケールは、医師/臨床医及び患者により使用される。本明細書に記載の特定のコラゲナーゼ処置の有効性は、臨床医の評定及び患者の評定を含む複合的なエンドポイントに基づく場合があり、改善は、同じ対象に対して両方のスケールで示され、すなわち、事前に指定された改善レベルが臨床医のスケール及び患者のスケールの両方において実証される。
【0017】
別の実施形態において、本開示は、ヒト対象の臀部または大腿におけるセルライト重症度を査定するためのスケールであって、ヒトの臀部または大腿の領域を示す3~10点の写真、イラスト、モデル、画像、または図であって、セルライトの特徴に基づいた重症度レベルを代表する異なるカテゴリーに整理され、写真、イラスト、モデル、画像、または図を含み、当該特徴は、凹みの数及び深さからなる群より選択され、そして当該スケールが複数の臨床医により用いられたときに、当該臨床医の少なくとも40%が、対象のセルライト領域を同じ重症度に割り当てる、スケールを説明する。ある特定の実施形態において、臨床医は、少なくとも患者の50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または患者の約100%において同じ重症度レベルを提供する。
【0018】
別の態様において、患者の臨床的アセスメントを実施するためのスケール及び方法であって、本発明のスケールを適用することによるベースラインアセスメントを含む、スケール及び方法が提供される。当該スケールは、異なる重症度カテゴリーに対応する写真の行または列を含む場合がある。例えば、スケールは、異なる重症度カテゴリーに対応する写真の行に付随するラベル及び単語ベースの説明を含む場合がある。単語ベースの説明またはラベルは、なし(NONE)、ほとんどなし(ALMOST NONE)、軽度(MILD)、中等度(MODERATE)、及び重度(SEVERE)という単語を含んでもよい。このような単語の後には、重症度カテゴリーを示す写真の行に一般的に見いだされる1つ以上の特徴を記述する説明的な単語が示される。
【0019】
さらなる実施形態において、本開示は、5ポイントの写真数値化スケール、例えば、臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール(CR-PCSS:Clinician Reported Photonumeric Cellulite Severity Scale)及び患者報告による写真数値化セルライト重症度スケール(PR-PCSS:Patient Reported Photonumeric Cellulite Severity Scale)に対して検証されるものである。図2A図2E図3A図3E図4A図4E図5A図5Eを参照。これらの写真数値化スケールは、セルライトの重症度を5つのレベルへと定量化するように設計されている。これらの検証済みのCR-PCSS及びPR-PCSSスケールは、(a)処置前のベースラインの確立、(b)処置中の進捗の査定、または(c)処置後の治療効果の評価に特に好適である。
【0020】
当該スケールを使用する際、臨床医または患者は、患者の1つの四半部(左臀部、右臀部、左後外側大腿、または右後外側大腿)(処置領域としても知られている)を、CR-PCSS(臨床医向けの図3及び5を参照)またはPR-PCSS(患者向けの図2及び4を参照)上のピクチャー、ラベル、及び記述語と比較して、患者のセルライト状態を、CR-PCSSまたはPR-PCSS上の重症度レベルのうちの1つとマッチングさせる。5つの重症度レベルは、なし、ほとんどなし、軽度、中等度、及び重症である。臀部の評価及び大腿の評価のために別々のスケールが設計され、いずれも同じ5ポイントの重症度レベルを使用するが、各領域に合わせた異なる説明を有する。
【0021】
また、ヒト対象におけるセルライト重症度を査定する方法であって、(a)評価する大腿または臀部の患部を選択することと、(b)大腿または臀部の患部を、図2~5に記載のように各々が対応する数字を有する一連の写真と比較することと、(c)当該大腿または臀部の患部に最も外観が近い写真を特定することと、(d)特定された写真に対応する数字を読み取ることと、(e)大腿もしくは臀部または大腿もしくは臀部の患部に最も適合性が近いラベルを特定することとを含み、当該スケールを利用することが少なくとも50%の評価者の間で一貫性をもたらす、方法も開示される。
【0022】
一部の実施形態において、CR-PCSSスケールを使用する方法が複数の臨床医により用いられる場合、当該臨床医の少なくとも40%は、患者のセルライトの領域に対し、患者がスクリーニングされたときそして処置前1日目から同じセルライト重症度評定を与える。あるいは、他の実施形態において、臨床医は、患者の約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約100%にこのような同じ評定を提供する。
【0023】
また、セルライトの処置または緩和を必要とする患者におけるセルライトの処置または緩和のための方法であって、(a)患者のセルライト重症度を、1つ以上の検証済みのスケールを使用することにより査定して、ベースラインを確立することと、(b)治療有効量のCCHを、患者の大腿または臀部の患部に注射することと、(c)このような注射からもたらされる改善を、当該1つ以上の検証済みのスケールを使用することにより評価することとを含む、方法も開示される。
【0024】
一態様において、注射されるCCHの量は、1回以上の注射において処置セッション1回当たり約0.01mg~2mgである。本発明において任意の好適なコラゲナーゼ組成物が使用されてもよい。約10~60日ごとに生じる1~8回の処置セッションが行われてもよい。
【0025】
別の実施形態において、コラゲナーゼ処置を受ける患者は、処置後約71日目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方についてベースラインからの2ポイント以上の改善を有するか、または処置後約71日目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方についてベースラインからの1ポイント以上の改善を有する。このような患者は、処置後約6ヵ月目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方についてベースラインからの2ポイント以上の改善を有するか、または処置後約6ヵ月目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方についてベースラインからの1ポイント以上の改善を有するか、または処置後約12ヵ月目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方についてベースラインからの2ポイント以上の改善を有するか、または処置後約12ヵ月目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方についてベースラインからの1ポイント以上の改善を有する。さらに、このような患者は、処置後約22日、43日、90日、または180日目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方においてベースラインからの2ポイント以上または1ポイント以上の改善を有する。
【0026】
一部の実施形態において、患者は、処置後約6ヵ月目に、CR-PCSS及びPR-PCSSスコアの両方においてベースラインからの3ポイント以上の改善を示すか、または処置後約12ヵ月目に、CR-PCSS及びPR-PCSSスコアの両方においてベースラインからの3ポイント以上の改善を有するか、または処置後約12ヵ月目に、CR-PCSS及びPR-PCSSスコアの両方においてベースラインからの3ポイント以上の改善を有する。さらに、このような患者は、処置後約22日、43日、90日、または180日目に、CR-PCSS及びPR-PCSSスコアの両方においてベースラインからの3ポイント以上の改善を有する。別の態様において、コラゲナーゼ処置は、(本明細書で定義されるような)持続性を示す。
【0027】
本スケール、方法及びこれに類するものにおける追加的な実施形態は、以下の説明、図面、実施例、及び請求項から明白になるであろう。前述及び後続の説明から理解され得るように、本明細書で説明されるあらゆる特色、及びこのような特色における2つ以上のあらゆる組合せは、このような組合せに含まれる特色が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。加えて、任意の特色または特色の組合せは、任意の実施形態または態様から特異的に排除される場合がある。追加的な態様及び実施形態は、特に付属の実施例及び図面と併用して検討される場合、後続の説明及び特許請求の範囲に記載される。
【0028】
本特許または出願ファイルには、カラーで制作された図面が少なくとも1点含まれている。カラー図面による本特許または特許出願公開のコピーは、要請し必要料金を支払えば特許商標庁から提供される。
【0029】
前述の実施形態の特色は、付属の図面を参照して、後続の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に理解されるであろう。図面についての説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】セルライトの解剖学的構造の図示である。
図2】大腿に対するPR-PCSSを示す一連の写真である。
図3】大腿に対するCR-PCSSを示す一連の写真である。
図4】臀部に対するPR-PCSSを示す一連の写真である。
図5】臀部に対するCR-PCSSを示す一連の写真である。
図6】それぞれCCHまたはプラセボで処置された患者2名の臀部における処置前及び処置後のセルライトを示す一連の写真であり、それぞれCR-PCSS及びPR-PCSS評定において2ポイントの改善を有する、または評定における変化を有しない。
図7】セルライトの凹みへのCCHまたはプラセボの投与に有用な注射技法の図示である。
図8】研究設計の概略図である。
図9】プライマリーエンドポイント及びセカンダリーエンドポイントのCCHまたはプラセボ治療後71日目における複合応答を報告するグラフである。
図10】CCHで処置され、ベースライン査定からの2ポイントの複合応答を示す患者の臀部におけるセルライトの処置前及び処置後を示す一連の写真である。
図11】CCHで処置され、ベースライン査定からの1ポイントの複合応答を示す患者の臀部におけるセルライトの処置前及び処置後を示す一連の写真である。
図12】CCHで処置され、PR-PCSSに基づいた1ポイントの応答を示す患者の臀部におけるセルライトの処置前及び処置後を示す一連の写真である。
図13】プラセボで処置され、CR-PCSSでもPR-PCSSでも変化を示さなかった患者の臀部におけるセルライトの処置前及び処置後を示す一連の写真である。
図14】フェーズ2b研究からの全ての利用可能なデータに基づいた、処置群ごとのCR-PCSSにおけるベースラインから71日目までの変化についての可能性分布を示す棒グラフである。
図15】フェーズ2b研究からの全ての利用可能なデータに基づいた、処置群ごとのCR-PCSSにおけるベースラインから71日目までの変化についての累積分布関数(CDF)を示す棒グラフである。
図16】フェーズ2b研究からの全ての利用可能なデータに基づいた、処置群ごとのPR-PCSSにおけるベースラインから71日目までの変化についての可能性分布を示す棒グラフである。
図17】フェーズ2b研究からの全ての利用可能なデータに基づいた、処置群ごとのPR-PCSSにおけるベースラインから71日目までの変化についての累積分布関数(CDF)を示す棒グラフである。
【0031】
本出願ファイルには、カラーで制作された図面が少なくとも1点含まれている。カラー図面による本特許出願公開のコピーは、要請し必要料金を支払えば特許商標庁から第三者に提供されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで様々な態様及び実施形態が、本明細書で十分に説明される。ただし、これらの態様及び実施形態は、多数の異なる形態で具現化され得るものであり、これらを限定的なものと解釈するべきではなく、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなるように提供され、また本発明の主題の範囲を当業者に対し十分に伝達することになる。前述または後述にかかわらず、本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
A.定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用する全ての用語及び表現は、そうではないことが明らかに示されるか、逆のことが当該用語または句が使用されている文脈から明らかに明白でない限り、当該用語及び句が当技術分野で獲得している意味を含む。本発明の実施または試験の際に、本明細書に記載の方法及び材料と類似したまたは同等の、任意の方法及び材料を使用することは可能であるが、ここでは特定の方法及び材料について説明する。
【0034】
別段の記載がない限り、個々の数値の使用は、その数値の前に「約」または「およそ」という単語があるかのごとく、概数として記載されている。同様に、本出願において指定されている様々な範囲内の数値は、別段の明記がない限り、記載範囲内の最小値及び最大値の前に「約」または「およそ」という単語があるかのように、概数として記載されている。この様式において、記載範囲を上回る及び下回るバリエーションも、範囲内の値と実質的に同じ結果を達成するために使用することができる。本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、数値を指すときに、本開示主題が最も密接に関連する技術分野、または対象となる範囲もしくは要素に関連する技術分野における当業者にとっての、平明かつ通常的な意味を有するものとする。厳密な数値的境界から広げる量は、数多くの因子に依存する。例えば、考慮され得る因子の一部としては、要素の臨界性、及び/または所与の量のバリエーションが特許請求された主題の実行に及ぼす効果、ならびに当業者に公知の他の考慮事項が挙げられる。本明細書で使用される場合、異なる数値に対する異なる量の有効数字の使用は、どのように「約」または「およそ」という語の使用が特定の数値または範囲を広げるように働くかを限定するようには意図されていない。それ故に、一般的事項として、「約」または「およそ」は数値の幅を広げる。また、範囲の開示は、最小値と最大値の間のあらゆる値に加えて、「約」または「およそ」という用語の使用によりもたらされる範囲の広がりを含む連続的な範囲としても意図されている。結果的に、本明細書における値範囲の記載は、単に、範囲内に収まる各個々の値を個別に言及する簡略的方法として供するように意図されており、各個々の値は、本明細書で個別に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。
【0035】
本明細書で使用される場合「患部」とは、CCHまたはセルライト用の任意の他の治療剤もしくは処置を用いて処置されることになるセルライトの四半部(定義は後述)またはその他の領域を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール」(CR-PCSS)とは、医師/臨床医により使用され、かつセルライト重症度を5つのレベルに定量化するように設計される、図3A図3E及び図5A図5Eに示される写真数値化スケールである。
【0037】
本明細書で使用される場合、「複合応答者」とは、PR-PCSS及びCR-PCSSの両方において、セルライト重症度が少なくとも2レベル改善した患者を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「持続性」とは、1)対象が2レベルの複合応答者になった受診日から、査定評定が戻り、かつベースライン評定に保持されている、連続した2回の受診のうちの最初の日までと、2)対象が1レベルの複合応答者になった受診日から、査定評定が戻り、かつベースライン評定で保持されている、連続した2回の受診のうちの最初の日までとを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「画像」とは、写真、イラスト、図、モデル、3Dモデル、コンピューター生成画像、MRI画像及びこれに類するものを意味する。
【0040】
「任意選択の」または「任意選択により」とは、その後に記載される要素、構成要素、または状況が生じてもよく、または生じなくてもよいことを意味し、その結果、この記載は、当該要素、構成要素、または状況が生じる事例と生じない事例とを含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、「患者報告による写真数値化セルライト重症度スケール」(PR-PCSS)とは、セルライト重症度を5つのレベルに定量化するように設計される、図2A図2E及び図4A図4Eに示される写真数値化スケールである。
【0042】
本明細書でされる場合、「写真数値化」とは、各々があるスケールにおける異なるレベルのセルライト重症度に割り当てられた一連の写真、イラスト、図、モデル、3Dモデル、コンピューター生成画像、MRI画像、画像及びこれに類するものを使用することを意味する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「四半部(quadrant)」とは、患者の左臀部、右臀部、左後外側大腿、または右後外側大腿を意味する。
【0044】
「対象」または「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ヒトまたは他の哺乳類を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、刺激する、または所望の有益な結果を開始するのに必要な生物活性剤の量を指す。用いられる生物活性剤の量は、所望の結果を達成するのに必要な生物活性剤の量を送達するのに必要な量となる。実際において、この量は、送達される特定の生物活性剤、送達の部位、及び生物活性剤を患部の皮膚に送達するための溶解及び放出の動態に応じて、広く変動することになる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「処置セッション」という用語は、1回の受診でセルライトを処置するのに有用な、治療有効量の少なくとも1つの活性剤を用いた患部への1回以上の注射または処置を意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「検証済みの(validated)」、「妥当性(validity)」、または「検証(validation)」という用語は、これによって特定のスケールが正確で、かつ信頼できることが実証されるプロセスを意味し、これには、同じ結果が一貫して得られ得ることを保証するための視覚的査定の再現性が含まれる。検証は、さらに、スケールの精度、正確性、及び感度を検証して、そのスケールによる測定値が信頼でき、再現可能であり、ロバストであることを確認する。
【0048】
B.序論
本開示の発明は、セルライトを有効に評定する、特に、セルライトの処置で使用される、信頼でき、かつ一貫したスケールに対するニーズを満たす。このようなスケールは、臨床医及び患者にとって、処置実効性を計測するのに重要である。このように、客観的定量化は、処置前後のセルライトの重症度を比較することにより治療の有効性を測定するために極めて重要である。
【0049】
C.本開示において有用な治療剤
本開示は、Clostridium histolyticumから得られる、またはこれに由来する(例えば、組換えにより)コラゲナーゼの投与に関する。本開示のスケールは、セルライトを処置及び評価するための治療剤と組み合わせて使用される。一実施形態において、セルライトの処置または緩和を必要とする患者におけるセルライトの処置または緩和のための方法であって、(a)患者のセルライトの重症度を、1つ以上の検証済みの写真数値化スケールを使用することにより査定して、ベースラインを確立することと、(b)各々が少なくとも95%の精度を有する単離及び精製されたコラゲナーゼI及びコラゲナーゼIIをおよそ1:1の比率で含む薬学的組成物を、約0.01mg~約5mgの量(コラゲナーゼI/II構成要素に基づいて)で、セルライトが存在する患部に注射することと、(b)このような注射からもたらされる改善を、当該1つ以上の検証済みの写真数値化スケールを使用することにより評価することと、を含む、方法が存在する。
【0050】
一態様において、上記のコラゲナーゼI及びIIの混合物を、処置セッション1回当たり約0.01mg~5mgの量で、1回以上の注射において注射してもよく、例えば、この用量は、約3~約20回の注射に等分割される。混合物の用量は、1回以上の注射において、約0.1mg~1mg、もしくは0.25mg~0.75mg、もしくは0.1mg~2mg、もしくは0.25mg~1.75mg、もしくは0.5mg~1mg、0.1mg~3mg、もしくは0.25mg~2.75mg、もしくは0.5mg~2.5mg、もしくは0.75mg~2.25mg、もしくは1mg~2mg、もしくは0.1mg~4mg、もしくは0.25mg~3.75mg、もしくは0.5mg~3.5mg、もしくは0.75mg~3mg、もしくは1mg~3mg、または約0.05mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2mg、2.25mg、2.5mg、2.75mg、3mg、3.25mg、3.5mg、3.75mg、4.0mg、4.25mg、4.5mg、4.75mg、もしくは5mgを含んでもよい。別の実施形態において、投与される用量は、1回以上の注射において、約0.06mg、0.48mg、0.84mg、または1.68mgである。例えば、約0.06mg、0.48mg、0.84mg、または1.68mgが12回の注射で投与される。
【0051】
上述のコラゲナーゼ混合物の用量は、注射1回当たりのmgで表現することもでき、例えば、注射1回当たり約0.001mg~0.5mg、注射1回当たり約0.01mg~約5mg、もしくは約0.005mg~約0.1mg、または注射1回当たり0.005mg、0.04mg、もしくは0.07mgと表現することができる。当該コラゲナーゼ混合物は、コラゲナーゼ及び薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的製剤の形態をとってもよい。
【0052】
例えば、約0.84mgの上述のコラゲナーゼ混合物は、合計で処置セッション1回当たり約0.84mgの用量となる12回の等分割された注射において15~25日ごとに患部に投与されてもよい(すなわち、0.07mg×注射12回=0.84mg)。図7は、セルライトの凹みへのコラゲナーゼ混合物投与に有用な注射技法の一例である。一実施形態において、XIAFLEX(登録商標)がコラゲナーゼ製剤として用いられ得る。好適であり得るその他のコラゲナーゼは、米国特許第7,811,560号、第9,757,435号、第9,744,138号、及びWO2012/125948に記載されている。
【0053】
より詳細には、約10,000ABC単位/mg~約25,000ABC単位/mg、または約15,000ABC単位/mg、または約17,500ABC単位/mg、または約20,000ABC単位/mg、または約22,500ABC単位/mg、または約10,000ABC単位/0.58mg、または17,241ABC単位/mgの比活性を有する様々なコラゲナーゼ組成物が用いられてもよく、「mg」とは、(賦形剤及び他の構成物質とは別個に)組成物中に存在するコラゲナーゼの量を指す。したがって、本発明は、処置セッション1回当たり約500ABC単位~約50,000ABC単位、または処置セッション1回当たり約10,000ABC単位~約25,000ABC単位を注射することを企図している。
【0054】
別の実施形態において、注射1回当たりのコラゲナーゼの用量は、約50ABC単位~約2,500ABC単位、または約85ABC単位~約2,000ABC単位、または約150ABC単位~約1,750ABC単位、または約200ABC単位~約1,500ABC単位、または約300ABC単位~約1,250ABC単位、または約500ABC単位~約1,000ABC単位である。
【0055】
コラゲナーゼI及びIIの混合物は、およそ1:1の比率で使用されることが好ましいが、他の比率、例えば、0.1~2:1、または0.25~2:1、または0.5~2:1、または0.75~2:1、または1:0.1~2、または1:0.25~2、または1:0.5~2、または1:0.75~2が用いられてもよい。コラゲナーゼI及びIIの各々は、逆相HPLCによる測定で、少なくとも80%、または85%、または90%、または91%、または92%、または93%、または94%、または95%、または96%、または97%、または98%、または99%、または100%の面積純度を有し得る。
【0056】
注射するコラゲナーゼ組成物の体積は、注射1回当たり0.01mL~3mL、または処置セッション1回当たり合計約0.2mL~15mLの範囲であり得る。
【0057】
セルライトのための任意の治療剤または処置の実効性が本明細書に開示されているスケールにより測定され得るため、本開示はコラゲナーゼに限定されない。
【0058】
D.本発明で使用されるスケール
1.スケールの説明
本開示は、ヒト患者におけるセルライトの性質、程度、及び重症度を視覚的に特徴づけるための、検証済みのスケールを対象とする。当該スケールは、セルライト重症度のレベルによりカテゴリー化される約3~15点の写真、イラスト、図、3Dモデル、コンピューター画像、MRI画像、及びこれに類するものを含み得る。当該スケールは、患者報告型であっても医師報告型であってもよい。当該レベルは、患者の1つの四半部(左臀部、右臀部、左後外側大腿、または右後外側大腿)を当該スケールのピクチャー、ラベル、及び記述語と比較し、患者のセルライト状態を当該スケールの重症度レベルのうちの1つとマッチングさせる。一実施形態において、スケールは、5レベル、6レベル、7レベル、または8レベルを有する。
【0059】
一態様において、出願人は、とりわけ、この検証済みの5ポイントの写真数値化スケール(CR-PCSS及びPR-PCSS)が、公知のスケールよりも信頼でき、反復可能であり、生じるエラーが少ないことを見いだした。このようなスケールは、当該スケールを同じ患者に適用した数多くの評価者にわたって、約40%または50%または60%または70%または80%以上の一貫性をもたらした。このような評定者内及び評定者間の信頼性は、先行して公知のスケールに比べて顕著に改善されている。
【0060】
本明細書で開示されているスケールは、凹みの位置、凹みのサイズ、幅、直径、及び数、凹みの深さ、形、及び凹みの分布(凹みの間隔)からなる群より選択される様々なセルライトの特徴を特定する。ある特定の実施形態において、特徴は、凹みが少なくとも1cmの深さで、ただし2cm以下の長軸であるというものである。
【0061】
後続のセクションで詳述されるCR-PCSS及びPR-PCSSの他に、いくつかの他のスケールも本開示で使用されてもよい。例えば、このようなスケールとしてはHexselセルライト重症度スケール(CSS)が挙げられ、これは、表1に示されるように、5つのセルライトにおける臨床的形態学的特色からなる。
【表1】
【0062】
2.CR-PCSS
臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール(CR-PCSS)とは、セルライト重症度を5つのレベルへと定量化するために医師/臨床医により使用される、図3A図3E及び図5A図5Eに示されている写真数値化スケールを指す。より詳細には、CR-PCSSにおける各レベルの特徴は以下の通りである。
a.CR-PCSS臀部(図5A図5E
i.CR-PCSS評定:0(なし)
・皮膚は滑らかに見える
・綿密な検査に基づいた場合であっても、明白な凹みも隆線もない
ii.CR-PCSS評定:1(ほとんどなし)
・非常に少数の凹み/隆線
・全ての凹みが非常に浅いまたは表面的
・近づいて見なければ凹み/隆線に気づくのは困難
iii.CR-PCSS評定:2(軽度)
・いくつかの目立つ凹み/隆線
・ほとんどの凹みはあまり深くないと考えられる
・ほとんどの臀部は滑らかな皮膚であり、凹みは散らばっているか、ある特定の領域に集中している。
iv.CR-PCSS評定:3(中等度)
・多数の顕著な凹み/隆線、ほとんどがかなりはっきりしている
・凹みの一部は多少深いと考えられ得るが、ほとんどは中程度に深いと考えられ、いくつかの浅い凹みもある可能性がある
・凹み/隆線は、概して臀部の全区域にわたって広がっていく
v.CR-PCSS評定:4(重度)
・沢山の非常に目立つ凹み/隆線
・凹み/隆線の多くはかなり深いと考えられる
・凹み/隆線はほとんどの臀部において容易に明白であり、滑らかな皮膚はほとんどまたは全く見られないことになる
b.CR-PCSS大腿(図3A図3E
i.CR-PCSS評定:0(なし)
・皮膚は滑らかに見える
・綿密な検査に基づいた場合であっても、明白な凹みも隆線もない
ii.CR-PCSS評定:1(ほとんどなし)
・非常に少数の凹み/起伏
・全ての凹み/起伏が非常に浅いまたは表面的
・近づいて見なければ凹み/起伏に気づくのは困難
iii.CR-PCSS評定:2(軽度)
・いくつかの目立つ凹み/起伏
・ほとんどの凹み/起伏はあまり深くないと考えられる
・ほとんどの大腿は滑らかな皮膚であり、凹み/起伏は散らばっているか、ある特定の領域に集中している。
iv.CR-PCSS評定:3(中等度)
・多数の顕著な凹み/起伏、ほとんどがかなりはっきりしている
・凹み/起伏の一部は多少深いと考えられるが、ほとんどは中程度に深いと考えられ、いくつかの浅い起伏もある可能性がある
・凹み/起伏は、概して大腿の全区域にわたって広がっていく
v.CR-PCSS評定:4(重度)
・沢山の非常に目立つ凹み/起伏
・凹み/起伏の多くはかなり深いと考えられる
・凹み/起伏はほとんどの大腿において容易に明白であり、滑らかな皮膚はほとんどまたは全く見られないことになる
【0063】
3.PR-PCSS
患者報告による写真数値化セルライト重症度スケール(PR-PCSS)とは、自らのセルライト重症度を5つのレベルへと定量化するために患者により使用される、図2A図2E及び図4A図4Eに示されている写真数値化スケールを指す。より詳細には、PR-PCSSは以下の通りである。
a.PR-PCSS臀部(図4A図4E
i.PR-PCSS評定:0(なし)
・明らかなセルライトがない
ii.PR-PCSS評定:1(ほとんどなし)
・少数の表面的な凹みまたは隆線
iii.PR-PCSS評定:2(軽度)
・ほとんどが表面的ないくつかの凹みまたは隆線
iv.PR-PCSS評定:3(中等度)
・ほとんどが多少深い多数の凹みまたは隆線
v.PR-PCSS評定:4(重度)
・ほとんどの皮膚領域を覆う沢山の凹みまたは隆線があり、その多くは深い
b.PR-PCSS大腿(図2A図2E
i.PR-PCSS評定:0(なし)
・明らかなセルライトがない
ii.PR-PCSS評定:1(ほとんどなし)
・少数の表面的な凹みまたは隆線
iii.PR-PCSS評定:2(軽度)
・ほとんどが表面的ないくつかの凹みまたは隆線
iv.PR-PCSS評定:3(中等度)
・ほとんどが多少深い多数の凹みまたは隆線
v.PR-PCSS評定:4(重度)
・ほとんどの皮膚領域を覆う沢山の凹みまたは隆線があり、その多くが深い
【0064】
E.CR-PCSS及びPR-PCSSの開発及び検証
1.序論
臀部及び大腿に対する臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール(CR-PCSS)は、臀部及び後外側大腿上のセルライトを査定するための臨床医による使用のために開発され、臀部及び大腿に対する患者報告による写真数値化セルライト重症度スケール(PR-PCSS)は、同じ領域(すなわち、左臀部、右臀部、左後外側大腿、及び右後外側大腿)内の患者自らのセルライトを評定するための患者による使用のために開発された。セルライトに対する臨床医の査定及び患者の自己評定を支援するため、CR-PCSSスケール及びPR-PCSSスケールは、セルライト重症度のレベルが異なる、具体的には凹みの数及び深さが様々である臀部及び後外側大腿の同じ5つの参照ピクチャーを使用する。各参照ピクチャーは、付随する記述語と共に、関連する重症度レベル(なし、ほとんどなし、軽度、中等度、及び重度)でラベル付けされる。CR-PCSSスケールは、図3A図3E図5A図5Eに提示されており、PR-PCSSスケールは、図2A図2E図4A図4Eに提示されている。
【0065】
CR-PCSS装置の内容及び内容妥当性の暫定的支持は、概念誘発及び認知面接を通じて確立した。目標は、静的で事実上非比較的な性質であり、臨床的に意味のある等級づけに対応する応答カテゴリーを含むことになる、研究者にとって簡便な査定ツールを開発することであった。臨床現場において、CR-PCSSは、処置の前に初期のセルライト重症度を査定し、その後処置の完了後に再び処置後のセルライト重症度を査定するために使用されることになる。
【0066】
2.スケールの検証
写真によるCR-PCSSの検証
装置の信頼性を評価するため、CR-PCSSを試験-再試験研究において評価し、その間、5名の臨床医が、3つの異なる調達元から入手可能な164名の対象からの、なし~重度にわたるセルライト重症度のレベルを代表する合計200点の写真画像を評定した。写真画像の半数は臀部区域のものであり、半数は大腿区域のものであった。当該スケールにおける評定者内及び評定者間の信頼性を、およそ2週間の間隔を空けた2つの時点にわたり行った査定を通じて評価した。評定者内信頼性は、個別の臨床医または患者の評定を査定する。評定者間信頼性は、臨床医または患者のグループに割り当てられた評定を査定する。
【0067】
CR-PCSSは、臀部スケールにおける評定者内信頼性が、ICC(C,1)及びICC(A,1)(McGraw & Wong 1996)について0.80~0.89の範囲であり、また大腿スケールではICC(C,1)及びICC(A,1)(McGraw & Wong 1996)について0.75~0.86の範囲であり、良好な信頼性を実証した。95%信頼区間(CI)の下限のほとんどは、全て0.75を上回った。ICC(C,1)とは査定にわたる一貫性を指し、ICC(A,1)とは査定間の絶対一致を指す。
【0068】
ICC(C,1)及びICC(A,1)を使用して、評定者内信頼性を各評定者に対して算出した。全てのICC(C,1)及びICC(A,1)の点推定値は0.80を超えた。臀部画像の臨床医評定におけるほとんどのICC(C,1)及びICC(A,1)の信頼区間下限は、0.70を超えた。例外は臨床医4のICC(A,1)であり、下限は0.632であった。ICC(C,1)は0.840(0.771,0.889)~0.903(0.860,0.934)の範囲であり、ICC(A,1)は0.804(0.632,0.887)~0.894(0.833,0.931)の範囲であった[表2]。査定間の臨床医一致パーセンテージは、臨床医4の53%から臨床医5の76%の範囲であった。
【表2】
【0069】
全てのICC(C,1)及びICC(A,1)の点推定値は0.70を超え、いくつかは0.80を超えた。5事例中3事例において、大腿画像を評定する臨床医に対するICC(C,1)の信頼限定下限は、0.70を超えた。ICC(C,1)は0.766(0.672,0.836)~0.859(0.797,0.903)の範囲であり、ICC(A,1)は0.750(0.412,0.875)~0.860(0.799,0.904)の範囲であった[表3]。査定間の臨床医一致パーセンテージは、臨床医4の53%から臨床医1の75%の範囲であった。
【表3】
【0070】
ICC(C,1:査定にわたる一貫性の程度)及びICC(A,1:査定間の絶対一致の程度)を使用して、査定1と査定2における評定者の間で評定者間信頼性を算出した。査定1(表4)において、臀部画像における臨床医間評定一致パーセンテージは、53%(臨床医2及び臨床医4)~72%(臨床医3及び臨床医5)の範囲であった。査定2(表5)において、臨床医間評定一致パーセンテージは、56%(臨床医2及び臨床医4)~73%(臨床医3及び臨床医5)の範囲であった。
【表4】
【表5】
【0071】
査定1及び査定2におけるICC信頼区間下限は、0.70を超えた。査定1において、ICC(C,1)は0.856(0.813,0.892)であり、ICC(A,1)は0.839(0.785,0.883)であった。査定2において、ICC(C,1)は0.845(0.799,0.884)であり、ICC(A,1)は0.834(0.782,0.877)であった[表6]。
【表6】
【0072】
査定1において、大腿画像における臨床医間評定一致パーセンテージは、39%(臨床医2及び臨床医4)~65%(臨床医1及び臨床医5)の範囲であった[表7]。査定2において、臨床医間評定一致パーセンテージは、39%(臨床医2及び臨床医4)~70%(臨床医1及び臨床医5)の範囲であった[表8]。
【表7】
【表8】
【0073】
査定1及び査定2におけるICC信頼区間下限は、0.70を超えた。査定1において、ICC(C,1)は0.765(0.702,0.821)であり、ICC(A,1)は0.718(0.616,0.798)であった。査定2において、ICC(C,1)は0.766(0.704,0.822)であり、ICC(A,1)は0.731(0.643,0.803)であった[表9]。
【表9】
【0074】
キーとなる研究ハイライトとしては、以下が挙げられる:
i.5名の臨床医中4名は、臀部セルライト重症度の2つの査定間において、100点の画像の70%以上に対する評定が一致した;
ii.5名の臨床医中4名は、大腿セルライト重症度の2つの査定間において、100点の画像の60%以上に対する評定が一致した;
iii.100点の写真の臨床医評定における評定者間信頼性の一致パーセンテージは、臀部については約53%~約76%の範囲であり、大腿については約53%~約75%の範囲であった。
【0075】
写真によるPR-PCSSの検証
PR-PCSSの内容の妥当性を、セルライトを有する26名の対象との概念誘発面接を通じて、及びセルライトを有する23名の対象との認知面接を通じて査定した。装置の信頼性を評価するため、予めPR-PCSSの試験-再試験信頼性を、様々なレベルのセルライト重症度を伴う99名の対象のサンプルにおいて評価した。
【0076】
およそ14日間空けた2回の受診時にPR-PCSSを使用して、セルライトを大腿区域と臀部区域とに対し別々に査定した。およそ2週間離れた2つの時点にわたり、対象は、CanfieldのVectra(登録商標)カメラを使用して撮影された高品質写真を使用して、自らのセルライト重症度を自己評定した。臀部スケールについてPR-PCSSは許容される信頼性を実証し、臀部スケールの評定者内推定値はICC(C,1)及びICC(A,1)について0.86~0.87であり、大腿スケールについては、ICC(C,1)及びICC(A,1)について0.83~0.86であり、全領域における95%信頼区間(CI)の下限は0.75を上回った。
【0077】
ICC(C,1:査定にわたる一貫性の程度)及びICC(A,1:査定間の絶対一致の程度)を使用して、患者による評定者内信頼性を算出した[表10]。左臀部及び右臀部については、ICC(C,1)及びICC(A,1)は各四半部内で同じであり、左臀部=0.87(95% CI:0.813,0.911)、右臀部=0.86(95% CI:0.794,0.901)であった。この四半部内の結果の類似性は大腿の評定でも明白であり、左大腿におけるICC(C,1)は0.86(95% CI:0.793,0.901)であり、ICC(A,1)は0.86(95% CI:0.795,0.902)であった。右大腿におけるICC(C,1)は、丸めた後0.83(95% CI:0.755,0.881)であり、ICC(A,1)は0.83(95% CI:0.756,0.882)であった。
【表10】
【0078】
CR-PCSSライブアセスメント、試験-再試験信頼性
出願人はさらに、臨床医により査定される際の、その場にいる(live)(「直接診察している」)患者におけるCR-PCSSの評定者内及び評定者間信頼性と、そのPR-PCSSとのコンコーダンスとを評価するために非介入研究を実施した。より詳細には、この研究は、(1)一方はライブアセスメントのために鏡を使用し、もう一方は写真を使用する2つの自己評定の方法における比較可能性と、(2)臨床医評定と自己評定との間の関連性とを評価するために実施した。
【0079】
CR-PCSSの試験-再試験信頼性をベースライン及び2日目において評価した。臨床医が記憶に依存するのを最小限に抑えるため、2日目には患者の順序を変更し、臨床医に対し、視覚または音声の手がかりも患者への接触も容認しなかった。CR-PCSSの臨床医査定に含まれる同じ患者がPR-PCSSを使用して、セルライト重症度を自己評定した。ベースラインにおいて写真または鏡の一方を使用し、14日後にもう一方の方法を使用した。方法の順序はランダムに割り当てた。評定者内及び評定者間(CR-PCSS)信頼性を、一致に対するクラス内相関係数(ICC)を使用して推定し、対応する95%信頼区間(CI)を算出した。CR-PCSS評定とPR-PCSS評定とのコンコーダンスを、ベースラインにおける左または右臀部及び左または右大腿に対し算出した。
【0080】
CR-PCSS評定者として含まれる6名の臨床医は、大部分は男性(n=5;83.3%)であり、平均で21.3年間(4~54年の範囲)医療に従事しており、形成外科(n=3;50%)または皮膚科(n=3;50%)を専門としていた。76名の患者は、平均年齢が45.1歳(18~71歳の範囲)であり、ほとんどが白人(n=53;69.7%)であり、過半数(n=58;76.3%)が大腿及び臀部の両方にセルライトを有すると自己識別していた。左及び右臀部の両方に対するベースラインと2日目との間のCR-PCSSの臨床医評定者内信頼性の全体平均(95% CI)ICC点推定値は、0.81(0.73,0.90)及び0.81(0.72,0.90)であり、左及び右大腿に対しては、0.78(0.67,0.90)及び0.79(0.67,0.90)であり、四半部にわたるICCの信頼性を示している。ベースラインにおいて、左及び右臀部における臨床医評定者間信頼性の全体平均(95% CI)ICC点推定値は、0.76(0.69,0.83)及び0.76(0.68,0.82)であり、左及び右大腿については、0.74(0.67,0.81)及び0.75(0.68,0.82)であった。CR-PCSSに対する評定者内及び評定者間信頼性は、全領域について許容される範囲内にあると考えられ、95% CIの下限推定値は0.70付近またはそれ以上、上限推定値はおよそ0.90であった。ベースラインにおいて、左及び右臀部に対するCR-PCSSとPR-PCSSとの間の(方法にわたる)コンコーダンス(ICC[95% CI])は、0.51(0.32,0.66)及び0.56(0.38,0.70)であり、左及び右大腿に対しては、0.61(0.44,0.73)及び0.67(0.53,0.78)であった。
【0081】
2つの査定ポイントにおけるスコアを比較する両方の記述的表を通じて、及びICCの使用を通じて、評定者内信頼性を評価した。記述的解析により、臀部評定については、臨床医は、2回の受診にわたる時間の49%~79%が自らと一致し、そしてその時間の89%~92%で完全一致の1レベル以内であることが見出された。大腿の評定については、完全一致の比率は時間の41%~82%であり、一致はその時間の93%~94%で1レベル以内であった。臨床医内のコンコーダンスにおけるこのような高い比率の変動性は注目すべきであり、あらゆる事例の中で、臨床医6(上記のプロトコル逸脱)または臨床医3のいずれかの自己一致率が最も低かった。平均評定者内ICCは、両臀部領域にまたがって許容される範囲内であり、一貫していた(左臀部ICC(A,1)0.81、95% CI 0.725~0.901;右臀部ICC(A,1)0.81、95% CI 0.718~0.897)。大腿領域については、平均ICCは、両大腿領域にわたって許容されるものであり、類似していた(左大腿ICC(A,1)0.78、95% CI 0.670~0.899;右大腿ICC(A,1)0.79、95% CI 0.671~0.901)。
【0082】
全体的に見て、ICCにより算出された評定者内信頼性は、全領域について許容される範囲内にあり、95%信頼区間の下限推定値は0.70付近またはそれ以上であり、かつ上限推定値はおよそ0.90であった。臀部領域は、大腿領域と対比すると、ICCの数値に基づいて、より高いレベルの評定者内信頼性を有することが観察された。
【表11】
【0083】
平均評定者内ICCは、両臀部領域にわたって許容される範囲内であり、一貫していた(左臀部ICC(A,1)0.81、95% CI 0.725~0.901;右臀部ICC(A,1)0.81、95% CI 0.718~0.897)。大腿領域については、平均ICCは、両大腿領域にわたって許容されるものであり、類似していた(左大腿ICC(A,1)0.78、95% CI 0.670~0.899;右大腿ICC(A,1)0.79、95% CI 0.671~0.901)。
【0084】
全体的に見て、ICCにより算出された評定者内信頼性は、全領域について許容される範囲内にあり、95%信頼区間の下限推定値は0.70付近またはそれ以上であり、また上限推定値はおよそ0.90であった。臀部領域は、大腿領域と対比すると、ICCの数値に基づいて、より高いレベルの評定者内信頼性を有することが観察された。
【0085】
評定者間信頼性も同様に、記述的様式(セクション3.1.3)で、加えてICCを使用して評価した。臀部評定にわたる一致率は、少なくとも4名の臨床医が、領域(左及び右)ならびに受診にわたる評定の68%~74%において一致するものであった。大腿については、少なくとも4名の臨床医が、領域及び受診にわたる時間の71~82%で一致した。2日目と比較すると、わずかにより高いレベルの評定者間一致がベースラインにおいて観察された。
【0086】
両臀部領域にわたり、ICCにより評価されたベースラインの評定者間信頼性は、0.76(左臀部ICC(A,1)0.76、95% CI 0.691~0.827;右臀部ICC(A,1)0.76、95% CI 0.68~0.823)、そして2日目ではおよそ0.70(左臀部ICC(A,1)0.71、95% CI 0.577~0.805;右臀部ICC(A,1)0.70、95% CI 0.56~0.795)と、許容される範囲で観察された。両大腿領域において、ICCにより評価されたベースラインの評定者間信頼性は、0.74及び0.75(左大腿ICC(A,1)0.74、95% CI 0.67~0.811;右大腿ICC(A,1)0.75、95% CI 0.677~0.817)、そして2日目ではおよそ0.70(左大腿ICC(A,1)0.699、95% CI 0.562~0.798;右大腿ICC(A,1)0.704、95% CI 0.566~0.803)と、許容される範囲で観察された。全体的に見て、ICCにより算出された評定者間信頼性は、全領域について許容される範囲内であった。
【0087】
CR-PCSS及びPR-PCSSのコンコーダンス
写真を介した臨床医と対象との間の評定者間信頼性(左臀部)。6名全ての臨床医間におけるCR-PCSSとPR-PCSSとの間の評定者間信頼性を算出し、ICC(C,1)及びICC(A,1)を使用して対象評定を算出した。写真または鏡のいずれかを使用したPR-PCSSにおける対象評定の各方法論に対し、ICC値を生成した。臨床医評定をランダムに選択し、対象の写真評定を、各対象について査定のベースライン及び14+3日目からプールした。以下の表において、「ランダムな臨床医A」及び「ランダムな臨床医B」は、各対象とマッチさせるようにランダムに選択された臨床医である。各々の順番は異なる。
【表12】
【0088】
対象のセルライトの写真画像(N=75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と組み合わされた対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.486(0.293,0.641)であり、ICC(A,1)は0.460(0.256,0.623)であった。臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.641(0.487,0.757)であり、ICC(A,1)は0.629(0.467,0.749)であった[表11]。
【表13】
【0089】
対象のセルライトの鏡画像(N=75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.507(0.319,0.657)であり、ICC(A,1)は0.504(0.316,0.654)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.504(0.316,0.654)であり、ICC(A,1)は0.637(0.48,0.754)対象であった[表12]。
【表14】
【0090】
対象のセルライトの写真画像(N=75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医A評定について、ICC(C,1)は0.468(0.272,0.627)であり、ICC(A,1)は0.439(0.231,0.608)であった。ランダムな臨床医B評定について、ICC(C,1)は0.524(0.339,0.67)であり、ICC(A,1)は0.498(0.299,0.654)対象であった[表13]。
【表15】
【0091】
対象のセルライトの鏡画像(N=75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.606(0.441,0.731)であり、ICC(A,1)は0.601(0.435,0.727)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.679(0.536,0.784)であり、ICC(A,1)は0.677(0.533,0.783)であった[表14]。
【表16】
【0092】
対象のセルライトの写真画像(N=75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.582(0.41,0.713)であり、ICC(A,1)は0.518(0.253,0.694)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.664(0.516,0.773)であり、ICC(A,1)は0.543(0.116,0.757)対象であった[表15]。
【表17】
【0093】
対象のセルライトの鏡画像(N=75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.599(0.432,0.726)であり、ICC(A,1)は0.599(0.432,0.726)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.617(0.456,0.74)であり、ICC(A,1)は0.620(0.458,0.742)対象であった[表16]。
【表18】
【0094】
対象のセルライトの写真画像(N=75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医A評定について、ICC(C,1)は0.640(0.486,0.756)であり、ICC(A,1)は0.575(0.300,0.742)であった。ランダムな臨床医B評定について、ICC(C,1)は0.690(0.551,0.792)であり、ICC(A,1)は0.558(0.093,0.776)であった[表17]。
【表19】
【0095】
対象のセルライトの鏡画像(N-75)からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.615(0.452,0.738)であり、ICC(A,1)は0.617(0.455,0.74)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.642(0.488,0.758)であり、ICC(A,1)は0.639(0.484,0.755)であった[表18]。
【表20】
【0096】
両方の方法(鏡及び写真)におけるプールされた解析からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を、ベースラインにおいて比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.515(0.328,0.663)であり、ICC(A,1)は0.505(0.317,0.655)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.668(0.521,0.776)であり、ICC(A,1)は0.667(0.521,0.776)であった[表19]。
【表21】
【0097】
両方の方法(鏡及び写真)におけるプールされた解析からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を、ベースラインにおいて比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.563(0.387,0.699)であり、ICC(A,1)は0.557(0.381,0.695)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.592(0.423,0.721)であり、ICC(A,1)は0.59(0.421,0.719)であった[表20]。
【表22】
【0098】
両方の方法(鏡及び写真)におけるプールされた解析からの2つのランダム選択された臨床医評定と対象評定との間の評定者間信頼性を、ベースラインにおいて比較した。ランダムな臨床医Aについて、ICC(C,1)は0.609(0.445,0.733)であり、ICC(A,1)は0.607(0.443,0.732)であった。ランダムな臨床医Bについて、ICC(C,1)は0.615(0.452,0.738)であり、ICC(A,1)は0.592(0.413,0.725)であった[表21]。
【0099】
両臀部領域にわたり、ICCにより評価されたベースラインの評定者間信頼性は、0.76(左臀部ICC(A,1)0.76、95% CI 0.691~0.827;右臀部ICC(A,1)0.76、95% CI 0.68~0.823)、そして2日目ではおよそ0.70(左臀部ICC(A,1)0.71、95% CI 0.577~0.805;右臀部ICC(A,1)0.70、95% CI 0.56~0.795)と、許容される範囲で観察された。
【0100】
両大腿領域について、ICCにより評価されたベースラインの評定者間信頼性は、0.74及び0.75(左大腿ICC(A,1)0.74、95% CI 0.67~0.811;右大腿ICC(A,1)0.75、95% CI 0.677~0.817)、そして2日目ではおよそ0.70(左大腿ICC(A,1)0.699、95% CI 0.562~0.798;右大腿ICC(A,1)0.704、95% CI 0.566~0.803)と、許容される範囲で観察された。全体的に見て、ICCにより算出された評定者間信頼性は、全領域について許容される範囲内であった。
【0101】
上記は、CR-PCSS及びPR-PCSSを評価する2つの一体化された研究を説明するものである。過去の全てのスケールに基づいた検証作業が写真を用いて行われていたことから、CR-PCSS研究は、その場にいる対象においてセルライト重症度のライブアセスメントを使用する際に、CR-PCSSの試験-再試験信頼性のロバストな評価をもたらすように設計された。PR-PCSS研究は、鏡及び写真を用いて行われる自己評定間の方法のコンコーダンスを評価するために行った。その他の研究目的は、CR-PCSSとPR-PCSSとの比較可能性を評価するためであった。
【0102】
これらの解析は、当該スケールが、セルライト重症度の査定として、全領域において経時的に良好な信頼性を実証するという結論を支持するものであった。評定者内信頼性における点推定値は、ほぼ全て明らかに許容される範囲内であった。平均ICC(A,1)は0.81(SD=0.08)、範囲は0.69~0.91であり、信頼区間の下限は0.53~0.86の範囲であった。ICC(C,1)における比較可能な結果は、全てこれよりも多少高かった。
【0103】
PR-PCSSの結果を、CR-PCSSとの対応関係と、鏡対写真の自己評定の比較可能性とについて評価した。ICC解析の結果は、臨床医が、写真ではなく鏡を用いて自己評定する対象とより一致する傾向があることを示しており、ICC(A,1)は、鏡については0.50~0.68、写真については0.44~0.63の範囲であった。
【0104】
PR-PCSS法の比較
PR-PCSS法の比較可能性を、対象間で領域ごとに、写真及び鏡の査定の日を交互に設けることにより算出した。これは、ICC(C,1:査定にわたる一貫性の程度)及びICC(A,1:査定の中の絶対一致の程度)を使用して算出した。ベースラインにて鏡を使用し、14+3日目に写真を使用して自己評価した対象における各領域の評定者内信頼性を評価した。8つのうち7つの点推定値が>0.7であり、例外は、左大腿におけるICC(A,1)の0.696であった。下限信頼区間は、0.304~0.669と幅広い範囲であった。ICC(C,1)は、右臀部の0.745(0.556,0.861)から左臀部の0.815(0.669,0.901)までの範囲であった。ICC(A,1)は、左大腿の0.696(0.304,0.860)から左臀部の0.811(0.662,0.899)までの範囲であった。
【0105】
ベースラインにて鏡を使用し、14+3日目に写真を使用して自己評価した対象における各領域の評定者内信頼性を評価した。8つ全ての点推定値が<0.7であった。下限信頼区間は、0.068~0.495と幅広い範囲であった。ICC(C,1)は、右大腿の0.601(0.358,0.768)から左臀部の0.697(0.495,0.829)までの範囲であった。ICC(A,1)は、右大腿の0.484(0.068,0.730)から左臀部の0.683(0.471,0.821)までの範囲であった。
【0106】
6名全ての臨床医間におけるCR-PCSSとPR-PCSSとの間の評定者間信頼性を算出し、ICC(C,1)及びICC(A,1)を使用して対象評定を算出した。写真または鏡のいずれかを使用したPR-PCSSにおける対象評定の各方法論に対し、ICC値を生成した。臨床医評定をランダムに選択し、対象の写真評定を、各対象に対して査定のベースライン及び14+3日目からプールした。以下の表において、「ランダムな臨床医A」及び「ランダムな臨床医B」は、各対象とマッチさせるようにランダムに選択された臨床医である。各々の順番は異なる。
【0107】
PR-PCSS法の比較可能性を、対象間で領域ごとに、写真及び鏡の査定の日を交互に設けることにより算出した。これは、ICC(C,1:査定にわたる一貫性の程度)及びICC(A,1:査定間の絶対一致の程度)を使用して算出した。
【0108】
ベースラインにて鏡を使用し、14+3日目に写真を使用して自己評価した対象における各領域に対する評定者内信頼性を評価した。8つのうち7つの点推定値が>0.7であり、例外は、左大腿に対するICC(A,1)の0.696であった。下限信頼区間は、0.304~0.669と幅広い範囲であった。ICC(C,1)は、右臀部の0.745(0.556,0.861)から左臀部の0.815(0.669,0.901)までの範囲であった。ICC(A,1)は、左大腿の0.696(0.304,0.860)から左臀部の0.811(0.662,0.899)までの範囲であった。
【0109】
ベースラインにて鏡を使用し、14+3日目に写真を使用して自己評価した対象における各領域に対する評定者内信頼性を評価した。8つ全ての点推定値が<0.7であった。下限信頼区間は、0.068~0.495と幅広い範囲であった。ICC(C,1)は、右大腿の0.601(0.358,0.768)から左臀部の0.697(0.495,0.829)までの範囲であった。ICC(A,1)は、右大腿の0.484(0.068,0.730)から左臀部の0.683(0.471,0.821)までの範囲であった。
【0110】
要約すると、出願人は、その場にいる対象におけるCR-PCSSの試験-再試験信頼性及び評定者間信頼性を実証した。CR-PCSS及びPR-PCSSは、臨床医評定を対象自己評定と比較したときに、許容される程度に比較可能な評定をもたらした。CR-PCSSは、臀部及び大腿のセルライト重症度を評価するための信頼できるツールであると判定された。また、CR-PCSSはPR-PCSSと十分に相関する。それ故に、CR-PCSS及びPR-PCSSは、セルライト重症度を評価するための妥当かつ信頼できるツールである。
【0111】
F.評価及び処置におけるスケールの使用
1.概要
一実施形態において、本開示は、ヒト対象における大腿または臀部上のセルライト重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す対象の大腿または臀部表面の四半部を査定することと、
b.検証済みの写真数値化スケールまたはCR-PCSSもしくはPR-PCSSスケールを使用することを含む、対象のセルライトの重症度を査定することと、
c.画像を使用して、対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することと
を含む、方法を提供する。
【0112】
本明細書で説明され、図3A図3Eに示されているように、ヒト対象における大腿上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す対象の大腿表面の四半部を査定することと、
b.CR-PCSSスケールを使用することを含む、対象のセルライト重症度を査定することと、
c.画像を使用して、対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することであって、最も低いクラス(0)への分類が、窪みも盛り上がった領域もないことを意味し、クラス1への分類が、ほとんどが表面的な深さの少数の窪みまたは起伏を意味し、クラス2への分類が、わずかな隆起領域を伴った浅い深さのいくつかの起伏を意味し、クラス3への分類が、ほとんどが中程度の深さの隆起領域及び窪み領域を交互に伴った多数の起伏を意味し、クラス4への分類が、一部がより重度の深さの隆起領域及び窪み領域を交互に伴った沢山の起伏を意味する、分類することと
を含む、方法が存在する。
【0113】
本明細書で説明され、図2A図2Eに示されているように、ヒト対象における大腿上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す対象の大腿表面の四半部を査定することと、
b.PR-PCSSスケールを使用することを含む、対象のセルライトの重症度を査定することと、
c.画像を使用して、対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することであって、最も低いクラス(0)への分類が、明らかなセルライトがないことを意味し、クラス1への分類が、少数の表面的な凹みまたは隆線を意味し、クラス2への分類が、ほとんどが表面的ないくつかの凹みまたは隆線を意味し、クラス3への分類が、ほとんどが多少深い多数の凹みまたは隆線を意味し、クラス4への分類が、多数が深く、ほとんどの皮膚領域を覆う沢山の凹みまたは隆線を意味する、分類することと
を含む、方法が存在する。
【0114】
本明細書で説明され、図4A図4Eに示されているように、ヒト対象における臀部上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す当該対象の臀部表面の四半部を査定することと、
b.PR-PCSSスケールを使用することを含む、対象のセルライト重症度を査定することと、
c.画像を使用して、対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することであって、最も低いクラス(0)への分類が、明らかなセルライトがないことを意味し、クラス1への分類が、少数の表面的な凹みまたは隆線を意味し、クラス2への分類が、ほとんどが表面的ないくつかの凹みまたは隆線を意味し、クラス3への分類が、ほとんどが多少深い多数の凹みまたは隆線を意味し、クラス4への分類が、多数が深く、ほとんどの皮膚領域を覆う沢山の凹みまたは隆線を意味する、分類することと
を含む、方法が存在する。
【0115】
本明細書で説明され、図5A図5Eに示されているように、ヒト対象における臀部上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す対象の臀部表面の四半部を査定することと、
b.CR-PCSSスケールを使用することを含む、対象のセルライト重症度を査定することと、
c.画像を使用して、対象のセルライト重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスに分類することであって、最も低いクラス(0)への分類が、凹みも明らかなセルライトもないことを意味し、クラス1への分類が、ほとんどが表面的な深さの少数の凹みを意味し、クラス2への分類が、ほとんどが浅い深さのいくつかの凹みを意味し、クラス3への分類が、ほとんどが中程度の深さの多数の凹みを意味し、クラス4への分類が、いくつかのより重度の深さを有する沢山の凹みを意味する、分類することと
を含む、方法が存在する。
【0116】
当該方法は、任意選択により、単体での、またはCR-PCSSと組み合わせてのPR-PCSSの使用を含む。
【0117】
また、ヒト対象におけるセルライトの重症度を査定する方法であって、
a.評価するための対象の大腿または臀部の一部分を選択することと、
b.大腿または臀部の当該一部分を、各々が図2図5に記載されているような対応する数字を有する一連の写真と比較することと、
c.大腿または臀部の当該選択された一部分に最も外観が近い写真を特定することと、
d.特定された写真に対応する数字を読み取ることと、を含み、
スケールを利用することが、少なくとも50%の評価者の中で一貫性をもたらす、方法も存在する。
【0118】
他の実施形態において、CR-PCSSスケールが複数の臨床医により用いられる場合、臨床医のうちの少なくとも40%は、患者に対し、患者がスクリーニングされたとき及び処置の1日目から同じ評定を与える。あるいは、このような臨床医は、患者の少なくとも約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約100%にこのような同じ評定を提供する。
【0119】
2.臨床医のCR-PCSSの使用
実際には、臨床医が左臀部または右臀部を評価している場合、CR-PCSS臀部スケール(図5A図5E)が使用される。左後外側大腿または右後外側大腿が評価されている場合、CR-PCSS大腿スケール(図3A図3E)が使用される。次に、臨床医は、どのCR-PCSS上にラベル及び記述語を有するセルライトのピクチャーが、評価対象の四半部内のセルライトに最も類似しているかを判定する。スケールと患者とのマッチングは、その場で、または画像を解析する臨床医により行われてもよい。四半部のセルライトに最も近いセルライト重症度スコアが、特定の受診に対する四半部に割り当てられる。一実施形態において、臨床医が、患者の四半部が2つの重症度レベルのちょうど中央にあると感じる場合、臨床医は、より高い方の重症度レベルを選択することになる。
【0120】
別の実施形態において、四半部のデジタル画像は、高品質デジタルカメラ(例えば、Canfield ScientificのVECTRA 3-Dカメラ)で撮影される。次に、デジタル画像は、高解像度モニターに表示される。次に、四半部の画像が一つずつ現れ、臨床医はその画像を評価し、そのセルライト重症度を評定し、それから次の画像の評価に移る。デジタル画像の代わりとして、他の画像(例えば、写真)が評価及び評定される。
【0121】
3.患者のPR-PCSS使用
実際には、患者が自らの左臀部または右臀部を評価している場合、PR-PCSS臀部スケール(図4A図4E)が使用される。左後外側大腿または右後外側大腿のいずれかが評価されている場合、PR-PCSS大腿スケール(図2A図2E)が使用される。次に、患者は、どのPR-PCSS上にラベル及び記述語を有するセルライトのピクチャーが、評価対象の四半部内のセルライトに最も類似しているかを判定する。スコアと四半部とのマッチングは、(鏡を介して)その場で、または画像を解析することにより行われてもよい。四半部のセルライトに最も近いセルライト重症度スコアは、特定の受診に対する四半部に割り当てられる。一実施形態において、患者が、自らの四半部が2つの重症度レベルのちょうど中央にあると感じる場合、患者は、高い方の重症度レベルを選択することになる。
【0122】
G.処置の方法、治療エンドポイント、及び有効性
本開示は、セルライトの処置を必要とするヒト患者におけるセルライトを処置する方法であって、(a)Clostridium histolyticumから得られるまたはこれに由来するコラゲナーゼI及びコラゲナーゼIIの混合物であって、約5,000ABC単位/mg~25,000ABC単位/mgの比活性を有する混合物を含む、薬学的製剤を提供することと、(b)当該薬学的製剤を、約0.1mg~5mgの用量にて、セルライトのコラーゲン性中隔ネットワークに注射することとを含み、患者が、処置後71日目にCR-PCSSに対するベースラインからの2ポイント以上の改善を有する、方法を提供する。さらに、71日目におけるベースラインからの2ポイント以上の改善は、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方に対して示され得る。別の態様において、このような処置は、処置後71日目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの一方または両方に対して、ベースラインからの1ポイント以上または3ポイント以上の改善をもたらす場合がある。加えて、この3ポイント以上、または2ポイント以上、または1ポイント以上の改善は、CR-PCSS及びPR-PCSSのいずれかまたは両方を用いて、処置後約6ヵ月目または約12ヵ月目に見られる場合がある。さらに、このような患者は、処置後約22日、43日、90日、または180日目に、CR-PCSS及びPR-PCSSの両方についてベースラインからの3ポイント以上、または2ポイント以上、または1ポイント以上の改善を有する場合がある。この改善は、処置後約15日、25日、35日、45日、55日、65日、75日、85日、または95日目に見られ得る。
【0123】
上記の処置方法は、約1~10回の処置セッション、約2~5回の処置セッション、または約3回の処置セッションを含んでもよい。各処置セッションは、薬学的製剤における唯一の活性成分としてのコラゲナーゼI及びIIの混合物を投与することを含んでもよい。コラゲナーゼI及びIIは、およそ1:1の比率または上述された他の比率で存在してもよい。コラゲナーゼI及びIIの各々は、RP-HPLCによる測定で、少なくとも80%、またはRP-HPLCによる測定で、少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも100%の面積純度を有し得る。代替的に、1回以上の処置セッション後71日目、6ヵ月目、または12ヵ月目に治療の実効性及びセルライト外観の改善を査定するために、本明細書で説明されている他のスケールがCR-PCSS及びPR-PCSSの代わりに用いられてもよい。
【0124】
このような処置は、統計的に有意なヒト患者集団、特に女性に対し実施されてもよく、このような患者は、CR-PCSS及びPR-PCSSスコアの両方において2ポイント以上と測定される統計的に有意な改善を実証する。このような改善を経験する患者のパーセンテージは、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%、または少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%であってもよい。同様の改善のパーセンテージは、処置後71日目、または6ヵ月目、または12ヵ月目にCR-PCSS及びPR-PCSSの両方において1ポイント以上または3ポイント以上の改善を実証する患者においても見られ得る。また、当該処置は、GAIS、CSI、SR-CIS、SCTA、SGA-C、GAIS-C、S-GAIS、及びI-GAISのうちの1つ以上を利用して処置後71日目、6ヵ月目、または12ヵ月目に測定したときの患者集団においても、統計的に有意な改善を示す。
【0125】
別の実施形態において、患者は、CCHの注射(0.84mg/処置領域、受診1回当たり2つの処置領域)の3回までの処置受診を受け、各処置受診はおよそ21日ごとに生じる。各受診の間に、各患部(左及び右臀部)にわたって12回の注射がセルライトの凹みの中へと投与される。処置の初め及び終わりの両方において、2つの検証済みの写真数値化セルライト重症度スケール、例えば、CR-PCSS及びPR-PCSSを使用して、各患者及び臨床医により、セルライト重症度が査定される。プライマリーエンドポイントは、セルライト重症度の写真数値化スケール上で患者及び臨床医の両方によって独立的に報告される、少なくとも2レベルの複合改善を実証する複合応答者解析とする。キーとなるセカンダリーエンドポイントとしては、患者報告の査定において少なくとも1レベルまたは2レベルの改善を経験する対象のパーセンテージ、1レベルの複合改善を伴う対象のパーセンテージ、満足した対象のパーセンテージ、セルライトインパクトスケール、すなわち、自らのセルライトに関する患者の自己認知におけるベースラインからの変化、ならびに、グローバル美的改善スケール(GAIS)において少なくとも1レベルまたは2レベルの改善を伴う対象のパーセンテージが挙げられ得る。別の実施形態において、患者は、受診1回当たり1~4つの患部に処置を受ける。
【0126】
さらなる態様において、CR-PCSSが複数の臨床医により用いられる場合、臨床医の少なくとも40%は、患者のセルライトの領域に対し、患者がスクリーニングされたとき及び処置前1日目から同じセルライト重症度評定を与える。他の実施形態において、臨床医の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または100%は、患者のセルライトの領域に対し、患者がスクリーニングされたとき及び第1の処置セッションの直前(すなわち、処置前1日目)から同じセルライト重症度評定を与える。このような評定の一貫性は、スクリーニング、処置前1日目、処置後30日目、処置後60日目、処置後120日目、処置後180日目、及び処置後12ヵ月目からなる群より選択される時点でも見られる。複数の臨床医は、2~10名の臨床医を含んでもよい。さらに、CR-PCSS及びPR-PCSSは、セルライト領域のデジタル画像を閲覧することによるライブアセスメント、セルライト領域の写真を閲覧することによるライブアセスメント、及びセルライト領域の鏡像を閲覧することによるライブアセスメントのうちの1つ以上によりセルライト重症度を査定するために用いられてもよい。
【0127】
一実施形態において、コラゲナーゼは、図7に図示されるように患部に注射される。注射の間隔は、約0.1cm~約15cm、または約1cm~約10cm、または約0.5cm~約2cmで変動することができる。
【0128】
さらに、ある特定の実施形態において、CR-PCSSとPR-PCSSとの間の臨床医と対象との間の評定者間信頼性は、以下を含む場合がある。
・左臀部(鏡または写真):ICC(C,1)については約0.2~約0.8、ICC(A,1)については約0.2~約0.8
・右臀部(鏡または写真):ICC(C,1)については約0.2~約0.8、ICC(A,1)については約0.2~約0.8
・左大腿(鏡または写真):ICC(C,1)については約0.3~約0.9、ICC(A,1)については約0.1~約0.8
・右大腿(鏡または写真):ICC(C,1)については約0.3~約0.9、ICC(A,1)については約0.2~約0.3
【0129】
他の実施形態、CR-PCSSを使用した評定者内信頼性において、臨床医は、臀部の評定に対する時間の約40%~約90%が自らと一致した。大腿の評定については、臨床医は時間の約40%~約90%が一致した。左及び右臀部に対する評定者間ICCは約0.6~0.95(ICC(A,1))の範囲であり、95% CIは約0.6~0.95である。大腿領域については、ICCは約0.6~0.95の範囲(ICC(A,1))であり、95% CIは約0.6~0.95である。
【0130】
CR-PCSS評定者間信頼性は、大腿及び臀部領域の両方について臨床医の約60%~95%の一致を示している。ICCは、約0.5~約0.9の範囲(ICC(A,1))であり得る。
【0131】
別の態様では、処置方法は、2レベルの複合応答者(PR-PCSS及びCR-PCSSの両方において少なくとも2レベルのセルライトの重症度の改善を有した患者)における効果の持続性を評価し、6ヵ月目及び12ヵ月目における効果の持続性を実証する統計的に有意な数字をもたらした。ある特定の実施形態では、患者の少なくとも約30%、または35%、または40%、または45%、または50%、または55%、または60%、または65%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または100%がこのような持続性を実証した。
【0132】
H.実施例
以下の実施例は、本開示のある特定の実施形態を実証するために含まれている。ただし、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態に変更がなされる可能性があり、それでもなお本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、類似のまたは同様の結果が得られることを理解するはずである。したがって、記載される全ての事項は例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0133】
実施例1 EFPの処置用のCCHの有効性及び安全性
セルライトの処置のためのCCHのフェーズ2a臨床試験において、出願人は、CCH(XIAFLEX(登録商標)の3回の用量(低用量(0.06mg)、中用量(0.48mg)、及び高用量(0.84mg))が、研究者の試験エンドポイントと、セルライトにおける使用に適応させたグローバル美的改善スケール(GAIS)上の患者スコアとで測定されるように、セルライトの外観に改善を示すことを実証した。中用量群及び高用量群は、GAISスコアにより測定されるように、統計的に有意なセルライトの外観の改善を実証し、両方のエンドポイントに対してプラセボと比較してp値<0.05であった。中用量群及び高用量群において、患者の68パーセントが、処置の結果に「満足」または「非常に満足」と報告しており、これに対してランダムにプラセボにされた患者ではわずか34パーセントにとどまった。CCHは、全ての用量群に良好な耐性を示し、ほとんどの有害事象(AE)は軽度~中等度で、主に局所注射領域に限定された。
【0134】
次に、出願人はフェーズ2b臨床試験を実施し、中等度~重度のセルライトを有する米国内の18歳以上の女性375名を登録した。各対象は、3回までのCCH(0.84mg/セッション)またはプラセボの処置セッションを受け、各処置セッションはおよそ21日の間隔で生じた。処置四半部(左もしくは右臀部、または左もしくは右後外側大腿)全体にわたって各セッションの間に12回の注射をセルライトの凹みに投与した。研究機関の初め及び終わり(最後の処置から28日後)の両方に、各患者及び臨床医により、2つの写真数値化セルライト重症度スケール、すなわち上記のPR-PCSS及びCR-PCSSを使用してセルライト重症度を査定した。患者の人口統計学的特徴及びその他の情報には、以下が含まれた。
■左もしくは右の臀部または後外側大腿上の中等度または重度のEFP
・1つ以上の四半部におけるCR-PCSSスコア及びPR-PCSSスコアが3~4、かつHexsel CSS合計スコアが13以下
■ケロイド状瘢痕の病歴も異常な創傷治癒の病歴もない
■処置対象の領域内に活性の皮膚変質(例えば、発疹、湿疹、皮膚癌)がない
■過去12ヵ月の間、選択された身体の側面に脂肪吸引術を行っていない
■選択された処置四半部に以下のいずれも行っていない
・過去12ヵ月の間の注射(例えば、メソセラピー)、レーザー治療、または手術
・過去6ヵ月の間のエンダモロジー
・過去3ヵ月の間のマッサージ治療
・過去2ヵ月の間のEFP用クリーム
【0135】
より具体的には、患者集団及び人口統計学的特徴は以下の通りであった:登録患者375名(平均年齢46.5歳;86.4%が白人)。
【表23】
【0136】
フェーズ2b試験は、ランダム化二重盲検プラセボ対照とした。プライマリーエンドポイントは、臨床医報告(CR-PCSS)におけるベースラインからの2ポイントの重症度の改善と、患者報告(PR-PCSS)における2ポイントの改善とを有する対象として定義される、複合応答者の71日目における割合とした。追加的なエンドポイントとしては、1ポイントの複合応答者、CR-PCSS及びPR-PCSS上での1ポイント及び2ポイントの改善を有する応答者のパーセンテージ、グローバル美的改善スケール(GAIS)を使用する患者及び臨床医による改善の査定、対象の満足度、ならびにHexselセルライト重症度スケールにおける変化が挙げられる。右または左の臀部または後外側大腿の少なくとも1つの四半部上に中等度~重度の浮腫性線維硬化性皮下脂肪組織異常を伴う成人女性を含めた。四半部は、患者が2つ以上の適格な四半部を有した場合、ランダムに割り当てた。患者をランダムに1:1に分け、プラセボまたはコラゲナーゼClostridium histolyticum(EN3835またはXIAFLEX(登録商標)0.84mgを、選択された四半部内の凹みへと注射した。患者は、3回までの処置セッションを受けることができた。各処置セッションは、選択された四半部内のXIAFLEX(登録商標)の注射(0.3mL)12回を含んだ。各セッションは、およそ21日間隔を空けた。図8は、研究設計の概略図である。
【0137】
プライマリーエンドポイントは、複合応答者(臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール及び患者報告による写真数値化セルライト重症度スケールスコアの両方に対するベースラインからの2ポイント以上の改善を伴う個体として定義される)の71日目におけるパーセンテージとした。
【0138】
セカンダリーエンドポイントは、複合応答者(臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール及び患者報告による写真数値化セルライト重症度スケールスコアの両方に対するベースラインからの1ポイント以上の改善を伴う個体として定義される)の71日目におけるパーセンテージとした。
【0139】
研究者-グローバル美的改善スケール及び対象-グローバル美的改善スケールならびにHexselセルライト重症度スケールを71日目に査定した。
【0140】
スクリーニングした患者489名のうち、189名にコラゲナーゼClostridium histolyticum(CCH)0.84mgを投与し、また186名にプラセボを投与するようにランダムに割り当て、かつ少なくとも1回の注射を行った(安全性及び治療意図(ITT)集団)。
【0141】
プライマリーエンドポイント(すなわち、臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール[CR-PCSS]及び患者報告による写真数値化セルライト重症度スケールスコア[PR-PCSS]スコアにおいてベースラインから2ポイント以上の改善を有した患者のパーセンテージ)をITT集団で評価した。
【0142】
全ての副次的有効解析を、修正治療意図集団(すなわち、ランダムに割り当てられ、少なくとも1回の注射を受け、少なくとも1つの注射後のCR-PCSS及びPR-CSSスコアを有した患者)で実施した。
【0143】
ITT集団では、平均患者年齢、人種、及び体格指数カテゴリーは、CCH集団及びプラセボ集団内において類似していた。治療意図集団においては、以下の結果が得られた。
●71日目に、プラセボと比較して、統計的により高いパーセンテージのコラゲナーゼClostridium histolyticum(CCH)を受けた患者が、臨床医報告及び患者報告の両方による写真数値化セルライト重症度スケールにおいて2ポイント以上の改善を有した(プライマリーエンドポイント;P<0.001)。
●71日目に、プラセボと比較して、統計的により高いパーセンテージのCCHを受けた患者が、臨床医報告及び患者報告の両方による写真数値化セルライト重症度スケールにおいて1ポイント以上の改善を有した(セカンダリーエンドポイント;P<0.001)。
●71日目に、プラセボに対してコラゲナーゼClostridium histolyticumを用いて、様々な研究者及び患者のスケールにおける統計的に有意なより高い改善が観察された(全てについてP<0.001)。
●プラセボ投与患者(26.9%)よりも高いパーセンテージのコラゲナーゼClostridium histolyticum(CCH)を受けた患者(82.0%)が、処置により発現した有害事象(AE)を報告したが、CCH群におけるほとんどのAEは強度において軽度であった(65.7%[468/712];強度データは示されない)。
●AEのおよそ4%のみが、患者がCCH処置を中止する原因となった。
●処置関連AEは、CCH群における患者の81.5%、プラセボ群における患者の18.3%で生じた。
●両群において最も一般的な処置関連AEは、注射部位の内出血(CCH、75.1%;プラセボ、12.9%)及び注射部位の痛み(CCH、59.3%;プラセボ、5.4%)であった。
●CCHによる処置は、プラセボに対して、EFP外観における臨床医及び患者の評定を顕著に改善した。
キーとなるフェーズ2b試験結果には、さらに以下の内容が含まれた。
●CCHを受けた対象は、セルライトの外観に対する複合的な研究者及び患者の査定のプライマリーエンドポイントにおいて、CR-PCSSスコア及びPR-PCSSスコアの両方における2ポイントの改善によって測定されるように、極めて統計的に有意な改善を実証した(プラセボに対しp値<0.001)。
●CCHを受けた対象は、セルライトの外観に対する複合的な研究者及び患者の査定において、CR-PCSSスコア及びPR-PCSSスコアの両方における1ポイントの改善によって測定されるように、極めて統計的に有意な改善を実証した(プラセボに対しp値<0.001)。
●プラセボ対象と比較して、極めて有意な割合のCCH対象が、セルライト処置について「満足」または「非常に満足」と報告した(p値<0.001)。
●プラセボ対象と比較して、極めて有意な割合のCCH対象は、対象及び研究者によって査定されるように、セルライト領域の全般的外観において「改善」または「大きく改善」または「非常に大きく改善」と報告された(p値<0.001)。
●CCHは、全ての用量群に良好な耐性を示し、ほとんどの有害事象(AE)は軽度~中等度で、主に局所注射領域に限定された;全ての関連AEのうち、CCH群では92パーセントが軽度~中等度であり、これに対しプラセボ群では96パーセントであった;最も一般的なAEは予想されたものであり、注射部位の内出血(およそ75パーセント)及び注射部位の痛み(およそ59パーセント)が含まれた。
図6A及び図6Bは、それぞれCCHまたはプラセボで処置された患者2名の臀部における処置前及び処置後のセルライトを示す一連の写真であり、それぞれCR-PCSS及びPR-PCSS評定において2ポイントの改善の応答を有し、または評定における変化を有しなかった。
図9は、プライマリーエンドポイント及びセカンダリーエンドポイントのCCH治療またはプラセボ後71日目における複合応答を報告するグラフである。
図10A及び図10Bは、CCHで処置され、ベースライン査定からの2ポイントの複合応答を示す患者の臀部における処置前及び処置後のセルライトを示す一連の写真である。
図11A及び図11Bは、CCHで処置され、ベースライン査定からの1ポイントの複合応答を示す患者の臀部における処置前及び処置後のセルライトを示す一連の写真である。
図12A及び図12Bは、CCHで処置され、PR-PCSSに基づいた1ポイントの応答を示す患者の臀部における処置前及び処置後のセルライトを示す一連の写真である。
図13A及び図13Bは、プラセボで処置され、CR-PCSSスコアまたはPR-PCSSスコアの変化を示さなかった患者の臀部における処置前及び処置後のセルライトを示す一連の写真である。
●全体的に見て、CCH処置は概して良好な耐性を示した。
・AEに起因した患者の中止の比率は低かった(3.7%)。
・EFP(セルライト)向けのCCHのさらなる臨床的評価が求められる。
【0144】
その他の有効性尺度及び安全性プロファイルにおけるさらなる詳細を、次の表に示す。
【表24】
【表25】
【0145】
フェーズ2b研究の結果は、処置(およそ21日間隔を空けた3回の受診)が、2レベルの複合応答者解析のプライマリーエンドポイントによって査定されるように、処置領域のセルライト重症度を改善することを実証するものであり、臀部及び大腿に対する患者PR-PCSS及び臨床医CR-PCSSの両方においてセルライト外観の2レベル以上の改善に基づいた応答者の割合は、EN3835 0.84mgを受けた対象では統計的に有意に高く(10.6%;P<0.001)(プラセボを受けた対象(1.6%)との比較で)、EN3835処置対象のPR-PCSSにおける1レベル(以上)の応答者(72.3%)は、プラセボ群における1レベルの応答者(51.6%)よりも有意に多く(p<0.001)、対象S-GAISに基づいたセルライトの外観の統計的に有意な(p≦0.001)改善が、プラセボ群(44.0%)と比較して、EN3835 0.84mg群において観察され(73.1%)、EN3835 0.84mg群における62.9%の対象が、自らのセルライト処置の結果に満足または非常に満足しており、これに対しプラセボ群ではわずか35.9%にとどまった(p<0.001)。臀部を処置した対象(n=187)において、2レベルの複合応答者の割合は、プラセボ投与対象と比較して、EN3835 0.84mg投与対象において統計的に有意により高く、EN3835処置対象のPR-PCSSにおける1レベル(以上)の応答者は、プラセボ群における1レベルの応答者よりも有意に多かった。
【0146】
CR-PCSS及びPR-PCSSの信頼性及び妥当性についての追加的なエビデンスを統計学的に解析し、それによりCR-PCSS及びPR-PCSSの信頼性及び妥当性が支持された。より詳細には、右臀部と左臀部との間の一致は、両方のスケールが非常に高レベルの一致をもたらすために使用できることを示しており、臨床医の結果はより高い(すなわち、PR-PCSSを使用する患者よりも約5%、10%、15%、20%、30%高い)一致を示している。臨床医は、評定における良好な評定者間信頼性を示した。これらの結果は、セルライトを処置するためのエンドポイントとしてのCR-PCSS及びCR-PCSS装置の使用を支持するものである。
【0147】
さらに、図14及び図15は、71日目においてCR-PCSS上で-3、-2、-1(それぞれ、3レベル、2レベル、または1レベルのセルライト重症度低下)の変化を達成する可能性は、EN3835処置対象の方がプラセボ処置患者よりも高いことを示している。積極的な処置は、変化スコアの全てのレベルにわたる、より高いパーセンテージのEN3835の臨床的実効性を提供する患者をもたらす。同様に、図16及び図17は、71日目においてPR-PCSS上で-3、-2、-1(それぞれ、3レベル、2レベル、または1レベルのセルライト重症度低下)の変化を達成する可能性は、EN3835処置対象の方がプラセボ処置患者よりも高いことを示している。積極的な処置は、変化スコアの全てのレベルにわたる、EN3835の臨床的実効性を提供する患者のより高いパーセンテージをもたらす。
【0148】
また、本研究は、EN3835が、EN3835関連の重篤な有害事象(SAE)を伴わずに、良好な耐性を示すことも実証した。成人女性435名にEN3835の皮下注射を受けた合計4つの研究(1つのパイロット研究、2つのフェーズ1研究、及び2つのフェーズ2研究)からの安全性結果は、処置により発現した有害事象(TEAE)の過半数が、一過性であり、重篤ではなく、強度が軽度または中等度であり、EN3835の局所投与に関するものであることを示している。3回のEN3835処置受診後の免疫原性プロファイルは、EN3835処置対象の90%超がコラゲナーゼI及び/またはコラゲナーゼII抗体に対し血液反応陽性だったことを示しているが、このEN3835のプロファイルは、デュピュイトラン拘縮及びペロニー病のプログラムで観察されたものと類似している。
【0149】
実施例2 臨床医報告及び患者報告によるセルライト重症度スケールと既存のセルライト重症度測定用スケールとの比較
Hexselセルライト重症度スケール(CSS)は、セルライト重症度を測定するための現在の評価ツールである。Hexsel CSSは、セルライトの5ドメイン(明らかな窪みの数、窪みの深さ、形態学的な皮膚表面の変質、皮膚の弛緩、皮膚のしまりのなさ、または下垂、ならびにNurnberger及びMullerの分類)の各々を「0」(変質なし)から「3」(最も重度)まで評定する。
【0150】
フェーズ2試験において、浮腫性線維硬化性皮下脂肪組織異常(セルライト)を伴う成人女性は、PR-PCSSを使用して、スクリーニング時に臀部及び後外側大腿の4つの解剖学的四半部を評定した。臨床医は、同じ4つの四半部を査定し、CR-PCSS及びHexsel CSSを使用してセルライト重症度を報告した。スクリーニング時及び1日目に中等度または重度のセルライト(すなわち、3または4のCR-PCSSスコア、3または4のPR-PCSSスコア、及び13以下のHexsel CSSスコア)を伴う1つ以上の四半部を有した患者を、1つのセルライト四半部内に薬理学的処置またはプラセボを受けるようにランダムに割り当てた。CR-PCSS、PR-PCSS、及びHexsel CSSを、スクリーニング時及び1日、22日、43日、ならびに71日目に完了した。3(「非常に大きく改善」)から-3(「非常に大きく悪化」)までの患者評定によるセルライトの改善を査定する対象グローバル美的改善スケール(S-GAIS)を、71日目に完了した。スピアマンの順位相関係数を使用して、CR-PCSSとHexsel CSSとの間、CR-PCSSとPR-PCSSとの間、及び1日目から71日目までのPR-PCSSにおける平均変化と71日目におけるS-GAISスコアとの間の一致を評価した。
【0151】
合計375名の患者は処置のためにランダム化され、1回以上の処置セッションを受けた(治療意図集団[ITT])。スクリーニング時におけるCR-PCSS、PR-PCSS、及びHexsel CSS上の評定(N=1500)を相関の算出に含めた。CR-PCSSスコアはHexsel CSS合計スコアと全体において(P<0.001)、ならびに大腿(P<0.001)及び臀部(P<0.001)において、有意に相関した。臨床医及び患者の評定スケール(CR-PCSS及びPR-PCSS)間でも、有意な相関が、全体において(P<0.001)、及び各ターゲット領域内で(両方についてP<0.001)観察された。修正ITT集団(注射後に1回以上のCR-PCSS及びPR-CSS査定を有するITT内の患者、n=352)内の患者では、PR-PCSSスコアにおける平均変化がS-GAIS上の美的変化の評定と相関した(P<0.001)。
【0152】
出願人の調査結果に基づけば、CR-PCSSは、医師にとっては、セルライトを評価するより簡単な方法である(すなわち、5ドメインのHexselスケールより単一の項目)。CR-PCSSとHexsel CSS合計スコアとの間、及びPR-PCSSとS-GAISとの間の正の相関は、標準的なスケール(Hexsel CSS及びS-GAIS)という観点においてCR-PCSS及びPR-PCSSの妥当性を支持するものである。PR-PCSSがCR-PCSSと相関した(P<0.001)ことは、2つのスケールが疾患状態を同様に評価すること(すなわち、セルライト重症度の静的な評価)を示している。
【0153】
実施例3 セルライト重症度の査定:新規の臨床医報告及び患者報告による写真数値化スケール間の試験-再試験信頼性及びコンコーダンス
背景:臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール(CR-PCSS)及び患者報告による写真数値化セルライト重症度スケール(PR-PCSS)は、セルライト重症度の信頼できる効率的な査定を可能にするためのツールである。この非介入研究の目的は、臨床医により査定される、その場にいる(「直接診察を受ける」)患者におけるCR-PCSSの評定者内及び評定者間信頼性と、そのPR-PCSSとのコンコーダンスとを評価することであった。
【0154】
方法:CR-PCSS及びPR-PCSSは、5ポイントの写真数値化スケールであり、このスケールは、評価対象領域:左もしくは右臀部(臀部スケール)、または左もしくは右後外側大腿(大腿スケール)上にある凹みの数及び深さに従ってセルライト重症度の昇順でランク付けされ、対応するラベル(0=なし、1=ほとんどなし、2=軽度、3=中等度、4=重度)及びテキスト記述語を伴った5点の写真を含む。CR-PCSSの試験-再試験信頼性をベースライン及び2日目において評価した。臨床医が記憶に依存するのを最小限に抑えるため、2日目に患者の順序を変更し、臨床医に対し、視覚または音声の手がかりも患者への接触も容認しなかった。CR-PCSSの臨床医査定に含まれる同じ患者は、PR-PCSSを使用してセルライト重症度を自己評定した。ベースラインに写真または鏡の一方を使用し、14日後にもう一方を使用した。方法の順序はランダムに割り当てた。評定者内及び評定者間(CR-PCSS)信頼性は、一致に対するクラス内相関係数(ICC)を使用して推定し、対応する95%信頼区間(CI)を算出した。CR-PCSS評定とPR-PCSS評定とのコンコーダンスを、ベースラインにおける左または右臀部及び左または右大腿に対し算出した。
【0155】
結果:CR-PCSS評定者として含まれる6名の臨床医は、大部分が男性(n=5;83.3%)であり、平均で21.3年間(4~54年の範囲)医療に従事しており、形成外科(n=3;50%)または皮膚科(n=3;50%)を専門としていた。75名の患者は、平均年齢が44.8歳(18~71歳の範囲)であり、ほとんどが白人(n=52;69.3%)であり、大部分(n=57;76%)が大腿及び臀部にセルライトを有すると自己識別していた。左及び右臀部の両方におけるベースラインと2日目との間のCR-PCSSの臨床医評定者内信頼性の全体平均(95% CI)ICC点推定値は、0.81(0.73,0.90)及び0.81(0.72,0.90)であり、左及び右大腿においては、0.78(0.67,0.90)及び0.79(0.67,0.90)であり、四半部にわたるICCの信頼性を示す。ベースラインにおいて、左及び右臀部における臨床医評定者間信頼性の全体平均(95% CI)ICC点推定値は、0.76(0.69,0.83)及び0.76(0.68,0.82)であり、左及び右大腿においては、0.74(0.67,0.81)及び0.75(0.68,0.82)であった。CR-PCSSに対する評定者内及び評定者間信頼性は、全領域について許容される範囲内にあるとみなされ、95% CIの下限推定値は0.70付近またはそれ以上であり、また上限推定値はおよそ0.90であった。ベースラインにおいて、左及び右臀部におけるCR-PCSSとPR-PCSSとの間(方法間)のコンコーダンス(ICC[95% CI])は、0.51(0.32,0.66)及び0.56(0.38,0.70)であり、左及び右大腿においては、0.61(0.44,0.73)及び0.67(0.53,0.78)であった。
【0156】
結論:CR-PCSSは、臀部及び大腿のセルライト重症度を評価するための信頼できるツールであり、PR-PCSSと十分に相関する。
【0157】
実施例4 浮腫性線維硬化性皮下脂肪組織異常の処置におけるEN3835のフェーズ3ランダム化二重盲検プラセボ対照試験
2つのフェーズ3ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施して、各試験において成人女性約420名でEFPの処置におけるEN3835の有効性及び安全性を査定する。対象は、本研究に登録する前の14日以内に研究適格性のスクリーニングを受ける。患者報告による写真数値化セルライト重症度スケール(PR-PCSS)を使用する対象及び臨床医報告による写真数値化セルライト重症度スケール(CR-PCSS)を使用する研究者により、中等度または重度レベルのセルライトを伴うと独立的に査定された2つの処置領域(両側の臀部)(四半部とも呼ばれる)を有する対象が、適格となる。臀部の適格性を1日目に確認する。ひとたび臀部の適格性を確認したら、治験実施医療機関内で対象をランダムに1:1の比率で処置群(片側臀部当たりEN3835 0.84mgまたはプラセボ)に割り当てる。各対象は、21日の間隔を空けた3回(すなわち、1日目、22日目、及び43日目)までの処置受診(セッション)から構成される処置クールを受ける。各処置受診は、2つの臀部の各々において12回の注射(注射1回当たり0.3mLのEN3835 0.07mg/注射、またはプラセボ;片側臀部当たり3.6mL中0.84mg)からなり、総量は7.2mL(1.68mg)である。
【表26】
【0158】
対象、研究者、現場担当者、及びEndoの担当者は、ターゲット及び非ターゲットの臀部の識別を知らせない。
【0159】
71日目(研究終了/早期中止時)に、各臀部の写真を撮影し、対象がPR-PCSSを使用してこれを評価する。研究者は、CR-PCSSを使用して各臀部のライブアセスメントを行う。対象及び研究者による全般的査定評価を完了する。
【0160】
選択基準には以下が含まれる。
1.自由意志でインフォームド・コンセント契約書に署名し日付を記入すること
2.18歳以上の女性であること
3.スクリーニング受診時に2つの両側の臀部を有し、各臀部が以下を有すること:
a.対象(PR-PCSS)により3または4(中等度または重度)と報告されるスコア、及び
b.研究者(CR-PCSS)により3または4(中等度または重度)と報告されるスコア
4.1日目の受診時に2つの両側の臀部を有し、各臀部が以下を有すること:
a.対象(PR-PCSS)により3または4(中等度または重度)と報告されるスコア、及び
b.研究者(CR-PCSS)により3または4(中等度または重度)と報告されるスコア
【0161】
片側臀部当たりEN3835の0.84mgの用量を12回の皮下注射(0.3mLの注射を注射1回当たり3つの0.1mLアリコートとして投与)として2つの臀部の各々に投与し、総用量を1.68mg、総量を7.2mL(片側臀部当たり3.6mL)とする。注射の総回数は、処置受診1回当たり2つの臀部へと24回の注射となる。21日の間隔で3回の処置受診があり、すなわち、1日目、22日目、及び43日目に処置を投与する。
【0162】
治験薬は皮下に注射する。図7に示されているように、各注射部位に、3つの0.1mLアリコートとして投与される治験薬の単回皮膚注射を位置A、B、及びCに投与する(総注射量を0.3mLとする)。各処置受診の間、注射器8本(片側臀部当たり注射器4本)を投与のために用意する。各注射器は、0.9mLの治験薬を収容する(すなわち、各注射器で3回注射する)。各処置受診の間、2つの臀部の各臀部内に注射1回当たり0.3mLの皮膚注射12回を投与する。
【0163】
図7に図示されているように、各注射部位における薬物投与は以下のようになる。
【0164】
針先端位置A:針を、注射部位の皮膚表面に対し垂直に90°の角度で位置決めし、注射器のプランジャーを優しく押すことにより、1回分の0.1mLアリコートの治験薬を注射する。
【0165】
針先端位置B:針をわずかに引き出し(ただし、注射部位からあまり外れない程度に)、およそ45°(ただし45°以下)垂直から外れた凹みの長軸の上方に再位置決めし、注射器のプランジャーを優しく押すことにより、1回分の0.1mLアリコートの治験薬を注射する。
【0166】
針先端位置C:針をわずかに引き出し(ただし、注射部位からあまり外れない程度に)、およそ45°(ただし45°以下)垂直から外れた凹みの長軸の下方に再位置決めし、注射器のプランジャーを優しく押すことにより、1回分の0.1mLアリコートの治験薬を注射する。
【0167】
各処置受診の間、2つの処置される臀部の各臀部内に0.3mLの皮膚注射12回を投与する。注射払い出しポイントA、B、及びCを含む平面は、皮膚に対し垂直となるべきであり、また凹みが細長いトラフ様の凹みである場合は、凹みの長軸に対し垂直となるべきである。対象は、処置後少なくとも5分間は腹臥位のままでいる。処置受診1、2、及び3の間、処置した凹みの総数及び投与した注射の総回数を記録する。
【0168】
研究の期間は、およそ84日(スクリーニングフェーズを含む)とする。研究のスクリーニングフェーズは、14日までとする。
【0169】
以下の評価基準に従って有効性を評価する。
i.ターゲット臀部のデジタル画像を閲覧しながらPR-PCSSを使用する対象:ターゲット臀部に対する0(セルライトなし)から4(重度のセルライト)までの範囲の5レベルのスケール(1日目(ベースライン)ならびに22、43、及び71日目)
ii.非ターゲット臀部のデジタル画像を閲覧しながらPR-PCSSを使用する対象:非ターゲット臀部に対する0(セルライトなし)から4(重度のセルライト)までの範囲の5レベルのスケール(1日目(ベースライン)ならびに22、43、及び71日目)
iii.ライブアセスメントによりCR-PCSSを使用する研究者:ターゲット臀部に対する0(セルライトなし)から4(重度のセルライト)までの範囲の5レベルのスケール(1日目(ベースライン)ならびに22、43、及び71日目)
iv.ライブアセスメントによりCR-PCSSを使用する研究者:ターゲット臀部に対する0(セルライトなし)から4(重度のセルライト)までの範囲の5レベルのスケール(1日目(ベースライン)ならびに22、43、及び71日目)
v.ライブアセスメントによりCR-PCSSを使用する研究者:非ターゲット臀部に対する0(セルライトなし)から4(重度のセルライト)までの範囲の5レベルのスケール(1日目(ベースライン)ならびに22、43、及び71日目)
vi.研究者グローバル美的改善スケール(I-GAIS):ターゲット臀部に対する3(非常に大きく改善)から-3(非常に大きく悪化)までの範囲の7レベルのスケール(22、43、及び71日目)
vii.研究者グローバル美的改善スケール(I-GAIS):非ターゲット臀部に対する3(非常に大きく改善)から-3(非常に大きく悪化)までの範囲の7レベルのスケール(22、43、及び71日目)
viii.対象グローバル美的改善スケール(S-GAIS):ターゲット臀部に対する3(非常に大きく改善)から-3(非常に大きく悪化)までの範囲の7レベルのスケール(22、43、及び71日目)
ix.対象グローバル美的改善スケール(S-GAIS):非ターゲット臀部に対する3(非常に大きく改善)から-3(非常に大きく悪化)までの範囲の7レベルのスケール(22、43、及び71日目)
x.患者報告によるセルライト効果スケール(PR-CIS):0(全く当てはまらない)から10(極めて当てはまる)までの範囲の数値的評定スケール(NRS)からなる各質問に対する応答を伴う6つの質問
xi.対象自己評定スケール(SSRS):0(極めて不満)から6(極めて満足)までの範囲の7レベルのスケール(1日目(ベースライン)及び71日目)
xii.対象セルライト処置満足度査定:ターゲット臀部及び非ターゲット臀部の両方に対する2(非常に満足)から-2(非常に不満)の範囲の5レベルのスケール(71日目)
【0170】
プライマリーエンドポイントは、71日目における2レベルの複合応答者の割合とし、当該応答者は、以下を伴う対象として定義される。
i.ターゲット臀部に対し研究者によってその場で査定される、CR-PCSSにおけるベースライン(1日目の受診)からの少なくとも2レベルの重症度の改善、及び
ii.ターゲット臀部のデジタル画像を閲覧しながら対象によって査定される、PR-PCSSにおけるベースラインからの少なくとも2レベルの重症度の改善。
【0171】
対象は、これらの基準が対象のランダム化されたターゲット臀部で満たされる場合、応答者とみなされる。
【0172】
8つのキーとなるセカンダリーエンドポイントが存在し、これらは1つのファミリー当たり2つ~4つのエンドポイントの3つのファミリーにグループ化され、階層的順序で解析される。
●ファミリー#1(4つのエンドポイント):
・71日目におけるターゲット臀部のPR-PCSS重症度評定において、1日目と比較して1レベル以上の改善を伴う対象として定義される、1レベルのPR-PCSS応答者の割合
・71日目におけるターゲット臀部のPR-PCSS重症度評定において、1日目と比較して2レベル以上の改善を伴う対象として定義される、2レベルのPR-PCSS応答者の割合
・71日目におけるターゲット臀部の1日目と比較した1レベルの複合応答者(研究者によりその場で査定されるターゲット臀部のCR-PCSSにおける重症度の少なくとも1レベルのベースラインからの重症度改善と、ターゲット臀部のPR-PCSSにおける重症度の少なくとも1レベルのベースラインからの重症度改善とを伴う対象として定義される)の割合
・71日目における非ターゲット臀部の1日目と比較した2レベルの複合応答者の割合
●ファミリー#2(2つのエンドポイント):
・71日目に少なくとも少し満足した(SSRS評定≧4)対象として定義される、1レベルのSSRS応答者の割合
・71日目におけるPR-CIS合計スコアのベースライン(1日目)からの変化
●ファミリー#3(2つのエンドポイント):
・71日目におけるターゲット臀部のS-GAIS査定において1レベル以上の改善(改善、大きく改善、または非常に大きく改善)を伴う対象として定義される、1レベルのS-GAIS応答者の割合
・71日目におけるターゲット臀部のS-GAIS査定において2レベル以上の改善(大きく改善、または非常に大きく改善)を伴う対象として定義される、2レベルのS-GAIS応答者の割合
【0173】
実施例5 持続性の評価
上記のフェーズ2b研究に対する追跡調査において、持続性を評価した。持続性は、1)対象が2レベルの複合応答者になった受診日から、査定評定が戻りベースライン評定へと保持されている、連続した2回の受診のうちの最初の日まで、及び2)対象が1レベルの複合応答者になった受診日から、査定評定が戻りベースライン評定で保持されている、連続した2回の受診のうちの一番目の日までとして定義される。
【0174】
評価は、観察フェーズと、その後の処置フェーズ(処置されていない処置領域または処置に失敗した処置領域に対する処置)及びそれに伴う観察フェーズを用いて設計される。6ヵ月目に査定した237名の対象及び9ヵ月目に査定した72名の対象について、盲検的査定(CR-PCSS及びPR-PCSS)を収集した。これらの対象のうち55名が、EN3835で処置を受け、対照研究において少なくとも1レベルの改善を示した。これらの55名の複合応答者のうち、54名について観察フェーズ中に査定を行った。登録した1レベル及び2レベルの複合応答者の内訳を表3に示す。EN3835-201研究で観察された、20名の積極的な処置を受けた2レベルの複合応答者のうち、19名の対象がEN3835-202研究に登録した。
【表27】
【0175】
EN3835-202の非盲検観察フェーズの非盲検的部分における6ヵ月目及び12ヵ月目、ならびに盲検的査定フェーズにおける6ヵ月目及び9ヵ月目のこれらの複合応答者の持続性を、複合応答者のレベルごとに要約する。
【0176】
2レベルの複合応答者の持続性
6ヵ月目(180日目)及び12ヵ月目(360日目)における薬物効果の持続性を、EN3835-202研究で、それぞれ19名及び16名の2レベルの複合応答者、すなわち、71日目にPR-PCSS及びCR-PCSSの両方においてセルライト重症度の少なくとも2レベルの改善を有した対象において評価した。2レベルの複合応答者、すなわち、PR-PCSS及びCR-PCSSの両方においてセルライト重症度の少なくとも2レベルの改善を有した対象のうち、100%(n=19)及び100%(n=16)が、それぞれ6ヵ月目及び12ヵ月目における効果の持続性を実証した(すなわち、2回の連続した受診においてベースラインに戻った対象はいなかった;表4参照)。
【表28】
【0177】
2レベルの複合応答者における効果の持続性をさらに支持する上で、EN3835-202研究の初期フェーズにおけるセルライト重症度の評価を、研究者及び対象により、DBPC研究(EN3835-201)で対象が受けた処置を依然として盲検にして実施した。このEN3835-202の盲検的フェーズにおいて、2レベルの複合応答者のうちの100%が、それぞれ6ヵ月目(n=18)及び9ヵ月目(270日目;n=6)におけるEN3835の持続的効果を示した(表5)。
【表29】
【0178】
1レベルの複合応答者の持続性
6ヵ月目(180日目)及び12ヵ月目(360日目)における薬物効果の耐久性を、現在進行中の非盲検継続研究(EN3835-202研究)で、それぞれ54名及び47名の1レベルの複合応答者、すなわち、71日目にPR-PCSS及びCR-PCSSの両方においてセルライト重症度の少なくとも1レベルの改善を有した対象において、評価した。これらの複合応答者のうち、92.6%(すなわち、100%-失敗率=持続的な複合応答者の%)及び97.9%が、それぞれ6ヵ月目及び12ヵ月目における持続性を実証した(すなわち、わずか4名(7.4%)及び1名(2.1%)の対象が、2回の連続した受診においてベースラインに戻るにとどまった)(表6)。
【表30】
【0179】
1レベルの複合応答者における効果の持続性をさらに支持する上で、EN3835-202研究の初期フェーズにおけるセルライト重症度の評価を、研究者及び対象により、DBPC研究(EN3835-201)で対象が受けた処置は依然として盲検にして実施した。このEN3835-202の盲検的フェーズにおいて、1レベルの複合応答者のうちの92.2%及び100%が、それぞれ6ヵ月目及び9ヵ月目(270日目)におけるEN3835の持続的効果を51名及び16名の評価可能な複合応答者において示した(表7)。270日目が盲検的様式で評価される最長の間隔になった時点で、処置の盲検を解除した。
【表31】
【0180】
持続性評価を要約すれば、6ヵ月目における効果の持続性は、EN3835-202研究の非盲検または二重盲検(DB)フェーズにおいて1レベルまたは2レベルの複合応答者の92%以上で示された。12ヵ月目における持続性は、EN3835-202の非盲検フェーズにおいて1レベルまたは2レベルの複合応答者の97%以上で示された。この持続性は、9ヵ月目(270日目)におけるDB査定によってさらに支持され、当該査定は、この時点における複合応答者の100%が継続的な薬物効果を有すると評価された。これまでの結果は、EN3835の持続性が最大1年間セルライトに作用することを支持するものである。
【0181】
上記の本発明の実施形態は、単に例示であるように意図されており、当業者には多数の変形形態及び変更が明白となろう。全てのこのような変形形態及び変更は、付属するいずれかの請求項で定義される本発明の範囲内であるように意図されている。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
ヒト対象の患部におけるセルライトの重症度を評定するための、検証済みの写真数値化スケールであって、
実例患者の前記患部を示す3点以上10点以下の画像であって、セルライトの特徴に基づいて重症度のレベルを代表する異なるカテゴリーで整理された画像を備え、
前記特徴が、凹みの数、深さ、サイズ、幅、直径、及び分布からなる群より選択され、かつ
前記スケールが複数のユーザーにより用いられたときに、少なくとも40%が、前記対象のセルライトの領域を同じ重症度レベルに割り当てる、写真数値化スケール。
項2
前記患部が臀部である、項1に記載のスケール。
項3
前記特徴の前記重症度のレベルが、少なくとも3名の異なる実例ヒト対象の写真により代表される、項1に記載のスケール。
項4
5つの異なるカテゴリーを代表する5点の画像が存在する、項1に記載のスケール。
項5
前記ユーザーが、臨床医であり、かつ前記患者のうちの少なくとも50%において同じ重症度レベルを提供する、項1に記載のスケール。
項6
前記患部が大腿である、項1に記載のスケール。
項7
前記画像が、図2~5に示される臀部及び大腿のスケールに対するものである、項1に記載のスケール。
項8
CR-PCSSスケールを含む、項1に記載のスケール。
項9
PR-PCSSスケールを含む、項1に記載のスケール。
項10
前記スケールが、複数のユーザーにより用いられたときに、少なくとも40%が、前記対象のセルライトの領域を同じ重症度レベルに割り当てる、項8に記載のスケール。
項11
前記スケールが、複数のユーザーにより用いられたときに、少なくとも40%が、前記対象のセルライトの領域を同じ重症度レベルに割り当てる、項9に記載のスケール。
項12
ヒト対象における患部におけるセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.患部を選択することと、
b.画像を使用して、前記対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することと、を含む、方法。
項13
前記患部が大腿または臀部である、項12に記載の方法。
項14
前記画像が、図2~5に示される臀部及び大腿のスケールに対するものであり、前記方法が、
a.前記大腿または臀部の前記患部に最も外観が近い画像を特定することと、
b.前記特定された画像に対応する数字を読み取ることと、
c.前記大腿もしくは臀部または大腿もしくは臀部の患部に最も適合性が近いラベルを特定することと、をさらに含み、
前記スケールを利用することが、評価者の少なくとも50%の間で一貫性をもたらす、項12に記載の方法。
項15
ヒト対象におけるセルライトの重症度を評定する方法であって、
a.評価対象の患部を選択することと、
b.前記患部を、各々が重症度のレベルを示す数字を有する一連の3~10点の画像と比較することと、
c.前記患部に最も外観が近い前記画像を特定することと、
d.重症度のレベルを割り当てるための前記特定された画像に対応する数字を読み取ることと、を含み、
前記スケールを利用することが、複数のユーザーの少なくとも50%の間で一貫性をもたらす、方法。
項16
CR-PCSSスケールが複数の臨床医により用いられ、前記臨床医の少なくとも40%が、前記患者のセルライトの領域に対し、前記患者がスクリーニングされたとき及び処置前1日目から同じセルライト重症度評定を与える、項15に記載の方法。
項17
前記臨床医が、患者の約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約100%にこのような同じ評定を提供する、項15に記載の方法。
項18
CR-PCSS及びPR-PCSSが、前記セルライト領域のデジタル画像を閲覧することによるライブアセスメント、前記セルライト領域の写真を閲覧することによるライブアセスメント、及び前記セルライト領域の鏡像を閲覧することによるライブアセスメントからなる群より選択される評価方法により、セルライト重症度を査定するために用いられる、項15に記載の方法。
項19
ヒト対象の臀部または大腿におけるセルライトの重症度を評定するための方法であって、ヒトの前記臀部または大腿の領域を示す3点以上10点以下の写真、イラスト、またはモデルを含む検証済みのスケールを提供することであって、前記写真、イラスト、またはモデルが、セルライトの特徴に基づいた重症度のレベルを代表する異なるカテゴリーで整理され、前記特徴が、凹みの数及び深さからなる群より選択される、提供することと、前記対象の前記セルライトの重症度レベルの評定を得るために、前記スケールを対応する対象の特徴と比較することと、を含む、方法。
項20
CR-PCSSスケールを含む、項19に記載の方法。
項21
PR-PCSSスケールを含む、項19に記載の方法。
項22
CR-PCSSスケール及びPR-PCSSスケールの両方が、重症度の評定に使用される、項19に記載の方法。
項23
ヒト対象における大腿上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す前記対象の大腿表面の四半部を査定することと、
b.CR-PCSSスケールを使用することを含む、前記対象のセルライトの重症度を査定することと、
c.画像を使用して、前記対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することであって、最も低いクラス(0)への分類が、窪みまたは盛り上がった領域がないことを意味し、クラス1への分類が、ほとんどが表面的な深さの少数の窪みまたは起伏を意味し、クラス2への分類が、わずかな隆起領域を伴った浅い深さのいくつかの起伏を意味し、クラス3への分類が、ほとんどが中程度の深さの隆起領域及び窪み領域を交互に伴った多数の起伏を意味し、クラス4への分類が、一部がより重度の深さの隆起領域及び窪み領域を交互に伴った沢山の起伏を意味する、分類することと
を含む、方法。
項24
ヒト対象における大腿上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す前記対象の大腿表面の四半部を査定することと、
b.PR-PCSSスケールを使用することを含む、前記対象のセルライト重症度を査定することと、
c.画像を使用して、前記対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類する工程であって、最も低いクラス(0)への分類が、明らかなセルライトがないことを意味し、クラス1への分類が、少数の表面的な凹みまたは隆線を意味し、クラス2への分類が、ほとんどが表面的ないくつかの凹みまたは隆線を意味し、クラス3への分類が、ほとんどが多少深い多数の凹みまたは隆線を意味し、クラス4への分類が、多数が深く、ほとんどの皮膚領域を覆う沢山の凹みまたは隆線を意味する、分類することと
を含む、方法。
項25
ヒト対象における臀部上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す前記対象の臀部表面の四半部を査定することと、
b.PR-PCSSスケールを使用することを含む、前記対象のセルライトの重症度を査定することと、
c.画像を使用して、前記対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することであって、最も低いクラス(0)への分類が、明らかなセルライトがないことを意味し、クラス1への分類が、少数の表面的な凹みまたは隆線を意味し、クラス2への分類が、ほとんどが表面的ないくつかの凹みまたは隆線を意味し、クラス3への分類が、ほとんどが多少深い多数の凹みまたは隆線を意味し、クラス4への分類が、多数が深く、ほとんどの皮膚領域を覆う沢山の凹みまたは隆線を意味する、分類することと、を含む、方法。
項26
ヒト対象における臀部上のセルライトの重症度を評定するための方法であって、
a.セルライトの徴候を示す前記対象の臀部表面の四半部を査定することと、
b.CR-PCSSスケールを使用することを含む、前記対象のセルライト重症度を査定することと、
c.画像を使用して、前記対象のセルライトの重症度を、重症度の増加の少なくとも5つのクラスへと分類することであって、最も低いクラス(0)への分類が、凹みも明らかなセルライトもないことを意味し、クラス1への分類が、ほとんどが表面的な深さの少数の凹みを意味し、クラス2への分類が、ほとんどが浅い深さのいくつかの凹みを意味し、クラス3への分類が、ほとんどが中程度の深さの多数の凹みを意味し、クラス4への分類が、一部がより重度の深さを伴った沢山の凹みを意味する、分類することと、を含む、方法。
項27
セルライトの処置を必要とするヒト患者におけるセルライトを処置する方法であって、(a)Clostridium histolyticumから得られるまたはこれに由来するコラゲナーゼI及びコラゲナーゼIIの混合物であって、約5,000ABC単位/mg~25,000ABC単位/mgの比活性を有する混合物を含む、薬学的製剤を提供することと、(b)前記薬学的製剤を、約0.1mg~5mgの用量にて、セルライトのコラーゲン性中隔ネットワークに注射することとを含み、前記患者が、処置後71日目においてCR-PCSSに対するベースラインからの2ポイント以上の改善を有する、方法。
項28
71日目におけるベースラインからの前記2ポイント以上の改善が、前記CR-PCSS及びPR-PCSSスケールの両方に対し生じる、項27に記載の方法。
項29
処置後71日目において前記CR-PCSS及びPR-PCSSの両方においてベースラインからの1ポイント以上の改善が存在する、項27に記載の方法。
項30
前記2ポイント以上の改善が、前記CR-PCSS及びPR-PCSSのいずれかまたは両方による処置後約6ヵ月目または約12ヵ月目に生じる、項27に記載の方法。
項31
処置後約22日、43日、90日、または180日目に、前記CR-PCSSスコア及びPR-PCSSスコアの両方に対してベースラインからの2ポイント以上の改善が存在する、項27に記載の方法。
項32
前記コラゲナーゼI及びIIの混合物が、およそ1:1の比率で存在する、項27に記載の方法。
項33
前記混合物が、約10,000ABC単位/0.58mgの比活性を有し、約0.84mgの用量にて投与される、項32に記載の方法。
項34
前記用量が、1回以上の注射で投与される、項33に記載の方法。
項35
前記用量が、約12回の注射で投与される、項33に記載の方法。
項36
前記用量が、およそ1:1の比率で存在し、かつ約10,000ABC単位/mgの比活性を有する約0.48~約0.84mgのコラゲナーゼI及びIIである、項27に記載の方法。
項37
前記混合物が、1回以上の処置セッションで投与される、項36に記載の方法。
項38
前記混合物が、約15~30日間隔を空けた3回の処置セッションで投与される、項37に記載の方法。
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