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特許7558655光ファイバケーブル用の金属線及びストレインリリーフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル用の金属線及びストレインリリーフ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20240924BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20240924BHJP
   A61F 9/008 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G02B6/44 396
G02B6/44 336
G02B6/44 341
G02B6/44 366
A61F9/007 180
A61F9/008 110
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019572098
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 IB2018054514
(87)【国際公開番号】W WO2019008459
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】62/529,316
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】マウリシオ ジョチンセン
【合議体】
【審判長】波多江 進
【審判官】藤田 年彦
【審判官】松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06167179(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0014023(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19624967(DE,A1)
【文献】特開昭58-123504(JP,A)
【文献】特表2005-519447(JP,A)
【文献】特開2000-338373(JP,A)
【文献】特開昭51-106087(JP,A)
【文献】特開平10-062639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02- 6/10
G02B 6/24
G02B 6/255- 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/36 - 6/44
A61B34/00 -90/98
A61F 9/00 -11/30
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャケットと、
前記ジャケットによって画定された通路の内側に配置された光ファイバと、
前記ジャケットによって画定された通路の内側に配置され且つ前記光ファイバに結合された金属線と、
前記ジャケットによって画定された通路の内側に配置された供給導管と、を備え、
前記光ファイバは、前記金属線の周囲に巻回されており、
前記供給導管は、医療器具に流体を供給するように構成された中空チューブであり、
前記光ファイバ及び前記金属線は、前記供給導管とは離間し、かつ、独立して前記通路の内側に配置され
前記光ファイバ、前記金属線及び前記供給導管は、前記ジャケットの内面から離間しており、
通路の内側に配置される前記金属線は、光ファイバケーブルを患者の輪郭に沿った形状に操作できるように、ステンレス鋼又は形状記憶金属で作られている、光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記光ファイバがコアを備え、前記コアが、前記コアの屈折率より低い屈折率を有する外側クラッドによって包囲されている、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項3】
接着剤をさらに備え、前記接着剤が前記光ファイバを前記金属線に結合している、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項4】
前記ジャケット内に配置されたポリマー管をさらに備え、前記光ファイバ及び前記金属線が、前記ポリマー管によって画定された通路内に配置され、前記光ファイバケーブルが、前記ポリマー管と前記ジャケットとの間に配置された補強部材をさらに備える、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項5】
前記光ファイバがガラスコアを備え、前記ガラスコアが、前記ガラスコアの屈折率より低い屈折率を有する外側クラッドによって包囲されており、前記金属線が、ステンレス鋼、ばね鋼及び形状記憶鋼からなる群から選択された少なくとも1種の金属を含み、接着剤が前記光ファイバを前記金属線に接着させている、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
【請求項6】
手術部位に光を提供するシステムであって、
光源と、
医療器具と、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載された光ファイバケーブルであって、前記光ファイバケーブルは、前記光源を前記医療器具に光学的に結合し、さらに、
前記光源に結合された近位端と、
前記医療器具に結合された遠位端と、
を備える光ファイバケーブルと、を備える、システム。
【請求項7】
前記医療器具が、前記医療器具の遠位端に配置され且つ前記光源からの光を受け取るように構成された光学素子を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記医療器具が照明カニューレを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記光ファイバがコアを備え、前記コアが、前記コアの屈折率より低い屈折率を有する外側クラッドによって包囲されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
接着剤が前記光ファイバを前記金属線に結合している、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記光ファイバが前記金属線の周囲に、前記金属線1メートルあたり約0.5回~前記金属線1メートルあたり約5回の回数で巻回されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記ジャケットによって画定された前記通路内に配置された電気配線をさらに備え、前記電気配線が、前記医療器具に電気を伝導するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記光ファイバケーブルの前記近位端を前記光源に結合する端部コネクタをさらに備え、前記端部コネクタが、
第1端部と、
第2端部と、
前記第1端部に形成され且つ前記第2端部まで延在する開口部であって、前記光ファイバが前記第1端部の前記開口部を通って前記第2端部まで延在する、開口部と、
を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項14】
患者の眼球を照明する方法であって、
前記眼球内に医療器具の遠位端を配置するステップと、
光源からの光を、請求項1から請求項5の何れか1項に記載された光ファイバケーブルを通して前記医療器具まで搬送するステップであって、その結果、前記光が前記患者の前記眼球内で前記医療器具から発散する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記ジャケットによって画定された前記通路内に配置された電気配線を通して前記医療器具に電気を伝導することと、前記ジャケットによって画定された前記通路内に配置された前記供給導管を通して前記医療器具に流体を供給することと、それらの組合せとからなる群から選択された少なくとも1つのステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光ファイバケーブルの少なくとも一部を前記患者の輪郭に沿う形状になるように操作するステップであって、前記光ファイバケーブルが前記形状を保持する、ステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記光ファイバケーブルの少なくとも一部が、前記患者の上に配置され、前記患者の輪郭に沿う事前定義された形状を有し、前記金属線が形状記憶金属を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月6日に出願された米国仮特許出願第62/529316号明細書の利益を主張し、その出願の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルは、種々の異なる用途において光を伝送するために使用されるケーブルである。光ファイバケーブルは、「光ケーブル」又は「ファイバオプティックケーブル」と呼ばれることもある。光ファイバケーブルは、多数の異なる構成を有する可能性があるが、通常、補強及び支持材料の1つ又は複数の追加の層とともに光ファイバを含む。多くの商用用途で使用される光ファイバケーブルは、光ファイバ及び追加の層を含む2~5つの層を含む可能性がある。光ファイバは、光伝送用のコアと、コアを包囲する外側クラッドとを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光ファイバのコアの固有の脆性のため、光ファイバケーブルの取扱いは困難である可能性がある。電気通信、軍事、材料加工及び自動車等の応用において、光ファイバケーブルは、一旦接続されると、大抵の場合固定されたままである。したがって、一般に、光ファイバケーブルは、設置中の取扱いが最小限であるように設計される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な態様では、本開示は、光ファイバケーブルに関する。光ファイバケーブルは、ジャケットと、ジャケット内に配置された光ファイバと、ジャケット内に配置され且つ光ファイバに結合された金属線とを含むことができる。
【0005】
別の態様は、手術部位に光を提供するシステムに関する。本システムは、光源と、医療器具と、光ファイバケーブルとを含むことができる。光ファイバケーブルは、光源に結合された近位端と、医療器具に結合された遠位端と、ジャケットと、ジャケットによって画定された通路内に配置された光ファイバと、通路内に配置され且つ光ファイバに結合された金属線とを含むことができる。光ファイバケーブルは、光源を医療器具に光学的に結合することができる。
【0006】
さらなる態様は、患者の眼球を照明する方法に関する。本方法は、眼球内に医療器具の遠位端を配置するステップと、光源からの光を、光ファイバケーブルを通して医療器具まで搬送するステップであって、その結果、光が患者の眼球内で医療器具から発散する、ステップとを含むことができる。光ファイバケーブルは、通路を画定するジャケットと、通路内に配置された光ファイバと、通路内に配置され且つ光ファイバに結合された金属線とを含むことができる。
【0007】
異なる態様は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。光ファイバはコアを含むことができ、コアは、コアの屈折率より低い屈折率を有する外側クラッドによって包囲されている。接着剤が、光ファイバを金属線に結合することができる。光ファイバを金属線の周囲に巻回することができる。光ファイバは、金属線の周囲に、金属線1メートルあたり約0.5回~金属線1メートルあたり約5回の回数で巻回することができる。光ファイバケーブルは、ジャケット内に配置されたポリマー管をさらに含むことができ、光ファイバ及び金属線は、ポリマー管によって画定された通路内に配置されている。光ファイバケーブルは、ポリマー管とジャケットとの間に配置された補強部材をさらに含むことができる。ジャケットによって画定された通路内に、供給導管を配置することができる。供給導管は、医療器具に流体を供給するように構成された中空チューブを形成することができる。ジャケットによって画定された通路内に、電気配線を配置することができる。電気配線は、医療器具に電気を伝導するように構成することができる。端部コネクタは、光ファイバケーブルの近位端を光源に結合することができる。端部コネクタは、第1端部と、第2端部と、第1端部に形成され且つ第2端部まで延在する開口部とを含むことができる。光ファイバは、第1端部の開口部を通って第2端部まで延在することができる。光ファイバはガラスコアを含むことができ、ガラスコアは、ガラスコアの屈折率より低い屈折率を有する外側クラッドによって包囲されている。金属線は、ステンレス鋼、ばね鋼及び形状記憶鋼からなる群から選択された少なくとも1種の金属を含むことができる。光ファイバを金属線に巻回することができ、接着剤が光ファイバを金属線に接着させることができる。医療器具は、医療器具の遠位端に配置され且つ光源からの光を受け取るように構成された光学素子を含むことができる。医療器具は照明カニューレを含むことができる。
【0008】
異なる態様は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。ジャケットによって画定された通路内に配置された電気配線を通して、医療器具に電気を伝導することができ、ジャケットによって画定された通路内に配置された供給導管を通して、医療器具に流体を供給することができ、又は両方が可能である。光ファイバケーブルの少なくとも一部を、患者の輪郭に沿う形状になるように操作することができる。光ファイバケーブルは、患者の輪郭に沿う形状を保持することができる。光ファイバケーブルの少なくとも一部を患者の上に配置することができ、その光ファイバケーブルの少なくとも一部は、患者の輪郭に沿う事前定義された形状を有することができる。金属線は、形状記憶金属を含むことができる。接着剤が、光ファイバを金属線に結合することができる。
【0009】
上述した全体的な説明と以下の図面及び詳細な説明との両方は、本質的に例示的であり且つ説明的であり、本開示の範囲を限定することなく本開示が理解されるように意図されていることが理解されるべきである。それに関して、当業者には、以下から本開示の追加の態様、特徴及び利点が明らかとなるであろう。
【0010】
添付図面は、本明細書に開示する実施態様を示し、説明と併せて、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】光ファイバケーブルを含むシステムの例の概略図である。
図2】光ファイバケーブル例の断面図である。
図3】別の光ファイバケーブル例の断面図である。
図4】別の光ファイバケーブル例の断面図である。
図5】別の光ファイバケーブル例の断面図である。
図6】金属線に結合された光ファイバ例を示す部分斜視図である。
図7A】光ファイバ例と端部コネクタに結合された金属線とを示す斜視図である。
図7B】光ファイバ例と端部コネクタに結合された金属線とを示す断面図である。
図8】光ファイバケーブル例の使用の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示する原理の理解を促進する目的で、ここで、図面に例示する実施態様を参照し、具体的な文言を用いて実施態様例について説明する。しかしながら、本開示の範囲の限定は意図されていないことが理解されよう。記載する装置、医療器具、方法、及び本開示の原理の任意のさらなる応用に対する任意の改変及びさらなる変更は、本開示が関連する技術分野における当業者には通常想到するように十分に企図される。特に、1つ又は複数の実施態様に関して記載する特徴、構成要素及び/又はステップを、本明細書に記載する他の実施態様に関して記載する特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わせることができることが完全に企図される。簡単のために、場合により、図面を通して同じ参照番号を使用して同じか又は同様の部品を参照する。
【0013】
本開示は、概して、光ファイバケーブル、より詳細には、いくつかの実施形態では、医療用途で使用される光ファイバケーブルに関する。本明細書に開示する実施形態例によれば、光ファイバに対する歪みを低減させるために金属線を含む光ファイバケーブルが提供される。例として、引張強度を増大させることができるように、光ファイバに金属線を結合することができ、したがって、外科手術及び/又は製造中等、光ファイバケーブルが操作される可能性があるとき、光ファイバに対する損傷が低減する。さらに、金属線が光ファイバに対して支持を提供するため、金属線への光ファイバの取付により、光ファイバケーブルのジャケット内への光ファイバの挿入をより容易にすることができる。金属線はまた、たとえば、光ファイバが接続される医療器具の接地のために、又は導通検査のために使用することができる、電気接続も提供することができる。さらに、金属線は、製造中に光ファイバケーブルの輪郭を事前に定義することができるように、形状記憶合金を含むことができる。さらに、ステンレス鋼等のいくつかの材料はそれらの形状を保持することができるため、たとえば、外科手術の準備中、要求に応じて光ファイバケーブルの輪郭を定義することができる。
【0014】
図1は、光ファイバケーブル102を含む例としてのシステム100の概略図である。図示するように、システム100は、光ファイバケーブル102に結合された医療器具104をさらに含む。光ファイバケーブル102は、近位端108において光源106に結合し、遠位端110において医療器具104に結合することができる。光ファイバケーブル102は、医療器具104に且つ/又は光源106に解除可能に接続するように構成することができる。光ファイバケーブル102は、医療器具104に光源106を光学的に結合することができる。光源106からの光は、光ファイバケーブル102を通って医療器具104まで進むことができ、最終的に、医療器具104の遠位端114において光学素子112から発散する。図示するように、発散光118が眼球116の内部120を照明することができるように、医療器具104の遠位端114は眼球116内に配置することができる。
【0015】
医療器具104は、限定されないが、1本又は複数本の照明ファイバを備えた硝子体切除器具、注入カニューレ、トロカールカニューレ、レーザ器具、照明器具(たとえば、シャンデリア照明システム、眼内照明等)を含む、医療用途で使用することができる種々の医療器具のうちの任意のものであり得る。図示する実施形態では、医療器具104は、医療器具104の遠位端114において医療器具104内に組み込まれた光学素子112を含む。図1に示す医療器具104は手持ち式医療器具であるが、実施形態例は、手持ち式ではない医療器具(たとえば、図8に示すような照明カニューレ800等の照明カニューレ)を含むように意図されている。光源106は、限定されないが、白熱光源、発光ダイオード(LED)光源、蛍光光源又はレーザ光源を含む、光ファイバケーブル102を通して送達する光を提供する任意の好適な光源を含むことができる。レーザ光源の非限定的な例としては、限定されないが、単色(たとえば、赤外、可視)レーザ光源、多スペクトルレーザ光源又はスーパーコンティニューム白色レーザ光源を挙げることができる。光ファイバケーブル102は、光源106からの光を医療器具104まで搬送する。端部コネクタ122が、光ファイバケーブル102を光源106に結合する。
【0016】
図2は、図1に示す例としての光ファイバケーブル102の断面図を示す。図示するように、光ファイバケーブル102は、金属線202に結合された光ファイバ200を含む。光ファイバケーブル102は、光ファイバ200及び金属線202を包囲するジャケット204をさらに含む。光ファイバ200は、種々の構成のうちの任意のものを有することができる。図示する実施形態では、光ファイバ200は、外側クラッド208によって包囲される光透過性コア206を含む。場合により、外側クラッド208は、コア206より低い屈折率を有することができ、その結果、コア206を下る光は、通常、外側クラッド208から反射され、コア206内に留まる。いくつかの実施態様では、コア206は、限定されないが、ガラス、プラスチック及びそれらの組合せを含むさまざまな材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、コア206はガラスコアであり得るか又はガラスコアを含むことができる。場合により、コア206は、ポリマーから形成することができ、又はポリマーを含むことができる。外側クラッド208は、限定されないが、ガラス、プラスチック及びそれらの組合せを含むさまざまな材料から作製することができる。
【0017】
光ファイバケーブル102のいくつかの実施態様は単一の光ファイバ200を含むが、本開示の範囲はそのように限定されない。逆に、他の実施態様では、光ファイバケーブル102は、光ファイバの束又は複数の光ファイバを含むことができる。複数の光ファイバのうちの光ファイバは、本明細書に記載する光ファイバ200と同様であり得る。さらに、複数の光ファイバのうちの光ファイバのうちの1つ又は複数は、複数の光ファイバのうちの1つ又は複数の他の光ファイバとは異なり得る。
【0018】
金属線202に光ファイバ200を結合することにより、光ファイバ200は、たとえば、使用及び/又は製造中、光ファイバ200を機械的応力から保護するように、それほど歪みを受けないようにすることができる。金属線202は、金属線202を形成する材料の、その引張強度、弾性率、脆性及び断面直径を含む複数の特性により、エネルギーを吸収し、破砕することなく塑性変形することができる可能性があり、したがって、光ファイバ200を保護する。さらに、光ファイバ200は脆性があるとみなすことができる一方で、金属線202は延性があるとみなすことができる。さらに、金属線202は、光ファイバ200が通常保護のために配置されるポリマーチューブと比較して、小半径曲げからの変形を受けにくい可能性がある。結果として、金属線202は、光ファイバ200を保護し、光ファイバ200が損傷を受けるのを防止することができ、それにより、手術環境におけるリスクを低減させることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、金属線202は、図2に示すように、円形断面を有することができる。こうした場合、金属線202は、光ファイバ200の直径の10~1000倍大きい直径を有することができる。いくつかの実施態様では、光ファイバ200は光を透過するが、金属線202は、特定の用途に応じて、電気接続を提供するために利用することができる。たとえば、金属線202を医療器具104(たとえば、図1に示す医療器具104)に接続して、医療器具を接地することができる。さらなる例として、金属線202を医療器具(たとえば、図1に示す医療器具104)に接続して、導通検査を提供するために利用することができる。
【0020】
光ファイバ200を金属線202に結合するために、任意の好適な技法を使用することができる。金属線202を光ファイバ200に接合するために、好適な技法としては、限定されないが、接着剤、機械的締結具又はそれらの組合せの使用が挙げられる。いくつかの実施形態では、金属線202を光ファイバ200に接合するために使用することができる接着剤としては、エポキシ接着剤が挙げられる。エポキシ接着剤は、他の反応機構もあるが特に、自己硬化性、紫外線硬化性、若しくは熱活性化であり得るか、又は、硬化するために外部触媒を使用することができる。
【0021】
金属線202は、限定されないが、ステンレス鋼、ばね鋼又は形状記憶鋼を含む種々の金属から形成することができる。ばね鋼は、種々の用途で使用される広範囲の鋼を指す。ばね鋼は、たとえば、著しい曲げ又はねじりにも関わらず、加えられる曲げ力又はねじり力が取り除かれた後に元の形状に戻るように、弾性変形が可能である。ばね鋼は、通常、低合金鋼、中炭素鋼、又は降伏強さの高い高炭素鋼として分類される。使用することができるばね鋼の例としては、限定されないが、特に、SAE1074/1075、SAE1080(ASTM A228)、SAE1095(ASTM A684)、SAE5160(ASTM A680)、50CrV4、SAE9255又は301ステンレス鋼として分類される鋼が挙げられる。いくつかの実施形態では、ASTM A228として分類することができる、ピアノ線とみなされるばね鋼を使用することができる。
【0022】
形状記憶鋼は、鋼が、初期の又は元の形状を「記憶し」、鋼が変形した後に変態温度を超えて加熱されると初期の形状に戻るのを可能にする機械的特性を有する、種々の合金を指す。使用することができる形状記憶鋼のための合金の例としては、限定されないが、ニッケル-チタン合金、銅-アルミニウム-ニッケル合金、銅-亜鉛アルミニウム合金、鉄-マンガン-ケイ素合金及びそれらの組合せが挙げられる。
【0023】
図2を続けて参照すると、光ファイバ200及び金属線202は、ジャケット204によって画定される通路210内に配置することができる。ジャケット204は、内部に配置される光ファイバ200を外部環境から保護する保護被覆として機能する。場合により、ジャケット204は、限定されないが、プラスチック、金属、編組生地及びそれらの組合せを含む、さまざまな材料から作製することができる。使用することができるプラスチックの例としては、限定されないが、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン又はそれらの組合せが挙げられる。
【0024】
図3は、別の例としての光ファイバケーブル102の断面図を示す。図3に示す例としての光ファイバケーブル102は、金属線202に結合された光ファイバ200を含む。光ファイバ200及び金属線202は、ともに、ジャケット204によって画定された通路210内に配置されている。しかしながら、図示する実施形態は、ジャケット204とその中に配置された光ファイバ200及び金属線202との間に追加の層をさらに含む。詳細には、図3の例としての光ファイバケーブル102は、ポリマー管300及び補強部材302をさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、図3に示すように、ポリマー管300は、ジャケット204と光ファイバ200との間に配置することができる。より詳細には、いくつかの実施形態では、図3に示すように、ポリマー管300は、補強部材302と光ファイバ200との間に配置することができる。図示するように、光ファイバ200及び金属線202は、ポリマー管300内に配置される通路210の一部の中に配置することができる。ポリマー管300は、限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン又はそれらの組合せを含むさまざまな材料から作製することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、図3に示すように、補強部材302は、ポリマー管300とジャケット204との間に配置することができる。補強部材302は、たとえば、金属線202と組み合わせて光ファイバ200に対する応力を低減させるように、光ファイバケーブル102内に含めることができる。たとえば、補強部材302は応力負荷を受け入れるように機能し、それにより、光ファイバ200に対するあり得る疲労を低減させることができる。補強部材302は、限定されないが、アラミド繊維、鋼線又はガラス繊維エポキシロッドを含むさまざまな材料から作製することができる。
【0027】
図4は、別の例としての光ファイバケーブル102の断面図を示す。図4の例としての光ファイバケーブル102は、金属線202に結合された光ファイバ200を含む。光ファイバ200及び金属線202は、ともに、ジャケット204によって画定された通路210内に配置されている。しかしながら、図示する例は、通路210内に配置された供給導管400をさらに含む。供給導管400は、空気、二酸化炭素、酸素又は他の任意の流体を医療器具(たとえば、図1に示す医療器具104等)に供給するために使用することができる。いくつかの実施形態では、図4に示すように、供給導管400は、中空チューブ404の形態であり得る。中空チューブ404は、限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン又はそれらの組合せを含む、さまざまな材料から作製することができる。供給導管400は、ポリマー管(たとえば、図3に示すようなポリマー管300)又は補強部材(たとえば、図3に示すような補強部材302)のない光ケーブル102の通路210内に配置されているように示されているが、供給導管400は、図3に示す実施形態等、光ファイバケーブル102の他の構成と組み合わせて使用することができることが理解されるべきである。こうした実施態様では、供給導管400は、ポリマー管300内に配置された通路210の部分の中に配置することができる。さらに、供給導管400等の供給導管は、図2又は図5に示すものを含む、本明細書に記載する他の光ファイバケーブル例のうちの任意のものに組み込むことができる。
【0028】
図5は、別の例としての光ファイバケーブル102の断面図を示す。図5に示す光ファイバケーブル102は、金属線202に結合された光ファイバ200を含む。光ファイバ200及び金属線202は、ジャケット204によって画定された通路210内に配置されている。しかしながら、図示する例は、通路210内に配置された電気配線500をさらに含む。電気配線500は、医療器具(たとえば、図1に示す医療器具104)に電気を供給するために利用される。電気配線500は、限定されないが銅又はアルミニウムを含む電気を伝導するさまざまな材料から作製することができる。図5に示す例としての光ファイバケーブル102は、ポリマー管(たとえば、図3に示すようなポリマー管300)又は補強部材(たとえば、図3に示すような補強部材302)を含むものとして示されていないが、電気配線500は、図3に示す実施形態等、光ファイバケーブル102の他の構成と組み合わせて使用することができることが理解されるべきである。さらに、電気配線500等の電気配線は、図2又は図4に示すものを含む、本明細書に記載する他の光ファイバケーブル例のうちの任意のものに組み込むことができる。
【0029】
図6は、金属線202に結合された光ファイバ200の実施形態の一部を示す斜視図である。図6の例は、図2図5に示すようなジャケット204等のジャケットを含むことができる。しかしながら、明確にするために、図6では、光ファイバ200及び金属線202の構成を例示するためにジャケット(たとえば)は図示していない。図示する例では、光ファイバ200は、らせん状に等、金属線202の周囲に巻回されている。光ファイバ200は、金属線202の周囲に巻回される場合、金属繊維2の長さより長い長さを有する。したがって、動作中に引き伸ばされる場合、金属線202は、相対的に短いために、光ファイバ200が引張応力を受ける前に引張応力を受ける。さらに、金属線202の周囲に光ファイバ200を巻回することは、光ファイバ200にたるみをもたらすものとして見ることができる。金属線202が引張力及び結果として引張伸びを受けるとき、光ファイバ202のたるみにより、光ファイバ202が引張応力又は引張伸びを受けることが防止される。
【0030】
光ファイバ200は、金属線202の周囲に任意の所望の回数で巻回することができる。たとえば、金属線200の長さあたりの光ファイバ200のねじりの回数としては、限定されないが、金属線202、1メートルあたり光ファイバ200約0.5回、金属線1メートルあたり光ファイバ200約5回、又は金属線202の長さあたりの光ファイバ200のねじりの他の任意の所望の回数を挙げることができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ200は、金属線202、1メートルあたり光ファイバ200約1回~金属線202、1メートルあたり光ファイバ200約2回の回数で金属線202の周囲に巻回することができる。いくつかの実施形態では、光ファイバ200は、金属線202、3メートルあたり光ファイバ200約5回の回数で金属線202の周囲に巻回することができる。金属線202の周囲に光ファイバ200を巻回することは、金属線202を伸長させることを含むことができる。たとえば、金属線202は、1つ又は複数の万力(図示せず)を使用することによる等、2つの点の間で伸長させることができる。そして、伸長した金属線202の周囲に光ファイバ200を巻回させることができる。たとえば、光ファイバ200を金属線202に接着させるために、光ファイバ200、金属線202又は両方の長さの一部又はすべての上に、接着剤(図示せず)を塗布することができる。その後、金属線202の上にかけられる張力を取り除くことができる。接着させると、結合された光ファイバ200及び金属線202の上に、上述したジャケット204等のジャケットを設置することができる。
【0031】
図7A及び図7Bは、端部コネクタ122に結合された例としての光ファイバケーブル102を示す。光ファイバケーブル102は、光ファイバ200及び金属線202を含む。いくつかの実施態様では、図7A及び図7Bに示す例に、図2図5に示し本開示の関連部分に記載した構成要素(たとえば、ジャケット、外側クラッド、補強部材、ポリマー管、供給導管又は電気配線)のうちの1つ又は複数等の追加の構成要素を含めることができるが、コネクタ122と金属線202及び光ファイバ200との間の接続をよりよく示すために、こうした追加の構成要素は示していない。
【0032】
図示する例では、端部コネクタ122は、第1端部700及び第2端部702を含む。端部コネクタ122の第2端部702は、図1に示す光源106等の光源内に受け入れられるか又はそうした光源に結合される。金属線202は、端部コネクタ122の第1端部700に結合することができる。任意の好適な又は適用可能な技法を用いて、金属線202を端部コネクタ122の第1端部700に結合することができる。結合技法例としては、限定されないが、接合、糊又ははんだ付けが挙げられる。第1端部700に開口部704が形成されている。光ファイバ200は、開口部704を通って端部コネクタ122のハウジング706内に延在する。図7Bに示すように、光ファイバ200は、ハウジング706を通って端部コネクタ122の第2端部702まで延在する。場合により、光ファイバ200は、端部コネクタ122の第2端部702まで延在しない可能性がある。逆に、いくつかの実施態様では、光ファイバ200は、第2端部702以外の位置で端部コネクタ122内の位置で終端することができる。光ファイバ200は、ハウジング706内に配置されるファイバホルダ708を通って延在する。他の実施態様は、ファイバホルダ708を排除することができる。図示する例では、光ファイバ200はファイバホルダ708に結合される。たとえば、光ファイバ200を、たとえば、糊、エポキシ又は他の接着剤を介してファイバホルダ708に接着させ、又は他の方法でファイバホルダ708に結合することができる。
【0033】
図8は、光ファイバケーブル102の使用を図示する。光ファイバケーブル102は、本明細書に記載する範囲内にあるタイプのうちの任意のものであり得る。さらに、光ファイバケーブル102のうちの1本又は複数本は、互いに異なり得る。たとえば、光ファイバのうちの1本又は複数本は、光ファイバケーブル102のうちの別のものに比べて、図2図5に図示し本開示の関連部分に記載した構成要素(たとえば、ジャケット、外側クラッド、補強部材、ポリマー管、供給導管又は電気配線)のうちの1つ又は複数等、追加の又は少数の構成要素を含むことができる。
【0034】
図8の図示する実施形態では、光ファイバケーブル102は、光を放射することができる照明カニューレ800の形態の医療器具104に結合されている。しかしながら、他の実施態様では、医療器具104は、照明カニューレ以外の別のタイプの医療器具であり得る。たとえば、医療器具104のうちの1つ又は複数は、注入カニューレ、トロカールカニューレ、レーザ器具、又は光ファイバを利用する別のタイプの医療器具であり得る。照明カニューレ800は、患者802の眼球116内を照明するために使用することができる。図示するように、照明カニューレ800は、患者802の眼球116内に配置される。光は、光ファイバケーブル102を通って照明カニューレ800まで進み、眼球116内に照明を提供する。図8は、3本の光ファイバケーブル102及び3つの照明カニューレ800の使用を示すが、他の応用では、追加の若しくはより少ない光ファイバケーブル102又は照明カニューレ800を使用することができる。
【0035】
図8を続けて参照すると、いくつかの実施形態では、光ファイバケーブル102は、特定の応用において望まれるように所定の輪郭を維持するように操作することができる。図示する実施形態では、光ファイバケーブル102は、患者802の頭部804又は耳806等、患者802の所定の輪郭に沿うように操作されている。所定の輪郭を維持するために、光ファイバケーブル102は、本明細書に記載するような材料から作製された金属線(たとえば、図2図7Bに示す金属線202等)を含む。たとえば、光ファイバケーブル102のうちの1つ又は複数の金属線は、ステンレス鋼(たとえば、弾性の低いステンレス鋼)又は形状記憶合金から作製することができる。結果として、金属線は、曲げた後に特定の形状を維持することができる。有利には、これにより、光ファイバケーブル102は所望の形状になるように操作され、所望の輪郭に沿い、又は、たとえば手術前、手術中若しくは手術後に所望の位置まで操作されるのが可能になる。別法として、光ファイバケーブル102のうちの1本又は複数本は、光ファイバケーブル102のうちの1本又は複数本に患者802の輪郭に沿う事前定義された形状を与えることができるように、形状記憶合金を含むことができる。
【0036】
上に開示した主題は、限定的ではなく例示的であるものとみなされるべきであり、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内にあるすべての変更形態、強化形態及び他の実施態様を包含するように意図されている。したがって、法律によって可能とされる最大限の範囲まで、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も広い許容可能な解釈によって判断されるべきであり、且つ上述した詳細な説明によって制限も限定もされないものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8