(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】オイルゲル化剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20240924BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240924BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/37
A61Q1/02
(21)【出願番号】P 2020059523
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大久保 多恵
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-010512(JP,A)
【文献】特開2017-036222(JP,A)
【文献】特開2021-038170(JP,A)
【文献】特開2018-123117(JP,A)
【文献】特開2008-156245(JP,A)
【文献】特開平06-263618(JP,A)
【文献】特表2007-502322(JP,A)
【文献】特開2004-115485(JP,A)
【文献】特表2018-500345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0307672(US,A1)
【文献】国際公開第2018/123824(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)及び(B)を有効成分とするオイルゲル化剤であって、成分(A)及び(B)の合計量100質量%に対し、成分(A)の量が
85~95質量%であり、成分(B)の量が5~
15質量%である、オイルゲル化剤(但し、キャンデリラワックスを含有するものを除く)。
(A)ベヘニン酸ベヘニル、モンタン酸ベヘニル及びステアリン酸ベヘニルからなる群から選ばれるいずれか一種以上
(B)雪ロウ
【請求項2】
25℃で液状の油剤及び請求項1に記載のオイルゲル化剤を含有する、オイルワックスゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルゲル化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
固形状油剤(ワックス)を用いて常温で液状の油剤(オイル)をゲル化(固化)した油性固形物はオイルワックスゲルと呼ばれ、化粧品、医薬部外品、生活雑貨品等の分野において利用されている。オイルワックスゲルは、ゼリー状ではなく硬い固形物であり、表面を擦るとその部分のみが崩れて液状になる性質があることから、特に、口紅、ファンデーション等の化粧品基剤として広く利用されている(特許文献1~4)。
【0003】
一方、環境問題への意識の高まりや、肌への刺激の少ない化粧品を求める消費者の増加を背景に、自然派化粧品やオーガニック化粧品のニーズが高まっている。そして、近年、ISO(国際標準化機構)により、自然・オーガニック化粧品に関する国際標準として「ISO16128 天然及び有機化粧品成分の技術的定義及び基準の指針」が発行されたことから、自然派化粧品であることを消費者に強く訴えるには、製品中の自然原料、自然由来原料の含有量を高める必要がある。
【0004】
しかし、オイルワックスゲルの調製に用いるワックスとしては、非自然原料であるポリエチレンワックスが主流である。このため、ポリエチレンワックスに替えて、自然原料を利用した新規なオイルゲル化剤を提供できれば、オイルワックスゲルを基剤とする自然派化粧品の市場を創造し拡大していくためのキーマテリアルとして活用できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-193607号公報
【文献】特開2015-174844号公報
【文献】特開2010-265230号公報
【文献】特開平6-263618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、自然原料を利用した新規なオイルゲル化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、特定の種類のワックスを併用することにより、上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の〔1〕~〔3〕からなっている。
〔1〕下記成分(A)及び(B)を有効成分とする、オイルゲル化剤。
(A)下記一般式(1)で示される脂肪族エステル
R1-COO-R2 (1)
〔式中、R1は炭素数17以上29以下の直鎖アルキル基を表し、R2は炭素数20以上30以下の直鎖アルキル基を表す。〕
(B)雪ロウ
〔2〕成分(A)及び(B)の合計量100質量%に対し、成分(A)の量が50~98質量%であり、成分(B)の量が2~50質量%である、前記〔1〕に記載のオイルゲル化剤。
〔3〕25℃で液状の油剤及び前記〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載のオイルゲル化剤を含有する、オイルワックスゲル。
【発明の効果】
【0009】
本発明のオイルゲル化剤は、自然原料である雪ロウを有効成分として利用している。
本発明のオイルゲル化剤を使用することにより、高硬度のオイルワックスゲルが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いられる成分(A)は、下記一般式(1)で示される脂肪族エステルである。
R1-COO-R2 (1)
〔式中、R1は炭素数17以上29以下の直鎖アルキル基を表し、R2は炭素数20以上30以下の直鎖アルキル基を表す。〕
【0011】
一般式(1)中のR1の炭素数は、好ましくは17以上27以下である。また、一般式(1)中のR2の炭素数は、好ましくは20以上26以下であり、より好ましくは22以上24以下である。
【0012】
成分(A)の具体例としては、例えば、ステアリン酸アラキジル〔一般式(1)において、R1の炭素数が17且つR2の炭素数が20の脂肪族エステル。以下、「C17-C20」のように表記する。〕、ステアリン酸ベヘニル(C17-C22)、ステアリン酸リグノセリル(C17-C24)、ステアリン酸セロチル(C17-C26)、ステアリン酸モンタニル(C17-C28)、ステアリン酸メリシル(C17-C30)、アラキジン酸アラキジル(C19-C20)、アラキジン酸ベヘニル(C19-C22)、アラキジン酸リグノセリル(C19-C24)、アラキジン酸セロチル(C19-C26)、アラキジン酸モンタニル(C19-C28)、アラキジン酸メリシル(C19-C30)、ベヘニン酸アラキジル(C21-C20)、ベヘニン酸ベヘニル(C21-C22)、ベヘニン酸リグノセリル(C21-C24)、ベヘニン酸セロチル(C21-C26)、ベヘニン酸モンタニル(C21-C28)、ベヘニン酸メリシル(C21-C30)、リグノセリン酸アラキジル(C23-C20)、リグノセリン酸ベヘニル(C23-C22)、リグノセリン酸リグノセリル(C23-C24)、リグノセリン酸セロチル(C23-C26)、リグノセリン酸モンタニル(C23-C28)、リグノセリン酸メリシル(C23-C30)、セロチン酸アラキジル(C25-C20)、セロチン酸ベヘニル(C25-C22)、セロチン酸リグノセリル(C25-C24)、セロチン酸セロチル(C25-C26)、セロチン酸モンタニル(C25-C28)、セロチン酸メリシル(C25-C30)、モンタン酸アラキジル(C27-C20)、モンタン酸ベヘニル(C27-C22)、モンタン酸リグノセリル(C27-C24)、モンタン酸セロチル(C27-C26)、モンタン酸モンタニル(C27-C28)、モンタン酸メリシル(C27-C30)、メリシン酸アラキジル(C29-C20)、メリシン酸ベヘニル(C29-C22)、メリシン酸リグノセリル(C29-C24)、メリシン酸セロチル(C29-C26)、メリシン酸モンタニル(C29-C28)、メリシン酸メリシル(C29-C30)が挙げられる。これら脂肪族エステルは、いずれか1種のみを用いても良いし、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0013】
本発明における成分(A)の製造方法としては、例えば、炭素数18以上30以下の1価の直鎖飽和脂肪酸と炭素数20以上30以下の1価の直鎖飽和アルコールとの脱水縮合反応を利用する方法が挙げられる。反応効率を高めるために、触媒を利用しても良い。反応温度は180~250℃が好ましく、減圧下で反応を行なっても良い。また、反応の後、脱酸や水洗等により精製しても良い。
【0014】
炭素数18以上30以下の1価の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。これら炭素数18~30の1価の直鎖飽和脂肪酸はいずれか1種のみを用いても良いし、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。また、炭素数18~30の1価の直鎖飽和脂肪酸としては、炭素数18~30の1価の直鎖飽和脂肪酸を主体とし、炭素数が18未満又は炭素数が30を超える1価の直鎖飽和脂肪酸を含む混合脂肪酸であっても良く、その場合、炭素数18~30の1価の直鎖飽和脂肪酸の含有量は50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
【0015】
炭素数20~30の1価の直鎖飽和アルコールとしては、例えば、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、モンタニルアルコール、メリシルアルコール等が挙げられる。これら炭素数20~30の1価の直鎖飽和アルコールはいずれか1種のみを用いても良いし、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。また、炭素数20~30の1価の直鎖飽和アルコールとしては、炭素数20~30の1価の直鎖飽和アルコールを主体とし、炭素数が20未満又は炭素数が30を超える1価の直鎖飽和アルコールを含む混合アルコールであっても良く、その場合、炭素数20~30の1価の直鎖飽和アルコールの含有量は50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
【0016】
ここで、自然・オーガニック化粧品に関する国際標準である「ISO16128 天然及び有機化粧品成分の技術的定義及び基準の指針」(以下、ISO16128)では、「自然由来原料」とは、植物・動物等から得られた自然由来部分と石油等から得られた非自然由来部分が化学反応して出来た原料で、分子構造の50%以上が自然由来部分で出来ているもの、と定義されている。本発明に用いられる成分(A)は、必ずしも自然由来原料である必要はないが、オイルワックスゲルの自然由来原料の含有量を高める観点から、自然由来原料となるように製造されたものであることが好ましい。
【0017】
本発明で成分(B)として用いられる雪ロウは、カイガラムシ科に属する昆虫であるイボタロウカイガラムシが分泌する融点が80~85℃の白色のワックスである。尚、ISO16128では、「自然原料」とは、水及び植物・動物・微生物・鉱物(石油・天然ガスを除く)起源で、かつ化学合成を伴わず乾燥や粉砕等、物理処理で得られた原料、と定義されており、雪ロウは自然原料に該当する。
【0018】
雪ロウとしては、例えば、脱臭精製雪蝋No.1(商品名;セラリカNODA社製)等が商業的に製造及び販売されており、本発明にはこれを用いることができる。
【0019】
本発明のオイルゲル化剤を使用する際の成分(A)及び(B)の量は、成分(A)及び(B)の合計量100質量%に対し、成分(A)の量が好ましくは50~98質量%、より好ましくは65~95質量%であり、更に好ましくは75~95質量%であり、最も好ましくは87~93質量%であり、成分(B)の量が好ましくは2~50質量%、より好ましくは5~35質量%であり、更に好ましくは5~25質量%であり、最も好ましくは7~13質量%に調整することが好ましい。
【0020】
本発明のオイルワックスゲルは、25℃で液状の油剤及び成分(A)及び(B)を含有する。
【0021】
25℃で液状の油剤としては、例えば、炭化水素油、分岐脂肪酸、分岐アルコール、エステル油、エーテル油、シリコーン油等が挙げられる。
【0022】
具体的には、炭化水素油としては、例えば、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、水添ポリイソブテン、イソパラフィン等が挙げられる。また、分岐脂肪酸としては、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソベヘン酸等が挙げられる。また、分岐アルコールとしては、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。また、エステル油としては、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、2-エチルヘキサン酸イソノニル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イロプロピル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、12-ステアロリルステアリン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、サリチル酸2-エチルヘキシル、炭酸ジアルキル等が挙げられる。また、エーテル油としては、ジオクチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポロオキシプロピレンジメチルエーテル等が挙げられる。また、シリコーン油としては、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリルメチコン、メチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0023】
これら25℃で液状の油剤は、いずれか1種のみを用いても良いし、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0024】
本発明のオイルワックスゲル全体に占める成分(A)、(B)及び25℃で液状の油剤の含有量は、オイルワックスゲルの用途や目的とする硬度等により異なり一様ではなく、特に制限されないが、本発明のオイルワックスゲル100質量%中、成分(A)及び(B)の合計量が1~30質量%、好ましくは5~20質量%であり、残余が25℃で液状の油剤となるように調整することができる。
【0025】
本発明のオイルワックスゲルの製造方法に特に制限はないが、例えば、25℃で液状の油剤に成分(A)及び(B)を加え、これらをその融点以上(例えば、80~120℃)に加熱して均一に混合し、得られた混合物を型に入れ冷却及び固化する方法等を実施することができる。
【0026】
本発明のオイルワックスゲルは、例えば、化粧品、医薬品、医薬部外品、生活雑貨品等に使用でき、化粧品に使用することが特に好ましい。化粧品の具体例としては、例えば油性ファンデーション、口紅、リップグロス等の固形状油性化粧品の他、固形状油性クレンジング化粧品等が挙げられる。
【0027】
本発明のオイルワックスゲルを化粧品に使用する場合、該オイルワックスゲルには、前記成分以外に、通常の化粧品に用いられる成分、例えば、着色顔料、染料、体質顔料、界面活性剤、酸化防止剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤等を含有させることができる。
【0028】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
[合成例1]
攪拌機、温度計、ガス吹込み管、及び水分離器を取り付けた2L容四ツ口セパラブルフラスコに、ベヘニン酸718g(2.2モル;商品名:RADIACID0560;oleon社製)とベヘニルアルコール700g(2.1モル;商品名:GINOL-22(98%);GODREJ社製)、及び触媒として酸化第一錫0.1wt%(富士フイルム和光純薬社製)を仕込み、窒素ガス気流中、230℃にて、酸価の低下が認められなくなるまで5時間エステル化反応を行った。反応終了後、リン酸0.18wt%(富士フイルム和光純薬社製)にて中和処理とブフナー漏斗を用いたろ過を行い、エステル化生成物(ベヘニン酸ベヘニル)1340gを得た。尚、このようにして得られたベヘニン酸ベヘニルは、ISO16128により定義された自然由来原料に該当する。
【0030】
[合成例2]
攪拌機、温度計、ガス吹込み管、及び水分離器を取り付けた500mL容四ツ口セパラブルフラスコに、モンタン酸163.5g(0.42モル;商品名:HOE WAX S;ヘキストジャパン社製)とベヘニルアルコール137.6g(0.42モル;商品名:GINOL-22(98%);GODREJ社製)、及び触媒として酸化第一錫0.1wt%(富士フイルム和光純薬社製)を仕込み、窒素ガス気流中、230℃にて、酸価の低下が認められなくなるまで6時間エステル化反応を行った。反応終了後、リン酸0.18wt%(富士フイルム和光純薬社製)にて中和処理とろ過を行い、エステル化生成物(モンタン酸ベヘニル)278gを得た。
【0031】
[合成例3]
攪拌機、温度計、ガス吹込み管、及び水分離器を取り付けた2L容四ツ口セパラブルフラスコに、ステアリン酸695g(2.5モル;商品名:ルナックS-98;花王社製)とベヘニルアルコール(2.5モル;商品名:GINOL-22(98%);GODREJ社製)、及び触媒として酸化第一錫0.1wt%(富士フイルム和光純薬社製)を仕込み、窒素ガス気流中、230℃にて、酸価の低下が認められなくなるまで5時間エステル化反応を行った。反応終了後、リン酸0.18wt%(富士フイルム和光純薬社製)にて中和処理とろ過を行い、エステル化生成物(ステアリン酸ベヘニル)1398gを得た。
【0032】
[オイルゲル化剤の調製]
(1)オイルゲル化剤の原材料
1)ベヘニン酸ベヘニル(合成例1;C21-C22;融点:73℃)
2)モンタン酸ベヘニル(合成例2;C27-C22;融点:75℃)
3)ステアリン酸ベヘニル(合成例3;C17-C22;融点:68℃)
4)雪ロウ(商品名:脱臭精製雪蝋No.1;融点:81℃;セラリカNODA社製)
5)キャンデリラロウ(商品名:精製キャンデリラワックスMK-2;融点:70℃;横関油脂工業社製)
6)水添ホホバ油(商品名:ホホバワックス;融点:68℃;日光ケミカルズ社製)
7)カルナウバロウ(商品名:精製カルナウバワックスR-100;融点:83℃;横関油脂工業社製)
8)ミツロウ(商品名:食品添加物ビースワックス;融点:64℃;三木化学工業社製)
9)コメヌカロウ(商品名:ライスワックスSSI;融点:78℃;ボーソー油脂社製)
【0033】
上記原材料を用いて調製したオイルゲル化剤1~13の配合組成を表1及び2に示す。このうち、表1に示すオイルゲル化剤1~6は本発明に係る実施例であり、表2に示すオイルワックスゲル7~13はそれらに対する比較例である。
【0034】
【0035】
【0036】
(2)オイルゲル化剤の調製方法
50mL容ビーカーに表1及び2に従ってそれぞれのワックスを入れ、90℃に加熱し、その内容物が均一になるまで十分に振り混ぜた。得られた混合物を25℃で30分間冷却及び固化し、オイルゲル化剤1~11を各10g得た。尚、オイルゲル化剤12及び13は、一種類の原材料のみからなるため、当該原材料そのものをオイルゲル化剤とした。
【0037】
[試験例1]
[2-エチルヘキサン酸セチルを用いたオイルワックスゲルの製造及び評価]
(1)オイルワックスゲルの調製
100mL容ビーカーに2-エチルヘキサン酸セチル(商品名:NIKKOL CIO;25℃で液状の油剤;日光ケミカルズ社製)20g及び表3に従ってオイルゲル化剤2.2gをそれぞれ入れ、これを90℃に加熱し、その内容物が均一になるまで十分に振り混ぜた。得られた混合物を金属製の円筒形の型(内径×高さ:50mm×15mm)に流し入れ、25℃で30分間冷却及び固化し、オイルワックスゲル1~9(各22.2g)を得た。尚、オイルゲル化剤7及び9~11を用いた場合、ゲル化せず、オイルワックスゲルは得られなかった。
【0038】
(2)硬度の測定
オイルワックスゲル1~9を型から取り出し、テクスチャーアナライザー(製品名:Ez Test;島津製作所社製)を用いて25℃の環境下で硬度を測定した。測定では、直径14mmの円柱形の治具をオイルワックスゲルに向けて5mm/minの速度で下降してオイルワックスゲルを圧縮し、その降伏点(応力の上昇が緩和する点:ピークもしくは変曲点)を硬度(N)とし、以下の評価基準に従いそれぞれ記号化した。結果を表3に示す。
<評価基準>
◎:13.0N以上
○: 8.0N以上、13.0N未満
△: 5.0N以上、 8.0N未満
×: 5.0N未満
【0039】
【0040】
表3の結果から明らかなように、成分(A)及び(B)を併用したオイルゲル化剤1~6を添加したオイルワックスゲル1~6は、「○」以上の結果を得た。しかし、成分(A)及び(B)を併用していないオイルゲル化剤7~13を添加した場合、ゲル化しないか、オイルワックスゲルが得られたとしても「×」の結果であり、本発明の実施例に比べて劣っていた。
【0041】
[試験例2]
[流動パラフィンを用いたオイルワックスゲルの製造及び評価]
【0042】
(1)オイルワックスゲルの調製
100mL容ビーカーに流動パラフィン(商品名:流動パラフィン;25℃で液状の油剤;富士フイルム和光純薬社製)20g及び表4に従ってオイルゲル化剤2.2gをそれぞれ入れ、これを90℃に加熱し、その内容物が均一になるまで十分に振り混ぜた。得られた混合物を金属製の円筒形の型(内径×高さ:50mm×15mm)に流し入れ、25℃で30分間冷却及び固化し、オイルワックスゲル10~18(各22.2g)を得た。尚、オイルゲル化剤7及び9~11を用いた場合、ゲル化せず、オイルワックスゲルは得られなかった。
【0043】
(2)硬度の測定
オイルワックスゲル10~18を型から取り出し、テクスチャーアナライザー(製品名:Ez Test;島津製作所社製)を用いて25℃の環境下で硬度を測定した。測定では、直径14mmの円柱形の治具をオイルワックスゲルに向けて5mm/minの速度で下降してオイルワックスゲルを圧縮し、その降伏点(応力の上昇が緩和する点:ピークもしくは変曲点)を硬度(N)とし、以下の評価基準に従いそれぞれ記号化した。結果を表4に示す。
<評価基準>
◎:10.0N以上
○: 8.0N以上、10.0N未満
△: 5.0N以上、 8.0N未満
×: 5.0N未満
【0044】
【0045】
表4の結果から明らかなように、成分(A)及び(B)を併用したオイルゲル化剤1~6を添加したオイルワックスゲル10~15は、「○」以上の結果を得た。しかし、成分(A)及び(B)を併用していないオイルゲル化剤7~13を添加した場合、ゲル化しないか、オイルワックスゲルが得られたとしても「△」以下の結果であり、本発明の実施例に比べて劣っていた。
【0046】
[試験例3]
[中鎖脂肪酸トリグリセライドを用いたオイルワックスゲルの製造及び評価]
(1)オイルワックスゲルの調製
100mL容ビーカーに中鎖脂肪酸トリグリセライド(商品名:アクターM1;25℃で液状の油剤;理研ビタミン社製)20g及び表5に従ってオイルゲル化剤2.2gをそれぞれ入れ、これを90℃に加熱し、その内容物が均一になるまで十分に振り混ぜた。得られた混合物を金属製の円筒形の型(内径×高さ:50mm×15mm)に流し入れ、25℃で30分間冷却及び固化し、オイルワックスゲル19~27(各22.2g)を得た。尚、オイルゲル化剤7及び9~11を用いた場合、ゲル化せず、オイルワックスゲルは得られなかった。
【0047】
(2)硬度の測定
オイルワックスゲル19~27を型から取り出し、テクスチャーアナライザー(製品名:Ez Test;島津製作所社製)を用いて25℃の環境下で硬度を測定した。測定では、直径14mmの円柱形の治具をオイルワックスゲルに向けて5mm/minの速度で下降してオイルワックスゲルを圧縮し、その降伏点(応力の上昇が緩和する点:ピークもしくは変曲点)を硬度(N)とし、以下の評価基準に従いそれぞれ記号化した。結果を表5に示す。
<評価基準>
◎:30.0N以上
○:15.0N以上、30.0N未満
△:10.0N以上、15.0N未満
×:10.0N未満
【0048】
【0049】
表5の結果から明らかなように、成分(A)及び(B)を併用したオイルゲル化剤1~6を添加したオイルワックスゲル19~24は、「○」以上の結果を得た。しかし、成分(A)及び(B)を併用していないオイルゲル化剤7~13を添加した場合、ゲル化しないか、オイルワックスゲルが得られたとしても「△」以下の結果であり、本発明の実施例に比べて劣っていた。