(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ハイブリッド複合材部品用の編み組み繊維のトウのレイアップ及び製造
(51)【国際特許分類】
B29C 70/30 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B29C70/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020106677
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-05-31
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オーガル, アーモル
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-147411(JP,A)
【文献】特表2008-515665(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021226(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層板を製造するための方法であって、
前記積層板用の単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第1の組の層をレイアップすること(204)、及び
前記積層板用の編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第2の組の層をレイアップすること(208)
を含
み、
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料内の繊維が導電性である、方法。
【請求項2】
前記積層板用の前記第2の組の層の前記レイアップ中に、前記第2の組の層を操縦することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の組の層の前記レイアップ中に、ローラによって前記第2の組の層を押圧することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の組の層をレイアップすることが、前記積層板が別の積層板と誘導加熱溶接されることになる場所で実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の組の層をレイアップする間
、前記第2の組の層を、
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料内の熱可塑性材料の溶融温度まで加熱することを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の組の層をレイアップする間、前記単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを第1のスプールから供給することを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の組の層をレイアップする間、前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを第2のスプールから供給することを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
積層板(160)を製造するための装置であって、
単方向熱可塑性繊維強化材料のトウ(126)を保存する第1のスプール(116)、
前記積層板用の第1の組の層(162)をレイアップする第1のエンドエフェクタ(136)であって、前記第1の組の層が、前記第1のスプール上に保存された前記単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む、第1のエンドエフェクタ(136)、
編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウ(128)を保存する第2のスプール(118)、及び
前記積層板用の第2の組の層(164)をレイアップする第2のエンドエフェクタ(138)であって、前記第2の組の層が、前記第2のスプール上に保存された前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む、第2のエンドエフェクタ(138)
を備え
、
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料内の繊維が導電性である、装置。
【請求項9】
レイアップ中に前記第1のエンドエフェクタ及び前記第2のエンドエフェクタを操作するコントローラであって、前記第2のエンドエフェクタが前記第2の組の層をレイアップしている間、前記第2の組の層を操縦するコントローラを更に備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の組の層内の繊維(165)のサイズが、前記第2の組の層内の繊維(167)のサイズと等しい、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記第2のエンドエフェクタ(138)が、前記第2の組の層のレイアップ中に、前記第2の組の層を押圧するローラを備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
コントローラ(112)であって、前記第2のエンドエフェクタが、前記積層板が別の積層板と誘導加熱溶接されることになる場所で、前記第2の組の層をレイアップするように指示するコントローラ(112)を更に備える、請求項8から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の組の層のレイアップ中に
、前記第2の組の層を、
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料内の熱可塑性材料の溶融温度まで加熱する加熱器(14
6)を更に備える、請求項8から12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造の分野に関し、特に、トウ(tow)のレイアップ(layup)を介した繊維強化複合材部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
構成材料(例えば、炭素繊維強化ポリマー(CFRP))の多層積層板は、複合材部品に硬化させるための任意の様々な形状に形成することができる。積層板は、それぞれが単方向繊維強化材料のトウを含む、複数の層にレイアップすることができる。複数の積層板は、手作業で、自動テープレイアップ機(ATLM)によって、又は自動繊維配置(AFP)機によってレイアップされてよい。
【0003】
複数の積層板は、複合材部品に硬化されるときに所望のレベルの性能を提供するが、複数の積層板向けのレイアッププロセスは、複雑で時間がかかることに変わりはない。更に、誘導加熱溶接(induction welding)などの複数の積層板を共に取り付けるための技法は、そのような材料から作製される複数の積層板に対して実行することが困難な場合がある。例えば、誘導を介してこれらの材料から作製された積層板を加熱することは、望まれるよりも多くの電流を誘導コイルを通して流すことを必要とし得る。
【0004】
したがって、先に検討した問題のうちの少なくとも幾つか及び他の想定される問題を考慮した方法及び装置を有していることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で説明される実施形態は、積層板用の編み組み繊維(braided fiber)を含むトウを提供する。トウは、熱可塑性材料が予め含浸され、ATLM又はAFP機によってレイアップされてよい。更に、トウは導電性なので、印加された磁場に応じて、繊維同士の間の交差部分が熱を生成する。これにより、単方向繊維のトウと比較して、誘導中のトウにおける加熱の量が高まる。
【0006】
一実施形態は、積層板を製造するための方法である。該方法は、積層板用の単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第1の組の層をレイアップすること、及び積層板用の編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第2の組の層をレイアップすることを含む。
【0007】
更なる一実施形態は、プログラミングされた指示命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体である。該指示命令は、プロセッサによって実行されたときに、積層板を製造するための方法を実行するように動作可能である。該方法は、積層板用の単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第1の組の層をレイアップすること、及び積層板用の編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第2の組の層をレイアップすることを含む。
【0008】
更なる一実施形態は、積層板を製造するための装置である。該装置は、単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを保存する第1のスプール、積層板用の第1の組の層をレイアップする第1のエンドエフェクタであって、第1の組の層が、第1のスプール上に保存された単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む、第1のエンドエフェクタ、編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを保存する第2のスプール、及び、積層板用の第2の組の層をレイアップする第2のエンドエフェクタであって、第2の組の層が、第2のスプール上に保存された編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む、第2のエンドエフェクタを含む。
【0009】
一実施形態は、編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを製造するための方法である。該方法は、マンドレルの周りに閉じた断面形状を形成する周囲を有する編み模様(weave)を形成するために、予め含浸された単方向材料の繊維を編み組むこと、周囲に沿った仮留め(tacking)位置において予め含浸された繊維を仮留めすること、及び、仮留め位置同士の間の切断位置において編み模様を切断することであって、編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進み且つローラの後ろに配置されているナイフを用いて、編み模様を切断することを含む。
【0010】
更なる一実施形態は、プログラミングされた指示命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体である。該指示命令は、プロセッサによって実行されたときに、方法を実行するように動作可能である。該方法は、マンドレルの周りに閉じた断面形状を形成する周囲を有する編み模様(weave)を形成するために、予め含浸された単方向材料の繊維を編み組むこと、周囲に沿った仮留め(tacking)位置において予め含浸された繊維を仮留めすること、及び、仮留め位置同士の間の切断位置において編み模様を切断することであって、編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進み且つローラの後ろに配置されているナイフを用いて、編み模様を切断することを含む。
【0011】
更なる一実施形態は、編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを製造するための装置である。該装置は、ローラであって、円筒形状マンドレルにおいてレイアップされた単方向材料の編み組まれた予め含浸された繊維の編み模様の周囲に沿った仮留め位置に熱及び圧力を印加し、編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進むローラ、及び、仮留め位置同士の間の切断位置において編み模様を切断し、編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進み、ローラの後ろに配置されているナイフを含む。
【0012】
他の例示的な実施形態(例えば、上述の実施形態に関連する方法及びコンピュータ可読媒体)が、以下で説明され得る。検討してきた特徴、機能及び利点は、様々な実施形態において個別に実現可能であり、又は、以下の説明及び図面を参照して更なる詳細が理解され得る、更に別の実施形態において組み合わされてもよい。
【0013】
ここで、本開示の幾つかの実施形態を、例示としてのみ、添付図面を参照して説明する。全ての図面において、同じ参照番号は同じ要素又は同じ種類の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】例示的な一実施形態おける、製造環境のブロック図である。
【
図2】例示的な一実施形態における、ハイブリッドレイアップシステムを動作させるための方法を示すフローチャートである。
【
図3A】例示的な一実施形態における、単方向繊維のトウで構成される積層板の上に編み組み繊維のトウをレイアップするエンドエフェクタの側面図である。
【
図3B】例示的な一実施形態における、単方向繊維のトウで構成される積層板の上に編み組み繊維のトウをレイアップするエンドエフェクタの上面図である。
【
図4】
図4~
図6は、例示的な一実施形態における、誘導加熱溶接が行われることになる場所に沿った編み組み繊維のトウを含む複数の積層板の側面図である。
【
図5】
図4~
図6は、例示的な一実施形態における、誘導加熱溶接が行われることになる場所に沿った編み組み繊維のトウを含む複数の積層板の側面図である。
【
図6】
図4~
図6は、例示的な一実施形態における、誘導加熱溶接が行われることになる場所に沿った編み組み繊維のトウを含む複数の積層板の側面図である。
【
図7】例示的な一実施形態における、編み組み繊維のトウを生成するための製造システムのブロック図である。
【
図8】例示的な一実施形態における、編み組み繊維のトウを生成するために製造システムを動作させるための方法を示すフローチャートである。
【
図9】例示的な一実施形態における、材料のトウを形成するために編み組み繊維の閉じた編み模様を切断する
図7の製造システムの側面図である。
【
図10】例示的な一実施形態における、切断されてマンドレルから取り外された編み模様の斜視図である。
【
図11】例示的な一実施形態における、航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【
図12】例示的な一実施形態による、航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面及び以下の明細書の記載により、本開示の特定の例示的な実施形態が提供される。従って、当業者は、本明細書で明示的に記載又は図示されない様々な構成を考案して本開示の原理を具体的に実現することができるが、それらは本開示の範囲に含まれることを理解されたい。更に、本明細書に記載の如何なる実施例も、本開示の原理の理解を助けることを意図したものであり、具体的に記載された実施例や諸条件に限定されないという解釈がなされるべきである。この結果、本開示を限定するものは、下記の特定の実施形態又は実施例ではなく、特許請求の範囲及びその均等物である。
【0016】
炭素繊維強化ポリマー(CFRP)部品などの複合材部品は、最初に、プリフォームと総称されている多重層にレイアップされる。プリフォームの各層内の個々の繊維は、互いに平行に揃えられているが、様々な寸法に沿って結果として得られる複合材部品の強度を高めるために、種々の繊維配向を示してよい。プリフォームは、プリフォームを硬化して(例えば、航空機に使用される)複合材部品にするため、凝固する粘着性の樹脂を含み得る。未硬化の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が含侵されている炭素繊維は「プリプレグ」と称される。他の種類の炭素繊維は、熱硬化性樹脂が含侵されていない「ドライファイバ」を含むが、粘着付与剤又は結合剤を含み得る。ドライファイバは、硬化前に樹脂が注入されてよい。熱硬化性樹脂に関しては、固化することは硬化と称される一方向のプロセスであり、一方、熱可塑性樹脂に関しては、樹脂は再加熱されると粘性のある形態になり得る。
【0017】
図1は、例示的な一実施形態における、ハイブリッドレイアップシステム110を含む製造環境100のブロック図である。ハイブリッドレイアップシステム110は、単方向繊維層と編み組み繊維層の両方を有する積層板160を形成するために、単方向トウ126(すなわち、単方向繊維のトウ)と編み組みトウ128(すなわち、編み組み繊維のトウ)をレイアップすることができる、任意のシステム又はデバイスを備える。編み組みトウ128は、トウの長さに平行又は垂直ではない繊維配向の任意の所望の組み合わせを示すために、偏って編み組みされてよい。例えば、繊維配向は、+22度/-22度、+45度/-45度、+10度/-10度、+80度/-80度などであってよい。更に、編み組み熱可塑性繊維強化材料の複数のトウのそれぞれの中の繊維は、開いた編み模様、閉じた編み模様、又は任意の所望のパターンを形成してよい。
【0018】
図1によれば、ハイブリッドレイアップシステム110は、コントローラ112及びメモリ114を含む。コントローラ112は、ハイブリッドレイアップシステム110の動作を指示し、メモリ114は、ハイブリッドレイアップシステム110を動作させるための指示命令(例えば、数値制御(NC)プログラム)を記憶する。コントローラ112は、例えば、カスタム回路として、プログラムされた指示命令を実行するハードウェアプロセッサとして、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装され得る。
【0019】
ハイブリッドレイアップシステム110は、スプール116とスプール118も含む。スプール116は、単方向トウ126(例えば、熱可塑性材料が予め含浸された単方向繊維のトウ)を保存する。スプール118は、編み組みトウ128(例えば、熱可塑性材料が予め含浸された編み組み繊維のトウ)を保存する。本明細書で説明されるそれぞれのトウは、数十又は数百フィートだけ延在する直線的な一体型テープを含む。エンドエフェクタ136が、単方向トウ126をレイアップし、エンドエフェクタ138が、編み組みトウ128をレイアップする。加熱器142及び144(例えば、輻射加熱器、レーザーなど)並びに冷却システム144及び148(例えば、ファン、冷たいマンドレルなど)が、
図3に関連して以下で説明されるように、レイアッププロセスを促進する。本明細書で説明されるトウは、結合剤又は粘着付与剤を用いて固定された「ドライファイバ」、又は熱可塑性材料が予め含浸されたトウを含んでよい。
【0020】
積層板160は、ハイブリッドレイアップシステム110によってマンドレル150の上にレイアップされ、単方向トウ層162と編み組みトウ層164の両方を含む。単方向トウ層162は、熱可塑性材料163(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK))、及び単方向繊維165を含み、一方で、編み組みトウ層164は、熱可塑性材料163及び織り繊維167を含む。本明細書で使用される際に、編み組み/織り繊維は、パターンを形成するために互いに編み込まれた繊維である。これらのパターンは、開いた編み模様、閉じた編み模様、三軸編み模様(triaxial weave)などを含んでよい。一実施形態では、第1の組の層(すなわち、単方向トウ層162)内の繊維のサイズ(例えば、直径)が、第2の組の層(すなわち、編み組みトウ層164)内の繊維のサイズと等しい。
【0021】
ハイブリッドレイアップシステム110の動作の例示的な詳細は、
図2に関連して説明されることとなる。この実施形態については、ハイブリッドレイアップシステム110が、マンドレル150の上方に配置され、積層板のレイアップを実行するようになっていると想定する。
【0022】
図2は、例示的な一実施形態における、ハイブリッドレイアップシステムを動作させるための方法200を示すフローチャートである。方法200のステップは、
図1のハイブリッドレイアップシステム110を参照して説明されるが、方法200はその他のシステムにおいても実施され得ることが、当業者には認識されよう。本明細書で説明されるフローチャートのステップは、網羅的なものではなく、図示していない他のステップを含んでよい。本明細書で説明されるステップは、代替的な順序でも実行されてよい。
【0023】
ステップ202では、コントローラ112が、単方向繊維強化材料のトウを第1のスプールから取り出すために、エンドエフェクタ136を操作する。一実施形態では、これが、エンドエフェクタ136においてピンチローラ(図示せず)を介してトウを引き出すことを含む。供給速度は、分当たり数フィート又はそれより上などの任意の所望の速度であってよい。
【0024】
ステップ204では、コントローラ112が、積層体160用の単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第1の組の層をレイアップする。一実施形態では、これが、メモリ114内に記憶されたNCプログラム内の指示命令に従って、エンドエフェクタ136を操作することを含む。これは、NCプログラムによって示された方向及び配向において、トウからセグメントを供給し切断することを含む。更なる実施形態では、トウが、個別に供給され切断される複数のレーンのそれぞれを占めてよい。
【0025】
ステップ206では、コントローラ112が、編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを第2のスプールから取り出すために、エンドエフェクタ138を操作する。一実施形態では、これが、エンドエフェクタ138においてピンチローラ(図示せず)を介してトウを引き出すことを含む。供給速度は、分当たり数フィート又はそれより上などの任意の所望の速度であってよい。一実施形態では、ステップ206が、ステップ202と同調して実行され、一方で、更なる実施形態では、ステップ206が、ステップ202とは無関係に実行される。
【0026】
ステップ208では、コントローラ112が、積層体160用の編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第2の組の層をレイアップする。一実施形態では、これが、メモリ114内に記憶されたNCプログラム内の指示命令に従って、エンドエフェクタ138を操作することを含む。これは、NCプログラムによって示された方向及び配向において、トウからセグメントを供給し切断することを含む。更なる実施形態では、トウが、個別に供給され切断される複数のレーンのそれぞれを占めてよい。ある実施形態では、第2の組の層をレイアップすることが、積層板が別の積層板と誘導加熱溶接されることになる場所で実行される。
【0027】
第2の組の層をレイアップすることは、編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを操縦すること(steering:向きを変えることなど)を更に含んでよい。例えば、コントローラ112は、レイアップ中にエンドエフェクタ136及びエンドエフェクタ138を操作してよく、エンドエフェクタ138が第2の組の層をレイアップしている間、第2の組の層を操縦してよい。単方向トウを操縦することと比較して、編み組みトウを操縦することは有益である。というのも、編み組みトウ内の繊維は、互いに対してより容易に移動し、生地全体のシートよりも容易にシヤ(shear:せん断)の中に配置されるからである。
【0028】
方法200は、以前のシステム及び技法を超えた利点を提供する。というのも、方法200は、編み組まれた層と単方向層の両方を有する複合材の作製を可能にするからである。更に、編み組み層は、(単一の連続的な予め製作されたシートからではなく)トウから形成されるので、トウは、任意の所望のサイズの編み組み層を形成するためにレイアップされてよい。方法200は、以下で説明される誘導加熱溶接を促進することにおける実質的な利点も提供する。
【0029】
図3Aは、例示的な一実施形態における、(単方向繊維のトウから作製された)単方向トウ126で構成される積層板の上に編み組み繊維の編み組みトウ128をレイアップするエンドエフェクタ138の側面図である。
図3Aによれば、エンドエフェクタ138におけるレイアップのために1以上のレーンの中に配置された編み組みトウ128は、加熱器146によって加熱される。これにより、編み組みトウ128の温度が、仮留め温度(例えば、編み組みトウ128内の熱可塑性材料の溶融温度から華氏30度以内の温度)まで高められる。更なる一実施形態では、積層板の複数の層をレイアップする間、加熱器が、複数の層を熱可塑性材料の溶融温度まで加熱する。圧密ローラ300が、編み組みトウ128を積層板の上に押圧し、冷却システム148が、冷却流体(例えば、高体積流量の室温の空気、水など)を、圧密ローラ300による圧密の後で編み組みトウ128の表面に付ける。
【0030】
図3Bは、例示的な一実施形態における、単方向繊維のトウで構成される積層板の上に編み組み繊維のトウをレイアップするエンドエフェクタ138の上面図である。
図3Bによれば、エンドエフェクタ138は、トウ360を配置する間、曲線370に沿って移動し、トウ360の「操縦(steering)」として知られるものを実行する。これにより、トウ360は、複雑な輪郭に合致し、下層内のトウ350とは異なることが可能になる。
【0031】
図4~
図6は、例示的な一実施形態における、誘導加熱溶接が行われることになる場所に沿った編み組み繊維のトウを含む複数の積層板の側面図である。特に、
図4は、例示的な一実施形態における、線Lに沿って誘導加熱溶接のために配置された積層板410と積層板420を示している。
図4で示されているように、積層板410と積層板420の層414は、線Lに近接して配置されている。これらの層414は、編み組み繊維のトウを含む。繊維が、炭素繊維などの導電性材料から作製される実施形態では、磁場に曝されたときに、繊維同士の間の交差部分が誘導加熱を受ける。これにより、今度は、線Lに近接する積層板410及び420の温度が、複数の積層板内の熱可塑性材料の溶融温度より上の温度まで高められ、それは、誘導加熱溶接を促進する。したがって、誘導加熱溶接における利益は、複数の層412が単方向繊維のトウを含むとしても実現される。
【0032】
図5は、
図4の変形例を示している。積層板510と積層板520は、誘導加熱溶接が線Lに沿って形成されるように配置されている。
図5で示されているように、編み組み繊維の層514は、線Lに配置されており、右と左に単方向繊維の複数の層512が隣接している。この配置は、誘導加熱溶接中に最も誘導加熱を受ける領域を局所化する。
【0033】
図6では、肘継手640を形成する誘導加熱溶接を促進するために、編み組み繊維の層630が提供される。
図6で示されているように、肘形状の積層板610は、線Lに沿って平坦な積層板620まで誘導加熱溶接される。層630は、線Lに沿って2つの積層板の間に配置されている。誘導加熱溶接中などに、磁場に曝されると、層630内の繊維同士の間の交差部分が、サセプタとして作用し、熱を生成する。この熱は、近隣の複数の積層板内の熱可塑性材料を溶かし、複数の積層板の間の熱可塑性材料を混合する。熱可塑性材料の固化に際して、複数の積層板は、単一の複合材部品に統合される。
【0034】
図7は、例示的な一実施形態による、編み組み繊維のトウを生成するための製造システム700のブロック図である。製造システム700は、閉じた断面形状を有する織り/編み組みプリフォームを切断し、プリフォームを積層板の上への後のレイアップのためにスプール上に巻き付けることができる、任意のシステム又はデバイスを備える。
【0035】
この実施形態では、製造システム700が、コントローラ720を含む。コントローラ720は、数値制御(NC)プログラムに従って製造システム700を動作させる。コントローラ720は、例えば、カスタム回路として、プログラムされた指示命令を実行するハードウェアプロセッサとして、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装され得る。
【0036】
編み組み機710は、材料の単一方向のトウを三次元の編み組みに編み組む三次元編み組み機を含む。例えば、編み組み機710は、それぞれが単方向繊維を提供する複数のスプールであって、マンドレル730の周りに形成され且つ所望のパターンを有する編み模様740にそれらの繊維を編み組むために、予め規定されたパターンで互いに周回する複数のスプールを含んでよい。編み模様740の完了に際して、編み模様740は、マンドレル730の周りに巻き付けられ、周囲780を有し、(ページの中に進む方向へ)数十又は数百フィートだけ延在してよい。
【0037】
編み組み後に、編み模様740は、(以下の
図9に関連して説明されるように)切断され、マンドレル730から取り外される。このプロセスを容易にするために、ローラ750が、加熱器752によって加熱され、編み模様740の温度を編み模様740内の熱可塑性材料の仮留め温度まで高める。ローラは、仮留め位置Tにおいて編み模様740をマンドレル730の中へ押す力Fも印加する。ローラ750が、(例えば、ページの中に進む方向へ)進んだ後で、熱可塑性材料が冷え、熱可塑性材料をマンドレルに粘着させる。これにより、編み模様740が切断されるときに、編み模様740が滑ることが防止される。ナイフ760が、切断位置Cに沿って編み模様740を切断する。次いで、編み模様740は、マンドレル730から解放され、スプール770の周りに巻き付けられる。スプール770の周りに巻き付けられたときに、編み模様740の周囲は、真っ直ぐにされ、平坦に押圧される。
【0038】
図8は、例示的な一実施形態における、編み組み繊維のトウを生成するために製造システムを動作させるための方法800を示すフローチャートである。
図8によれば、ステップ802は、マンドレルの周りに閉じた断面形状(例えば、円形状、楕円形状、正方形状)を形成する周囲を有する編み模様を形成するために、単方向材料の予め含浸された繊維を編み組むことを含む。一実施形態では、このステップが、NCプログラムに従って動作する工業用三次元編み組み機によって実行される。
【0039】
ステップ804では、編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進むローラ750を用いて、予め含浸された繊維を加熱及び圧密することによって(例えば、表面層又は編み模様における全ての層を加熱及び圧密することによって)、編み模様740の周囲に沿った仮留め位置において、予め含浸された繊維が仮留めされる。仮留めプロセスは、編み模様740を仮留め位置に粘着させる。これは、編み模様740が固定され、編み模様740が切断されるときにマンドレル730に沿って滑るのに抵抗することを意味する。
【0040】
ステップ806は、編み模様740に沿って進み且つローラ750の後ろに配置されているナイフ760を用いて、仮留め位置同士の間の切断位置において編み模様740を切断することを含む。これは、編み模様740を切断して開き、編み模様740が、平坦にされ、スプール上に巻き付けられ/スプール上から取られることを可能にする。
【0041】
図9は、例示的な一実施形態における、材料のトウを形成するために編み組み繊維の編み模様740を切断する
図7の製造システムの側面図である。
図9で示されているように、ローラ750は、加熱器752によって加熱され、編み模様740をマンドレル730の上に圧密する。ローラ750が、進行方向に進む際に、ナイフ760が、後に続き、編み模様740を切断する。次いで、編み模様740は、マンドレル730から引き外される(例えば、前に、下になど。編み模様740をマンドレル730に固定している任意の仮留めを壊す)。編み模様740の周囲780は、平面的な形状へと平坦にされ、編み模様740は、スプール上に巻き付けられる。それによって、スプールの各ターンが、編み模様740の長さのより多くのものを必要とする(すなわち、長さ方向が、スプール上に巻き付けられる)。
【0042】
図10は、例示的な一実施形態における、切断されてマンドレルから取り外された編み模様1000の斜視図である。この実施形態では、編み模様1000が、側部1010及び側部1012、並びに切断縁部1020及び切断縁部1022を含む。編み模様1000は、(例えば、押圧によって)平面的な形状に平坦化されたが、編み模様の側部を切断縁部から区別するために、幾つかの曲がりが図面内に残されている。
【0043】
一実施形態では、編み模様の第1の切断縁部(例えば、切断縁部1020)をスプールと接触するように配置すること、編み模様の側部(例えば、側部1010と側部1012)を巻き上げるようにスプールを回転させること、及び編み模様の第2の切断縁部(例えば、切断縁部1022)をスプールに配置することによって完了することによって、編み模様1000がスプール上に巻き付けられる。更なる一実施形態では、編み模様の第1の側部(例えば、側部1010)をスプールと接触するように配置すること、編み模様の切断縁部(例えば、切断縁部1020と切断縁部1022)を巻き上げるようにスプールを回転させること、及び編み模様の第2の側部(例えば、側部1012)をスプールに配置することによって完了することによって、編み模様1000がスプール上に巻き付けられる。
【0044】
実施例
以下の実施例では、更なる処理、システム、及び方法が、ハイブリッド複合材部品用の製造及びレイアップシステムの文脈で説明される。
【0045】
図面をより具体的に参照すると、本開示の実施形態は、
図11に示す航空機の製造及び保守方法1100、及び
図12に示す航空機1102に照らして記載され得る。製造前の段階では、方法1100は、航空機1102の仕様及び設計1104と、材料の調達1106とを含むことができる。製造段階では、航空機1102の構成要素及びサブアセンブリの製造1108と、システムインテグレーション1110とが行われる。その後、航空機1102は、認可及び納品1112を経て、運航1114に供され得る。顧客によって運航されている期間中、航空機1102には、定期的な整備及び保守1116(改変、再構成、改修なども含み得る)が予定される。本明細書で具現化される装置及び方法は、方法1100に記載されている製造及び保守の1以上の任意の適切な段階(例えば、仕様及び設計1104、材料の調達1106、構成要素及びサブアセンブリの製造1108、システムインテグレーション1110、認可及び納品1112、運航1114、整備及び保守1116)、並びに/又は航空機1102の任意の適切な構成要素(例えば、機体1118、システム1120、内装1122、推進システム1124、電気システム1126、液圧システム1128、環境システム1130)で採用され得る。
【0046】
方法1100の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実施又は実行され得る。本明細書の目的のために、システムインテグレータとは、限定しないが、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者とは、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでもよく、オペレータとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0047】
図12で示すように、方法1100によって製造された航空機1102は、複数のシステム1120及び内装1122を備えた機体1118を含み得る。システム1120の例は、推進システム1124、電気システム1126、液圧システム1128、及び環境システム1130のうち1以上を含む。任意の数の他のシステムも含まれ得る。航空宇宙の例が示されているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用され得る。
【0048】
上述のように、ここで具現化される装置及び方法は、製造及び保守方法1100の1以上の任意の段階で採用され得る。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造1108に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1102の運航中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方法で製作又は製造され得る。また、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、例えば、航空機1102の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機1102のコストを削減することにより、サブアセンブリの製造1108及びシステムインテグレーション1110の段階で利用することができる。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせのうちの1以上を、航空機1102の運航中に、例えば限定しないが、保守及び整備1116に利用することができる。例えば、本明細書に記載の技法及びシステムは、材料の調達1106、構成要素及びサブアセンブリの製造1108、システムインテグレーション1110、運航1114、及び/若しくは整備及び保守1116に、並びに/又は、機体1118及び/若しくは内装1122に使用され得る。これらの技法及びシステムは、例えば、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び/又は環境システム1130を含むシステム1120にも、利用され得る。
【0049】
一実施形態では、部品は、機体1118の一部を備え、構成要素及びサブアセンブリの製造1108中に製造される。この部品は、次に、システムインテグレーション1110において航空機に組み込まれ、その後、摩耗により部品が使用不能となるまで運航1114において利用され得る。その後、整備及び保守1116において、部品は廃棄され、新たに製造された部品と交換され得る。本発明の構成要素及び方法は、新しい部品を製造するため、構成要素及びサブアセンブリの製造1108の期間中にわたって利用され得る。
【0050】
図に示されているか、又は本明細書に記載されている、様々な制御要素(例えば、電気的構成要素又は電子部品)のうちの任意のものが、ハードウェア、プロセッサ実装型ソフトウェア、プロセッサ実装型ファームウェア、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装され得る。例えば、あるエレメントは専用ハードウェアとして実装され得る。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ(processors)」、「コントローラ(controllers)」と称され得るか、又は何らかの類似の用語で呼ばれ得る。機能は、プロセッサによって提供される場合、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又は、複数の個別のプロセッサであって、そのうちの幾つかが共有となり得る複数の個別のプロセッサによって提供され得る。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを表わすと解釈されるべきでなく、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)又はその他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、ソフトウェア格納用の読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、不揮発性記憶装置、ロジック部、又は、何らかの他の物理ハードウェアコンポーネント若しくはモジュールが黙示的に含まれてもよい。
【0051】
また、制御要素は、プロセッサ又はコンピュータによって実行可能な命令として実装されて、その要素の機能を実行することができる。指示命令の幾つかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。指示命令は、プロセッサによって実行されたときに、その要素の機能を実施するようプロセッサに指示するように動作可能である。指示命令は、プロセッサによって可読な記憶装置に格納され得る。記憶装置の幾つかの例は、デジタル若しくはソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学的に可読なデジタルデータ記憶媒体である。
【0052】
更に、本開示は以下の条項による実施例を含む。
条項1.
積層板を製造するための方法であって、前記積層板用の単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第1の組の層をレイアップすること、及び前記積層板用の編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第2の組の層をレイアップすることを含む、方法。
条項2.
前記積層板用の前記第2の組の層の前記レイアップ中に、前記第2の組の層を操縦することを更に含む、条項1に記載の方法。
条項3.
前記第1の組の層内の繊維のサイズが、前記第2の組の層内の繊維のサイズと等しい、条項1又は2に記載の方法。
条項4.
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウが、スプールから取り出される、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
条項5.
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウのそれぞれの中の繊維が、開いた編み模様を形成する、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
条項6.
前記第2の組の層をレイアップすることが、前記積層板が別の積層板と誘導加熱溶接されることになる場所で実行される、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
条項7.
前記第1の組の層及び前記第2の組の層をレイアップする間、前記第1の組の層及び前記第2の組の層を、前記熱可塑性材料の溶融温度まで加熱することを更に含む、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
条項8.
前記第1の組の層をレイアップする間、前記単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを第1のスプールから供給することを更に含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
条項9.
前記第2の組の層をレイアップする間、前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを第2のスプールから供給することを更に含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
条項10.
条項1から9のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
条項11.
プログラムされた指示命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記指示命令は、プロセッサによって実行されたときに、積層板を製造するための方法を実行するように動作可能であり、前記方法が、前記積層板用の単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第1の組の層をレイアップすること、及び前記積層板用の編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む第2の組の層をレイアップすることを含む、媒体。
条項12.
前記方法が、前記積層板用の前記第2の組の層の前記レイアップ中に、前記第2の組の層を操縦することを更に含む、条項11に記載の媒体。
条項13.
前記第1の組の層内の繊維のサイズが、前記第2の組の層内の繊維のサイズと等しい、条項11又は12に記載の媒体。
条項14.
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウが、スプールから取り出される、条項11から13のいずれか一項に記載の媒体。
条項15.
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウのそれぞれの中の繊維が、開いた編み模様を形成する、条項11から14のいずれか一項に記載の媒体。
条項16.
前記第2の組の層をレイアップすることが、前記積層板が別の積層板と誘導加熱溶接されることになる場所で実行される、条項11から15のいずれか一項に記載の媒体。
条項17.
前記方法が、前記第1の組の層及び前記第2の組の層をレイアップする間、前記第1の組の層及び前記第2の組の層を、前記熱可塑性材料の溶融温度まで加熱することを更に含む、条項11から16のいずれか一項に記載の媒体。
条項18.
前記第1の組の層をレイアップする間、前記単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを第1のスプールから供給することを更に含む、条項11から17のいずれか一項に記載の媒体。
条項19.
前記第2の組の層をレイアップする間、前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを第2のスプールから供給することを更に含む、条項11から18のいずれか一項に記載の媒体。
条項20.
条項11から19のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体に記憶された前記指示命令によって規定される前記方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
条項21.
積層板を製造するための装置であって、単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを保存する第1のスプール、前記積層板用の第1の組の層をレイアップする第1のエンドエフェクタであって、前記第1の組の層が、前記第1のスプール上に保存された前記単方向熱可塑性繊維強化材料のトウを含む、第1のエンドエフェクタ、編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを保存する第2のスプール、及び、前記積層板用の第2の組の層をレイアップする第2のエンドエフェクタであって、前記第2の組の層が、第2のスプール上に保存された前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを含む、第2のエンドエフェクタを備える、装置。
条項22.
レイアップ中に前記第1のエンドエフェクタ及び前記第2のエンドエフェクタを操作するコントローラであって、前記第2のエンドエフェクタが前記第2の組の層をレイアップしている間、前記第2の組の層を操縦するコントローラを更に備える、条項21に記載の装置。
条項23.
前記第1の組の層内の繊維のサイズが、前記第2の組の層内の繊維のサイズと等しい、条項21又は22に記載の装置。
条項24.
前記編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウのそれぞれの中の繊維が、開いた編み模様を形成する、条項21から23のいずれか一項に記載の装置。
条項25.
コントローラであって、前記第2のエンドエフェクタが、前記積層板が別の積層板と誘導加熱溶接されることになる場所で、前記第2の組の層をレイアップするように指示するコントローラを更に備える、条項21から24のいずれか一項に記載の装置。
条項26.
加熱器(142)であって、前記第1の組の層及び前記第2の組の層のレイアップ中、前記第1の組の層及び前記第2の組の層を、前記熱可塑性材料の溶融温度まで加熱する加熱器(142)を更に備える、条項21から25のいずれか一項に記載の装置。
条項27.
条項21から26のいずれか一項に記載の装置を使用して航空機の一部分を製造すること。
条項28.
プログラムされた指示命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記指示命令は、プロセッサによって実行されたときに、積層板を製造するための条項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するように動作可能である、媒体。
【0053】
条項A1.
編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを製造するための方法であって、マンドレルの周りに閉じた断面形状を形成する周囲を有する編み模様を形成するために、予め含浸された単方向材料の繊維を編み組むこと、前記周囲に沿った仮留め位置において前記予め含浸された繊維を仮留めすること、及び、前記仮留め位置同士の間の切断位置において前記編み模様を切断することであって、前記編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進み且つローラの後ろに配置されているナイフを用いて、前記編み模様を切断することを含む、方法。
条項A2.
前記編み組むことが、前記予め含浸された繊維を三次元で編み組むことを含む、条項A1に記載の方法。
条項A3.
前記閉じた断面形状が円形状である、条項A1又はA2に記載の方法。
条項A4.
前記予め含浸された繊維を加熱することが、前記予め含浸された繊維の温度を前記熱可塑性材料の溶融温度まで高めることを含む、条項A1からA3のいずれか一項に記載の方法。
条項A5.
前記編み模様を前記マンドレルから取り外すこと、前記編み模様を2つの切断縁部及び2つの側部を有する平面的な形状に平坦化すること、並びに、前記編み模様の第1の切断縁部をスプールと接触するように配置すること、前記編み模様の前記側部を巻き上げるように前記スプールを回転させること、及び前記編み模様の第2の切断縁部を前記スプールに配置することによって完了することによって、前記編み模様を前記スプール上に巻き付けることを更に含む、条項A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
条項A6.
前記編み模様を前記マンドレルから取り外すこと、前記編み模様を2つの切断縁部及び2つの側部を有する平面的な形状に平坦化すること、並びに、前記編み模様の第1の側部をスプールと接触するように配置すること、前記編み模様の前記切断縁部を巻き上げるように前記スプールを回転させること、及び前記編み模様の第2の側部を前記スプールに配置することによって完了することによって、前記編み模様を前記スプール上に巻き付けることを更に含む、条項A1からA5のいずれか一項に記載の方法。
条項A7.
前記編み模様が開いた編み模様を含む、条項A1からA6のいずれか一項に記載の方法。
条項A8.
仮留めすることが、前記編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進むローラを用いて、前記予め含浸された繊維を加熱及び圧密することによって実行される、条項A1からA7のいずれか一項に記載の方法。
条項A9.
前記編み模様が円筒形状の編み組み構造を含む、条項A1からA8のいずれか一項に記載の方法。
条項A10.
条項A1からA9のいずれか一項に記載の方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
条項A11.
プログラムされた指示命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記指示命令は、プロセッサによって実行されたときに、編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを製造するための方法を実行するように動作可能であり、前記方法が、マンドレルの周りに閉じた断面形状を形成する周囲を有する編み模様を形成するために、予め含浸された単方向材料の繊維を編み組むこと、前記周囲に沿った仮留め位置において前記予め含浸された繊維を仮留めすること、及び、前記仮留め位置同士の間の切断位置において前記編み模様を切断することであって、前記編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進み且つローラの後ろに配置されているナイフを用いて、前記編み模様を切断することを含む、媒体。
条項A12.
前記編み組むことが、前記予め含浸された繊維を三次元で編み組むことを含む、条項A11に記載の媒体。
条項A13.
前記閉じた断面形状が円形状である、条項A11又はA12に記載の媒体。
条項A14.
前記予め含浸された繊維を加熱することが、前記予め含浸された繊維の温度を前記熱可塑性材料の溶融温度まで高めることを含む、条項A11からA13のいずれか一項に記載の媒体。
条項A15.
前記方法が、前記編み模様を前記マンドレルから取り外すこと、前記編み模様を2つの切断縁部及び2つの側部を有する平面的な形状に平坦化すること、並びに、前記編み模様の第1の切断縁部をスプールと接触するように配置すること、前記編み模様の前記側部を巻き上げるように前記スプールを回転させること、及び前記編み模様の第2の切断縁部を前記スプールに配置することによって完了することによって、前記編み模様をスプール上に巻き付けることを更に含む、条項A11からA14のいずれか一項に記載の媒体。
条項A16.
前記方法が、前記編み模様を前記マンドレルから取り外すこと、前記編み模様を2つの切断縁部及び2つの側部を有する平面的な形状に平坦化すること、並びに、前記編み模様の第1の側部をスプールと接触するように配置すること、前記編み模様の前記切断縁部を巻き上げるように前記スプールを回転させること、及び前記編み模様の第2の側部を前記スプールに配置することによって完了することによって、前記編み模様を前記スプール上に巻き付けることを更に含む、条項A11からA15のいずれか一項に記載の媒体。
条項A17.
前記編み模様が開いた編み模様を含む、条項A11からA16いずれか一項に記載の媒体。
条項A18.
仮留めすることが、前記編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進むローラを用いて、前記予め含浸された繊維を加熱及び圧密することによって実行される、条項A11からA17のいずれか一項に記載の媒体。
条項A19.
前記編み模様が円筒形状の編み組み構造を含む、条項A11からA18のいずれか一項に記載の媒体。
条項A20.
条項A11からA19のいずれか一項に記載のコンピュータ可読媒体に記憶された前記指示命令によって規定される前記方法に従って組み立てられた航空機の一部分。
条項A21.
編み組み熱可塑性繊維強化材料のトウを製造するための装置であって、ローラであって、円筒形状マンドレルにおいてレイアップされた単方向材料の編み組まれた予め含浸された繊維の編み模様の周囲に沿った仮留め位置に熱及び圧力を印加し、前記編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進むローラ、及び、前記仮留め位置同士の間の切断位置において編み模様を切断し、前記編み模様の長さに沿ったプロセス方向に進み、前記ローラの後ろに配置されているナイフを備える、装置。
条項A22.
前記ローラを前記編み模様内の熱可塑性材料の溶融温度まで加熱する加熱器を更に備える、条項A21に記載の装置。
条項A23.
前記編み模様が切断された後で、前記編み模様を巻き上げるスプールを更に備える、条項A21又はA22に記載の装置。
条項A24.
前記編み模様が、前記予め含浸された繊維の三次元編み組みを含む、条項A21からA23のいずれか一項に記載の装置。
条項A25.
前記円筒形状マンドレルを更に備え、前記編み模様の前記外周が、前記マンドレルの周りの閉じた断面形状を形成する、条項A21からA24のいずれか一項に記載の装置。
条項A26.
前記閉じた断面形状が円形状である、条項A25に記載の装置。
条項A27.
前記編み模様が開いた編み模様を含む、条項A21からA26いずれか一項に記載の装置。
条項A28.
前記編み模様が円筒形状の編み組み構造を含む、条項A21からA27のいずれか一項に記載の装置。
条項A29.
条項A21からA28のいずれか一項に記載の装置を使用して航空機の一部分を製造すること。
条項A30.
プログラムされた指示命令を具現化する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記指示命令は、プロセッサによって実行されたときに、積層板を製造するための条項A1からA9のいずれか一項に記載の方法を実行するように動作可能である、媒体。
【0054】
特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示の範囲は、これらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそのいずれの均等物により定められる。