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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】部品実装装置及び部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
H05K13/04 M
H05K13/04 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020119641
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016745
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 功栄
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/075316(WO,A1)
【文献】特開2015-153914(JP,A)
【文献】特開2013-187271(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179429(WO,A1)
【文献】特開2014-204058(JP,A)
【文献】特開2018-107315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0004160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に固定される支柱と、
部品を供給位置に供給する部品供給装置と、
前記基台に支持され、基板を処理位置に搬送する基板支持装置と、
前記部品を着脱可能に保持する複数のノズルを有し、ガイド部材を介して前記支柱に支持され、前記供給位置において前記ノズルで部品を保持した後に前記処理位置に移動して基板に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドに設けられ、前記実装ヘッドにより基板に実装された部品の実際の位置である実装位置を検出する部品検出装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記実装ヘッドの動作パラメータを取得する動作パラメータ取得部と、
前記部品検出装置により検出された前記実装位置と目標位置とのずれ量を示す実装ずれ量を算出する実装ずれ量算出部と、
前記動作パラメータと前記実装ずれ量との関係を示す学習データに基づいて、前記動作パラメータを入力とし前記実装位置と前記目標位置とのずれ量を出力とする学習モデルを生成する学習モデル生成部と、
前記動作パラメータを前記学習モデルに入力して、前記実装位置と前記目標位置とのずれ量の推定値を示す推定ずれ量を出力する推定部と、
前記推定ずれ量に基づいて、前記部品が前記目標位置に実装されるように、前記実装ヘッドを動作させる動作指令を出力する動作指令部と、を有する
部品実装装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記部品を前記基板に実装する手順を示すコンピュータプログラムである生産プログラムを記憶する生産プログラム記憶部を有し、
前記動作パラメータ取得部は、前記生産プログラム記憶部から前記動作パラメータを取得する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記動作パラメータは、前記生産プログラム記憶部に記憶されている前記生産プログラムに記述されている前記目標位置を含む、
請求項に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記供給位置と前記処理位置との間に設定された認識位置において、前記ノズルに保持され前記基板に実装される前の部品を認識する部品認識装置を備え、
前記動作パラメータ取得部は、前記部品認識装置から前記動作パラメータを取得する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記動作パラメータは、前記認識位置、前記供給位置、又はアライメンマーク検出位置から前記目標位置までの前記実装ヘッドの移動距離、移動速度、及び移動方向を含む移動条件を含む、
請求項に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記推定部から出力された前記推定ずれ量に基づいて、前記部品を前記目標位置に実装するための補正量を算出する補正量算出部を有し、
前記動作パラメータ取得部は、前記補正量算出部から前記動作パラメータを取得する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項7】
記動作パラメータは、前記部品を前記基板に実装するときの前記ノズルの移動条件を含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記動作パラメータは、前記ノズルによる前記部品の保持条件を含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記供給位置と前記処理位置との間に設定された認識位置において、前記ノズルに保持され前記基板に実装される前の部品を認識する部品認識装置を備え、
前記ノズルは、前記部品の上面を吸着し、
前記保持条件は、前記部品認識装置により検出された前記ノズルの吸着位置と前記上面の中心位置とのずれ量を示す吸着ずれ量を含む、
請求項に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記ノズルが前記部品を吸着したときの吸着圧を検出する圧力センサを備え、
前記ノズルは、前記部品の上面を吸着し、
前記保持条件は、前記圧力センサにより検出された前記部品を吸着したときの吸着圧を含む、
請求項に記載の部品実装装置。
【請求項11】
前記実装ヘッドは、複数の前記ノズルを有し、
前記動作パラメータ取得部は、複数の前記ノズルのそれぞれに係る前記動作パラメータを取得する、
請求項から請求項10のいずれか一項に記載の部品実装装置。
【請求項12】
記動作パラメータは、前記部品認識装置における前記部品の移動条件を含む、
請求項に記載の部品実装装置。
【請求項13】
基台と、
前記基台に固定される支柱と、
部品を供給位置に供給する部品供給装置と、
前記基台に支持され、基板を処理位置に搬送する基板支持装置と、
前記部品を着脱可能に保持する複数のノズルを有し、ガイド部材を介して前記支柱に支持され、前記供給位置において前記ノズルで部品を保持した後に前記処理位置に移動して基板に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドに設けられ、前記実装ヘッドにより基板に実装された部品の実際の位置である実装位置を検出する部品検出装置と、
制御装置と、を備える、部品実装装置を用いる部品実装方法であって、
前記実装ヘッドの動作パラメータを取得することと、
前記部品検出装置により検出された前記実装位置と目標位置とのずれ量を示す実装ずれ量を算出することと、
前記動作パラメータと前記実装ずれ量との関係を示す学習データに基づいて、前記動作パラメータを入力とし前記実装位置と前記目標位置とのずれ量を出力とする学習モデルを生成することと、
前記動作パラメータを前記学習モデルに入力して、前記実装位置と前記目標位置とのずれ量の推定値を示す推定ずれ量を出力することと、
前記推定ずれ量に基づいて、前記部品が前記目標位置に実装されるように、前記実装ヘッドを動作させることと、を含む、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装装置及び部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの生産工程において、特許文献1に開示されているような部品実装装置が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-013819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装装置は、基板の目標位置に部品を実装する。部品の実装位置(実際の位置)と目標位置とがずれる可能性がある。そのため、実装位置と目標位置とのずれ量を算出するキャリブレーション処理が実施される。キャリブレーション処理においては、専用の治具に部品が実装される。治具に実装された部品の撮像結果に基づいて、実装位置と目標位置とのずれ量が算出される。キャリブレーション処理が実施される期間においては、部品実装装置は、部品を基板に実装する実装処理を実施することができない。そのため、部品実装装置の可動率が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、実装位置と目標位置とのずれ量を効率良く導出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、実装ヘッドの動作パラメータを取得する動作パラメータ取得部と、前記実装ヘッドにより基板に実装された部品の実装位置と目標位置とのずれ量を示す実装ずれ量を算出する実装ずれ量算出部と、前記動作パラメータと前記実装ずれ量との関係を示す学習データに基づいて、前記動作パラメータを入力とし前記実装位置と前記目標位置とのずれ量を出力とする学習モデルを生成する学習モデル生成部と、前記動作パラメータを前記学習モデルに入力して、前記実装位置と前記目標位置とのずれ量の推定値を示す推定ずれ量を出力する推定部と、前記推定ずれ量に基づいて、前記部品が前記目標位置に実装されるように、前記実装ヘッドを動作させる動作指令を出力する動作指令部と、を備える、部品実装装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、実装位置と目標位置とのずれ量を効率良く導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る部品実装装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、実施形態に係る部品実装装置を模式的に示す平面図である。
図3図3は、実施形態に係るノズルを示す側面図である。
図4図4は、実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る実装ヘッドの動作パラメータを説明するための模式図である。
図6図6は、実施形態に係る実装ヘッドの動作パラメータを説明するための模式図である。
図7図7は、実施形態に係る実装ヘッドの動作パラメータを説明するための模式図である。
図8図8は、実施形態に係る実装ヘッドの動作パラメータを説明するための模式図である。
図9図9は、実施形態に係る部品検出装置を示す模式図である。
図10図10は、実施形態に係る学習フェーズを示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る実装フェーズを示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、XYZ直交座標系を設定し、XYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、部品実装装置1に設定されたローカル座標系である。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する所定面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸を中心とする回転又は傾斜方向をθX方向とする。Y軸を中心とする回転又は傾斜方向をθY方向とする。Z軸を中心とする回転又は傾斜方向をθZ方向とする。所定面は水平面と平行である。Z軸方向は上下方向である。なお、所定面は水平面に対して傾斜してもよい。また、以下の説明においては、所定面を適宜、XY平面、と称する。
【0011】
[部品実装装置]
図1は、実施形態に係る部品実装装置1を模式的に示す側面図である。図2は、実施形態に係る部品実装装置1を模式的に示す平面図である。部品実装装置1は、クリーム半田が印刷された基板Wに部品Cを実装する。
【0012】
部品実装装置1は、基台11と、支柱12と、部品供給装置2と、基板支持装置3と、ノズル4を有する実装ヘッド5と、ノズル移動装置6と、ヘッド移動装置7と、部品認識装置8と、部品検出装置9と、制御装置10とを備える。
【0013】
基台11は、部品実装装置1が使用される産業施設の床面に設置される。XY平面内において、基台11は、X軸方向に長い。基台11の上面の外形は、矩形状である。支柱12は、基台11の上面から上方に突出する。支柱12は、基台11に固定される。実施形態において、支柱12は、基台11の上面の四隅のそれぞれに配置される。
【0014】
部品供給装置2は、部品Cを供給する。部品実装装置1に供給位置APが設定される。部品供給装置2は、部品Cを供給位置APに供給する。部品供給装置2は、複数のテープフィーダを含む。テープフィーダは、部品Cを保持するテープが巻かれるリールと、リールに巻かれているテープを繰り出す駆動装置とを有する。駆動装置は、テープに保持されている部品Cが供給位置APに移動するようにテープを繰り出す。なお、部品供給装置2は、部品Cを保持するトレイを含んでもよい。
【0015】
基板支持装置3は、基板Wを支持する。部品実装装置1に処理位置BPが設定される。基板支持装置3は、処理位置BPにおいて基板Wを支持する。基板支持装置3は、基台11に支持される。基板支持装置3は、基板Wを処理位置BPに搬送する基板搬送装置と、処理位置BPに搬送された基板Wを支持する基板支持部材とを含む。基板搬送装置は、基板WをX軸方向に搬送するコンベアと、基板WをX軸方向にガイドするガイド部材とを含む。基板支持部材は、基板Wの表面とXY平面とが平行となるように、基板Wを支持する。
【0016】
ノズル4は、部品Cを着脱可能に保持する。ノズル4は、部品Cの上面を吸着する吸着ノズルである。ノズル4の先端部に開口が設けられる。ノズル4の開口は、真空システムと接続される。ノズル4の先端部と部品Cの上面とが接触した状態で、ノズル4の開口の吸引動作が実行されることにより、ノズル4の先端部に部品Cが吸着保持される。ノズル4の開口の吸引動作が解除されることにより、ノズル4から部品Cが解放される。
【0017】
実装ヘッド5は、複数のノズル4を有する。実装ヘッド5は、ノズル4に保持された部品Cを基板Wに実装する。実装ヘッド5は、供給位置APと処理位置BPとの間を移動可能である。XY平面内において、供給位置APと実装位置BPとは異なる位置に設定される。実装ヘッド5は、供給位置APに移動して、部品供給装置2から供給された部品Cをノズル4で保持する。実装ヘッド5は、供給位置APにおいてノズル4で部品Cを保持した後に、処理位置BPに移動して、基板支持装置3に支持されている基板Wに実装する。
【0018】
実装ヘッド5は、ノズル4が装着されるシャフト5Sを有する。ノズル4は、シャフト5Sの下端部に装着される。
【0019】
ノズル移動装置6は、ノズル4をZ軸方向及びθZ方向のそれぞれに移動する。ノズル移動装置6は、実装ヘッド5に設けられたアクチュエータを含む。ノズル移動装置6は、複数のノズル4のそれぞれに設けられる。ノズル移動装置6は、シャフト5SをZ軸方向及びθZ方向に移動することにより、ノズル4をZ軸方向及びθZ方向に移動する。
【0020】
ヘッド移動装置7は、実装ヘッド5をX軸方向及びY軸方向のそれぞれに移動する。ヘッド移動装置7は、実装ヘッド5をX軸方向に移動するX軸移動装置13と、実装ヘッド5をY軸方向に移動するY軸移動装置14とを有する。
【0021】
X軸移動装置13は、X軸方向に延伸するガイド部材13Aと、実装ヘッド5をX軸方向に移動させる動力を発生するアクチュエータ13Bとを含む。実装ヘッド5は、ガイド部材13Aに支持される。ガイド部材13Aは、実装ヘッド5をX軸方向にガイドする。アクチュエータ13Bの少なくとも一部は、実装ヘッド5とガイド部材13Aとの間に配置される。実装ヘッド5は、ガイド部材13Aにガイドされながら、アクチュエータ13Bが発生する動力により、X軸方向に移動する。
【0022】
Y軸移動装置14は、一対のガイド部材14Aと、ガイド部材13AをY軸方向に移動させる動力を発生するアクチュエータ14Bとを含む。一方のガイド部材14Aは、基台11の+X側の端部に配置されている2つの支柱12に支持される。他方のガイド部材14Aは、基台11の-X側の端部に配置されている2つの支柱12に支持される。ガイド部材13Aの+X側の端部は、一方のガイド部材14Aに支持される。ガイド部材13Aの-X側の端部は、他方のガイド部材14Aに支持される。ガイド部材14Aは、ガイド部材13AをY軸方向にガイドする。アクチュエータ14Bの少なくとも一部は、ガイド部材13Aとガイド部材14Aとの間に配置される。ガイド部材13Aは、ガイド部材14Aにガイドされながら、アクチュエータ14Bが発生する動力により、Y軸方向に移動する。ガイド部材13AがY軸方向に移動することにより、実装ヘッド5がY軸方向に移動する。
【0023】
ノズル4は、ノズル移動装置6及びヘッド移動装置7により、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動可能である。ノズル4が移動することにより、ノズル4に保持されている部品Cも、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθZ方向の4つの方向に移動可能である。
【0024】
部品認識装置8は、ノズル4に保持されている部品Cを認識する。部品実装装置1に認識位置CPが設定される。部品認識装置8は、認識位置CPにおいて部品Cを認識する。認識位置CPは、供給位置APと処理位置BPとの間に設定される。部品認識装置8は、撮像装置を含む。部品認識装置8は、供給位置APにおいてノズル4に保持され、基板Wに実装される前の部品Cを認識する。部品認識装置8は、部品Cの形状、及びノズル4による部品Cの保持状態を認識する。
【0025】
部品検出装置9は、基板Wに実装された部品Cを検出する。部品検出装置9は、実装ヘッド5に設けられる。部品検出装置9は、撮像装置を含む。部品検出装置9は、複数のノズル4に対応するように、複数設けられる。部品検出装置9は、基板Wに実装された部品Cの実装位置DPを検出する。部品Cの実装位置DPとは、基板Wの表面に実装された部品Cの実際の位置をいう。部品Cの実装位置DPは、XYZ直交座標系において規定される座標の位置である。
【0026】
制御装置10は、コンピュータシステムを含む。制御装置10は、実装ヘッド5を動作させる動作指令を出力する。制御装置10は、部品Cを基板Wに実装する手順を示す生産プログラムを記憶する。制御装置10は、生産プログラムに基づいて、実装ヘッド5を動作させる動作指令を出力する。
【0027】
[ノズル]
図3は、実施形態に係るノズル4を示す側面図である。図3に示すように、ノズル4は、シャフト5Sに連結される連結部41と、連結部41に接続される第1ボディ部42と、フランジ部43を介して第1ボディ部42に接続される第2ボディ部44と、部品Cを保持する保持部45とを有する。
【0028】
シャフト5Sは、パイプ状である。連結部41は、柱状である。連結部41は、シャフト5Sの内部に挿入される。第1ボディ部42は、連結部41の下部に接続される。フランジ部43は、第1ボディ部42の下部に接続される。第2ボディ部44は、フランジ部43の下部に接続される。フランジ部43は、第1ボディ部42と第2ボディ部44との境界に設けられる。真空システムと接続される開口は、保持部45の下端部に設けられる。真空システムと保持部45の開口とは、シャフト5Sの内部空間を介して接続される。
【0029】
ノズル4は、部品Cの上面の吸着位置EPを吸着する。ノズル4の吸着位置EPとは、部品Cの上面においてノズル4に吸着された位置をいう。すなわち、ノズル4の吸着位置EPとは、部品Cの上面において保持部45の下端部が接触した位置をいう。制御装置10は、部品Cの上面の中心位置FPがノズル4に吸着されるように制御する。
【0030】
実装ヘッド5は、ノズル4が部品Cを吸着したときの吸着圧を検出する圧力センサ15を有する。圧力センサ15は、例えばシャフト5Sの内部空間に配置される。吸着圧とは、ノズル4が部品Cを吸着しているときの真空システムと保持部45の開口との間の圧力をいう。吸着圧は、負圧である。
【0031】
[制御装置]
図4は、実施形態に係る制御装置10を示す機能ブロック図である。図4に示すように、制御装置10は、ノズル移動装置6及びヘッド移動装置7を含む実装ヘッド5、部品認識装置8、部品検出装置9、及び圧力センサ15のそれぞれと接続される。
【0032】
制御装置10は、生産プログラム記憶部21と、動作パラメータ取得部22と、実装ずれ量算出部23と、学習モデル生成部24と、学習モデル記憶部25と、推定部26と、補正量算出部27と、動作指令部28とを有する。
【0033】
生産プログラム記憶部21は、生産プログラムを記憶する。生産プログラムとは、部品Cを基板Wに実装する手順を示すコンピュータプログラムをいう。
【0034】
動作パラメータ取得部22は、実装ヘッド5の動作パラメータを取得する。動作パラメータとは、実装ヘッド5の動作を特定するパラメータをいう。
【0035】
図5は、実施形態に係る実装ヘッド5の動作パラメータを説明するための模式図である。動作パラメータは、生産プログラムにより規定される動作指令、部品認識装置8の検出データ、圧力センサ15の検出データ、及び制御装置10の算出データを含む。動作パラメータ取得部22は、生産プログラム記憶部21から動作パラメータの少なくとも一部を取得する。動作パラメータ取得部22は、部品認識装置8から動作パラメータの少なくとも一部を取得する。動作パラメータ取得部22は、圧力センサ15から動作パラメータの少なくとも一部を取得する。動作パラメータ取得部22は、補正量算出部27から動作パラメータの少なくとも一部を取得する。
【0036】
実施形態において、動作パラメータは、基板Wに実装される部品Cの目標位置GP、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件、部品Cを基板Wに実装するときのノズル4の移動条件、ノズル4による部品Cの保持条件、部品認識装置8における部品Cの移動条件、及び補正量算出部27により算出される補正量を含む。
【0037】
図6は、実施形態に係る実装ヘッド5の動作パラメータを説明するための模式図である。図6に示すように、部品Cの目標位置GPとは、基板Wの表面に実装される部品Cの目標の位置をいう。部品Cの目標位置GPは、XYZ直交座標系において規定される座標の位置である。部品Cの目標位置GPは、生産プログラムに記述されている。すなわち、部品Cの目標位置GPは、動作指令に基づいて規定される。
【0038】
図6に示すように、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件は、認識位置CP又は供給位置APから目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件を含む。また、実装ヘッド5にアライメント装置(不図示)が設けられ、基板Wに設けられているアライメントマークが設けられている場合において、実装ヘッド5がアライメント装置でアライメントマークを検出してから目標位置GPまで移動する場合、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件は、アライメントマーク検出位置から目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件を含む。目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件は、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動距離、移動速度、及び移動方向を含む。移動距離は、実装ヘッド5のX軸方向の移動距離及びY軸方向の移動距離を含む。移動速度は、実装ヘッド5のX軸方向の移動速度及びY軸方向の移動速度を含む。移動方向は、認識位置CP又は供給位置APから目標位置GPまでのXY平面内における実装ヘッド5の移動方向である。目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件は、生産プログラムに記述されている。すなわち、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件は、動作指令に基づいて規定される。
【0039】
図7は、実施形態に係る実装ヘッド5の動作パラメータを説明するための模式図である。図7に示すように、部品Cを基板Wに実装するときのノズル4の移動条件は、部品Cを基板Wに実装するまでのZ軸方向におけるノズル4の移動距離及び移動速度を含む。また、部品Cを基板Wに実装するときのノズル4の移動条件は、θZ方向におけるノズル4の回転角度を含む。部品Cを基板Wに実装するときのノズル4の移動条件は、生産プログラムに記述されている。すなわち、部品Cを基板Wに実装するときのノズル4の移動条件は、動作指令に基づいて規定される。
【0040】
図8は、実施形態に係る実装ヘッド5の動作パラメータを説明するための模式図である。図8に示すように、ノズル4による部品Cの保持条件は、ノズル4の吸着位置EPと部品Cの上面の中心位置FPとのずれ量を示す吸着ずれ量ΔBを含む。吸着ずれ量ΔBは、部品認識装置8により検出される。すなわち、吸着ずれ量ΔBは、部品認識装置8の検出データに基づいて規定される。
【0041】
ノズル4による部品Cの保持条件は、ノズル4が部品Cを吸着したときの吸着圧を含む。吸着圧は、圧力センサ15により検出される。すなわち、吸着圧は、圧力センサ15の検出データに基づいて規定される。
【0042】
ノズル4に保持されている部品Cを部品認識装置8に認識させる場合、実装ヘッド5は、認識位置CPにおいて部品Cを移動させる。部品認識装置8における部品Cの移動条件は、認識位置CPにおける部品Cの移動距離、移動速度、及び移動方向を含む。部品認識装置8における部品Cの移動条件は、生産プログラムに記述されている。すなわち、部品認識装置8における部品Cの移動条件は、動作指令に基づいて規定される。
【0043】
実装ずれ量算出部23は、実装ヘッド5により基板Wに実装された部品Cの実装位置DPと目標位置GPとのずれ量を示す実装ずれ量ΔMを算出する。上述のように、部品Cの実装位置DPとは、基板Wの表面に実装された部品Cの実際の位置をいう。部品Cの目標位置GPとは、基板Wの表面に実装される部品Cの目標の位置をいう。部品Cの実装位置DPは、部品検出装置9により検出される。部品Cの目標位置GPは、生産プログラムに記述されている。実装ずれ量算出部23は、部品検出装置9の検出データと生産プログラムとに基づいて、実装ずれ量ΔMを算出する。
【0044】
図9は、実施形態に係る部品検出装置9を示す模式図である。部品検出装置9は、撮像装置を含む。部品検出装置9は、実装ヘッド5に設けられる。部品検出装置9は、基板Wに実装された部品CのXYZ直交座標系における実装位置DPを検出する。
【0045】
学習モデル生成部24は、実装ヘッド5の動作パラメータと実装ずれ量ΔMとの関係を示す学習データに基づいて、実装ヘッド5の動作パラメータを入力とし実装位置DPと目標位置GPとのずれ量を出力とする学習モデルを生成する。すなわち、学習モデル生成部24は、動作パラメータ取得部22により取得された動作パラメータと実装ずれ量算出部23により算出された実装ずれ量ΔMとに基づいて、機械学習を実行する。学習モデル生成部24は、動作パラメータ及び実装ずれ量ΔMに基づいて機械学習を実行して、学習モデルを生成する。
【0046】
学習モデル記憶部25は、学習モデル生成部24により生成された学習モデルを記憶する。
【0047】
推定部26は、実装ヘッド5の動作パラメータを学習モデルに入力して、実装位置DPと目標位置GPとのずれ量の推定値を示す推定ずれ量ΔMeを算出する。推定部26は、算出した推定ずれ量ΔMeを出力する。動作パラメータ取得部22から推定部26に実装ヘッド5の動作パラメータが送信される。学習モデル生成部24から推定部26に学習モデルが送信される。推定部26は、動作パラメータ取得部22により取得された動作パラメータを、学習モデル生成部24により生成された学習モデルに入力して、推定ずれ量ΔMeを出力する。
【0048】
補正量算出部27は、推定部26から出力された推定ずれ量ΔMeに基づいて、部品Cを目標位置GPに実装するための補正量を算出する。補正量は、XY平面内における実装ヘッド5の位置に係る補正量である。
【0049】
動作指令部28は、推定部26から出力された推定ずれ量ΔMeと、生産プログラム記憶部21に記憶されている生産プログラムとに基づいて、部品Cが目標位置GPに実装されるように、実装ヘッド5を動作させる動作指令を出力する。実施形態において、動作指令部28は、補正量算出部27により算出された補正量に基づいて、生産プログラムに記述されている動作指令を補正し、補正した動作指令を実装ヘッド5に出力する。
【0050】
上述のように、実装ヘッド5は、複数のノズル4を有する。実施形態において、動作パラメータ取得部22は、複数のノズル4のそれぞれに係る動作パラメータを取得する。推定部26は、複数のノズル4のそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを出力する。補正量算出部27は、複数のノズル4のそれぞれについて、部品Cを目標位置GPに実装するための補正量を算出する。動作指令部28は、複数のノズル4のそれぞれが部品Cを目標位置GPに実装するように、動作指令を出力する。
【0051】
[学習フェーズ]
図10は、実施形態に係る学習フェーズを示すフローチャートである。学習フェーズにおいて、動作パラメータを入力とし実装位置DPと目標位置GPとのずれ量を出力とする学習モデルが生成される。
【0052】
部品実装装置1の実装処理において、動作パラメータ取得部22は、実装ヘッド5の動作パラメータを取得する。また、部品実装装置1の実装処理において、実装ずれ量算出部23は、生産プログラムと部品検出装置9の検出データとに基づいて、実装ずれ量ΔMを算出する。部品実装装置1の実装処理とは、実装ヘッド5により部品Cを基板Wに実装する処理をいう。すなわち、部品実装装置1の実装処理は、電子デバイスを生産する処理である。
【0053】
学習モデル生成部24は、動作パラメータ取得部22から動作パラメータを取得する。また、学習モデル生成部24は、実装ずれ量算出部23から実装ずれ量ΔMを取得する。学習モデル生成部24は、動作パラメータ及びその動作パラメータに基づいて部品Cが実装されたときの実装ずれ量ΔMを含む学習データを取得する(ステップSA1)。
【0054】
学習モデル生成部24は、ステップSA1において取得した学習データに基づいて、機械学習を実行する(ステップSA2)。機械学習アルゴリズムとして、ニューラルネットワーク(Neural Network)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、決定木(Decision Tree)、及びランダムフォレスト(Random Forest)、ブーティング(Booting)、及びサポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)の少なくとも一つが例示される。
【0055】
学習モデル生成部24は、機械学習を実行することにより、動作パラメータを入力とし実装位置DPと目標位置GPとのずれ量を出力とする学習モデルを生成する(ステップSA3)。
【0056】
学習モデル生成部24は、ステップSA3で生成した学習モデルを学習モデル記憶部25に記憶させる(ステップSA4)。
【0057】
[実装フェーズ]
図11は、実施形態に係る実装フェーズを示すフローチャートである。実装フェーズにおいて、動作パラメータを学習モデルに入力して、実装位置DPと目標位置GPとのずれ量の推定値を示す推定ずれ量ΔMeが出力される。
【0058】
部品実装装置1の実装処理において、動作パラメータ取得部22は、実装ヘッド5の動作パラメータを取得する(ステップSB1)。
【0059】
推定部26は、ステップSB1において取得した動作パラメータを、学習モデル記憶部25に記憶されている学習モデルに入力して、実装位置DPと目標位置RPとのずれ量の推定値を示す推定ずれ量ΔMeを出力する(ステップSB2)。
【0060】
補正量算出部27は、ステップSB2において出力された推定ずれ量ΔMeに基づいて、部品Cを目標位置GPに実装するための補正量を算出する(ステップSB3)。
【0061】
動作指令部28は、推定部26から出力された推定ずれ量ΔMeと、生産プログラム記憶部21に記憶されている生産プログラムとに基づいて、部品Cが目標位置GPに実装されるように、実装ヘッド5を動作させる動作指令を出力する。実施形態において、動作指令部28は、ステップSB3において算出された補正量に基づいて、生産プログラムに記述されている動作指令を補正し、補正した動作指令を実装ヘッド5に出力する(ステップSB4)。
【0062】
これにより、基板Wの表面の目標位置GPに部品Cが実装される。
【0063】
実装ヘッド5は、複数のノズル4を有する。実施形態において、動作パラメータ取得部22は、複数のノズル4のそれぞれに係る動作パラメータを取得する。推定部26は、複数のノズル4のそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを出力する。補正量算出部27は、複数のノズル4のそれぞれについて、部品Cを目標位置GPに実装するための補正量を算出する。動作指令部28は、複数のノズル4のそれぞれで部品Cが目標位置GPに実装されるように、動作指令を出力する。
【0064】
[コンピュータシステム]
図12は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置10は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。制御装置10の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0065】
コンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、実装ヘッド5の動作パラメータを取得することと、実装ヘッド5により基板Wに実装された部品Cの実装位置DPと目標位置GPとのずれ量を示す実装ずれ量ΔMを算出することと、動作パラメータと実装ずれ量ΔMとの関係を示す学習データに基づいて、動作パラメータを入力とし実装位置DPと目標位置GPとのずれ量を出力とする学習モデルを生成することと、動作パラメータを学習モデルに入力して、実装位置DPと目標位置GPとのずれ量の推定値を示す推定ずれ量ΔMeを出力することと、推定ずれ量ΔMeに基づいて、部品Cが目標位置GPに実装されるように、実装ヘッド5を動作させることと、を実行させることができる。
【0066】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、学習フェーズにおいて、実装ヘッド5の動作パラメータと実装ずれ量ΔMとの関係を示す学習データに基づいて、動作パラメータを入力とし実装位置DPと目標位置GPとのずれ量を出力とする学習モデルが生成される。実装フェーズにおいて、動作パラメータを学習モデルに入力して、実装位置DPと目標位置GPとのずれ量の推定値を示す推定ずれ量ΔMeが算出される。算出された推定ずれ量ΔMeに基づいて、部品Cが目標位置GPに実装されるように、実装ヘッド5が制御される。実装ヘッド5の動作パラメータは、部品実装装置1の実装処理において取得される。そのため、部品実装装置1の実装処理を停止しなくても、実装位置DPと目標位置GPとの推定ずれ量ΔMeが効率良く導出される。したがって、部品実装装置1の可動率の低下が抑制される。
【0067】
動作パラメータは、部品Cの目標位置GPを含む。上述のように、部品Cの目標位置GPは、XYZ直交座標系において規定される座標の位置である。実装ヘッド5は、部品Cを基板Wに実装する場合、目標位置GPの上方に配置される。XYZ直交座標系における実装ヘッド5の位置に基づいて、例えば基台11又は支柱12の変形状態が変化したり、基台11又は支柱12の振動状態が変化したり、基台11又は支柱12の重量バランスが変化したりする可能性がある。変形状態の変化、振動状態の変化、又は重量バランスの変化により、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。すなわち、目標位置GPに基づいて、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。
【0068】
例えば、基板Wの中央部に目標位置GPが設定されている場合と、基板Wの周縁部に目標位置GPが設定されている場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、基板Wの周縁部に目標位置GPが設定されている場合の実装ずれ量ΔMは、基板Wの中央に目標位置GPが設定されている場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0069】
また、アライメントマークに近い位置に目標位置GPが設定されている場合と、アライメントマークから遠い位置に目標位置GPが設定されている場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、アライメントマークから遠い位置に目標位置GPが設定されている場合の実装ずれ量ΔMは、アライメントマークに近い位置に目標位置GPが設定されている場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0070】
動作パラメータが部品Cの目標位置GPを含むことにより、推定部26は、異なる目標位置GPのそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを適正に算出することができる。補正量算出部27は、異なる目標位置GPのそれぞれについて、補正量を適正に算出することができる。したがって、動作指令部28は、異なる目標位置GPのそれぞれに、部品Cを適正に実装させることができる。
【0071】
動作パラメータは、部品Cの目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動条件を含む。実装ヘッド5の移動条件は、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動距離、移動速度、及び移動方向を含む。実装ヘッド5の移動条件に基づいて、例えば基台11又は支柱12の変形状態が変化したり、基台11又は支柱12の振動状態が変化したり、基台11又は支柱12の重量バランスが変化したりする可能性がある。変形状態の変化、振動状態の変化、又は重量バランスの変化により、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。すなわち、実装ヘッド5の移動条件に基づいて、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。
【0072】
例えば、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動距離が、第1移動距離の場合と、第1移動距離よりも長い第2移動距離の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、実装ヘッド5の移動距離が第2移動距離の場合の実装ずれ量ΔMは、実装ヘッド5の移動距離が第1移動距離の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0073】
また、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動速度が、第1移動速度の場合と、第1移動速度よりも高い第2移動速度の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、実装ヘッド5の移動速度が第2移動速度の場合の実装ずれ量ΔMは、実装ヘッド5の移動速度が第1移動速度の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0074】
また、目標位置GPまでの実装ヘッド5の移動方向が、X軸方向の場合と、Y軸方向の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、実装ヘッド5の移動方向がX軸方向の場合の実装ずれ量ΔMは、実装ヘッド5の移動方向がY軸方向の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0075】
動作パラメータが実装ヘッド5の移動条件を含むことにより、推定部26は、実装ヘッド5の異なる移動条件のそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを適正に算出することができる。補正量算出部27は、実装ヘッド5の異なる移動条件のそれぞれについて、補正量を適正に算出することができる。したがって、動作指令部28は、実装ヘッド5の異なる移動条件のそれぞれで、部品Cを目標位置GPに適正に実装させることができる。
【0076】
動作パラメータは、部品Cを基板Wに実装するときのノズル4の移動条件を含む。ノズル4の移動条件は、部品Cを基板Wに実装するまでのZ軸方向におけるノズル4の移動距離及び移動速度を含む。また、部品Cを基板Wに実装するときのノズル4の移動条件は、θZ方向におけるノズル4の回転角度を含む。ノズル4の移動条件に基づいて、例えばノズル4又はシャフト5Sの変形状態が変化したり、ノズル4又はシャフト5Sの振動状態が変化したりする可能性がある。変形状態の変化又は振動状態の変化により、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。すなわち、ノズル4の移動条件に基づいて、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。
【0077】
例えば、ノズル4の移動距離が、第3移動距離の場合と、第3移動距離よりも長い第4移動距離の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、ノズル4の移動距離が第4移動距離の場合の実装ずれ量ΔMは、ノズル4の移動距離が第3移動距離の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0078】
また、ノズル4の移動速度が、第3移動速度の場合と、第3移動速度よりも高い第4移動速度の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、ノズル4の移動速度が第4移動速度の場合の実装ずれ量ΔMは、ノズル4の移動速度が第3移動速度の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0079】
また、ノズル4の回転角度が、0°の場合と、90°の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、シャフト5Sの僅かな曲がり又は回転中心の偏心に起因して、ノズル4の回転角度が90°の場合の実装ずれ量ΔMは、ノズル4の回転角度が0°の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。
【0080】
動作パラメータがノズル4の移動条件を含むことにより、推定部26は、ノズル4の異なる移動条件のそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを適正に算出することができる。補正量算出部27は、ノズル4の異なる移動条件のそれぞれについて、補正量を適正に算出することができる。したがって、動作指令部28は、ノズル4の異なる移動条件のそれぞれで、部品Cを目標位置GPに適正に実装させることができる。
【0081】
動作パラメータは、ノズル4による部品Cの保持条件を含む。部品Cの保持条件は、ノズル4の吸着位置EPと部品Cの上面の中心位置FPとのずれ量を示す吸着ずれ量ΔBを含む。吸着ずれ量ΔBに基づいて、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。
【0082】
例えば、吸着ずれ量ΔBが、第1吸着ずれ量の場合と、第1吸着ずれ量よりも大きい第2吸着ずれ量の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、吸着ずれ量ΔBが第2吸着ずれ量の場合の実装ずれ量ΔMは、吸着ずれ量ΔBが第1吸着ずれ量の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。一般に、実装ヘッド5は、吸着ずれ量ΔBを考慮した状態で、部品Cが目標位置GPに実装されるように実装処理を実施する。しかし、吸着ずれ量ΔBが過度に大きいと、部品Cを保持したノズル4が基板Wの目標位置GPに接近して部品Cを解放したとき、例えば部品Cの重量バランスに起因して、部品Cが目標位置GPからずれた位置に実装されてしまう可能性がある。
【0083】
動作パラメータが吸着ずれ量ΔBを含むことにより、推定部26は、異なる吸着ずれ量ΔBのそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを適正に算出することができる。補正量算出部27は、異なる吸着ずれ量ΔBのそれぞれについて、補正量を適正に算出することができる。したがって、動作指令部28は、異なる吸着ずれ量ΔBのそれぞれで、部品Cを目標位置GPに適正に実装させることができる。
【0084】
また、部品C保持条件は、ノズル4が部品Cを吸着したときの吸着圧を含む。吸着圧に基づいて、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。
【0085】
例えば、吸着圧が、第1吸着圧の場合と、第1吸着圧よりも高い第2吸着圧の場合とで、実装ずれ量ΔMが異なる可能性がある。例えば、吸着圧が第2吸着圧の場合の実装ずれ量ΔMは、吸着圧が第1吸着圧の場合の実装ずれ量ΔMよりも大きい可能性がある。吸着圧が高いことは、ノズル4による部品Cの吸着が不完全であることを意味する。ノズル4による部品Cの吸着圧が不完全であると、部品Cを保持したノズル4が基板Wの目標位置DPに接近して部品Cを解放したとき、例えば部品Cの重量バランスに起因して、部品Cが目標位置GPからずれた位置に実装されてしまう可能性がある。
【0086】
動作パラメータが吸着圧を含むことにより、推定部26は、異なる吸着圧のそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを適正に算出することができる。補正量算出部27は、異なる吸着圧のそれぞれについて、補正量を適正に算出することができる。したがって、動作指令部28は、異なる吸着圧のそれぞれで、部品Cを目標位置GPに適正に実装させることができる。
【0087】
動作パラメータは、部品認識装置8における部品Cの移動条件を含む。上述のように、ノズル4に保持されている部品Cを部品認識装置8に認識させる場合、実装ヘッド5は、認識位置CPにおいて部品Cを移動させる。部品認識装置8における部品Cの移動条件は、認識位置CPにおける部品Cの移動距離、移動速度、及び移動方向を含む。部品認識装置8における部品Cの移動条件に基づいて、例えば基台11又は支柱12の変形状態が変化したり、基台11又は支柱12の振動状態が変化したり、基台11又は支柱12の重量バランスが変化したりする可能性がある。変形状態の変化、振動状態の変化、又は重量バランスの変化により、部品認識装置8の認識結果が変化する可能性がある。例えば、部品認識装置8により検出される吸着ずれ量ΔBが変化する可能性がある。その結果、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。すなわち、部品認識装置8における部品Cの移動条件に基づいて、実装ずれ量ΔMが変化する可能性がある。
【0088】
動作パラメータが部品認識装置8における部品Cの移動条件を含むことにより、推定部26は、部品認識装置8における部品Cの異なる移動条件のそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを適正に算出することができる。補正量算出部27は、部品認識装置8における部品Cの異なる移動条件のそれぞれについて、補正量を適正に算出することができる。したがって、動作指令部28は、部品認識装置8における部品Cの異なる移動条件のそれぞれで、部品Cを目標位置GPに適正に実装させることができる。
【0089】
実装ヘッド5は、複数のノズル4を有する。実施形態において、動作パラメータ取得部22は、複数のノズル4のそれぞれに係る動作パラメータを取得する。推定部26は、複数のノズル4のそれぞれについて、推定ずれ量ΔMeを出力する。補正量算出部27は、複数のノズル4のそれぞれについて、部品Cを目標位置GPに実装するための補正量を算出する。動作指令部28は、複数のノズル4のそれぞれで部品Cが目標位置GPに実装されるように、動作指令を出力する。これにより、複数のノズル4のそれぞれが、部品Cを目標位置GPに適正に実装することができる。
【0090】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、学習フェーズにおいて、部品Cの実装位置DPが部品検出装置9により検出されることとした。部品Cの実装位置DPは、部品実装装置1とは異なる検査装置により検出されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…部品実装装置、2…部品供給装置、3…基板支持装置、4…ノズル、5…実装ヘッド、5S…シャフト、6…ノズル移動装置、7…ヘッド移動装置、8…部品認識装置、9…部品検出装置、10…制御装置、11…基台、12…支柱、13…X軸移動装置、13A…ガイド部材、13B…アクチュエータ、14…Y軸移動装置、14A…ガイド部材、14B…アクチュエータ、15…圧力センサ、21…生産プログラム記憶部、22…動作パラメータ取得部、23…実装ずれ量算出部、24…学習モデル生成部、25…学習モデル記憶部、26…推定部、27…補正量算出部、28…動作指令部、41…連結部、42…第1ボディ部、43…フランジ部、44…第2ボディ部、45…保持部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、C…部品、AP…供給位置、BP…処理位置、CP…認識位置、DP…実装位置、EP…吸着位置、FP…中心位置、GP…目標位置、W…基板、ΔB…吸着ずれ量、ΔM…実装ずれ量、ΔMe…推定ずれ量。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12