(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電気接続部の嵌合構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
H01R13/52 302E
(21)【出願番号】P 2020127297
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮山 真吾
(72)【発明者】
【氏名】元木 大介
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-030392(JP,U)
【文献】特開2003-323939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を収容すると共に、前記接続端子に外部の接続端子を接続するための略矩形の開口部を有するケース体と、
前記接続端子に対する前記外部の接続端子の挿入方向に略垂直な回動中心を中心として回動可能に、前記ケース体に対して着脱可能に連結され、装着状態で前記開口部を覆うキャップと、を備え、
前記ケース体は、
前記キャップが嵌合可能であり、前記開口部を正面から見たときの外形が略矩形の、前記開口部の周囲に形成される嵌合部と、
前記嵌合部から外周側へ延設され、前記挿入方向に略垂直な第1の係合片と、を有し、
前記キャップは、内周側へ延設され前記第1の係合片と係合する第2の係合片を有し、
前記第1の係合片は、前記嵌合部の外形が呈する略矩形の4つの辺のうち前記回動中心に近い側の辺に対応する第1延設部を含み、
前記第2の係合片は、装着状態において前記回動中心に近い側の前記辺に対応する第2延設部を含み、
前記第1延設部および前記第2延設部のうち少なくとも一方の、前記回動中心方向における長さは、延設方向における先端側ほど短く、
前記第1延設部および前記第2延設部のうち前記一方は前記第2延設部であり、
前記嵌合部は内周側に窪んだ逃げ部を有し、
前記逃げ部は、前記第2延設部に対応する形状を有する、電気接続部の嵌合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続部の嵌合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される電気接続部が知られている。一般に、電気接続部は、外部の接続端子を接続するための開口部が形成されたケース体と、ケース体(の嵌合部)に対して着脱可能なキャップとを有する。特許文献1の電気接続箱は、開口部が矩形であるのに対して、ケース体およびキャップの外郭形状は共に円形であるため、全体が大型化する。特許文献2のジョイントコネクタは、ケース体およびキャップの外郭形状が矩形である。
【0003】
特許文献1および2に記載の電気接続部は、キャップがケース体に対して回動可能に連結され、回動動作を伴って装着される構成となっている。特に、キャップに脱落防止機能を持たせる等のために、キャップとケース体とが係合片同士で係合する構成が採用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-277439号公報
【文献】特開2014-232584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャップとケース体とが係合片同士で係合する構成で且つ、ケース体の嵌合部の外郭形状が矩形の電気接続部においては、着脱の際に回動により係合片に大きな応力がかかる。特に、キャップの取り外しの際に係合片が引っ張られ、長期に亘って使用されると係合片の根元付近に損傷が生じるおそれがある。従って、大型化を回避しつつ、着脱の繰り返しに対する耐久性を高める観点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、電気接続部の耐久性を向上させると共に大型化を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の電気接続部の嵌合構造は、接続端子を収容すると共に、前記接続端子に外部の接続端子を接続するための略矩形の開口部を有するケース体と、前記接続端子に対する前記外部の接続端子の挿入方向に略垂直な回動中心を中心として回動可能に、前記ケース体に対して着脱可能に連結され、装着状態で前記開口部を覆うキャップと、を備え、前記ケース体は、前記キャップが嵌合可能であり、前記開口部を正面から見たときの外形が略矩形の、前記開口部の周囲に形成される嵌合部と、前記嵌合部から外周側へ延設され、前記挿入方向に略垂直な第1の係合片と、を有し、前記キャップは、内周側へ延設され前記第1の係合片と係合する第2の係合片を有し、前記第1の係合片は、前記嵌合部の外形が呈する略矩形の4つの辺のうち前記回動中心に近い側の辺に対応する第1延設部を含み、前記第2の係合片は、装着状態において前記回動中心に近い側の前記辺に対応する第2延設部を含み、前記第1延設部および前記第2延設部のうち少なくとも一方の、前記回動中心方向における長さは、延設方向における先端側ほど短く、前記第1延設部および前記第2延設部のうち前記一方は前記第2延設部であり、前記嵌合部は内周側に窪んだ逃げ部を有し、前記逃げ部は、前記第2延設部に対応する形状を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気接続部の耐久性を向上させると共に大型化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】キャップとケース体とを分離して示した斜視図である。
【
図4】
図1のA-A線、B-B線に沿う断面図である。
【
図5】ケース体からキャップを取り外す行程を示す遷移図である。
【
図7】第2の実施の形態におけるキャップとケース体とを分離して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る嵌合構造が適用される電気接続部の縦断面図である。この電気接続部100は、一例として車両に適用されるが、適用対象は問わない。
【0012】
電気接続部100は、ケース体30と、キャップ10とを有する。ケース体30は、開口部33を有するハウジングである。ケース体30は、例えば、車両の内側に向けてポートである開口部33が開口するように車両に取り付けられる。ケース体30は、開口部33の内部に接続端子34を収容する。接続端子34は、外部の接続端子が接続されることで、外部機器を電気的に接続する端子である。接続端子34は、例えば電源供給ソケット、シガーソケット、USB端子等であるが、接続端子34の種類は問わない。
【0013】
図2は、ケース体30を開口部33側から見た斜視図である。
図3は、キャップ10とケース体30とを分離して示した斜視図である。
【0014】
ケース体30は樹脂等で構成される。キャップ10は、ケース体30よりも弾性の高い樹脂等の素材(例えば、ゴム材)で構成される。なお、キャップ10とケース体30との硬度は例示した関係に限定されず、また、両者を構成する素材も限定されない。
【0015】
ケース体30の開口部33の開口方向は、外部の接続端子の挿入方向F1(
図1)と略平行である。挿入方向F1から見て、開口部33は略矩形である。ケース体30は、挿入方向F1と平行な方向において、開口部33から遠い側から、基部31、段差部32、嵌合部36、第1の係合片39を有する。説明の便宜上、
図1における上下方向が電気接続部100の上下方向であるとする。段差部32の上部および左右側部は、基部31から1段下がっている。嵌合部36は、段差部32および第1の係合片39の双方に対してくびれていて、上下左右において1段下がっている。
【0016】
後述するように、嵌合部36にはキャップ10が嵌合可能である。開口部33を正面から(挿入方向F1から)見たときの嵌合部36の外形は略矩形である。同様に、基部31、段差部32の外形も略矩形である。嵌合部36は開口部33の周囲に形成される。第1の係合片39は、嵌合部36から外周側へ延設されている。第1の係合片39はフランジ状である。従って、第1の係合片39は挿入方向F1に略垂直であり、第1の係合片39の厚み方向は挿入方向F1と略平行である。第1の係合片39の詳細な形状については後述する。
【0017】
キャップ10は、ケース体30に対して着脱可能に連結され、装着状態で開口部33を覆う。
図1ではキャップ10の装着状態が示されている。キャップ10は、固定部15、垂直接続部14、水平接続部13、周壁部12、底壁部11を有する。固定部15は、ケース体30の基部31の上部に対して固定されている。固定部15の固定方法は問わない。例えば、固定部15に形成された穴を基部31から一体に突設されたビス部35が貫通することで固定部15が基部31に固定される。あるいは、固定部15は、基部31とは別体のビス部35により固定部15に螺着固定されてもよい。あるいは、固定部15は、基部31に接着固定されてもよい。
【0018】
固定部15が基部31に固定されることで、キャップ10は、回動中心C1を中心として回動可能に、ケース体30に対して着脱可能に連結される。キャップ10の回動中心は、挿入方向F1において、第2係合部16からビス部35までの間の回動中心領域Cの中に生じる。なお、キャップ10の形状または寸法等により回動中心の位置は変化し得る。本実施の形態におけるキャップ10の回動中心は、例えば
図1および
図2にC1で示すように、挿入方向F1に対して略垂直であり、嵌合部36の長辺部分に対して略平行である。後述するように、基本的には、回動中心C1を中心とする回動変位により、キャップ10が開閉操作される。キャップ10が装着状態となることで、接続端子34に対する防水・防塵機能や保護機能が果たされる。
【0019】
図1に示すように、固定部15には垂直接続部14を介して水平接続部13が接続されている。水平接続部13に周壁部12が接続されている。装着状態において、水平接続部13とは反対側の周壁部12の端部が底壁部11によって閉塞されている。周壁部12からは、第2の係合片16が内周側へ延設されている(
図3参照)。装着状態において、第2の係合片16は、第1の係合片39と係合する。
【0020】
図4(a)は、
図1のA-A線に沿う断面図である。
図4(b)は、
図1のB-B線に沿う断面図である。
【0021】
図4(b)に示すように、嵌合部36は、外面として4つの面36a、36b、36c、36dを有する。嵌合部36の外形が呈する略矩形の4つの辺のうち、回動中心C1に近い側(上側)の辺を構成する面が第1面36aである。一方、第2の係合片16は、4つの延設部16a、16b、16c、16dを含む。延設部16a、16b、16c、16dにより形成される開口形状は、嵌合部36の外形が呈する略矩形に対して嵌合的な形状である。装着状態において、延設部16a、16b、16c、16dの先端がそれぞれ面36a、36b、36c、36dと当接する。すなわち、第2の係合片16は、嵌合部36に対して全周で当接する。なお、第2の係合片16と嵌合部36とは全周に亘って当接しなくてもよい。
【0022】
図4(a)に示すように、第1の係合片39は、延設部39a、39b、39c、39dを含む。延設部39a(第1延設部)は概ね第1面36aから上方に延出する。挿入方向F1から見て、延設部39b、39c、39dの先端縁(延設方向先端部)は直線であるが、延設部39aの先端縁は円弧形状である。一方、キャップ10の内部には、係合片対応部19が形成されている(
図1、
図3も参照)。係合片対応部19は、対応部19a、19b、19c、19dを有する。対応部19a、19b、19c、19dにより形成される穴は、第1の係合片39に対して嵌合的な形状である。従って、挿入方向F1から見て、対応部19b、19c、19dは直線であるが、対応部19aは円弧形状である。言い換えると、対応部19aは、ケース体30の延設部39a(第1延設部)に対応した形状となる外周側に窪んだ凹状の逃げ部である。装着状態において、延設部39a、39b、39c、39dの先端縁は、対応部19a、19b、19c、19dと嵌合される。すなわち、係合片対応部19は、第1の係合片39に対して全周で当接し、これによりシール性確保に寄与する。
【0023】
次に、第1の係合片39の特に延設部39aの形状について詳細に説明する。
図4(a)に示すように、回動中心C1に平行な方向における一方の端位置P1から他方の端位置P2までの領域が延設部39aであるとする。回動中心C1に平行な方向(回動中心方向)における延設部39aの長さLは、延設部39aの延設方向(上方)における先端側ほど短い。延設部39aの先端縁は円弧状であるので、長さLは、延設部39aの先端側にいくにつれて徐々に短くなっている。
【0024】
回動中心方向における延設部39aの中間位置をP0とする。挿入方向F1から見て、延設部39aの先端縁は、中間位置P0の両側において、回動中心C1に対して面取りされてなる面取り部39a1、39a2を有する。面取り部39a1、39a2はいずれも円弧部である。
【0025】
図5(a)~(c)は、ケース体30からキャップ10を取り外す行程を示す遷移図である。なお、ケース体30に対するキャップ10の装着状態は
図1に示した通りである。装着状態においては、挿入方向F1に垂直な方向において、第2の係合片16と嵌合部36とが嵌合されると共に、第1の係合片39と係合片対応部19とが嵌合される。しかも、装着状態においては、挿入方向F1において、第1の係合片39が第2の係合片16と係合する。なお、第1の係合片39は、第2の係合片16と底壁部11とによって挟持されてもよい。このようにして、接続端子34が保護され、高いシール性によって防水・防塵機能も果たされる。
【0026】
キャップ10を取り外す際には、ユーザは、まず、周壁部12の下部を把持して延設部16bと延設部39bとの係合を解除する(
図5(a))。この際、キャップ10は回動中心C1を中心に回動する。延設部16a(第2延設部)は延設部39aと係合していると共に、延設部16aの先端は、第1面36aに対して当接しているか、または少し離間している。
【0027】
なお、キャップ10は、ケース体30に対して回動中心C1を中心として回動可能であるが、着脱の行程において事実上の回動中心は変化し得る。これは、キャップ10が高い弾性を有すると共に、周壁部12の下部や延設部16bが主として操作されるからである。
図5(a)~(c)に示す回動中心C1~C3は、想定される回動中心であるが、操作の態様によっても回動中心は変化し得る。
【0028】
次に、ユーザは、周壁部12の下部をさらに回動操作し、延設部16bを延設部39bから完全に外す(
図5(b))。この時点で、延設部16aは、第1面36aから離間する。しかし、延設部16aは、依然として延設部39aと係合しているため、延設部16aは、弾性変形により少し伸びると共に湾曲する。次に、周壁部12の下部をさらに回動操作すると、延設部16aは、延設部39aから外れる(
図5(c))。
【0029】
ここで、何ら工夫のない構成であれば、繰り返し使用によって、
図5(b)に示す行程において、延設部16aは大きく弾性変形し、主に根元付近が損傷するおそれがある。なお、装着時と取り外し時とでは、キャップ10への力の作用が異なるので、弾性変形の態様も異なる。延設部16aには主に取り外し時に大きな応力が生じるため、本実施の形態では取り外し時におけるダメージの軽減に重きを置いている。本実施の形態では、延設部39aの先端縁が円弧形状であることによって、延設部16aに加わるダメージを軽減し、キャップ10の耐久性を向上させている。
【0030】
形状的工夫による作用を説明する。一般に、延設部16aが延設部39aから外れる瞬間に大きな応力が一気にかかるとダメージが大きくなる。ところが、本実施の形態では、延設部39aは面取り部39a1、39a2を有する。そのため、取り外し行程において延設部16aと延設部39aとの係合状態が徐々に解消されていく。しかも、延設部39aの先端縁の全体が円弧形状であるので、延設部16aが延設部39aから完全に外れるまで、両者の係合は少しずつ解除されていく。これにより、延設部16aが延設部39aから外れる瞬間に延設部16aにかかる応力が小さくなる。従って、延設部16aの損傷発生が抑制され、キャップ10の耐久性が向上する。なお、このような作用は、延設部39aの立場から把握しても同様となる。つまり、仮に延設部39aを、延設部16aよりも弾性が高い材料を用いて形成した場合、延設部39aが延設部16aから外れる瞬間に延設部39aにかかる応力が小さくなる。従って、延設部39aの損傷発生が抑制され、ケース体30の耐久性が向上する。結果として本発明において、キャップ10およびケース体30を備える電気接続部の耐久性を向上させることができる。
【0031】
本実施の形態によれば、まず、開口部33が略矩形であり、開口部33の周囲に形成される嵌合部36の外形も略矩形である。このことから、ケース体30およびキャップ10の外郭形状を円形にする必要がない。従って、嵌合部36の外形が円形等である場合に比べて外形寸法が小さくて済む。また、回動中心C1に平行な方向における延設部39aの長さLは、延設部39aの延設方向における先端側ほど短い。これにより、ケース体30からキャップ10を取り外す際に、延設部16aと延設部39aとの係合が徐々に解除されていく。従って、主に取り外し時に延設部16aに大きな応力が生じないため、繰り返し使用による延設部16aの損傷発生を抑制することができる。よって、電気接続部100の耐久性を向上させると共に大型化を回避することができる。
【0032】
また、キャップ10は、外周側に窪んだ凹状の逃げ部として対応部19aを有し、装着状態において延設部39aの延設方向先端部は対応部19aと嵌合される。これにより、装着状態において延設部39aが長すぎて撓むようなことがないから、シール性の低下を抑制することができる。
【0033】
図6(a)、(b)は、各々、変形例の第1の係合片39の正面図である。第1の係合片39の特に延設部39aについては、
図6(a)、(b)に例示するように、形状を変更してもよい。取り外し時に延設部16aに大きな応力が生じないようにする観点からは、回動中心C1に平行な方向における延設部39aの長さLは、延設部39aの延設方向における先端側ほど短い、という第1の条件を満たせばよい。あるいは、延設部39aの延設方向先端部は、回動中心C1方向において、中間位置P0から端位置P1までの間と中間位置P0から端位置P2までの間のそれぞれに、挿入方向F1から見て回動中心C1に対して面取りされてなる面取り部を有する、という第2の条件を満たせばよい。つまり、上記第1、第2条件の少なくともいずれかを満たせばよい。
図6(a)、(b)に示す変形例はいずれも、上記第1、第2条件の双方を満たす。
【0034】
例えば、
図6(a)に示す例では、挿入方向F1から見て、延設部39aの延設方向先端部は、回動中心C1に略平行な直線部39a3を含み、回動中心C1方向における直線部39a3の両側に円弧部である面取り部39a1、39a2を有する。また、
図6(b)に示す例では、挿入方向F1から見て、延設部39aの延設方向先端部は、回動中心C1方向における直線部39a3の両側に、テーパ形状に形成された直線部である面取り部39a5、39a6を有する。この例では、挿入方向F1から見て、延設部39aは略台形である。なお、挿入方向F1から見て、延設部39aは三角形であってもよい。このように、面取り部は、円弧形状または曲線形状のいずれを有してもよい。
【0035】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、ケース体30の第1の係合片39の延設部39aが、上記第1、第2条件を満たした。これに対し、本発明の第2の実施の形態では、キャップ10の第2の係合片16の延設部16aが、上記第1、第2条件の少なくともいずれかを満たすようにする。主に、第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0036】
図7は、本実施の形態におけるキャップ10とケース体30とを分離して示した斜視図である。まず、挿入方向F1から見て、ケース体30の延設部39b、39c、39dだけでなく、延設部39aの先端縁(延設方向先端部)も直線である。一方、キャップ10の内部の係合片対応部19については、対応部19a、19b、19c、19dにより形成される穴は、第1の係合片39に対して嵌合的な矩形形状である。従って、挿入方向F1から見て、対応部19b、19c、19dだけでなく対応部19aも直線である。
【0037】
また、ケース体30の嵌合部36の外形が呈する略矩形の4つの辺のうち、回動中心C1に近い側(上側)の辺を構成する第1面36aは直線でなく湾曲している。言い換えると、嵌合部36は、キャップ10の延設部16a(第2延設部)に対応した形状となる内周側に窪んだ凹状の逃げ部として第1面36aを有する。一方、キャップ10の延設部16a、16b、16c、16dにより形成される開口形状は、嵌合部36の外形に対して嵌合的な形状である。延設部16aの延設方向先端部の形状は、第1の実施の形態における延設部39a(
図4(a))の先端形状と同様である。従って、装着状態において、延設部16a、16b、16c、16dの先端がそれぞれ面36a、36b、36c、36dと当接する。特に、装着状態において延設部16aの延設方向先端部は第1面36aと嵌合される。すなわち、第2の係合片16は、嵌合部36に対して全周で当接する。なお、キャップ10のシール性を考慮して第2の係合片16と嵌合部36は全周に亘って当接しなくてもよい。
【0038】
なお、第1面36aの両端部に、回動中心C1に略平行な平坦部36axが設けられている。これに対応して、延設部16aの両端部に、回動中心C1に略平行な平坦部16axが設けられている。平坦部16axがあることで、略円弧部である延設部16aと延設部16b、16cとの境界が鋭い鋭角とならずに済むので、延設部16aの強度が高まる。ただし、平坦部36axや平坦部16axは必須でない。
【0039】
本実施の形態の構成でも、ケース体30からキャップ10を取り外す際に、延設部16aと延設部39aとの係合が徐々に解除されていく。よって、電気接続部100の耐久性を向上させると共に大型化を回避することに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0040】
なお、本実施の形態において、仮に、延設部16aが第一面36aの深さよりも長いことで、装着状態において延設部16aが撓み、第1面36aに対して延設部16aの先端が当接しない状態となってもよい。
【0041】
なお、本実施の形態においても、第2の係合片16の延設部16aに、変形例(
図6(a)、(b))のような形状を採用してもよい。また、第1の係合片39の延設部39aと第2の係合片16の延設部16aのいずれかが、上記第1、第2条件の少なくともいずれかを満たせばよいので、延設部39aと延設部16aの双方が、上記第1、第2条件の少なくともいずれかを満たしてもよい。
【0042】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 キャップ、 16 第2の係合片、 16a、39a 延設部、 30 ケース体、 33 開口部、 34 接続端子、 36 嵌合部、 36a 第1面、 39 第1の係合片、 39a1、39a2 面取り部、 C1 回動中心、 L 長さ