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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】苗植付装置および苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
A01C11/02 380Z
A01C11/02 370A
A01C11/02 365A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020142153
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037813
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】坂垣内 貴保
(72)【発明者】
【氏名】竹山 智洋
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏典
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 創
(72)【発明者】
【氏名】田村 得雄
(72)【発明者】
【氏名】大井戸 直幸
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-012718(JP,U)
【文献】特開2014-124099(JP,A)
【文献】実開昭57-203725(JP,U)
【文献】実開昭50-026008(JP,U)
【文献】特開2002-330607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を有する苗ブロックを取り出して前記苗ブロックを圃場に植え付ける苗植付装置であって、
第1方向に延びるアーム部と、
前記アーム部の一方側から前記第1方向に延びるように前記アーム部の一方側に接続された植付爪と、
前記アーム部の他方側から前記第1方向に延びるように取り付けられ、前記植付爪とともに前記苗ブロックを保持する保持部材と
記アーム部に接続され、前記植付爪と前記保持部材で保持された前記苗ブロックを押し出す押出部材
を備え、
前記苗ブロックの取り出しを開始する際に、前記植付爪および前記保持部材は、前記苗ブロックと接触する、苗植付装置。
【請求項2】
前記苗ブロックを取り出す際に、前記植付爪は、前記保持部材とともに前記苗ブロックを掻き取る、請求項1に記載の苗植付装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記植付爪と対向する、請求項1または2に記載の苗植付装置。
【請求項4】
前記植付爪および前記保持部材は、前記苗ブロックを挟込方向に挟み込む、請求項1から3のいずれかに記載の苗植付装置。
【請求項5】
前記押出部材は、前記苗ブロックを押出方向に押し出し可能であり、
前記保持部材は、
前記保持部材のうちの前記押出方向に沿った先端側に位置する先端部と、
前記先端部と連結する本体部と
を有し、
前記植付爪と前記保持部材の前記本体部との間の距離は、前記苗ブロックのうちの前記挟込方向に沿った最も長い幅よりも小さい、請求項4に記載の苗植付装置。
【請求項6】
前記植付爪の先端部と前記保持部材の前記先端部との間の距離は、前記苗ブロックのうちの前記挟込方向に沿った最も短い幅よりも長い、請求項5に記載の苗植付装置。
【請求項7】
前記先端部は、前記本体部に対して前記植付爪から離れる方向に折れ曲がる、請求項5または6に記載の苗植付装置。
【請求項8】
前記保持部材の前記先端部と前記本体部との境界部分と前記植付爪との間の距離は、前記保持部材の前記本体部と前記植付爪との間の距離よりも短い、請求項7に記載の苗植付装置。
【請求項9】
前記保持部材は、前記挟込方向に弾性変形可能な弾性部材を含む、請求項4から8のいずれかに記載の苗植付装置。
【請求項10】
前記保持部材を前記アーム部に取り付ける取付部材をさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載の苗植付装置。
【請求項11】
前記保持部材の先端を前記植付爪に近づく方向に付勢する付勢部材をさらに備える、請求項1から10のいずれかに記載の苗植付装置。
【請求項12】
前記保持部材は、前記植付爪と対向する面に突起を有する、請求項1から11のいずれかに記載の苗植付装置。
【請求項13】
車輪を有する走行機体と、
前記走行機体の後部に配置された苗植付作業機と
を備え、
前記苗植付作業機は、
請求項1から12のいずれかに記載の苗植付装置と、
前記苗植付装置によって圃場に植え付けられる苗ブロックを載置する苗載台と
を有する、苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗植付装置および苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業の少なくとも一部を機械で行う農作業機として、苗を移植する苗移植機が知られている。苗移植機は、苗ブロックを1つずつ圃場に植え付ける。
【0003】
しかしながら、苗移植機では、苗ブロックを圃場の表面まで運搬する間に苗ブロックが落下することがある。このため、苗ブロックの運搬中の落下を抑制することが検討されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の苗植付装置は、苗植え付け爪がポット苗を挟み込んでポット苗を取り出した後で、ポット苗の底面を苗保持アームで覆い、マルチフィルムを敷設した圃場までポット苗を運搬する。この苗植付装置では、苗保持アームの先端部に、マルチフィルムに穴をあけるための穴開け刃が設けられており、マルチフィルムに開けられた穴内にポット苗を植え付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-330607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の苗植付け装置では、苗植え付け爪が所定のポット苗を挟み込み一旦ポット苗を取り出した後で、ポット苗を苗保持アームに乗せて運搬し、その後、ポット苗を植え付ける。このため、特許文献1の苗植付け装置では、充分な時間があれば落下を抑制しつつ苗ブロックを植え付けできる一方で、苗ブロックを短期間に植え付けできないことがある。例えば、特許文献1の苗植付け装置で、苗植え付け爪でポット苗を高速に挟み込もうとすると、ポット苗に強い衝撃が付与されてしまい、ポット苗がダメージを受けるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、苗ブロックの落下を抑制しつつ苗ブロックを効率的に植え付け可能な苗植付装置および苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、苗植付装置は、苗を有する苗ブロックを取り出して前記苗ブロックを圃場に植え付ける苗植付装置である。苗植付装置は、アーム部と、前記アーム部に接続された植付爪と、前記アーム部に接続され、前記苗ブロックを押し出す押出部材と、前記植付爪とともに前記苗ブロックを保持する保持部材とを備える。前記苗ブロックの取り出しを開始する際に、前記植付爪および前記保持部材は、前記苗ブロックと接触する。
【0008】
本発明の別の局面によれば、苗移植機は、車輪を有する走行機体と、前記走行機体の後部に配置された苗植付作業機とを備える。前記苗植付作業機は、上記に記載の苗植付装置と、前記苗植付装置によって圃場に植え付けられる苗ブロックを載置する苗載台とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、苗ブロックの落下を抑制しつつ苗ブロックを効率的に植え付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)および(b)は、本実施形態の苗移植機の模式的な斜視図である。
図2】(a)は、本実施形態の苗植付装置および苗植付装置によって取り出される苗ブロックの模式的な斜視図であり、(b)は、本実施形態の苗植付装置の模式的な斜視図である。
図3】(a)~(c)は、本実施形態の苗植付装置による苗植付工程を説明するための模式図である。
図4】(a)~(d)は、本実施形態の苗植付装置による苗植付工程を説明するための模式図である。
図5】(a)~(d)は、本実施形態の苗植付装置による苗植付工程を説明するための模式図である。
図6】(a)~(c)は、本実施形態の苗植付装置の模式図である。
図7】(a)および(b)は、本実施形態の苗植付装置の模式図である。
図8】本実施形態の苗植付装置における保持部材の模式的な斜視図である。
図9】本実施形態の苗植付装置の模式図である。
図10】本実施形態の苗植付装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明による苗植付装置および苗移植機の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸は、苗移植機の進行方向を示し、X軸およびY軸は、水平方向に平行である。また、Z軸は、鉛直方向に平行である。また、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を記載することがある。典型的には、x軸は、苗植付装置が苗ブロックを植え付ける際に苗を押し出す押出方向を示し、z軸は、苗植付装置が苗ブロックを挟み込む挟込方向を示す。
【0012】
まず、図1を参照して、本実施形態の苗移植機100を説明する。図1(a)および図1(b)は、苗移植機100の模式図である。図1(a)および図1(b)に示した苗移植機100は、オペレータが苗移植機100に乗車して運転しながら苗移植を行う乗用型である。典型的には、苗移植機100は、野菜の苗を順次移植するために用いられる。
【0013】
図1(a)および図1(b)に示すように、苗移植機100は、走行機体110と、苗植付作業機200とを備える。苗植付作業機200は、走行機体110の後部に装着される。苗移植機100は、走行機体110によって走行しつつ苗植付作業機200によって苗の植付作業を行う。
【0014】
走行機体110は、機体フレーム112と、前輪114と、後輪116とを備える。機体フレーム112の内部には、エンジンおよびエンジンからの動力を変速するトランスミッションが収容される。前輪114および後輪116は、エンジンおよびトランスミッションに伝達される動力によって駆動される。エンジンおよびトランスミッションの動力は、それぞれフロントアクスルケース114aおよびリアアクスルケース116aに伝達される。また、エンジンおよびトランスミッションからの動力は、苗植付作業機200に伝達される。
【0015】
フロントアクスルケース114aは、機体フレーム112の前部に支持されるとともに、その左右両端部に前輪114が支持される。同様に、リアアクスルケース116aは、機体フレーム112の後部に支持されるとともに、その左右両端部に後輪116が支持される。機体フレーム112の上部には、ステップ120が配置されており、オペレータは、ステップ120上を移動可能である。
【0016】
走行機体110の中央部には、運転席122が配置され、運転席122の前方には、操向ハンドル124、操作ペダル126、および、ダッシュボード128が配置される。ダッシュボード128には、操向ハンドル124に加えて各種操作用の操作具、表示装置が配置される。
【0017】
苗植付作業機200は、走行機体110に対して、昇降リンク機構を介して連結されている。昇降リンク機構は、上リンク、左右一対の下リンク、昇降シリンダを備える。上リンクおよび下リンクは、昇降シリンダによって回動して苗植付作業機200を昇降させる。
【0018】
苗植付作業機200は、苗載台210と、植付ロータケース220と、苗植付装置300とを備える。苗載台210には、複数の苗ブロックが載置される。苗植付装置300は、植付ロータケース220に取り付けられる。苗植付装置300は、苗載台210に載置された苗ブロックを順次植え付ける。詳細は後述するが、苗植付装置300は、植付爪を備える。苗植付装置300は、植付爪を用いて、苗載台210に載置された苗ブロックを取り出し、苗ブロックを圃場に植え付ける。
【0019】
苗植付作業機200は、トランスミッションから後方に向けて延出されるPTO軸によって駆動される。より詳細には、PTO軸から植付センターケースを介して苗植付作業機200に設けられる植付伝動ケースに動力が伝達されて、植付伝動ケースから植付ロータケース220および苗植付装置300に動力が分配される。植付センターケースには、植付クラッチが設けられる。植付クラッチは、エンジンから苗植付作業機200への動力の伝達を断接するように構成される。
【0020】
植付ロータケース220は、植付伝動ケースから伝達される動力によって回転する。苗植付装置300には、苗載台210から苗が供給される。植付ロータケース220の回転運動に伴って、苗植付装置300の植付爪が苗ブロックとともに畝上面に挿入され、所定の植え付け深さとなるように苗ブロックが植え付けられる。
【0021】
苗載台210は、板状の部材によって構成される。苗載台210の後面には、苗マットを載置する載置面が植付ロータケース220の数に応じて走行機体110の幅方向に並べて配置される。苗載台210には、苗マットが載置される。苗マットについては、図2等を参照して後述する。
【0022】
植付ロータケース220は、回転軸を中心に回転する。苗植付装置300は、植付ロータケース220に取り付けられる。苗植付装置300は、植付ロータケース220の回転に伴って植付ロータケース220とともに回転する。
【0023】
なお、ここでは、図示しないが、苗植付装置300が苗ブロックを植え付ける前に、苗植付作業機200は、苗ブロックの植え付け直前の畝上面に溝を形成し、苗植付装置300は、形成された溝内に苗ブロックを植え付けてもよい。これにより、苗ブロックに地面からの負荷がかかることなく圃場の土が植え付けられた苗ブロックを好適に覆うことができ、苗ブロックを圃場により精度よく植え付けできる。
【0024】
上述したように、図1に示した苗移植機100は、野菜の苗を移植するために好適に用いられる。苗移植機100は、いわゆる田植機の一部を改良することによって作製されてもよい。
【0025】
次に、図2を参照して、本実施形態の苗植付装置300を説明する。図2(a)は、苗植付装置300および苗植付装置300によって取り出される苗ブロックSBの模式的な斜視図であり、図2(b)は、苗植付装置300の模式的な斜視図である。図2(b)の苗植付装置300は、図2(a)の苗植付装置300の拡大図である。
【0026】
苗植付装置300は、苗ブロックSBの載置された苗載台210から苗ブロックSBを取り出し、苗ブロックSBを保持して圃場に植え付ける。苗植付装置300は、回転軸(図示せず)を中心に回転することにより、苗載台210と圃場との間を往復する。
【0027】
苗ブロックSBには、直方体形状に固められた物質などに苗が植えられている。典型的には、直方体形状の土の塊りの所定の面に種子を入れ、所定期間育成することにより、苗ブロックSBを作製する。苗の根は、苗ブロックSBの土内に伸びており、苗ブロックSB単位で苗を容易に植え付けできる。なお、図2(a)では、図面が過度に複雑になることを避けるために、苗ブロックSBにおいて種子の挿入される窪みを示す一方で、苗自体は省略しているが、苗ブロックSBの窪みから生育された苗の葉が広がってもよい。ここでは、苗ブロックSBの苗は、野菜の苗である。
【0028】
苗ブロックSBは、略直方体形状であってもよく、略立方体形状であってもよい。典型的には、苗ブロックSBにおいて、苗は、苗ブロックSBの1つの面の略中央に配置される。苗は、苗ブロックSBのうちの苗植付装置300と対向する面に位置する。
【0029】
例えば、苗ブロックSBの縦(z方向に沿った長さ)、横(y方向に沿った長さ)および高さ(x方向に沿った長さ)は、それぞれ10mm以上100mm以下であり、それぞれ15mm以上80mm以下であってもよい。一例では、苗ブロックSBの縦(z方向に沿った長さ)、横(y方向に沿った長さ)および高さ(x方向に沿った長さ)は、それぞれ約30mm、約30mmおよび約30mmである。
【0030】
苗載台210には、マトリクス状に複数の苗ブロックSBが配列された苗マットSMが配置される。苗マットSMにおいて、苗ブロックSBは互いに連結する。このため、苗マットSMには、複数の苗を育成可能である。苗植付装置300は、苗載台210に載置された苗マットSMから1つの苗ブロックSBを取り出し、取り出した苗ブロックSBを圃場に植え付ける。詳細には、苗載台210の取出位置に、取出対象となる1つの苗ブロックSBが配置されており、苗植付装置300は、取出位置の苗ブロックSBを取り出して圃場に植え付ける。
【0031】
苗植付装置300は、アーム部310と、植付爪320と、押出部材330と、保持部材340とを備える。植付爪320は、アーム部310に固定される。植付爪320により、苗マットSMから1つの苗ブロックSBを掻き取りできる。典型的には、苗マットSMにおいて、列方向に隣接する苗ブロックSBの間にスリットが設けられる。植付爪320は、スリットに進入し、苗マットSMから1つの苗ブロックSBを切断する。
【0032】
植付爪320によって苗ブロックSBを掻き取る場合、植付爪320の先端は鋭いことが好ましい。例えば、植付爪320の先端部の厚さは、植付爪320の中央部の厚さよりも小さいことが好ましい。これにより、植付爪320は、苗マットSMから1つの苗ブロックSBを所定の大きさで取り出すことができる。
【0033】
押出部材330は、アーム部310の先端から伸縮可能である。押出部材330は、押出方向に苗ブロックSBを押出できる。植付爪320が苗マットSMから1つの苗ブロックSBを掻き取る場合、押出部材330は、縮んでおり、押出部材330の大部分がアーム部310の先端に収納される。植付爪320によって掻き取られた苗ブロックSBを圃場にまで運んだ場合、押出部材330は、アーム部310の先端から伸び、苗ブロックSBを圃場に向けて押し出す。これにより、苗ブロックSBを圃場に植え付けできる。
【0034】
苗植付装置300が苗ブロックSBを掻き取る際に、保持部材340は、植付爪320の下方に位置する。苗ブロックSBは、植付爪320および保持部材340によって挟み込まれる。
【0035】
保持部材340は、植付爪320と対向する。保持部材340は、アーム部310に支持される。図2では、保持部材340は、取付部材350を介してアーム部310に取り付けられる。取付部材350は、アーム部310に取り付けられる。保持部材340は、板金から形成されてもよい。例えば、板金の厚さ(z方向に沿った長さ)は、1mm以上10mm以下であり、2mm以上8mm以下であってもよい。
【0036】
ここでは、取付部材350は、アーム部310の下方から長手方向に延びる。取付部材350の長手方向先端に保持部材340が取り付けられる。なお、取付部材350の幅(y軸方向に沿った長さ)は、保持部材340の幅(y軸方向に沿った長さ)よりも短い。保持部材340は、取付部材350の幅の中心に配置される。
【0037】
図2(b)に示すように、植付爪320および保持部材340は、z方向に対向する。植付爪320は、+z方向側に位置し、保持部材340は、-z方向側に位置する。上述したように、苗ブロックSBは、植付爪320および保持部材340によって挟み込まれる。ここでは、植付爪320および保持部材340によって苗ブロックSBを挟み込む挟込方向はz方向に平行である。
【0038】
植付爪320は、U字形状である。植付爪320は、第1突起部322と、第2突起部324と、連結部326とを有する。第1突起部322および第2突起部324は、押出方向(+x方向)に延びる。第1突起部322および第2突起部324は、-x方向側において連結部326と連結されており、第1突起部322および第2突起部324は、連結部326を介して一体化される。植付爪320は、連結部326においてアーム部310に取り付けられる。
【0039】
例えば、第1突起部322の-y方向外側の側面と第2突起部324の+y方向外側の側面との間の距離は、苗ブロックSBの幅に応じて設定される。本明細書において、第1突起部322の-y方向外側の側面と第2突起部324の+y方向外側の側面との間の距離を植付爪320の幅と記載することがある。一例では、植付爪320の幅は、取り出される苗ブロックSBの幅とほぼ等しい。
【0040】
第1突起部322は、第1先端部322aと、第1本体部322bとを有する。第1先端部322aは、第1本体部322bの+x方向側の先端に位置する。第1本体部322bの厚さ(z方向に沿った長さ)はほぼ一定であるが、第1先端部322aの厚さ(z方向に沿った長さ)は、+x方向側に進むにつれて小さくなる。また、第1本体部322bの幅(y方向に沿った長さ)はほぼ一定であるが、第1先端部322aの幅(y方向に沿った長さ)は、+x方向側に進むにつれて小さくなる。例えば、第1先端部322aの突起部分は、第1先端部322aの-y方向側の側面上に位置する。第1先端部322aの-y方向側の側面は、第1本体部322bの-y方向側の側面と直線状に配列される。
【0041】
同様に、第2突起部324は、第2先端部324aと、第2本体部324bとを有する。第2先端部324aは、第2本体部324bの+x方向側の先端に位置する。第2本体部324bの厚さ(z方向に沿った長さ)はほぼ一定であるが、第2先端部324aの厚さ(z方向に沿った長さ)は、+x方向側に進むにつれて小さくなる。また、第2本体部324bの幅(y方向に沿った長さ)はほぼ一定であるが、第2先端部324aの幅(y方向に沿った長さ)は、+x方向側に進むにつれて小さくなる。例えば、第2先端部324aの突起部分は、第2先端部324aの+y方向側の側面上に位置する。第2先端部324aの+y方向側の側面は、第2本体部324bの+y方向側の側面と直線状に配列される。
【0042】
保持部材340は、挟込方向(z方向)に弾性変形可能な弾性部材を含んでもよい。例えば、植付爪320と保持部材340との間に苗ブロックSBが挿入される間、保持部材340の弾性変形により、植付爪320と保持部材340との間の距離は、苗ブロックSBの挿入前と比べて3%以上30%以下の範囲で変化してもよい。
【0043】
押出部材330は、プッシュロッド332と、押付片334とを有する。プッシュロッド332は、アーム部310から延びており、アーム部310に対して伸縮する。押付片334は、プッシュロッド332の先端に取り付けられており、押付片334は、プッシュロッド332の伸縮とともに移動する。
【0044】
押付片334を+x方向側から-x方向側に見た場合、押付片334は、U字形状である。押付片334は、第1側面部334aと、第2側面部334bと、連結部334cとを有する。第1側面部334aは、-y方向側に位置し、第2側面部334bは、+y方向側に位置する。第1側面部334aおよび第2側面部334bは、-z方向側において連結部334cと連結しており、第1側面部334aと、第2側面部334bとは、連結部334cを介して一体化される。第1側面部334aは、連結部334cを介して第2側面部334bと対向する。
【0045】
第1側面部334aを-y方向側から+y方向側に見た場合、第1側面部334aは、略台形状を有する。第1側面部334aの高さ(z方向に沿った長さ)は、-x方向側に進むにつれて小さくなる。同様に、第2側面部334bを+y方向側から-y方向側に見た場合、第2側面部334bは、略台形状を有する。第2側面部334bの高さ(z方向に沿った長さ)は、-x方向側に進むにつれて小さくなる。
【0046】
本明細書において、第1側面部334aの-y方向外側端部と第2側面部334bの+y方向外側端部との間の長さ(y方向に沿った長さ)を押付片334の幅と記載することがある。押付片334の幅は、植付爪320の幅と略等しくてもよく、植付爪320の幅よりも若干短くてもよい。また、押付片334の幅は、苗ブロックSBの幅(y方向に沿った長さ)と略等しくてもよく、苗ブロックSBの幅よりも若干短くてもよい。押付片334の幅が苗ブロックSBの幅(y方向に沿った長さ)の半分よりも大きいことにより、苗ブロックSBの特定部分に過剰な力を付与することなく苗ブロックSBを押し出しできる。
【0047】
植付爪320が苗ブロックSBを掻き取って苗ブロックSBを圃場まで運ぶと、プッシュロッド332は、苗ブロックSBとともに押付片334を押し出す。これにより、苗ブロックSBは圃場に植え付けられる。例えば、プッシュロッド332が、アーム部310に対して伸びると、押付片334が押出方向(+x方向)に押し出される。詳細には、プッシュロッド332は、連結部334cの-x方向側端部を押圧する。
【0048】
なお、図2に示した苗植付装置300では、保持部材340は、取付部材350を介してアーム部310に取り付けられたが、本実施形態はこれに限定されない。取付部材350は、アーム部310を支持する支持部材(図2には図示せず)に取り付けられてもよい。
【0049】
また、図2に示した苗植付装置300では、保持部材340は、取付部材350を介してアーム部310に取り付けられたが、本実施形態はこれに限定されない。保持部材340は、アーム部310に直接取り付けられてもよい。
【0050】
上述したように、苗植付装置300は、苗ブロックSBを取り出して苗ブロックSBを保持しながら畝上面まで運んで植え付ける。このため、苗植付装置300は、苗ブロックSBの種類およびサイズ等に応じて調整および/または変更されることが好ましい。例えば、移植する苗ブロックSBの種類またはサイズを変更する場合、植付爪320、押出部材330および保持部材340は、調整および/または変更されることが好ましい。一例として、苗ブロックSBの種類およびサイズ等に応じて、植付爪320の幅、植付爪320と保持部材340との間の間隔等を調整および/または変更することが好ましい。
【0051】
次に、図1図3を参照して、本実施形態の苗植付装置300の動作を説明する。図3(a)~図3(c)は、苗植付装置300による苗ブロックSBの植え付け工程を説明するための模式図である。なお、図3(a)~図3(c)から理解されるように、苗植付装置300は苗ブロックSBの取り出し・運搬および植え付けを行うように回転する。このため、押出方向(+x方向)の向きは、タイミングに応じて異なる方向を示す。
【0052】
図3(a)に示すように、苗植付装置300は、植え付け対象となる苗ブロックSBに接近する。ここで、苗ブロックSBは、取出位置に位置する。
【0053】
図3(b)に示すように、苗植付装置300は、苗ブロックSBにさらに接近して、苗ブロックSBと接触する。詳細には、植付爪320が、鉛直上方側から苗ブロックSBに接近して鉛直上方側から苗ブロックSBに接触するとともに、保持部材340が、鉛直下方側から苗ブロックSBに接近して鉛直下方側から苗ブロックSBに接触する。植付爪320および保持部材340の両方が、苗ブロックSBと接触して苗ブロックSBを掴んだまま移動する。このようにして植付爪320および保持部材340は、苗ブロックSBの取り出しを開始する。典型的には、植付爪320および保持部材340は苗ブロックSBにほぼ同時に接触して、苗ブロックSBを挟んだまま移動し続ける。植付爪320が苗ブロックSBに接触するタイミングと、保持部材340が苗ブロックSBに接触するタイミングとがずれる場合、典型的には、タイミングの差は、0.5秒以下であり、0.3秒以下であってもよい。
【0054】
苗ブロックSBは、植付爪320および保持部材340によって取り出される。実際には、植付爪320および保持部材340が、苗載台210の取出位置に載置された苗ブロックSBに接近して苗ブロックSBの取り出しを開始する。ただし、苗植付装置300を基準とすると、苗ブロックSBが、植付爪320および保持部材340のそれぞれに対して、植付爪320および保持部材340の手前側から植付爪320および保持部材340の奥側に進入する。本明細書において、植付爪320および保持部材340のそれぞれについて、+x方向側を手前側と記載し、-x方向側を奥側と記載することがある。
【0055】
その後、植付爪320および保持部材340は、苗ブロックSBを保持した状態で、苗ブロックSBを畝上面まで運ぶ。
【0056】
図3(c)に示すように、苗植付装置300は、圃場に進入して苗ブロックSBを圃場に植え付ける。苗植付装置300が圃場に貫入するときに、保持部材340は、圃場への貫入方向に対して、苗ブロックSBの多くの面積を覆う。このため、保持部材340が、圃場と直接的に衝突する一方で、苗ブロックSBの大部分は、圃場とは直接的には衝突しない。このため、苗ブロックSBの植付姿勢を向上できるとともに苗ブロックSBの変形を抑制できる。
【0057】
植付爪320と保持部材340とによって保持された苗ブロックSBが圃場内に進入すると、押出部材330が苗ブロックSBを押し出す。より詳細には、プッシュロッド332がアーム部310から伸びて押付片334とともに苗ブロックSBに押し出す。これにより、苗ブロックSBは、植付爪320および保持部材340から脱離して、圃場に植え付けられる。
【0058】
以上のように、本実施形態の苗植付装置300は、苗ブロックSBを取り出して、圃場に運搬し、圃場に植え付ける。苗ブロックSBは、取り出しの開始から運搬され圃場に植え付けられるまで植付爪320および保持部材340に保持されるため、苗ブロックの落下を抑制できる。また、苗ブロックSBは取り出しを開始する際に、植付爪320および保持部材340に接触されているため、苗ブロックSBを持ち代えることなく苗ブロックSBを圃場まで速やかに運搬でき、苗ブロックSBを効率的に植え付けできる。さらに、苗ブロックSBは、植付爪320および保持部材340に挟み込まれるため、苗ブロックSBのサイズの変動にかかわらず、苗ブロックSBを適切に植え付けできる。
【0059】
次に、図1図5を参照して苗植付装置300による苗ブロックSBの植え付けをより詳細に説明する。図4(a)~図4(d)および図5(a)~図5(d)は、苗植付装置300による苗ブロックSBの植え付け工程を説明するための模式図である。
【0060】
図4(a)に示すように、苗植付装置300の植付爪320および保持部材340は、苗載台210の取出位置に位置する苗ブロックSBに接近する。このとき、押出部材330は、奥側に位置する。詳細には、プッシュロッド332がアーム部310に対して縮んでおり、押付片334は奥側に位置する。
【0061】
図4(b)に示すように、苗植付装置300の植付爪320および保持部材340が苗ブロックSBにさらに接近する。このとき、押出部材330は、奥側のままである。
【0062】
図4(c)に示すように、苗植付装置300の植付爪320および保持部材340が苗ブロックSBにさらに接近する。植付爪320は、苗ブロックSBの鉛直上方側から苗ブロックSBに接近し、保持部材340は、苗ブロックSBの鉛直下方側から苗ブロックSBに接近する。典型的には、苗ブロックSBの鉛直上方は、他の苗ブロックSBと連結しており、列方向に隣接する苗ブロックSBの間にはスリットが設けられる。植付爪320は、苗ブロックSBの間のスリットに進入する。このとき、保持部材340は、苗ブロックSBを介して植付爪320に対して対向する位置に苗ブロックSBの側面と接触する。
【0063】
図4(d)に示すように、苗植付装置300の植付爪320および保持部材340が苗ブロックSBと接触する。植付爪320は、苗ブロックSBの鉛直上方側から苗ブロックSBに接触し、保持部材340は、苗ブロックSBの鉛直下方側から苗ブロックSBを支持する。ここでは、植付爪320がスリットに進入することにより、植え付け対象となる苗ブロックSBが苗マットSMから分断される。また、分断された苗ブロックSBは、植付爪320と保持部材340とに挟まれる。これより、植付爪320と保持部材340とによって苗ブロックSBの取り出しを開始する。
【0064】
図5(a)に示すように、植付爪320と保持部材340との間で挟まれて保持された苗ブロックSBは、苗載台210から離れて運搬される。なお、典型的には、植付爪320および保持部材340が苗ブロックSBの取り出しを開始して苗ブロックSBを圃場に植え付けて苗載台210に再び戻るまでの間に、苗載台210は、次の植え付け対象となる苗ブロックSBを取出位置に移動させる。
【0065】
図5(b)に示すように、苗ブロックSBは植付爪320および保持部材340に挟まれた状態で運搬され、圃場に近づく。
【0066】
図5(c)に示すように、植付爪320および保持部材340に挟まれた苗ブロックSBが圃場に到達する。このとき、押出部材330が、苗ブロックSBを圃場に向けて押し出す。これにより、苗ブロックSBは、圃場に植え付けられる。
【0067】
図5(d)に示すように、植付爪320、押出部材330および保持部材340により、苗ブロックSBを植え付ける。その後、苗植付装置300は、圃場から離れ、苗載台210に載置された次の苗ブロックSBを植え付けるために苗載台210に戻る。
【0068】
以上のように、苗植付装置300が、苗載台210と圃場との間を往復することにより、苗ブロックSBを連続的に植え付けできる。このとき、苗植付装置300が苗ブロックSBの取り出しを開始する際に、植付爪320と保持部材340とが苗ブロックSBと接触するため、苗ブロックSBの落下を抑制しながら苗ブロックSBを効率的に植え付けできる。
【0069】
なお、苗植付装置300は、苗ブロックSBを取り出してから苗ブロックSBを圃場に植え付けるまで、苗ブロックSBを適切に保持することが好ましい。
【0070】
次に、図6を参照して、本実施形態の苗植付装置300を説明する。図6(a)~図6(c)は、本実施形態の苗植付装置300の模式図である。
【0071】
図6(a)に示すように、保持部材340は、本体部340pと、先端部340qとを有する。先端部340qは、保持部材340の押出方向に沿った先端側に位置する。本体部340pおよび先端部340qは互いに連結する。ここでは、本体部340pおよび先端部340qは、それぞれ直線状に延びる。詳細には、本体部340pは、植付爪320と平行に、押出方向に沿って延びる。先端部340qは、植付爪320から離れるように本体部340pに対して折れ曲がる。先端部340qの長さLqは、本体部340pの押出方向に沿った長さLpよりも小さい。また、植付爪320と先端部340qとの間の間隔Iqは、植付爪320と本体部340pとの間の間隔Ipよりも長い。
【0072】
また、苗ブロックSBは、本体部分SBpと、表面部分SBqとを有する。表面部分SBqは、本体部分SBpよりも苗植付装置300側に位置する。このため、苗ブロックSBが圃場に植え付けられた場合、表面部分SBqは、圃場表面側に位置する。
【0073】
本体部分SBpおよび表面部分SBqは互いに連結する。表面部分SBqには、苗マットSMにおいて列方向に隣接する苗ブロックSBの間に設けられたスリットに対応する窪みが設けられる。このため、表面部分SBqの挟込方向(z方向)に沿った長さWqは、本体部分SBpの挟込方向(z方向)に沿った長さWpよりも短い。
【0074】
図6(a)において、苗ブロックSBのうちの挟込方向(z方向)に沿った長さは2段階に変化する。苗ブロックSBのうちの挟込方向(z方向)に沿った最も長い幅は長さWpであり、苗ブロックSBのうちの挟込方向(z方向)に沿った最も短い幅は長さWqである。なお、ここでは、図面および説明が過度に複雑になることを避けるために、苗ブロックSBにおける挟込方向に沿った長さが2段階に変化しているが、苗ブロックSBにおける挟込方向に沿った長さは、3以上の段階に変化してもよい。あるいは、苗ブロックSBにおける挟込方向に沿った長さは、連続的に変化してもよい。
【0075】
苗植付装置300の間隔Ipは、苗ブロックSBの表面部分SBqの長さWqよりも長く、苗ブロックSBの本体部分SBpの長さWpよりも短い。また、苗植付装置300の間隔Iqは、苗ブロックSBの本体部分SBpの長さWpよりも長い。
【0076】
図6(b)に示すように、植付爪320は、苗ブロックSBの本体部分SBpに接近し、保持部材340は、苗ブロックSBの本体部分SBpに接近する。
【0077】
図6(c)に示すように、植付爪320は、苗ブロックSBの本体部分SBpにさらに接近し、苗ブロックSBの本体部分SBpと接触する。また、保持部材340は、苗ブロックSBの本体部分SBpにさらに接近し、苗ブロックSBの本体部分SBpと接触する。これにより、植付爪320および保持部材340は、苗ブロックSBを保持する。植付爪320および保持部材340は、ほぼ同時に、苗ブロックSBの本体部分SBpと接触し、苗ブロックSBを保持する。
【0078】
植付爪320と保持部材340の先端部340qとの間の間隔Iqは、苗ブロックSBの本体部分SBpの長さWpよりも大きく、植付爪320と保持部材340の本体部340pとの間の間隔Ipは、苗ブロックSBの本体部分SBpの長さWpよりも小さい。このため、植付爪320と保持部材340の本体部340pとは、苗ブロックSBの本体部分SBpと接触する。
【0079】
苗植付装置300において、植付爪320と保持部材340との間の間隔は、手前側において広がり、奥側において狭い。このため、植付爪320と保持部材340とが苗ブロックSBに対して適度に圧力を付与する。したがって、植付爪320および保持部材340は苗ブロックSBを強固に保持でき、押出部材330が苗ブロックSBを押し出す前に苗ブロックSBが植付爪320および保持部材340から脱離することを抑制できる。
【0080】
なお、図6において、保持部材340の本体部340pは、押出方向に平行であり、また、植付爪320と平行に延びたが、本実施形態はこれに限定されない。保持部材340の本体部340pは、押出方向および/または植付爪320と平行でなくてもよい。例えば、保持部材340の本体部340pは、押出方向(+x方向)に沿って進むにしたがって植付爪320との距離が短くなるように配置されてもよい。
【0081】
次に、図7を参照して、本実施形態の苗植付装置300を説明する。図7(a)および図7(b)は、本実施形態の苗植付装置300の模式図である。
【0082】
図7(a)に示すように、保持部材340の先端部340qと本体部340pとの境界部分と植付爪320との間の距離は、保持部材340の本体部340pと植付爪320との間の距離よりも短い。このように、植付爪320と保持部材340との間の距離は、手前側から奥側に向かって一旦狭くなり、その後さらに奥側に向かって広がってもよい。この場合、植付爪320および保持部材340の奥側の距離は比較的広いため、植付爪320と保持部材340との間に一旦挟み込んだ苗ブロックSBが運搬中に脱離することを抑制できる。
【0083】
また、図7(b)に示すように、保持部材340を植付爪320に近づく方向に付勢する付勢部材352をさらに備えてもよい。付勢部材352は、保持部材340の先端を植付爪320に近づく方向に付勢する。例えば、付勢部材352は、コイルバネまたは板バネを含む。ここでは、付勢部材352は、保持部材340を鉛直方向下方側に引くように付勢する。保持部材340は、支軸354によって支持される。
【0084】
付勢部材352は、保持部材340の奥側を-z方向に引くように付勢する。保持部材340は、支軸354を中心に回転して、保持部材340の先端が植付爪320に近づく方向に移動する。
【0085】
保持部材340は、第1部分340sと、第2部分340tとを有する。第1部分340sおよび第2部分340tは、それぞれ長手方向に延びており、互いに連結する。第1部分340sは、第2部分340tよりも保持部材340の手前側に配置される。ここでは、第1部分340sの押出方向に沿った長さは、第2部分340tの押出方向に沿った長さよりも大きい。保持部材340が植付爪320とともに苗ブロックSBを保持する場合、保持部材340の第1部分340sが苗ブロックSBと接触する。
【0086】
ここでは、支軸354は、第1部分340sと第2部分340tとの境界に位置する。付勢部材352は、保持部材340の第2部分340tを引くように付勢するため、保持部材340は、支軸354を中心に回転して、保持部材340の第1部分340sが植付爪320に近づく方向に移動する。
【0087】
なお、苗ブロックSBの取り出しを開始する際には、保持部材340は、苗ブロックSBを強く保持する一方で、押出部材330によって苗ブロックSBを植え付ける際には、苗ブロックSBは、保持部材340から滑らかに離れることが好ましい。
【0088】
次に、図8を参照して、本実施形態の苗植付装置300を説明する。図8は、苗植付装置300における保持部材340の模式図である。
【0089】
図8に示すように、保持部材340には、突起342が設けられる。詳細には、保持部材340は、植付爪320と対向する対向面340aと、対向面340aの裏側に位置する裏側面340bとを有する。突起342は、対向面340aに設けられ、対向面340aから突起する。
【0090】
突起342は、長手方向(押出方向)に直線状に延びる。突起342は、第1部分342aと、第2部分342bとを含む。第1部分342aおよび第2部分342bは、それぞれ長手方向に延びており、互いに連結する。
【0091】
第1部分342aの高さは、保持部材340の長手方向の手前側から奥側までの位置の変化に応じて急に増加し、第2部分342bの高さは、保持部材340の長手方向の手前側から奥側までの位置の変化に応じてなだらかに減少する。また、第1部分342aのy軸方向の幅は、第1部分342aの手前側において比較的広く、長手方向の手前側から奥側までの位置の変化に応じて徐々に小さくなる。第2部分342bのy軸方向の幅は、長手方向に沿って長手方向の手前側から奥側までの位置の変化に応じて徐々に小さくなる。
【0092】
このため、保持部材340が植付爪320とともに苗ブロックSBの取り出しを開始する際に、苗ブロックSBは、保持部材340の第1部分342aを越えて保持部材340の長手方向に手前側から奥側に進入する。その後、保持部材340が植付爪320とともに苗ブロックSBの保持したまま圃場まで移動する間、苗ブロックSBは、保持部材340の第2部分342bを越えて保持部材340の長手方向に奥側から手前側に戻ることが抑止される。したがって、保持部材340の突起342により、苗ブロックSBが途中で落下することをさらに抑制できる。
【0093】
一方で、押出部材330が苗ブロックSBを連続的に押し出す場合、苗ブロックSBは、第2部分342bを越えて保持部材340の長手方向に奥側から手前側に押し出される。
【0094】
なお、図8では、1つの保持部材340に2本の突起342が設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。1つの保持部材340に3つ以上の突起342が設けられてもよい。あるいは、1つの保持部材340に設けられる突起342は1つであってもよい。
【0095】
図2図7では、1つの苗植付装置300について説明した。なお、1枚の植付ロータケース220に2以上の苗植付装置300が取り付けられてもよい。
【0096】
次に、図9を参照して、本実施形態の苗植付装置300を説明する。図9は、植付ロータケース220に取り付けられた2つの苗植付装置300の模式図である。
【0097】
図9に示すように、植付ロータケース220には、苗植付装置300Aと、苗植付装置300Bとが取り付けられる。苗植付装置300Aは、アーム部310Aと、植付爪320Aと、押出部材330Aと、保持部材340Aとを備える。苗植付装置300Bは、アーム部310Bと、植付爪320Bと、押出部材330Bと、保持部材340Bとを備える。苗植付装置300Bは、苗植付装置300Aと同様の構成を有する。
【0098】
苗植付装置300Aおよび苗植付装置300Bは、植付ロータケース220の両端に配置される。苗植付装置300Aは、植付ロータケース220の長手方向の一端に配置され、苗植付装置300Bは、植付ロータケース220の長手方向の他端に配置される。このため、苗植付装置300Aは、植付ロータケース220の回転軸220Aに対して一方側に配置され、苗植付装置300Bは、植付ロータケース220の回転軸220Aに対して他方側に配置される。したがって、植付ロータケース220が回転軸220Aを中心に1回転すると、苗植付装置300Aおよび苗植付装置300Bは、それぞれ苗ブロックSBを圃場に植え付けできる。これにより、2倍の速度で苗ブロックSBを圃場に植え付けできる。
【0099】
次に、図9および図10を参照して、本実施形態の苗植付装置300を説明する。図10は、植付ロータケース220に取り付けられた2つの苗植付装置300による苗ブロックSBの植付を説明するための模式図である。図10は、苗植付装置300Aによって掻き取った苗ブロックSBaを圃場に植え付けるとともに、苗植付装置300Bによって苗ブロックSBbを掻き取る直前を示す。
【0100】
図10に示すように、植付ロータケース220が回転軸220Aを中心に回転することにより、苗植付装置300Aが苗ブロックSBaを掻き取り、苗植付装置300Aは、掻き取った苗ブロックSBaを圃場に植え付ける。なお、図10は、苗植付装置300Aが苗ブロックSBaを圃場に植え付ける直前の様子を示す。
【0101】
また、苗植付装置300Bは、苗植付装置300Aが苗ブロックSBaを圃場に植え付けるタイミングで新たな苗ブロックSBbを掻き取る。なお、植付ロータケース220に対する苗植付装置300Aのアーム部310Aの角度および植付ロータケース220に対する苗植付装置300Bのアーム部310Bの角度は、苗植付装置300Aおよび苗植付装置300Bの位置に応じて適宜制御される。
【0102】
なお、図1に示した苗移植機100は、オペレータが乗車して運転しながら苗移植を行う乗用型であったが、本実施形態はこれに限定されない。苗移植機は、オペレータが圃場を歩行しながら苗移植を行う歩行型であってもよい。
【0103】
また、図2および図4に示した苗植付装置300は、複数に連結された苗ブロックSBから対象となる1つの苗ブロックSBを掻き取って取り出したが、本実施形態はこれに限定されない。苗植付装置300は、予め分離された複数の苗ブロックSBから1つの苗ブロックSBを取り出してもよい。
【0104】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、苗植付装置および苗移植機に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0106】
100 苗移植機
110 走行機体
200 苗植付作業機
210 苗載台
300 苗植付装置
310 アーム部
320 植付爪
330 押出部材
340 保持部材
340p 本体部
340q 先端部
342 突起
350 取付部材
352 付勢部材
SB 苗ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10