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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/21 20060101AFI20240924BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H04N1/21
H04N1/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020152245
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2021090187
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2019210869
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 和寛
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-065884(JP,A)
【文献】特開2018-033087(JP,A)
【文献】特開平05-122469(JP,A)
【文献】特開平06-014159(JP,A)
【文献】特開平11-220583(JP,A)
【文献】特開2004-201229(JP,A)
【文献】特開2016-054411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/21
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を含む画像形成装置において、
原稿の画像の読み取りの開始の指示に基づいて前記原稿の画像を読み取り、読取結果に対応する画素データを出力する画像読取部と、
前記画像読取部から出力された画素データをデータバスを介して前記画像形成部に転送する第1の処理と、前記画像形成装置の外部の機器から入力されたデータを前記記録媒体に画像を形成するための画素データに変換し、前記変換された画素データを前記データバスを介して前記画像形成部に転送する第2の処理と、を実行する制御部と、
を有し、
前記画像形成部は、前記データバスを介して転送されてくる画素データに基づいて、前記記録媒体に画像を形成し、
前記画像読取部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中でない場合は前記の読取結果に対応する画素データを第1の周期で出力し、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中である場合は前記読取結果に対応する画素データを前記第1の周期よりも長い2の周期で出力し、
前記画像読取部は、前記第1の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データ区間の追加を行わず、前記第2の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データ区間の追加を行い、1つの周期における出力データとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、クロック信号を生成する生成部を有し、
前記画像読取部は、前記クロック信号に同期して、前記読取結果に対応する画素データを出力し、
前記生成部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中でない場合は前記クロック信号の周波数を第1の値として、前記クロック信号の周期を前記第1の周期として前記クロック信号を生成し、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中である場合は前記クロック信号の周波数を前記第1の値として、前記クロック信号の周期を前記第2の周期として前記クロック信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、
前記クロック信号のパルスの数をカウントするカウンタ部と、
前記カウンタ部のカウントが所定カウントに到達すると所定の信号を出力する出力部と、
を有し、
前記所定の信号が出力される周期は前記第2の周期よりも長く、
前記画像読取部は、前記所定の信号の1周期内に、所定の数の画素データを出力することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を含む画像形成装置において、
同期信号を出力する力部と、
原稿の画像の読み取りの開始の指示に基づいて前記原稿の画像を読み取り、読取結果に対応する画素データを前記同期信号に基づいて出力する画像読取部であって、前記同期信号の1周期内において所定の数の前記読取結果に対応する前記画素データを出力する画像読取部と、
前記画像読取部から出力された画素データをデータバスを介して前記画像形成部に転送する第1の処理と、前記画像形成装置の外部の機器から入力されたデータを前記記録媒体に画像を形成するための画素データに変換し、前記変換された画素データを前記データバスを介して前記画像形成部に転送する第2の処理と、を実行する制御部と、
を有し、
前記画像形成部は、前記データバスを介して転送されてくる画素データに基づいて、前記記録媒体に画像を形成し、
前記出力部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中でない場合は第1の周期で前記同期信号を出力し、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中である場合は前記第1の周期よりも長い第2の周期で前記同期信号を出力し、
前記画像読取部は、前記第1の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データの追加を行わず、前記第2の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データ区間の追加を行い、1つの周期における出力データとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を含む画像形成装置において、
原稿の読み取りの開始の指示に基づいて前記原稿の画像を読み取り、読取結果に対応する画素データを出力する画像読取部と、
前記画像読取部から出力された画素データをデータバスを介して前記画像形成部に転送する第1の処理と、前記画像形成装置の外部の機器から入力されたデータを前記記録媒体に画像を形成するための画素データに変換し、前記変換された画素データを前記データバスを介して前記画像形成部に転送する第2の処理と、を実行する制御部と、
を有し、
前記画像形成部は、前記データバスを介して転送されてくる画素データに基づいて、前記記録媒体に画像を形成し、
前記画像読取部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中であって且つ前記画像形成部によって形成されるべき画像の解像度が第1の解像度である場合は、前記読取結果に対応する画素データを第1の周期で出力し、
前記画像読取部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中であって且つ前記画像形成部によって形成されるべき画像の解像度が前記第1の解像度より高い第2の解像度である場合は、前記読取結果に対応する画素データを前記第1の周期よりも長い第2の周期で出力し、
前記画像読取部は、前記第1の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データの追加を行わず、前記第2の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データ区間の追加を行い、1つの周期における出力データとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
記録媒体に画像を形成する画像形成部を含む画像形成装置において、
同期信号を出力する力部と、
原稿の読み取りの開始の指示に基づいて前記原稿の画像を読み取り、読取結果に対応する画素データを前記同期信号に基づいて出力する画像読取部であって前記同期信号の1周期内において所定の数の画素データを出力する画像読取部と、
前記画像読取部から出力された画素データをデータバスを介して前記画像形成部に転送する第1の処理と、前記画像形成装置の外部の機器から入力されたデータを前記記録媒体に画像を形成するための画素データに変換し、前記変換された画素データを前記データバスを介して前記画像形成部に転送する第2の処理と、を実行する制御部と、
前記画像形成部は、前記データバスを介して転送された画素データに基づいて、前記記録媒体に画像を形成し、
前記出力部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中でなく且つ前記画像形成部によって形成されるべき画像の解像度が第1の解像度である場合は、前記同期信号を第1の周期で出力し、
前記出力部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中でなく且つ前記画像形成部によって形成されるべき画像の解像度が前記第1の解像度より高い第2の解像度である場合は、前記同期信号を前記第1の周期よりも長い2の周期で出力し、
前記画像読取部は、前記第1の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データの追加を行わず、前記第2の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データ区間の追加を行い、1つの周期における出力データとすることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置によって読み取られた画像に基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機やマルチファンクションプリンタは、原稿の画像を読み取る画像読取装置によって読み取られた画像データ、読み取られた画像データが印刷用に変換された画像データ、外部の装置に送信するための画像データ、PCから送られてくるPDLデータを展開した画像データなど多様な画像データを扱っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-238038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、これらの画像データが、共通の画像データバスを経由して装置の各種画像処理部に転送されて必要な処理がなされた後、外部機器やプリンタへ転送される構成が記載されている。前記特許文献1には、画像読取装置によって得られた画像データと印刷用の画像データとを、共通の画像データバス上で1ライン単位で交互に転送することが記載されている。この結果、画像読取装置によって得られた画像データを外部のコンピュータに転送する動作と、印刷用の画像データを外部の機器からプリンタに転送する印刷動作と、を共通の画像データバスを用いて同時に実行することができることが記載されている。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1においては、画像データバスの帯域の使用量が画像データバスにおける帯域の上限に達してしまう場合がある。このような状況になると、処理が追いつかなくなり、エラーが発生して装置が停止するなど、装置に不具合が生じてしまう。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、データバスの帯域の使用量が上限に達することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、
記録媒体に画像を形成する画像形成部を含む画像形成装置において、
原稿の画像の読み取りの開始の指示に基づいて前記原稿の画像を読み取り、読取結果に対応する画素データを出力する画像読取部と、
前記画像読取部から出力された画素データをデータバスを介して前記画像形成部に転送する第1の処理と、前記画像形成装置の外部の機器から入力されたデータを前記記録媒体に画像を形成するための画素データに変換し、前記変換された画素データを前記データバスを介して前記画像形成部に転送する第2の処理と、を実行する制御部と、
を有し、
前記画像形成部は、前記データバスを介して転送されてくる画素データに基づいて、前記記録媒体に画像を形成し、
前記画像読取部は、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中でない場合は前記の読取結果に対応する画素データを第1の周期で出力し、前記指示が入力された際に前記制御部が前記第2の処理を実行中である場合は前記読取結果に対応する画素データを前記第1の周期よりも長い2の周期で出力し、
前記画像読取部は、前記第1の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データ区間の追加を行わず、前記第2の周期で出力する場合、原稿の画像を読み取った画素データを出力した後、画素データが出力されない空データ区間の追加を行い、1つの周期における出力データとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、データバスの帯域の使用量が上限に達することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
図2】第1実施形態に係るブロック図である。
図3】画像データ出力制御部105に係るブロック図である。
図4】第1実施形態に係る制御フローを説明する図である。
図5】水平同期信号HSYNC周期と読み取り画像データの画素構成を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。
【0011】
図1は、本実施形態で用いられるモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)1の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
【0012】
以下に、図1を用いて、画像形成装置1の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置1は、画像読取装置100及び画像印刷装置301を有する。
【0013】
原稿積載部2に積載された原稿Pは、ピックアップローラ3によって1枚ずつ給送され、その後、給送ローラ4によって更に下流へと搬送される。給送ローラ4と対向する位置には、給送ローラ4に圧接する分離ローラ5が設けられている。分離ローラ5は、該分離ローラ5に所定のトルク以上の負荷トルクがかかると回転する構成となっており、2枚重なった状態で給送された原稿を分離する機能を有する。
【0014】
ピックアップローラ3と給送ローラ4は揺動アーム12によって連結されている。揺動アーム12は、給送ローラ4の回転軸を中心にして回動できるように給紙ローラ4の回転軸によって支持されている。
【0015】
原稿Pは、給送ローラ4、搬送ローラ6等の各種搬送ローラによって搬送されて、排紙ローラ11によって排紙トレイ10へ排出される。
【0016】
搬送される原稿の第1面の画像を読み取る原稿読取部16に読み取られた画像を表す画素データは、後述の画像読み取り制御部101へ出力される。なお、原稿読取部16によって読み取られた画像は複数の画素によって表され、画素データは1画素分のデータに対応する。なお、以下では、画素データを画像データとも呼ぶ。
【0017】
また、搬送される原稿の第2面の画像を読み取る原稿読取部17に読み取られた画像を表す画像データは、原稿読取部16において説明した方法と同様にして画像読み取り制御部101へ出力される。
【0018】
前述の如くして、原稿の読取が行われる。
【0019】
原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、上述した方法で搬送される原稿の画像を読み取るモードである。第2読取モードは、原稿ガラス214(透明部材)上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する原稿読取部16によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
【0020】
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
【0021】
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、ピックアップローラ303によって給送されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、ピックアップローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
【0022】
画像読取装置100から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、原稿読取装置200から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
【0023】
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。レジストレーションローラ308は、転写帯電器315によって記録媒体に画像が転写される転写タイミングに合わせて記録媒体を転写位置へ送り込む。
【0024】
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。
【0025】
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
【0026】
図2は本実施形態にかかる画像形成装置1のブロック図である。なお、画像読み取り制御部101、メインコントローラ部107は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
【0027】
画像読み取り制御部101は、画像読取装置100に設けられ、原稿読取部16、17から送られてくる画像データの処理、及び、画像読取装置100の制御を行う。読み取り画像データ受信部102は原稿読取部16、17から出力されてくる画像データを受信する。シェーディング補正部103は画像データに対してシェーディング補正を行う。
【0028】
バッファメモリ104はシェーディング補正後の画像データを保持する。スキャナ画像データ出力制御部105はメインコントローラー部107への画像データの出力を制御する。スキャナ画像データ出力制御部105は、バッファメモリ104に記憶されている画像データを1ラインずつ読み出して出力する。なお、バッファメモリ104から読み出す画像データのデータレート(周波数)は任意の値が設定可能であり、1ライン内の画像データ画素数も任意の値に設定することが可能になっている。なお、バッファメモリ104は読み取り画像データを複数ページ分保持するページメモリとしてもいいし、複数ライン分の画像データを保持するラインメモリで構成してもいい。
【0029】
CPU106は、画像読取装置100、画像読み取り制御部101の各構成を制御する。
【0030】
メインコントローラー部107は画像読み取り制御部101から受信した画像データおよび外部から受信したPDLデータに対して処理を行う。スキャナ画像データ受信部108はスキャナ画像データ出力制御部105が出力する画像データを受信する。スキャナー画像処理部109は、スキャナ画像データ受信部108が受信した画像データに対して、例えば、画像印刷装置301が画像データに対応する画像形成(印刷)を行うための処理(色変換処理等)を行う。画像データバス110は画像データを転送することが可能なデータバスであり、各種制御部と接続されており、装置全体の画像データをやり取りするバスとしての役目を担っている。
【0031】
スキャナー画像処理部109による処理が施された画像データは出力部118を介して、画像印刷装置301を制御する印刷制御部400に送られる。印刷制御部400は、画像印刷装置301に設けられる。なお、メインコントローラ部は、画像読取装置100に設けられてもよいし、画像印刷装置301に設けられてもよい。
【0032】
プリンタ画像処理部111は、外部のコンピュータから送られてきたPDLデータをビットマップデータに変換し、画像印刷装置301が画像データに対応する画像形成(印刷)を行うための画像データを生成する。生成された画像データは出力部118を介して、画像印刷装置301を制御する印刷制御部400に送られる。
【0033】
画像圧縮部112は、画像データバス110を介してスキャナー画像処理部109から送られてくる画像データをjpeg形式などに圧縮する処理を行う。RAM113は、画像データバス110上を流れる画像データのバッファとして機能し、必要に応じて画像データの出し入れを行うものである。画像データバス110の帯域の使用量が上限に達するような場合には、データ帯域を確保するために、上限に達する前に画像データがRAM113に一時的に退避され、画像データバス110に流れる画像データの量が低減される。
【0034】
システムバス114はメインコントローラー部107を制御するためのデータが流れる制御バスである。画像データバスI/F115はシステムバス114と画像データバス110とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
【0035】
ネットワークI/F116は、LANなど外部のネットワーク機器とのデータをやりとりする回路である。例えば、画像読取装置100で読み取った原稿画像を外部に送信する場合には、スキャナー画像処理部109からの画像データが、画像データバス110を介して画像圧縮部112に送られ、jpeg圧縮される。そして、圧縮された画像データが画像データバスI/F115、システムバス114を介してネットワークI/F116から外部機器に送信される。ネットワークI/F116は外部機器からもデータを受信する。受信した印刷用PDLデータはシステムバス114、画像データバスI/F115を介して画像データバス110に流され、プリンタ画像処理部111に送られ、その後、印刷制御部400へ出力される。システムバス114にはファックスモデムや、ユーザー操作のための操作部I/Fを介して操作部120も接続されている。
【0036】
CPU117は、メインコントローラー部107全体の制御を司っている。CPU117は、画像読み取り制御部101のCPU106と通信可能であり、画像読み取り制御部101の制御を行う。CPU117は、スキャナ画像データ出力制御部105が画像データを出力する周波数(周期)に対応する画像クロック周波数VCLKの設定と画像データのライン同期信号HSYNCの周期の設定とを画像読み取り制御部101のCPU106を介して実施する。スキャナ画像データ出力制御部105は、画像クロック周波数VCLKに同期して画像データを出力する。
【0037】
図3はスキャナ画像データ出力制御部105の詳細を表したブロック図である。
【0038】
スキャナ画像データ出力制御部105は内部にクロック生成器201と制御信号生成部202を有している。基準クロック発信源200は、水晶発振器などであり、基準クロックを生成する。クロック生成器201はPLLを使用した周波数シンセサイザー回路を内蔵しており、基準クロック信号から任意の周波数のクロック信号を生成可能である。
【0039】
制御信号生成部202は、クロック生成器201が生成したクロック信号を使用し、バッファメモリ104に保持されている画像データを読み出すタイミングを制御する読み出し制御信号と、画像クロック信号VCLKとを生成する。よって、クロック生成器201が生成するクロック信号の周波数を変更することにより、画像クロック信号VCLKの周波数及びバッファメモリ104からの画像データの読み出しタイミングを制御することができる。
【0040】
制御信号生成部202はスキャナ画像データ受信部108に出力する水平同期信号HSYNCも生成する。制御信号生成部202は、画像クロックVCLKと同じクロック周波数で動作するカウンタ回路(不図示)を有している。このカウンタに水平同期信号HSYNCの周期のもととなるカウント値を設定することにより、画像クロックVCLKに同期した任意の周期の水平同期信号HSYNCを生成することができる。つまり、制御信号生成部202が有するカウンタの値を変更することにより水平同期信号の1周期内に含まれる画像クロック信号VCLKの数を変更することができる。
【0041】
レジスタ203は、クロック生成器201が生成するクロック信号の周波数の設定値、制御信号生成部202の水平同期信号HSYNCの周期の設定値(カウント値)を保持する。CPU106はCPU117の指示に基づき、レジスタ203に保持されているクロック信号の周波数の設定値、水平同期信号HSYNCの周期の設定値を変更・設定する。CPU117は画像データバス110の帯域使用量を計算し、計算結果に基づいて、CPU106に対して各設定値の変更の指示を行う。
【0042】
図4は制御フローを説明する図である。図4に示すフローチャートの処理は、CPU117によって実行される。
【0043】
操作部120を介してユーザーからコピーや画像送信など画像読取装置100を使用したジョブの開始の指示をCPU117は受け付ける(S300)。
【0044】
S301は、画像データバス110の使用帯域を計算するステップである。CPU117は投入された読み取りジョブによってこれから使用される画像データバス110の帯域と、現在処理中の印刷などのジョブで使用されている帯域の合計値を計算する。
【0045】
CPU117は、S301で計算された帯域の合計値が第1所定値を超えるかどうかを判定する(S302)。CPU117は、計算された帯域の合計値が第1所定値を超える場合は、処理をS303に進める。なお、第1所定値は、画像データバス110の帯域の上限よりも小さい値である。
【0046】
計算された帯域の合計値が第1所定値を超えない場合、CPU117は読み取りジョブの実行をCPU106に指示する(S307)。この結果、画像読取装置100による原稿の読取が実行される。
【0047】
S303は第一の帯域使用料低減処理である。
【0048】
S303では制御信号生成部202が出力する画像クロック信号VCLKの周波数を小さくする処理が行われる。CPU117は、CPU106に対して、画像クロック信号VCLK周波数を小さくする指示を行う。CPU106は、CPU117からの指示に応じて画像クロック信号VCLKの周波数を変更する。例えば、通常の周波数が50MHzであり、周波数切り替え後の周波数が42.5MHz設定だったとすれば、画像データバス110に占める読み取りジョブによる画像データの帯域の使用量は15%低減される。
【0049】
S302において、S301で計算された帯域の合計値が第1所定値よりも大きい第2所定値を超える場合は、処理をS304に進める。S304は第二の帯域使用料低減処理である。なお、第2所定値は、画像データバス110の帯域の上限よりも小さい値である。
【0050】
S304では水平同期信号HSYNCの周期を拡大する処理が行われる。CPU117はCPU106に対して、水平同期信号HSYNCの周期を拡大させる指示を行い、それを受けたCPU106がレジスタ203の値を書き換えて、水平同期信号HSYNCの周期の切り替えを行う。例えば、通常の周期設定がカウント値=7048、周期=140.96usであり、周期切り替え後のカウント値=10070、周期=201.4usといった具合になる。
【0051】
図5は通常時と水平同期信号の周期拡大後の水平同期信号周期とカウント値、画像データの画素構成を示したものである。図4(a)は通常時の例であり、水平同期信号の1周期内にカウント数が7048ある。水平同期信号の周期の開始タイミングから16画素分の無効画素データが付加され、その後、有効画像画素数が7016画素(A4原稿長手サイズ297mm分)あり、その後、16画素分の無効画素データが付加される画素構成となっている。本実施形態では、16画素分の無効画素データの部分では、制御信号生成部202は画像クロックVCLKをスキャナ画像データ受信部108に出力するが、バッファメモリ104から画像データを読み出すための読み出し制御信号は出力しない。つまり、無効画素データと表記されている16画素分の画像データの間、実際は、画像データはスキャナ画像データ受信部108に出力されない。
【0052】
図4(b)は水平同期信号の周期を切り替えた際の例である。水平同期信号の1周期内にカウント数が10070ある。水平同期信号の周期の開始タイミングから16画素分の無効画素データが付加され、その後、有効画像画素数が7016画素(A4原稿長手サイズ297mm分)あり、その後、空データが3022画素あり、その後、16画素分の無効画素データが付加される画素構成となっている。空データにおける処理は図4(a)の無効画素データと同一の処理が行われる。つまり、空データの区間では、画像クロックVCLKはスキャナ画像データ受信部108に出力されるが、画像データは出力されない。したがって、空データの区間と無効画素データの区間、画像データバス110に画像データは流れない。
【0053】
S302において、S301で計算された帯域の合計値が第2所定値よりも大きい第3所定値を超える場合は、処理をS305に進める。S305及びS306は第三の帯域使用料低減処理である。第三の帯域使用料低減処理は、第一と第二の帯域使用量低減処理の両方を実施するものであり、S305で第一の帯域使用量低減処理を実施し、続いてS306にて第二の帯域使用量低減処理を実施する。なお、第3所定値は、画像データバス110の帯域の上限よりも小さい値である。
【0054】
S303からS306のいずれかの帯域使用量低減処理を実施した後は、処理はS307に移行し、原稿の読み取りが開始される。
【0055】
S308は読み取るべき次原稿の有無を判定するステップである。次原稿がある場合はS307に戻り、原稿読み取りを継続する。次原稿がない場合は、処理はS309に移行する。S309は帯域使用量低減処理で設定した画像クロックVCLKの周波数と水平同期信号HSYNCの周期を通常設定に戻すステップである。設定値を通常時に戻したら、読み取りジョブ終了となる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、画像読取装置100を使用した読取ジョブが投入されると、当該ジョブによって使用される画像データバス110の帯域と、現在処理中の印刷などのジョブで使用されている帯域と、の合計値が算出される。そして、算出された合計値に基づいて、画像クロック周波数VCLK及び水平同期信号の周期が変更される。この結果、データバスの帯域の使用量が上限に達することを防止することができる。
【0057】
なお、帯域使用量低減処理を実施した際に、必要であれば帯域使用量低減処理と併せて、画像読取装置100の原稿の搬送速度を落としてもいいし、原稿と原稿の間隔を空ける制御を実施してもいい。
【0058】
また、本実施形態では、制御信号生成部202が出力する画像クロック信号VCLKの周波数と水平同期信号HSYNCの周期とをCPU117からの指示で、通常時と帯域使用量低減時の2段階で切り替えていたが、2段階に限定するものではない。また、CPU117からCPU106に対して、画像クロック信号VCLKの周波数と水平同期信号HSYNCの周期とを具体的な数値が通知されてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、画像クロック信号VCLKの周波数と水平同期信号HSYNCの周期との切り替えを画像読取装置100のジョブ単位で実施しているが、読み取り画像データのページ単位で実施してもよい。
【0060】
CPU106の機能をCPU117が有していてもよいし、CPU117の機能をCPU106が有していてもよい。
【0061】
なお、画像印刷装置301及び印刷制御部400は画像形成ユニットに含まれる。また、原稿読取部16、17は、画像読取ユニットに含まれる。
【0062】
画像読取装置100を使用した読取ジョブは第1の処理に含まれる。具体的には、スキャナ画像データ出力制御部105から出力された画像データを画像データバス110を介して印刷制御部400へと転送する処理は、第1の処理に含まれる。
【0063】
また、外部機器から送られてきたPDLデータに基づいて画像印刷装置301が画像形成を行う印刷ジョブは第2の処理に含まれる。具体的には、外部機器から送られてきたPDLデータをビットマップデータに変換し、画像印刷装置301が印刷を行うための画像データを生成し、生成された画像データを画像データバス110を介して印刷制御部400へと転送する処理は、第2の処理に含まれる。
【0064】
〔第2実施形態〕
第1実施形態の構成と同様の構成である部分については、説明を省略する。
【0065】
第1実施形態では、投入された読取ジョブによって使用される画像データバス110の帯域と、現在処理中の印刷などのジョブで使用されている帯域と、の合計値に基づいて、画像クロック周波数VCLKの周波数、水平同期信号の周期が変更された。本実施形態では、画像読取装置100を使用した読取ジョブが投入された際に、外部機器から送られてきたPDLデータに基づいて画像印刷装置301が画像形成を行う印刷ジョブが実行中であるか否かに基づいて、画像クロック信号VCLKの周波数が変更される。具体的には、読取ジョブが投入された際に、外部機器から送られてきたPDLデータに基づいて画像印刷装置301が画像形成を行う印刷ジョブが実行中である場合は、CPU117は、CPU106に対して、画像クロック信号VCLKの周波数を小さくする指示を行う。一方、読取ジョブが投入された際に、外部機器から送られてきたPDLデータに基づいて画像印刷装置301が画像形成を行う印刷ジョブが実行中でない場合は、CPU117は、画像クロック信号VCLKの周波数の切替を行わない。即ち、本実施形態では、読取ジョブが投入された際に、第2の処理が実行中である場合は、CPU117は、CPU106に対して、画像クロック信号VCLKの周波数を小さくする指示を行う。一方、読取ジョブが投入された際に、第2の処理が実行中でない場合は、CPU117は、画像クロック信号VCLKの周波数の切替を行わない。
【0066】
以上説明したように、本実施形態では、画像読取装置100を使用した読取ジョブが投入された際に、外部機器から送られてきたPDLデータに基づいて画像印刷装置301が画像形成を行う印刷ジョブが実行中であるか否かに基づいて、画像クロック信号VCLKの周波数が変更される。この結果、データバスの帯域の使用量が上限に達することを防止することができる。
【0067】
なお、以下のような構成が適用されてもよい。具体的には、読取ジョブが投入された際に、形成される画像の解像度が第1の解像度に設定された印刷ジョブが実行中である場合は、CPU117は、CPU106に対して、画像クロック信号VCLKの周波数を小さくする指示を行う。一方、読取ジョブが投入された際に、形成される画像の解像度が第1の解像度よりも低い第2の解像度に設定された印刷ジョブが実行中である場合は、CPU117は、画像クロック信号VCLKの周波数の切替を行わない。形成される画像の解像度が高いほど、画像データバス110の帯域の使用量が大きくなるからである。
【0068】
なお、本実施形態では、画像クロック信号VCLKの周波数が変更されたが、この限りではない。例えば、水平同期信号HSYNCの周期が変更されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
16、17 原稿読取部
101 画像読み取り制御部
104 バッファメモリ
105 スキャナ画像データ出力制御部
107 メインコントローラ部
301 画像印刷装置
400 印刷制御部
図1
図2
図3
図4
図5