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特許7558731ケーブルによる車両輸送設備の牽引ケーブルを支持して案内するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ケーブルによる車両輸送設備の牽引ケーブルを支持して案内するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 11/00 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B61B11/00
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020154110
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2021049974
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】1910423
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】サラ、メサウド
(72)【発明者】
【氏名】シルベイン、バライエ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ、クードゥリエ
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02838697(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第113911142(CN,A)
【文献】国際公開第2016/012929(WO,A1)
【文献】特開昭58-145562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 11/00, 7/00,12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引ケーブル(2)を支持して案内するように構成される、滑車(3)と、
主軸(15~23、25)が設けられる、第1の桁(4~8)と、
前記滑車(3)を支持するとともに前記主軸(15~23、25)の周りで回動移動可能に取り付けられる、第2の桁(9~14)と、
を備え、ケーブルによる車両輸送設備の前記牽引ケーブル(2)を支持して案内する、装置であって、
前記第1の桁(4~8)に取り付けられるとともに前記主軸(15~23、25)の破損に対応する異常な動作状態で前記第2の桁(9~14)を捕捉するように構成される、少なくとも1つの回復要素(30~39)と、
前記第2の桁(9~14)が前記主軸(15~23、25)の周りで旋回する正常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素(30~39)から距離を隔てて前記第2の桁(9~14)に取り付けられる、少なくとも1つの協働要素(40~47)と、
を備え、
前記少なくとも1つの協働要素(40~47)は、前記異常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素(30~39)と接触するように構成される、
支持案内装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回復要素(30~39)及び前記少なくとも1つの協働要素(40~47)は、前記異常な動作状態で前記第2の桁(9~14)の旋回を可能にするように形成される、
請求項1に記載の支持案内装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの協働要素(40~47)は、前記第2の桁(9~14)から突出して取り付けられる協働部品に対応し、
前記少なくとも1つの回復要素(30~39)は、前記第1の桁(4~8)に形成されるとともに前記異常な動作状態で前記協働部品を受けるように構成される回復ハウジングに対応する、
請求項1又は2に記載の支持案内装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの協働要素(40~47)は、前記第2の桁(9~14)上に形成される協働ハウジングに対応し、
前記少なくとも1つの回復要素(30~39)は、前記第1の桁(4~8)から突出して取り付けられるとともに前記異常な動作状態で前記協働ハウジングに挿入されるように構成される回復部品に対応する、
請求項1又は2に記載の支持案内装置。
【請求項5】
前記第1の桁(4~8)が2つの外部フランジ(70、71)を備え、
前記第2の桁(9~14)が前記2つの外部フランジ(70、71)間に位置される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の支持案内装置。
【請求項6】
前記第1の桁(4~8)が2つの外部フランジ(70、71)を備え、
前記2つの外部フランジ(70、71)間に内部空間が画定され、
前記第2の桁(9~14)が前記内部空間の外側に位置される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の支持案内装置。
【請求項7】
前記主軸(15~23、25)が中空である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の支持案内装置。
【請求項8】
前記第2の桁(9~14)には2つのストッパネジ(60、61)と、回転軸(24)と、が設けられ、
前記滑車(3)が前記回転軸(24)の周りで回転移動可能に取り付けられ、
前記2つのストッパネジ(60、61)は、前記正常な動作状態で前記回転軸(24)周りでの前記滑車(3)の回転を可能にするとともに前記回転軸(24)の破損に対応する破損状態で前記滑車(3)と接触するように形成される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の支持案内装置。
【請求項9】
ケーブルによる車両を輸送する設備の牽引ケーブル(2)を支持して案内するための方法であって、
前記設備が、
前記牽引ケーブル(2)を支持して案内するように構成される滑車(3)と、
主軸(15~23、25)が設けられる第1の桁(4~8)と、
前記滑車(3)を支持するとともに前記主軸(15~23、25)の周りで回動移動可能に取り付けられる第2の桁(9~14)と、
を備え、
正常な動作状態において前記主軸(15~23、25)の周りで前記第2の桁(9~14)を旋回させることを含む方法において、
少なくとも1つの回復要素(30~39)が前記第1の桁(4~8)に取り付けられ、
少なくとも1つの協働要素(40~47)が、前記正常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素(30~39)から距離を隔てて前記第2の桁(9~14)に取り付けられ、
前記少なくとも1つの協働要素(40~47)は、前記主軸(15~23、25)の破損に対応する異常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素(30~39)と接触する、
支持案内方法。
【請求項10】
ケーブルによる車両輸送設備の牽引ケーブル(2)を支持して案内する装置であって、
2つの第1のフランジ(70、71)が設けられる、第1の桁(4~8)と、
前記2つの第1のフランジ(70、71)を貫通し、回動軸を定義する、主軸(15~23、25)と、
前記第1の桁(4~8)について前記主軸(15~23、25)の周りを回動可能に取り付けられる、第2の桁(9~14)と、
前記牽引ケーブル(2)を支持して案内し、自らのそれぞれのサイドにおいて環状の溝を定義する、滑車(3)と、
前記第2の桁と接触し、前記滑車(3)を貫通し、前記滑車(3)が回転移動可能に取り付けられる、回転軸(24)と、
前記第2の桁(9~14)に設けられ、前記回転軸(24)の破損に対応する異常な動作状態で前記滑車(3)と接触し、前記環状の溝の内側に位置する、2つのストッパネジ(60、61)と、
を備え、
前記2つのストッパネジ(60、61)は、正常な動作状態において前記滑車(3)から距離を隔てられ、前記2つのストッパネジ(60、61)が異常な動作状態において前記滑車(3)と接触し、
それぞれの前記ストッパネジ(60、61)及び前記滑車(3)は、垂直軸に沿って面している、
支持案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルによる車両輸送設備の牽引ケーブルを支持して案内すること、より詳細には、架空牽引ケーブルを支持して案内することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両牽引ケーブルによる輸送設備には、搭乗者積み降ろしステーション間を移動する牽引ケーブルを支持して案内するために滑車アセンブリなどの支持・案内装置が装備される。一般的に言えば、滑車アセンブリは、タワーによって支持されるとともに、牽引ケーブルが押し付く回転滑車を備える。滑車は、車両の重量と滑車上にわたる車両クランプの走行とに起因してケーブルの曲がりが変化したときに牽引ケーブルをタワーに押し付けたままにするために関節結合された桁に自由に回転するように取り付けられる。
【0003】
機械的なリフト設備の架空ケーブルの支持・案内滑車アセンブリの機械的な調整装置を開示する出願人の名で出願されたフランス特許出願第2920385号明細書を挙げることができる。滑車アセンブリは、支持フレームに沿って互い違いに位置される平行な回転軸にしたがって回転するように支持フレーム上に取り付けられるケーブルガイド滑車を備える。
【0004】
一般的な態様において、長尺な部分である軸は、該軸が固定して取り付けられる可動支持体又は固定支持体に対して可動要素を回転可能に又は回動可能に関節結合する目的を果たす。回転軸は、滑車アセンブリの重要な部分であり、摩耗又は異例の状況下、破損などの障害に晒される場合がある。軸の破壊は、滑車アセンブリを構成する全ての要素の崩壊をもたらす。
【0005】
滑車アセンブリは複雑な要素であり、したがって、それらの状態を確認するために定期的に検査されなければならない。特に、摩耗する場合がある又は交換されなければならない部品、特に回転軸の正確な検査を行なうために、滑車アセンブリを分解する必要があるかもしれない。滑車アセンブリの分解は、長くて繊細な作業である。
【0006】
支持・案内装置の支持構造体に対して桁を関節結合するとともに支持・案内装置を分解する必要なく軸の内側を検査できるようにするための中空軸を備える、牽引ケーブルを支持して案内するための装置を開示する出願人の名前で出願されたフランス特許出願第3074467号明細書も挙げることができる。しかし、軸が壊れた場合、関節結合された桁は、支持構造体によってもはや支持されずに落下し、その結果、桁により支持される全ての要素が崩壊する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】仏国特許出願第2920385号明細書
【文献】仏国特許出願第3074467号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの目的は、これらの欠点を改善することにあり、より詳細には、支持・案内装置の要素を分解して装置の回転軸の摩耗状態を検査しなければならないことを回避する、支持して案内するための手段を提供することにある。
【0009】
他の目的は、車両輸送設備の牽引ケーブルを支持して案内するようにするための手段を提供することにある。
【0010】
本発明の1つの特徴によれば、牽引ケーブルを支持して案内するように構成される滑車と、主軸が設けられる第1の桁と、滑車を支持するとともに主軸の周りで回動移動可能に取り付けられる第2の桁とを備える、ケーブルによる車両輸送設備の牽引ケーブルを支持して案内するための装置が提案される。
【0011】
装置は、第1の桁に取り付けられるとともに主軸の破損に対応する異常な動作状態で第2の桁を捕捉するように構成される少なくとも1つの回復要素と、第2の桁が主軸の周りで旋回する正常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素から距離を隔てて第2の桁に取り付けられる少なくとも1つの協働要素とを備え、前記少なくとも1つの協働要素は、異常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素と接触するように構成される。
【0012】
したがって、主軸が破損した場合に回動移動可能な桁を捕捉するように構成される要素を備える支持・案内装置が提供される。言い換えると、装置の要素は、主軸が破損した異例の場合に移動可能な桁が落下するのを防止する。そのような要素により、主軸を検査して、主軸の動作状態が制限されていることを確認できる。それにより、要素は、滑車アセンブリの分解を伴う作業を制限する。
【0013】
前記少なくとも1つの回復要素及び前記少なくとも1つの協働要素は、異常な動作状態で第2の桁の旋回を可能にするように形成され得る。
【0014】
好適には、主軸が破損した場合でも桁の旋回を可能にする装置が提供される。その後、滑車アセンブリの損傷した部品を交換するための修理作業を行なう前に、設備を一定時間にわたって動作させ続けることがでる。
【0015】
1つの実施形態によれば、前記少なくとも1つの協働要素は、第2の桁から突出して取り付けられる協働部品に対応し、また、前記少なくとも1つの回復要素は、第1の桁に形成されるとともに異常な動作状態で協働部品を受けるように構成される回復ハウジングに対応する。
【0016】
他の実施形態によれば、前記少なくとも1つの協働要素は、第2の桁に形成される協働ハウジングに対応し、また、前記少なくとも1つの回復要素は、第1の桁から突出して取り付けられるとともに異常な動作状態で協働ハウジングに挿入されるように構成される回復部品に対応する。
【0017】
他の実施形態によれば、第1の桁が2つの外部フランジを備えることができ、また、第2の桁が2つの外部フランジ間に位置される。
【0018】
更に他の実施形態によれば、第1の桁が2つの外部フランジを備え、2つの外部フランジ間に内部空間が画定され、第2の桁が内部空間の外側に位置される。
【0019】
主軸が中空であってもよい。
【0020】
好適には、第2の桁には2つのストッパネジと回転軸とを設けることができ、滑車が回転軸の周りで回転移動可能に取り付けられ、また、2つのストッパネジは、正常な動作状態で回転軸周りでの滑車の回転を可能にするとともに回転軸の破損に対応する破損状態で滑車と接触するように形成される。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、ケーブルによる車両輸送設備の牽引ケーブルを支持して案内するための方法であって、設備が、牽引ケーブルを支持して案内するように構成される滑車と、主軸が設けられる第1の桁と、滑車を支持するとともに主軸の周りで回動移動可能に取り付けられる第2の桁とを備え、正常な動作状態において主軸の周りで第2の桁を旋回させることを含む方法が提案される。
【0022】
この方法において、少なくとも1つの回復要素が第1の桁に取り付けられ、少なくとも1つの協働要素が、正常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素から距離を隔てて第2の桁に取り付けられ、また、前記少なくとも1つの協働要素は、主軸の破損に対応する異常な動作状態で前記少なくとも1つの回復要素と接触する。
【0023】
他の利点及び特徴は、非限定的な例示目的のためだけに与えられて添付図面に表わされる本発明の特定の実施形態及び実施態様の以下の説明から更に明確に分かるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る支持・案内装置の一実施形態の右側斜視図を概略的に示す。
図2図1の支持・案内装置の左側斜視図を概略的に示す。
図3】支持・案内装置の他の実施形態の断面図を概略的に示す。
図4】支持・案内装置の他の実施形態の断面図を概略的に示す。
図5】支持・案内装置の他の実施形態の断面斜視図を概略的に示す。
図6図5の支持・案内装置の左側斜視図を概略的に示す。
図7図5の支持・案内装置の右側斜視図を概略的に示す。
図8図5の支持・案内装置の上面斜視図を概略的に示す。
図9図5の支持・案内装置の細部の左側面図を概略的に示す。
図10図5の支持・案内装置の他の細部の右側面図を概略的に示す。
図11】牽引ケーブル支持タイプの支持・案内装置の一実施形態の断面斜視図を概略的に示す。
図12図11の支持・案内装置の右側面図を概略的に示す。
図13】支持・案内装置の更に他の実施形態の断面図を概略的に示す。
図14図13の支持・案内装置の右側面図を概略的に示す。
図15】支持・案内装置の他の実施形態の断面図を概略的に示す。
図16】支持・案内装置の他の実施形態の断面図を概略的に示す。
図17】牽引ケーブル圧縮タイプの支持・案内装置の一実施形態の断面斜視図を概略的に示す。
図18】支持・案内装置の他の実施形態の断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図18には、ケーブルによる車両輸送設備の牽引ケーブル2を支持して案内するための装置1が表わされている。1つ又は複数の車両及び設備は簡略化のために表わされない。
【0026】
一般的な態様で、装置1は、少なくとも1つの滑車3と、少なくとも2つの桁4~14とを備える。装置1は牽引ケーブル2を支持するようになっており、より詳細には、装置1はケーブル2のための支持及び案内を行なう。牽引ケーブル2は、牽引ケーブル2を支持して案内するように構成される滑車3上に載置される。桁4~14はそれぞれ少なくとも1つの軸15~25を備える。設備は固定支持構造体27を更に備え、桁4~14は支持構造体27に対して関節結合される。主軸と呼ばれる軸15~23、25の第1のセットは、桁4~14を互いに及び支持構造体27に対して関節結合できるようにする。主軸15~23、25を中実又は中空にすることができる。回転軸と言及される軸24の第2のセットは、滑車3を桁9~14に関節結合できるようにする。言い換えると、滑車3は、回転軸24の周りでそれぞれ回転移動できるように取り付けられる。優先的に、回転軸24は桁9~14に固定された態様で取り付けられる。
【0027】
一般的な態様で、装置1は、少なくとも1つの主軸15~23、25が設けられた主桁と呼ばれる少なくとも1つの桁4~8を備える。装置1は、少なくとも1つの滑車3を支持する副桁と呼ばれる少なくとも1つの桁9~14を更に備える。副桁9~14は、主桁6~8に取り付けられる主軸19~23、25の周りで回動移動可能に取り付けられる。主桁4~8は、更に、支持構造体27に固定態様で取り付けられ得る、又は、他の主軸15~18の周りで回動移動可能に取り付けられ得る。好ましくは、主軸15~23、25は主桁4~8に固定態様で取り付けられ、また、回転軸24は副桁9~14に固定態様で取り付けられる。特定の主桁4は、それが支持軸26の周りで回動移動可能に取り付けられるため、支持桁とも呼ばれる。支持軸26は、支持構造体27に固定態様で取り付けられる。
【0028】
例えば、図1及び図2に示されるように、装置1は12個の滑車3を備える。装置1は、図1に示される11個の桁4~14、10個の主軸15~23、25、及び、12個の回転軸24を備える。図1及び図2に示される例では、第1の主桁4が2つの主軸15、16を備え、これらの主軸の周りには第2の主桁5及び第3の主桁6がそれぞれ回動移動可能な態様で取り付けられる。第2の主桁5は2つの主軸17、18を備え、これらの主軸の周りには第4の主桁7及び第5の主桁8がそれぞれ回動移動可能な態様で取り付けられる。第4の主桁7は2つの主軸19、25を備え、これらの主軸の周りには第1の副桁10及び第2の副桁9がそれぞれ回動移動可能な態様で取り付けられる。
【0029】
第5の主桁8は2つの主軸20、21を備え、これらの主軸の周りには第3の副桁11及び第4の副桁12がそれぞれ回動移動可能な態様で取り付けられる。
【0030】
第3の主桁6は2つの主軸22、23を備え、これらの主軸の周りには第5の副桁13及び第6の副桁14がそれぞれ回動移動可能な態様で取り付けられる。
【0031】
一般的な態様で、滑車3はそれぞれ回転軸24の周りで回転移動可能に取り付けられ、また、桁4~14は互いに対して回動移動可能に取り付けられる。「回転移動可能に取り付けられる」によって意味されるものは、1つの軸の周りで1回以上の完全な回転を達成できる要素である。「回動移動可能に取り付けられる」によって意味されるものは、一方の回転方向又は他方の回転方向で360°未満にわたって回転の一部を達成できる要素である。
【0032】
より詳細には、装置1は、少なくとも1つの回復要素30~39及び少なくとも1つの協働要素40~47を備える。回復要素30~39は、牽引ケーブルの支持及び案内を保証するために装置の異常な動作状態で協働要素40~47と協働するようになっている。装置1の異常な動作状態は、主軸15~23、25の摩耗に相当し或いは更には異例な破損に相当する。一般的な態様では、少なくとも1つの回復要素30~39が第1の桁に取り付けられ、また、少なくとも1つの協働要素40~47が第2の桁に取り付けられる。特に、協働要素40~47は、装置1の正常な動作状態で回復要素30~39から距離を隔てて取り付けられる。言い換えると、正常な動作状態では協働要素30~39が回復要素と接触しない。正常な動作状態によって意味されるものは、第2の桁が第1の桁に取り付けられる主軸15~23、25の周りで旋回する状況である。より詳細には、回復要素30~39は第2の桁を捕捉するように構成され、また、協働要素40~47は、異常な動作状態で回復要素30~39と接触するように構成される。
【0033】
好適には、回復要素30~39及び協働要素40~47は、異常な動作状態で第2の桁の旋回を可能にするように形成される。したがって、協働要素40~47が回復要素30~39と接触する際、第2の桁は、依然として旋回して装置1の支持及び案内の機能を保証できる。言い換えると、異常な動作状態では、牽引ケーブル2を押し付けることによって第2の桁が移動され、協働要素40~47が回復要素30~39に向かって移動する。異常な動作状態の限界状況では、協働要素40~47が回復要素30~39と接触する。
【0034】
例えば、協働要素40~47は、第2の桁から突出して取り付けられる協働部品40、44、45、46、47であってもよく、また、回復要素30~39は、第1の桁に形成されるとともに異常な動作状態で協働部品40、44、45、46、47を受けるように構成される回復ハウジング30、34に対応する。
【0035】
変形例として、協働要素40~47は、第2の桁に形成される協働ハウジング41、42、43に対応し、また、回復要素30~39は、第1の桁から突出して取り付けられるとともに異常な動作状態で協働ハウジング41、42、43に挿入されるように構成される回復部品31、32、33、35~39に対応する。
【0036】
図3には、第1の桁6が2つの外部フランジ70、71を備えるとともに第2の桁14が2つの外部フランジ70、71間に位置される実施形態が表わされている。桁6、14のこの形態はクレビス形態とも称される。この形態において、第2の桁14は、軸受50によって主軸23上に旋回するように取り付けられる。この実施形態において、協働要素47は、円筒軸、例えば管又は中実ロッドであり、また、第1の桁6は、2つの外部フランジ70、71上にそれぞれ形成される2つのハウジングに対応する2つの回復要素30を備える。
【0037】
図4では、桁6、14もクレビス形態を成している。第2の桁14は、第2の桁14の2つのフランジ45、46上にそれぞれ形成される2つのハウジングに対応する2つの協働要素42、43を備える。回復要素38は、円筒軸、例えば管又は中実ロッドである。
【0038】
図5図10には、第1の桁6及び第2の桁14もクレビス形態を成す好ましい実施形態が表わされている。この好ましい実施形態において、装置1は、第2の桁14の2つのフランジ45、46にそれぞれ取り付けられる第1の協働要素40及び第2の協働要素41を備える。第1の協働要素40は、円筒軸、例えば管又は中実ロッドである。第2の協働要素41はハウジングである。更に、第1の桁6は、2つの外部フランジ70、71にそれぞれ取り付けられる第1の回復要素30及び第2の回復要素31を備える。第1の回復要素30はハウジングであり、また、第2の回復要素31は、第1の桁6から突出して取り付けられる回復部品31である。更に、第2の協働要素41は、第2の桁14のフランジ46に取り付けられる支持プレート54上に形成されるハウジングである。
【0039】
図11及び図12には、第1及び第2の桁5、8もクレビス形態を成す他の実施形態が表わされている。この実施形態では、支持・案内装置1が牽引ケーブル2の支持タイプを成す。装置1は、第2の桁8の2つのフランジ45、46にそれぞれ取り付けられる第1の協働要素42及び第2の協働要素42を更に備える。2つの協働要素42、43はハウジングである。第1の桁5は、2つの外部フランジ70、71にそれぞれ取り付けられる第1の回復要素32及び第2の回復要素33を更に備える。2つの回復要素32、33は、2つの円筒軸、例えば2つの管又は2つの中実ロッドである。
【0040】
図13及び図14には、第1の桁6が2つの外部フランジ70、71を備え、2つの外部フランジ70、71間に内部空間が画定されるとともに、第2の桁14が内部空間の外側に位置される実施形態が表わされている。桁6、14のこの形態は片持ち梁形態とも称される。この形態では、第2の桁14が軸受50によって主軸23に回動可能に取り付けられる。主軸23は、固定ストッパ55によって第1の桁に強固に保持される。この実施形態において、装置1は、主軸23に沿う第2の桁14の延在部44に対応する第1の協働要素44と、第2の桁14の第1のフランジに対応する第2の協働要素45とを備える。装置1は、第1の桁6の外部フランジ71から突出して取り付けられる突起34に対応する第1の回復要素34を更に備える。突起34は、第2の桁14の延在部44を受けるようになっているハウジングを形成する。また、装置1は、第2の桁の第1のフランジ45を捕捉するために外部フランジ71から突出して取り付けられる手の形状を成す部分に対応する第2の回復要素35も備える。好適には、装置1は、固定ストッパ55の反対側の主軸23上に取り付けられる付加的なストッパに対応する第3の回復要素37と、第2の桁14の第2のフランジ46に対応する第3の協働要素46とを備える。
【0041】
図15には、桁6、14が片持ち梁形態を成す他の実施形態が表わされている。装置1は、主軸23に沿う第2の桁14の延在部44に対応する第1の協働要素44と、第2の桁14の第2のフランジに対応する第2の協働要素46とを備える。装置1は、主軸23に沿う第1の桁6の延在部36に対応する第1の回復要素36と、固定ストッパ55の反対側の主軸23上に取り付けられる付加的なストッパに対応する第2の回復要素37とを更に備える。異常な動作状態で第2の桁を捕捉するために2つの延在部36、44間に重なり合う距離が存在する。
【0042】
図16では、主軸23が中空である図15の変形例が表わされている。装置1は、主軸23の中空部を通過して主軸23の2つの端部に取り付けられる2つのストッパ56、39を接続するネジ57を備える。第2のストッパ39は、第2の桁14の第2のフランジ46と協働できる装置1の第2の回復要素に対応し得る。
【0043】
図17には、装置1が牽引ケーブル2の圧縮タイプを成す場合の図11の装置1の他の実施形態が表わされている。
【0044】
図18には、第2の桁14が2つのストッパネジ60、61と回転軸24とを備える実施形態が表わされている。滑車3が2つの軸受50、51によって回転軸24の周りで回転移動可能に取り付けられる。2つのストッパネジ60、61は、正常な動作状態で回転軸24周りでの滑車3の回転を可能にするように且つ回転軸24の破損に対応する破損状態で滑車3と接触するように形成される。特に、2つのストッパネジ60、61は第2の桁14の2つのフランジ45、46にそれぞれ取り付けられる。
図1
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