(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/12 20060101AFI20240924BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240924BHJP
B65H 16/06 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B65H19/12 B
G03G21/16 119
G03G21/16 147
B65H19/12 A
B65H16/06 B
(21)【出願番号】P 2020168383
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 遼介
(72)【発明者】
【氏名】張替 亮
(72)【発明者】
【氏名】和田 格
(72)【発明者】
【氏名】和泉 真人
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-216081(JP,A)
【文献】特開2014-213473(JP,A)
【文献】特開2019-162730(JP,A)
【文献】特開2011-105445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/12
G03G 21/16
B65H 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが巻回されたロールシートを収容する収容部と、
ロールシートの幅方向の端部に取り付けるフランジ部を有し、前記収容部において前記フランジ部に設けられた軸部でロールシートを軸支する補助部材と、
前記収容部に
おいて前記補助部材で軸支されたロールシートから供給されたシートに画像を記録する記録部と、
前記収容部の上方において、前記記録部によって画像が記録されたシートを排出口から排出する排出部と、
上端が前記排出口の一部を形成し、前記収容部を開放しロールシートを置く開状態と前記収容部を覆う閉状態とに移動するカバーと、
前記カバ
ーに設けられ、前記カバ
ーが前記開
状態においてロールシート
の前記フランジ部と当接し、前記収容部に
向けてロールシートをガイドする第1のガイド部と、
前記補助部材の前記軸部を支持し、前記第1のガイド部でガイドされたロールシートを前記収容部までガイドする第2のガイド部と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記カバ
ーは、前記閉
状態において前記排出部から排出されたシートの侵入を規制することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1のガイド部と前記第2のガイド部は、前記第1のガイド部によ
るロールシートのガイドと、前記第2のガイド部によ
るロールシートのガイドと、が連続するように構成されている請求項
1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記収容部に収容されたロールシートの前記軸部を回転させる駆動モータを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記カバーは、回動軸によって回動することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記第1のガイド部は、前記フランジ部
の外周面をガイドするフランジガイド部を有す
る
ことを特徴とする請求項
1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記フランジガイド部が前記フランジ部をガイドするガイド面と、前記第2のガイド部が前記軸部をガイドするガイド面とは
、ロールシートのガイド方向に互いにオーバーラップしている
ことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記カバ
ーは、前記開
状態において
、ロールシートを前記第1のガイド部でガイドする前に一時的に載置することができる仮置部を有することを特徴とする請求項
1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記
軸部は
、ロールシートの中空孔部に挿通さ
れ、前記フランジ部は、ロールシートの幅方向の両端に前記幅方向に当接するよう
に取り付けら
れ、
前記仮置部は、前記補助部材
をロールシートに取り付ける際に、前
記フランジ部の一方を前記幅方向に突き当てることが可能な突き当て面を有することを特徴とする請求項
8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第2のガイド部は、前
記フランジ部の一方と前記幅方向に接触してガイドするフランジガイド面を有し、
前記突き当て面と前記フランジガイド面は、前記幅方向において略同じ位置にあり
、ロールシートのガイド方向において連続するガイド面を形成することを特徴とする請求項
9に記載の記録装置。
【請求項11】
前記カバ
ーは、前記第1のガイド部が設けられた内側面と、前記閉
状態において前記記録部によって画像が記録されたシートを排出する排出部から排出されたシートをガイドする外側面と、を有する
ことを特徴とする請求項1~1
0のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記開
状態は、前記カバ
ーが前記排出部の排出口が設けられた装置側面よりも水平方向に突出した姿勢となり、前記内側面が上向きに開いた
状態であり、
前記閉
状態は、前記カバ
ーが前記装置側面に沿った姿勢となり、前記内側面が前記収容部にあ
るロールシートに対して水平方向に対向する
状態である
ことを特徴とする請求項1
1に記載の記録装置。
【請求項13】
前記収容部として、前記記録部によって画像が記録されたシートを排出する排出部の下方に設けられる第1の収容部と、前記第1の収容部の下方に設けられた第2の収容部と、を備え、
前記カバ
ーとして、前記第1の収容部に対応して設けられた第1のカバ
ーと、前記第2の収容部に対応して前記第1のカバ
ーの下方に設けられた第2のカバ
ーと、を備える記録装置において、
前記排出部から排出されたシートが、前記第1のカバ
ーと前記第2のカバ
ーとの間の隙間内を進行することを規制する規制部をさらに備えることを特徴とする請求項1~1
2のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項14】
前記規制部は、前記隙間
をロールシートの幅方向において部分的に塞ぐ壁を形成することを特徴とする請求項1
3に記載の記録装置。
【請求項15】
複数の前記壁は
、ロールシートの幅方向の両端か
らロールシートの前記両端を把持するユーザの手幅分を避けた位置に形成されることを特徴とする請求項1
4に記載の記録装置
。
【請求項16】
シートが巻回されたロールシートを収容する収容部と、
前記収容部に収容されたロールシートから供給されたシートに画像を記録する記録部と、
前記収容部を開放する開状態と、前記収容部を閉じる閉状態とを取りうるカバーと、
前記カバーに設けられ、前記カバーが前記開状態においてロールシートを前記収容部にガイドする第1のガイド部と、
前記収容部に収容され
たロールシートの外周面に対して下方から圧接する圧接体と
、
ロールシートの外径に応じて前記圧接体とともに上下に移動可能に設けられ、前記圧接体の前記外周面との圧接位置か
らロールシートの回転方向の下流側において
、ロールシートから引き出されたシートの下面をガイドする下側ガイド体と、
を備え、
前記圧接体は
、ロールシートが前記収容部にガイドされる際のガイド方向の上流側の先端に、前記上流側に向かって下方に下る傾斜面を有することを特徴とす
る記録装置。
【請求項17】
前記傾斜面は
、ロールシートが前記収容部にガイドされる際
にロールシートを前記圧接体との圧接位置へガイドすることを特徴とする請求項
16に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材としてシートをロール状に巻いた形態のロールシートから、シートを引き出して供給して画像を記録する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録材としてシートを供給して画像を記録する記録装置では、シート供給に先立ち収容形態の記録材としてロールシートを装置にセットする。ロールシートの装置へセットする方法として、ロールシートの両端部に支持部材を装着し、装置のシート操出支持部に支持部材を介してロールシートをセットする方法が知られている。特許文献1に記載の記録装置は、支持部材装着済みのロールシートを装置前面に突出したガイド部に一時載置し、ロールシートをシート操出支持部へとスライドさせることでロールシートをセットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記録装置において、ロールシート供給部全体は装置前面に開口しており、また支持部材を装着したロールシートを一時載置するガイド部は装置前面に突出する構成となっている。このため、ロールシートの装着は容易になる一方、排紙されたシートがロールシート給紙部に容易に侵入し、排紙ジャムを引き起こす可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ロールシートの装着性の確保とロールシート供給部のカバーを両立させた記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録装置は、
シートが巻回されたロールシートを収容する収容部と、
ロールシートの幅方向の端部に取り付けるフランジ部を有し、前記収容部において前記フランジ部に設けられた軸部でロールシートを軸支する補助部材と、
前記収容部において前記補助部材で軸支されたロールシートから供給されたシートに画像を記録する記録部と、
前記収容部の上方において、前記記録部によって画像が記録されたシートを排出口から排出する排出部と、
上端が前記排出口の一部を形成し、前記収容部を開放しロールシートを置く開状態と前記収容部を覆う閉状態とに移動するカバーと、
前記カバーに設けられ、前記カバーが前記開状態においてロールシートの前記フランジ部と当接し、前記収容部に向けてロールシートをガイドする第1のガイド部と、
前記補助部材の前記軸部を支持し、前記第1のガイド部でガイドされたロールシートを前記収容部までガイドする第2のガイド部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロールシートの装着性の確保とロールシート供給部のカバーを両立させることができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1におけるプリント装置の斜視図
【
図2】プリント装置におけるシートの搬送経路の説明図
【
図5】実施形態1におけるプリント装置の回動ドア部の説明図
【
図6】実施形態1におけるロールシートのスライドセット動作の説明図
【
図8】実施形態2におけるプリント装置の回動ドア部の説明図
【
図9】実施形態2におけるロールシートのスライドセット動作の説明図
【
図12】実施形態3においてロールシートをセットする際の説明図
【
図13】実施形態3においてロールシートのセットの改善の説明図
【
図14】スライドセット時の従動回転体(圧接体)とロールシートの位置関係図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
<装置の基本的構成>
図1~
図4は、本発明の記録装置の基本的構成の説明図である。本実施形態の記録装置は、記録材としてのシートを供給するためのシート供給装置と、そのシートに画像をプリント(記録)するプリント部(記録部)と、を備えたインクジェットプリント装置に本発明を適用した例である。
【0011】
図1は、シート1を、記録材の収容形態としてのロール状に巻回したロールシート(ロール紙)が2本セットすることが可能なプリント装置100である。2本のロールシートから選択的に引き出されたシート1に画像がプリントされる。ユーザは、操作パネル28に備わる各種のスイッチなどを用いて、シート1のサイズ指定、オンライン/オフラインの切り換えなど、プリント装置100に対する各種コマンドなどを入力することができる。
【0012】
図2は、プリント装置100の要部の概略断面図である。2本のロールシートRに対応する2つのシート供給装置200が上下に配備されている。供給装置200によってロールシートRから引き出されたシート1は、シート搬送部(搬送機構)300によって、画像をプリント可能なプリント部400に搬送される。プリント部400は、インクジェットプリントヘッド18からインクを吐出することによって、シート1に画像をプリントする。プリントヘッド18は、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などの吐出エネルギー発生素子を用いて、吐出口からインクを吐出する。電気熱変換素子を用いた場合には、その発熱によりインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することができる。プリントヘッド18はインクジェット方式のみに限定されず、またプリント部400のプリント方式も限定されず、例えば、シリアルスキャン方式あるいはフルライン方式などであってもよい。シリアルスキャン方式の場合には、シート1の搬送動作と、シート1の搬送方向と交差する方向におけるプリントヘッド18の走査と、を伴って画像をプリントする。フルライン方式の場合には、シート1の搬送方向と交差する方向に延在する長尺なプリントヘッド18を用い、シート1を連続的に搬送しつつ画像をプリントする。
【0013】
ロールシートRは、中空穴部(中空孔部)を有するようにシート1が巻かれた形態を有する。ロールシートRの中空穴部には軸形状のスプール部材2が挿入(挿通)され、その
スプール部材2が不図示のロール駆動モータによって正転および逆転駆動される。これにより、ロールシートRは、その中心部が保持されて、矢印C1,C2方向に正転および逆転される。供給装置200には、駆動部3、アーム部材(移動体)4、アーム回転軸5、第1のシートセンサ6、揺動部材7、従動回転体(圧接体)8,9、分離フラッパー(上側ガイド体)10、およびフラッパー回転軸11が備えられている。本実施例では、供給装置200が上下二段で同様の構成で設けられている。
【0014】
搬送ガイド12は、供給装置200から引き出されるシート1の表裏面をガイドしつつ、そのシート1をプリント部400へ導く。搬送ローラ14は、搬送ローラ駆動用モータによって矢印D1,D2方向に正転および逆転される。ニップローラ15は、搬送ローラ14の回転に応じて従動回転可能であり、不図示のニップローラ離間モータによって、搬送ローラ14に対して接離可能、かつニップ力の調整が可能である。搬送ローラ14は、第2のシートセンサ16がシート1の先端を検知したときに回転される。搬送ローラ14によるシート1の搬送速度は、ロールシートRの回転によるシート1の引き出し速度よりも高く設定されており、これによりシート1にバックテンションを与えて、それを張った状態のまま搬送することができる。この結果、シート1の弛みを防止し、シート1の折り目の発生および搬送誤差の発生を抑制することができる。
【0015】
プリント部400のプラテン17は、吸引ファン19により発生させた負圧によって、吸引穴17aを通してシート1の裏面を吸着する。これにより、プラテン17上に沿うようにシート1の位置を規制して、プリントヘッド18による画像の高精度なプリントを可能とすることができる。カッター20は、画像がプリントされたシート1を切断する。プリントが完了したシート1は、プリント装置筐体101の前面部(前面側側面)101aに設けられた排紙口(排出口)104から排紙支持部(排出部)40にガイドされて排紙される。回動ドア部500のカバー41は、画像がプリントされて排紙口104から排出されたシート1が、排紙口104下方の供給装置200(ロールシートRの収容部)に戻ることを防止する。
【0016】
図3(a),(b),(c)は、スプール部材2によって、ロールシートRを供給装置200の収容部にセットする手順の説明図である。スプール部材2は、ロールシートRに一体的に取り付けられ、供給装置200におけるロールシートRの保持を補助する補助部材であり、供給装置200において回転可能に軸支される。スプール部材2は、軸部としてのスプール軸21、摩擦部材22、基準側フランジ部としての基準側スプールフランジ23、非基準側フランジ部としての非基準側スプールフランジ24、およびスプールギア25を含む。スプール軸21の一端に、基準側スプールフランジ23がシート幅方向に当接するように設けられ、その他端に、スプール軸21を回転させるためのスプールギア25が取り付けられている。基準側スプールフランジ23と非基準側スプールフランジ24の内側に摩擦部材22が備えられている。
【0017】
スプール部材2をロールシートRにセットする際には、まず、スプール軸21にはめ込まれている非基準側スプールフランジ24を取り外してから、そのスプール軸21をロールシートRの中空穴部に差し込む。スプール軸21の外径は、ロールシートRの中空穴部の内径よりも小さく、それらの間に隙間が形成されるため、ユーザは軽微な力でスプール軸21を差し込むことができる。ロールシートRの
図3(a)中右側の端部が基準側スプールフランジ23にシート幅方向に接触したときに、その基準側スプールフランジ23の内側の摩擦部材22がロールシートRの中空穴部内にはめ込まれる。これにより、基準側スプールフランジ23がロールシートRにシート幅方向に当接して固定される。その後、スプール軸21に非基準側スプールフランジ24を通して、非基準側スプールフランジ24の内側の摩擦部材22をロールシートRの中空穴部内にはめ込む。これにより、非基準側スプールフランジ24がロールシートRにシート幅方向に当接して固定される。
【0018】
このようにして、
図3(b)のように、ロールシートRがスプール部材2に取り付けられる。その後、
図3(c)のように、このスプール部材2の両端部を供給装置200のスプールホルダ31にはめ込むことによって、ロールシートRのセットが完了する。
【0019】
本実施形態において、スプールフランジ23、24の外径は、例えば170mm程度を想定している。またロールシートRの最大外径は例えば180mm程度を、中空穴部の内径は2inch(50.8mm)あるいは3inch(76.2mm)を想定している。しかしながら、スプールフランジ23、24の外径、ロールシートRの最大外径、中空穴部の内径はこれらの数値に限定されるものではない。
【0020】
スプールホルダ31は、スプール軸21の両端部のそれぞれに対応する位置に設けられている。スプールホルダ31の内面はU字状に形成されており、その開口部側からスプール軸21の端部をはめ込むことができる。スプール部材2がスプールホルダ31にはめ込まれた状態において、スプールギア25は、供給装置200側の駆動ギア30を介して、ロール駆動モータに接続される。そのロール駆動モータによって、スプール部材2と共にロールシートRが正転および逆転駆動されることにより、シート1の供給動作が可能となる。このようにスプールホルダ31は、スプール部材2を支持することでロールシートRを操出可能に支持する操出支持部としての役割を果たしている。ロールセンサ32は、ロールシートRの有無を検知する。
【0021】
このように、ロールシートRの保持にスプール軸21を用いることによって、ロールシートRはその幅に関わらずスプール軸21とスプールホルダ31によって供給装置200にセットされる。このため、例えばA0,A1といった大きなサイズから小さなサイズまで、スプール軸21の長さ以下である様々なサイズに対応した幅のロールシートRをセットすることが可能な構成となっている。また、スプール軸21に固定された基準側スプールフランジ23にロールシートRの端部をはめ込むため、ロールシートRの基準側端部位置が供給装置200に対して一定に定まる構成となっている。
【0022】
本構成例では、ロールシートRを支持し供給装置200にセットする補助部材としてスプール軸21及びスプールフランジ23、24が設けられたスプール部材2を用いている。しかしながら、ロールシートRを供給装置200に回転保持できる構成であれば、ロールシート支持補助部材は上記のような構成に限定しない。例えば、より簡便な構成としてスプール軸を用いず、ロールシートの両端にはめ込まれたフランジの一部で回転保持する構成が考えられる。もしくはフランジを用いず、ロールシートがスプール軸に設けられた固定機構で固定される構成も考えられる。ただし上記補助部材は、後述する回動ドア部500から供給装置200へのスライドセットが可能な構成に限定される。
【0023】
開閉部材としての回動ドア部500には、前面側の装置側面101aの一部をなす外装面(外側面)であるロールカバー41と、内側面であるロール仮置台(仮置部)42と、回動機構43と、取手44(
図1参照)が設けられている。ここで、ロールカバー41とロール仮置台42は背中合わせ(表裏)に構成されている。また、回動ドア部500は、回動機構43を介して供給装置200と接続されており、回動機構43内の回動軸を中心に回動可能に構成されている。これにより、カバー41が供給装置200を覆う閉状態と、供給装置200が装置前面方向に露出し(開放され)ロール仮置台42にロールシートRを仮置き(一時的に載置)可能となる開状態に切り替え可能となっている。さらに回動機構43にはトルクリミッタ(図示せず)が組み込まれており、回動ドア部500を開ける際に自重で勢いよく開くことを防止している。取手44は、ロールカバー41と同じ側に設けられており、自然状態においてロールカバー41より外に凸にならないように構成されている(
図1参照)。ユーザは、この取手44を手で掴んで押し引きすることで、回動
ドア部500を開閉することができる。
【0024】
図4は、回動ドア部500の閉状態におけるプリント装置100の排紙形態の説明図である。プリントが完了したシート1は、プリント装置前面側の装置側面101aに設けられた排紙部104に設けられた排紙支持部40から排紙され、ロールカバー41に沿うようにして下方にガイドされる。ここで、排紙支持部40とロールカバー41は、Y方向にオーバーラップする構成となっており、排紙されたシート1の先端が、排紙支持部40~ロールカバー41間の隙間に入り込まないようになっている。また、ロールカバー41は、回動ドア部500の閉状態におけるZ方向に連続で隙間の無い面を有しており、排紙されたシート1の先端がカバー41で引っかかることの無いように構成されている。また、回動ドア部500は、閉状態において、装置側面101aに沿った姿勢となり、内側面であるロール仮置台42が供給装置200の収容部にあるロールシートRに対して水平方向に対向する。
【0025】
(実施形態1)
図5~
図7は、実施形態1の説明図であり、ロールシートRが回動ドア部500のフランジガイドから供給装置200のスプールガイドへとスライドセットされる構成について説明する図である。
図5は、ロールシートRを載置時の回動ドア部500の構成の説明図である。ロール仮置台42は、シート幅方向に面を有しており、回動ドア部の幅以下の任意幅のロールシートR及びスプール部材2を装着済みのロールシートRを載置可能である。この面にはシート幅方向に一様なくぼみ部42aが設けられており、くぼみ部42aに載置されたロールシートは自重によって安定する。またロール仮置台は供給装置200に向けてガイド部42bを有している。このガイド部42bは、前記くぼみ部42aから連続であり、ロールセット時にはスプール部材2のフランジ外形を支えることでロールシートRの供給装置200へのセットをガイドする。本実施形態では、くぼみ部42a、ガイド部42bが、本発明の第1のガイド部及びフランジガイド部に相当する。
【0026】
回動ドア部500の開状態において、ロール仮置台42は装置前面に突出した状態となっている。すなわち、回動ドア部500は、開状態において、装置側面101aよりも水平方向に突出した姿勢となり、回動ドア部500の内側面であるロール仮置台42が上向きに開いた状態となる。このためロール仮置台42に載置したロールシートRには、横からスプール部材2を挿入可能である。これによりユーザは、スプール部材2のセットのために机等の新たなセット用スペースを準備することなくスプール部材2をロールシートRにセット可能となる。
【0027】
図6は、実施形態1における回動ドア部500の開状態において、スプール部材2が装着されたロールシートRをロール仮置台42から供給装置200のスプールホルダ31までスライドセットする動作の説明図である。矢印T1は、スライドセットされるロールシートRの中心の軌跡である。回動ドア部500の開状態において、ガイド部42bは、第2のガイド部としてのスプールガイド13とY方向にオーバーラップしている。また、前記オーバーラップ部において、ガイド部42bとスプールガイド13のZ方向距離は、スプール部材2のスプールフランジ23、24の外形からスプール軸21の外形までの距離に概ね一致している。すなわち、ガイド部42bの軸部ガイド面の高さは、スプールフランジ23、24の下端から軸部としてのスプール軸21の下面までの高さと略一致している。更に、スプールフランジ23、24の外形は、ロールシートRの径よりも大きい構成となっている。
【0028】
図7は、実施形態1における上段回動ドア部500の開状態における装置全体の正面図である。ここで、
図7での正面右側(X軸マイナス側)が基準側であり、スプール部材2は、基準側スプールフランジ23が図中の正面右側となるようにセットされる。スプール
ガイド13は、供給装置200のシート幅方向(X軸方向)の両端部に配置され、スプール軸21の両端を支える構成になっている。また、スライドセット時に、フランジ23、24は、スプールガイド13の両端部よりも内側になるように構成されている。
【0029】
ロールシートRをスライドセットする際には、まずスプール部材2が装着されたロールシートRをロール仮置台のくぼみ部42aに載置する。このときスプールフランジ23、24の外形下部は、くぼみ部42aと接触している。次に、スプール部材2が装着されたロールシートRを矢印T1の方向にスライドさせる。このとき、スプールフランジ23、24の外形部は、フランジガイド部としてのガイド部42bと接触しながら(ガイド部42bに支えられながら)スライドされる。フランジ23、24の外形部が、ガイド部42bの端部付近までスライドされたところで、スプール軸21の下部は、軸部ガイド部としてのスプールガイド13と接触する(スプールガイド13に支えられる(載せられた)状態となる)。さらにロールシートRをスライドさせると、スプールフランジ23、24はガイド部42bから離れるも、スプール軸21の外形下部がスプールガイド13と接触しながら(支えられながら)スライドされ、スプールホルダ31までガイドされる。
【0030】
このように、ガイド部42bとスプールガイド13は、Y方向にオーバーラップする部分を有している。このように構成することで、ロールシートRは、スプール部材2の一部が(スプール部材2のどこかしらが)ロール仮置台42またはスプールガイド13に常に支持されながらスライドセットされる。これにより、ユーザは、ロールシートRを持ち上げることなくスライドさせるだけでセット可能となる。また、前記オーバーラップ部において、ガイド部42bとスプールガイド13のZ方向距離がスプール部材2のスプールフランジ23,24の外形からスプール軸21の外形までの距離に概ね一致している。そのため、ロールシートRをガイド部42bからスプールガイド13へ受け渡しする際に段差なくスムースにスライドさせることが可能である。
【0031】
本構成では、スプール部材21に一対のフランジ部としてのフランジ23,24を設けることでフランジ外形よりも径の小さい任意径のロールシートRのスライドセットを可能としたものである。しかしながら、スプール部材21にフランジ23,24は必須ではなく、ロールシートRの径よりも大きなフランジが存在しない構成であってもよい。例えば、ロールシートRの外形部が上記フランジ23,24の代わりとなってロールシートRを支えることでロールシートRをセット可能である。その場合、ロールシートガイド部としてのガイド部42bとスプールガイド13のZ方向距離がロールシートRの外径からスプール軸21の外形までの距離に概ね一致していることで、段差なくスムースにロールシートRをスライドセットできる。例えば、セット可能なロールシートRのサイズが規格等に基づいて決まっているような場合には、そのような構成を採用し得る。
【0032】
本実施形態によれば、回動ドア部を開けた状態でのロールシートのセット性を維持しつつ、ロールシートのセット後に回動ドア部を閉めることでロールシート供給部をカバーして排紙されたシートの侵入を防ぐとともに、省スペース化を実現することができる。
【0033】
なお、ロールカバー41は、装置外部に対して供給装置200を完全に覆う壁を形成するような形態であることが、埃等の供給装置200への侵入,堆積を防止する観点から好ましいが、かかる構成に限定されるものではない。すなわち、ロールカバー41の外側上方で排出された排紙シートの侵入を防ぐことができるのであれば、完全に覆わずに部分的に開口した構成であってもよい。例えば、複数のリブを格子状や互いに平行に縦に延ばして配して排紙シートの侵入を防ぐ構成であってもよい。また、ロールシートの状態等を確
認するための覗き孔のように一部で開口した構成としてもよい。
【0034】
(実施形態2)
図8~
図10は、実施形態2の説明図であり、回動ドア部500のスプールガイドから供給
装置200のスプールガイドへとスライドセットされる構成である。なお、本実施形態においてここで特に説明しない事項は上記実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0035】
図8は、ロールシートRを載置時の回動ドア部500の構成の説明図である。ロール仮置台42は、シート幅方向に面を有しており、回動ドア部の幅以下の任意幅のロールシート及びスプール部材2を装着済みのロールシートを載置可能である。この面にはシート幅方向に一様なくぼみ部42aが設けられており、くぼみ部42aに載置されたロールシートは自重によって安定する。また、ロール仮置台4
2は、供給装置200に向けてスプール部材2のスプール軸21をガイドする軸部ガイド部としてのガイド部42cを有している。このガイド部42cは、ロールセット時にスプール部材2のスプール軸21を支えることでロールシートRの供給装置200へのセットをガイドする。
【0036】
図9は、実施形態2における回動ドア部500の開状態において、スプール部材2が装着されたロールシートRをロール仮置台42から供給装置200のスプールホルダ31までスライドセットする動作の説明図である。矢印T2は、スライドセットされるロールシートRの中心の軌跡である。回動ドア部500の開状態において、ガイド部42cは、スプールガイド13とY方向にオーバーラップしている。また前記オーバーラップ部において、ガイド部42cとスプールガイド13は、それぞれのガイド面の高さがZ方向に概ね一致している。また、
図10は、実施形態2における上段回動ドア部500の開状態における装置全体の正面図である。スプールガイド13は、供給装置200の両端部に配置され、スプール軸21の両端を支える構成になっている。また、回動ドア部500のガイド42cは、スプールガイド13よりもシート幅方向(X軸方向)において内側になるように構成されている。なお、スプールガイド13がガイド42cのシート幅方向内側となる配置構成であってもよい。
【0037】
ロールシートRをスライドセットする際には、まずスプール部材2が装着されたロールシートRをロール仮置台のくぼみ部42aに載置する。このときスプールフランジ23の外形下部は、くぼみ部42aと接触している。次に、ロールシートRを持ち上げることでスプール軸21をガイド部42cに載せる。これにより、ロールシートRは、スプール軸21を介してガイド部42cに支えられる。その後、ロールシートRを矢印T2の方向にスライドさせる。このとき、スプール軸21は、ガイド部42cと接触しながらスライドされる。スプール軸21の外形部が、ガイド部42cの端部付近までスライドされたところで、スプール軸21の下部は、スプールガイド13と接触する(スプールガイド13に支えられる(載せられた)状態となる)。さらにロールシートRをスライドさせると、スプール軸21はガイド部42cから離れるも、スプール軸21の外形下部がスプールガイド13と接触しながらスライドされ、スプールホルダ31までガイドされる。
【0038】
このように、ガイド部42cとスプールガイド13は、Y方向にオーバーラップする部分を有している。このように構成することで、ロールシートRは、スプール部材2の一部が(スプール部分2のどこかしらが)ロール仮置台42またはスプールガイド13に常に支持されながらスライドセットされる。これにより、ユーザは、ロールシートRをスライドさせるだけでセット可能となる。また、前記オーバーラップ部において、ガイド部42cとスプールガイド13は、高さがZ方向に概ね一致している。そのため、ロールシートRをガイド部42cからスプールガイド13へ受け渡しする際に段差なくスムースにスライドさせることが可能である。
【0039】
このように本構成では、スプール軸21が常にガイド部42cもしくはスプールガイド13に支えられることでスライドセットされる構成となっている。したがって、スプール部材2のフランジ23,24は必須の構成ではなく、摩擦部材22によってスプール部材
2とロールシートRが固定されていれば良い。
【0040】
ここで、上記実施例1では回動ドア部500のフランジガイドから供給装置200のスプールガイドへのスライドセットする構成を、実施例2では回動ドア部500のスプールガイドから供給装置200のスプールガイドへのスライドセットする構成を説明した。しかしながら、回動ドア部500から供給装置200へのスライドセットする際にロールシート支持補助部材(本実施例でのスプール部材2)のどの部分を支持するかに制限はない。すなわち、ロールシートRの支持を補助する部材の一部が常に支持されながらセットされればロールシート支持補助部材のどの部分を支持してもよい。例えば、実施例1,2の形態の他にも、回動ドア部500のフランジガイドから供給装置200のフランジガイドへとスライドセットする構成等が考えられる。
【0041】
(実施形態3)
先行技術文献の構成では、前面排紙するとシート1が給紙パスに入り、ジャムをおこしてしまうという課題があるため、本実施形態ではドア41を設け排紙パスを形成している。ここでは、下段ドア41(b)と上段ドア41(a)で形成する排紙パスについて述べる。なお、本実施形態においてここで特に説明しない事項は上記実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0042】
図11(a)、(b)、(c)、(d),(e)を用いて、本実施形態における排紙について述べる。
図11(a)は印刷装置100の側面図であり、シート1の紙先端が、第1の開閉部材としての上段ドア41(a)の上部近傍まで送られてきた様子を示す図である。第2の開閉部材としての下段ドア4
1(b)を開く時に、上段ドア4
1(a)底部と下段ドア4
1(b)上部に隙間が無いと、接触して、開かないまたは、傷が付くといった不具合が生じる。そのため、上段ドア4
1(a)底部と下段ドア4
1(b)上部の間には隙間610を設ける必要がある。この上段ドア4
1(a)底部と下段ドア4
1(b)上部の隙間610に、排紙されてきたシート1の先端が入り込んでいってしまうことがある。
図11(b)を用いて本現象を述べる。
【0043】
図11(b)は、隙間610にシート1の先端が入り給紙パス620まで入り込んでしまった状態を示す図である。本現象は、紙管に紙が巻き付けられ、巻き癖のついたロール紙で生じやすい。巻き癖のついていないフラットな紙いわゆるカット紙では生じにくい現象である。この現象を防ぐためには、シートが入り込む方向に壁を立てて、上段ドア4
1(a)底部と下段ドア4
1(b)上部をオーバーラップさせた形状にするのが一つの解決方法である。この際に、下段ドア4
1(b)側からオーバーラップを設けると、下段ドア4
1(b)を開こうとするときに、上段ドア4
1(a)と干渉して開かなくなってしまう。
【0044】
図11(c)は、上段ドア41(a)と下段ドア4
1(b)の隙間610に壁603を設けた構成を示す図である。上記の理由から
図11(c)に示すように、シート1の隙間610への入り込みを防止する壁603は、上段ドア4
1(a)側から下段ドア4
1(b)とZ方向にオーバーラップさせる。またY方向で上段ドア4
1(a)よりも奥側(矢印とは反対方向)に形成されるように設けることで、下段ドア4
1(b)の開閉を妨げられずに、シート1の隙間610への入り込みを防ぐことができる。
【0045】
図11(d)は、シート1が排紙され、先端が、規制部としての壁603に突き当たった状態を示す図である。
図11(d)に示すように、シート1の先端が壁603に突き当たり、給紙
パス620に入り込むことなく、排紙が継続可能である。すなわち、隙間610に入り込んだシート1の先端が隙間内を進行することが壁603によって規制される。
【0046】
図11(e)は、シート1の先端が壁603に突き当たった状態で排紙され続けた時を示す図である。
図11(e)に示すように、壁603にシート1の先端が突き当たった後も、排紙されて送られてきた分が膨らむように保たれ、排紙可能である。更に、排紙を進めるとシート1は地面に着地してしまうが、この場合は不図示の布などを床に敷き、シート1を支持してもよい。そうすることでシート1を傷つけることなく更なる排紙が可能である。このように、壁603を設けることで、シート1の先端が隙間610に入り込むことなく、あるいは入り込んだとしても隙間奥に進行することなく、排紙が可能となる。
【0047】
ここまでは、壁603の高さ方向(z方向)と奥行方向(y方向)について述べてきた。ここからは、壁603の幅方向(x方向)について、シートのセット性まで考慮した形態について述べていく。
【0048】
図12(a)は、壁603を設けた構成において下段ドア41(b)を開いてロールシートRをセットする際の正面図である。
図12(b)は、壁603を設けた構成において下段ドア41(b)を開いてロールシートRをセットする際の右側面図である。
図12(a)に示すように、ロールシートRをセットするユーザの左手601、ロールシートRをセットする人の右手602であり、フランジ23を右手602、フランジ24を左手601で持つとロールシートRはセットがしやすい。また、壁603は、ドア41(a)下部幅方向(X方向)で、ドア41(a)略全幅設けられている。
図12(b)に示すように、ドア41(b)を開いて、ロールシートRを本体にセットしていくのだが、壁603が幅方向全域設けられていると、ロールシートRをセットしていく際に右手602及び左手601が壁603と当たってしまいセットがしづらい。そこで、本実施形態では、壁603を、ロールシートRの両端を把持するユーザの手幅分を避けて、幅方向で必要な箇所にのみ設け、ロールシートRをセットする際に右手602及び左手601が壁603に当たらないようにする。
【0049】
図13(a)は、壁603をシートセット時に手の当たらない位置に設けた構成において下段ドア41(b)を開いてシートをセットする際の正面図である。
図13(b)は、壁603をシートセット時に手の当たらない位置に設けた構成において下段ドア41(b)を開いてシートをセットする際の右側面図である。
【0050】
図13(a)に示すように、上記で示してきた壁603は、ここでは、隙間610を部分的に塞ぐ複数の規制部として、壁603(a)、603(b)、603(c)として、にシート幅方向に分割して設けられている。
図13(b)に示すようにフランジ23及びフランジ24を右手602及び左手601で持って
供給装置200にセットしていく。そ
の際に使用する紙の基準端部663と本装置にセット可能な最大幅サイズのロールシートR非基準側端部660、本装置にセット可能な最小幅サイズのロールシートRの非基準側端部662がある。
図13(a)のように、使用するロールシートRのサイズの非基準側端部に合わせてフランジ24の位置は変わる。そのフランジ24を持つ左手601もそれに合わせてx方向の位置が変わる。そのX方向位置のまま
供給装置200まで手が入り込んでくるため、そこには壁603を設けないことで、手と当たるのをふせげる。フランジ23及びフランジ24を握った際の手の幅650分だけ避けた位置に壁603を設けると次のようになる。本装置にセット可能な最大幅サイズのロールシートR非基準側端部660から手の幅6
50分避けた位置に壁603を設けたものが壁603(a)の左端である。本装置にセット可能な最小幅サイズのロールシートRの非基準側端部662を避けた位置に壁603を設けたものが壁603(b)の右端と壁603(c)の左端である。最大と最小の間で使用する中間サイズでロールシートRをセットする際に手と当たるのを防ぎたい中間サイズがある場合は、その中間サイズ非基準側端部661から手の幅650分だけ避けた位置で、壁603(a)の右端と壁603(b)の左端が決まる。ロールシートRの基準側端部663を手の幅650分だけ避けると603(c)の右端が決まる。このように、ロールシートRをセットする際に使用するシートサイズの基準側、非基準側端部から手の幅分避けた位置に壁603を設けることで、シートセット時に壁603が手に当たることなく実施することができる。そのため
図13(b)に示すように、手602は壁603とx方向で避け設けられているため、当たることなくロールシートRを
供給装置200にセット可能である。
【0051】
本実施形態では、ドアは上段ドアと下段ドアの二つで述べてきたが、それに限定するわけではない。2つ以上のドアを設けた場合も同様に、上側にあるドアと下側にあるドアに対して、双方のドアの隙間に対して、本実施形態で示した壁を設けることで同様の効果を得ることができる。
【0052】
(実施形態4)
図14は、実施形態4の説明図である。実施形態1において述べたように、供給装置200へロールシートRをスライドセットするときの従動回転体(圧接体)8、9およびアーム部材(移動体)4とロールシートRの位置関係について詳細を説明する。なお、本実施形態においてここで特に説明しない事項は上記実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0053】
図14(a)は、ロールシートRの残量が少ないとき、
図14(b)は、ロールシートRの残量が多いときを表している。供給装置200のロールシートRの収容部において、アーム部材4は、アーム回転軸5(
図2参照)を中心に回動可能に構成されており、ロールシートRの外径に応じて従動回転体8、9とともに上下に移動可能(回動可能)に設けられている。アーム部材4は、下側ガイド体として、従動回転体8、9のロールシートR外周面との圧接位置からロールシートRのシート繰出し回転方向の下流側において、ロールシートRから繰り出された(引き出された)シート1の下面をガイドする。従動回転体8、9は、ロールシートRが供給装置200の収容部にガイドされる際のガイド方向の上流側の先端に、上流側に向かって下方に下る傾斜面を形成する回動部材54が設けられている。
【0054】
図14(a)において、従動回転体(圧接体)8、9がイニシャル位置にあり、残量が少ないロールシートR51をスライドセットするとき、従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部材(可動部)54に接触する。その後、従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部材54と従動回転体(圧接体)8、9を押し下げながらセット位置に移行する。
【0055】
図14(b)において、残量が多いロールシートR52をスライドセットするとき、従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部材54に接触する。従動回転体(圧接体)先端の回動可能な部材54は単体で回動した後、従動回転体(圧接体)8、9と共に押し下がり、ロールシートRを圧接する位置に移行する。部材54は、ロールシートをガイドした後は、不図示のバネ等により元の位置(角度)に戻るように構成される。なお、部材54は、従動回転体(圧接体)8、9に対して固定された構成としてもよい。
【0056】
(実施形態5)
図15~
図17は、実施形態5の説明図である。実施形態1において述べたように、ユーザはプリント装置上のロール仮置台42でスプール部材2をロールシートRにセット可能であるが、この部分について詳細を説明する。なお、本実施形態においてここで特に説明しない事項は上記実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0057】
図15(a)に示すように、回動ドア部500の開状態のロール仮置台42にロールシートRを置いて、スプール部材2の非基準側をロールシートRの基準側に挿入していく。ロール仮置台42は装置前面に突出した状態となっているためロール仮置台42に載置したロールシートRには、横からスプール部材2を挿入可能である。続いて
図15(b)の
ように基準側スプールフランジ23がロール仮置台42上にある突き当て面70を過ぎるまでスプール部材2の挿入が済んだら、今度はロールシートRをスプール部材2の基準側スプールフランジ23に向けて挿入する。移動するロールシートRが基準側スプールフランジ23に接すると、基準側スプールフランジ23も基準側に移動していくが、突き当て面70に達すると、基準側スプールフランジ23はそれ以上移動できなくなる。これにより、ロールシートRは基準側スプールフランジ23に挿入されていく。ロールシートRの基準側の端面が基準側スプールフランジ23に突き当たるまで挿入されたら、次に、
図15(c)のように、非基準側スプールフランジ24をロールシートRに挿入する。先と同様に、基準側スプールフランジ23は、突き当て面70に突き当たっているので、ロールシートRは、移動せず、
図15(d)のように、非基準側スプールフランジ24をロールシートRの非基準側端面に突き当たるまで挿入することができる。
【0058】
このように、ユーザはプリント装置上のロール仮置台42でスプール部材2をロールシートRにセット可能であるので、机等の新たなロールセット用スペースが不要である。また、机等のロールセット用スペースからロールシートRをプリンタに移動する工程も不要となる。また、机等ではスプール部材2をロールシートRに挿入する時に、ロールシートRが動いてしまわないように手で押さえながら作業する必要があるが、先で述べたように、仮置台42上にある突き当て面70を利用することでこのような作業が不要となる。そのため作業負荷が軽減される。
【0059】
また、突き当て面70の高さについてであるが、
図16(a)のように、用紙半径Hが基準側スプールフランジ23の半径hよりも小さい場合は、基準側スプールフランジ23は突き当て面70に必ず突き当たる。例えば具体例としては、突き当て面高さは5mmで構成すればよい。一方、
図16(b)のように、用紙半径Hが基準側スプールフランジ23の半径hよりも大きい場合は、基準側スプールフランジ23が突き当て面70に突き当たるように、突き当て面高さをH-h以上に設ける必要がある。例えば具体例としては、H=87.5mm、h=83mmの場合は、突き当て面高さは4.5mm以上必要であるので、メカの寸法ばらつきを加味して突き当て面高さを9.5mmなどで構成すればよい。
【0060】
スプール部材2をロールシートRがセットされた後は、先に述べているようにスプールフランジもしくは、ロールシートRの底面をガイド面42にスライドさせながらロールシートRをプリント装置に導く。
図17(a)のように、突き当て面70は、Y軸マイナス方向に延長している。また、プリント装置本体のスプール支持部13は、プリント中にスプールを支持するスプールホルダ31と基準側スプールフランジ23と接触可能なフランジガイド面としてのガイド面71を備えている。
図17(b)~(d)は、
図15(a)を矢視Z方向に見た図である。突き当て面70は、ガイド面71と略同一面を形成している。
図17(b)のように、ロール仮置台42に置かれたロールシートRを、ユーザは、
図17(c)のように、基準側に寄せつつ本体へスライドする操作を行う。このとき、基準側スプールフランジ23に対して、突き当て面70とガイド面71がガイドとなり、プリンタ装置本体へロールシートRを導くことができる。そして
図17(d)のようにスプール軸端はスプール支持部13に係合されてロールセットが完了する。スプール軸端が支持部13に係合されることで基準側スプールフランジ23はガイド面71に接触することがなくなる。本体にロールをセットした後は、回動ドア部500の閉状態にして用紙セットを終える。以上のように、突き当て面70と略同一面であるガイド面71を設けることでロールシートRを容易に本体セット位置へ導くことができる。
【符号の説明】
【0061】
1…シート、2…スプール部材、21…スプール軸、22…摩擦部材、23…基準側スプールフランジ、24…非基準側スプールフランジ、40…排紙支持部、41…ロールカ
バー、42…ロール仮置台、42a…くぼみ部、42b…ガイド部、42c…ガイド部、43…回動機構、100…プリント装置、104…排紙口、200…シート供給装置、400…プリント部、500…回動ドア部