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特許7558748画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/06 20090101AFI20240924BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240924BHJP
   H04N 1/32 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
H04W88/06
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
H04N1/32
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020176689
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067853
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】有馬 真
(72)【発明者】
【氏名】山田 遼平
(72)【発明者】
【氏名】大吉 和博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義和
(72)【発明者】
【氏名】若林 美月
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-171829(JP,A)
【文献】特開2019-174968(JP,A)
【文献】国際公開第2019/084725(WO,A1)
【文献】特開2000-078659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0267521(US,A1)
【文献】特開2003-006682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04N1/00
1/32
1/34-1/36
1/42-1/44
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
移動通信システムに接続して通信を行う複数の通信手段と、
前記複数の通信手段のうち2つ以上の通信手段から、前記画像形成装置で用いられる画像データの通信を制御する制御信号を並列的に送信させる制御を行う制御手段と、
前記移動通信システムに接続する際の認証に用いられる認証コードおよび前記認証を行う管理サーバのアドレスを示す画像を読み取る読み取り手段と、を備え
前記制御手段は、前記認証コードおよび前記アドレスを用いて、前記画像形成装置が前記移動通信システムに接続する接続情報の取得を前記管理サーバに要求する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通信手段は、ミリ波による通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記認証コードおよび前記アドレスは、2次元コードを解析することで取得されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記読み取り手段は、携帯端末の画面に表示されている前記2次元コードを読み取ることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ADFを用いて用紙に印刷された前記2次元コードを流し読みするモードと、携帯端末の画面に表示されている前記2次元コードを読み取るモードとの一方を選択可能であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数の不揮発性メモリ、をさらに備え、
前記複数の不揮発性メモリのうち、1つの不揮発性メモリに前記管理サーバにより書き換え可能な前記接続情報が記憶され、他の不揮発性メモリに前記認証コードおよび前記アドレスが記憶されることを特徴とする請求項乃至のうち何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記1つの不揮発性メモリは、eSIMモジュールであることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記1つの不揮発性メモリに記憶された前記接続情報を用いて前記移動通信システムに接続を行う際の認証が成功しなかった場合、前記他の不揮発性メモリに記憶された前記認証コードおよび前記アドレスを用いて、前記接続情報の再取得を前記管理サーバに要求し、再取得した前記接続情報を前記1つの不揮発性メモリに記憶する制御を行うことを特徴とする請求項またはに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記接続情報の再取得を行う前にパスワードの入力を促す画面を表示し、入力されたパスワードが正当でない場合、前記接続情報の再取得を禁止することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記他の不揮発性メモリに前記接続情報が記憶され、
前記制御手段は、前記1つの不揮発性メモリに記憶された接続情報と前記他のメモリに記憶された接続情報とが一致しない場合、前記1つの不揮発性メモリに記憶された接続情報を消去することを特徴とする請求項乃至のうち何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記他の不揮発性メモリに前記接続情報のハッシュ値が記憶され、
前記制御手段は、前記1つの不揮発性メモリに記憶された接続情報からハッシュ値を生成し、生成されたハッシュ値と前記他の不揮発性メモリに記憶されたハッシュ値とが整合しない場合、前記1つの不揮発性メモリに記憶された接続情報を消去することを特徴とする請求項乃至のうち何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記接続情報は、複数のデータを含み、
前記ハッシュ値は、前記複数のデータのうち一部または全部のデータとハッシュ関数とを用いて求められることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記接続情報を記憶し、前記管理サーバにより書き換えができない不揮発性メモリを有するカードを接続するコネクタ、をさらに備え、
前記制御手段は、前記カードを取り出す操作を受け付けることなく、前記コネクタから前記カードが取り出された場合、照明装置の点灯および警告文の印刷の制御を行うことを特徴とする請求項乃至12のうち何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記接続情報を記憶し、前記管理サーバにより書き換えができない不揮発性メモリを有するカードを接続するコネクタ、をさらに備え、
前記制御手段は、前記画像形成装置が起動された際、前記管理サーバにより書き換えができない不揮発性メモリに記憶されている接続情報と前記他の不揮発性メモリに記憶されている接続情報とが一致しない場合、照明装置の点灯および警告文の印刷の制御を行うことを特徴とする請求項乃至12のうち何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像形成装置の制御方法であって、
移動通信システムに接続して通信を行う複数の通信手段のうち2つ以上の通信手段から、前記画像形成装置で用いられる画像データの通信を制御する制御信号を並列的に送信させる制御を行
前記移動通信システムに接続する際の認証に用いられる認証コードおよび前記認証を行う管理サーバのアドレスを示す画像を読み取り、前記認証コードおよび前記アドレスを用いて、前記画像形成装置が前記移動通信システムに接続する接続情報の取得を前記管理サーバに要求する制御を行う、ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項16】
請求項1乃至14のうち何れか1項の画像形成装置の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、印刷データやスキャンデータ等の各種データの通信を行う機能を有する。近年の画像形成装置は、画像品質が向上していること等に起因して、通信するデータ量が増大している。また、近年、高速大容量のデータ通信の規格として、第5世代移動通信システム(以下、5G)が用いられているようになっている。移動通信システムに関連する技術として、特許文献1の技術が提案されている。関連する技術として、特許文献1の技術が提案されている。特許文献1の技術は、IMT-2000規格に対応させたSIMカード(USIMカード)を用いて、携帯電話機の加入者識別情報の認証を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-121336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置が5G通信によりデータ通信を行う場合、5G通信に適した画像形成装置の設計を行う必要がある。例えば、5G通信では、ミリ波と称される高周波数の電波を用いて無線通信が行われる。ミリ波は、高周波の電波を用いているため、高速大容量の通信を行うことが可能であるが、直進性が高く、障害物に弱いという特徴がある。画像形成装置は、人通りが多いオフィス環境に設置されることが多く、このような環境下では、通信が一時的に遮断される可能性がある。また、5G通信では、SIM(Subscriber Identity Module)を用いて機器の認証を行うため、機器の利用を有効化するために、アドレスやアクティベーションコードの入力といった作業が発生する。このため、認証に関する手続きの煩雑化を招来する。さらに、5G通信では、SIMによる認証を行う際のセキュリティ対策を講じる必要がある。以上の問題は、5G通信以外の移動通信システムを利用した通信にも生じ得るものである。
【0005】
そこで、本発明は、移動通信システムを利用した通信を好適に画像形成装置に行わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、移動通信システムに接続して通信を行う複数の通信手段と、前記複数の通信手段のうち2つ以上の通信手段から、前記画像形成装置で用いられる画像データの通信を制御する制御信号を並列的に送信させる制御を行う制御手段と、前記移動通信システムに接続する際の認証に用いられる認証コードおよび前記認証を行う管理サーバのアドレスを示す画像を読み取る読み取り手段と、を備え、前記制御手段は、前記認証コードおよび前記アドレスを用いて、前記画像形成装置が前記移動通信システムに接続する接続情報の取得を前記管理サーバに要求する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動通信システムを利用した通信を好適に画像形成装置に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置を含むシステムの一例を示す図である。
図2】画像形成装置およびプリントサーバの構成の一例を示す図である。
図3】読み取り装置の構成の一例を示す図である。
図4】通信部の構成を示すブロック図である。
図5】ネットワーク通信の確立の流れの一例を示すシーケンス図である。
図6】認証フローの流れの一例を示すフローチャートである。
図7】操作部に表示される画面例を示す図である。
図8】eSIMを用いた移動通信システムにおける認証の流れの一例を示すシーケンス図である。
図9】eSIMを用いた移動通信システムにおける認証の流れの他の例を示すシーケンス図である。
図10】制御信号のフォーマットの一例を示す図である。
図11】プリントサーバが画像形成装置に画像データを送信するまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図12】画像形成装置とプリントサーバとの間で行われる制御信号および画像データの通信の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図13】第1実施形態における各不揮発性メモリに記憶されるデータ例を示す図である。
図14】制御基板が交換された場合の再認証の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15】制御基板が交換された際の画像形成装置の起動時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図16】復旧画面の一例を示す図である。
図17】第2実施形態の各不揮発性メモリに記憶されるデータ例を示す図である。
図18】起動時処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図19】第2実施形態で操作部に表示される画面例を示す図である。
図20】SIMカードの取り出し時の画面例を示す図である。
図21】電源がオンになっているときの警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図22】第3実施形態で操作部に表示される画面例を示す図である。
図23】電源がオフになっていたときにSIMカードが取り出された場合の警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、画像形成装置を含むシステムの一例を示す図である。図1に示されるシステムは、画像形成装置100およびプリントサーバ300を含む。また、当該システムは、基地局Bおよび無線LANルータ249を含む。無線LANルータ249と基地局Bと管理サーバMSとは、ネットワーク250に接続されている。まず、画像形成装置100について説明する。画像形成装置100は、読み取り装置201および操作部202を有する。読み取り装置201は、用紙に印刷された画像や携帯端末に表示されている画面の画像等を読み取るリーダスキャナであり、読み取り手段に対応する。操作部202は、ユーザからの入力を受け付けるとともに、ユーザに提示する情報を表示する。画像形成装置100は、ユーザ操作に基づく操作部202や外部ホストPCが設定したシートの処理設定、および読み取り装置201や外部ホストPCが送信した画像データに基づいて、シートに画像形成を行う。
【0011】
画像形成装置100は、アンテナ210および220を有する。アンテナ210には、通信部211が接続されており、アンテナ220には、通信部221が接続されている。通信部(またはアンテナ)は、通信手段に対応する。通信部211、221は、移動通信システムを利用した無線通信を行う。各実施形態の移動通信システムは、第5世代移動通信システムであるものとする。以下、第5世代移動通信システムを用いた無線通信を5G通信と称する。画像形成装置100は、画像データや当該画像データの通信制御に用いられる制御信号等を、第5世代移動通信システムの通信規格に準拠した通信により送受信する。画像形成装置100は、LTE(Long Term Evolution)等の規格に準拠した無線通信を行ってもよいし、第5世代移動通信システム以降の移動通信システムに準拠した無線通信を行ってもよい。また、通信部およびアンテナの数は3つ以上であってもよい。
【0012】
画像形成装置100は、無線LAN通信用のアンテナ230を用いて無線LAN通信を行う無線LAN通信部231を有する。アンテナ230は、後述する無線LANルータ249と無線LAN通信を行う。無線LAN通信の方式は、任意の方式を適用可能である。さらに、画像形成装置100には、警告を行うためのLED228が設けられている。
【0013】
画像形成装置100は、給紙部214、給紙を搬送する給紙搬送ユニット215および給紙搬送部216を有する。給紙部214に設けられた給紙搬送ユニット215は、シートを1枚ずつ分離して給紙搬送する。搬送後のシートは、給紙搬送部216にて継続して搬送される。また、各搬送部には、それぞれ搬送用のステッピングモータが設けられている。各ステッピングモータが駆動制御されると、各搬送部に設けられたステッピングモータの駆動は機械的に伝達される。これにより、各部の搬送ローラが回転し、シートの搬送が行われる。作像部204は、給紙搬送部216から1枚ずつシートを受け取り、操作部202が受け付けた坪量データや画質等の設定情報に基づき画像形成を行う。画像形成条件が変更されると、変更後の画像形成条件に従って、シートに画像形成が行われる。シートは、各搬送部により搬送制御される。そして、作像部204は、レジセンサ217がシートを検知したことを起点として、受信した画像データに基づく画像形成動作を行う。
【0014】
また、レーザスキャナユニット223内の半導体レーザの点灯や光量制御が実施されるとともに、ポリゴンミラーを回転制御するスキャナモータが制御され、画像データに応じて制御されるレーザ光が感光体ドラム224上に潜像画像を形成する。そして、トナーボトル219からトナーが給送されて、現像部222により感光体ドラム224上の潜像画像にトナーが現像され、現像されたトナー画像が中間転写ベルト225に感光体ドラム224より1次転写される。中間転写ベルト225上に1次転写されたトナー画像がシートに2次転写されることでシート上にトナー画像が形成される。画像基準センサ218はシートの先端位置を検知し、先端位置の位置合わせが行われる。2次転写後のシートは定着部203に搬送される。定着部203は、熱と圧力とをシートに加え、トナーを溶融して、溶融したトナーをシートに定着させる。トナー定着後のシートは、裏面に対して継続して画像形成がされるか、搬送部206を介して成果物として排紙トレイ227に順次出力される。これにより、シート(用紙)に画像が形成された成果物がユーザに提供される。トナー定着後のシートの表裏反転が必要な場合、シートは、反転搬送部226に搬送される。
【0015】
次に、プリントサーバ300について説明する。画像形成装置100は、プリントサーバ300との間で、5G通信により画像データや制御信号等の送受信を行う。プリントサーバ300は、高精度なカラー調整やユーザビリティ等の各種の機能を有している。画像形成装置100は、プリントサーバ300の機能を利用することで、画像形成装置100で印刷される印刷物の画質の向上や生産性の向上を図ることができる。従来、画像形成装置100とプリントサーバ300とを有線ケーブルにより接続する構成が採用されていたが、各実施形態では、画像形成装置100とプリントサーバ300との間では5G通信が行われる。プリントサーバ300は、アンテナ311、312を有する。アンテナ311には、通信部301が接続される。アンテナ312には、通信部302が接続される。通信部301、302は、画像形成装置100の通信部211、221と同様、5G通信を行う。プリントサーバ300には、ディスプレイ等の表示装置304およびマウス等の入力装置303が接続される。なお、プリントサーバ300の通信部およびアンテナは1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0016】
図2は、画像形成装置100およびプリントサーバ300の構成の一例を示す図である。図2の構成のうち、図1で説明した各部については、説明を省略する。画像形成装置100は、制御基板240を有する。制御基板240には、CPU200、ROM205およびeSIMモジュール212が搭載されている。ROM205には、各種のプログラムが記憶されている。制御手段としてのCPU200は、ROM205に記憶されているプログラムを実行する。これにより、各実施形態の制御が実現される。制御基板240には、読み取り装置201、操作部202、定着部203、作像部204、搬送部206、SIMコネクタ213、LED228、データ分配部241およびスピーカ242が接続されている。また、制御基板240には、メモリ基板245、246が接続されている。
【0017】
eSIMモジュール212は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)や通信暗号秘密鍵等のプロファイルを保存するモジュールである。IMSIは、移動通信システムを利用する機器(画像形成装置)に一意に割り当てられる識別番号である。図2では、「eSIM」と表記される。eSIMは、「Embedded SIM」の略称であり、組み込み式のSIMである。eSIMには、移動通信システムに接続する接続情報としてのプロファイルが記憶されており、記憶されているプロファイルに応じた移動通信システムに接続できる。当該移動通信システムは、プライベートまたはローカルなネットワークであってもよいし、移動体通信事業者が運用するネットワークであってもよい。例えば、ローカルな移動通信システムは、企業等における無線従事者により運用される。eSIMモジュール212に記憶されているプロファイルは、移動通信システム用の管理サーバMSから書き換えることが可能である。eSIMモジュール212に記憶されているプロファイルの書き換えが実施されると、異なるローカルまたはプライベートな移動通信システムや、異なる移動体通信事業者が運用する移動通信システムを利用することが可能になる。
【0018】
SIMコネクタ213は、IMSIや通信暗号秘密鍵等のプロファイルが記憶された着脱可能なSIMカードを接続するためのコネクタである。SIMコネクタ213にSIMカード(カード)が挿入されると、eSIMと同様に、記憶されているプロファイルに応じて決められた移動通信システムに接続することができる。ただし、SIMコネクタ213に接続されるSIMカードは、eSIMとは異なり、ローカルまたはプライベートな移動通信システムの無線従事者や、移動体通信事業者によって、プロファイルを書き換えることはできない。各実施形態では、SIMカードに記憶されるプロファイルとeSIMモジュール212に記憶されるプロファイルとは同じであるものとするが、異なっていてもよい。
【0019】
データ分配部241は、通信部211、221に接続されている。データ分配部241は、CPU200の制御に基づいて、通信を行う制御信号や画像データ等を通信部211、221に振り分ける。つまり、通信部211、221の両方に同じ情報が出力される。スピーカ242は、画像形成装置100を利用するユーザに対して音による通知を行う。メモリ基板245は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)208を搭載したモジュール基板である。制御基板240とメモリ基板245とは、物理的に異なる基板である。EEPROM208とCPU200とはI2CやSPI等の汎用インタフェースにより接続される。CPU200は、EEPROM208に記憶されたデータの読み書きを行うことができる。
【0020】
メモリ基板246は、不揮発性メモリであるFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)209を搭載したモジュール基板である。制御基板240とメモリ基板246とは、物理的に異なる基板である。FeRAM209とCPU200とはI2CやSPI等の汎用インタフェースにより接続される。CPU200は、FeRAM209に記憶されたデータの読み書きを行うことができる。メモリ基板245、246に搭載される不揮発性メモリは、EEPROMやFeRAMには限定されない。また、画像形成装置100は、不揮発性メモリとして、ROM205とEEPROM208とFeRAM209とのうち何れか1つを有している構成であってもよい。
【0021】
プリントサーバ300は、通信部301、302、CPU305、データ分配部306、記憶部307、表示部308、入力部309、メモリ310およびアンテナ311、312を有する。CPU305は、記憶部307に記憶されているプログラムを実行する。これにより、各実施形態のプリントサーバ300の処理が実現される。データ分配部306は、通信部301、302に接続されている。データ分配部306は、CPU305の制御により、通信部301、302に画像データ等のデータを振り分ける。表示部308は、図1の表示装置304と接続される。入力部309は、図1の入力装置303と接続される。メモリ310は、プログラムや変数の値等を記憶する。通信部301、302は、上述したように、画像形成装置100の通信部211、221と同様の方式で通信を行う。図2の例に示されるように、基地局Bは、画像形成装置100の外部に設置されることが想定される。例えば、基地局Bは、企業内の工場等のプライベートまたはローカルな環境下に設置され得る。ただし、基地局Bは、移動体通信事業者による運営されるものであってもよい。なお、基地局Bは、画像形成装置100やプリントサーバ300等に設けられていてもよい。
【0022】
次に、読み取り装置201について説明する。図3は、読み取り装置201の構成の一例を示す図である。原稿トレイ251は、シートである原稿252を搭載する。原稿トレイ251の上方には、給紙ローラ253が設けられている。給紙ローラ253は、分離搬送ローラ254と同一駆動源に接続されており、その回転に連動して回転し、原稿252を給紙する。給紙ローラ253は、通常、ホームポジションである上方の位置に退避しており、原稿252のセット作業を阻害しない場所に位置している。給紙動作が開始されると、給紙ローラ253は下降して原稿252の上面に当接する。給紙ローラ253は、所定のアームに軸支されており、アームが揺動することにより上下に移動する。
【0023】
分離搬送従動ローラ255は、分離搬送ローラ254の対向側に配置されており、分離搬送ローラ254側に押圧されている。分離搬送従動ローラ255は、分離搬送ローラ254より僅かに摩擦が少ないゴム材等から形成されており、分離搬送ローラ254と協働して、給紙ローラ253によって給紙される原稿252を1枚ずつ捌いて給紙を行う。レジストローラ256およびレジスト従動ローラ257は、給紙された原稿252の先端を揃える。そして、静止したレジストローラ256およびレジスト従動ローラ257のニップ部に向けて分離した原稿252の先端が突き当たると、原稿252にループが生じて、その先端が揃えられる。そして、リードローラ258およびリード従動ローラ259は、原稿252を流し読みガラス266に向けて搬送する。流し読みガラス266の対向側には、プラテンローラ260が配置されている。
【0024】
CCDラインセンサ276は、流し読みガラス266上を通過する原稿252の表面の画像を読み取る。CCDラインセンサ276による原稿252の表面の画像の読み取りが終了すると、リード排出ローラ261およびリード排出従動ローラ262は、原稿252を排紙ローラ263に搬送する。ジャンプ台267は、流し読みガラス266からシートをすくい上げる。排紙ローラ263は、原稿252を排紙トレイ264に排出する。画像読み取りユニット265は、原稿252の読み取り面に対して光を照射するランプ269および原稿252からの反射光を、レンズ275およびCCDラインセンサ276に導くミラー270、271、272を有する。ランプ269およびミラー270は、第1ミラー台273に取り付けられている。また、ミラー271、272は、第2ミラー台274に取り付けられている。
【0025】
第1ミラー台273と第2ミラー台274とは、ワイヤにより駆動モータと結合され、駆動モータの回転駆動により原稿台ガラス268と平行に移動する。原稿252からの反射光は、ミラー270、271、272を介してレンズ275に導かれ、レンズ275からCCDラインセンサ276の受光部に結像される。CCDラインセンサ276は、結像した反射光を受光素子で光電変換し、入射光量に応じた電気信号を出力する。以上の構成を有する読み取り装置201を用いた読み取りは、固定読み取りモードと流し読みモードとの2つのモードを用いて行うことができる。固定読み取りモードでは、原稿252は原稿台ガラス268上に載置され、第1ミラー台273および第2ミラー台274を移動させながら原稿252が読み取られる。固定読み取りモードでは、携帯端末等の画面の画像を読み取ることもできる。流し読みモードでは、第1ミラー台273および第2ミラー台274が停止した状態で、読み取り装置201が、原稿252を搬送させながら、流し読みガラス266の位置で原稿252を読み取る。読み取り装置201の構成は、図3の例には限定されない。
【0026】
次に、画像形成装置100の通信部211、221について説明する。図4は、通信部211の構成を示すブロック図である。画像形成装置100の通信部221、プリントサーバ300の通信部301、302も、通信部211と同様の構成である。上述したように、通信部211は、第5世代移動通信システムの規格に準拠した通信を行う。通信部211は、無線通信CPU400、発振部401および受信部402を有する。通信部211には、アンテナ210が接続されている。
【0027】
無線通信CPU400は、通信部211を制御する。無線通信CPU400は、CPU200から受けたデータ(送信するデータ)を発振部401に入力する。発振部401は、入力されたデータ列を変調信号に変調し、所定の周波数で発振するとともに増幅する。そして、発振部401は増幅された変調信号をアンテナ210に入力し、アンテナ210は電波信号を放射する。ここで、上記の所定の周波数により放射される電波信号は、ミリ波である。通信部211は、画像データや制御信号等のデータを送信する。受信部402は、アンテナ210が受信した電波信号を所定の周波数でフィルタリングし、且つ増幅した後に変調信号の復調等を施して、データ列を生成する。生成されたデータ列は、無線通信CPU400に入力される。アンテナ210が受信する電波もミリ波である。
【0028】
基地局Bは、アンテナ210、220、311、312が放射した電波信号を受信する。基地局Bは受信した電波信号の内容に応じて、画像形成装置100やプリントサーバ300に電波信号を放射する。アンテナ210、220、311、312は、基地局Bが放射した電波信号を受信する。
【0029】
次に、移動通信システムの通信の確立について説明する。図5は、ネットワーク通信の確立の流れの一例を示すシーケンス図である。図5のシーケンス図の各処理は、画像形成装置100の電源がオンにされたタイミングで開始する。画像形成装置100のCPU200は、画像形成装置100を利用するための認証情報(例えば、PIN(Personal Identification Number)の入力を促す画面を操作部202に表示する制御を行う。当該認証情報は、SIMコネクタ213に接続されたSIMカードや、eSIMモジュール212に記憶されたIMSI等のプロファイルを読み出すための端末レベルでの認証処理に用いられる情報である。S500で、CPU200は、入力された認証情報に基づいて、機器を利用するための認証(機器利用認証)を行い、プロファイルの読み出しを許可するかを判定する。S500の機器利用認証は、省略することもできる。
【0030】
S501で、画像形成装置100のCPU200は、機器の登録を要求する機器登録要求を、基地局Bに送信する。S502で、基地局Bは、機器登録要求を受信すると、機器としての画像形成装置100との間で接続処理を実施する。また、S503で、機器登録要求を受信した基地局Bは、受信した機器登録要求を管理サーバMSに送信する。S504で、管理サーバMSは、基地局Bを介して、画像形成装置100と機器情報の受け渡しを行う。受け渡しされる機器情報は、上述したSIMカードやeSIMモジュール212から読み出されたプロファイルを含む。S505で、管理サーバMSは、画像形成装置100から受信したプロファイルに基づいて、機器情報の認証を行う。
【0031】
S506で、画像形成装置100は、基地局Bを介して、画像形成装置100が位置する位置登録管理エリアをカバーする基地局の位置情報を管理サーバMSに通知する。S507で、管理サーバMSは、通知された位置情報を登録する位置登録処理を実施する。位置登録処理が実施された後、S508で、管理サーバMSは、画像形成装置100がネットワーク250と接続するためのセッションを生成する。生成されたセッションが確立されると、S509で、管理サーバMSは、画像形成装置100の登録を許可する機器登録許可通知を基地局Bに送信する。S510で、画像形成装置100と基地局Bとの間で通信の秘匿化が行われる。S511で、画像形成装置100とネットワーク250との間のパケット通信路が確立されて、パケット通信が開始される。
【0032】
次に、移動通信システムの認証フローについて説明する。図6は、認証フローの流れの一例を示すフローチャートである。画像形成装置100が上述した移動通信システムによる通信を行う際、画像形成装置100を操作している操作者が管理者であることの認証が行われる。画像形成装置100は、不特定多数の操作者により操作がされる場所に設置される可能性がある。この場合、悪意を持った操作者により画像形成装置100が操作されると、不正な認証がされること等に起因して、画像形成装置100を用いた不正な通信が行われること、或いは画像形成装置100の通信が不能になることがある。また、画像形成装置100の内部の情報が漏洩する等のセキュリティ面でも問題が生じる。そこで、S601で、画像形成装置100のCPU200は、管理者の認証処理を行う。
【0033】
管理者の認証処理が行われる際の、操作部202の画面例について説明する。図7は、第1実施形態で操作部202に表示される画面例を示す図である。図7(a)は、管理者の認証処理が行われる際の画面例の一例を示す図である。CPU200は、操作者による認証設定が開始されたことを認識したことに応じて、図7(a)の画面例を操作部202に表示する制御を行う。各実施形態では、操作部202は、タッチパネルディスプレイであるものとし、操作部202は入力機能と表示機能とを有する。図7(a)の画面例は、ユーザ名および管理者パスワードを含む。操作者は、テンキーや操作部202に表示されるソフトキーを操作して、ユーザ名およびパスワード(管理者パスワード)を入力することができる。「完了」ボタンが操作されると、CPU200は、当該操作を受け付ける。
【0034】
CPU200は、入力された情報が、正当な情報であるかを照合することで、管理者の認証処理を行う。正当な情報は、画像形成装置100に予め登録されている。入力された情報が正当な情報である場合、CPU200は、認証が成功したと判定する。一方、入力された情報が正当な情報でない場合、CPU200は、認証が失敗したと判定する。CPU200は、認証が成功しない限り、図6のS601の処理を継続する。一方、認証が成功した場合、CPU200は、フローをS602に進める。ここでは、ユーザ名およびパスワードの入力に基づいて認証が行われる例について説明したが、S601の認証は、例えば、IDカードを用いた認証等であってもよい。なお、S601で認証が成功しない場合、CPU200は、画像形成装置100を停止させてもよいし、図6のフローチャートの処理を終了させてもよい。
【0035】
次に、S602で、CPU200は、通信の認証を行うためのアクティベーションコードの入力方法の選択を促す画面表示する。図7(b)は、アクティベーションコードの選択画面例を示す図である。アクティベーションコードは、移動通信システムを利用した通信を有効化するための認証コードであり、移動体通信事業者や無線従事者等から提供される。例えば、移動体通信事業者が運営する移動通信システムの回線通信網を利用する契約が有効にされた場合、画像形成装置100の管理者に移動体通信事業者からアクティベーションコードが提供される。アクティベーションコードは、認証を行う管理サーバMSのURL(Uniform Resource Locator)とともに提供される。各実施形態では、アクティベーションコードは、2次元コードであるものとして説明するが、2次元コードには限定されず、バーコードや文字列等であってもよい。アクティベーションコードおよび管理サーバMSのURLの情報は、例えば、メールや郵送により、移動体通信事業者や無線従事者から提供され得る。
【0036】
図7(b)の画面例では、「ADFでスキャン」と「圧板でスキャン」と「手動入力」との何れかのボタンを選択可能である。「ADFでスキャン」は、2次元コードを流し読みモードを用いて読み取るときに選択されるボタンである。2次元コードは、管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを示す情報を含む。例えば、2次元コードが用紙に印刷されている場合に、ADF(Auto Document Feeder)を用いて、2次元コードを読み取ることができるときに選択される。
【0037】
「圧板でスキャン」は、主に、スマートフォン等の携帯端末の画面や電子ペーパーの画面等に表示されている2次元コードを含む画像を固定読み取りモードを用いて読み取るときに選択されるボタンである。また、2次元コードが印刷されている用紙のサイズがADFに対応していない場合や2次元コードが冊子に印刷されている場合等にも「圧板でスキャン」を選択することができる。つまり、「圧板でスキャン」は、画面や冊子等から2次元コードを直接的に読み取る際に選択されるボタンである。また、移動体通信事業者から、管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードが、文字情報として提供されることがある。「手動入力」は、操作部202を用いて、手動で管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを入力するためのボタンである。
【0038】
図6に示されるように、S602で「ADFでスキャン」を選択する操作がされた場合、CPU200は、フローをS603に進める。図7(c)は、「ADFでスキャン」が選択された場合の画面例を示す図である。CPU200は、2次元コードが印刷された面が上側となるようにして用紙のセットを促すメッセージを操作部202に表示する制御を行う。そして、「スキャン開始」ボタンが操作されると、S603で、CPU200は、流し読みモードを読み取り装置201に実施させる。これにより、読み取り装置201は、用紙に印刷されている画像の流し読みを行う。
【0039】
図6に示されるように、S602で「圧板でスキャン」を選択する操作がされた場合、CPU200は、フローをS604に進める。図7(d)は、「圧板でスキャン」が選択された場合の画面例を示す図である。CPU200は、2次元コードが印刷された用紙や冊子、2次元コードが表示された画面を原稿台ガラス268にセットすることを促すメッセージを操作部202に表示する制御を行う。そして、「スキャン開始」ボタンが操作されると、S604で、CPU200は、固定読み取りモードを読み取り装置201に実施させる。これにより、読み取り装置201は、携帯端末の画面に表示されている画像や用紙に印刷されている画像の固定読み取りを行う。
【0040】
図6に示されるように、S602で「手動入力」を選択する操作がされた場合、CPU200は、フローをS605に進める。S605で、CPU200は、「サーバURL」および「アクティベーションコード」の入力を促す画面を操作部202に表示する制御を行う。図7(e)は、「手動入力」が選択された場合の画面例を示す図である。図7(e)の画面例は、「サーバURL」および「アクティベーションコード」を入力するための入力欄を含む。操作者が、テンキーやソフトキー等を用いて、管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを手動で入力して、「完了」ボタンを選択する操作を行うと、CPU200は、入力された内容を受け付ける。
【0041】
図6に示されるように、S603またはS604の処理が実行された後、CPU200は、フローをS606に進める。S606で、CPU200は、S603またはS604で読み取られた画像(用紙に印刷されている画像や携帯端末に表示されている画面の画像)に含まれる2次元コードを解析する。CPU200は、2次元コードを解析することにより、2次元コードが示す管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを画像認識する。S605の処理が実行された場合は、管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードは手動で入力されているため、S606の処理は行われない。
【0042】
S607で、CPU200は、上記の管理サーバMSのURLを用いて、管理サーバMSにアクセスする制御を行うとともに、上記のアクティベーションコードを用いて、認証に関する処理を実行する。当該認証に関する処理の詳細は、後述する。S608で、CPU200は、アクティベーションコードを用いた認証処理が完了した旨の通知を操作部202に表示する制御を行う。図7(f)は、認証処理が成功したことを示す画面例を示す図である。図7(f)の画面例では、移動通信システムの通信回線の名称が表示されている。
【0043】
次に、上記の認証に関する処理について説明する。画像形成装置100がeSIMを用いて移動通信システムに接続して無線通信を利用可能とするためには、管理サーバMSによる認証が必要となる。当該認証が成功すると、管理サーバMSは、管理サーバMSは、プロファイルをeSIMモジュール212に書き込む。これにより、画像形成装置100は、eSIMを用いた移動通信システムの無線通信を利用することが可能になる。
【0044】
ここで、画像形成装置100のeSIMモジュール212に対するプロファイルの書き込みは、管理サーバMSにより行われる。管理サーバMSは、プロファイルを一意に指定するアクティベーションを用いて、遠隔で、画像形成装置100のeSIMモジュール212にプロファイルの書き込みを行う。アクティベーションコードは、プロファイルを一意に指定可能なユニークな数字とローマ字との組み合わせにより構成される。上述したように、アクティベーションコードおよび管理サーバMSのURLは、管理サーバMSから提供される。
【0045】
画像形成装置100の操作部202に対して、操作者が管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを入力する操作を行うと、CPU200は、当該操作を受け付ける。CPU200は、当該操作を受け付けると、プロファイルを取得する要求を管理サーバMSに送信する。管理サーバMSは、受信した要求に応じて、所定の処理を行い、画像形成装置100のeSIMモジュール212にプロファイルを書き込む。これにより、画像形成装置100は、移動通信システムに接続して通信を行うことができる。
【0046】
図8は、eSIMを用いた移動通信システムにおける認証の流れの一例を示すシーケンス図である。S801で、画像形成装置100のCPU200は、無線LANルータ249と無線LANで接続する制御を行う。S802で、画像形成装置100と無線LANルータ249との無線LAN接続が確立されると、無線LANルータ249は、ネットワーク250との間でネットワーク接続を確立する。これにより、画像形成装置100と管理サーバMSとは相互に通信可能な状態になる。
【0047】
S803で、画像形成装置100のCPU200は、管理サーバMSにアクティベーションコードを送信する制御を行う。S804で、管理サーバMSは、アクティベーションコードを受信すると、受信したアクティベーションコードが正当であるかを照合することで、認証を行う。管理サーバMSは、認証が成功した場合、アクティベーションコードに応じたプロファイルのダウンロードを許可し、プロファイルを画像形成装置100に送信する。S805で、画像形成装置100のCPU200は、ダウンロードすることにより取得したプロファイルをeSIMモジュール212に記憶する。S806で、画像形成装置100のCPU200は、プロファイルのダウンロードが完了すると、ダウンロードが完了した旨の通知を管理サーバMSに送信する。管理サーバMSは、S804で、認証処理が成功しない場合、プロファイルのダウンロードを許可することなく、エラー処理を行う。
【0048】
S807で、画像形成装置100のCPU200は、eSIMモジュール212を再起動する制御を行う。S808で、eSIMモジュール212が再起動されると、eSIMのアクティベーションが行われる。そして、S809で、CPU200は、基地局Bにアクセスし、ネットワーク接続を確立する制御を行う。画像形成装置100と基地局Bとのネットワーク接続が確立されると、S810で、基地局Bは、ネットワーク250とネットワーク接続を確立する。これにより、画像形成装置100は、基地局Bを介して、ネットワーク250との間で、移動通信システムを用いた通信(5G通信)が可能な状態になる。
【0049】
図8の例では、無線LANルータ249を介して、画像形成装置100とネットワーク250との間でネットワーク接続が行われる例について説明したが、画像形成装置100とネットワーク250との間で直接的にネットワーク接続が行われてもよい。図9は、eSIMを用いた移動通信システムにおける認証の流れの他の例を示すシーケンス図である。図9の例に示されるように、S901で、画像形成装置100は、基地局Bを介して、ネットワーク250にネットワーク接続を行う。当該ネットワーク接続は、アクティベーションコードを送信するためのネットワーク接続であり、移動通信システム以外のネットワークを利用したネットワーク接続であってもよい。これにより、画像形成装置100と管理サーバMSとは相互に通信可能な状態になる。S803~S810の各処理は、図8と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
以上のように、画像形成装置100が、eSIMを用いた移動通信システムを利用するための認証手続きを行う際に用いられる管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードは、読み取り装置201が読み取る。管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードは、文字と数字との複雑な組み合わせであるため、入力手続きが煩雑になるとともに、入力内容に誤りが生じる可能性がある。この点、画像形成装置100は、管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードが2次元コード等で印刷された用紙や表示画面から、読み取り装置201を用いた読み取りを行う。これにより、eSIMを用いた移動通信システムを利用するための認証手続きが簡略化される。これにより、移動通信システムを利用した通信を画像形成装置100に好適に行わせることができる。例えば、移動通信システムの通信事業者から、管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードのコード(2次元コード等)が電子メールで提供されることがある。この場合、操作者の端末に電子メール送信されたコードを読み取り装置201が読み取るだけで、認証が完了するため、認証手続きの簡略化を図ることができる。
【0051】
上述した処理が行われることで、画像形成装置100は、基地局Bを介して、ネットワーク250との間で、移動通信システムを用いた通信が可能な状態になる。これにより、画像形成装置100は、図2のプリントサーバ300と、ネットワーク250を介して、通信(移動通信システムを用いた通信)が可能になる。以下、画像形成装置100とプリントサーバ300との通信について説明する。各実施形態では、画像形成装置100とプリントサーバ300との間では、制御信号および画像データの通信が行われる。
【0052】
図10は、制御信号のフォーマットの一例を示す図である。図10に示されるように、制御信号は、PAGE_SET1000およびPAGE_REQ1001の2つのコマンドパケットを含む。PAGE_SET1000は、画像データのサイズおよび転送モードの通知に用いられる。例えば、PAGE_SET1000により、転送モードとして、カラー画像の転送モードとモノクロ画像の転送モードとの何れであるかが識別される。また、PAGE_SET1000は、画素数の設定に用いられるMainScanPixelおよびSubScanLineの情報を含む。さらに、PAGE_SET1000は、通信部情報を含む。通信部情報の詳細は後述する。PAGE_REQ1001は、画像データの送信を開始するリクエストを出力する際に用いられるパケットである。
【0053】
図11は、プリントサーバ300が画像形成装置100に画像データを送信するまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。最初に、画像形成装置100のCPU200は、制御信号であるPAGE_REQ1001をデータ分配部241に出力する。データ分配部241は、入力されたPAGE_REQ1001を通信部211、221の両方に出力する。S1101で、通信部211、221は、アンテナ210、220を介して、PAGE_REQ1001を示す電波信号を、並列的に、基地局Bに放射する。上述したようにデータ分配部241は、PAGE_REQ1001を通信部211、221の両方に出力するため、PAGE_REQ1001はミラーリングされる。通信部211、221は、ミラーリングされたPAGE_REQ1001を、基地局Bに並列的に送信する。
【0054】
基地局Bは、画像形成装置100から放射されたPAGE_REQ1001を受信する。そして、基地局Bは、受信した電波信号に所定の処理を施した後に、PAGE_REQ1001の電波信号を、放射する。S1102で、プリントサーバ300の通信部301、302は、アンテナ311、312を介して、基地局Bが放射した電波信号を受信する。このとき、通信部301と通信部302とのうち何れかが通信不能になっていることがある。この場合、通信部301と通信部302とのうち何れか一方が、基地局Bが放射した電波信号を受信する。
【0055】
通信部301と通信部302とのうち何れか一方または両方から、データ分配部306に制御信号であるPAGE_REQ1001が入力される。S1103で、データ分配部306は、通信部301と通信部302とのうち何れかがPAGE_REQ1001を受信していないかを判定する。データ分配部306は、通信部301と通信部302とのうち何れか一方からPAGE_REQ1001が入力された場合、PAGE_REQ1001を入力していない方の通信部が、通信不可であるとして、S1103でYesと判定する。一方、データ分配部306は、通信部301と通信部302との両方からPAGE_REQ1001が入力された場合、S1103でNoと判定する。
【0056】
データ分配部306は、S1103でYesと判定した場合、フローをS1104に進める。S1104で、データ分配部306は、通信不可の通信部を示す情報をPAGE_REQ1001に含めて、CPU305に出力する。通信不可の通信部を示す情報は、図10に示されるPAGE_SET1000のうち通信部情報を生成するための情報である。データ分配部306は、S1103でNoと判定した場合、フローをS1105に進める。S1105で、データ分配部306は、PAGE_REQ1001をそのままCPU305に出力する。
【0057】
S1106で、CPU305は、入力されたPAGE_REQ1001からPAGE_SET1000を生成する。このとき、CPU305は、データ分配部306から通信不可の通信部を示す情報が入力された場合、通信部情報をPAGE_SET1000に設定する。CPU305は、生成したPAGE_SET1000をデータ分配部306に出力し、データ分配部306は、入力されたPAGE_SET1000を通信部301、302のうち一方または両方に出力する。データ分配部306は、通信部301、302の両方が通信可能であることをPAGE_SET1000の通信部情報が示している場合、PAGE_SET1000を通信部301、302に並列的に出力する。一方、データ分配部306は、通信部301、302の一方が通信不能であることをPAGE_SET1000の通信部情報が示している場合、通信部301、302のうち通信可能な通信部にPAGE_SET1000を出力する。
【0058】
S1107で、アンテナ311、312の一方または両方は、PAGE_SET1000を示す電波信号を基地局Bに放射する。通信部301、302の両方が通信可能である場合、アンテナ311、312は、PAGE_SET1000を示す電波信号を、並列的に、基地局Bに放射する。つまり、ミラーリングされた電波信号が、アンテナ311、312から放射される。一方、通信部301、302の一方が通信不能である場合、通信可能な通信部に対応するアンテナが、PAGE_SET1000を示す電波信号を、基地局Bに放射する。
【0059】
S1108で、画像形成装置100の通信部211、221は、アンテナ210、220を介して、基地局Bが放射したPAGE_SET1000を含む電波信号を受信する。このとき、アンテナ210とアンテナ220とのうち一方が電波信号を受信してもよい。データ分配部241は、通信部211と通信部221とのうち何れか一方または両方から入力されたPAGE_SET1000の情報を、CPU200に出力する。S1109で、CPU200は、PAGE_SET1000についてのACKを生成し、生成したACKをデータ分配部241に出力する。データ分配部241は、入力されたACKを通信部211、221に出力する。S1110で、通信部211、221は、アンテナ210、220を介して、並列的に、ACKを示す電波信号を基地局Bに向けて放射する。
【0060】
基地局Bは、ACKを示す電波信号を受信し、受信した電波信号に所定の処理を施して、放射する。そして、S1111で、プリントサーバ300の通信部301、302は、アンテナ311、312を介して、基地局Bが放射したACKを示す電波信号を受信する。このとき、アンテナ311とアンテナ312とのうち何れか一方が通信不可の場合、通信可能なアンテナがACKを示す電波信号を受信する。データ分配部306は、通信部301と通信部302とのうち何れか一方または両方から入力されたACKをCPU305に出力する。
【0061】
S1112で、CPU305は、通信不可の通信部があるかを判定する。CPU305は、S1103と同様の方法で、S1112の判定を行うことができる。CPU305は、S1112でYesと判定した場合、フローをS1113に進める。S1113で、CPU305は、通信部301と通信部302とのうち通信可能な通信部に、送信対象の画像データを出力する。CPU305は、S1112でNoと判定した場合、フローをS1114に進める。S1114で、CPU305は、送信対象の画像データを分割して2つの分割画像データを生成し、2つの分割画像データのうち1つを通信部301に出力し、残りを通信部302に出力する。
【0062】
CPU305は、S1113またはS1114で画像データを出力する際、画像データの送信先(画像形成装置100)の情報を画像データに付加する。なお、送信先の情報は、別途の信号が用いられてもよい。S1115で、CPU305は、送信先の情報に従って、画像データを送信する制御を行う。CPU305は、S1113を実行した場合、通信部301、302のうち通信可能な通信部に対して、画像データを送信する制御を行う。一方、CPU305は、S1114を実行した場合、通信部301と通信部302とに対して、分割画像データを並列的に送信する制御を行う。
【0063】
次に、制御信号および画像データの通信について説明する。図12は、画像形成装置100とプリントサーバ300との間で行われる制御信号および画像データの通信の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。S1201およびS1202で、画像形成装置100およびプリントサーバ300はともに、IDLEstate(通信待機状態)になっている。この状態で、操作者が画像形成装置100の操作部202を操作して、画像データの印刷指示の操作を行ったとする。CPU200は、印刷指示の操作を受け付ける。CPU200は、制御信号であるPAGE_REQ1001を生成し、通信部211および通信部221から並列的に、PAGE_REQ1001を送信する制御を行う。S1203で、当該制御により、アンテナ210、220は、並列的に、PAGE_REQ1001を示す電波信号を基地局Bに送信する。基地局Bは、受信した電波信号に所定の処理を施して、電波信号を放射する。S1204で、プリントサーバ300の通信部301、302は、アンテナ311、312を介して、基地局Bから、PAGE_REQ1001を示す電波信号を受信する。
【0064】
S1205で、プリントサーバ300のデータ分配部306は、2つの通信部301、302がPAGE_REQ1001を受信したかを判定する。データ分配部306は、S1205でYesと判定した場合、フローをS1207に進める。データ分配部306は、S1205でNoと判定した場合、フローをS1206に進める。S1206で、CPU305は、2つの通信部のうち通信不可の通信部を示す情報をPAGE_SET1000に含める。CPU305は、PAGE_SET1000を生成して、生成されたPAGE_SET1000を通信部301、302の一方または両方に出力する。通信部301、302の両方が通信可能な場合、PAGE_SET1000は通信部301、302に並列的に出力される。通信部301、302の一方が通信不可の場合、PAGE_SET1000は通信可能な通信部に出力される。S1207で、アンテナ311、312の一方または両方はPAGE_SET1000を示す電波信号を放射する。通信部301、302の両方が通信可能な場合、通信部301、302の両方から、PAGE_SET1000を示す電波信号は並列的に放射される。通信部301、302の一方が通信不可の場合、アンテナ311、312の一方からPAGE_SET1000を示す電波信号が放射される。S1203~S1208におけるPAGE_REQ1001およびPAGE_SET1000の通信に関する処理は、図11のS1102~S1108と同様である。
【0065】
プリントサーバ300から放射された電波信号は、基地局Bが受信する。基地局Bは受信した電波信号に所定の処理を施し、放射する。S1208で、画像形成装置100のCPU200は、基地局Bが放射した電波信号(PAGE_SET1000を示す電波信号)を所定時間以内に受信したかを判定する。所定時間は、任意に設定可能である。CPU200は、S1208でNoと判定した場合、フローをS1203に戻し、PAGE_REQ1001を再送する制御を行う。
【0066】
CPU200は、S1208でYesと判定した場合、フローをS1209に進める。そして、CPU200は、ACKを生成し、生成したACKを通信部211、221の両方から送信する制御を行う。S1209で、当該制御により、アンテナ210、220は、並列的に、ACKを示す電波信号を基地局Bに送信する。基地局Bは、画像形成装置100が送信したACKを受信し、受信したACKに所定の処理を施し、放射する。S1211で、プリントサーバ300のアンテナ311、312は、基地局Bが放射したACKの電波信号を受信する。S1209およびS1211のACKの通信に関する処理は、図11のS1109~S1111と同様である。
【0067】
以上により、プリントサーバ300は、画像形成装置100からの要求に応じて、画像データを画像形成装置100に送信する。S1212で、プリントサーバ300のCPU305は、画像データを画像形成装置100に送信する制御を行う。このとき、通信部301、302の両方が通信可能な場合には、通信部301、302は、画像データを分割した分割画像データを、アンテナ311、312を介して、並列的に送信する。一方、通信部301と通信部302とのうち一方が通信不可の場合、通信可能な通信部が画像データを送信する。S1212の処理は、図11のS1112~S1115の処理と同様である。
【0068】
プリントサーバ300が送信した画像データの電波信号は、基地局Bが受信する。基地局Bは、受信した電波信号に所定の処理を施し、放射する。S1213で、画像形成装置100のアンテナ210、220は、基地局Bが放射した電波信号(画像データの電波信号)を受信する。S1214で、画像形成装置100のCPU200は、通信部211、221から、ACKを並列的にプリントサーバ300に送信する制御を行う。これにより、S1215で、プリントサーバ300のアンテナ311、312は、基地局Bを介して、ACKを受信する。S1214およびS1215の処理は、S1209およびS1211の処理と同様である。なお、S1215で、CPU305は、アンテナ311、312の両方でACKを受信したかを判定してもよい。この場合、S1205と同様の処理が行われる。
【0069】
S1216で、プリントサーバ300のCPU305は、画像データの送信が完了したかを判定する。CPU305は、S1216でNoと判定した場合、フローをS1212に戻す。CPU305は、S1216でYesと判定した場合、フローをS1217に進める。S1217で、プリントサーバ300のCPU305は、画像データの送信が完了したことを示す画像データ送信完了通知を、通信部301、302から画像形成装置100に送信する制御を行う。これにより、アンテナ311、312から並列的に画像データ送信完了通知が放射される。そして、S1218で、CPU305は、プリントサーバ300をIDLEstateに移行する制御を行う。
【0070】
S1219で、画像形成装置100の通信部211、221は、基地局Bを介して、プリントサーバ300から送信された画像データ送信完了通知を受信する。そして、S1220で、画像形成装置100のCPU200は、画像形成装置100をIDLEstateに移行する制御を行う。
【0071】
上述したように、画像形成装置100は、2つの通信部211、221を有する。そして、画像形成装置100は、2つの通信部211、221を用いて、制御信号PAGE_REQ1001を並列的に送信する。また、プリントサーバ300は、2つの通信部301、302を用いて、制御信号PAGE_SET1000を並列的に送信する。つまり、画像形成装置100とプリントサーバ300との間では、2つの通信部を用いて、同じ制御信号の通信が行われる。制御信号の通信は、上述した5G通信により行われる。5G通信は、高速大容量の通信が可能であるが、ミリ波と称される高周波数の電波を用いているため、直進性が高く、障害物に弱い。このため、画像形成装置100とプリントサーバ300との間の通信が一時的に遮断される可能性がある。
【0072】
例えば、画像形成装置100は、人通りが多いオフィス環境に設置される場合が多い。この場合、画像形成装置100とプリントサーバ300との間を人が移動するときに、人が障害物となり、画像形成装置100とプリントサーバ300との間の通信を一時的に遮断する要因となることがある。そこで、画像形成装置100とプリントサーバ300との間の通信を2つの通信部を用いて行うように構成しているため、2つの通信部のうちの一方の通信部による通信が一時的に遮断されたとしても、他方の通信部による通信は可能である場合が多い。これにより、5G通信の信頼性が向上するため、5G通信を好適に画像形成装置に行わせることができる。
【0073】
次に、基板の交換について説明する。図2に示されるように、制御基板240に、eSIMモジュール212やCPU200、ROM205等が搭載されている。ここで、制御基板240に搭載されている部品や配線、或いは制御基板240自体に故障が発生した場合、制御基板240の交換が行われる。制御基板240が交換されると、eSIMモジュール212に新たにプロファイルを設定する作業が生じる。この際、eSIMを用いた移動通信システムを利用するための認証手続きを再び実施する必要がある。以下、eSIMモジュール212を搭載した制御基板240が交換される場合における認証手続きの利便性を向上させる例について説明する。
【0074】
図13は、第1実施形態における各不揮発性メモリに記憶されるデータ例を示す図である。図13に示されるROM205、EEPROM208、FeRAM209およびeSIMモジュール212は、不揮発性メモリである。図13(a)は、ROM205に記憶されるデータ例を示す。ブートプログラムデータは、CPU200を起動するためのブートプログラムのデータである。機種固有データは、画像形成装置100を一意に特定するシリアルナンバー(S/N)や、ネットワークのMACアドレスに関するデータである。ユーザ設定データは、電源のオフタイマ設定やプリントの画質設定等のユーザが指定した動作設定に関するデータである。図13(b)は、EEPROM208に記憶されるデータ例を示す。機種固有データは、画像形成装置100の個体ごとに異なる特性を調整するためのエンジン調整値である。エンジン調整値は、例えば、レーザースキャナの書き出し位置のオフセット値等が各種の調整に関する値を含む。eSIMプロファイル設定データは、管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを含むデータである。
【0075】
図13(c)は、FeRAM209に記憶されるデータ例を示す。稼働ログデータは、画像形成装置100のシステムログデータである。稼働ログデータは、例えばメンテナンス時に、その内容が参照されるデータである。eSIMプロファイル設定データは、EEPROM208に記憶されるデータと同じデータである。eSIMプロファイル設定データは、EEPROM208とFeRAM209とのうち何れか一方に記憶されてもよいし、両方に記憶されてもよい。図13(d)は、eSIMモジュール212に記憶されるデータ例を示す。IMSIデータは、回線ごとに割り当てられる識別子である。Kiデータは、ネットワーク認証鍵である。ICCIDデータは、eSIMのプロファイルを識別する識別子であって、プロファイルごとに1つ割り当てられる。eUICC―IDデータは、eSIMを識別する識別子であって、eSIMごとに1つ割り当てられる。図13(d)の各データは、プロファイルであって、画像形成装置100を移動通信システムに接続する接続情報である。
【0076】
図14は、制御基板240が交換された場合の再認証の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図14のS601~S608は、図6と同様であるため、説明を省略する。図14に示されるように、画像形成装置100のCPU200は、S606で2次元コードを解析した後、フローをS1401に進める。S1401で、CPU200は、解析された管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを、eSIMプロファイル設定データとして、EEPROM208に記憶する。このとき、CPU200は、FeRAM209にSIMプロファイル設定データを記憶してもよい。
【0077】
次に、制御基板240やeSIMモジュール212が交換された際における画像形成装置100の起動時の処理の流れについて説明する。図15は、制御基板240が交換された際の画像形成装置100の起動時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図15のフローチャートは、制御基板240が交換された後、画像形成装置100の電源がオンにされた後に開始する。S1501で、CPU200は、eSIM212のプロファイルに基づき、機器情報(画像形成装置100に関する情報)の認証に関する一連の処理を実施する。この際、CPU200は、基地局Bを介して、管理サーバMSとの間で通信を行い、画像形成装置100の認証に関する一連の処理を行う。画像形成装置100の認証が行われると、CPU200は、認証が成功したかを示す情報を管理サーバMSから取得する。
【0078】
S1502で、CPU200は、機器情報の認証が成功したかを判定する。eSIMモジュール212から読み出されたプロファイルが正当であれば、管理サーバMSによる認証は成功する。この場合、CPU200は、S1502でYesと判定し、図15のフローチャートの処理を終了させる。一方、eSIMモジュール212を搭載した制御基板240が交換された場合、新たなeSIMモジュール212から読み出されたプロファイルに基づく管理サーバMSによる認証は成功しない。この場合、CPU200は、S1502でNoと判定し、操作部202に復旧画面を表示させる。
【0079】
図16は、復旧画面の一例を示す図である。図16(a)は、回線情報を復旧させるときに表示される画面例である。CPU200は、図16(a)に示されるメッセージを表示する。そして、操作部202に表示されている「次へ」のボタンが操作されると、CPU200は、ボタンの操作を受け付ける。S1504で、CPU200は、EEPROM208に記憶されているeSIMプロファイル設定データを読み出す。EEPROM208に記憶されているeSIMプロファイル設定データは、制御基板240が交換される前の管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを含む。S1505で、CPU200は、読み出された管理サーバMSのURLおよびアクティベーションコードを用いて、プロファイルの再取得を要求するアクティベーション処理を実行する。当該アクティベーション処理が実行されると、管理サーバMSからプロファイルがダウンロード(再取得)され、eSIMモジュール212のプロファイルが書き換えられる。これにより、画像形成装置100は、基地局Bを介して、ネットワーク250と通信可能な状態になる。
【0080】
以上より、eSIMモジュール212を搭載した制御基板240が交換されたとしても、eSIMを用いた移動通信システムを利用するための認証手続きが自動的に実施される。これにより、eSIMモジュール212を搭載した制御基板240が交換されたとしても、認証手続きを手動で行う必要がないことから、認証手続きが簡略化され、利便性が向上する。このため、画像形成装置100に5G通信を好適に行わせることができる。
【0081】
S1503で、CPU200は、図16(b)のような画面を操作部202に表示する制御を行ってもよい。図16(b)は、回線情報を復旧するときにパスワードの入力を要求する画面例である。図16(b)の画面が操作部202に表示されている状態で、パスワードが入力されると、CPU200は、入力されたパスワードが正当なパスワードであるかを確認する要求を、管理サーバMSに送信する制御を行う。管理サーバMSは、受信したパスワードが正当なパスワードであるかを判定し、判定結果を画像形成装置100に送信する。CPU200は、管理サーバMSが送信した判定結果が、正当なパスワードでないことを示している場合には、フローをS1504に進めることを禁止する。これにより、不正な操作者による回線情報の復旧を防止することができ、セキュリティが向上する。このため、画像形成装置100に5G通信を好適に行わせることができる。
【0082】
以上において、画像形成装置100は、通信部211、221の2つの通信部を有している例を示したが、画像形成装置100の通信部は1つであってもよい。画像形成装置100が読み取り装置201を有しており、CPU200が上述した2次元コードを読み取って、認証に関する処理を行うことで、eSIMを用いた移動通信システムを利用するための認証手続きが簡略化される。従って、この場合、画像形成装置100の通信部は1つであってもよい。ただし、5G通信の信頼性の向上という観点から、画像形成装置100は、2つの通信部211、221を用いて、並列的に制御信号を送信することが好ましい。
【0083】
また、画像形成装置100は、それぞれ異なるプロファイルを記憶する2つ以上のeSIMモジュール212を有していてもよい。例えば、通信部211、221が異なるデータを送信するときに、CPU200は、通信部211、221のそれぞれに対応するeSIMモジュール212からプロファイルを読み取って、5G通信を用いてデータを送信してもよい。さらに、上述した例では、画像形成装置100は、eSIMモジュール212とSIMコネクタ213とを有している例を説明したが、何れか一方のみを有する構成であってもよい。
【0084】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態における画像形成装置100およびプリントサーバ300の構成は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。上述したように、移動通信システムに接続するためのプロファイルは、eSIMモジュール212に記憶される。eSIMモジュール212を搭載している制御基板240は交換等がされることがあり、制御基板240が盗用される可能性もある。制御基板240やeSIMモジュール212が正当な権限を有しない第三者に取得されて、他の画像形成装置に装着されると、上記のプロファイルが流用される可能性がある。この場合、他の画像形成装置が、上記のプロファイルを用いて、不正に移動通信システムに接続することが可能になる。第2実施形態では、以上のような問題の解決を図る。
【0085】
図17は、第2実施形態の各不揮発性メモリに記憶されるデータ例を示す図である。図17(a)は、ROM205に記憶されるデータ例を示す。図17(a)のデータ例は、プロファイルハッシュ値が含まれている点で、図13(a)のデータ例と異なる。他の各種データは、図13(a)の各種データと同様である。プロファイルハッシュ値は、eSIMモジュール212に記憶された1または複数のデータをキーとして、ハッシュ関数により求められるハッシュ値である。プロファイルハッシュ値は、後述する起動時処理において書き込まれる。以下、ROM205に記憶されたプロファイルハッシュ値をHaとする。
【0086】
図17(b)は、EEPROM208に記憶されるデータ例である。機種固有データは、図13(b)の機種固有データと同様である。EEPROM208には、機種固有データとともにプロファイルハッシュ値が記憶される。以下、EEPROM208に記憶されたプロファイルハッシュ値をHbとする。図17(b)において、EEPROM208には、図13(b)のeSIMプロファイル設定データが記憶されていてもよい。図17(c)は、FeRAM209に記憶されるデータ例である。稼働ログデータは、図13(c)の稼働ログデータと同様である。FeRAM209には、稼働ログデータとともにプロファイルハッシュ値が記憶される。以下、FeRAM209に記憶されたプロファイルハッシュ値をHcとする。図17(c)において、EEPROM208には、図13(c)のeSIMプロファイル設定データが記憶されていてもよい。図17(d)は、eSIMモジュール212に記憶されるデータ例を示す。eSIMモジュール212は、1つの不揮発性メモリに対応し、ROM205、EEPROM208およびFeRAM209は、他の不揮発性メモリに対応する。
【0087】
図17(d)の各種データは、図13(d)の各種データと同様である。上述したプロファイルハッシュ値は、図17(d)の各種データとハッシュ関数とを用いて求められる。ここで、キーとして用いられるデータは、図17(d)の各種データのうち一部のデータであってもよいし、全部のデータであってもよい。例えば、eUICC―IDデータとICCIDデータとの2つのデータがキーとして用いられてもよい。この場合、eUICC―IDデータとICCIDデータとを合わせたデータを用いて求められたハッシュ値がプロファイルハッシュ値となる。
【0088】
ここで、CPU200は、図14のS1401の代わりに、取得したプロファイルからプロファイルハッシュ値Ha、Hb、Hcを求めて、ROM205、EEPROM208、FeRAM209に記憶する。このとき、CPU200は、プロファイルハッシュ値ではなく、プロファイル自体をeSIMモジュール212に記憶するとともに、ROM205、EEPROM208およびFeRAM209にも記憶してもよい。この場合、ROM205、EEPROM208およびFeRAM209には、eSIMモジュール212と同じプロファイルが記憶される。
【0089】
図18は、画像形成装置100が起動されたときに実行される起動時処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像形成装置100の電源がオンにされると、起動時処理が実行される。CPU200は、図5のS500の処理が開始される前に、起動時処理を実行してもよい。起動時処理は、ROM205、EEPROM208、FeRAM209およびeSIMモジュール212に記憶されたデータの整合性を確認する処理である。
【0090】
S1800で、CPU200は、eSIMモジュール212からIMSIやICCID等のデータを読み出す。S1801で、CPU200は、S1801で読み出されたデータが初期値であるかを判定する。読み出されたデータが初期値である場合、アクティベーションは実施されていない。この場合、CPU200は、S1802でYesと判定し、フローをS1803に進める。S1803で、CPU200は、アクティベーションを促す画面を操作部202に表示する制御を行う。図19(a)は、アクティベーションを促す画面例である。図19(a)の画面例で、「次へ」のボタンが操作されると、CPU200は、図19のフローチャートの処理を終了させる。
【0091】
CPU200は、S1802でNoと判定した場合、フローをS1803に進める。S1803で、CPU200は、S1801で読み出されたデータをキーとして、ハッシュ値を生成する。CPU200は、任意のハッシュ関数(SHA-2やSHA-3等)を適用して、ハッシュ値を生成する。CPU200は、上述したプロファイルハッシュ値Ha、Hb、Hcを生成した際に用いたデータと同じデータを用いて、ハッシュ値を生成する。例えば、プロファイルハッシュ値Ha、Hb、Hcの生成にeUICC―IDデータおよびICCIDデータが用いられた場合、CPU200は、S1803で、eUICC―IDデータおよびICCIDデータを用いて、ハッシュ値を生成する。以下、S1803で生成されるハッシュ値をHsimとする。
【0092】
S1804で、CPU200は、ROM205、EEPROM208およびFeRAM209のそれぞれから、プロファイルハッシュ値Ha、Hb、Hcを読み出す。S1805で、CPU200は、S1803で生成されたハッシュ値Hsimと、S1804で読み出されたプロファイルハッシュ値Ha、Hb、Hcとを比較する。S1806で、CPU200は、上記の各ハッシュ値Hsim、Ha、Hb、Hcが全て一致するかを判定する。CPU200は、一致しないハッシュ値が存在する場合、S1806でNoと判定して、フローをS1807に進める。一方、各ハッシュ値Hsim、Ha、Hb、Hcが全て一致する場合、CPU200は、図18のフローチャートの処理を終了させる。
【0093】
S1807で、CPU200は、起動時処理のリトライ回数が所定回数に達したかを判定する。所定回数は、例えば「3回」等の任意の回数を設定できる。起動時処理のリトライ回数が所定回数に達していない場合、CPU200は、S1807でNoと判定し、フローをS1800に戻す。これにより、起動時処理のリトライが再実行される。例えば、上記の所定回数が3回に設定されていた場合、起動時処理のリトライは3回まで許容される。
【0094】
一方、起動時処理のリトライ回数が所定回数に達した場合、CPU200は、S1807でYesと判定し、フローをS1808に進める。この場合、ハッシュ値が一致しないと判定された回数が所定回数に達しているため、制御基板240に搭載されたeSIMモジュール212が不正な状態であることが想定される。そのため、S1808で、CPU200は、eSIMモジュール212を初期化する。S1808で、CPU200は、eSIMモジュール212の初期化ではなく、eSIMモジュール212のプロファイルを削除してもよい。つまり、CPU200は、S1808で、プロファイルを消去する。ここで、CPU200は、S1807でYesと判定した場合、起動時処理を強制的に終了させてもよい。これにより、eSIMモジュール212が不正な状態である場合における画像形成装置100の利用を禁止することができる。次に、S1809で、CPU200は、再アクティベーションを促す画面を操作部202に表示する制御を行う。図19(b)は、アクティベーションを促す画面例である。CPU200は、S1809の処理を実行した後、図18のフローチャートを終了させる。
【0095】
図18の例では、CPU200は、eSIMモジュール212を初期化するかをハッシュ値に基づいて判定しているが、ハッシュ値ではなく、プロファイル自体に基づいて判定してもよい。例えば、S1806で、CPU200は、eSIMモジュール212に記憶されているプロファイルとROM205、EEPROM208およびFeRAM209に記憶されているプロファイルとが一致しているかを判定してもよい。そして、CPU200は、プロファイルが一致しているかの比較結果に応じて、eSIMモジュール212を初期化する制御を行ってもよい。
【0096】
以上のように、第2実施形態では、eSIMモジュール212に記憶されるプロファイルは、ROM205、EEPROM208およびFeRAM209といった不揮発性メモリに記憶される。CPU200は、ROM205、EEPROM208およびFeRAM209のそれぞれに記憶されているプロファイルとeSIMモジュール212に記憶されるプロファイルとが整合しているかを判定する。CPU200は、整合していないと判定した場合には、eSIMモジュール212のプロファイルを消去する。画像形成装置100からeSIMモジュール212を搭載した制御基板240から取り外され、他の画像形成装置に装着されたとしても、プロファイルが整合しないため、eSIMモジュール212のプロファイルは初期化される。これにより、eSIMモジュール212を搭載した制御基板240が盗用されたとしても、正当な権限を有しない第三者に、画像形成装置100のeSIMモジュール212のプロファイルが流用されることを防止することができる。その結果、上記のプロファイルを用いて、不正に移動通信システムに接続されることが回避されるため、セキュリティが向上する。
【0097】
また、画像形成装置100は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末と比べて、サイズが大きく、複数の基板を内蔵している。携帯端末の場合、プロファイルの整合の判定に用いられるプロファイルを記憶する不揮発性メモリを複数内蔵させるための余裕がないが、画像形成装置100にはその余裕がある。従って、画像形成装置100は、この点で特に有効である。
【0098】
以上において、上述したプロファイルの整合の判定に用いられるプロファイルハッシュ値は、2つ以下の不揮発性メモリに記憶されてもよいし、4つ以上の不揮発性メモリに記憶されてもよい。例えば、CPU200は、EEPROM208に記憶されたプロファイルハッシュ値を用いて、S1806の判定を行ってもよい。また、eSIMモジュール212のプロファイルと不揮発性メモリのプロファイルとが整合しているかの判定は、ハッシュ値以外の任意の手法により行われてもよい。
【0099】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態における画像形成装置100およびプリントサーバ300の構成は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。上述したように、制御基板240には、SIMコネクタ213が接続される。SIMコネクタ213に接続されるSIMカードは、eSIMとは異なり、プロファイルを書き換えることができない不揮発性メモリである。ただし、SIMカードは、制御基板240に搭載されたeSIMモジュール212とは異なり、画像形成装置100から取り出すことが用意である。SIMカードにはプロファイルが記憶されているため、SIMカードが盗用されると、SIMカードに記憶されたプロファイルを用いて、不正に移動通信システムに接続することが可能になる。
【0100】
また、画像形成装置100のSIMコネクタ213から不正にSIMカードが取り出された場合、操作部202に警告が表示されるだけでは、画像形成装置100の管理者が、不正にSIMカードが取り出されたことを認識するまでに時間がかかることもある。そこで、第3実施形態では、画像形成装置100のSIMコネクタ213からSIMカードが不正に取り出されたことの警告を管理者に通知する時間の短時間化を図る。
【0101】
まず、画像形成装置100の電源がオンになっている状態で、SIMコネクタ213からSIMカードが正常に取り出される例について説明する。図20は、第3実施形態におけるSIMカードの取り出し時の画面例を示す図である。CPU200は、SIMコネクタ213からSIMカードが取り出されたことを検知すると、管理者パスワードの入力を促す画面を操作部202に表示する制御を行う。図20(a)は、管理者パスワードの入力を促す画面例である。操作者が、操作部202に対して、管理者パスワードを入力する操作を行うと、CPU200は、当該操作を受け付ける。
【0102】
入力された管理者パスワードが正当なパスワードである場合、CPU200は、SIMカードの取り出しを行うかを確認する画面を操作部202に表示する制御を行う。図20(b)は、SIMカードの取り出しを行うかを確認する画面例である。操作者が「はい」ボタンを選択する操作を行うと、CPU200は、当該操作を受け付ける。そして、CPU200は、SIMカードとの通信を停止し、SIMコネクタ213への電源供給を停止する。その後、CPU200は、SIMカードの取り出しを指示する画面を操作部202に表示する制御を行う。図20(c)は、SIMカードの取り出しを指示する画面例である。これにより、画像形成装置100からSIMカードの取り出しが可能になる。この場合、SIMカードの取り出しが正常に行われたため、CPU200は、警告を行うことなく、通常の動作を行う。
【0103】
次に、画像形成装置100の電源がオンになっている状態で不正にSIMカードが取り出された場合の警告について説明する。図21は、電源がオンになっているときの警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。S2101で、CPU200は、図20のようなSIMカードの取り出しの操作がされたかを判定する。CPU200は、S2101でYesと判定した場合、画像形成装置100がオンになっている状態で、正常なSIMカードの取り出し操作がされたため、図21のフローチャートの処理を終了させる。
【0104】
CPU200は、S2101でNoと判定した場合、フローをS2102に進める。ここで、画像形成装置100がオンになっている状態では、CPU200は、SIMコネクタ213に接続されているSIMカードと一定時間ごと(例えば、1秒ごと)に通信を行う。S2102で、CPU200は、SIMコネクタ213にSIMカードが挿入されているかを判定する。CPU200は、上述したように、SIMカードと一定時間ごとに通信を行っており、SIMカードからIMSIを読み取る。CPU200は、IMSIが正当な情報である場合に、S2102でYesと判定し、フローをS2102に戻し、画像形成装置100の通常の動作を継続する。CPU200は、IMSIが正当な情報であるかを、例えば、eSIMモジュール212やFeRAM209等に記憶されているIMSIと照合することにより、判定してもよい。
【0105】
画像形成装置100がオンになっている状態で、SIMカードを取り出す操作がされることなく、SIMカードが取り出された場合、CPU200は、正当なIMSIの情報を読み出すことができなくなる。この場合、CPU200は、SIMカードが不正に取り出されたことを認識し、S2102でNoと判定する。そして、CPU200は、フローをS2103に進める。S2103で、CPU200は、操作部202に、SIMカードが正常に挿入されていない警告を示す画面を表示する制御を行う。図22(a)は、SIMカードが正常に挿入されていない警告を示す画面例である。
【0106】
そして、図21に示されるように、S2104で、CPU200は、LED228の点灯(または点滅)を行うとともに、作像部204を制御して、警告文を印刷する制御を行う。点灯による警告は、LED228ではなく、画像形成装置100に設けられた所定の照明装置が点灯(または点滅)することにより行われてもよい。LED228が点灯することで、画像形成装置100の管理者に対して不正にSIMカードが取り出されたことを通知することができる。また、警告文が印刷されることで、管理者に対して不正にSIMカードが取り出されたことを通知することができる。このとき、印刷面が上面になるように、警告文が印刷されることが好ましい。警告文の印刷は、所定時間ごと(例えば、30分ごと)に行われる。S2104で、CPU200は、LED228の点灯と警告文の印刷との両方を行うことが好ましい。これにより、画像形成装置100の管理者に対して不正にSIMカードが取り出されたことを、より迅速に通知することができる。ただし、CPU200は、LED228の点灯と警告文の印刷との一方を行ってもよい。
【0107】
S2105で、CPU200は、警告停止の操作がされたかを判定する。このとき、CPU200は、管理者パスワードの入力を促す画面を操作部202に表示する制御を行う。図22(b)は、管理者パスワードの入力を促す画面例である。操作者が、操作部202を用いて、管理者パスワードを入力する操作を行うと、CPU200は、当該操作を受け付ける。CPU200は、管理者パスワードが正当なパスワードである場合に、警告を停止することを示すメッセージを表示する。図22(c)は、警告の通知を停止することを示すメッセージを含む画面例である。そして、S2106で、CPU200は、警告を停止する制御を行う。当該制御により、LED228の点灯および警告文の印刷は停止される。上述した例では、CPU200は、LED228を点灯させることで警告を行っているが、操作部202に設けられるLEDを点灯または点滅させてもよい。
【0108】
次に、画像形成装置100の電源がオフになっている状態で不正にSIMカードが取り出された場合の警告について説明する。図23は、電源がオフになっていたときにSIMカードが取り出された場合の警告処理の流れの一例を示すフローチャートである。図23のフローチャートは、画像形成装置100の電源がオンになった後に開始する。S2301で、CPU200は、SIMコネクタ213のSIMカードと通信する。このとき、CPU200は、SIMカードからIMSIを読み取る。
【0109】
S2302で、CPU200は、SIMコネクタ213にSIMカードが挿入されているかを判定する。S2302の処理は、図21のS2102の処理と同様である。CPU200は、S2302でYesと判定した場合、不揮発性メモリとしてのEEPROM208に記憶されているIMSIを読み取る。なお、CPU200は、不揮発性メモリとしてのROM205またはFeRAM209からIMSIを読み取ってもよい。
【0110】
S2304で、CPU200は、SIMカードから読み取ったIMSIとEEPROM208から読み取ったIMSIとが一致しているかを判定する。EEPROM208には、電源がオフにされる前におけるSIMカードのIMSIが記憶されている。EEPROM208から読み出されたIMSIとS2301でSIMカードから読み出されたIMSIとが一致していれば、SIMカードは取り出されていないことになる。このため、CPU200は、S2304でYesと判定した場合、図23のフローチャートの処理を終了させて、通常の画像形成装置100の処理を継続させる。
【0111】
一方、EEPROM208から読み出されたIMSIとS1201でSIMカードから読み出されたIMSIとが一致していない場合、画像形成装置100がオフの間にSIMカードが取り出されていることになる。この場合、CPU200は、画像形成装置100がオフの間にSIMカードが不正に取り出されたことを認識する。従って、CPU200は、S2304でNoと判定し、フローをS2305に進める。S2305~S2308の各処理は、図21のS2104~S2106の各処理と同様である。つまり、LED228の点灯や警告文の印刷により、画像形成装置100は警告を行う。以上により、画像形成装置100がオフの間にSIMカードが不正に取り出されたことを、画像形成装置100の管理者に速やかに警告することができる。なお、第3実施形態において、警告は、スピーカ242を鳴動することによる音による通知により行われてもよい。
【0112】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。本発明は、上述の各実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0113】
100 画像形成装置
200 CPU
201 読み取り装置
202 操作部
205 ROM
210 アンテナ
211 通信部
212 eSIMモジュール
213 SIMコネクタ
208 EEPROM
209 FeRAM
240 制御基板
220 アンテナ
221 通信部
250 ネットワーク
300 プリントサーバ
B 基地局
MS 管理サーバ
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