(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240924BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240924BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240924BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B65H7/02
G03G21/00 386
G03G21/00 384
G03G15/00 470
H04N1/00 912
(21)【出願番号】P 2020181984
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴子
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
G03G 21/00
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の種類に関する第1情報を取得する取得手段と、
給紙部に積載された用紙を給紙する給紙手段と、
前記給紙手段により給紙された用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記給紙手段により給紙された用紙を検知し、用紙の種類に関する第2情報を出力する検知手段と、
前記画像形成手段を制御する制御手段と、
表示手段と、
用紙の種類を記憶する記憶手段と、を有し、
前記第1情報と前記第2情報とが一致しない場合、前記制御手段は、前記画像形成手段による画像形成動作を停止させ、前記表示手段は、前記検知手段により検知された用紙に画像形成を行うか否かを選択するための選択画面を表示
し、
前記選択画面で画像形成を行うことが選択された場合、前記表示手段は前記検知手段により検知された用紙の種類を前記記憶手段に記憶するか否かのメッセージを表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙の種類を記憶する記憶手段をさらに有し、
前記第1情報と前記第2情報が一致しない、且つ前記第1情報に基づく用紙の種類が前記記憶手段に記憶されていない場合、前記表示手段は前記選択画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザの識別情報を認証する認証手段をさらに有し、
前記記憶手段は、前記検知手段による検知された用紙の種類と、前記識別情報とを紐づけて記憶することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の搬送路を搬送される用紙の種類を検知する検知制御に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビーム光により感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、形成したトナー像を用紙に転写し、熱定着する画像形成装置において、用紙等のメディアの厚みや表面性等の特性情報が制御パラメータとして重要である。メディアの特性情報を使用することで、用紙に最適な定着温度や、搬送速度を実現することが可能である。用紙の特性情報は、画像形成装置に設けられた操作部や、ドライバ画面上から、ユーザの操作により設定されることが一般的に知られている。しかし、近年では、メディアの特性を検知するセンサを画像形成装置内部に設ける構成が提案されており、ユーザの操作を不要とする等、利便性を高めている。
【0003】
メディアの種類を検知するセンサ(以下メディアセンサとする)を備えた画像形成装置において、ユーザの設定した用紙の種類がセンサの過去の検知結果のなかになければ、用紙の給紙を開始させないように制御し、ユーザの設定した用紙の種類がセンサの過去の検知結果のなかにあれば、用紙の給紙を開始させている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の画像形成装置は、用紙設定と検知結果が不一致している場合、ユーザの用紙設定が変更されるまで印刷が開始されない。そのため、特許文献1の画像形成装置は速やかに印刷物を得たいユーザにとって不便であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ユーザが設定した用紙の種類と用紙の種類を検知する検知手段の検知結果が一致しない場合であっても、用紙への画像の形成を容易に許容することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明の画像形成装置は、用紙の種類に関する第1情報を取得する取得手段と、給紙部に積載された用紙を給紙する給紙手段と、前記給紙手段により給紙された用紙に画像を形成する画像形成手段と、前記給紙手段により給紙された用紙を検知し、用紙の種類に関する第2情報を出力する検知手段と、前記画像形成手段を制御する制御手段と、表示手段と、用紙の種類を記憶する記憶手段と、を有し、前記第1情報と前記第2情報とが一致しない場合、前記制御手段は、前記画像形成手段による画像形成動作を停止させ、前記表示手段は、前記検知手段により検知された用紙に画像形成を行うか否かを選択するための選択画面を表示し、前記選択画面で画像形成を行うことが選択された場合、前記表示手段は前記検知手段により検知された用紙の種類を前記記憶手段に記憶するか否かのメッセージを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが設定した用紙の種類と用紙の種類を検知する検知手段の検知結果が一致しない場合であっても、用紙への画像の形成を容易に許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】メディアセンサの検出値とメディアの物性との関係を示す図
【
図6】メディアセンサの検出値と用紙の種類の識別結果を示す図
【
図9】ユーザ認証機能を有する画像形成装置を含む画像形成システムの模式図
【
図10】ユーザ認証機能を含む印刷動作を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(画像形成装置)
図1は画像形成装置100の断面図である。
図2は画像形成装置100の制御ブロック図である。CPU10は画像形成装置100の各部を制御するコントローラとして機能する。ROM11は不揮発性のメモリであり、RAM12は揮発性のメモリである。操作部13は各種画面を表示するディスプレイを有する。
【0011】
また、画像形成装置100にはROM11とは別の不揮発性のメモリである記憶部15を有する。CPU10は、操作部13から入力されたプリント動作開始の指示(以下、動作開始指示という)に従い、給紙モータ150の駆動を制御し、用紙を給紙する。またCPU10は、給紙ピックアップセンサ152を監視し、画像形成装置100内の用紙の位置を検知する。
【0012】
CPU10は、給紙ピックアップローラ151によりピックアップされ、搬送ローラ154により搬送された用紙がメディアセンサ14の位置に搬送されてくると、メディアセンサ14によって用紙の材質(厚さ等)を検知する。このとき、メディアセンサ14の構成によっては、読み取り精度を向上させるために、用紙をメディアセンサ14の位置において一時停止させたり、搬送速度を落としたりする場合がある。画像形成装置100は、メディアセンサ14が用紙を検知する際に用紙の搬送を一時停止させたり、或いは用紙の搬送速度を低下させる必要がない構成とする。CPU10は、メディアセンサ14により検知した用紙の情報を画像形成処理における画像形成条件、例えば、定着器170による定着処理の際の定着温度へと反映させる。なお、他の画像形成条件として、例えば、用紙の搬送速度を、メディアセンサ14により検知した情報に対応した搬送速度に変更して、用紙の搬送を継続することも考えられる。例えば、メディアセンサ14の検知結果により、搬送されている用紙が厚紙であると判断された場合、普通紙や薄紙の搬送速度と比べて遅い厚紙用の搬送速度に制御される。厚紙用の搬送速度は、例えば、普通紙の搬送速度の1/2の搬送速度(1/2速ともいう)である。画像形成装置100は、メディアセンサ14により検知される用紙の種類に基づいて定着器170の定着温度を制御する構成としてもよい。
【0013】
(画像形成部の説明)
CPU10は、二次転写部140に用紙が到着するタイミングに間に合うように、カートリッジ120によって画像形成動作を開始する。なお、カートリッジ120は、画像形成装置100本体に装着されており、取り外し可能な構成となっている。感光ドラム121の表面が帯電ローラ124によって帯電された後、レーザスキャナ122から照射されるレーザ光により、感光ドラム121上に潜像が形成される。感光ドラム121上に形成された潜像は、現像装置125内のトナーにより現像され、感光ドラム121上にトナー像が形成される。感光ドラム121上に形成されたトナー像は、転写電圧が印加された一次転写部123によって、中間転写ベルト130へ転写される。中間転写ベルト130上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト130の移動とともに二次転写部140へ移動される。
【0014】
CPU10は、搬送ローラ155により搬送された用紙の位置を、レジ前搬送センサ160を監視することで検知する。CPU10は、レジ前搬送センサ160に用紙の先端が到達したタイミングを考慮し、用紙の先端と、中間転写ベルト130上のトナー像の先端とが、二次転写部140で一致するように、用紙の搬送を制御する。例えば、レジ前搬送センサ160の検知結果に基づき、用紙が規定のタイミングより早く到着していると判断した場合には、CPU10は、レジ前搬送ローラ161の位置で用紙を所定時間停止させた後に、再度搬送を再開させる。
【0015】
二次転写部140に転写電圧を印加することにより、二次転写部140に到達した用紙にトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙は、定着器170へ搬送される。CPU10は、メディアセンサ14の検知結果に従い、用紙にとって最適な温度に定着器170の温度を制御する。定着器170の詳細については後述する。CPU10は、定着器170で用紙上のトナー像を用紙に定着した後、用紙の搬送方向における定着器170の下流側へ用紙を搬送する。定着後の用紙の先端が、搬送センサ171に到達すると、CPU10は、あらかじめ操作部13から指定されている指示に従って、搬送路230又は搬送路231のどちらに用紙を搬送するのかを判断する。CPU10は、フラッパ172を制御することで、用紙の搬送先を切り替える。具体的には、CPU10は、両面プリントのオモテ面(一面目)への画像形成において用紙を搬送路230へ搬送し、片面プリント又は両面プリントの裏面(二面目)への画像形成において用紙を搬送路231へ搬送する。
【0016】
以下、搬送路231へ用紙を搬送した場合を説明する。搬送路231へ搬送された用紙は、搬送ローラ232によりさらに搬送方向の下流側へ搬送される。ここでも、先の切り替えと同様に、あらかじめ操作部13から指定されている指示に従い、フラッパ190を切り替えることにより、用紙が搬送路180側へ搬送されるか、搬送路181側へ搬送されるかを切り替え可能な構成となっている。用紙は、ユーザの排紙指定先が排紙トレイ200の場合には搬送路180へ搬送され、排紙指定先が排紙トレイ196の場合には搬送路181側へ搬送される。なお、上述した基本的な画像形成動作は一例であり、本発明は上述した構成に限定されるものではない。
【0017】
(定着器170の説明)
図3は定着器170の構成を説明する図であり、トナーTを担持した用紙Sが図中矢印方向から定着器170に搬送されてきた様子を示す。定着器170は、ヒータホルダ207と、定着ヒータ204と、定着フィルム203とを備えている。定着ヒータ204は、ヒータホルダ207の下面にヒータホルダの長手方向(図面に直交する方向、用紙の搬送方向に直交する方向でもある)に沿って固定して配設されている。定着フィルム203は、弾性層を有している。加圧ローラ205は、芯金の両端部を定着器170の側板間に回転自由に軸受させて配設されている。定着器170は、定着ヒータ204側を加圧ローラ205と接する向きにして加圧ローラ205に並行に配列させ、ヒータホルダ207の両端部側を不図示の付勢手段で所定の押圧力で押圧した状態にしてある。
【0018】
これにより、定着ヒータ204の面が、定着フィルム203を挟んで加圧ローラ205の弾性に抗して圧接させて所定幅の定着ニップ部206を形成させている。加圧ローラ205は、不図示の駆動機構により矢印方向(反時計回り方向)に所定の周速度で回転駆動される。定着ヒータ204は、セラミック基板上に抵抗発熱体を形成したものである。定着ヒータ204にはサーミスタ208が当接している。CPU10は、定着ヒータ204の温度をサーミスタ208により検知し、定着ヒータ204の温度が所定の温度になるように定着ヒータ204に対する供給電力を制御する。
【0019】
定着ヒータ204の目標とする温度は、用紙の種類と環境温度等で決定される。CPU10は、操作部13から設定されたメディアの種類、又はメディアセンサ14によって検知されたメディアの種類に従って、定着ヒータ204の目標温度を決定する。このとき、さらに環境温度等が分かる場合には、CPU10は、環境温度を加味して、定着ヒータ204の目標温度を補正する構成も一般的である。
【0020】
(メディアセンサ14の説明)
次に、
図4を用いてメディアセンサ14についての一例を説明する。
図4(a)はメディアセンサ14の要部断面図である。
図4(b)はメディアセンサ14が有するラインセンサ256を示す概略図である。メディアセンサ14は、メディアの表面性を検出する光学センサ部251とメディアの紙厚みを検出する紙厚み検出部252で構成する。
【0021】
光学センサ部251は、LED255と複数の受光素子をもつラインセンサ256とを備える。ラインセンサ255の長手方向にはn個の画素が並んでいる。P1~Pnの画素は反射光を受光することで輝度値に応じた出力電圧を出力する。なお、ラインセンサ256の長手方向は用紙Sが搬送される搬送方向に直交する方向と等しい。
【0022】
搬送パス254にメディアが搬送されてきた場合に、LED256でメディアの表面を照射して、反射光をラインセンサ256で取得する。隣接する画素の輝度の差で、紙表面の凹凸を検出することができる。また、各画素の輝度値の総和を算出してその値の大小で、用紙表面の光沢性を検出することができる。
【0023】
紙厚み検出部252は、メディアがセンサの下を通過する際のローラの押し込み量を、エンコーダーセンサで検出して、出力に変換する構成を備える。これにより、紙の厚みを出力として検出できる。
【0024】
(センサの検出値とメディア特性の関係性)
次に、メディアの特性とセンサの検出値の関係を
図5に示す。横軸にメディアの凹凸度、縦軸に光学センサ検出値をプロットしたグラフを
図5(a)に、横軸に紙の厚み、縦軸に厚み検出値をプロットしたグラフを
図5(b)に示す。いずれも横軸のメディア特性の増加に応じて線形に増加して出力するセンサとなっている。
【0025】
ここで、光学センサ251隣接間差分出力Aについて説明する。隣接間出力差分Aは、ラインセンサ各画素P1、P2・・・Pnの検出値について以下の式1に示すように、隣接する後段の画素の出力値との差分の総和を算出した値である。
【0026】
A=(P2-P1)+(P3-P2)+・・・(Pn-Pn-1)・・・式1
メディアに凹凸があるほど、隣接する画素の出力の差分が大きくなるため、表面性の凹凸度を値に換算して検出することができる。表面が滑らかなメディアを検出したとき、Aの値は小さくなる。
【0027】
厚みセンサ出力Bは、紙の厚みに応じてローラが押し込まれる。その押し込み量を出力に変換して検出するセンサであり、メディアの特性に対して
図5(b)のような出力特性をもっている。
【0028】
(メディア種の判別)
メディア種類の判別手法を、
図6を用いて説明する。メディアセンサ14の出力Aと出力Bを用いてメディア種の判別を行うことができる。
図6の横軸に出力A、縦軸に出力Bとした場合、例えば厚紙であれば、厚く表面が滑らかな材質である。検出結果をプロットするとG1の群に集まる。一方、エンボス紙のような厚紙であり、表面の凹凸があるメディア種は、G2の群にプロットされる。よって、AとBの出力を基に特定のメディア種ごとの判別が可能である。
【0029】
例えば、出力AとBにスレッシュを設けて、メディアセンサの検出値が、A<AthかつB>Bthの場合はG1群の厚紙光沢紙、メディアセンサの検出値がA>AthかつB>Bthの場合は、G2群のエンボス紙と判別できる。さらに、薄紙の場合、厚みセンサ252の出力BがBth2を下回る場合、G3群薄紙と判別できる。
【0030】
なお、ここで説明したメディアセンサ14の構成は一例であり、用紙の種類を検知する検知手段の構成はメディアセンサ14の構成に限定されるものではない。用紙の種類を検知する検知手段は、例えば、発光素子と受光素子に加えて、圧電素子を有する構成であってもよい。そのような構成の場合には、圧電素子の波形変化から用紙の坪量等を検知することが可能となり、さらに高精度に用紙の種類を判別することが可能である。
【0031】
なお、メディアセンサ14は、搬送路上に配置されており、搬送路を搬送される用紙Sの種類を検知する。したがって、CPU10は、メディアセンサ14により検知した用紙の種類が、操作部13から設定されている用紙の種類とは異なっている場合、用紙Sの搬送を停止させる。この場合、停止した用紙Sをユーザが除去することが必要となる。さらに、ユーザにより用紙が除去された後に、CPU10は、再度、画像形成動作をやり直すことが必要な構成である。
【0032】
(実施例1)
画像形成装置100のCPU10は、設定された用紙の種類とメディアセンサ14により検知された用紙の種類とに基づき印刷動作を停止するか否かを制御する。さらに、CPU10は、設定された用紙の種類とメディアセンサ14により検知された用紙の種類とが異なる場合にユーザに印刷可否の確認を行う。
【0033】
画像形成装置100の印刷動作を
図7のフローチャートを用いて説明する。操作部13より動作開始指示が入力されると、CPU10は、ROM11から印刷動作のプログラムを読み出し、以下の動作を開始する。
【0034】
まず、ステップ(以下、Sという)300でCPU10は、給紙部に積載された用紙の種類をメディアセンサ14により判別する。S301でCPU10は、メディアセンサ14による用紙の検知結果とユーザが設定している用紙設定が一致するか否かを判断する。ここで、CPU10はユーザ指示情報に基づいてユーザが設定している用紙設定である用紙の種類の情報を取得する。
【0035】
S301でCPU10は、用紙の検知結果が用紙設定と一致していると判断した場合、印刷動作を実行し、S302の印刷終了とする。S301でCPU10は、S300で検知した用紙の種類と、ユーザが設定している用紙設定が不一致であると判断した場合に、処理をS303に進める。
【0036】
S303でメディアセンサ14により検知された用紙の種類が、記憶部15に用紙の種類として記憶されているか否かを判断する。S303で検知された用紙の種類が記憶部15に記憶されていると判断した場合、CPU10は印刷動作を継続し、プリントジョブにおいて指示された全ての用紙への印刷動作が完了すると、印刷終了とする(S302)。S303で印刷する用紙として記憶されていないと判断した場合、CPU10は印刷動作を停止させる(S304)。そしてCPU10は用紙種類の確認と印刷するか否かを選択するための選択画面を操作部13のディスプレイに表示させ(S305)、処理をS306に進める。
【0037】
S306ではS305で表示した印刷するか否かの選択においてユーザが“印刷する”を選択した場合、印刷動作を再開し(S307)、全ての画像が用紙へ形成された後に印刷動作終了とする。その後、S309で今後も印刷実行した用紙を使用するか否かの選択を操作部13のディスプレイに表示させる。そしてS310でユーザが今後も使用する用紙と選択した場合に、S311で用紙情報を記憶部15に記憶させる。用紙情報とはメディアセンサ14で検知した、用紙の材質、厚み等である。ユーザがS305で表示した印刷するか否かの選択において印刷しないを選択した場合、S312で印刷動作を中断し、終了とする。
図8は操作部13のディスプレイに表示させる画面の例を示す図である。
図8の左の画面例は、用紙への画像の形成を許可するか否かを選択するための選択画面である。
図8の右の画面例は、今後もこの用紙で印刷を行うか否かを確認するための確認画面である。
【0038】
図8のような選択画面、並びに確認画面を操作部13のディスプレイに表示させることにより、ユーザに印刷するか否かの選択と、印刷後に用紙情報を記憶部15に記憶させるか否かの選択を促す。メディアセンサ14による用紙検知は印字前までに行えばよく、メディアセンサ14の配置は給紙カセット220内や二次転写部140前など場所は限定されない。
【0039】
以上の動作を行うことで、メディアセンサ14による用紙検知結果がユーザの設定した用紙でなくても、ユーザの選択により印刷動作可能となり、また印刷動作終了後に用紙情報を記憶することも選択できる。その結果、設定されている用紙と用紙検知結果不一致でも印刷動作を止めることなく、印刷後も用紙を記憶させれば再度ユーザに印刷するか否かを確認することがないため、ユーザビリティが向上する。
【0040】
(実施例2)
本実施例では、実施例1に加え、画像形成装置がユーザ認識機能を有している構成について説明する。
図9に本実施例における画像形成装置100がユーザの認証機能を有している場合の構成を示す。画像形成装置100、サーバ505、情報処理装置502aを備える。画像形成装置100、サーバ505、情報処理装置502aは、ネットワーク504を介して通信可能に接続されている。
【0041】
画像形成装置100では、カード認証およびユーザアカウント認証によるユーザ認証が実施可能である。カード認証では、カードリーダ501にカードをかざすことで認証処理を実行する。カードは、例えばICカードや磁気カードである。また、カードに限られず、カードリーダ501がカード情報を読み取り可能なスマートフォンなどのモバイル端末でもよいし、QRコード(登録商標)、指紋や静脈などを使った生体認証でもよい。ユーザアカウント認証では、操作部13のディスプレイを介してユーザの識別情報を入力して認証処理を実行する。ユーザの識別情報は、例えば、ユーザIDとパスワードの組み合わせである。生体認証では、例えばデータベース505に記憶しているユーザの生体情報と読み取った生体とを照合する。サーバ505は、ユーザ認証に使用するユーザ情報のデータベースを保持している。ユーザ502は、画像形成装置100のユーザデータベースに登録されているユーザである。ユーザ502は、ユーザ認証を実施する際はユーザアカウント認証による認証およびカード認証によるユーザ認証を実施することのできるユーザである。情報処理装置502aは、例えばPCやモバイル端末等であり、画像形成装置100にプリントジョブを送信できる情報処理装置である。
【0042】
カードリーダ501は、例えば、予め記憶部15に画像形成装置100の使用を許可されたユーザの個人ID(Identification)が記憶されている。そして、カードリーダ501により使用するユーザが所持するIDカードの個人ID情報を読み取って記憶部15に予め記憶されたユーザの個人ID情報と比較して個人を識別することが出来る。或いは、操作部13のディスプレイからユーザアカウントとパスワードを入力し、記憶部15に予め記憶されたユーザアカウントとパスワードが一致されているかを確認して認証を行う、ユーザアカウント認証が可能である。
【0043】
図9に示すように、ユーザアカウント認証を実施する認証モードにおいて操作部13には認証動作の実行をユーザに促す認証要求画面が表示される。
【0044】
ユーザの認証機能を有している画像形成装置100における印字開始前に、設定された用紙の種類とメディアセンサ14により検知された用紙の種類とが一致しないことを判断し、ユーザに印刷可否の確認方法について、
図10のフローチャートを用いて説明する。S400で操作部13よりユーザアカウント認証或いはカードリーダ501よりカード認証によるユーザ個人の認識をCPU10で行う。その後S401で動作開始指示が入力されると、S402でCPU10は、給紙部から給紙された用紙の種類をメディアセンサ14により判別する。
【0045】
S403でCPU10は、メディアセンサ14による用紙の検知結果とユーザが設定している用紙設定が一致するか否かを判断する。S403でCPU10は、用紙の検知結果が一致していると判断した場合、印刷動作を実行し、S404印刷終了とする。S403でCPU10は、S402で検知した用紙の種類と、ユーザが設定している用紙設定が不一致であると判断した場合に、処理をS405に進める。
【0046】
S403でメディアセンサ14で検知された用紙が、S400で認識したユーザが記憶部15に印刷する用紙として記憶させているか否かを判断する。S405でユーザが印刷する用紙と記憶させていると判断した場合、印刷動作を継続し、S404の印刷終了とする。S405でユーザが印刷する用紙と記憶させていないと判断した場合、S406で印刷動作を停止させる。そしてS407で用紙種類の確認と印刷するか否かの選択を操作部13に表示させ、処理をS408に進める。
【0047】
S408ではユーザがS407で表示した印刷するか否かの選択において印刷するを選択した場合、S409で印刷動作を再開し、S410の印刷動作終了とする。その後S411で今後も印刷実行した用紙を使用するか否かの選択を操作部13に表示させる。そしてS412でユーザが今後も使用する用紙と選択した場合に、S413でユーザ情報と用紙情報を記憶部15に記憶させる。ユーザ情報とは個人IDおよびユーザアカウントであり、用紙情報とはメディアセンサ14で検知した、用紙の材質、厚み等である。ユーザがS407で表示した印刷するか否かの選択において印刷しないを選択した場合、S414で印刷動作を中断し、終了とする。
【0048】
以上の動作を行うことで、メディアセンサ14による用紙検知結果がユーザの設定した用紙でなくても、ユーザの選択により印刷動作可能となり、また印刷動作終了後に用紙情報を記憶することも選択できる。またユーザのそれぞれで印刷する用紙として設定できる。その結果、ユーザの設定の用紙と用紙検知結果不一致でも印刷動作を止めることなく、印刷後も用紙を記憶させれば再度ユーザに印刷するか否かを確認することがない。また同じ用紙でもユーザによって印刷するまたは印刷しない用紙として設定できるため、ユーザビリティが向上する。
【0049】
(実施例3)
本実施例では、実施例1の構成において印刷終了後に用紙を自動的に記憶部15に記憶する方法について、
図11のフローチャートを用いて説明する。操作部13より動作開始指示が入力されると、CPU10はS500以降の動作を開始する。S500でCPU10は、給紙部に積載された用紙の種類をメディアセンサ14により判別する。
【0050】
S501でCPU10は、メディアセンサ14による用紙の検知結果とユーザが設定している用紙設定が一致するか否かを判断する。S501でCPU10は、用紙の検知結果が一致していると判断した場合、印刷動作を実行し、S502の印刷終了とする。S501でCPU10は、S500で検知した用紙の種類と、ユーザが設定している用紙設定が不一致であると判断した場合に、処理をS503に進める。
【0051】
S503でメディアセンサ14で検知された用紙が、記憶部15に印刷する用紙として記憶されているか否かを判断する。S503で印刷する用紙として記憶されていると判断した場合、印刷動作を継続し、S502の印刷終了とする。S503で印刷する用紙として記憶されていないと判断した場合、S504の印刷動作を停止させる。そしてS505で用紙種類の確認と印刷するか否かの選択を操作部13に表示させ、処理をS506に進める。
【0052】
S506ではユーザがS505で表示した印刷するか否かの選択において印刷するを選択した場合、S507で印刷動作を再開し、S508の印刷動作終了とする。その後S509で用紙情報を記憶部15に記憶させる。用紙情報とはメディアセンサ14で検知した、用紙の材質、厚み等である。ユーザがS505で表示した印刷するか否かの選択において印刷しないを選択した場合、S510で印刷動作を中断し、終了とする。メディアセンサ14による用紙検知は印字前までに行えばよく、メディアセンサ14の配置は給紙カセット220内や二次転写部140前など場所は限定されない。
【0053】
以上の動作を行うことで、メディアセンサ14による用紙検知結果がユーザの設定した用紙でなくても、ユーザの選択により印刷動作可能となり、また印刷動作終了後に自動的に用紙情報を記憶することもできる。その結果、設定されている用紙と用紙検知結果不一致でも印刷動作を止めることなく、印刷後も自動的に用紙を記憶させれば再度ユーザに印刷するか否かを確認することがないため、ユーザビリティが向上する。
【符号の説明】
【0054】
10 CPU
13 操作部(ディスプレイ)
14 メディアセンサ
17 画像形成部
151 ピックアップローラ