(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】雲台及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240924BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240924BHJP
F16M 11/00 20060101ALI20240924BHJP
F16M 11/12 20060101ALI20240924BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20240924BHJP
F16M 11/20 20060101ALI20240924BHJP
F16M 11/22 20060101ALI20240924BHJP
F16H 1/08 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G03B17/56 B
H04N5/222 100
F16M11/00 A
F16M11/12 H
F16M11/12 F
F16M13/00 P
F16M13/00 B
F16M11/20 B
F16M11/22 E
F16H1/08
(21)【出願番号】P 2020187342
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】大江 優作
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-315907(JP,A)
【文献】特開平06-307504(JP,A)
【文献】特開平08-303558(JP,A)
【文献】特開2009-055076(JP,A)
【文献】中国実用新案第210510961(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0100341(US,A1)
【文献】特開平09-304831(JP,A)
【文献】特開昭59-043258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/00
H04N 5/222
F16M 11/00
F16M 13/00
F16H 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部を所定方向に回転させるための回転駆動部であって、駆動源と、所定の回転軸を中心として前記所定方向に回転する第1の歯車と第2の歯車と、前記第1の歯車および前記第2の歯車と噛み合い、前記駆動源からの駆動力を伝達する第3の歯車と、を有する回転駆動部と、
前記第2の歯車を前記回転軸方向に付勢する
複数の付勢部と、を備え、
前記第1の歯車と、前記第2の歯車と、前記第3の歯車は、はすば歯車で構成され、
前記第2の歯車は、前記第1の歯車に対して、前記回転軸方向に移動可能に配置され
、
前記第1の歯車は、前記回転軸からの距離が等しい複数の円弧状リブを備え、
前記円弧状リブは、円弧中心が前記回転軸と略一致するように配置されるとともに、前記回転軸の外周面と径方向において離れた位置に位置し、
前記第2の歯車の内周面は、前記円弧状リブの外周面と嵌合し、
前記複数の付勢部は、前記回転軸を中心とした円周に沿って配置され、前記円弧状リブと互い違いに配置されることを特徴とする雲台。
【請求項2】
前記第1の歯車と、前記第2の歯車と、前記第3の歯車のねじれ角が45度以下であることを特徴とする請求項1に記載の雲台。
【請求項3】
前記第3の歯車は、タイミングベルトと噛み合うプーリ部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の雲台。
【請求項4】
前記プーリ部は、前記タイミングベルトによって前記駆動源からの駆動力を伝達するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の雲台。
【請求項5】
前記所定方向はパン方向とチルト方向の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか1項に記載の雲台。
【請求項6】
前記回転駆動部はパン回転駆動部とチルト回転駆動部を含み、前記パン回転駆動部と前
記チルト回転駆動部は、それぞれ前記駆動源と、前記第1の歯車と、前記第2の歯車と、
前記第3の歯車と、を有し、
前記第1の歯車と、前記第2の歯車と、前記第3の歯車は、はすば歯車で構成され、
前記第2の歯車は、前記第1の歯車に対して、前記回転軸方向に移動可能に配置される
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の雲台。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の雲台に装着された前記カメラ部を有する撮像装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ部を所定方向に回転するための雲台等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ部をパン回転およびチルト回転させる撮像装置として、小規模なスタジオでの撮影や、ライブ中継などに用いられるビデオカメラが知られている。これらのカメラは、高画質な映像を得るためには大型で重いレンズ鏡筒を用いる必要があり、大きな駆動力が必要となる。また、滑らかなカメラワークでの映像表現を可能にするために、低速から高速まで幅広い速度範囲でのスムーズな回転駆動が求められている。
【0003】
従来から、スムーズな回転駆動のために、パン回転またはチルト回転の回転駆動機構として、タイミングベルトとプーリを採用する構成が知られている(特許文献1)。タイミングベルトは駆動機構のバックラッシを除去できるため、カメラをパンもしくはチルト回転させたときのガタつきが減り、スムーズな回転駆動が可能となる。しかし、タイミングベルトは弾性のある部材のため、大型のレンズ鏡筒を高加速度で駆動もしくは停止したときに、ベルトのたわみや伸び縮みで映像が揺れてしまうという問題があった。
【0004】
そこで、回転駆動機構として、お互いに噛み合う1対の平歯車のうち、片方の平歯車を厚み方向に2分割し、2分割した歯車のうちの一方をばね等で回転軸周りの円周方向に付勢する、いわゆる「シザーズギア」の技術が知られている(特許文献2)。シザーズギアの構成では、バックラッシの除去ができ、回転駆動時のガタつきを抑制できる。
【0005】
図7は、カメラ部のパンおよびチルト駆動の機構として、従来のシザーズギアを用いた構造の一例を示す。
図7に示すように、従来の平歯車によるシザーズ構成では、第1の平歯車51がチルト回転軸52もしくはパン回転軸(不図示)に固定され、歯車付きプーリ53の歯車部と噛み合うことでモータ56の駆動力を伝達する。
【0006】
ここで、第2の平歯車54をコイルばね55等の付勢手段で回転軸周りの円周方向に付勢する。これによって、第1の平歯車51の歯と第2の平歯車54の歯で、歯車付きプーリ53の歯車部の歯を挟み込むような構成となり、バックラッシを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-323187号公報
【文献】特開2009-55076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献2に開示された従来技術では、シザーズギアの付勢構造によって相手側の歯車と常に強く接触した状態になるため、ギアの回転位相による伝達トルクのムラが大きくなる懸念がある。特に、カメラを低速でパンもしくはチルト回転させたときに速度のムラが発生してしまい、映像が揺れてしまう可能性がある。
【0009】
伝達トルクのムラを小さくするためには、シザーズギアのばね等の付勢力を弱くする必要がある。しかし大型のレンズ鏡筒を高速で回転させた状態から急停止させたときに慣性で大きなトルクがかかるため、付勢力が弱いとトルクによってレンズ鏡筒が振動し映像の揺れの原因となる。
【0010】
つまり、平歯歯車でのシザーズギアの構成では、付勢力を大きくすると特に低速駆動時の速度ムラの原因となる一方で、付勢力を小さくするとレンズ鏡筒の慣性によって発生するトルクを保持できず鏡筒が揺れてしまうという課題があった。
【0011】
例えば、
図7に示す構成を例にすると、第2の平歯車54への付勢力が弱いとカメラ部50を高速でチルトもしくはパン回転させ急停止させたとき、カメラ部50の慣性によって発生するトルクがコイルばね55の力を上回ってしまう。それによって、カメラ部50が振動してしまう。
【0012】
一方、第2の平歯車54への付勢力を強くすれば、高速でチルトもしくはパン回転させたり急停止させたたりしたときのカメラ部の振動は抑えることができる。しかし、第1の平歯車51および第2の平歯車54の歯が、歯車付きプーリ53の歯車部の歯と強く当たることとなり、歯車の回転位相によって伝達トルクに大きなムラが発生する。
【0013】
このような問題は、例えばある一定の速度でカメラ部50をチルトもしくはパン方向に回転させるような制御をした場合にも、トルクのムラによって回転速度にムラが発生し、撮影される映像がぶれてしまう原因となる。
【0014】
図8は、第2の平歯車54への付勢力が弱い場合の、カメラ部50のパン回転速度をプロットした例である。台形波の速度を入力しているが、コイルばね55の力が弱いことで、実際のパン回転速度を見ると起動時や停止時に振動が発生していることがわかる。また、
図9は、第2の平歯車54への付勢力が強い場合の、カメラ部50のパン回転速度をプロットした例である。この場合は、起動時や停止時の振動は抑制できているが、伝達トルクのムラによって、速度が一定に保てていないことがわかる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、回転速度のムラを減らしてスムーズに回転駆動させつつ、回転を急変させたときのガタつきや振動の低減ができる雲台等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の雲台は、
カメラ部を所定方向に回転させるための回転駆動部であって、駆動源と、所定の回転軸を中心として前記所定方向に回転する第1の歯車と第2の歯車と、前記第1の歯車および前記第2の歯車と噛み合い、前記駆動源からの駆動力を伝達する第3の歯車と、を有する回転駆動部と、
前記第2の歯車を前記回転軸方向に付勢する複数の付勢部と、を備え、
前記第1の歯車と、前記第2の歯車と、前記第3の歯車は、はすば歯車で構成され、
前記第2の歯車は、前記第1の歯車に対して、前記回転軸方向に移動可能に配置され、
前記第1の歯車は、前記回転軸からの距離が等しい複数の円弧状リブを備え、
前記円弧状リブは、円弧中心が前記回転軸と略一致するように配置されるとともに、前記回転軸の外周面と径方向において離れた位置に位置し、
前記第2の歯車の内周面は、前記円弧状リブの外周面と嵌合し、
前記複数の付勢部は、前記回転軸を中心とした円周に沿って配置され、前記円弧状リブと互い違いに配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回転速度のムラを減らしてスムーズに回転駆動させつつ、回転を急変させたときのガタつきや振動の低減ができる雲台等が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例のビデオカメラを示す斜視図である。
【
図2】実施例のビデオカメラのチルト駆動機構を示す斜視図である。
【
図3】実施例のはすば歯車を示す分解斜視図である。
【
図4】実施例のはすば歯車の噛み合いを示す模式図である。
【
図5】実施例のビデオカメラのパン駆動機構を示す斜視図である。
【
図6】実施例のビデオカメラのパン回転速度特性をプロットしたグラフである。
【
図7】従来のビデオカメラの駆動機構の一例を示す斜視図である。
【
図8】従来のビデオカメラのパン回転速度特性の例をプロットしたグラフである。
【
図9】従来のビデオカメラのパン回転速度特性の他の例をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について実施例を用いて説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略ないし簡略化する。
また、実施例においては、撮像装置としてライブ配信等に用いるネットワークカメラにパン、チルト用の雲台を組み合わせた例について説明する。しかし、撮像装置はデジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ、カメラ付きのスマートフォン、カメラ付きのタブレットコンピュータ、車載カメラなどの撮像機能を有する電子機器等を含む。
【0020】
図1は、本発明の実施例のビデオカメラ100を示す斜視図である。
図1に示すように、実施例の撮像装置としてのビデオカメラ(ネットワークカメラ)100は、カメラ部10と、パン回転部11と、ベース部12と、を有する。
【0021】
図1に示すビデオカメラ100は、例えばライブハウスや撮影スタジオの天井を被固定面として設置され、カメラユニットとしてのカメラ部10をパン方向およびチルト方向に回転させることができる。カメラ部10をパンおよびチルト回転させ被写体の方向に向けることで、映像制作のための動画撮影やライブ配信用の撮影などが可能になる。また、ビデオカメラ100は天井に設置されるだけではなく、水平な面に置いて映像を撮影することもできる。
【0022】
カメラ部10をパンおよびチルト回転させる際には、回転速度のムラがないスムーズな駆動をさせることで、ブレのない映像を撮影することが可能である。また、カメラ部10は、高速域から低速域まで幅広い速度領域でのパンおよびチルト回転ができる。そのため不規則な速度で動く被写体に対しても、カメラ部10を追従させて撮影することができる。
【0023】
このように、ビデオカメラ100は、カメラ部10をパンおよびチルト方向に回転できる。ここでパン回転部11と、ベース部12によってカメラ部10をパン、チルト方向に回転させるための雲台が構成されている。なお、実施例では、カメラ部10は雲台に装着されていて、ユーザが着脱することはできないが、カメラ部10を雲台から簡単に着脱できる構成にしてもよい。
次に、ビデオカメラ100における、チルト駆動機構200について説明する。チルト駆動機構200はパン回転部11内に配置されている。
【0024】
図2はビデオカメラ100のチルト駆動機構200を示す斜視図である。なお、チルト駆動機構(チルト回転駆動部)はカメラ部10(カメラユニット)を所定方向に回転させるための回転駆動部として機能している。また本実施例ではパン方向の回転とチルト方向の回転の両方ができる構成について説明するが一方の方向の回転だけができるものであってもよい。
図2に示すようにカメラ部10内のレンズ鏡筒13は鏡筒支持部材14に支持されており、鏡筒支持部材14はチルト回転軸15を備えている。鏡筒支持部材14は、パン回転部11内のパンベース16に、チルト回転可能に支持されている。
【0025】
ここで、カメラ部10のチルト方向への回転は、チルト駆動機構200によって行われる。チルト駆動機構200は、駆動源としてのチルトモータ20、ゴム21、タイミングベルト22、歯車付きプーリ23、第1のはすば歯車24、第2のはすば歯車25等から構成される。また歯車付きプーリ23は、プーリ部23Bと歯車部23Aを備え、歯車部23Aははすば歯車である。ここで、第1のはすば歯車24、第2のはすば歯車25は、それぞれ所定の回転軸を中心として、前記所定方向に回転する第1の歯車、第2の歯車として機能している。また、歯車部23Aは前記駆動源からの駆動力を伝達する第3の歯車として機能している。
【0026】
チルトモータ20はゴム21を介してパン回転部11に取り付けられ、歯車付きプーリ23は、パン回転部11に対して回転可能に支持されている。チルトモータ20と歯車付きプーリ23のプーリ部23Bはタイミングベルト22で接続されている。第1のはすば歯車24は、チルト回転軸15と中心が略一致するように固定され、歯車付きプーリ23の歯車部23Aと噛み合うように配置されている。
【0027】
したがって、チルトモータ20を駆動させるとタイミングベルト22を介して歯車付きプーリ23が回転し、さらに歯車付きプーリ23の歯車部23Aと噛み合う第1のはすば歯車24に回転が伝達され、カメラ部10をチルト回転させることができる。
【0028】
次に、チルト駆動機構200における、第1のはすば歯車24のバックラッシを除去する構成について
図3を用いて説明する。
図3ははすば歯車24、25を示す分解斜視図である。
第2のはすば歯車25は
図3に示すように、第1のはすば歯車24に対して回転はできないが、回転軸方向に平行に移動可能なように配置される。また、第2のはすば歯車25は、コイルばね28とばね押さえ26を介して第1のはすば歯車24に固定され、常に第1のはすば歯車24に接近するように回転軸方向に付勢されている。なお複数のコイルばね28は弾性体であればよく付勢部として機能している。
【0029】
第1のはすば歯車24と歯車付きプーリ23の歯車部23Aを噛み合わせた際には、バックラッシが発生する。しかし、第2のはすば歯車25をコイルばね28で付勢することによって、
図4に示すようにバックラッシを取り除くことが可能になる。
このバックラッシを除去する構成は、歯車付きプーリ23の歯車部23Aの歯を、第1のはすば歯車24と第2のはすば歯車25の歯で挟み込むような構成となっていて、いわゆるシザーズギアの構成をとっている。この構成によって、カメラ部10をチルト方向に回転させたときに、バックラッシによるガタつきがなくなりスムーズな動作が可能となる。
【0030】
カメラ部10を高速でチルト回転させ急停止させたとき、カメラ部10の慣性によって第2のはすば歯車25にトルクがかかる。このトルクによって、第2のはすば歯車25のある一歯に発生する力を、
図4のF1に示す。
図4ははすば歯車24、25の噛み合いを示す模式図である。
第2のはすば歯車25のねじれ角をθとすると、F1は歯面に垂直方向の力であるF1cosθと、歯面に接する方向の力F1sinθに分けることができる。
【0031】
F1sinθによって第2のはすば歯車25が滑って軸方向に動いてしまうと、バックラッシを除去する構成が成立しなくなる。そのため、コイルばね28による付勢力F2を大きい値に設定しF1sinθによる滑りを抑えることで、常にバックラッシを除去できるような構成を保つ。
【0032】
ねじれ角θを45度以下の小さい値(実施例ではθ=15°)に設定すれば、F1sinθが小さい値になるため、コイルばね28による付勢力F2を小さく設定しても常にバックラッシを除去することができる。また、付勢力F2を小さくすることで、第2のはすば歯車25と歯車付きプーリ23の歯車部23Aが強く当たってしまうことを防げる。これによって歯車の回転位相による伝達トルクのムラを小さくすることができ、カメラ部10をスムーズにチルト回転させることが可能となる。
【0033】
ここまでで、第1のはすば歯車24のバックラッシを除去する構成を説明した。第2のはすば歯車25をスラスト方向に付勢することで、歯車付きプーリ23の歯車部23Aの歯を挟み込んでバックラッシを除去することができる。次に、第2のはすば歯車25を付勢する構成について詳細に説明する。
【0034】
図3に示すように、第1のはすば歯車24は、円弧部の半径が等しい3つの円弧状リブ24Aを備えており、円弧状リブ24Aは、円弧中心が回転軸と略一致するように回転軸を中心とした円周に沿って配置されている。ま
た、第2のはすば歯車25の内径は、円弧状リブ24Aの外周部と嵌合するように配置される。
第2のはすば歯車25の内径の嵌合にはわずかにガタがあるため、ガタによって第2のはすば歯車25が若干斜めに傾いてしまう場合がある。
【0035】
しかし円弧形状のリブ24Aの外径はチルト回転軸15の外径よりも大きいため、第2のはすば歯車25をチルト回転軸15の外径に直接嵌合する場合と比べ、第2のはすば歯車25の傾きを小さく抑えることができる。また、コイルばね28は、円弧形状のリブ24Aと互い違いに配置される。
【0036】
この構成によって、第2のはすば歯車25の嵌合径を大きく保ちつつ、外周付近に付勢力がかけることができる。外周付近に付勢力をかけることで、付勢力のばらつきによる第2のはすば歯車25の傾きを小さく抑えることができる。
次に、チルト駆動機構200における、チルトモータ20の取り付け形状について
図2を用いて説明する。チルトモータ20は、ゴム21を介して支持板金27に取り付けられ、支持板金27がパンベース16に取り付けられる。また、チルトモータ20の駆動力は、タイミングベルト22によって、歯車付きプーリ23に伝えられる。
【0037】
ゴム21とタイミングベルト22は共に剛性の低い部材であるため、チルトモータ20の振動がパンベース16や歯車付きプーリ23に伝わりづらくなる。これによって、チルトモータ20の振動によって撮影している映像に揺れが出ることを防ぐことができる。
【0038】
次に、ビデオカメラ100における、パン駆動機構300について説明する。パン駆動機構(パン回転駆動部)300はカメラユニット100を所定方向に回転させるための回転駆動部として機能している。
図5はビデオカメラ100のパン駆動機構300を示す斜視図である。
図5に示すように、パンベース16はパン回転軸17を備え、ベース部12にパン回転可能に支持されている。
【0039】
カメラ部10のパン方向への回転は、パン駆動機構300によって行われる。パン駆動機構300は、
図5に示すように、パンモータ30、ゴム31、タイミングベルト32、歯車付きプーリ33、第1のはすば歯車34、第2のはすば歯車35等から構成される。また歯車付きプーリ33は、プーリ部33Bと歯車部33Aを備え、歯車部33Aははすば歯車である。
【0040】
パンモータ30はゴム31を介してベース部12に取り付けられ、歯車付きプーリ33は、ベース部に対して回転可能に支持されている。パンモータ30と歯車付きプーリ33のプーリ部33Bはタイミングベルト32で接続されている。第1のはすば歯車34は、パン回転軸17と中心が略一致するように固定され、歯車付きプーリ33の歯車部33Aと噛み合うように配置されている。
【0041】
したがって、パンモータ30を駆動させるとタイミングベルト32を介して歯車付きプーリ33が回転し、さらに歯車付きプーリ33の歯車部33Aと噛み合う第1のはすば歯車34に回転が伝達される。そして、パンベース16をパン回転させることができ、これによってカメラ部10がパン回転可能となる。
【0042】
第2のはすば歯車35は、第1のはすば歯車34に対して回転はできないが、回転軸方向に平行移動できるように配置される。また、第2のはすば歯車35は、
図3に示すように、コイルばね38とばね押さえ36を介して第1のはすば歯車34に固定され、常に第1のはすば歯車34に接近する方向に付勢される。
【0043】
パンモータ30は、ゴム31を介して支持板金37に取り付けられ、支持板金37はベース部12に取り付けられる。
これらの構成は、前述のチルト駆動機構200と同様のものであり、バックラッシを除去してスムーズにパン回転させることができる。
【0044】
図6はビデオカメラ100のパン回転速度特性をプロットしたグラフである。
急加速もしくは急停止した際にも、バックラッシを低減することで振動が発生しておらず、また一定速度で回転させているときも速度のムラが少ないスムーズな回転ができている。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である
例えば実施例では、カメラ部10がチルト方向およびパン方向に回転可能であるが、チルト方向もしくはパン方向のどちらかのみに回転可能であってもよい。
また、実施例では、チルト駆動機構200およびパン駆動機構300は2段減速としているが、3段以上の減速機構であっても構わない。
【符号の説明】
【0046】
100 ビデオカメラ
200 チルト駆動機構
300 パン駆動機構
10 カメラ部
11 パン回転部
12 ベース部
13 レンズ鏡筒
20 チルトモータ
22、32 タイミングベルト
23、33 歯車付きプーリ
24、34 第1の歯車
25、35 第2の歯車
28、38 コイルばね
30 パンモータ