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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240924BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240924BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240924BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240924BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 575
G02F1/1347
G09G3/20 611D
G09G3/20 612U
G09G3/20 642E
G09G3/20 680D
G09G3/34 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020192095
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080798
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】小橋 淳二
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-191269(JP,A)
【文献】特開2010-113269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0279749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133 , 1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する表示パネルと、
前記表示パネルに照射される光の光源と前記表示パネルとの間に配置されて複数の調光用画素を有する調光パネルと、を備え、
前記表示パネルに対して1つの前記画素が最高輝度の出力を行い、他の前記画素が最低輝度の出力を行う場合、当該1つの画素に照射される光の光軸上に位置する所定の調光用画素及び前記所定の調光用画素の周囲に配置されている他の調光用画素が光を透過させ、
前記他の調光用画素が光を透過させる度合いは、前記所定の調光用画素から一方向に沿って遠ざかる程低下し、前記光軸に直交する平面に沿う二方向のうち一方である第1方向における当該低下の度合いが前記光軸に直交する平面に沿う二方向のうち他方である第2方向よりも小さく、
前記表示パネルは、前記第1方向の視野角範囲が前記第2方向の視野角範囲に比して大きい、
表示装置。
【請求項2】
前記画素の階調値に基づいて、当該画素に照射される光の光軸である所定光軸上に位置する所定の調光用画素が光を透過させる度合いを示す調光階調値が決定され、かつ、当該所定の調光用画素の周囲に配置されている他の調光用画素が光を透過させる度合いを補正する補正値の算出で当該階調値が参照され、
前記画素は、複数の副画素を有し、
前記画素の階調値は、当該画素が有する複数の前記副画素の各々に個別に与えられる副画素階調値を含み、
1つの前記画素の階調値に含まれる前記副画素階調値のうち最高の階調値が第1階調値とされ、当該1つの前記画素の周囲に配置されている複数の前記画素が周辺画素とされ、
前記周辺画素のうち1つの前記画素の階調値に含まれる前記副画素階調値のうち最高の階調値が第2階調値とされ、
前記周辺画素に含まれる複数の前記画素の各々の階調値から個別に前記第2階調値が特定され、
前記第1階調値を超える1つの前記第2階調値が1つの超越階調値とされ、当該1つの超越階調値とされた前記第2階調値を含む階調値を与えられる1つの前記画素の座標が、当該1つの超越階調値に対応する座標である超越階調値座標とされ、
1つの前記超越階調値から前記第1階調値が差し引かれた値である差分値に、前記超越階調値座標に対応した補正係数を乗じることで、1つの前記補正値が算出され、
前記超越階調値とされた前記第2階調値が1つ以上ある場合、算出された1つ以上の前記補正値のうち最大のものが前記第1階調値に加算されて前記調光階調値が算出され、前記超越階調値とされた前記第2階調値がない場合、前記第1階調値が前記調光階調値とされ、
前記第1階調値を含む階調値を与えられる前記画素の座標が基準階調値座標とされ、
前記超越階調値座標に対応した補正係数は、前記基準階調値座標と、前記超越階調値座標と、の間の前記所定光軸に直交する一方向に沿う離隔距離が長くなる程低くなる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記所定光軸に直交する平面に沿う二方向のうち一方である前記第1方向は、前記離隔距離の長さに対する前記超越階調値座標に対応した補正係数の低下の度合いが前記所定光軸に直交する平面に沿う二方向のうち他方である前記第2方向よりも小さい
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画素は、複数の副画素を有し、
前記複数の副画素は、それぞれ異なる色の光を透過させるカラーフィルタを有し、
前記調光用画素は、前記画素毎に設けられる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記調光用画素は、前記画素毎に1つ以上設けられる、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1方向は、前記表示パネルの水平同期方向又は前記表示パネルの垂直同期方向である、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1方向は、前記表示パネルの水平同期方向でなく、かつ、前記表示パネルの垂直同期方向でない、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項9】
前記離隔距離の長さと前記超越階調値座標に対応した補正係数の低下の度合いとの関係を示すデータに基づいて前記複数の調光用画素の各々が光を透過させる度合いが制御され、
前記データは、前記表示パネルの視野角特性に基づいて、前記表示パネルの視野角が相対的に大きい方向に沿う前記離隔距離の長さに応じた補正係数の低下の度合いが、前記表示パネルの視野角が相対的に小きい方向に沿う前記離隔距離の長さに応じた補正係数の低下の度合いよりも小さくなるよう予め作成されている、
請求項2,3,7又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記データを保持する制御回路を備え、
前記制御回路は、前記表示パネルに入力される画像信号が示す前記複数の画素の各々の階調値と前記データとに基づいて前記複数の調光用画素の各々が光を透過させる度合いを決定する、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御回路は、
前記所定の調光用画素と、前記所定の調光用画素に対して前記調光パネルの水平同期方向又は垂直同期方向の一方に沿って並ぶ前記他の調光用画素と、を含むラインに含まれる前記調光用画素の各々が光を透過させる度合いを決定し、
前記ラインに含まれる前記調光用画素の各々が光を透過させる度合いを示す一時的データをメモリに記憶し、
前記表示パネルに入力される画像信号が示す前記複数の画素の各々の階調値、前記データ及び前記一時的データに基づいて前記調光パネルの水平同期方向又は垂直同期方向の他方に沿って並ぶ前記他の調光用画素の各々が光を透過させる度合いを決定する、
請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルと光源との間に調光パネルを設けて画像のコントラストをより高める構成が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/225137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示パネルは、視認する角度によって視野角が異なるという異方性を有する。従来技術による調光パネルの制御では、このような液晶表示パネルの異方性が考慮されていない。このため、調光の度合いの制御と液晶表示パネルの視野角特性との不整合によって画質低下が生じることがあった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、調光パネルによる調光と画質低下の抑制とを両立できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置は、複数の画素を有する表示パネルと、前記表示パネルに照射される光の光源と前記表示パネルとの間に配置されて複数の調光用画素を有する調光パネルと、を備え、前記表示パネルに対して1つの前記画素が最高輝度の出力を行い、他の前記画素が最低輝度の出力を行う場合、当該1つの画素に照射される光の光軸上に位置する所定の調光用画素及び前記所定の調光用画素の周囲に配置されている他の調光用画素が光を透過させ、前記他の調光用画素が光を透過させる度合いは、前記所定の調光用画素から一方向に沿って遠ざかる程低下し、当該低下の度合いが異なる複数の方向がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施形態の表示装置の主要構成例を示す図である。
図2図2は、画像表示パネル、調光パネル、光源装置の位置関係の一例を示す図である。
図3図3は、調光パネルの表示面側に偏光板が設けられている例を示す図である。
図4図4は、画像表示パネルの画素配列の一例を示す図である。
図5図5は、画像表示パネルの概略断面構造の一例を示す断面図である。
図6図6は、信号処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図7図7は、空間処理の種類と、正面視FV及び斜視DVで視認される画像の状態と、空間処理の概要を示す模式図と、の関係を示す図である。
図8図8は、空間処理演算部の主要構成例を示すブロック図である。
図9図9は、表示パネルの視野角特性の一例を示す図である。
図10図10は、LUTの一例を示す図である。
図11図11は、変形例1における表示パネルの視野角特性の一例を示す図である。
図12図12は、変形例1におけるLUTの一例を示す図である。
図13図13は、表示パネルの視野角特性の他の一例を示す図である。
図14図14は、変形例2における空間処理演算部の主要構成例を示すブロック図である。
図15図15は、LUTの一例を示す図である。
図16図16は、LUTの一例を示す図である。
図17図17は、変形例3における信号処理部の機能構成例を示すブロック図である。
図18図18は、変形例4における信号処理部の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態の表示装置1の主要構成例を示す図である。実施形態の表示装置1は、信号処理部10、表示部20、光源装置50、光源制御回路60及び調光部70を備える。信号処理部10は、外部の制御装置2から入力される入力信号IPに基づいた各種の出力を行い、表示部20、光源装置50及び調光部70の動作を制御する。入力信号IPは、表示装置1に画像を表示出力させるためのデータとして機能する信号であり、例えばRGB画像信号である。信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された出力画像信号OPを表示部20に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された調光用信号DIを調光部70に出力する。また、信号処理部10は、入力信号IPが入力されると、光源装置50の点灯を制御するための光源駆動信号BLを光源制御回路60に出力する。光源制御回路60は、例えば光源装置50のドライバ回路であり、光源駆動信号BLに応じて光源装置50を動作させる。光源装置50は、発光領域LAから光を発する光源を有する。実施形態では、光源制御回路60は、フレーム画像の表示タイミングに応じて光源装置50の発光領域LAから一定光量の光が照射されるよう光源装置50を動作させるものとする。
【0010】
表示部20は、表示パネル30及び表示パネル駆動部40を有する。表示パネル30は、複数の画素48が設けられた表示領域OAを有する。複数の画素48は、例えばマトリクス状に配置されている。実施形態の表示パネル30は、液晶画像表示パネルである。表示パネル駆動部40は、信号出力回路41及び走査回路42を有する。信号出力回路41は、いわゆるソースドライバとして機能する回路であり、出力画像信号OPに応じて複数の画素48を駆動する。走査回路42は、いわゆるゲートドライバとして機能する回路であり、マトリクス状に配置された複数の画素48を所定行(例えば、1行)単位で走査する駆動信号を出力する。画素48は、駆動信号が出力されたタイミングで出力画像信号OPに応じた階調値の出力が行われるよう駆動される。
【0011】
調光部70は、光源装置50から照射されて表示領域OAを経て出力される光量を調節する。調光部70は、調光パネル80及び調光パネル駆動部140を有する。調光パネル80は、光の透過率を変更可能に設けられた調光領域DAを有する。調光領域DAは、表示領域OAを平面視した場合に表示領域OAに重畳する位置に配置されている。調光領域DAは、平面視で表示領域OA全体をカバーする。発光領域LAは、平面視で表示領域OA全体及び調光領域DA全体をカバーする。
【0012】
図2は、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50の位置関係の一例を示す図である。実施形態では、図2に例示するように、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層されている。具体的には、光源装置50から光が出力される照射面側に調光パネル80が積層されている。また、調光パネル80を挟んで光源装置50の反対側に表示パネル30が積層されている。光源装置50から照射された光は、調光パネル80の調光領域DAで光量を調節されて表示パネル30を照明する。表示パネル30は、光源装置50が位置する背面側から照明されて、その反対側(表示面側)に画像を表示出力する。このように、光源装置50は、表示パネル30の表示領域OAを背面から照明するバックライトとして機能する。また、実施形態では、調光パネル80は、表示パネル30と光源装置50との間に設けられている。以下、表示パネル30、調光パネル80、光源装置50が積層される方向をZ方向とする。また、Z方向に直交する2方向をX方向及びY方向とする。X方向とY方向は直交する。複数の画素48は、X方向とY方向に沿ってマトリクス状に並ぶ。以下の説明では、X方向に並ぶ画素48の数がhであり、Y方向に並ぶ画素48の数がvであるものとする。また、(h)の記載は、X方向の座標管理がX方向に並ぶ画素48の位置に対応して行われている場合を示す。また、(v)の記載は、Y方向の座標管理がY方向に並ぶ画素48の位置に対応して行われている場合を示す。また、(h,v)の記載は、X方向及びY方向の座標管理がX方向及びY方向に並ぶ画素48の位置に対応して行われている場合を示す。
【0013】
なお、表示パネル30は、アレイ基板30aと、アレイ基板30aに対して表示面側に位置してアレイ基板30aと対向する対向基板30bとを有する。後述するように、アレイ基板30aと対向基板30bとの間には液晶層LC1が配置されている(図5参照)。アレイ基板30aの背面側には偏光板30cが設けられている。対向基板30bの表示面側には偏光板30dが設けられている。また、調光パネル80は、第1基板80aと、第1基板80aに対して表示面側に位置して第1基板80aと対向する第2基板80bとを有する。後述するように、第1基板80aと第2基板80bとの間には液晶層LC1と同様の液晶層が配置されている。第1基板80aの背面側には偏光板80cが設けられている。偏光板30cは、表示パネル30の背面側の偏光と調光パネル80の表示面側の偏光とを併せて行う。
【0014】
図3は、調光パネル80の表示面側に偏光板80dが設けられている例を示す図である。図3に示すように、第2基板80bの表示面側に偏光板80dが設けられていてもよい。また、図3に示すように、偏光板30cと偏光板80dとの間に光を拡散する拡散層80eを入れてもよい。
【0015】
図4は、表示パネル30の画素配列の一例を示す図である。図4に例示するように、画素48は、例えば、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。第1副画素49Rは、第1原色(例えば、赤色)を表示する。第2副画素49Gは、第2原色(例えば、緑色)を表示する。第3副画素49Bは、第3原色(例えば、青色)を表示する。このように、表示パネル30に行列状に配列された画素48は、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G及び第3の色を表示する第3副画素49Bを含む。第1の色、第2の色及び第3の色は、第1原色、第2原色及び第3原色に限られず、補色など色が異なっていればよい。以下の説明において、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
【0016】
画素48は、第1副画素49R、第2副画素49Gと、第3副画素49Bに加えて、さらに副画素49を有していてもよい。例えば、画素48は、第4の色を表示する第4副画素を有していてもよい。第4副画素は、第4の色(例えば、白色)を表示する。第4副画素は、同じ光源点灯量で照射された場合、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G、第3の色を表示する第3副画素49Bよりも明るいことが好ましい。
【0017】
表示装置1は、より具体的には、透過型のカラー液晶表示装置である。図4に例示するように、表示パネル30は、カラー液晶表示パネルであり、第1副画素49Rと画像観察者との間に第1原色を通過させる第1カラーフィルタが配置され、第2副画素49Gと画像観察者との間に第2原色を通過させる第2カラーフィルタが配置され、第3副画素49Bと画像観察者との間に第3原色を通過させる第3カラーフィルタが配置されている。第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ及び第3カラーフィルタは、後述するフィルタ膜26に含まれる構成である。
【0018】
なお、第4副画素が設けられる場合、第4副画素と画像観察者との間にカラーフィルタが配置されていない。この場合には、第4副画素に大きな段差が生じることとなる。このため、第4副画素には、カラーフィルタの代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。これにより、第4副画素に大きな段差が生じることを抑制することができる。
【0019】
信号出力回路41は、信号線DTLによって表示パネル30と電気的に接続されている。表示パネル駆動部40は、走査回路42によって、表示パネル30における副画素49を選択し、副画素49の動作(光透過率)を制御するためのスイッチング素子(例えば、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor))のオン(ON)及びオフ(OFF)を制御する。走査回路42は、走査線SCLによって表示パネル30と電気的に接続されている。
【0020】
実施形態では、複数の信号線DTLは、X方向に並ぶ。各信号線DTLは、Y方向に延出する。複数の走査線SCLは、Y方向に並ぶ。各走査線SCLは、X方向に延出する。従って、実施形態では、走査回路42から出力される駆動信号に応じて、走査線SCLを共有するようにX方向に並ぶ複数の画素48を含む画素列(ライン)単位で画素48が駆動される。以下、単にラインと記載した場合、走査線SCLを共有するようにX方向に並ぶ複数の画素48を含む画素列をさす。
【0021】
各走査線SCLの延出方向に沿う方向を水平走査方向とする。また、複数の走査線SCLの並び方向を垂直走査方向と記載する。実施形態では、X方向が水平走査方向に該当し、Y方向が垂直走査方向に該当する。
【0022】
図5は、表示パネル30の概略断面構造の一例を示す断面図である。アレイ基板30aは、ガラス基板等の画素基板21の上方に設けられたフィルタ膜26と、フィルタ膜26の上方に設けられた対向電極23と、対向電極23の上に接して設けられた絶縁膜24と、絶縁膜24の上の画素電極22と、アレイ基板30aの最上面側に設けられた第1配向膜28とを有する。対向基板30bは、ガラス基板等の対向画素基板31と、対向画素基板31の下面に設けられた第2配向膜38と、上面に設けられた偏光板35とを含む。アレイ基板30aと対向基板30bとはシール部29を介して固定されている。アレイ基板30a、対向基板30b、及びシール部29によって囲まれた空間には、液晶層LC1が封止されている。液晶層LC1は、印加される電界に応じて配向方向が変化する液晶分子を含む。液晶層LC1は、電界の状態に応じて液晶層LC1内部を通過する光を変調するものである。液晶層LC1の液晶分子の方向が、画素電極22と対向電極23との間で印加される電界によって変化し、液晶層LC1を通過する光の透過量が変化する。複数の副画素49はそれぞれ、画素電極22を有する。複数の副画素49の動作(光透過率)を個別に制御するための複数のスイッチング素子は、画素電極22と電気的に接続されている。
【0023】
調光部70は、調光パネル80と調光パネル駆動部140とを備える。実施形態の調光パネル80は、フィルタ膜26が省略されることを除いて、図5に示す表示パネル30と同様の構成である。従って、調光パネル80は、カラーフィルタの色によって区別された第1副画素49Rと第2副画素49Gと第3副画素49Bとを含む画素48(図4参照)と異なり、カラーフィルタが設けられていない複数の副画素49を含む調光用画素148を備える(図1参照)。
【0024】
調光パネル駆動部140が備える信号出力回路141及び走査回路142は、接続される対象が調光パネル80であることを除いて、表示パネル駆動部40と同様の構成である。図1に示す調光パネル80と調光パネル駆動部140との間の信号線ADTLは、図4を参照して説明した信号線DTLと同様の構成である。図1に示す調光パネル80と調光パネル駆動部140との間の走査線ASCLは、図4を参照して説明した走査線SCLと同様の構成である。
【0025】
実施形態では、表示領域OAにおける複数の画素48の配置と調光領域DAにおける複数の調光用画素148の配置とは同じである。従って、実施形態では、表示領域OAのX方向に並ぶ画素48の数と、調光領域DAのX方向に並ぶ調光用画素148の数と、は同じである。また、実施形態では、表示領域OAのY方向に並ぶ画素48の数と、調光領域DAのY方向に並ぶ調光用画素148の数と、は同じである。また、実施形態では、表示領域OAと調光領域DAとがX-Y平面視点で重なる。また、Z方向は、光源装置50の発光領域LAから照射される光の光軸LL(図7参照)に対応する。従って、複数の画素48のうち1つと、X-Y平面視点で当該画素48と重なる位置にある1つの調光用画素148と、は、光軸LLを共有する。ただし、発光領域LAから照射される光は放射状に拡散するインコヒーレント光である。従って、光軸LLに沿わない方向の光線も調光用画素148及び画素48に進入することがある。
【0026】
図6は、信号処理部10の機能構成例を示すブロック図である。信号処理部10は、第1ガンマ変換部11と、空間処理演算部12と、第2ガンマ変換部13と、を備える。
【0027】
第1ガンマ変換部11は、入力値と出力値との間でガンマ補正が必要な場合にガンマ補正処理を行う。ここでいう入力値は、入力信号IPが示すフレーム画像に含まれる各画素のRGB階調値である。また、出力値は、表示パネル30に含まれる画素48が入力値に応じた電圧で制御された場合に表示領域OAを視認するユーザが認識する画素48の明るさである。実施形態では、各RGB階調値と各画素48との1対1の関係で見た場合に入力値に応じた画素48の制御によって適切な出力値が得られるものとし、特段の補正は行われない。ただし、表示パネル30のガンマ特性によっては、第1ガンマ変換部11によるガンマ補正処理が行われる。
【0028】
空間処理演算部12は、空間処理を行う。空間処理とは、調光用画素148に適用される調光階調値を、当該調光用画素148と光軸LLを共有する画素48に対する入力値及び当該画素48の周囲に配置された他の画素48に対する入力値に基づいて決定する処理である。なお、調光階調値は、調光用画素148による光の透過の度合いを示す値である。すなわち、調光用画素148に含まれる液晶層(図5に示す液晶層LC1と同様の構成)の向きを制御するために信号出力回路141から与えられる信号の電圧は、調光階調値に対応する。
【0029】
図7は、空間処理の種類と、正面視FV及び斜視DVで視認される画像の状態と、空間処理の概要を示す模式図と、の関係を示す図である。図7の模式図では、正面視FVと斜視DVとを、表示パネル30に対する目の位置及び視線の角度で示している。
【0030】
まず、空間処理が行われない場合、すなわち、図7における「空間処理」が「無し」の場合について説明する。空間処理が行われない場合とは、調光用画素148に適用される調光階調値を、当該調光用画素148と光軸LLを共有する画素48に対する入力値のみに対応させる場合である。この場合、正面視FVでは正常に画像が視認される。一方、斜視DVでは画素48と調光用画素148で共有される光軸LLと視線との不一致によって右目で視認された画像と左目で視認された画像とに視差が生じる。この視差のため、斜視DVとなる角度で表示パネル30を見るユーザは画像を二重像として認識してしまう。
【0031】
そこで、画素48が0を超えるRGB階調値に対応して光を透過するよう制御される場合に、当該画素48と光軸LLを共有する調光用画素148だけでなく当該調光用画素148の周囲に位置する他の調光用画素148にもある程度の光を透過させるようにする。すなわち、他の調光用画素148にとって「正面視FVに対する画素48と調光用画素148との光軸LL」に限らず、当該画素48の周囲に配置された他の画素48に対する入力値に基づいて光を透過させるようにする。これによって、空間処理が行われない場合に生じていた斜視DVにおける二重像の認識を抑制することができる。
【0032】
しかしながら、図7において「空間処理」が「比較例1」である場合のように、光を透過させる画素48に対する正面視FV、斜視DVの角度に対して複数の調光用画素148が光を透過させる範囲が不十分である場合、表示パネル30において画素48が点灯することで視認される画像のドットが描く線が細く見えるようになる細小化が生じる。
【0033】
また、図7において「空間処理」が「比較例2」である場合のように、光を透過させる画素48に対する正面視FV、斜視DVの角度に対して複数の調光用画素148が光を透過させる範囲が不必要に広すぎる場合、表示パネル30において画素48が点灯することで視認される画像に光暈(halo)が生じているかのように視認される。以上のように、「空間処理」が「無し」、「比較例1」又は「比較例2」である場合、画質改善の余地がある。
【0034】
そこで、実施形態では、複数の画素48の各々の階調値と、表示パネル30の視野角特性と、を考慮して複数の調光用画素148の各々の光の透過の度合いを制御する。これによって、図7における「比較例1」、「比較例2」のような状態の発生を抑制できる。すなわち、図7において「空間処理」が「実施形態」である場合のように、正面視FVでも斜視DVでも正常な画像を視認させることができる。以下、実施形態で行われる空間処理について、図8から図10を参照して説明する。
【0035】
なお、視野角とは、表示装置1の表示出力内容を視認するユーザがそれぞれ異なる輝度で点灯するよう制御される画素48の輝度差をコントラストの差として十分に認識可能な角度範囲をさす。視野角における基準角度(0度)とは、表示領域OAに対してZ方向の位置(真正面)からユーザが表示領域OAを視認する場合をさす。そして、視野角特性とは、表示パネル30で採用される液晶の駆動方式等によって決定される視野角の広さその他の表示出力内容のコントラストに関する特性である。より具体的には、視野角特性とは、表示領域OAに対してZ方向の位置からずれた位置にいるユーザが表示領域OAを視認した場合の画素48の輝度差とユーザが認識する各画素48のコントラストの差との関係によって生じる「表示領域OAを視認するユーザの表示領域OAに対する位置角度と、ユーザが認識する表示領域OAの表示出力内容(画像)のコントラストの認識との関係」である。
【0036】
図8は、空間処理演算部12の主要構成例を示すブロック図である。空間処理演算部12は、例えば、最高階調値特定部12a、ラインメモリセレクタ12b、ラインメモリLM、調光階調値決定部12c、ROM(Read Only Memery)12d等を備える。ROM12dは、LUT(Look Up Table)12eを保持する。
【0037】
最高階調値特定部12aは、複数の画素48の各々の最高階調値を特定する。1つの画素48の最高階調値とは、当該1つの画素48が有する複数の副画素49に個別に与えられる階調値のうち最高の階調値をさす。複数の副画素49を個別に駆動する電気的信号(画素信号)の強さを決定する階調値は、出力画像信号OPに対応する。1つのフレーム画像に対応する入力信号IPが表示装置1に入力された場合、出力画像信号OPは、当該フレーム画像を表示するための複数の画素データを含む。各画素データは、RGB階調値を示す。RGB階調値は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各々の階調値の組み合わせである。RGB階調値を(R,G,B)=(a,b,c)の形式で表した場合、a,b,cはそれぞれ表示装置1が受け付ける画素データのビット数(qビット)に応じて決定される数値範囲内の数値になる。例えば、8ビット(q=8)である場合、a,b,cはそれぞれ0から255の範囲内の数値である。従って、実施形態で例示したように各画素48が第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bを有する場合、第1副画素49Rには(R,G,B)=(a,b,c)のaに対応した画素信号が与えられる。また、第2副画素49Gには(R,G,B)=(a,b,c)のbに対応した画素信号が与えられる。また、第3副画素49Bには(R,G,B)=(a,b,c)のcに対応した画素信号が与えられる。従って、1つの画素48に与えられる画素データが示すRGB階調値を(R,G,B)=(a,b,c)で表した場合に、a,b,cのうち最も大きい値が当該画素48の最高階調値に該当する。
【0038】
実施形態では、上述の第1ガンマ変換部11に関する説明のように、1つのフレーム画像に対応する入力信号IPがある位置の画素48に対して与える画素データが示すRGB階調値(入力値)と、当該入力信号IPに基づいた出力画像信号OPが当該画素48に対して与える画素データが示すRGB階調値(出力値)と、は同一である。従って、入力値をIcとし、出力値をg0(Ic)とすると、Ic=g0(Ic)が成り立つ。また、g0(Ic)は、RGB階調値、すなわち、(R,G,B)=(a,b,c)の形式で表せる。
【0039】
最高階調値特定部12aは、上述のように、複数の画素48の各々の最高階調値を特定する。従って最高階調値特定部12aは、(R,G,B)=(a,b,c)におけるa,b,cのうち最も大きい値を最高階調値として特定する処理を、1つのフレーム画像に対応する出力画像信号OPに含まれる複数の画素データの各々に対して個別に行う。
【0040】
ラインメモリセレクタ12bは、最高階調値特定部12aが特定した最高階調値をライン単位のデータとしてラインメモリLMに格納する。ラインメモリLMは、図9に示す第1ラインメモリ、第2ラインメモリ、…、第nラインメモリのように、n個のラインメモリを含む。nは、走査線SCLの数である。ラインメモリLMに含まれるn個のラインメモリの各々は、それぞれ異なる走査線SCLと接続されたライン毎の最高階調値を記憶して保持する構成として用意される。
【0041】
最高階調値特定部12aは、特定した最高階調値を示すデータをラインメモリセレクタ12bへ出力する。ラインメモリセレクタ12bは、出力画像信号OPにおける画素データの配置、すなわち、画素48のX方向及びY方向の配置に対応したラインメモリLMのアドレスで各画素データの最高階調値を示すデータが記憶されるよう、ラインメモリLMに含まれる第1ラインメモリ、第2ラインメモリ、…、第nラインメモリに最高階調値を示すデータを伝送する。ラインメモリLMは、最高階調値を示すデータを記憶、保持する。
【0042】
調光階調値決定部12cは、ラインメモリLMで保持されている最高階調値を示すデータとLUT12eとに基づいて、決定処理を行う。決定処理は、調光階調値を決定する処理である。調光階調値は、調光用画素148による光の透過の度合いを示す値である。調光階調値決定部12cは、決定処理を、複数の調光用画素148の各々に対して個別に行う。決定処理の説明に伴い、決定処理で参照されるLUT12eについて図9図10とを参照して説明する。
【0043】
図9は、表示パネル30の視野角特性の一例を示す図である。図9に示す視野角特性図C1は、表示パネル30が例えばAFFS(Advanced Fringe Field Switching)方式の液晶表示パネルである場合の視野角特性図である。
【0044】
図9に示す視野角特性図C1ならびに後述する図11に示す視野角特性図C2及び図13に示す視野角特性図C3を含む各視野角特性図は、最高輝度(白色:W)を出力する状態の画素48と最低輝度(黒色:B)を出力する状態の画素48とのコントラスト比(W:B)がr:1である角度範囲を示している。各視野角特性図内のパターンとrの数値との関係は、各視野角特性図の右側に示されたグラフのパターンと数値との関係に対応する。各視野角特性図の中心が、正面視FVでのコントラスト比を示す。また、当該中心の周囲が、斜視DVでのコントラスト比を示す。当該中心の右側に付された「10」、「20」、「30」、「40」、「50」、「60」、70」の数値は、中心を取り巻くように描かれた破線の円が示す斜視DVの斜視角度の大きさである。各視野角特性図の周囲に付された「0」、「45」、「90」、「135」、「180」、「225」、「270」、「315」の数値は、正面視FVにおける表示パネル30とユーザとの対面関係を基準としたユーザと表示パネル30との位置関係を示す。具体的には、ユーザが表示パネル30に対して基準から右側に移動した位置で表示パネル30を見ることで斜視DVが生じている場合を「0」度とした表示パネル30とユーザとの位置関係を示す。例えば、各視野角特性図の「90」の位置は、当該基準に対して上側から表示パネル30を見るユーザによる斜視DVを示している。また、各視野角特性図の「180」の位置は、当該基準に対して左側から表示パネル30を見るユーザによる斜視DVを示している。また、各視野角特性図の「270」の位置は、当該基準に対して下側から表示パネル30を見るユーザによる斜視DVを示している。
【0045】
各視野角特性図の周囲に付された数値のうち、「0」と「180」とを結ぶ方向は、X方向である。また、各視野角特性図の周囲に付された数値のうち、「90」と「270」とを結ぶ方向は、Y方向である。また、第1斜め方向と記載した場合、各視野角特性図の周囲に付された数値のうち、「45」と「225」とを結ぶ方向をさす。また、第2斜め方向と記載した場合、各視野角特性図の周囲に付された数値のうち、「135」と「315」とを結ぶ方向をさす。また、斜め方向と記載した場合、第1斜め方向と第2斜め方向とを包括する。
【0046】
図9に示すように、実施形態の表示パネル30は、r≧200の範囲、すなわち、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以上である範囲をX方向と斜め方向とで比較すると、X方向の方が広くなっている。具体的には、X方向では中心を取り巻くように描かれた破線の円が示す斜視DVの斜視角度が50度の範囲よりも外側までr≧200の範囲となっているのに対し、斜め方向ではr≧200の範囲が50度未満のより狭い斜視角度に限定されている。また、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以下である範囲をX方向と斜め方向で比較しても、X方向の方が広くなっている。このように、実施形態の表示パネル30では、X方向の表示パネル30の視野角が斜め方向の表示パネル30の視野角よりも大きい。
【0047】
図9に示すように、実施形態の表示パネル30は、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以上である範囲をY方向と斜め方向とで比較すると、Y方向の方が広くなっている。また、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以下である範囲をX方向と斜め方向で比較しても、Y方向の方が広くなっている。このように、実施形態の表示パネル30では、Y方向の表示パネル30の視野角が斜め方向の表示パネル30の視野角よりも大きい。
【0048】
調光階調値決定部12cが決定処理で参照するLUT12eは、このような表示パネル30の視野角特性に基づいて予め作成されている。具体的には、最高階調値に対応して点灯する画素48の光源として点灯する光源装置50からの光を透過させる調光用画素148による光の透過の度合いを決定する場合、当該画素48と光軸LLを共有する調光用画素148の周囲に位置する他の調光用画素148は、上述の空間処理の考え方で光を透過させる。
【0049】
空間処理演算部12が行う空間処理における基本的な考え方として、ある一方向に並ぶ複数の調光用画素148のうち、当該画素48と光軸LLを共有する調光用画素148から遠い位置にある調光用画素148ほど、当該画素48の階調値に基づいた調光階調値への影響は小さくなる。すなわち、画素48の階調値に基づいて当該画素に照射される光の光軸LL上に位置する所定の調光用画素148の調光階調値が決定されるとともに、当該画素48の階調値は、当該調光用画素148の周囲に配置されている他の調光用画素148が光を透過させる度合いに影響を与える。ここで、当該影響を演算処理によって他の調光用画素148の調光階調値に反映するため、後述する補正値の算出が行われる。当該補正値の算出で利用される補正係数は、当該所定の調光用画素148に対して光軸LLに直交する一方向に沿う離隔距離が長くなる程低くなる。以下、単に離隔距離と記載した場合、当該所定の調光用画素148に対する距離であって、光軸LLに直交する一方向に沿う距離をさす。
【0050】
ただし、実施形態のように、X方向の表示パネル30の視野角が斜め方向の表示パネル30の視野角よりも大きい場合、X方向の離隔距離の長さの長大化に応じた補正係数の低下の度合いは、斜め方向の離隔距離の長さの長大化に応じた補正係数の低下の度合いよりも小さくなる。また、実施形態のように、Y方向の表示パネル30の視野角が斜め方向の表示パネル30の視野角よりも大きい場合、Y方向の離隔距離の長さの長大化に応じた補正係数の低下の度合いは、斜め方向の離隔距離の長さの長大化に応じた補正係数の低下の度合いよりも小さくなる。このように、実施形態の空間処理では、画素48の配置に対応する所定の調光用画素148と当該画素48とが共有する光軸LLに直交する二方向のうち一方(例えば、X方向又はY方向)に沿う離隔距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係と、当該光軸LLに直交する二方向のうち他方に沿う離隔距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係と、が異なる。図10に示すLUT12eは、このような離間距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係に対応している。
【0051】
図10は、LUT12eの一例を示す図である。なお、図10及び後述する図12は、画素データのビット数(qビット)が8ビット(q=8)である場合を想定したLUT12eである。
【0052】
実施形態では、1つの調光用画素148に対する調光階調値の決定に際して、調光階調値決定部12cは、当該調光用画素148と光軸LLを共有する所定の画素48の最高階調値と、当該所定の画素48の周囲に位置する他の画素48の最高階調値と、を参照する。実施形態では、所定の画素48を基準として、X方向及びY方向に±t個の範囲内に位置する画素48が当該所定の画素48の周囲に位置する他の画素48として扱われる。tは、自然数である。
【0053】
以下、所定の画素48と他の画素48との位置関係を座標で示す。所定の画素48の座標は、(x,y)=(0,0)である。X-Y平面視点で、(x,y)=(0,0)は、所定の調光用画素148の座標でもある。また、xは、X方向の画素48の座標である。yは、Y方向の画素48の座標である。従って、他の画素48が取り得る座標の値の範囲は、-t≦x≦t、-t≦y≦tである。また、t=6である場合に他の画素48が取り得る座標の値の範囲は、-6≦x≦6、-6≦y≦6である。以下に記載する実施形態の説明及び図10図12図15図16では、一例としてt=6である場合を例とするが、6を下回ってもよいし6を上回ってもよい。
【0054】
調光階調値決定部12cは、ラインメモリLMを参照して、所定の画素48と他の画素48の各々の最高階調値を取得する。なお、画素48の最高階調値とは、当該画素48に含まれる複数の副画素49の各々に与えられる画素信号の強さを決定する階調値のうちの最高階調値である。具体的には、調光階調値決定部12cは、(x,y)=(0,0)の画素48の最高階調値を所定の画素48の最高階調値として取得する。また、調光階調値決定部12cは、(x,y)=(-6,-6)の画素48の最高階調値と、(x,y)=(-5,-6)の画素48の最高階調値と、(x,y)=(-4,-6)の画素48の最高階調値と、…、(x,y)=(-1,-6)の画素48の最高階調値と、(x,y)=(-6,-5)の画素48の最高階調値と、(x,y)=(-5,-5)の画素48の最高階調値と、…、(x,y)=(6,6)の画素48の最高階調値と、を他の画素48の最高階調値として取得する。
【0055】
ここで、調光階調値決定部12cによって取得された他の画素48の最高階調値が、所定の画素48の最高階調値を超える値を含んでいる場合について説明する。なお、他の画素48の最高階調値のうち、所定の画素48の最高階調値を超える値を「超越階調値」と記載する。また、超越階調値の座標と記載した場合、当該超越階調値が取得された他の画素48の座標をさす。調光階調値決定部12cは、1つの超越階調値から所定の画素48の最高階調値を差し引いた差分値を算出する。ここで、1つの超越階調値をIsx,yとし、所定の画素48の最高階調値をIcmaxとすると、調光階調値決定部12cは、差分値として、Isx,y-Icmaxを算出する。以下、単に差分値と記載した場合、Isx,y-Icmaxをさす。調光階調値決定部12cは、算出された差分値に、超越階調値の座標に対応した補正係数を乗じた値を補正値として算出する。以下、単に補正係数と記載した場合、超越階調値の座標に対応した補正係数をさす。補正係数は、LUT12eを参照して決定される。LUT12eは、所定の調光用画素148の座標、すなわち、(x,y)=(0,0)に対する位置関係をx座標とy座標とで表している。また、-t≦x≦t、-t≦y≦tの範囲内でそれぞれ異なる座標の各々にフィールドが設定され、補正係数に対応する値が各フィールドに格納されている。
【0056】
図10及び後述する図12に示すLUTは、二次元配列に対応したLUTである。当該LUTには、tの値に対応した他の画素48の座標数に対応したフィールドが設定されている。当該LUTにおける縦方向の位置がy座標に対応し、横方向の位置がx座標に対応する。例えば、(x,y)=(-2,0)のフィールド及び(x,y)=(2,0)のフィールドには、「246」の値が設定されている。また、(x,y)=(-1,-1)のフィールド、(x,y)=(-1,1)のフィールド、(x,y)=(1,-1)のフィールド及び(x,y)=(1,1)のフィールドには、「241」の値が設定されている。他のフィールドについては詳細な記載を省略するが、図10で示すように、LUT12eにおいて所定の画素48の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準としたX方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いは、斜め方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いよりも小さくなる。また、LUT12eにおいて所定の画素48の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準としたY方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いは、斜め方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いよりも小さくなる。
【0057】
図10及び後述する図12に示すLUTを参照して決定される補正係数は、超越階調値の座標に対応するフィールドに格納された値を、(x,y)=(0,0)のフィールドに格納された値で除した値である。ここで、(x,y)=(0,0)のフィールドには、qビットの最高値(例えば、8ビットの場合255)が格納されている。従って、例えば超越階調値の座標が(x,y)=(-2,0)又は(x,y)=(2,0)である場合、図10のLUTを参照して決定される補正係数は、「246/255」になる。また、超越階調値の座標が(x,y)=(-1,-1)、(x,y)=(-1,1)、(x,y)=(1,-1)又は(x,y)=(1,1)である場合、図10のLUTを参照して決定される補正係数は、「241/255」になる。このように、LUT12eは、(x,y)=(0,0)に対する位置関係に応じた補正係数を示すデータとして機能する。
【0058】
超越階調値の座標に対応した補正係数をe[PSx,y-Pc]とすると、差分値に補正係数を乗じた補正値(fx,y)は、以下の式(1)で表せる。以下、単に補正値と記載した場合、fx,yをさす。
x,y=e[PSx,y-Pc]×|(Isx,y-Icmax)|…(1)
【0059】
調光階調値決定部12cは、1つの調光用画素148に対する調光階調値の決定に際して、超越階調値が複数ある場合、複数の超越階調値の各々の補正値を算出する。
【0060】
一方、調光階調値決定部12cによって取得された他の画素48の最高階調値が超越階調値を含まない場合、調光階調値決定部12cは、補正値を0とする。すなわち、この場合、fx,y=0である。
【0061】
調光階調値決定部12cは、補正値のうち最大値に該当する値を最大補正値(A)として特定する。1つの調光用画素148に対する調光階調値の決定に際して、超越階調値が1つ以上ある場合、算出された補正値のうち最大値が最大補正値(A)として扱われる。すなわち、A=max(fx,y)である。一方、他の画素48の最高階調値が超越階調値を含まない場合、上述のようにfx,y=0であるので、A=0である。
【0062】
調光階調値決定部12cは、所定の画素48の最高階調値(Icmax)に最大補正値(A)を加算した値を、当該所定の画素48と光軸LLを共有する1つの調光用画素148の調光階調値として算出する。すなわち、調光階調値は、Icmax+Aと表せる。調光階調値決定部12cは、複数の調光用画素148の各々の調光階調値を算出する。
【0063】
ここで、上述したように、LUT12eにおいて所定の画素48の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準としたX方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いは、斜め方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いよりも小さくなる。また、LUT12eにおいて所定の画素48の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準としたY方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いは、斜め方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いよりも小さくなる。このため、超越階調値がある場合の最大補正値(A)は、当該最大補正値の元になった他の画素48の位置が斜め方向にある場合に比してX方向(又はY方向)にある場合の方がより大きくなる。言い換えれば、所定の画素48からX方向(又はY方向)と斜め方向とに同じ離隔距離離れたとしても、X方向(又はY方向)の方が、斜め方向に比して、離隔距離の長大化に対する最大補正値(A)の減少度合いが小さい。
【0064】
LUT12eの各座標に対応した補正係数は、検証パターンに対応した表示装置1の動作が行われた場合における各座標の調光用画素148の光の透過の度合いに対応する。検証パターンとは、(x,y)=(0,0)の座標の画素48に最高輝度の出力(例えば、(R,G,B)=(255,255,255)の白色に対応した出力)を行わせ、かつ、他の座標の画素48に最低輝度の出力(例えば、(R,G,B)=(0,0,0)の黒色に対応した出力)を行わせる入力信号IPをさす。すなわち、表示装置1は、表示パネル30に対して1つの画素48が最高輝度の出力を行い、他の画素48が最低輝度の出力を行う場合、当該1つの画素48に照射される光の光軸上に位置する所定の調光用画素148及び当該所定の調光用画素148の周囲に配置されている他の調光用画素148が光を透過させる。ここで、他の調光用画素148が光を透過させる度合いは、当該所定の調光用画素148から一方向に沿って遠ざかる程低下し、当該低下の度合いが異なる複数の方向がある。なお、図8に示す例では、LUT12eがROM12dに記憶されている。ROM12dは書き換え不可能な記憶回路であるが、LUT12eは、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等、書き換え可能な記憶回路に記憶されていてもよい。
【0065】
図6に示す第2ガンマ変換部13は、調光階調値に対してガンマ補正が必要な場合にガンマ補正処理を行う。実施形態では、第2ガンマ変換部13は、調光パネル80と表示パネル30がいずれも最低階調(0)の場合と、調光パネル80と表示パネル30がいずれも最高階調 (8ビットならば255)の場合との間のガンマカーブが所望のガンマカーブ(例えば、ガンマ値=2.2に対応したガンマカーブ)となるようにガンマ補正処理を行う。ガンマ補正処理で用いられる係数をg1とすると、第2ガンマ変換部13によるガンマ補正処理後の調光階調値は、g1(Icmax+A)と表せる。
【0066】
図6に示す第1ガンマ変換部11は、出力画像信号OPを表示パネル30に出力する。ここで、出力画像信号OPは、複数の画素48の各々に対する上述のg0(Ic)の集合である。表示パネル駆動部40の動作によって、各画素48がg0(Ic)に応じて駆動される。第2ガンマ変換部13は、調光用信号DIを調光パネル80に出力する。ここで、調光用信号DIは、複数の調光用画素148の各々に対する上述のg1(Icmax+A)の集合である。調光パネル駆動部140の動作によって、各調光用画素148がg1(Icmax+A)に応じて駆動される。すなわち、複数の調光用画素148の各々による光の透過の度合いが各々の調光階調値に対応するよう、調光パネル80が動作する。なお、実施形態では、1つの調光用画素148が有する複数の副画素49が全て当該1つの調光用画素148の調光階調値に対応した光の透過の度合いとなるよう駆動される。これによって、表示領域OAで入力信号IPに対応するフレーム画像が表示され、かつ、図7を参照して説明した「実施形態」の空間処理が適用された調光用画素148の制御が行われる。従って、正面視FVであっても斜視DVであっても、入力信号IPに対応したフレーム画像を十分な精度でユーザに視認させることができる。
【0067】
以上、実施形態によれば、複数の画素48を有する表示パネル30と、表示パネル30に照射される光の光源(光源装置50)と表示パネル30との間に配置されて複数の調光用画素148を有する調光パネル80と、を備える。画素48の階調値に基づいて当該画素48に照射される光の光軸LL上に位置する所定の調光用画素148が光を透過させる度合いが決定され、かつ、所定の調光用画素148の周囲に配置されている他の調光用画素148が光を透過させる度合いを補正する補正値の算出で当該階調値が参照される。当該補正値の算出で利用される補正係数は、光軸LLに直交する一方向に沿う離隔距離が長くなる程低くなる。離隔距離は、所定の調光用画素148から補正値が算出される他の調光用画素148までの距離である。光軸LLに直交する平面(X-Y平面)に沿う方向は、離隔距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係が異なる複数の方向(例えば、X方向と斜め方向、Y方向と斜め方向)を含む。ここで、「所定の調光用画素148の周囲に配置されている他の調光用画素148が光を透過させる度合いを補正する」ことで、空間処理による二重像の発生を抑制できる。さらに、液晶パネルの視野角特性が光軸LLに直交する全方向に対して完全に均一であることは現実的にありえない。従って、光軸LLに直交する二方向のうち一方に沿う離隔距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係と、光軸LLに直交する二方向のうち他方に沿う離隔距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係と、を異ならせることで、調光の度合いの制御と表示パネル30の視野角特性とを対応させることができる。従って、調光パネル80による調光と画質低下の抑制とを両立できる。
【0068】
また、光軸LLに直交する二方向のうち一方(例えば、X方向又はY方向)は、離隔距離の長さに対する補正係数の低下の度合いが光軸LLに直交する二方向のうち他方(例えば、斜め方向)よりも小さく、一方の表示パネルの視野角は、他方の表示パネルの視野角よりも大きい。これによって、調光の度合いの制御と表示パネル30の視野角特性とをより高精度に対応させることができる。
【0069】
また、画素48は、複数の副画素49を有し、複数の副画素49は、それぞれ異なる色の光を透過させるカラーフィルタ(フィルタ膜26)を有する。また、調光用画素148は、画素48毎に設けられる。これによって、画素48単位で調光用画素148による調光の度合いの制御を行える。これによって、画素48単位で調光用画素148による調光の度合いの制御を行える。
【0070】
また、調光用画素148において光の透過の度合いを個別に制御可能な構成(調光用画素148が有する副画素49)は、画素毎に1つ以上設けられる。これによって、より確実に画素48単位で調光用画素148による調光の度合いの制御を行える。
【0071】
また、表示装置1は、光源(光源装置50)を備える。これによって、外部の光源を必要とせず、表示装置1による画像の表示を行える。
【0072】
また、上述の離隔距離が決定される方向である「光軸LLに直交する二方向」のうち一方は、表示パネル30の水平同期方向(X方向)又は表示パネル30の垂直同期方向(Y方向)である。これによって、表示パネル30の水平同期方向(X方向)、表示パネル30の垂直同期方向(Y方向)の視野角が他の方向に比してより優れている表示パネル30に対応した調光の度合いの制御を行える。
【0073】
また、離隔距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係を示すデータ(例えば、LUT12e)に基づいて複数の調光用画素148の各々が光を透過させる度合いが制御される。これによって、表示パネル30の視野角特性に対応した当該データを予め用意することによるより高精度な調光制御を実現できる。
【0074】
また、上述のデータ(例えば、LUT12e)を保持する制御回路(空間処理演算部12)を備える。当該制御回路は、表示パネル30に入力される画像信号(入力信号IP)が示す複数の画素48の各々の階調値と当該データとに基づいて複数の調光用画素148の各々が光を透過させる度合いを決定する。これによって、表示出力内容に対応したより高精度な調光制御を実現できる。
【0075】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について、図11から図18を参照して説明する。変形例の説明では、実施形態と同様の構成について同じ符号を用いて説明を省略することがある。
【0076】
(変形例1)
まず、実施形態の変形例1について、図11から図13を参照して説明する。
【0077】
図11は、変形例1における表示パネル30の視野角特性の一例を示す図である。図11に示す視野角特性図C2は、表示パネル30がいわゆるTN(Twisted Nematic)方式の液晶表示パネルである場合の視野角特性図である。
【0078】
図11に示すように、変形例1の表示パネル30は、r≧200の範囲、すなわち、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以上である範囲をX方向と斜め方向とで比較すると、斜め方向の方が広くなっている。具体的には、斜め方向では中心を取り巻くように描かれた破線の円が示す斜視DVの斜視角度が30度の範囲よりも外側までr≧200の範囲となっているのに対し、X方向でr≧200の範囲が30度未満のより狭い斜視角度に限定されている。また、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以下である範囲をX方向と斜め方向で比較しても、斜め方向の方が広くなっている。このように、変形例1の表示パネル30では、斜め方向の表示パネル30の視野角は、X方向の表示パネル30の視野角よりも大きい。
【0079】
図11に示すように、変形例1の表示パネル30は、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以上である範囲をY方向と斜め方向とで比較すると、斜め方向の方が広くなっている。また、黒色(B)に対する白色(W)のコントラスト比が200以下である範囲をX方向と斜め方向で比較しても、斜め方向の方が広くなっている。このように変形例1の表示パネル30では、斜め方向の表示パネル30の視野角は、Y方向の表示パネル30の視野角よりも大きい。
【0080】
図12は、変形例1におけるLUT12eの一例を示す図である。変形例1では、図12に示すように、(x,y)=(-2,-2)のフィールド、(x,y)=(-2,2)のフィールド、(x,y)=(2,-2)のフィールド及び(x,y)=(2,2)のフィールドには、「211」の値が設定されている。また、(x,y)=(-2,0)のフィールド及び(x,y)=(2,0)のフィールドには、「111」の値が設定されている。他のフィールドについては詳細な記載を省略するが、図12で示すように、LUT12eにおいて所定の画素48の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準とした斜め方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いは、X方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いよりも小さくなる。また、LUT12eにおいて所定の画素48の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準とした斜め方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いは、Y方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いよりも小さくなる。
【0081】
なお、変形例1で調光階調値決定部12cが行う処理は、実施形態と同様である。すなわち、調光階調値決定部12cは、所定の画素48の最高階調値(Icmax)に最大補正値(A)を加算した値を、当該所定の画素48と光軸LLを共有する1つの調光用画素148の調光階調値として算出する。
【0082】
従って、変形例1の場合、超越階調値がある場合の最大補正値(A)は、当該最大補正値の元になった他の画素48の位置がX方向(又はY方向)にある場合に比して斜め方向にある場合の方がより大きくなる。言い換えれば、最大補正値(A)の元になった画素48からX方向(又はY方向)と斜め方向とに同じ離隔距離離れたとしても、斜め方向の場合の方が、X方向(又はY方向)に比して離隔距離の長大化に対する最大補正値(A)の減少度合いが小さい。
【0083】
このように、変形例1では、実施形態の表示パネル30の視野角特性(図9)とは異なる表示パネル30の視野角特性(図11参照)に対応してLUT12eの内容が変更されている。以上、特筆した点を除いて、変形例1は、実施形態と同様である。実施形態及び変形例1で例示したように、本開示による表示装置1は、表示パネル30の視野角特性に応じたLUT12eを採用することで、正面視FVであっても斜視DVであっても、入力信号IPに対応したフレーム画像を十分な精度でユーザに視認させることができる。従って、調光パネル80による調光と画質低下の抑制とを両立できる。
【0084】
図10及び図11を参照して説明した変形例1によれば、上述の離隔距離が決定される方向である「光軸LLに直交する二方向」のうち一方(斜め方向)は、表示パネルの水平同期方向(X方向)でなく、かつ、表示パネルの垂直同期方向(Y方向)でない。これによって、表示パネル30の水平同期方向(X方向)及び表示パネル30の垂直同期方向(Y方向)以外の方向の視野角が他の方向に比してより優れている表示パネル30に対応した調光の度合いの制御を行える。
【0085】
なお、本開示の表示装置1で対応可能な表示パネル30の視野角特性は、図9及び図11で例示したものに限られない。図13は、表示パネル30の視野角特性の他の一例を示す図である。図13に対応したLUT12eについては図示を省略するが、図13に示す他の例のように図9及び図11で例示した視野角特性とは異なる視野角特性を示す表示パネル30であっても、やはり、表示パネル30の視野角特性に対応した内容のLUT12eを採用することで、実施形態及び変形例1と同様の効果を得られる。
【0086】
(変形例2)
次に、実施形態の変形例2について、図14から図16を参照して説明する。変形例2では、実施形態2の空間処理演算部12が後述する空間処理演算部12Aに置換されている。
【0087】
図14は、変形例2における空間処理演算部12Aの主要構成例を示すブロック図である。空間処理演算部12Aは、最高階調値特定部12a、第1処理部12f、ROM12g、ラインメモリセレクタ12j、ラインメモリLM、第2処理部12k、ROM12m等を備える。変形例2の最高階調値特定部12aは、実施形態の最高階調値特定部12aと同様の構成である。
【0088】
第1処理部12fは、第1処理を行う。第1処理とは、調光用画素148に適用される調光階調値の暫定値を、当該調光用画素148と光軸LLを共有する画素48の最高階調値及び当該画素48の周囲に配置された他の画素48の最高階調値に基づいて決定する処理である。
【0089】
具体的には、第1処理部12fは、最高階調値特定部12aが出力する最高階調値を一時的に保持し、所定の画素48と「他の画素48のうちX方向に並ぶ一部」の各々の最高階調値を取得する。第1処理部12fが取得する「他の画素48のうちX方向に並ぶ一部」の最高階調値とは、「所定の画素48に対してX方向に並ぶ他の画素48であって、所定の画素48に対してX方向に±t個の範囲内に位置する他の画素48」の最高階調値である。すなわち、第1処理部12fは、調光階調値決定部12cと異なり、他の画素48の最高階調値のうち、「所定の画素48とY方向の位置が異なる他の画素48」の最高階調値を当該所定の画素48と光軸LLを共有する調光用画素148に適用される調光階調値の暫定値の算出のために取得しない。以下、単に暫定値と記載した場合、調光階調値の暫定値をさす。
【0090】
ここで、第1処理部12fによって取得された「他の画素48のうちX方向に並ぶ一部」の最高階調値が超越階調値を超える値を含んでいる場合について説明する。第1処理部12fは、1つの超越階調値から所定の画素48の最高階調値を差し引いた第1差分値を算出する。ここで、1つの超越階調値をIsとし、所定の画素48の最高階調値をIcmaxとすると、調光階調値決定部12cは、第1差分値として、Is-Icmaxを算出する。以下、単に第1差分値と記載した場合、Is-Icmaxをさす。第1処理部12fは、算出された第1差分値に、超越階調値の座標に対応した第1補正係数を乗じた値を第1補正値として算出する。以下、単に第1補正係数と記載した場合、超越階調値の座標に対応した第1補正係数をさす。第1補正係数は、ROM12gによって保持されているLUT12hを参照して決定される。
【0091】
図15は、LUT12hの一例を示す図である。図15に示すLUTは、一次元配列に対応したLUTである。当該LUTには、tの値に対応した他の画素48の座標数に対応したフィールドが設定されている。当該LUTにおける横方向の位置がx座標に対応する。なお、y座標については全て0として扱われる。例えば、(x,y)=(-1,0)のフィールド及び(x,y)=(1,0)のフィールドには、「0.5」の値が設定されている。
【0092】
図15に示すLUTを参照して決定される第1補正係数は、超越階調値の座標に対応するフィールドに格納された値である。従って、例えば超越階調値の座標が(x,y)=(-1,0)又は(x,y)=(1,0)である場合、図15のLUTを参照して決定される第1補正係数は、「0.5」になる。
【0093】
超越階調値の座標に対応した第1補正係数をeh[PS-Pc]とすると、第1差分値に第1補正係数を乗じた第1補正値(f)は、以下の式(2)で表せる。以下、単に第1補正値と記載した場合、fをさす。
=eh[PS-Pc]×|(Is-Icmax)|…(2)
【0094】
第1処理部12fは、1つの調光用画素148に対する暫定値の決定に際して、超越階調値が複数ある場合、複数の超越階調値の各々の第1補正値を算出する。
【0095】
一方、第1処理部12fによって取得された「他の画素48のうちX方向に並ぶ一部」の最高階調値が超越階調値を含まない場合、第1処理部12fは、第1補正値を0とする。すなわち、この場合、f=0である。
【0096】
第1処理部12fは、第1補正値のうち最大値に該当する値を第1最大補正値(B)として特定する。1つの調光用画素148に対する調光階調値の決定に際して、超越階調値が1つ以上ある場合、算出された第1補正値のうち最大値が第1最大補正値(B)として扱われる。すなわち、B=max(f)である。一方、他の画素48の最高階調値が超越階調値を含まない場合、上述のようにf=0であるので、B=0である。
【0097】
第1処理部12fは、所定の画素48の最高階調値(Icmax)に第1最大補正値(B)を加算した値を、当該所定の画素48と光軸LLを共有する1つの調光用画素148の暫定値として算出する。すなわち、暫定値は、Icmax+Bと表せる。第1処理部12fは、複数の調光用画素148の各々の暫定値を算出する。
【0098】
ラインメモリセレクタ12jは、第1処理部12fが算出した複数の調光用画素148の各々の暫定値をライン単位のデータとしてラインメモリLMに格納する。変形例2のラインメモリLMは、実施形態2のラインメモリLMと物理的、機能的には同様であってよいが、格納するデータが複数の調光用画素148の各々の暫定値である点が実施形態と異なる。ラインメモリセレクタ12jは、調光用画素148のX方向及びY方向の配置に対応したラインメモリLMのアドレスで各画素データの最高階調値を示すデータが記憶されるよう、ラインメモリLMに含まれる第1ラインメモリ、第2ラインメモリ、…、第nラインメモリに暫定値を示すデータを伝送する。ラインメモリLMは、暫定値を示すデータを記憶、保持する。
【0099】
第2処理部12kは、ラインメモリLMで保持されている暫定値を示すデータとLUT12nとに基づいて、第2処理を行う。第2処理は、調光階調値を決定する処理である。第2処理部12kは、決定処理を、複数の調光用画素148の各々に対して個別に行う。
【0100】
具体的には、第2処理部12kは、ラインメモリLMを参照して、1つの調光用画素148と「他の調光用画素148のうちY方向に並ぶ一部」の各々の暫定値を取得する。ここで、第2処理部12kの処理における「特定の調光用画素148」とは、第1処理部12fの処理において所定の画素48と光軸LLを共有する1つの調光用画素148として扱われた調光用画素148をさす。第2処理部12kが取得する「他の調光用画素148のうちY方向に並ぶ一部」の暫定値とは、「特定の調光用画素148に対してY方向に並ぶ他の調光用画素148であって、特定の調光用画素148に対してY方向に±t個の範囲内に位置する他の調光用画素148」の暫定値である。
【0101】
ここで、第2処理部12kによって取得された「他の調光用画素148のうちY方向に並ぶ一部」の暫定値が、所定の調光用画素148の暫定値を超える値を含んでいる場合について説明する。なお、「他の調光用画素148のうちY方向に並ぶ一部」の暫定値のうち、特定の調光用画素148の暫定値を超える値を「超越暫定値」と記載する。また、超越暫定値の座標と記載した場合、当該超越暫定値が取得された他の調光用画素148の座標をさす。
【0102】
第2処理部12kは、1つの超越暫定値から特定の調光用画素148の暫定値を差し引いた第2差分値を算出する。ここで、1つの超越暫定値をHsとし、特定の調光用画素148の暫定値をHcとすると、調光階調値決定部12cは、第2差分値として、Hs-Hcを算出する。以下、単に第2差分値と記載した場合、Hs-Hcをさす。
【0103】
第2処理部12kは、算出された第2差分値に、暫定値の座標に対応した第2補正係数を乗じた値を第2補正値として算出する。以下、単に第2補正係数と記載した場合、暫定値の座標に対応した第2補正係数をさす。第2補正係数は、ROM12mによって保持されているLUT12nを参照して決定される。
【0104】
図16は、LUT12nの一例を示す図である。図16に示すLUTは、一次元配列に対応したLUTである。当該LUTには、tの値に対応した他の調光用画素148の座標数に対応したフィールドが設定されている。当該LUTにおける横方向の位置がy座標に対応する。なお、x座標については全て0として扱われる。例えば、(x,y)=(0,-1)のフィールド及び(x,y)=(0,1)のフィールドには、「0.4」の値が設定されている。
【0105】
図16に示すLUTを参照して決定される第2補正係数は、暫定値の座標に対応するフィールドに格納された値である。従って、例えば暫定値の座標が(x,y)=(0,-1)又は(x,y)=(0,1)である場合、図16のLUTを参照して決定される第2補正係数は、「0.4」になる。
【0106】
超越階調値の座標に対応した第2補正係数をev[PS-Pc]とすると、第2差分値に第2補正係数を乗じた第2補正値(f)は、以下の式(3)で表せる。以下、単に第2補正値と記載した場合、fをさす。
=ev[PS-Pc]×|(Hs-Hc)|…(3)
【0107】
第2処理部12kは、特定の調光用画素148に対する調光階調値の決定に際して、超越暫定値が複数ある場合、複数の超越暫定値の各々の第2補正値を算出する。
【0108】
一方、第2処理部12kによって取得された「他の調光用画素148のうちY方向に並ぶ一部」の暫定値が超越暫定値を含まない場合、第2処理部12kは、第2補正値を0とする。すなわち、この場合、f=0である。
【0109】
第2処理部12kは、第2補正値のうち最大値に該当する値を第2最大補正値(C)として特定する。特定の調光用画素148に対する調光階調値の決定に際して、超越暫定値が1つ以上ある場合、算出された第2補正値のうち最大値が第2最大補正値(C)として扱われる。すなわち、C=max(f)である。一方、他の調光用画素148の暫定値が超越暫定値を含まない場合、上述のようにf=0であるので、C=0である。
【0110】
第2処理部12kは、特定の調光用画素148の暫定値(Hc)に第2最大補正値(C)を加算した値を、特定の調光用画素148の調光階調値として算出する。すなわち、調光階調値は、Hc+Cと表せる。第2処理部12kは、複数の調光用画素148の各々の調光階調値を算出する。
【0111】
ここで、図15に示すLUT12hにおいて所定の画素48の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準としたX方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いは、図16に示すLUT12nにおいて特定の調光用画素148の配置に対応する(x,y)=(0,0)を基準としたY方向の離隔距離の長さの長大化(座標の離隔度合)に応じたフィールドの値の低下の度合いよりも小さい。従って、変形例2では、所定の画素48からX方向とY方向とに同じ離隔距離離れたとしても、X方向の離隔距離の長大化に対する最大補正値(B)の減少度合いの方が、Y方向の離隔距離の長大化に対する最大補正値(C)の減少度合いに比して小さい。言い換えれば、変形例2では、このような離隔距離と最大補正値との関係に対応する視野角特性を示す表示パネル30が採用されている。仮に、表示パネル30の視野角特性が異なる視野角特性である場合、図15及び図16を参照して説明した各LUTの内容も当該異なる視野角特性に対応したフィールドの値を有するLUTになる。
【0112】
なお、変形例2では、第1補正係数、第2補正係数として直接利用できる値が各LUTのフィールドに格納されているが、これは一例であってこれに限られるものでない。変形例2でも、実施形態のLUT12eにおける補正係数の算出と同様の仕組みで、ビット数に対応した値をフィールドに格納し、(x,y)=(0,0)のフィールドに格納された値で除して第1補正係数、第2補正係数を算出するようにしてもよい。逆に、実施形態において、補正係数として直接利用できる値が調光階調値決定部12cの参照するLUTのフィールドに格納されていてもよい。
【0113】
また、上述の図14から図16を参照した説明では、第1処理部12fがX方向の離隔距離に対応した処理を行い、その後に第2処理部12kがY方向の離隔距離に対応した処理を行っているが、X方向とY方向の処理順序関係は逆でもよい。すなわち、上述の第1処理部12fが取得する「他の画素48のうちX方向に並ぶ一部」の最高階調値を「他の画素48のうちY方向に並ぶ一部」の最高階調値とし、第2処理部12kが取得する「他の調光用画素148のうちY方向に並ぶ一部」の暫定値を「他の調光用画素148のうちX方向に並ぶ一部」の暫定値とするようにしてもよい。その場合、LUT12hの内容(図15参照)がLUT12nの内容(図16参照)に入れ替わり、LUT12nの内容(図16参照)がLUT12hの内容(図15参照)に入れ替わる。
【0114】
また、ROM12g、ROM12mは、記憶しているLUTの内容がLUT12eとは異なる点を除いて、ROM12dと同様である。以上、特筆した点を除いて、変形例2は、実施形態と同様である。
【0115】
変形例2によれば、離隔距離の長さと補正係数の低下の度合いとの関係を示すデータ(LUT12h、LUT12n)を保持する制御回路(空間処理演算部12A)は、「所定の調光用画素148と、所定の調光用画素148に対して調光パネル80の水平同期方向(X方向)又は垂直同期方向(Y方向)の一方に沿って並ぶ他の調光用画素148と、を含むライン」に含まれる調光用画素148の各々が光を透過させる度合いを決定する。また、当該ラインに含まれる調光用画素148の各々が光を透過させる度合いを示す一時的データ(暫定値)をメモリ(ラインメモリLM)に記憶する。また、当該メモリに記憶された当該一時的データに基づいて調光パネル80の水平同期方向又は垂直同期方向の他方に沿って並ぶ他の調光用画素148の各々が光を透過させる度合いを決定する。このように調光パネル80の水平同期方向又は垂直同期方向の一方と他方の処理に分けた2回の一次元的な処理を行うことで、その両方を一括して行う二次元的な処理に比して、処理を行う回路の負荷を低減できる。従って、制御回路の回路規模をより小さくしやすくなる。また、空間処理の重み分布のうち水平同期方向と垂直同期方向への分布がその他の方向(例えば、斜め方向)よりも相対的に高くなる。このため、近年採用されることが多い一般的な表示パネル30の視野角特性(例えば、図9図13を参照して説明したような視野角特性)に対して二重像の抑制と光暈の抑制においてより好ましい重み分布となる。
【0116】
(変形例3)
次に、実施形態の変形例3について、図17を参照して説明する。変形例3では、実施形態の信号処理部10が後述する信号処理部10Aに置換されている。
【0117】
図17は、変形例3における信号処理部10Aの機能構成例を示すブロック図である。信号処理部10Aは、信号処理部10が備える第1ガンマ変換部11、空間処理演算部12及び第2ガンマ変換部13に加えて、さらに解像度変換部14を備える。
【0118】
変形例3における解像度変換部14は、空間処理演算部12から出力された複数の調光用画素148の各々の調光階調値の組み合わせによるX-Y二次元空間の調光階調値の配列をモノクロ画像とみなし、当該モノクロ画像の解像度変換を行う。解像度変換部14による解像度変換後のモノクロ画像の解像度は、変形例3で採用される調光パネル80が有する複数の調光用画素148のX方向及びY方向の配置に対応する。言い換えれば、変形例3における複数の調光用画素148のX方向及びY方向の配置は、実施形態と異なり、画素48のX方向及びY方向の配置に対応しない。このため、解像度変換部14が解像度変換を行うことで、変形例3で採用される調光パネル80が有する複数の調光用画素148のX方向及びY方向の配置に対応した調光階調値のデータを生成する。変形例3の第2ガンマ変換部13は、入力される調光階調値のデータの数が解像度変換部14による解像度変換後のモノクロ画像の解像度に対応した数になる点を除いて、実施形態の第2ガンマ変換部13と同様である。
【0119】
解像度変換部14による解像度変換のアルゴリズムは、周知のアルゴリズムであってもよいし、専用に構築されたアルゴリズムであってもよい。周知のアルゴリズムとして、例えば、ニアレストネイバー法、バイリニア法等が挙げられるが、これらに限られるものでなく、他のアルゴリズムであってもよい。
【0120】
以上、特筆した点を除いて、変形例3は、実施形態と同様である。変形例3によれば、表示パネル30の解像度(画素48の数及び配置)に直接対応しない調光パネル80の調光解像度(調光用画素148の数及び配置)にもより高精度に対応できる。
【0121】
(変形例4)
次に、実施形態の変形例4について、図18を参照して説明する。変形例4では、実施形態の信号処理部10が後述する信号処理部10Bに置換されている。
【0122】
図18は、変形例4における信号処理部10Bの機能構成例を示すブロック図である。信号処理部10Bは、信号処理部10が備える第1ガンマ変換部11、空間処理演算部12及び第2ガンマ変換部13に加えて、さらに解像度変換部14を備えるという点で変形例3の信号処理部10Aと同様である。ただし、信号処理部10Bの解像度変換部14は、空間処理演算部12に入力される入力信号IPに基づいたフレーム画像の解像度変換を行うという点で、変形例3の信号処理部10Aが備える解像度変換部14と異なる。解像度変換後のフレーム画像の解像度は、変形例4で採用される調光パネル80が有する複数の調光用画素148のX方向及びY方向の配置に対応する。変形例4の空間処理演算部12は、解像度変換後のフレーム画像に基づいて調光階調値を決定する。
【0123】
以上、特筆した点を除いて、変形例4は、実施形態と同様である。変形例4によれば、表示パネル30の解像度(画素48の数及び配置)に直接対応しない調光パネル80の調光解像度(調光用画素148の数及び配置)にもより高精度に対応できる。さらに、解像度変換部14による解像度変換後のフレーム画像が解像度変換前のフレーム画像よりも低解像である場合、空間処理演算部12による処理前に解像度変換が行われることで空間処理演算部12による処理負荷をより低減できる。
【0124】
なお、調光用画素148は、複数の副画素49を備える構成でなくてもよい。具体的には、調光領域DA内に設けられる1つの副画素49が1つの調光用画素148として機能するようにしてもよい。その場合、調光領域DAに設けられる複数の副画素49の配置と、表示領域OAに設けられる複数の画素48の配置と、が対応する。
【0125】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0126】
1 表示装置
10 信号処理部
12 空間処理演算部
12e,12h,12n LUT
20 表示部
30 表示パネル
48 画素
49R 第1副画素
49G 第2副画素
49B 第3副画素
70 調光部
80 調光パネル
148 調光用画素
図1
図2
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