IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 谷 紳一の特許一覧

<>
  • 特許-マルチコプター 図1
  • 特許-マルチコプター 図2
  • 特許-マルチコプター 図3
  • 特許-マルチコプター 図4
  • 特許-マルチコプター 図5
  • 特許-マルチコプター 図6
  • 特許-マルチコプター 図7
  • 特許-マルチコプター 図8
  • 特許-マルチコプター 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】マルチコプター
(51)【国際特許分類】
   B64C 17/02 20060101AFI20240924BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240924BHJP
【FI】
B64C17/02
B64C27/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020192277
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081015
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】521332501
【氏名又は名称】谷 紳一
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100135839
【弁理士】
【氏名又は名称】大南 匡史
(72)【発明者】
【氏名】谷 紳一
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507814(JP,A)
【文献】特開2019-127245(JP,A)
【文献】中国実用新案第208179398(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105081558(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0145763(US,A1)
【文献】国際公開第2020/012996(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/166067(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0072954(US,A1)
【文献】中国実用新案第210258815(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 17/02
B64C 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に回転翼が複数取り付けられ、複数の前記回転翼を駆動して飛行するマルチコプターであって、
第一センサ部材を有し、
前記第一センサ部材の自重によって生じるモーメントを実質的に相殺するように配された重量体を有し、
前記第一センサ部材とは異なるセンサである第二センサ部材を有し、前記第二センサ部材が前記重量体となるものであり、
前記第一センサ部材と前記第二センサ部材は、風向、風速を検出する風向風速計であり、
第一回転翼と、前記第一回転翼とは逆回転する第二回転翼を有し、
前記第一回転翼の回転軸から水平方向に離れた位置に前記第一センサ部材が配されると共に、前記第二回転翼の回転軸から水平方向に離れた位置に前記第二センサ部材が配されており、
前記第一回転翼の回転軸から前記第一センサ部材までの距離と、前記第二回転翼の回転軸から前記第二センサ部材までの距離が同一又は略同一であることを特徴とするマルチコプター。
【請求項2】
前記第一センサ部材が取り付けられるセンサ用アーム部と、前記重量体が取り付けられる重量体用アーム部を有し、
前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部は、いずれも前記本体部の所定位置から側方外側に向かって片持ち状に延びており、前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部の自由端側の部分にそれぞれ前記第一センサ部材、前記重量体が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター。
【請求項3】
前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部は、それぞれが互いに離れる方向に延びており、平面視における前記本体部の重心位置から前記第一センサ部材の重心位置までの距離と、平面視における前記本体部の重心位置から前記重量体の重心位置までの距離とが同一又は略同一であることを特徴とする請求項2に記載のマルチコプター。
【請求項4】
前記センサ部材及び前記重量体は、いずれも前記回転翼から水平方向に離れた位置に少なくとも一部が配されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のマルチコプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に「ドローン」と称されるマルチコプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の回転翼(プロペラ)を有し、垂直離着陸するマルチコプターが知られている。マルチコプターは、当初、玩具として販売されたが、次第に高機能化し、航空写真の撮影や、物資の運搬等の業務用にも使用されつつある。また有人飛行が可能なマルチコプターも開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-129713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、マルチコプターを用いた気象観測が注目されている。このような気象観測を実際に行う場合、マルチコプターに測定器(センサ)を設け、風向、風速、日射量、気温、湿度等の気象関連のデータを上空で取得することとなる。
【0005】
このような気象観測では、正確に測定を行うという観点から、例えば悪天候下のような状況であっても、マルチコプターの姿勢を安定させた状態で飛行させる(ホバリングさせる)ことが好ましい。すなわち、様々な状況下で安定して飛行させることが好ましい。また、例えばプロペラの回転による風等、マルチコプターを飛行させることに伴う影響をなるべく排除して測定を行うことが好ましい。
しかしながら、従来のマルチコプターは、センサによるデータの取得(測定)を正確に行うという観点から改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、様々な状況下でセンサ部材によるデータの取得を正確に行うことが可能なマルチコプターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、本体部に回転翼が複数取り付けられ、複数の前記回転翼を駆動して飛行するマルチコプターであって、第一センサ部材を有し、前記第一センサ部材の自重によって生じるモーメントを実質的に相殺するように配された重量体を有し、前記第一センサ部材とは異なるセンサである第二センサ部材を有し、前記第二センサ部材が前記重量体となるものであり、前記第一センサ部材と前記第二センサ部材は、風向、風速を検出する風向風速計であり、第一回転翼と、前記第一回転翼とは逆回転する第二回転翼を有し、前記第一回転翼の回転軸から水平方向に離れた位置に前記第一センサ部材が配されると共に、前記第二回転翼の回転軸から水平方向に離れた位置に前記第二センサ部材が配されており、前記第一回転翼の回転軸から前記第一センサ部材までの距離と、前記第二回転翼の回転軸から前記第二センサ部材までの距離が同一又は略同一であることを特徴とするマルチコプターである。
【0008】
本様相によると、マルチコプターにセンサを取り付けても、飛行時にバランスが崩れ難い重量バランスの優れたものとすることができる。このため、様々な状況下で安定して飛行させることが可能であり、センサによるデータの取得を正確に行うことができる。
【0009】
上記した様相は、前記第一センサ部材が取り付けられるセンサ用アーム部と、前記重量体が取り付けられる重量体用アーム部を有し、前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部は、いずれも前記本体部の所定位置から側方外側に向かって片持ち状に延びており、前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部の自由端側の部分にそれぞれ前記第一センサ部材、前記重量体が取り付けられていることが好ましい。
【0010】
かかる様相によると、マルチコプターのうち、例えば、プロペラのような風を発生させる部材や、エンジンのような熱を発生させる部材から離れた位置に、容易にセンサ部材を配することができる。このことから、センサによるデータの取得をより正確に行うことができる。
【0011】
上記した好ましい様相は、前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部は、それぞれが互いに離れる方向に延びており、平面視における前記本体部の重心位置から前記第一センサ部材の重心位置までの距離と、平面視における前記本体部の重心位置から前記重量体の重心位置までの距離とが同一又は略同一であることがさらに好ましい。
【0012】
かかる様相によると、マルチコプターをより安定させて飛行させることが可能となる。
【0013】
本様相は、前記第一センサ部材は、風向、風速を検出する風向風速計である
【0014】
上記した様相のマルチコプターは、上空での風向、風速の測定に特に好適に採用できる。
【0015】
本様相は、前記第一センサ部材とは異なるセンサである第二センサ部材を有し、前記第二センサ部材が前記重量体となる。
【0016】
かかる様相によると、離れた二つの場所にそれぞれ配したセンサから情報の取得が可能となる。例えば、それぞれのセンサから取得した情報を比較する又は平均値を算出する等することで、より正確なデータの取得が可能となる。また、マルチコプターの重量バランスを向上させるために、センサの重量に合わせた錘部材を別途用意する必要がなく、製造が容易である。
【0017】
本様相は、第一回転翼と、前記第一回転翼とは逆回転する第二回転翼を有し、前記第一回転翼の回転軸から水平方向に離れた位置に前記第一センサ部材が配されると共に、前記第二回転翼の回転軸から水平方向に離れた位置に前記第二センサ部材が配されており、前記第一回転翼の回転軸から前記第一センサ部材までの距離と、前記第二回転翼の回転軸から前記第二センサ部材までの距離が同一又は略同一である。
【0018】
かかる様相によると、仮に、回転翼の回転で発生する風がセンサによるデータの取得に影響を及ぼした場合であっても、その影響を打ち消して無くす、又は実質的に無くすことが可能となる。
具体的に説明すると、上記様相では、第一回転翼から第一センサ部材までの距離と、第二回転翼から第二センサ部材までの距離を同一又は略同一としている。このため、仮に第一回転翼で発生する風の影響を第一センサ部材が受ける場合、第二センサ部材は、第一回転翼とは逆回転する第二回転翼で発生する風の影響を受ける蓋然性が高い。つまり、第一センサ部材と、第二センサ部材とがそれぞれ逆方向の風の影響を受ける蓋然性が高い。したがって、第一センサ部材が取得した値と、第二回転翼で発生する風の影響を受ける第二センサ部材が取得した値との平均をとる等することで、回転翼で発生する風の影響が実質的に反映されない正確な値を取得できる。
【0019】
上記した様相は、前記センサ部材及び前記重量体は、いずれも前記回転翼から水平方向に離れた位置に少なくとも一部が配されることが好ましい。
【0020】
かかる構成によると、回転翼の周辺で上下方向に流れる気流の影響を受けない位置で、センサ部材によるデータの取得が可能となる。
【0021】
また、本発明に関連する様相は、本体部に回転翼が複数取り付けられ、複数の前記回転翼を駆動して飛行するマルチコプターであって、第一センサ部材と、重量体とを有し、前記第一センサ部材が取り付けられるセンサ用アーム部と、前記重量体が取り付けられる重量体用アーム部を有し、前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部は、いずれも前記本体部の所定位置から側方外側に向かって片持ち状に延びており、前記センサ用アーム部と前記重量体用アーム部の自由端側の部分にそれぞれ前記第一センサ部材、前記重量体が取り付けられていることを特徴とするマルチコプターである。
【0022】
本様相によると、回転翼の回転によって発生する気流等の影響を受けにくい位置にセンサ部材を配することが可能となり、また、飛行時にバランスが崩れ難いものとすることができるので、センサによるデータの取得を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、様々な状況下でセンサ部材によるデータの取得を正確に行うことが可能なマルチコプターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るマルチコプターを示す斜視図である。
図2図1のマルチコプターを示す平面図であり、脚部を省略して示す。
図3図1のマルチコプターを示す側面図である。
図4】上記した実施形態とは異なる実施形態に係るマルチコプターを示す平面図であり、脚部を省略して示す。
図5】上記したそれぞれの実施形態とは異なる実施形態に係るマルチコプターを示す平面図であり、脚部を省略して示す図であって、(a)、(b)は、それぞれ異なるマルチコプターを示す。
図6】上記したそれぞれの実施形態とは異なる実施形態に係るマルチコプターを示す側面図であり、(a)、(b)は、それぞれ異なるマルチコプターを示す。
図7】上記したそれぞれの実施形態とは異なる実施形態に係るマルチコプターを示す平面図である。
図8】上記したそれぞれの実施形態とは異なる実施形態に係るマルチコプターを示す平面図であり、脚部を省略して示す図であって、(a)、(b)は、それぞれ異なるマルチコプターを示す。
図9】上記した各実施形態の回転翼とは異なる回転翼を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であり、本発明がこれらの例に限定されるものではない。また、上下の方向は、特に断りのない限り、図1の姿勢を基準に説明する。
【0026】
第1実施形態のマルチコプター1は、無線によって遠隔操作することが可能なものであり、図1で示されるように、本体部2と、複数の回転翼3を有している。そして、それぞれの回転翼3がモータによって回転する。なお、本実施形態では、6つの回転翼3を有するものとしているが、回転翼3は3以上であればよい。
【0027】
本体部2は、機器載置部10と、脚部11と、リブ部12を有する。
機器載置部10には、図示しない制御装置と、発電機と、蓄電池と、エンジンと、燃料タンクが搭載されている。そして、燃料タンクから燃料が供給されてエンジンが駆動し、エンジンが駆動することで、エンジンと一体化された発電機が電気を発生させる。発電機は、蓄電池に接続されており、飛行中に発電機で発電し、直接又は蓄電池を介して回転翼3を回転させるモータに給電を行うことができる。
つまり、本実施形態のマルチコプター1は、航続距離が長いエンジン搭載型のものである。また、制御装置は、マルチコプター1の飛行動作を制御する制御装置と、後述するセンサ部材20(第一センサ部材)を用いた測定動作を制御する制御装置を別途設けてもよい。
【0028】
すなわち、機器載置部10は、マルチコプター1(本体部2)の中心に位置し、動力を生成する機器を含む各種機器を載置する部分である。また、マルチコプター1の各部のうちで最も重量のある部分であり、機器載置部10の重量は、マルチコプター1の全体の重量の大半(例えば、50パーセント以上)を占める。
【0029】
脚部11は、マルチコプター1が着地する際に接地する部分であり、複数本の脚部材11aによって構成される。脚部材11aは、いずれも機器載置部10から下方に突出して延びた長尺状の部材である。
なお、本実施形態では4本の脚部材11aが等間隔に配置されたものとしたが、脚部材11aは3以上であればよく、その配置は、適宜、変更できる。例えば、脚部材11aは、リブ部12から下方に延びる部材であってもよい。また、後述するセンサ用アーム部21や重量体用アーム部23から下方に延びる部材であってもよい。
【0030】
リブ部12は、機器載置部10から放射状に外側に向かって片持ち状に延びる部材であり、回転翼3を支えるアーム部材となる。言い換えると、回転翼3は、リブ部12を介して機器載置部10に取り付けられる。このリブ部12は、機器載置部10とは別に成形され、機器載置部10に後付けで取り付けられる部材であり、斜め上方に延びている。
詳細には、リブ部12は、延び方向の基端側から順に固定部12aと、アーム部12bと、座部12cを有し、これらが一体的に成型されている。なお、リブ部12は、斜め上方に延びるものに限らず、水平に延びるものでもよく、斜め下方に延びるものでもよい。
【0031】
固定部12aは、機器載置部10と連結する部位であり、アーム部12bは、棒状に延びる部位であり、座部12cは、回転翼3及び回転翼3を駆動するモータを固定する部位である。座部12cは、アーム部12bに比べて大きく(平面視でより広がりを持つように)作られており、上面に平滑な取り付け面を有する。
特に限定されるものではないが、リブ部12は、基端側を回動自在に取り付け、例えば、先端側が上下方向に揺動可能なものとしてもよい。すなわち、回動による姿勢変更(回転翼3の配置変更)が可能なものとしてもよい。
【0032】
さらに、本実施形態のマルチコプター1は、特徴的な部分として、センサ部材20と、センサ部材20を配置するセンサ用アーム部21と、錘部材22(重量体)と、錘部材22を配置する重量体用アーム部23を有する。
【0033】
センサ部材20は、配置場所の風向と風速を測定可能なセンサであり、測定により取得したデータ(測定値)を外部機器に送信するデジタル出力が可能なものである。すなわち、地上の外部機器(コンピュータ等)に対して測定値を送信してもよく、マルチコプター1に搭載された制御装置に測定値を送信してもよい。また、制御装置に測定値を送信する場合、制御装置は、センサ部材20から送信された測定値を記憶可能なものとしてもよく、送信された測定値に基づく演算や、演算結果の記憶が可能なものとしてもよい。
本実施形態では、センサ部材20として、超音波式の風向風速計を採用している。特に限定されるものではないが、本実施形態のセンサ部材20は、可動部がなく、ヒータが付属したものであり、様々な環境での測定が可能な耐久性の高いものである。また、落雷の保護回路も有している。
【0034】
センサ用アーム部21は、機器載置部10から外側に向かって片持ち状に延びる部材であり、センサ部材20を支持する部材である。
具体的には、センサ用アーム部21は、基端側から取付部21a、アーム部21b、座部21cを有する。取付部21aは、機器載置部10と連結する部位となり、アーム部21bは、棒状に延びる部位であり、座部21cは、センサ部材20を固定する部位である。
【0035】
座部21cは、センサ部材20の下方で台座となる部分であり、アーム部21bに比べて平面的な広がりを有する部分であって、アーム部21bよりも幅方向の長さが長い。
なお、ここでいう「幅方向」は、平面視においてセンサ用アーム部21の長手方向と直交する方向である。
本実施形態では、センサ用アーム部21の長手方向における片側端部であり、自由端側の端部に座部21cが形成されている。
【0036】
錘部材22は、金属製の錘であり、本実施形態では、重量がセンサ部材20と同一又は略同一の重量となっている。なお、ここでいう「略同一」の「略」とは、数パーセントの誤差を含むものとし、以下も同様とする。なお、錘部材22は、塊状の部材であり、当然のことながら、センサとしての機能を有さない。
【0037】
重量体用アーム部23は、機器載置部10から外側に向かって片持ち状に延びる部材であり、錘部材22を支持する部材である。
重量体用アーム部23もまた、基端側から取付部23a、アーム部23b、座部23cを有する。重量体用アーム部23は、センサ用アーム部21と同一の部材であり、詳細な説明を省略する。すなわち、本実施形態のマルチコプター1では、センサ用アーム部21と重量体用アーム部23とが同一(又は略同一)の長さとなっている。
【0038】
そして、図2図3で示されるように、センサ用アーム部21と重量体用アーム部23は、水平方向において逆向きに延びている。すなわち、図2図3では、センサ用アーム部21は、左右方向であって右から左へ向かう方向に延びており、重量体用アーム部23は、その逆の左から右へ向かう方向に延びている。
【0039】
また、図2で示されるように、本実施形態のマルチコプター1は、平面視において、本体部2の重心G1からセンサ部材20の重心G2までの距離L1と、本体部2の重心G1から錘部材22の重心G3までの距離L2とが同一又は略同一となっている。
このことから、センサ部材20の自重によって生じるモーメントが、錘部材22の自重によって生じるモーメントによって相殺される。すなわち、錘部材22がカウンターウエイトとして機能し、マルチコプター1の重さがセンサ部材20側に偏ることがなく、マルチコプター1を重量バランスの優れたものとすることができる。結果、マルチコプター1の飛行時の姿勢を安定させることが可能となる。
【0040】
なお、センサ部材20の自重によって生じるモーメントと錘部材22の自重によって生じるモーメントは、厳密に均衡することが好ましいが、実質的に均衡していればよい。すなわち、センサ部材20の自重によって生じるモーメントを実質的に相殺できるように、錘部材22が配されていればよい。
なお、ここでいう「実質的に均衡する」とは、厳密に等しい場合に加え、マルチコプター1の飛行時の姿勢に影響が出ない程度に近い値となっていることをいう。
【0041】
本実施形態のセンサ部材20は、図2で示されるように、センサ部材20に最も近い位置に配された回転翼3a,3bの回転領域30よりも外側に離れた位置に配されている。
なお、ここでいう「回転領域」とは、平面視において、回転する回転翼3及び回転翼3の回転軌跡が収まる最小包含円であり、回転翼3の駆動領域でもある。
【0042】
より詳細には、回転翼3a,3bの回転領域30のうち、センサ用アーム部21の長さ方向(図2の左右方向)で最も外側に位置する点を点Pとしたとき、同長さ方向で点Pよりも外側となる位置にセンサ部材20が配されている。
さらに望ましくは、センサ部材20は、センサ部材20に最も近接する回転翼3aの回転領域30から所定距離L3だけ離れた位置に配置することが好ましい。この所定距離L3は、回転領域30の半径をRとしたとき、0.3R以上5R以下となる距離である。
【0043】
また、センサ部材20は、図3で示されるように、少なくとも一部が回転翼3から水平方向に離れた位置に配される。言い換えると、センサ部材20の少なくとも一部と、回転翼3の少なくとも一部とが同一平面上に位置するように配される。
【0044】
ここで、マルチコプター1が飛行するとき、図3の矢印で示されるように、回転翼3の上方と、回転翼3の回転領域30と、回転翼3の下方側に、上方から下方に向かう気流が形成される。なお、図3では、作図の都合上、一つの回転翼3(回転翼3b)の周辺の気流のみを矢印で示し、他の回転翼3の周辺の気流の描写を省略する。
本実施形態のマルチコプター1は、上記のようにセンサ部材20を設けることにより、マルチコプター1の飛行に伴って生じる気流の影響を受けることなく、センサ部材20による測定が可能となる。
【0045】
より詳細に説明すると、上記したように、マルチコプター1の飛行時に回転翼3が回転しても、この回転によって回転翼3から側方へ向かう気流(横向きの風)が形成されない(又は実質的に形成されない)こととなる。
したがって、センサ部材20の検知部(感知部)は、回転翼3から側方に離れた位置に配することが好ましい。具体的には、回転翼3の上端から下端までの領域を基準領域としたとき、センサ部材20の検知部は、基準領域から水平方向に離れた位置であり、且つ、上下方向で基準領域のやや上方からやや下方に至るまでの位置に配されることが好ましい。
なお、ここでいうセンサ部材20の検知部とは、センサ部材20のうち、検知対象(本実施形態では風)を検知する部分であり、例えば、向かい合うトランスデューサーの間に位置する空間部分である。
【0046】
なお、「基準領域のやや上方からやや下方に至るまでの位置」とは、上下方向で基準領域から所定距離L4だけ上方に離れた位置から、所定距離L4だけ下に離れた位置までの間である。また、所定距離L4は、0cmよりも大きく30cm以下となる距離である。図4の例では、回転翼3の下端から上下方向で所定距離L4だけ下方に離れた位置にセンサ部材20の検知部を配置しているが、回転翼3の上端から上下方向で所定距離L4だけ上方に離れた位置に配置してもよい。
ここで、回転翼3の周辺で上方から下方に向かう気流は、下方側が上方側に比べて強い気流となる。このため、センサ部材20の検知部は、気流の影響のない状態で正確に測定を行うという観点から、回転翼3の下方よりも回転翼3の上方に配することが好ましく、基準領域の側方に配することがさらに好ましい。
【0047】
続いて、本発明の他の実施形態に係るマルチコプターについて説明する。なお、上記した実施形態と同様の部分については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0048】
第2実施形態のマルチコプター101もまた、図4で示されるように、本体部2と、複数の回転翼103を有している。そして、本体部2は、上記と同様に、機器載置部10と、脚部11(図4では図示しない)と、リブ部112を有する。
【0049】
本実施形態のマルチコプター101は、リブ部112及び回転翼103の数が上記の実施形態と異なっており、それぞれ4つずつ設けられている。すなわち、4つのリブ部112として、第一リブ部112a、第二リブ部112b、第三リブ部112c、第四リブ部112dを有しており、これらがそれぞれ別の回転翼103を支持する。
リブ部112は、上記したリブ部12と同様のものであり、回転翼103を支えるアーム部材である。回転翼103もまた、上記した回転翼3と同様のものであり、モータによって回転する。
【0050】
また、本実施形態のマルチコプター101は、4つのセンサ部材120と、第一センサ用アーム部121a乃至第四センサ部材120dからなる4つのセンサ用アーム部121を有する。
センサ部材120は、上記したセンサ部材20と同様のものであり、超音波式の風向風速計である。そして、センサ用アーム部121は、上記したセンサ用アーム部21と同様のものであり、それぞれがセンサ部材120を支持するものである。
【0051】
4つのセンサ部材120のうち、2つのセンサ部材120は、図4で示されるように、対となる2つのセンサ用アーム部121である第一センサ用アーム部121aと、第二センサ用アーム部121bにそれぞれ支持されている。以下の説明では、2つのうちの一方である第一センサ用アーム部121aに支持されるセンサ部材120を第一センサ部材120aとし、他方である第二センサ用アーム部121bに支持されるセンサ部材120を第二センサ部材120bとする。
【0052】
同様に、他の2つのセンサ部材120もまた、他の2つのセンサ用アーム部121である第三センサ用アーム部121cと、第四センサ用アーム部121dに支持されている。第三センサ用アーム部121c、第四センサ用アーム部121dもまた、1対のセンサ用アーム部121である。つまり、本実施形態のマルチコプター101は、対となる2つのセンサ用アーム部121を2組(複数組)有する。
上記と同様に、以下の説明では、2つの一方である第三センサ用アーム部121cに支持されるセンサ部材120を第一センサ部材120aとし、他方である第四センサ用アーム部121dに支持されるセンサ部材120を第二センサ部材120bとする。すなわち、第一センサ部材120a、第二センサ部材120bは、対となる2つのセンサ用アーム部121にそれぞれ支持された対となるセンサ部材120である。
【0053】
対となる2つのセンサ部材120(第一センサ部材120a、第二センサ部材120b)は、同じセンサであり、同じ又は略同じ重さとなっている。
【0054】
また、対となる2つのセンサ用アーム部121は、平面視で互いに離れる方向(反対方向)に延びている。例えば、図4の例では、第一センサ用アーム部121aが機器載置部10から上方に延び、第二センサ用アーム部121bが機器載置部10から下方に延びるといった具合である。つまり、一方が上下方向の一方側から他方側に延び、他方が上下方向の他方側から一方側に延びている。
同様に、図4では、第三センサ用アーム部121cが右方に延び、第四センサ用アーム部121dが左方に延びている。つまり、一つが左右方向の一方側から他方側に延び、もう一つが左右方向の他方側から一方側に延びている。
【0055】
ここで、図4の上下方向を第一の方向とし、左右方向を第二の方向とする。このとき、1つの対となるセンサ用アーム部121(第一センサ用アーム部121a、第二センサ用アーム部121b)は、それぞれが第一の方向で互いに逆向きに延びる。
対して、他の対となるセンサ用アーム部121(第三センサ用アーム部121c、第四センサ用アーム部121d)は、それぞれが第二の方向で互いに逆向きに延びる。
つまり、1つの対となるセンサ用アーム部121では、それぞれのセンサ用アーム部121が平面視における所定方向(第一の方向)に沿って一方側から他方側、又は、他方側から一方側に延びる。そして、他の対となるセンサ用アーム部121では、それぞれが平面視で所定方向と交差する(直交する)方向に沿って互いに逆向きに延びる。
このように、対となる2つのセンサ用アーム部121毎にセンサ用アーム部121の延び方向が異なる。
【0056】
本実施形態では、第一センサ部材120aの自重によって生じるモーメントが、第二センサ部材120bの自重によって生じるモーメントによって相殺される。すなわち、第二センサ部材120bが、あたかも上記した実施形態の錘部材22のように機能する。
また、第二センサ部材120bの自重によって生じるモーメントは、第一センサ部材120aの自重によって生じるモーメントによって相殺される。すなわち、対となる2つのセンサ部材120は、一方の自重によって生じるモーメントが、他方の自重によって生じるモーメントに相殺されるように配されている。
このように、2つのセンサ部材120の一方を他方に対する錘部材22のように機能させる構造とすると、センサ部材120に合わせた重さ(例えば、同じ重さ)の錘部材22を形成することなく、マルチコプター101を重量バランスの優れたものにできる。つまり、マルチコプター101の製造時において、単に同じセンサ部材120を複数用意すればよく、所定の重量となる錘部材22を形成する必要がないため、製造が容易である。
【0057】
なお、本実施形態のマルチコプター101は、所定方向(図4の上下方向)と、所定方向と交差する方向(図4の左右方向)のそれぞれにおいて、バランスのとれたものとなっている。言い換えると、平面視における複数方向でバランスのとれたものとなっている。
【0058】
本実施形態では、平面視における所定方向で離れた位置に2つのセンサ部材120を配し、さらに、平面視で所定方向と交差する方向で離れた位置に2つのセンサ部材120を配している。このため、より精度の高い測定が可能となる。
詳細に説明すると、例えば、一つ一つが異なる位置にある複数のセンサ部材120からそれぞれ測定値を取得し、これらの平均値を測定値として採用することで、測定時の誤差を少なくすることができる。すなわち、複数のセンサ部材120のうち、一つのセンサ部材120が測定時に何等かの影響を受け、実際に取得されるべき値よりも大きい(小さい)値を測定値として取得してしまったとする。この場合、上記のように平均値を測定値として採用することで、この測定誤差の影響を小さくできる。
【0059】
また、例えば、4つのセンサ部材120のうち、1つのセンサ部材120が取得した値が他の3つで取得した値に比べて一定以上大きい、又は、一定以上小さい値であったとする。この場合、この一つのセンサ部材120が故障している、又は、この一つのセンサ部材120が測定時に何等かの影響を受けている可能性がある。この場合、他の3つのセンサ部材120のいずれかで取得した測定値、又は、他の3つのセンサ部材120の測定値に基づいて算出される値(例えば3つの値の平均値)を測定値として採用することで、正確な測定が可能となる。
【0060】
ここで、マルチコプター101の回転翼103は、飛行時に互いに逆回転する第一回転翼103aと第二回転翼103bによって構成されている。なお、特に限定されるものでないが、本実施形態では、第一回転翼103aを平面視で時計回りに回転する回転翼103としており、第二回転翼103bを平面視で反時計回りに回転する回転翼103としている。
【0061】
また、本実施形態の4つの回転翼103は、環状に間隔を空けて並ぶように配置され、並び方向で隣合う回転翼103が逆方向に回転するように配置されている。
図4の例では、右上の回転翼103が第一回転翼103aであり、右回りに、右下の第二回転翼103b、左下の第一回転翼103a、左上の第二回転翼103bの順で並んでいる。
【0062】
ここで、それぞれのセンサ部材120は、最も近接する位置にある第一回転翼103aまでの距離と、最も近接する位置にある第二回転翼103bまでの距離が同一又は略同一となっている。なお、ここでいう「センサ部材120から回転翼103までの距離」とは、センサ部材120の所定の部分(例えば中心)から回転翼103の回転軸までの距離とする。
【0063】
このため、仮にセンサ部材120が第一回転翼103aの回転によって生じる風の影響を受けるのであれば、逆回転する第二回転翼103bの回転によって生じる風の影響も受けることとなり、これらが相殺される。つまり、センサ部材120は、回転翼103の回転によって生じる風の影響を実質的に受けることなく、測定が可能となる。
【0064】
ここで、対となる第一センサ部材120aと第二センサ部材120bでは、第一センサ部材120aから最も近接する回転翼103までの距離と、第二センサ部材120bから最も近接する回転翼103までの距離とが同一又は略同一となっている。すなわち、上記したように、第一センサ部材120aから第一センサ部材120aと最も近接する第一回転翼103aまでの距離と、第一センサ部材120aから第一センサ部材120aと最も近接する第二回転翼103bまでの距離が同一又は同一である。そして、これらの距離は、第二センサ部材120bから第二センサ部材120bと最も近接する第一回転翼103aまでの距離と、第二センサ部材120bから第二センサ部材120bと最も近接する第二回転翼103bまでの距離のそれぞれとも同一又は略同一である。
【0065】
次に第3実施形態のマルチコプター201について説明する。
上記した実施形態では、リブ部12とセンサ用アーム部21を別途設けた例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図5(a)で示されるように、回転翼103を支持するアーム部材であるリブ部212を、センサ部材120を支持するアーム部材としても機能させる構成であってもよい。
本実施形態のリブ部212は、長さ方向の中途部分にセンサ部材120を配置する座部215が形成されている点において、上記したリブ部12とは異なる構造となっている。
【0066】
すなわち、センサ部材120は、必ずしも平面視で回転翼103の外側となる位置に配さなくてもよく、平面視で回転翼103の内側となる位置に配してもよい。すなわち、平面視で機器載置部10と回転翼103の間となる位置に配してもよい。
言い換えると、同じ支持部材(リブ部212)によって支持される回転翼103の内側であり、この回転翼103と機器載置部10の間に配置してもよい。
【0067】
本実施形態のマルチコプター201は、対となる2つのリブ部212として、第一リブ部212aと第二リブ部212bを有する。第一リブ部212aと第二リブ部212bは、平面視において互いに逆側に延びる部分となっている。
そして、第一リブ部212aと第二リブ部212bのそれぞれに、第一センサ部材120aと第二センサ部材120bが取り付けられている。また、平面視において、本体部(機器載置部10)の重心G1から第一センサ部材120aまでの距離と、重心G1から第二センサ部材120bまでの距離が同一又は略同一となっている。
【0068】
ここで、本実施形態では、第一リブ部212aに支持される回転翼103が第一回転翼103aであり、第二リブ部212bに支持される回転翼103が第二回転翼103bとなっている。したがって、上記した実施形態とは異なり、一つのセンサ部材120に最も近接する位置に配される回転翼103は、複数(2つ)ではなく、1つとなっている。そして、第一センサ部材120aに最も近接する位置にある回転翼103が第一回転翼103aとなっており、第二センサ部材120bに最も近接する位置にある回転翼103が第二回転翼103bとなっている。またさらに、第一センサ部材120aから最も近接する位置にある第一回転翼103aまでの距離と、第二センサ部材120bから最も近接する位置にある第二回転翼103bまでの距離とが同一又は略同一となっている。
【0069】
このため、仮に第一センサ部材120aが第一回転翼103aの回転によって生じる風の影響を受けるのであれば、第二センサ部材120bは、逆回転する第二回転翼103bの回転によって生じる風の影響を受けることとなる。このため、第一センサ部材120aの測定値と、第二センサ部材120bの測定値の平均をとる等することで、回転翼103の回転によって生じる風の影響を実質的に受けることなく、測定が可能となる
【0070】
次に第4実施形態のマルチコプター301について説明する。
上記した実施形態では、センサ用アーム部121が機器載置部10から延設される例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図5(b)で示されるように、センサ用アーム部121は、回転翼103を支持するリブ部12の先端部分から外側に向かって延設されてもよい。なお、本実施形態では、センサ用アーム部121と、センサ用アーム部121の基端側と連続するリブ部12とが、平面視において直線状に延びている。また、対となる2つのセンサ用アーム部121は、平面視において、間に機器載置部10と2つのリブ部12を挟んで両側に配され、互いに逆向きに延びている。
さらにまた、本実施形態も、平面視で、第一センサ部材120aから最も近接する回転翼103(第一回転翼103a)までの距離と、第二センサ部材120bから最も近接する回転翼103(第二回転翼103b)までの距離とが同一又は略同一である。
【0071】
次に、第5実施形態及び第6実施形態のマルチコプター401,501について説明する。上記した各実施形態では、センサ用アーム部21が直線状に延びている例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図6で示されるように、センサ用アーム部421,521は、一部に屈曲部分を有し、屈曲しつつ延びるものであってもよい。同様に、一部に湾曲部分を有し、適宜湾曲しつつ延びるもの(図示しない)であってもよい。
【0072】
また、第5実施形態のマルチコプター401のように、センサ用アーム部421の先端側が基端側よりも上方に位置していてもよい。すなわち、センサ部材20の一部がいずれかの回転翼3から水平方向に離れた位置に配されたものに限らず、センサ部材20の全体が、いずれの回転翼3よりも高位置に配されていてもよい。つまり、センサ部材20は、回転翼3から水平方向に離れ、且つ、上方に離れた位置に配されていてもよい。
同様に、第6実施形態のマルチコプター501のように、センサ用アーム部521の先端側が基端側よりも下方に位置していてもよい。すなわち、センサ部材20の全体が、いずれの回転翼3よりも低位置に配されていてもよい。つまり、センサ部材20は、回転翼3から水平方向に離れ、且つ、下方に離れた位置に配されていてもよい。
【0073】
次に、第7実施形態のマルチコプター601について説明する。上記した実施形態では、対となる2つのセンサ用アーム部21や、対となるセンサ用アーム部21及び重量体用アーム部23を同一又は略同一の長さとした例について説明した。また、対応するセンサ部材20と錘部材22を同一又は略同一の重量とした例について説明した。さらに、対となる第一センサ部材120aと第二センサ部材120bを同一又は略同一の重量とした例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
【0074】
例えば、図7で示されるように、対となるセンサ用アーム部621と重量体用アーム部623の長さが異なっていてもよい。同様に、センサ部材20と錘部材622(重量体)の重さが異なっていてもよい。本実施形態では、センサ用アーム部621が重量体用アーム部623と比べて長くなっている。すなわち、センサ用アーム部621の水平方向への張り出し長さがより長くなっており、本体部2の重心G1からセンサ部材20までの距離が、本体部2の重心G1から錘部材622のまでの距離よりも長くなっている。そして、錘部材622がセンサ部材20より重くなっている。
【0075】
すなわち、対となる一つのセンサ部材20と一つの重量体(他のセンサ部材や錘部材)とは、それぞれの自重によって生じるモーメントが実質的に相殺されればよい。したがって、図7とは逆に、錘部材622がセンサ部材20より軽くてもよく、センサ用アーム部621が重量体用アーム部623よりも短くてもよい。
つまり、対となるセンサ部材及び重量体と、これらをそれぞれ支持する支持部材(センサ用アーム部、重量体用アーム部)とは、飛行時の姿勢に実質的に影響を及ぼさないように設けられればよい。なお、錘部材622をセンサ部材20より重くすると、マルチコプター601の総重量(全体重量)が重くなってしまう可能性がある。すなわち、マルチコプター601の総重量がなるべく軽くなるように、モーメントを実質的に相殺することが好ましい。
【0076】
次に、第8実施形態、第9実施形態のマルチコプター701、801について説明する。上記した実施形態では、対となる(対応付けられた)センサ部材及び重量体のそれぞれの数を同数とした例(一対一で対応させた例)について説明した。また、それらを支持する支持部材の数を同数とした例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
【0077】
例えば、図8(a)で示される第8実施形態のマルチコプター701のように、一つのセンサ部材20に対応する重量体(錘部材722)が複数であってもよい。また、複数の重量体は、図8(a)のように複数(図8では2つ)の錘部材722であってもよく、複数のセンサ部材であってもよく(図示しない)、センサ部材と錘部材が混在していてもよい(図示しない)。つまり、複数の重量体に属するそれぞれの重量体は、センサ部材、錘部材のいずれかであればよい。
このとき、センサ部材20を支持するセンサ用アーム部721に対応する支持部材は、複数の重量体用アーム部723となる。
【0078】
この他、例えば、図8(b)で示されるように、一つの支持部材(重量体用アーム部823)に複数の重量体(錘部材722)を取り付けてもよい。すなわち、一つの支持部材に取り付けられるセンサ部材や重量体は、複数であってもよい。
【0079】
さらに、平面視における一方側(例えば、図8(a)の左側)に複数のセンサ部材20を配し、その逆側(例えば、図8(a)の右側)に複数の重量体を配してもよい。この他、平面視における一方側に複数のセンサ部材20を配し、その逆側に一つの重量体を配してもよい。
【0080】
また、重量体は、錘部材に限らず、重量体用アーム部の一部であってもよい。例えば、先端側に塊状の部分を有する重量体用アーム部を形成し、重量体用アーム部の先端側の一部を重量体としてもよい。重量体と重量体用アーム部は一体(一体不可分)であってもよい。この他、重量体は、バッテリー等のマルチコプターを動作させるための部材や、マルチコプターの本体部の一部(例えばリブ部等の一部)であってもよい。
【0081】
また、本発明のマルチコプターの回転翼には、上記した各実施形態のように一つのプロペラからなる回転翼3,103を採用する他、図9で示されるように、二重反転プロペラと称されるプロペラ(所謂コアキシャル型のプロペラ)からなる回転翼203を採用してもよい。すなわち、回転翼203は、2つのプロペラを同軸に配置し、各プロペラを相互に逆方向に回転させるものである。
【符号の説明】
【0082】
1,101,201,301,401,501,601,701,801 マルチコプター
2 本体部
3,103,203 回転翼
20 センサ部材(第一センサ部材)
21,121,421,521,621,721 センサ用アーム部
22,622,722 錘部材(重量体)
23,623,723,823 重量体用アーム部
103a 第一回転翼
103b 第二回転翼
120 センサ部材
120a 第一センサ部材
120b 第二センサ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9