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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20240924BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20240924BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
F25D17/08 303
F25D21/14 F
F24F13/22 222
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020193680
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082234
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】阪上 亮輔
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031165(JP,A)
【文献】実開昭58-110782(JP,U)
【文献】実開昭48-031663(JP,U)
【文献】実公昭50-004302(JP,Y1)
【文献】特開2002-250581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F25D 21/14
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫であって、
冷却室の壁面の少なくとも一部を規定するダクト部品と、
前記冷却室に配置され、冷媒が供給される冷却器と、
前記冷却器の側方で、前記冷却器と前記ダクト部品との間に配置され、前記冷媒が供給されない構造体と、
前記冷却器よりも上方または下方の位置で前記冷却器と前記ダクト部品との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐシール部材と、
を備え、
前記冷却器は、前記冷媒が流れるパイプと、複数のフィンと、前記複数のフィンの側方に配置されて鉛直方向に延びた端板とを有し、
前記端板は、前記パイプが通る貫通孔を有し、
前記シール部材は、前記冷蔵庫の奥行方向において前記端板のなかで前記貫通孔よりも前側の領域に固定される固定部と、前記冷蔵庫の奥行方向において前記固定部から前記貫通孔よりも後側の位置まで延びるとともに、前記固定部によって前記端板に固定された遮風部とを有する、
冷蔵庫。
【請求項2】
冷蔵庫であって、
冷却室の壁面の少なくとも一部を規定するダクト部品と、
前記冷却室に配置され、冷媒が供給される冷却器と、
前記冷却器の側方で、前記冷却器と前記ダクト部品との間に配置され、前記冷媒が供給されない構造体と、
前記冷却器よりも上方または下方の位置で前記冷却器と前記ダクト部品との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐシール部材と、
を備え、
前記冷却器は、複数のフィンと、前記複数のフィンの側方に配置されて鉛直方向に延びた端板とを有し、
前記構造体は、前記冷却室内にヒューズ部品を固定するヒューズ固定具であり、
前記ヒューズ固定具は、前記端板の固定される固定部を有し、
前記シール部材は、前記冷蔵庫の奥行方向において前記端板のなかで前記ヒューズ固定具の前記固定部が取り付けられる位置よりも前側の領域に固定される固定部と、前記冷蔵庫の奥行方向において当該シール部材の前記固定部から前記ヒューズ固定具の前記固定部よりも後側の位置まで延びるとともに、当該シール部材の前記固定部によって前記端板に固定された遮風部とを有する、
冷蔵庫。
【請求項3】
前記ダクト部品は、前記冷却器よりも上方に、前記冷蔵庫の幅方向で前記冷蔵庫の中心側に膨出した膨出部を有し、
前記シール部材は、前記冷却器と前記膨出部との間に延びている、
請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記シール部材の前記固定部は、前記端板の上端部または下端部を挟持する挟持部である
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
冷蔵庫であって、
冷却室の壁面の少なくとも一部を規定するダクト部品と、
前記冷却室に配置され、冷媒が供給される冷却器と、
前記冷却器の側方で、前記冷却器と前記ダクト部品との間に配置され、前記冷媒が供給されない構造体と、
前記冷却器よりも上方または下方の位置で前記冷却器と前記ダクト部品との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐシール部材と、
を備え、
前記冷却器は、前記冷媒が流れるパイプと、複数のフィンと、前記複数のフィンの側方に位置し前記パイプが固定された端板とを含み、
前記シール部材は、前記端板の上端部または下端部を挟持する挟持部を有し、
前記挟持部は、前記端板が挿入される挿入空間と、前記冷蔵庫の幅方向および鉛直方向で前記挿入空間を3方向から囲む第1部分、第2部分、および第3部分を有し、
前記冷蔵庫の奥行方向における前記第1部分、前記第2部分、および前記第3部分のうち少なくとも1つの端面は、前記冷蔵庫の幅方向に対して、前記挿入空間に近付くに従い前記挿入空間の内部に向けて傾いた傾斜部を有する、
蔵庫。
【請求項6】
冷蔵庫であって、
冷却室の壁面の少なくとも一部を規定するダクト部品と、
前記冷却室に配置され、冷媒が供給される冷却器と、
前記冷却器の側方で、前記冷却器と前記ダクト部品との間に配置され、前記冷媒が供給されない構造体と、
前記冷却器よりも上方または下方の位置で前記冷却器と前記ダクト部品との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐシール部材と、
を備え、
前記冷却器は、前記冷媒が流れるパイプと、複数のフィンと、前記複数のフィンの側方に位置し前記パイプが固定された端板とを含み、
前記シール部材は、前記端板の上端部または下端部を挟持する挟持部を有し、
前記挟持部は、前記端板が挿入される挿入空間と、前記冷蔵庫の幅方向および鉛直方向で前記挿入空間を3方向から囲む第1部分、第2部分、および第3部分と、前記冷蔵庫の奥行方向で前記端板に当接する第4部分とを含む、
蔵庫。
【請求項7】
冷蔵庫であって、
冷却室の壁面の少なくとも一部を規定するダクト部品と、
前記冷却室に配置され、冷媒が供給される冷却器と、
前記冷却器の側方で、前記冷却器と前記ダクト部品との間に配置され、前記冷媒が供給されない構造体と、
前記冷却器よりも上方または下方の位置で前記冷却器と前記ダクト部品との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐシール部材と、
を備え、
前記ダクト部品は、前記冷蔵庫の奥行方向で、前記冷却器の後方に位置した第1ダクト部品と、前記冷却器の前方に位置した第2ダクト部品とを含み、
前記シール部材は、前記冷却器、前記第1ダクト部品、または前記第2ダクト部品とのうち2つ以上の部品により、前記冷蔵庫の奥行方向の位置が規制される、
蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却器の側方に配置され、冷却器と冷却室の壁面との間の隙間を塞ぐシール部材を備えた冷蔵庫が知られている。ただし、冷却器の側方に構造物が存在する場合、シール部材を設けることができず、冷却性能の向上を図りにくい場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-166788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷却性能の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、ダクト部品と、冷却器と、構造体と、シール部材とを持つ。前記ダクト部品は、冷却室の壁面の少なくとも一部を規定する。前記冷却器は、前記冷却室に配置され、冷媒が供給される。前記構造体は、前記冷却器の側方で、前記冷却器と前記ダクト部品との間に配置され、前記冷媒が供給されない。前記シール部材は、前記冷却器よりも上方または下方の位置で前記冷却器と前記ダクト部品との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐ。前記冷却器は、前記冷媒が流れるパイプと、複数のフィンと、前記複数のフィンの側方に配置されて鉛直方向に延びた端板とを有する。前記端板は、前記パイプが通る貫通孔を有する。前記シール部材は、前記冷蔵庫の奥行方向において前記端板のなかで前記貫通孔よりも前側の領域に固定される固定部と、前記冷蔵庫の奥行方向において前記固定部から前記貫通孔よりも後側の位置まで延びるとともに、前記固定部によって前記端板に固定された遮風部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の冷蔵庫を示す正面図。
図2図1中に示された冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
図3図2中に示された冷蔵庫のF3-F3線に沿う断面図。
図4図3中に示された冷蔵庫のF4-F4線に沿う断面図。
図5図3中に示された冷却室のF5線で囲まれた部分を示す断面図。
図6】実施形態のシール部材を示す斜視図。
図7】実施形態の冷却器に対する取り付け前のシール部材を示す斜視図。
図8】実施形態の冷却器に対する取り付け後のシール部材を示す斜視図。
図9】実施形態のシール部材を斜め下方から見た角度で示す斜視図。
図10図3中に示された冷却器とシール部材のF10-F10線に沿う断面図。
図11】実施形態の第1変形例のシール部材を示す断面図。
図12】実施形態の第2変形例のシール部材を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書で「冷蔵庫の幅方向」とは、冷蔵庫の左右方向を意味する。本明細書で「冷蔵庫の奥行方向」とは、冷蔵庫の前後方向を意味する。
【0008】
(実施形態)
[1.冷蔵庫の全体構成]
図1から図10を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。
【0009】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。冷蔵庫1は、例えば、筐体10と、複数の扉20とを備えている。
【0010】
筐体10は、上壁10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10e(図2参照)を有する。上壁10aおよび下壁10bは、略水平に延びている。左右の側壁10c,10dは、下壁10bの左右の端部から上方に起立し、上壁10aの左右の端部に繋がっている。後壁10eは、下壁10bの後端部から上方に起立し、上壁10aの後端部に繋がっている。筐体10は、筐体10の内面を形成する内箱10iと、内箱10iの外側に位置して筐体10の外面を形成する外箱10jと、内箱10iと外箱10jとの間に設けられた発泡ウレタンのような発泡断熱材10kとを含み、断熱性を有する(図2参照)。
【0011】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室11が設けられている。複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11A、チルド室11Aa、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室11Aが配置され、冷蔵室11Aの下方に野菜室11Bが配置され、野菜室11Bの下方に製氷室11Cおよび小冷凍室11Dが配置され、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dの下方に主冷凍室11Eが配置されている。ただし、貯蔵室11の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室11の前面側に、各貯蔵室11に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0012】
筐体10は、第1および第2の仕切部15,16を有する(図2参照)。第1および第2の仕切部15,16は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部15は、冷蔵室11Aと野菜室11Bとの間に位置し、冷蔵室11Aと野菜室11Bとの間を仕切っている。一方で、第2仕切部16は、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間に位置し、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間を仕切っている。
【0013】
複数の貯蔵室11は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、野菜室11Bの開口を閉じる野菜室扉20B、製氷室11Cの開口を閉じる製氷室扉20C、小冷凍室11Dの開口を閉じる小冷凍室扉20D、および主冷凍室11Eの開口を閉じる主冷凍室扉20Eを含む。
【0014】
図2は、図1中に示された冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。冷蔵庫1は、例えば、複数の棚31、複数の容器35、流路形成部品40、冷却ユニット50、および制御装置60を備えている。複数の棚31は、冷蔵室11Aに配置されている。複数の容器35は、チルド室11Aa、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eに分かれて配置されている。
【0015】
流路形成部品40は、冷蔵室ダクト部品41と、冷凍室ダクト部品42とを含む。冷蔵室ダクト部品41は、筐体10の後壁10eに沿って設けられ、鉛直方向に延びている。冷蔵室ダクト部品41は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路である冷蔵室ダクト空間D1を形成している。冷蔵室ダクト空間D1は、後述する冷却器52が配置されて空気を冷却する冷却室D1aを含む。冷蔵室ダクト部品41は、冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaに開口した冷気吹出口41aと、野菜室11Bに開口した冷気戻り口41bとを有する。
【0016】
同様に、冷凍室ダクト部品42は、筐体10の後壁10eに沿って設けられ、鉛直方向に延びている。冷凍室ダクト部品42は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路である冷凍室ダクト空間D2を形成している。冷凍室ダクト空間D2は、後述する冷却器54が配置されて空気を冷却する冷却室D2aを含む。冷凍室ダクト部品42は、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eの上部に開口した冷気吹出口42aと、主冷凍室11Eの下部に開口した冷気戻り口42bを有する。
【0017】
冷却ユニット50は、例えば、圧縮器51、冷却器52、ファン53、冷却器54、およびファン55を含む。冷却器52は、冷蔵室ダクト空間D1の冷却室D1aに配置されている。冷却器52は、圧縮器51により圧縮された冷媒が供給され、冷却室D1aを流れる冷気を冷却する。ファン53は、冷蔵室ダクト空間D1に配置されている。ファン53が駆動されると、冷却器52により冷却された冷気が冷気吹出口41aから冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaに供給される。冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaに供給された冷気は、野菜室11Bを通り、冷気戻り口41bから冷蔵室ダクト空間D1に戻る。
【0018】
冷却器54は、冷凍室ダクト空間D2の冷却室D2aに配置されている。冷却器54は、圧縮器51により圧縮された冷媒が供給され、冷却室D2aを流れる冷気を冷却する。ファン55は、冷凍室ダクト空間D2に配置されている。ファン55が駆動されると、冷却器54により冷却された冷気が冷気吹出口42aから製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eに供給される。製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eに供給された冷気は、主冷凍室11Eを通り、冷気戻り口42bから冷凍室ダクト空間D2に戻る。
【0019】
制御装置60は、回路基板61と、回路基板に実装された電子部品62とを有する。制御装置60は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御装置60は、上述した圧縮器51、ファン53、およびファン55の動作などを制御する。
【0020】
[2.冷凍用冷却室に関する構成]
[2.1 ダクト部品]
図3は、図2中に示された冷蔵庫1のF3-F3線に沿う断面図である。図3では、冷凍室ダクト空間D2を分かりやすくするため、冷凍室ダクト空間D2ではない部分にハッチングを施している。以下では説明の便宜上、「冷凍室ダクト部品42」を「ダクト部品42」と称し、「冷凍室ダクト空間D2」を「ダクト空間D2」と称する。
【0021】
ダクト部品42は、例えば、背面カバー71、底面カバー72、および前面カバー73(図4参照)を含む。背面カバー71は、冷却器54の後方に配置され、ダクト空間D2の背壁面(冷却室D2aの背壁面)の少なくとも一部を形成している。なお、背面カバー71の全部または一部は、筐体10とは別部品で形成されることに代えて、筐体10の内箱10iの一部によって形成されてもよい。本実施形態では、背面カバー71の左領域R1は、筐体10に取り付けられたカバー部品71Aによって形成されている。一方で、背面カバー71の右領域R2は、筐体10の内箱10iによって形成されている。
【0022】
本実施形態では、背面カバー71は、冷蔵庫1の後方に向けて窪んだ窪み71rを有する。背面カバー71と前面カバー73とが合わされることで、背面カバー71の窪み71rと前面カバー73との間に形成される空間がダクト空間D2となる。本実施形態では、ダクト空間D2のなかで、冷却器54の周囲に位置する空間を「冷却室D2a」と称している。ダクト部品42は、冷却器54の第1側方(左方)に位置する第1側壁部71aと、冷却器54の第2側方(右方)に位置する第2側壁部71bとを含む。背面カバー71は、「第1ダクト部品」の一例である。
【0023】
底面カバー72は、冷却器54の下方に配置され、ダクト空間D2の一部の底壁面(冷却室D2aの底壁面)の少なくとも一部を形成している。
【0024】
図4は、図3中に示された冷蔵庫1のF4-F4線に沿う断面図である。
前面カバー73は、冷却器54の前方に配置され、ダクト空間D2の前壁面(冷却室D2aの前壁面)の少なくとも一部を形成している。前面カバー73は、第1ダクト空間D2の前壁面を規定する第1部材73aと、冷蔵庫1の貯蔵室11(製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11E)の内面を規定する第2部材73bと、第1部材73aと第2部材73bとの間に設けられた断熱部材73cとを有する。前面カバー73は、冷却器54の下部に対応する高さ位置に、冷気戻り口42bを有する。また、前面カバー73は、冷却器54よりも上方の高さ位置に、冷却器54を通過した冷気が冷気吹出口42aに向けて通る内部通気口73dを有する。前面カバー73は、「第2ダクト部品」の一例である。
【0025】
本実施形態では、ファン55は、ダクト空間D2のなかで、冷却器54よりも上方に位置する。冷気戻り口42bからダクト空間D2に戻った空気は、冷却器54を下方から上方に向けて通過し、この過程で空気は冷却器54によって冷却される。冷却器54を通過して冷却された空気は、ファン55によって内部通気口73dから冷気吹出口42aに送られ、冷気吹出口42aから貯蔵室11(製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11E)に供給される。
【0026】
なお、本明細書でいう「ダクト部品」とは、筒状の部品に限定されず、風路を規定する部品を広く意味する。本明細書で「壁面」とは、平面状の壁面に限定されず、ボスや挿通穴などが設けられて凹凸が存在する壁面も含み得る。
【0027】
[2.2 冷却器]
冷却器54は、圧縮器51とともに冷凍サイクル装置を構成する部品である。冷却器54は、圧縮器51から冷媒が供給され、供給された冷媒の少なくとも一部が冷却器54内で蒸発することで冷却室D2aを通る空気を冷却する蒸発器(エバポレータ)である。
【0028】
図3に示すように、冷却器54は、冷却室D2aに配置されている。冷却器54は、例えば、冷却パイプ81、複数のフィン82、第1端板83、および第2端板84を有する。冷却パイプ81は、水平方向に延びるとともに、冷却器54の左右の端部で折り返されることで、冷却器54の左右の端部の間を複数回に亘り往復しながら延びている。言い換えると、冷却パイプ81は、水平方向に延びた複数の直線部81aと、冷却器54の左端部または右端部で複数の直線部81aのうち隣り合う2つの直線部81aを繋げる複数の折返部81bとを有する。各直線部81aには、複数のフィン82が取り付けられている。複数のフィン82の各々は、鉛直方向および冷蔵庫1の前後方向に沿う板状である。
【0029】
冷却パイプ81の第1端部81c(上流側端部)は、キャピラリチューブ、三方弁、ドライヤ、および凝縮器を介して、圧縮器51の冷媒吐出口に接続されている。一方で、冷却パイプ81の第2端部81d(下流側端部)は、後述するアキュムレータ92、およびサクションパイプを介して圧縮器51の冷媒戻り口に接続されている。
【0030】
第1端板83は、冷却器54の左端部に設けられ、複数のフィン82に対して第1側方(左方)に配置されている。第2端板84は、冷却器54の右端部に設けられ、複数のフィン82に対して第2側方(右方)に配置されている。第1端板83および第2端板84の各々は、冷却パイプ81の直線部81aが通される貫通孔83a(図4参照)を有するとともに、直線部81aが固定されている。すなわち、冷却パイプ81の折返部81bは、第1端板83よりも左方または第2端板84よりも右方の位置で折り返されている。第1端板83および第2端板84の各々は、鉛直方向および冷蔵庫1の前後方向に沿う板状である。第1端板83および第2端板84の各々は、個々のフィン82よりも面積が大きく、且つ、個々のフィン82よりも厚い。
【0031】
図4に示すように、冷却パイプ81の複数の直線部81aは、鉛直方向で複数段(例えば4段)に分かれて配置されている。本実施形態では、複数の直線部81aは、最上段に配置された2本の直線部81a、上から2段目に配置された3本の直線部81a、上から3段目に配置された3本の直線部81a、および最下段に配置された3本の直線部81aを含む。
【0032】
ここで、最上段の2本の直線部81aを1つの纏まりと見做した場合、この2本の直線部81aの前後方向の中央C1は、第1端板83の前後方向の中央C2よりも後方にずれて配置されている。これは、冷却器54の下端部の前側から冷却器54に向けて流れる空気は、冷却器54の内部を斜め上方の後方に向けて流れ、冷却器54を通過するためである。これにより、冷却器54の上部の前端部には、後述するシール部材97を取り付け可能な比較的広い領域RFが設けられている。
【0033】
[2.3 冷却器に関連するその他の構成]
次に、図3に戻り、冷却器54に関連するその他の構成について説明する。冷蔵庫1は、上述した構成に加え、除霜水受け91、アキュムレータ92、パイプヒータ93、パイプヒータ93の束線94(パイプヒータ93の電気配線)、ヒューズ部品95、ヒューズ固定具96、第1シール部材97、および第2シール部材98を備える。ここでは、除霜水受け91、パイプヒータ93、および第2シール部材98について先に説明し、続いて残りの構成について説明する。
【0034】
除霜水受け91は、冷却器54の下方に配置されている。除霜水受け91は、平たい椀状に形成されており、冷却器54の除霜時に冷却器54で溶けた水を回収する。除霜水受け91により回収された水は、排水樋を介して蒸発皿に送られる。
【0035】
パイプヒータ93は、冷却器54に固定され、冷却器54の除霜時に冷却器54を加熱する加熱装置である。例えば、パイプヒータ93は、第1端板83および第2端板84に固定されたパイプと、パイプの内部に設けられた伝熱線とを有する。パイプヒータ93は、「ヒータ」の一例である。
【0036】
本実施形態では、パイプヒータ93は、水平方向に延びるとともに、冷却器54の左右の端部で折り返されることで、冷却器54の左右の端部の間を複数回に亘り往復しながら延びている。言い換えると、パイプヒータ93は、水平方向に延びた複数の直線部93aと、冷却器54の左端部または右端部で、複数の直線部93aのうち隣り合う2つの直線部93aを繋げる複数の折返部93bとを有する。複数の直線部93aは、第1端板83の前端部、後端部、および下端部に分かれて配置されている(図4参照)。すなわち、パイプヒータ93の鉛直方向の中心C3は、冷却器54の鉛直方向の中心(例えば、第1端板83の鉛直方向の中心C4)よりも下方に位置する(図4参照)。パイプヒータ93の折返部93bは、第1端板83よりも左方または第2端板84よりも右方の位置で折り返されている。
【0037】
第2シール部材98は、冷却器54の第2側方(右方)に配置され、冷却器54とダクト部品42の第2側壁部71bとの間に位置する。第2シール部材98は、発泡断熱部品(例えば、EPS(Expanded Polystyrene)などの発泡スチロール)にアルミテープを貼り付けたブロック部品である。第2シール部材98は、例えば、冷却器54の冷却パイプ81の複数の直線部81a(または複数の折返部81b)の間に挟まれることで位置が固定される。第2シール部材98は、冷却器54の第2側方(右方)において、冷却器54とダクト部品42との間の隙間S2の少なくとも一部を塞ぐ。ただし、第2シール部材98は、上記例に代えて、後述する第1シール部材97と同じ構成を有してもよい。
【0038】
図5は、図3中に示された冷却室D2aのF5線で囲まれた部分を示す断面図である。
アキュムレータ92は、上述したように、冷却パイプ81の第2端部81dに接続されている。アキュムレータ92は、冷却器54の第1側方(左方)で、冷却器54とダクト部品42の第1側壁部71aとの間に配置されている。アキュムレータ92の鉛直方向の中心C5は、冷却器54の鉛直方向の中心(例えば、第1端板83の鉛直方向の中心C4)に対して上方にずれて位置する。アキュムレータ92の一部は、冷却器54の上端部(例えば、第1端板83の上端部または最上段のフィン82の上端部)よりも上方に位置する。
【0039】
パイプヒータ93の端部93cは、パイプヒータ93の折返部93bと比べて、冷却器54の第1側方(左方)に大きく突出している。パイプヒータ93の端部93cは、例えば水平方向に対して傾斜して延びている。パイプヒータ93の端部93cは、冷却器54の第1側方で、冷却器54とダクト部品42の第1側壁部71aとの間に配置されている。
【0040】
パイプヒータ93の束線94は、冷却器54の第1側方で、パイプヒータ93の端部93cに接続されている。パイプヒータ93の束線94は、冷却器54の第1側方で、冷却器54とダクト部品42の第1側壁部71aとの間の空間を通って上方に延びている。パイプヒータ93の束線94は、パイプヒータ93に電流を供給する電源配線の束である。
【0041】
ヒューズ部品95は、パイプヒータ93(または冷却器54)の温度に反応する温度ヒューズである。ヒューズ部品95は、パイプヒータ93(または冷却器54)の温度が異常に上昇した場合(閾値を超えて上昇した場合)に動作し、パイプヒータ93の束線94からパイプヒータ93への電流の供給を遮断する。ヒューズ部品95は、冷却器54の第1側方で、冷却器54とダクト部品42の第1側壁部71aとの間に配置されている。
【0042】
ヒューズ固定具96は、冷却室D2a内にヒューズ部品95を固定する固定具である。本実施形態では、ヒューズ固定具96は、ヒューズ部品95を冷却器54の第1端板83に固定する。例えば、ヒューズ固定具96は、ヒューズ部品95を保持する保持部96aと、第1端板83の上端部に固定される固定部96bとを含む(図7参照)。固定部96bは、例えば第1端板83の上端部を挟持する挟持部である。固定部96bは、冷蔵庫1の組立作業者がヒューズ固定具96をつまむための板状の突起(つまみ部)96baを有する。突起96baは、固定部96bから上方に突出している。すなわち、突起96baは、冷却器54の上方(第1端板83の上方)に突出している。
【0043】
本実施形態では、上述した、アキュムレータ92、パイプヒータ93の端部93c、パイプヒータ93の束線94、ヒューズ部品95、またはヒューズ固定具96のうち少なくとも1つが冷却器54の第1側方に配置されることで、冷却器54とダクト部品42の第1側壁部71aとの間にシール部材を取り付けにくくなっている。アキュムレータ92、パイプヒータ93の端部93c、パイプヒータ93の束線94、ヒューズ部品95、およびヒューズ固定具96の各々は、「構造体」の一例である。また、パイプヒータ93の端部93c、パイプヒータ93の束線94、ヒューズ部品95、およびヒューズ固定具96の各々は、「冷媒が供給されない構造体」の一例である。
【0044】
[3. 第1シール部材]
次に、第1シール部材97について説明する。
第1シール部材97は、冷却器54よりも上方の位置で冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1の少なくとも一部を塞ぐエバサイドシールである。「冷却器54よりも上方」は、冷却器54の側方領域RS(冷却器54の上端と下端の間の高さ範囲)を外れた位置の一例である。以下では説明の便宜上、「第1シール部材97」を「シール部材97」と称する場合がある。
【0045】
[3.1 第1シール部材の遮風部]
図6は、シール部材97を示す斜視図である。シール部材97は、遮風部110と、挟持部(固定部)120とを有する。遮風部110は、板状に形成されている。挟持部120は、遮風部110の前側の下端部に設けられ、遮風部110から下方に突出している。シール部材97は、例えば、合成樹脂製であるが、これに限定されない。
【0046】
図5に戻り、シール部材97の配置について説明する。シール部材97の遮風部110の少なくとも一部(図5に示す例では遮風部110の全部)は、冷却器54の上端部(例えば、第1端板83の上端部または最上段のフィン82の上端部)よりも上方に配置されている。遮風部110の少なくとも一部は、冷却器54の上端部よりも上方で(すなわち、冷却器54の側方領域RSを外れた位置で)、冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1の少なくとも一部を塞ぐ。本実施形態では、遮風部110は、隙間S1の大部分を塞ぐ大きさを有する。遮風部110は、アキュムレータ92とサクションパイプとを接続する接続パイプCPが通される切欠部111を有する(図6参照)。
【0047】
本実施形態では、シール部材97の遮風部110は、水平方向に対して傾斜して設けられている。例えば、遮風部110は、冷却器54の第1端板83から第1側方(左方)に進むに従い上方に位置するように傾斜している。これにより、遮風部110の上面は、傾斜面112を有する。傾斜面112は、水平方向に対して、例えば45度以上の角度で傾斜している。
【0048】
本実施形態では、ダクト部品42は、冷却器54の上方に、冷蔵庫1の幅方向で冷蔵庫1の中心側に膨出した膨出部130を有する。膨出部130は、冷却室D2aの一部を覆うように(すなわち、冷却室D2aに対して部分的な天井部131を形成するように)膨出している。例えば、天井部131は、水平方向に対して比較的小さい角度(すなわち、鉛直方向に対してよりも水平方向に対して小さい角度)で延びている。膨出部130の天井部131は、アキュムレータ92の少なくとも一部、パイプヒータ93の端部93cの少なくとも一部、およびパイプヒータ93の束線94の少なくとも一部よりも第2側方(右方)の位置まで延びている。例えば、膨出部130の天井部131は、アキュムレータ92の少なくとも一部、パイプヒータ93の端部93cの少なくとも一部、およびパイプヒータ93の束線94の少なくとも一部の上方を覆う。膨出部130が設けられることで、冷蔵庫1の幅方向におけるダクト空間D2の幅は、膨出部130が存在する高さ位置で狭くなっている。
【0049】
シール部材97の遮風部110は、冷却器54の第1端板83からダクト部品42の膨出部130に向かうように、水平方向に対して傾斜して延びている。本実施形態では、遮風部110の上端部113は、膨出部130の天井部131の少なくとも一部よりも第1側方(左方)の位置に配置されている。遮風部110の上端部113は、膨出部130の天井部131の下方に位置する。
【0050】
[3.2 第1シール部材の挟持部]
シール部材97の挟持部120は、冷却器54の第1端板83の上端部に着脱可能に取り付けられている。挟持部120は、第1端板83の上端部を挟持することで、第1端板83の上端部に固定されている。上述した遮風部110は、挟持部120が第1端板83に固定されることで、第1端板83により支持されている。
【0051】
図6に示すように、挟持部120は、第1端板83の上端部が挿入される挿入空間120sと、冷蔵庫1の幅方向および鉛直方向で挿入空間120sを3方向から囲む第1部分121、第2部分122、および第3部分123を含む。詳しく述べると、第1部分121は、第1端板83の上端部に左方から面する。第1部分121は、鉛直方向および冷蔵庫1の前後方向に沿う板状に形成され、第1端板83と略平行に配置される。第2部分122は、第2端板84の上端部に右方から面する。第2部分122は、鉛直方向および冷蔵庫1の前後方向に沿う板部122aと、板部122aよりも下方に設けられ板部122aから第1端板83に向けて屈曲した屈曲部122bとを有する。板部122aと屈曲部122bが設けられることで、挟持部120は弾性を有して、第1部分121と第2部分122との間に第1端板83を挟持する。なお、板部122aおよび屈曲部122bは、第2部分122に代えて/加えて、第1部分121に設けられてもよい。第3部分123は、第1部分121の上端部と第2部分122の上端部とを繋いでいる。第3部分123は、鉛直方向で第1端板83に面する。
【0052】
本実施形態では、第1部分121、第2部分122、および第3部分123の各々の端面(挟持部120の後面)は、冷蔵庫1の幅方向に対して、挿入空間120sに近付くに従い挿入空間120sの内部に向けて傾いた傾斜部120iを有する。すなわち、第1部分121は、左方から右方に進むに従い前方に位置するように傾いた傾斜部120iを有する。同様に、第2部分122は、右方から左方に進むに従い前方に位置するように傾いた傾斜部120iを有する。第3部分123は、上方から下方に進むに従い前方に位置するように傾いた傾斜部120iを有する。傾斜部120iは、第1部分121、第2部分122、および第3部分123の各々の端面の内周側に設けられた面取り部(いわゆるC面)である。
【0053】
図7および図8は、冷却器54に対するシール部材97の取り付け過程を示す斜視図である。図7は、冷却器54に対する取り付け前のシール部材97を示す。図8は、冷却器54に対する取り付け後のシール部材97を示す。図7および図8に示すように、シール部材97は、冷却器54の第1端板83に対して、前方から取り付けられる。すなわち、シール部材97は、冷却器54の第1端板83に対して、当該シール部材97を前方から後方に向けて移動させることで、シール部材97の挟持部120に第1端板83が挿入され、第1端板83に取り付けられる。
【0054】
図8に示すように、挟持部120は、遮風部110の前端部のみに設けられている。本実施形態では、遮風部110のなかで挟持部120が設けられていない部分と、冷却器54の第1端板83との間には、隙間114が設けられている。隙間114が設けられることで、遮風部110の傾斜面112に着氷した後に溶けた水滴は、冷却器54の外部を通って除霜水受け91に落下する。また、隙間114には、ヒューズ固定具96の突起96baが通される。これにより、シール部材97は、ヒューズ固定具96の突起96baに干渉せず、冷却器54の第1端板83に取り付けられる。
【0055】
図9は、シール部材97を斜め下方から見た角度で示す斜視図である。シール部材97の挟持部120は、第4部分124を含む。第4部分124は、冷蔵庫1の奥行方向で、挿入空間120sの前端部の少なくとも一部を塞ぐように、第1部分121、第2部分122、および第3部分123の間に設けられている。第4部分124は、冷蔵庫1の奥行方向で挿入空間120sに面する。すなわち、第4部分124は、冷蔵庫1の奥行方向で第1端板83に面する。
【0056】
図10は、図3中に示された冷却器とシール部材のF10-F10線に沿う断面図である。挟持部120の第4部分124は、シール部材97が冷却器54の第1端板83に対して取り付けるときに、第1端板83の前面に当接する。これにより、シール部材97がそれ以上、後方に移動しなくなり、冷蔵庫1の奥行方向におけるシール部材97の位置が規制される。
【0057】
本実施形態では、シール部材97が冷却器54の第1端板83に取り付けられた後に、ダクト部品42の前面カバー73が背面カバー71に対して組み合わされる。ダクト部品42の前面カバー73が背面カバー71に対して組み合わされる(例えば固定される)と、シール部材97は、前面カバー73と冷却器54との間で、冷蔵庫1の奥行方向の位置が規制される。本明細書で「位置が規制される」とは、位置が完全に固定される場合に限定されず、ある程度のガタツキ(遊び)を有する場合も含み得る。
【0058】
[4.作用]
次に、シール部材97の作用について説明する。
図3に示すように、冷却器54の第2側方(右方)には、第2シール部材98が設けられている。これにより、冷却器54とダクト部品42との間の右方の隙間S2の少なくとも一部が塞がれている。
【0059】
一方で、冷却器54の第1側方(左方)には、アキュムレータ92、パイプヒータ93の端部93c、パイプヒータ93の束線94、ヒューズ部品95、またはヒューズ固定具96などが配置されており、冷却器54の側方領域RSにシール部材を配置することは容易でない。しかしながら本実施形態では、冷却器54よりも上方の位置で冷却器54とダクト部品42との間の左方の隙間S1の少なくとも一部を塞ぐ第1シール部材97が設けられている。
【0060】
これにより、冷気戻り口42bから冷却室D2aに流入した空気は、冷却器54とダクト部品42との間の右方の隙間S2、および冷却器54とダクト部品42との間の左方の隙間S1には流入しにくい。このため、冷気戻り口42bから冷却室D2aに流入した多くの空気は、冷却器54の第1端板83と第2端板84との間を通り(すなわち、冷却器54の複数のフィン82の間を通り)、上方に位置する内部通気口73dに向けて流れる。これにより、冷気戻り口42bから冷却室D2aに流入した空気は、冷却器54によって効率的に冷却され、より冷たい冷気として、貯蔵室11に供給される。
【0061】
[5.利点]
以上説明したように、本実施形態では、冷蔵庫1は、冷却器54の側方で、冷却器54とダクト部品42との間に配置され、冷媒が供給されない構造体(例えば、パイプヒータ93の端部、パイプヒータ93の束線94、またはヒューズ部品95)が設けられている。このような構造体が設けられると、冷却器54の冷却パイプ81の複数の直線部81a(または複数の折返部81b)の間に挟み込むタイプのシール部材を取り付けることは難しく、冷却器54のダクト部品42との間の隙間S1を塞ぐことが難しくなる。
【0062】
そこで、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器54よりも上方で冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1の少なくとも一部を塞ぐシール部材97とを有する。このような構成によれば、冷却器54の側方に構造体が設けられた場合であっても、構造体に邪魔されることなく冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1の少なくとも一部を塞ぐことができる。これにより、冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1を通り抜ける空気の流量を減らし、冷却器54による冷却効率を高めることができる。これにより、冷却性能の向上を図ることができる。
【0063】
本実施形態では、上記構造体は、冷却器54を加熱するパイプヒータ93の一部、パイプヒータ93の束線94、またはヒューズ部品95である。このような構成によれば、冷却器54に除霜用のヒータを取り付けた構造において、その関連部品を避けてシール部材97を配置することができる。例えば、パイプヒータ93の束線94は、冷却器54の側方で比較的長く延びているため、冷却器54の冷却パイプ81の複数の直線部81a(または複数の折返部81b)の間に挟み込むタイプのシール部材を取り付けることが特に難しくなる。しかしながら本実施形態の構成によれば、パイプヒータ93の束線94が冷却器54の側方で比較的長く延びている場合でも、冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1を効果的に塞ぐことができる。
【0064】
本実施形態では、パイプヒータ93の鉛直方向の中心C3は、冷却器54の鉛直方向の中心C4よりも下方に位置する。シール部材97は、冷却器54よりも上方で冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1の少なくとも一部を塞ぐ。このような構成によれば、熱が上方向に伝わりやすいことを考慮し、冷却器54に対してパイプヒータ93を低い位置に配置することで、パイプヒータ93から冷却器54に対する伝熱効率を高めることができる。このような構成では、冷却器54に対して低い位置で部品の実装密度が増加する一方で、冷却器54に対して高い位置では空間に余裕が生じやすいことに着目し、本実施形態では、そのような余裕が生じやすい空間を利用してシール部材97が配置されている。これにより、シール部材97の形状および大きさが制約を受けにくく、冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1をより効果的に塞ぐことができる。
【0065】
本実施形態では、シール部材97の上面は、傾斜面112を有する。このような構成によれば、シール部材97の上面に着氷が発生しても、シール部材97の上面が傾斜面112を有することで、除霜時に溶けた水滴が傾斜に沿って流れ落ちる。これにより、シール部材97の上面で氷が成長することを抑制することができる。ここで本実施形態では、シール部材97は、冷却器54よりも上方という空間に余裕がある領域に設けられているため、シール部材97を大きく傾斜させて(例えば、水平方向に対して45度以上の角度で傾斜させて)配置することができる。このような構成によれば、除霜時に溶けた水滴がよりスムーズに流れ落ちる。一方で、冷却器54の側方領域RSにシール部材を配置する場合、冷却パイプ81の複数の折返部81bが邪魔になり、シール部材97を大きく傾斜させて配置させることは難しい。すなわち、シール部材97を大きく傾斜させて配置させることができるのは、シール部材97の少なくとも一部を冷却器54よりも上方に配置した構造ならではと言える。
【0066】
本実施形態では、シール部材97の少なくとも一部と冷却器54との間には、シール部材97の傾斜面112に着氷した後に溶けた水滴を冷却器54の外部に落下させる隙間114が設けられている。このような構成によれば、シール部材97の傾斜面112に着氷した後に除霜時に溶けた水滴が冷却器54の内部に流入し、冷却器54内に水が残ること(さらに言えば冷却器54の内部で再び着氷すること)を抑制することができる。これにより、冷却器54の性能を高く維持しやすくなる。
【0067】
本実施形態では、ダクト部品42は、冷却器54の上方で、冷蔵庫1の幅方向で冷蔵庫1の中心側に膨出した膨出部130を有する。シール部材97は、冷却器54と膨出部130との間に延びている。このような構成によれば、シール部材97と膨出部130とにより、比較的小型のシール部材97でも冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1を効果的に塞ぐことができる。これにより、シール部材97の低コスト化を図ることができる。
【0068】
本実施形態では、遮風部110の上端部113は、膨出部130の天井部131の下方に位置する。このような構成によれば、部品公差によりシール部材97の取り付け位置が冷蔵庫1の幅方向でずれた場合でも、シール部材97の遮風部110の上端部113とダクト部品42との間の隙間が小さく維持されやすい。これにより、冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1を効果的に塞ぐことができる。
【0069】
本実施形態では、シール部材97は、冷却器54の第1端板83の上端部を挟持する挟持部120を有する。このような構成によれば、シール部材97の取り付け作業性を高めることができる。これは、冷蔵庫1の低コスト化に寄与する。
【0070】
本実施形態では、シール部材97の挟持部120は、第1端板83が挿入される挿入空間120sと、冷蔵庫1の幅方向および鉛直方向で挿入空間120sを3方向から囲む第1部分121、第2部分122、および第3部分123を有する。冷蔵庫1の奥行方向における第1部分121、第2部分122、および第3部分123のうち少なくとも1つの端面は、冷蔵庫1の幅方向に対して、挿入空間120sに近付くに従い挿入空間120sの内部に向けて傾いた傾斜部120iを有する。このような構成によれば、第1シール部材97を第1端板83に取り付ける際に、傾斜部120iによって案内されることで、第1シール部材97が第1端板83に取り付けやすくなる。これにより、シール部材97の取り付け作業性を高めることができる。なお上述した実施形態では、傾斜部120iは、第1部分121、第2部分122、および第3部分123の全てに設けられているが、傾斜部120iは、第1部分121、第2部分122、および第3部分123のうち1つまたは2つのみに設けられてもよい。
【0071】
本実施形態では、挟持部120は、冷蔵庫1の奥行方向で第1端板83に当接する第4部分124を有する。このような構成によれば、シール部材97を第1端板83に取り付ける際に、第1端板83が挟持部120の第4部分124と接触するまで第1端板83を挟持部120も挿入することで、シール部材97がそれ以上に後方に移動しなくなる。これにより、第1端板83に対するシール部材97の差し込み方向の位置決めを行うことができる。これにより、シール部材97の取り付け作業性を高めることができる。
【0072】
本実施形態では、ダクト部品42は、冷蔵庫1の奥行方向で、冷却器54の後方に位置した背面カバー71と、冷却器54の前方に位置した前面カバー73とを含む。シール部材97は、冷却器54と、前面カバー73とにより冷蔵庫1の奥行方向の位置が規制される。例えば、前面カバー73がシール部材97の前方に位置することで、シール部材97がそれ以上に前方に移動しなくなる。これにより、第1端板83に対するシール部材97の差し込み方向の位置決めを行うことができる。これにより、シール部材97の取り付け作業性を高めることができる。また上記構成によれば、第1端板83に対してシール部材97が意図せず半挿入状態であったとしても、前面カバー73の取り付け時に、前面カバー73によってシール部材97が後方に押され、シール部材97が正規位置に固定される。この観点でも、シール部材97の取り付け作業性を高めることができる。
【0073】
以下、いくつかの変形例について説明する。なお各変形例において以下に説明する以外の構成は、上述した実施形態の構成と同様である。
【0074】
(第1変形例)
図11は、第1変形例のシール部材97Aを示す断面図である。本変形例では、シール部材97Aの遮風部110は、第1部分117と、第2部分118とを含む。第1部分117と第2部分118とは、空気の流れを塞ぐ方向において、互いに重ねて配置されている。第1部分117は、上述した実施形態の遮風部110に相当する部分であり、合成樹脂製である。第2部分118は、EPSのような断熱材料により形成され、第1部分117と比べて高い断熱性を有する。第2部分118は、第1部分117の面積の半分以上の大きさを有する。このような構成によれば、シール部材97Aによって冷却器54を通過前の空気と、冷却器54を通過後の空気との間の伝熱を抑制することができる。これにより、冷却性能をさらに高めることができる。
【0075】
(第2変形例)
図12は、第2変形例のシール部材97を示す断面図である。本変形例では、シール部材97は、冷却器54よりも下方の位置で冷却器54とダクト部品42との間の隙間S1,S2の少なくとも一部を塞ぐ。例えば、シール部材97は、冷却器54の第1端板83または第2端板84の下端部を挟持する挟持部(固定部)120を有し、冷却器54の第1端板83の下端部または第2端板84の下端部に固定されている。挟持部120は、シールなどや接着剤などの補助固定部材を用いて冷却器54の第1端板83または第2端板84に固定されてもよい。このような構成によっても上記実施形態と同様の作用を期待することができる。
【0076】
以上、実施形態および変形例について説明したが、実施形態および変形例は、上述した例に限定されない。例えば、シール部材97は、前面カバー73と冷却器54との間で位置が規制されることに代えて、例えば前面カバー73と背面カバー71とに挟まれることで、前面カバー73と背面カバー71との間で位置が規制されてよいし、冷却器54と背面カバー71とに挟まれることで、冷却器54と背面カバー71との間で位置が規制されてよい。また、冷却器54と背面カバー71と前面カバー73との3つの部材によって位置が規制されてよい。冷却器とダクト部品との間に配置される構造体は、上述した例に限定されず、他の部品でもよい。
【0077】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷却器よりも上方または下方の位置で冷却器とダクト部品との間の隙間の少なくとも一部を塞ぐシール部材を持つことにより、冷却性能の向上を図ることができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1…冷蔵庫、42…冷凍室ダクト部品(ダクト部品)、54…冷却器、71…背面カバー(第1ダクト部品)、73…前面カバー(第2ダクト部品)、81…冷却パイプ(パイプ)、82…フィン、83…第1端板、84…第2端板、92…アキュムレータ(構造体)、93c…パイプヒータの端部(構造体)、94…パイプヒータの束線(電気配線、構造体)、95…ヒューズ部品(構造体)、96…ヒューズ固定具(構造体)、97…第1シール部材(シール部材)、110…遮風部、112…傾斜面、114…隙間、120…挟持部、120s…挿入空間、120i…傾斜部、121…第1部分、122…第2部分、123…第3部分、124…第4部分、130…膨出部、131…天井部。
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