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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像表示素子
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20240924BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240924BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240924BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240924BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240924BHJP
【FI】
G09F9/33
G02B3/00 A
G09F9/30 349D
G09F9/30 349Z
H01L33/58
H01L33/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020200339
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088086
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】319006036
【氏名又は名称】シャープ福山レーザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】井口 勝次
(72)【発明者】
【氏名】大沼 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晋
(72)【発明者】
【氏名】安西 伸介
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-152851(JP,A)
【文献】特表2019-517032(JP,A)
【文献】特表2015-508509(JP,A)
【文献】国際公開第2011/121662(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0297975(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0185579(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107611243(CN,A)
【文献】実開平05-052882(JP,U)
【文献】特開2020-184481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B1/00-1/08
3/00-3/14
G09F9/00-9/46
H01L33/00
33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示素子であって、
アレイ状に配置された、マイクロ発光素子を含む画素と、
前記マイクロ発光素子の間に設けられた発光素子間隔壁と、
前記マイクロ発光素子に電流を供給して発光させる駆動回路を含む駆動回路基板と、
前記画素毎に配置されたマイクロレンズと、
前記マイクロレンズを互いに接続するマイクロレンズ保持部と、
前記画素間に配置され、前記発光素子間隔壁の上面から、前記マイクロレンズ保持部まで延伸する画素間隔壁と、を備え
前記マイクロレンズ保持部は前記画素間隔壁に接続す
ことを特徴とする画像表示素子。
【請求項2】
前記駆動回路基板側から、前記マイクロ発光素子、前記画素間隔壁、前記マイクロレンズの順に配置されており、
前記マイクロ発光素子は、前記駆動回路基板とは反対方向に光を放出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示素子。
【請求項3】
前記画素間隔壁の側面は、前記マイクロ発光素子が発する光を反射する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示素子。
【請求項4】
前記マイクロ発光素子、前記画素間隔壁、前記マイクロレンズに囲まれた光路部は、空隙である
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像表示素子。
【請求項5】
前記マイクロレンズは、前記マイクロ発光素子側には凸形状を有している
ことを特徴とする請求項4の画像表示素子。
【請求項6】
前記マイクロ発光素子、前記画素間隔壁、前記マイクロレンズに囲まれた光路部は、透明材で充填されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像表示素子。
【請求項7】
前記マイクロレンズは、前記マイクロ発光素子側には平面形状を有している
ことを特徴とする請求項の画像表示素子。
【請求項8】
前記画素は、互いに異なる波長で発光する複数のマイクロ発光素子を含み、前記画素は単一のマイクロレンズを有していることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の画像表示素子。
【請求項9】
前記画素は、互いに異なる波長で発光する複数のマイクロ発光素子を含み、前記画素は、前記マイクロ発光素子毎にマイクロレンズを有していることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の画像表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ発光素子を含む画像表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
基板(backplane)上に、画素を構成するマイクロ発光素子が複数配置された画像表示素子が提案されている。例えば、特許文献1に開示されている技術では、シリコン基板の上に駆動回路が形成され、駆動回路の上に紫外光を発光する微小な発光ダイオード(LED)アレイが配置される。
【0003】
また、前記技術では、発光ダイオードアレイの上に、紫外光を赤色、緑色、及び青色の可視光へ変換する波長変換層(wavelength conversion layer)が設けられる事により、カラー画像を表示するマイクロディスプレイ素子が開示されている。別の形態として、青、緑、赤の発光をする化合物半導体を駆動回路上に積層した単色表示素子を用いて、フルカラー表示する方法も提案されている。
【0004】
このような表示素子は、小型でありながら、輝度が高く、耐久性も高いという特性を有している。この為、眼鏡型端末(glasses-like devices)、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)等の表示素子として期待されている。
【0005】
この様な画像表示素子においては、電力効率を向上する上で、発光効率を向上すると共に、発生した光を効率良く光学系に取り込む必要がある。そこで、特許文献2に開示されている様に、マイクロ発光素子上にマイクロレンズを設けることで、光取り出し効率を向上し、放出光を前方に強く配光することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国公開特許公報「特開2002-141492号公報(2002年5月17日公開)」
【文献】米国公開特許第2017/0242161号明細書(2017年8月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
眼鏡型端末やヘッドアップディスプレイ用の画像表示素子では、明るい表示を実現する上で、画素から放出される光を前方に集中する事が好ましい。このため、マイクロレンズを用いることが考えられる。
【0008】
しかしながら、マイクロレンズを用いる構成の場合、或る画素から隣接画素へ、光が漏洩する現象(光クロストーク)が生じやすいという課題がある(図11参照)。
【0009】
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、微細化された画素を有する画像表示素子において、前方に強く配光した光を放出すると共に、光クロストークを低減し、高効率且つ高品質の画像表示素子を実現する事である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像表示素子は、アレイ状に配置されたマイクロ発光素子を含む画素と、前記マイクロ発光素子の間に設けられた発光素子間隔壁と、前記マイクロ発光素子に電流を供給して発光させる駆動回路を含む駆動回路基板と、前記画素毎に配置されたマイクロレンズと、前記マイクロレンズを互いに接続するマイクロレンズ保持部と、前記画素間に配置され、前記発光素子間隔壁の上面から、前記マイクロレンズ保持部まで延伸する画素間隔壁と、を備え、前記マイクロレンズ保持部は前記画素間隔壁に接続する。
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明の他の態様に係る画像表示素子は、アレイ状に配置された、マイクロ発光素子を含む画素と、上記マイクロ発光素子に電流を供給して発光させる駆動回路を含む駆動回路基板と、前記画素毎に配置されたマイクロレンズと、前記マイクロ発光素子と前記マイクロレンズの間に配置された、透明部と、を備え、前記透明部が前記マイクロレンズ毎に分割されて、隣接する前記透明部間に空隙が配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、互いに隣接するマイクロ発光素子間の光クロストークを防ぎ、前方放射を強くする様に配光制御した画像表示素子を実現する。これにより、コントラストや色純度が高く、且つ、消費電力が低い画像表示素子を実現する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子の画素領域の断面模式図である。
図2】は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子のマイクロ発光素子の平面模式図である。
図3】は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子の画素間隔壁の平面模式図である。
図4】は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子のマイクロレンズの平面模式図である。
図5】は、本発明の実施形態2に係る画像表示素子の画素領域の断面模式図である。
図6】は、本発明の実施形態3に係る画像表示素子の画素領域の断面模式図である。
図7】は、本発明の実施形態4に係る画像表示素子の画素領域の断面模式図である。
図8】は、本発明の実施形態5に係る画像表示素子の画素領域の断面模式図である。
図9】は、本発明の実施形態6に係る画像表示素子の画素領域の断面模式図である。
図10】は、本発明の実施形態7に係る画像表示素子の画素領域の断面模式図である。
図11】は、従来技術での、マイクロレンズに関する、光クロストークを説明する為の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<比較例に係る構成>
本願発明の一形態について具体的な説明を行う前に、比較例に係る構成について、以下に纏める。
【0015】
図11は、比較例に係る構成を示す図である。図11において、符号100Bpは、青色マイクロ発光素子を示し、符号100Rpは、赤色マイクロ発光素子を示し、符号100Gpは、緑色マイクロ発光素子を示し、符号110pは、発光素子間隔壁を示し、符号130pは、光放出面を示し、符号5pは、画素を示し、符号20pは、マイクロレンズを示し、符号21pは、マイクロレンズ保持部を示し、符号50pは、駆動回路基板を示し、符号200pは、画像表示素子を示す。
【0016】
図11に示す構成では、マイクロレンズを用いたことによって、前方に強く配光した光を放出することはできるものの、以下のような課題がある。
【0017】
すなわち、図11に示す構成では、画像表示素子を構成する画素の大きさが小さくなってくると、或る画素から隣接画素へ、光が漏洩する事で、光クロストークが生じる。光クロストークはコントラストの低下や、混色による演色性の低下を招き、画像表示素子にとっては好ましく無い。マイクロレンズアレイを配置する場合、画素の光放出面とマイクロレンズの距離は、マイクロレンズの焦点距離程度に保つことが好ましい為、或る画素から放出された光が、隣接画素のマイクロレンズに入射すると言う、光クロストークが生じる。
【0018】
以下では、マイクロレンズを用いることにより、前方に強く配光した光を放出すると共に、光クロストークを低減することのできる画像表示素子について説明する。
【0019】
<実施形態>
以下に、複数のマイクロ発光素子100を有する画像表示素子200を例に挙げ、図1から図10を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、画像表示素子200は、複数のマイクロ発光素子100と、駆動回路基板50とを備え、駆動回路基板50は画素領域(pixel region)1にある該マイクロ発光素子100に電流を供給し、発光を制御する。
【0020】
マイクロ発光素子100は画素領域1において、アレイ状に配置されている。マイクロ発光素子100は、駆動回路基板50とは反対側に光を放出する。外部へ放出される光を放出光と記す。特に断らない限り、マイクロ発光素子100が光を放出する面を光放出面(light emitting surface)と呼ぶ。
【0021】
なお、画像表示素子200の構成の説明において、特に断らない限り、光放出面を上面(第1面)、光放出面側とは反対側の面を下面(第2面)、上面及び下面以外の側方の面を側面と称する。同様に、光放出方向を上方、反対方向を下方と呼ぶ。光放出面に対する垂線方向で、空気中へ向かう方向を前方とも呼ぶ。
【0022】
マイクロ発光素子100は、化合物半導体や量子ドットからなる発光ダイオード素子や、有機EL素子、あるいは、励起光発光素子と、励起光をダウンコンバートする波長変換部よりなる発光素子であっても良い。
【0023】
例えば、化合物半導体としては、紫外光から赤色までの波長帯で発光するマイクロ発光素子では、窒化物半導体(AlInGaN系)であり、黄緑色から赤色までの波長帯で発光する場合は、AlInGaP系である。赤色から赤外線の波長帯では、AlGaAs系やGaAs系である。
【0024】
励起光発光素子は、青色光、近紫外線、紫外線等の光を発する素子であり、窒化物半導体や有機ELよりなる。波長変換部は、量子ドットや量子ロッド等のナノ粒子、或は蛍光体ナノ粒子を、樹脂中に分散させた樹脂材や、染料を含む樹脂材等である。
【0025】
尚、マイクロ発光素子100の光放出面は、上記の様な発光材その物である必要は無く、透明電極、透明保護膜、カラーフィルター、誘電体多層膜等であっても良い。
【0026】
マイクロ発光素子100は、アノード電極、カソード電極を有しており、駆動回路基板50上の駆動電極と接続されている。本発明とは直接関係しない為、図示しない。
【0027】
駆動回路基板50は、画素領域1では、各マイクロ発光素子100に供給する電流を制御するマイクロ発光素子駆動回路(micro light emitting element driving circuit)を配置し、2次元マトリックス状に配置されたマイクロ発光素子100の各行を選択する行選択回路や、各列に発光信号を出力する列信号出力回路、入力信号に基づいて発光信号を算出する画像処理回路、入出力回路、等を画素領域1以外に配置している。
【0028】
駆動回路基板50の接合面側の表面には、マイクロ発光素子100と接続するP駆動電極52(P-drive electrode)(第2駆動電極)とN駆動電極51(N-drive electrode)(第1駆動電極)が配置されている。
【0029】
駆動回路基板50は、一般的には、LSI(Large Scale Integration)が形成されたシリコン基板(半導体基板)や、TFT(Thin Film Transistor)が形成されたガラス基板であり、公知の技術で製造できる為、その機能、構成に関しては詳述しない。
【0030】
尚、図ではマイクロ発光素子100を正方形に近い形で描いているが、マイクロ発光素子100の形状は特に限定されない。マイクロ発光素子は矩形、多角形、円形、楕円形など様々な平面形状を取り得るが、最も大きな長さが、20μm以下を想定している。画像表示素子200は画素領域1に、3千個以上のマイクロ発光素子を集積していることを想定している。
【0031】
〔実施形態1〕
(画像表示素子200の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る画像表示素子200の画素領域1の断面模式図である。図2は、本発明の実施形態1に係るマイクロ発光素子100の光放出面130の平面模式図である。図2に示す様に、画像表示素子200の上面には、複数の画素5がアレイ状に配列した画素領域(pixel region)1がある。
【0032】
本実施形態では、画像表示素子200はフルカラー表示素子であり、各画素5は1個の青発光素子100B、2個の緑発光素子100G、1個の赤発光素子100Rを含む。尚、青発光素子100B、緑発光素子100G、赤発光素子100Rを総称して、マイクロ発光素子100と呼ぶ。本構成では、マイクロ発光素子100の上面が光放出面130である。このように、画素5は、互いに異なる波長で発光する複数のマイクロ発光素子100を含む。
【0033】
画素5に含まれる、青発光素子100B、緑発光素子100G、赤発光素子100Rの個数や、配置は、図1図2に限定されず、種々の構成が可能である。画素5は、図1図2に示すような、青、緑、赤等のマイクロ発光素子100を全て含む必要は無く、青発光素子100Bだけを含み、単色発光画素であっても良いし、同様に、緑発光素子100G、赤発光素子100Rだけからなっても良い、2色だけを含んでも良い。
【0034】
図1には、図2のA-A線の断面図を表している。マイクロ発光素子100は、個々に分割されており、マイクロ発光素子100の間には、発光素子間隔壁110が設けられている。或るマイクロ発光素子100の光が、離接するマイクロ発光素子100へ入射しない様に、発光素子間隔壁110は遮光性である事が好ましい。特に、光のロスを低減する為、反射性である事が好ましい。
【0035】
又、図1では、発光素子間隔壁110の側壁を垂直に描いているが、マイクロ発光素子100の光取り出し効率を改善する為に、光放出方向に開く様に傾斜していても良い。
【0036】
図1では、光放出面130に於いて、マイクロ発光素子100の表面と、発光素子間隔壁110の表面が、同じ高さに描いているが、必ずしも同じ高さである必要は無い。又、光放出面130には、光取り出し効率を向上する為や、配光性を制御する為の、凹凸構造、回折パターン等が設けられていても良い。
【0037】
光放出面130の上方には、画素間隔壁10が配置されている。図1に示す様に、マイクロ発光素子100、画素間隔壁10、マイクロレンズ20に囲まれた光路部15は空隙である。画素間隔壁10の側面10Sは光反射性である。このように、画素間隔壁10の側面10Sは、マイクロ発光素子100が発する光を反射する。光放出面130から放出された光の内、隣接画素へ向かう光は画素間隔壁10によって反射される為、隣接画素のマイクロレンズに入射する光クロストークを完全に防止できる。
【0038】
更に、画素間隔壁10にて反射した光を、当該画素のマイクロレンズに入射させる事で、当該画素の光出力を向上できる。
【0039】
画素間隔壁側面10Sの反射は、鏡面反射でも拡散反射でも良い。即ち、平坦な鏡面でも良いし、凹凸面でも良い。又、高反射性の微粒子を含む樹脂材等でも良い。例えば、画素間隔壁側面10Sは、可視光に対して高い反射率を有する銀やアルミニュウムで構成されていても良いし、誘電体多層膜であっても良い。
【0040】
画素間隔壁10は単一の部材で構成されていても良いし、中心部は樹脂を配置し、側面は上記の様な金属薄膜や誘電体多層膜を配置しても良い。
【0041】
画素間隔壁10は、光放出面130に於いては、発光素子間隔壁110上に配置される事が好ましい。マイクロ発光素子100の表面を覆うと、光取り出し効率を低下させる為、画素間隔壁10がマイクロ発光素子100の光放出面を覆う事は好ましく無い。
【0042】
図1及び図4に示す様に、画素間隔壁10の上方には、マイクロレンズ20を配置している。これらの図では、各画素のマイクロレンズ20は、マイクロレンズ保持部21によって互いに接続され、マイクロレンズアレイ22として、一体化されている。このように、画素5は単一のマイクロレンズ20を有している。
【0043】
マイクロレンズアレイ22は、マイクロレンズ保持部21によって、画素間隔壁10と接続している。即ち、マイクロレンズアレイ22は画素隔壁10によって、機械的に保持されている。しかし、マイクロレンズアレイ22の構成はこれに限定されない。例えば、マイクロレンズ保持部21を省略し、マイクロレンズ20が直接画素間隔壁10と接続しても良い。
【0044】
或は、マイクロレンズ20は、マイクロレンズ保持部21を介して、画素間隔壁10とは独立して保持されても良い。即ち、マイクロレンズ20を含むマイクロレンズアレイ22は、駆動回路基板50からは、機械的に独立して保持されている。
【0045】
マイクロレンズ20の断面形状は紡錘型でも、上に凸の片面半球型、下に凸の片面半球型でも良い。マイクロレンズ20の表面形状は、球面でも非球面でも良いし、フレネルレンズでも良い。平面形状は回転対称でも、上下左右に線対称でも良い。マイクロレンズの材質は、ガラス等の無機材でも良いし、高屈折率の樹脂材であっても良い。
【0046】
マイクロレンズ20は、光放出面130が、大凡、マイクロレンズ20の下方の焦点面に来るように配置される事が好ましい。マイクロレンズ20から放出される光を、前方に放出させる事が出来る。
【0047】
以上の様に、画像表示素子200は、画素5と、駆動回路基板50と、マイクロレンズ20と、画素間隔壁10と、を備える。画素5は、アレイ状に配置された、マイクロ発光素子100を含む。駆動回路基板50は、マイクロ発光素子100に電流を供給して発光させる駆動回路を含む。マイクロレンズ20は、画素5毎に配置される。画素間隔壁10は、画素5間に配置され、マイクロ発光素子100の光放出面130から、マイクロレンズ20まで延伸する。
【0048】
以上の様に、駆動回路基板50上にマイクロ発光素子100を配置し、その上に画素間隔壁10を配置し、更に画素間隔壁10上にマイクロレンズ20を配置する、即ち、駆動回路基板50側から、マイクロ発光素子100、画素間隔壁10、マイクロレンズ20の順に配置する事で、マイクロレンズ20による光クロストークの発生を防止しつつ、前方放射を強める様に配光制御する事が出来る。これにより、コントラストが高く、演色性に高い、高画質の画像表示素子を提供できる。更に、前方放射を強化する事で、消費電力を低減する事が出来る。
【0049】
〔実施形態2〕
実施形態2について、図5用いて説明する。実施形態1では、マイクロレンズ20は両面が凸形状であったが、本実施形態の画像表示素子200aでは、マイクロレンズ20aは、マイクロ発光素子100側は凸形状であるが、光放出方向側の面は平面である。それ以外の点では、実施形態1と変わりはない。
【0050】
画像表示素子200aでは、マイクロレンズ保持部21aを厚くする事が容易であり、マイクロレンズアレイ22の機械的強度を増す事が出来る。その結果、マイクロレンズアレイ22の製造をマイクロ発光素子100とは、別に設ける事が出来る。例えば、ガラス基板をマイクロレンズ保持部21aとして、その上に凸形状のマイクロレンズ20aを形成した後に、画素間隔壁10を介して、マイクロ発光素子100上に貼り合せる事が出来る。これにより、画像表示素子200aの生産効率を高め、生産コストを低減する事が出来る。
【0051】
更に、マイクロレンズアレイ22を駆動回路基板50とは切り離して保持する事で、マイクロレンズアレイ22と光放出面130との距離を調整する事が容易となる。その結果、マイクロレンズアレイ22と光放出面130との間の距離が、正確に、マイクロレンズ20aの焦点距離となる様にする事ができる。これによって、発光効率を一層高める事が出来る。
【0052】
本実施形態においても、実施形態1と同様の効果を実現できる。更に、生産コストの低減や、発光効率の向上等の、副次的効果も実現できる。
【0053】
〔実施形態3〕
実施形態3について、図6用いて説明する。実施形態1では、マイクロレンズ20とマイクロ発光素子100の間の空間である光路部15は、空隙であったが、本実施形態の画像表示素子200bでは、実施形態1に説明した光路部15に相当する部位に透明部11を充填している。このように、マイクロ発光素子100、画素間隔壁10、マイクロレンズ20に囲まれた光路部15は、透明材で充填されている。
【0054】
又、マイクロレンズ20bは、光放出方向には凸形状であるが、マイクロ発光素子100側の面は平面である。それ以外の点では、実施形態1と変わりはない。
【0055】
透明部11は可視光帯域に於いて透明であり、マイクロレンズ20より、低い屈折率を有する樹脂である。透明部11の屈折率は低い程、好ましく、特に1.3以下が好ましい。
【0056】
画像表示素子200bでは、光路部を透明部11で埋める事により、画素間隔壁10の強度を補強し、マイクロレンズアレイ22を保持する事が容易となる。画素間隔壁10と透明部11を配置すると、画素間隔壁10と透明部11の上面は、ほぼ平面となり、駆動回路基板50と密着している為、画素間隔壁10と透明部11の上面において、更に種々の工程をなす事が可能となる。例えば、マイクロレンズ20bを形成する事が出来る。
【0057】
この様な製造工程では、マイクロレンズ20bの下面はほぼ平面であり、上面は凸面となる。又、この様な製造工程では、マイクロレンズ保持部21bは省略する事も出来る。
【0058】
上記の様な製造方法では、フォトリソグラフィ技術を用いて、マイクロレンズ20bを形成する事が出来る。その結果、各画素5に配置するマイクロレンズ20bの位置精度を高める事ができる。
【0059】
マイクロレンズ20bの光軸を、画素5の中心と一致させる事が容易となる。マイクロレンズ20bの光軸が、画素5の中心からずれると、光放出方向の中心が、光放出面130に対する垂線方向(前方)からずれる為、好ましく無い。画像表示素子200bでは、マイクロレンズ20bの光軸と、画素5の中心を一致させる事が容易となる為、前方への光放出強度を高める事が容易となる。
【0060】
光路部を透明部11によって埋める事により、マイクロレンズ20bの焦点距離は、透明部11が無い場合に比べて、大きくなる。その結果、マイクロレンズ20bとマイクロ発光素子100の距離が大きくなる。従って、画素間隔壁10は高くする必要が有る。
【0061】
一方、マイクロ発光素子100の光放出面130が、透明部11で覆われる事によって、マイクロ発光素子100から光路部15への光取り出し効率が向上する。その結果、光路部15からマイクロレンズ20bを経て、外部へ放出される光量は増す為、光放出効率を向上する事が出来る。
【0062】
本実施形態においても、実施形態1と同様の効果を実現できる。更に、光放出効率を高め、前方への光放出強度を強める等の、副次的効果も実現できる。
【0063】
〔実施形態4〕
実施形態4について、図7用いて説明する。実施形態1から3では、画素5間に画素間隔壁10を配置しているが、本実施形態の画像表示素子200cでは、画素間隔壁10を設けない点において異なる。
【0064】
図7に示す様に、画素5内のマイクロ発光素子100の光放出面130を覆う様に、透明部11cが配置されており、透明部11cの光放出面側にマイクロレンズ20cが配置されている。本構成ではマイクロレンズ接続部は必要無い。透明部11cが光路部となる点は実施形態3同じである。隣接する透明部11c間には画素間空隙12が設けられている。
【0065】
このように、画像表示素子200cは、アレイ状に配置された、マイクロ発光素子100を含む画素5と、マイクロ発光素子100に電流を供給して発光させる駆動回路を含む駆動回路基板50と、画素5毎に配置されたマイクロレンズ20cと、マイクロ発光素子100とマイクロレンズ20cとの間に配置された透明部11cと、を備え、透明部11cがマイクロレンズ20c毎に、分割されており、隣接する透明部11c間には空隙が設けられている。
【0066】
マイクロレンズ20cと光放出面130との距離は、マイクロレンズ20cの焦点距離と等しい。マイクロレンズ20cは、実施形態1の様に、上下両方向に凸形状であっても良いし、実施形態2の様に下方にのみ凸形状であっても良く、また、実施形態3の様に、上方にのみ凸形状であっても良い。
【0067】
本構成では、実施形態1から3の様に、マイクロレンズを介する光クロストークを完全に防止する事は出来ないが、一定の防止効果を実現できる。
【0068】
マイクロ発光素子100から、透明部11c内に放出された光の内、透明部11cの側壁11Scに入射する角度大きい光は、全反射によって、外部には放出されない。図7に示す様に、側壁11Scが光放出面130に対して垂直な場合、側壁11Scへの入射角度θsと光放出面130からの放出角度θeとは、両者の和が90度となる関係(θs+θe=90°)にある。
【0069】
側壁11Scの全反射臨界角をθcとすると、θe≦90°-θcの関係を満たす光は側壁11Scから、外部へは放出されない。一方、側壁11Scから外部へ放出される光は、θe>90°-θcの場合である。この様な光は、近隣の画素の透明部11cに入射して、マイクロレンズ20cを介して外部へ放出されたとしても、前方方向からおおきくずれた方向へ放出される為に、画質には大きな影響を与えない。
【0070】
マイクロレンズ20cを介した光クロストークにおいて、最も大きな問題は、隣接画素から入射する光の内、マイクロレンズ20cの光軸となす角度が小さな光である。この様な光は、側壁11Scの上部を通過する。光放出面130から離れる程、側壁11Scへの入射角度θsは小さくなる為、問題となる光は全反射によって、透明部11cから外部へ出ることを防止できる。
【0071】
図7の様な構成は、アスペクト比の高い画素間側壁10を形成する必要が無いと言う利点を有する。ネガレジストタイプの透明樹脂を使えば、フォトリソグラフィ技術のみで、透明部11cを形成できる。低屈折率樹脂層を形成した後に、フォトリソグラフィ技術と、ドライエッチング技術を用いて、溝を設けても良い。透明部11cを形成した後に、その上面にマイクロレンズ20cを形成する事は容易である。
【0072】
本実施形態において、駆動回路基板50側から、マイクロ発光素子100、透明部11c、マイクロレンズ20cの順に配置されており、マイクロ発光素子100は、駆動回路基板50とは反対方向に光を放出する。
【0073】
本実施形態においても、実施形態1と同様の効果を実現できる。更に、簡便な製造方法を使用できると言う副次的効果も実現できる。
【0074】
〔実施形態5〕
実施形態5について、図8用いて説明する。本実施形態の画像表示素子200dは、実施形態4と類似であるが、低い画素間側壁10dを有している点に於いて異なる。図8に示す様に、マイクロ発光素子100と接する側の、透明部間には、画素間隔壁10dが設けられている。
【0075】
実施形態4の構成では、表示画像の品質に関する直接的な影響は低減できるが、マイクロレンズ20cから外部へ放出されて、迷光となる様な光の放出は防げない。画像表示素子200cでは、θe>90°-θcの関係にある光は、側壁11Scから、外部へは放出され、隣接画素の透明部11cに入射し、マイクロレンズ20cを介して、外部へ放出される場合が有る。
【0076】
この様な光は、前方に対して大きな角度で放出される為、表示機器の筐体等に当たり、迷光となって、コントラストを低下させる場合がある。この様な光は、側壁11Scの低い位置(光放出面130に近い位置)から放出される。画素隔壁10dは側壁11Scの低い部分を覆う事で、前述の様な迷光の発生を防止する事が出来る。
【0077】
図8に示す様に、画素5の水平面方向の長さをLとすると、画素間隔壁10dの光放出面130からの高さHは、次の関係を満たす事が好ましい。
H ≧ L・tanθc
この関係を満たしているなら、側壁11Scに入射する光の内、全反射臨界角θcより小さな入射角で入射する光は、画素間隔壁10dによって反射され、外部には放出されない。
【0078】
画素間隔壁10dは透明部11c間を埋めても良いし、透明部11cの側壁11Scを覆う反射薄膜であっても良い。このように、マイクロ発光素子と接する側の、前記透明部の側壁には、反射膜が設けられている。
【0079】
なお、本実施形態において、透明部11c間には画素間空隙12dが設けられている。
【0080】
本実施形態においても、実施形態1と同様の効果を実現できる。更に、迷光の発生を低減すると言う副次的効果も実現できる。
【0081】
〔実施形態6〕
実施形態6について、図9を用いて説明する。本実施形態の画像表示素子200eは、マイクロレンズが実施形態2と同様に、厚いマイクロレンズ保持部21aを有し、下面側に凸形状を有している。又、実施形態4の様に、マイクロレンズ20aと光放出面130の間に、透明部11eを配置しており、透明部11e間には画素間空隙12eが設けられている。
【0082】
画像表示素子200eは、マイクロレンズアレイと透明部11eを、独立に製造する事が出来ると言う利点を有している。マイクロレンズ20aの下面側に形成した透明部11を、駆動回路基板50上のマイクロ発光素子100に貼り合せる事で、画像表示素子200eを製造できる。透明部11eがマイクロレンズアレイを、マイクロ発光素子100に対して固定し、適正な距離を保つことが出来る。
【0083】
本実施形態においても、実施形態1と同様の効果を実現できる。
【0084】
〔実施形態7〕
実施形態7について、図10を用いて説明する。本実施形態の画像表示素子200fは、各マイクロ発光素子100が固有のマイクロレンズ20fを有している点で、実施形態1と異なる。それ以外の点は、実施形態1と同様である。このように、画素5は、互いに異なる波長で発光する複数のマイクロ発光素子100を含み、画素5は、前記複数のマイクロ発光素子100毎にマイクロレンズを有している。
【0085】
実施形態1の様に、画素5全体で1個のマイクロレンズ20を共有する構造は、マイクロレンズを大きくする事ができ、各マイクロ発光素子100から発せられる光を多く集光できると言う利点がある。
【0086】
しかしながら、赤色マイクロ発光素子100Rが、青色光を波長変換する事で、赤色光を発している場合には、青色マイクロ発光素子100Bが発した光の一部が、マイクロレンズ20の下面や、画素間隔壁10等によって反射されて、赤色マイクロ発光素子100Rに入射する事で、赤色光を発する場合が有る。
【0087】
各マイクロ発光素子100を画素間隔壁10fによって区切り、それぞれにマイクロレンズ20fを配置する事で、この様な混色の発生を完全に防止する事が出来る。
【0088】
本実施形態においても、実施形態1と同様の効果を実現できる。更に、画素内での混色の発生を防止できると言う副次的効果も実現できる。
【符号の説明】
【0089】
100 マイクロ発光素子
100B 青色マイクロ発光素子
100R 赤色マイクロ発光素子
100G 緑色マイクロ発光素子
110 発光素子間隔壁
130 光放出面
1 画素領域
5 画素
10、10f 画素間隔壁
11、11c、11e 透明部
11Sc 透明部側壁
10S 画素間隔壁側面
12、12d、12e 画素間空隙
15、15f 光路部
20、20a、20b、20c、20f マイクロレンズ
21、21a、21b、21f マイクロレンズ保持部
22 マイクロレンズアレイ
50 駆動回路基板
200、200a、200b、200c、200d、200e、200f 画像表示素子
θe マイクロ発光素子の光放出角度
θs 透明部側壁への光の入射角度
θc 透明部11の全反射臨界角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11