(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240924BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240924BHJP
B65H 43/08 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G15/00 460
B65H43/08
(21)【出願番号】P 2020202978
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彩衣
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 修
(72)【発明者】
【氏名】梅田 健介
(72)【発明者】
【氏名】小林 進介
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-155493(JP,A)
【文献】特開平04-170567(JP,A)
【文献】特開2000-072282(JP,A)
【文献】特開2013-015548(JP,A)
【文献】特開2016-156854(JP,A)
【文献】特開2010-228854(JP,A)
【文献】特開2007-269464(JP,A)
【文献】米国特許第05974283(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 15/00
B65H 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成された画像を記録材に定着する定着手段と、
前記定着手段により画像が定着された記録材と当接し記録材をガイドする第1の回転体であって、記録材が搬送されることによって従動して回転する第1の回転体と、
前記第1の回転体より記録材の搬送方向において下流側で前記定着手段により画像が定着された記録材と当接し記録材をガイドする第2の回転体であって、記録材が搬送されることによって従動して回転する第2の回転体と、
前記第2の回転体を支持する支持手段と、
前記第1の回転体及び前記第2の回転体によりガイドされている記録材を画像形成装置の外に排出するための排出手段と、を備え、
前記第1の回転体は記録材と当接することで揺動せず、
前記第2の回転体は、記録材と当接することで
、前記支持手段とともに、回動軸を中心に円弧上を揺動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着手段により画像が定着された記録材と当接し、記録材の搬送方向を前記定着手段に搬送されている第1の搬送方向から、前記第1の回転体へと向かう第2の搬送方向に変更する第1のガイド部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の回転体及び前記第2の回転体によりガイドされている記録材と当接し、記録材の搬送方向を前記第1の回転体及び前記第2の回転体にガイドされている第3の搬送方向から、前記排出手段へと向かう第4の搬送方向に変更する第2のガイド部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の回転体は、記録材に当接していない状態では、前記第1の回転体より前記搬送方向において上流側に位置しており、記録材に当接している状態では、前記第1の回転体より前記搬送方向において下流側に揺動して移動することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の回転体は、第1の厚みの第1の記録材に当接すると、第1の移動量で揺動して第1の位置に移動し、前記第1の厚みより薄い第2の厚みの第2の記録材に当接すると、前記第1の移動量より少ない第2の移動量で揺動して第2の位置に移動することを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の回転体の揺動に応じて、記録材の有無を検知する検知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の回転体と前記第2の回転体は、前記搬送方向と直交する記録材の幅方向において、異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の回転体は、前記幅方向における両端部に配置され、前記第2の回転体は、前記幅方向における中央部に配置されることを特徴とする請求項
7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・レーザービームプリンタ・LEDプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、記録材の搬送状態を検知するためのセンサが記録材の搬送路上に配置されていた。センサのひとつは、定着器の直後に配置され、画像が定着された記録材の搬送状態を検知する。このようなセンサは排紙センサとも称される。例えば、排紙センサは、定着ローラや定着フィルムへ記録材が巻き付く巻き付きジャムが発生していないかを検知できる。また、記録材が排紙センサを抜けたことを検知でき、記録材を両面搬送路に反転させる制御を行うこともできる。このような排紙センサは、バネによって付勢されて、記録材が排紙センサの検知領域を搬送されることにより揺動するフラグとして構成されている。
【0003】
このように、排紙センサは記録材と摺擦するため、例えば記録材上に形成されている画像を削り取ったりしてしまうことで画質を低下させてしまう虞がある。よって、特許文献1においては、記録材と接触する排紙センサの先端部分に従動回転するコロを設ける構成とすることで、画質の低下を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、定着器を抜けた記録材の搬送方向は変わることなく、排紙センサに検知され、排紙ローラへと搬送される構成が開示されている。しかし、例えば
図9に示す画像形成装置1000のように、定着器1056を抜けた記録材の搬送方向を第1の搬送方向から第2の搬送方向に切り替えたのちに、排紙ローラ1014へと搬送される構成がある。このような画像形成装置においては、定着器1056から排紙ローラ1014へと搬送不良の発生や画質の低下を抑制して記録材を搬送することが望まれる。特許文献1において開示されるような部材を定着器1056の後に配置することによって、画質の低下を抑制することはできるかもしれないものの、搬送不良の発生を抑制して記録材を搬送することも望まれる。
【0006】
本出願にかかる発明は、上記のような状態を鑑みてなされたものであり、定着器から排紙ローラまで、搬送不良の発生や画質の低下を抑制して記録材を搬送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、記録材に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された画像を記録材に定着する定着手段と、前記定着手段により画像が定着された記録材と当接し記録材をガイドする第1の回転体であって、記録材が搬送されることによって従動して回転する第1の回転体と、前記第1の回転体より記録材の搬送方向において下流側で前記定着手段により画像が定着された記録材と当接し記録材をガイドする第2の回転体であって、記録材が搬送されることによって従動して回転する第2の回転体と、前記第2の回転体を支持する支持手段と、前記第1の回転体及び前記第2の回転体によりガイドされている記録材を画像形成装置の外に排出するための排出手段と、を備え、前記第1の回転体は記録材と当接することで揺動せず、前記第2の回転体は、記録材と当接することで、前記支持手段とともに、回動軸を中心に円弧上を揺動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、定着器から排紙ローラまで、搬送不良の発生や画質の低下を抑制して記録材を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】定着部、排紙ガイド部、及び排紙部を拡大した概略構成図
【
図3】定着後ガイドを画像形成装置の本体前面側からみた場合の模式図
【
図5】定着部、排紙ガイド部、及び排紙部を拡大した概略構成図
【
図6】排紙センサと定着後ガイドを画像形成装置の本体前面側からみた場合の模式図
【
図7】定着部、排紙ガイド部、及び排紙部を拡大した概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施例1]
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲の発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組合せの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
[画像形成装置50の全体構成]
図1は、画像形成装置50の概略構成図である。ここではまず、画像形成装置50の全体構成、続いて画像形成動作全体の流れについて説明する。
図1において、画像形成装置50は、以下の部材を含む。画像形成手段としての画像形成部52、画像形成部52に例えば紙である記録材Sを給送する給紙部53。さらに、画像形成部52で形成された画像を記録材Sに定着する定着手段としての定着器である定着部56、定着部56により定着された記録材Sを排紙部55へ導くための排紙ガイド部51。記録材Sを画像形成装置外に排出する、又は片面に画像が形成された記録材Sを反転させる排紙部55、排紙部55により反転された記録材Sを画像形成部52に再度搬送するための反転搬送部。
【0012】
画像形成部52は、像担持体としての感光ドラム1、感光ドラム1を所定の電位に一様に帯電する帯電ローラ2、感光ドラム1上に静電潜像を形成するレーザスキャナ3を含む。さらに、感光ドラム1上に形成された静電潜像をトナー像(以下、画像とも称する)として現像する現像ローラ4、感光ドラム1上の画像を記録材Sに転写する転写ローラ5を含む。
【0013】
給紙部53は、記録材Sを積載する給紙トレイ11と、給紙トレイ11上の記録材Sを1枚ずつ給送する給送ローラ12とを含む。
【0014】
定着部56は、熱源である加熱ヒータ13、加熱ヒータ13を保持するヒータホルダ18、加熱ヒータ13及びヒータホルダ18を内包する定着フィルム6を含む。さらに、定着フィルム6を介して加熱ヒータ13およびヒータホルダ18と圧接されて定着フィルム6を挟持した状態で加熱ヒータ13と定着ニップ部を形成する加圧ローラ7を含む。記録材S上の画像は、定着フィルム6と加圧ローラ7の間に形成された定着ニップ部で定着フィルム6を介して加熱されることで定着される。
【0015】
排紙ガイド部51は、定着部56により画像が定着された記録材Sの先端、あるいは記録材Sの非画像形成面と接触する2つのガイドを含む。定着後ガイド101は、定着部56の直後に配置され、記録材Sの搬送をガイドする。定着後上ガイド102は、定着後ガイド101よりも排紙部55側で、画像形成装置本体における上側に配置されており、上凸形状を有するガイドである。
【0016】
排出手段としての排紙部55は、すべての画像形成プロセスが終了した後の記録材Sを画像形成装置50外に排出する排出ローラ14と、排紙ローラ14に対向して従動回転する排紙コロ15を含む。さらに、排紙ローラ14が排出した記録材Sを積載する排紙トレイTを含む。排紙ローラ14は、回転方向を切り替える(スイッチバック搬送)ことが可能であり、1面目の画像形成プロセスが終了した後の記録材Sをスイッチバックして、反転搬送部54に搬送することもできる。
【0017】
反転搬送部54は、排紙ローラ14により反転搬送された記録材Sを搬送するための再搬送ローラ対17と、再搬送ローラ対17に記録材Sをガイドするための両面搬送ガイド16を含む。さらに、再搬送ローラ対17に記録材Sを搬送するための上流側反転搬送路R1と、反転時における記録材Sの先端(1面目における搬送方向の後端)を両面搬送ガイド16にガイドするために、記録材Sの先端を持ち上げる反転下ガイドコロ19を含む。さらに、再搬送ローラ対17よりも記録材Sの搬送方向下流側に配置され、略U字状の形状をした下流側反転搬送路R2を含む。
【0018】
[画像形成装置50の画像形成動作]
次に、画像形成装置50における画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始される際、まず不図示の制御部からの給紙開始信号に応じて、給送ローラ12が回転を開始し、給紙トレイ11上に積載された記録材Sを給紙する。給送ローラ12により給紙された記録材Sは、記録材Sの搬送方向における上流側に設けられた搬送ローラ9により搬送される。搬送ローラ9により搬送された記録材Sを、不図示のレジセンサが検知すると、制御部は所定時間経過後、レーザスキャナ3により画像情報に基づいたレーザ光Lを照射する。
【0019】
画像形成動作が開始されると、感光ドラム1は矢印方向に回転し、帯電ローラ2によって所定の極性、所定の電位に一様に帯電される。表面が帯電された感光ドラム1に、レーザ光Lが照射されると、感光ドラム1上には静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像ローラ4によってトナーにより現像されて画像として可視化される。可視化された感光ドラム1上の画像は、転写ローラ5により記録材S上に転写される。
【0020】
画像が転写された記録材Sは、定着部56に搬送される。定着フィルム6と加圧ローラ7の間に形成された定着ニップ部で、記録材Sを搬送すると共に、記録材S上に形成された画像を加熱、加圧することで、記録材Sに画像が定着される。画像が定着された記録材Sは、排紙ガイド部51の定着後ガイド101、及び定着後上ガイド102によって先端の軌道を、徐々に排紙部55に向かうように変更される。排紙部55にガイドされた記録材Sは、排紙ローラ14によって画像形成装置50外に排出され、排紙トレイT上に積載される。
【0021】
記録材Sの両面に画像を形成する場合は、以下のような両面印刷動作を行う。定着部56と排紙ローラ14との間に設けられた不図示の反転センサが記録材Sの後端を検知すると、制御部は記録材Sの後端が定着後ガイド101の先端Qを通過した後に、排紙ローラ14を逆方向に回転させる。この時、記録材Sの後端は、排紙ローラ14に2つ対向して設けられた排紙コロ15によって、画像形成装置50本体の上方向に持ちあげられた格好となる。
【0022】
また、例えば記録材Sが薄紙のようなコシの弱い紙である場合や、カールしている場合など、記録材Sの後端が定着部56側に垂れやすい場合もある。このような場合には、定着後ガイド101の先端Qよりも上側に配置されている反転下ガイドコロ19によって、記録材Sの後端が持ち上げられるようになっている。なお、反転下ガイドコロ19は、記録材Sの画像が形成されている1面目側に配置されている。よって、記録材Sの表面と接触すると画像に傷がついてしまう可能性があるため、記録材Sの搬送にあわせて従動回転することが可能なコロ形状となっている。
【0023】
このような構成により、記録材Sの先端(1面目の後端)を両面搬送ガイド16に搬送することができ、両面搬送ガイド16に沿って上流側反転搬送路R1に記録材Sが搬送される。記録材Sは、上流側反転搬送路R1を通過して再搬送ローラ対17に達した後、再搬送ローラ対17により搬送されて下流側反転搬送路R2を通過して搬送ローラ9に案内される。そして記録材Sは、再び画像形成部52に搬送されて、2面目に画像が形成される。2面目に画像が形成された記録材Sは定着部56により再度定着が行われた後、排出ローラ14により画像形成装置50外に排出され、排紙トレイT上に積載される。
【0024】
[排紙ガイド部の構成]
排紙ガイド部51の定着後ガイド101、及び定着後上ガイド102の詳細な構成について、
図2と
図3を用いて説明する。
図2は、定着部56、排紙ガイド部51、及び排紙部55を拡大した概略構成図である。
図3は、定着後ガイド101を画像形成装置50の本体前面側からみた場合の模式図である。
【0025】
定着後ガイド101は、定着ニップ部の直後に配置されており、定着ニップ部から排出された記録材Sの先端を定着後上ガイド102へ案内する。なお、本実施例においては、定着ニップ部によって画像が定着された記録材Sは、定着ニップ接線LNipに対して約6度傾いた図中の定着排出線Lpに沿って排出される。これは、定着ニップ部を通過した後の記録材Sが定着フィルム6から分離しやすいように、定着フィルム6に内包されるヒータホルダ18が、記録材Sの搬送方向の下流側において加圧ローラ7側に突出した凸部61を有しているためである。
【0026】
定着後ガイド101は、定着排出線Lpに対して約30度傾いた斜面Cを形成しており、定着ニップ部から定着排紙線Lpの傾きで排出された記録材Sの先端を、この斜面Cでガイドして定着後上ガイド102に記録材Sを搬送させる。なお、
図3に示すように、斜面Cは記録材Sが定着後ガイド101に貼りついてしまうことのないよう、記録材Sの搬送方向と直交する記録材Sの幅方向である長手方向の全域にリブ105が配置されている。
【0027】
定着後ガイド101の先端Qの位置は、両面搬送ガイド16よりも下側で、且つ反転下ガイドコロ19に対して十分な間隔をあけた位置となっている。これは、定着後ガイド101の先端Qが、記録材Sをスイッチバック搬送した場合の記録材Sの先端(1面目における後端)の軌道と干渉しないようにするためである。反転下ガイドコロ19の位置に対する間隔が狭すぎると、記録材Sが通らず搬送できなくなってしまう。一方、反転下ガイドコロ19の位置に対する間隔が広すぎると、両面印字時に記録材Sをスイッチバック搬送した場合に、記録材Sの先端(1面目における後端)が定着部56側に戻ってしまい、両面搬送できなくなってしまう。よって、定着後ガイド101の先端Qの位置は、前述した広すぎず狭すぎずの関係が成り立つような位置となっている。
【0028】
本実施例における定着後ガイド101の先端Qの位置には、記録材Sが通過することによって従動回転する第1の回転体としてのコロ103が設けられている。コロ103は、直径4mmφ、長手方向の幅5mmの円筒状の形状をしており、長手方向に2つ設けている。また、コロ103よりも記録材Sの搬送方向における上流側の位置に、第2の回転体としてのコロ104が設けられている。コロ104もコロ103と同様に、直径4mmφ、長手方向の幅は5mmの円筒状の形状である。
【0029】
コロ103、及びコロ104の材質は、コロ103とコロ104が定着ニップ部から排出された高温の記録材Sと直接接触するものであることから耐熱性が要求される。耐熱温度は180℃以上のものが好ましい。また、両面印字時の記録材Sの1面目がコロ103とコロ104に接触するが、記録材Sの表面に形成された画像は定着部56で定着された直後であるためまだ半溶融状態である。このような状態の画像と接触するコロ103、及びコロ104が画像を傷つけないためには、溶融トナーに対する離型性が要求される。本実施例においては、コロ103、及び104の材質はフッ素樹脂であるPTFEを用いた。なお、PFAやFEP、耐熱グレードのPOMなど、必要な耐熱性と離型性を兼ね備える樹脂であれば他の樹脂でもよい。
【0030】
コロ104は、支持部材106によって支持されている。コロ104は回動軸を中心に円弧上を揺動可能な構成である。また、支持部材106は記録材Sの搬送方向における下流側に揺動可能な構成となっている。つまり、支持部材106に支持されているコロ104も回転軸を含めて揺動可能な構成である。また、支持部材106は、バネ107によって付勢されている。バネ107で付勢された状態のコロ104は、定着後ガイド101の先端に設けられたコロ103に対して、記録材Sの搬送方向における上流側の位置K0に配置されている。記録材Sが搬送されてくると、記録材Sが通過することによりバネ107の付勢力に抗して、コロ104が
図2中の破線で示した位置K1~K3に揺動可能となっている。
図2に示すように、位置K1~K3は、コロ103よりも記録材Sの紙搬送方向における下流側である。つまり、揺動可能なコロ104は、記録材Sが搬送されてきて記録材Sと当接している状態においては、コロ103よりも記録材Sの搬送方向において下流側に位置する状態となる。また、支持手段としての支持部材106にはストッパー108が設けられており、ストッパー108が画像形成装置50内の壁と突き当たることで、コロ104が揺動可能な範囲が位置K0から位置K3までとなるように規制されている。
【0031】
コロ104は、定着後ガイド101の先端に回転軸が固定されて設けられたコロ103と共に、記録材Sの表面を非印字面側から支えて、記録材Sの搬送を安定させる役割を担う。コロ104とコロ103が成す面で記録材Sを支えることにより記録材Sの搬送を安定させることから、コロ103とコロ104は、長手方向の位置が重ならないように配置される方が、少ないコロで記録材Sを支持する面を形成することができる点で好ましい。本実施例においては、
図3に示すように、定着後ガイド101の長手方向の幅が、画像形成装置で画像形成することが可能な最大幅であるLTRサイズ幅の216mmに対応できるよう232mmとなっている。そして、定着後ガイド101の長手方向における中央部から約65mm離れた両端部に2つのコロ103を配置しており、1つのコロ104は、2つのコロ103の間の長手方向における中央部に配置されている。これにより、2つのコロ103と1つのコロ104の3つにより記録材Sを面で安定してガイドすることができる。
【0032】
このように、本実施例の定着後ガイド101は、非画像形成領域である記録材Sの先端を斜面Cのリブ105に接触させて、記録材Sの先端の軌道を定着後上ガイド102に向かうように変更している。一方で、画像形成領域である記録材Sの1面目には、先端Qに回転軸を固定したコロ103、及び支持部材106とともに揺動可能なコロ104に接触させる。そのため、画像形成領域である記録材Sの1面目と定着後ガイド101のリブ105は接触しないため、記録材Sの1面目に形成された画像に傷をつけてしまうことを抑制できる。なお、ここでいう非画像形成領域とは記録材Sの先端から5mm以内の領域のことを指し、好ましくは2mm以下である。また、画像形成領域である記録材Sの1面目とは、非画像形成領域以外の領域のことを指す。
【0033】
なお、定着後ガイド101は、定着部56から第1の搬送方向に搬送されている記録材Sを、コロ103へと向かう第2の搬送方向に変更する第1のガイド部であるともいえる。さらに、定着後上ガイド102は、コロ103及びコロ104にガイドされて第3の搬送方向に搬送されている記録材Sを、排紙部55へと向かう第4の搬送方向に変更する第2のガイド部であるともいえる。
【0034】
[記録材Sの搬送状態]
次に、
図4を用いて記録材Sの搬送状態とコロ103、104の動作について説明する。
図4(a)は、記録材Sの先端が定着ニップ部を抜けた後、定着後ガイド101に接触し、定着後ガイド101の傾きに沿って搬送された後、コロ104を支持する支持部材106に接触する直前の様子を示している。記録材Sがまだ通過する前のコロ104は、定着後ガイド101の先端に設けられたコロ103に対して、記録材Sの搬送方向における上流側の位置K0に付勢されている。
【0035】
図4(b)は、
図4(a)の状態から記録材Sがさらに搬送されて、記録材Sの先端が支持部材106を押し上げた状態を示している。記録材Sの先端が支持部材106に接触すると、記録材Sの搬送力により支持部材106は揺動を開始し、画像形成装置50の上側に持ち上げられる。記録材Sが搬送されていくと、支持部材106は徐々に持ち上げられ、記録材Sは定着後ガイド101の先端に設けられた
図4(b)における点線で示したコロ103に接触する。
【0036】
図4(c)は、
図4(b)の状態から記録材Sがさらに搬送されて、記録材Sが定着後上ガイド102に接触する直前の様子を示している。記録材Sの先端がコロ103を通過した後、コロ103は記録材Sの表面と接触する。ここからさらに記録材Sが搬送されると、記録材Sの表面とコロ104も接触する。コロ104は、コロ104の支持部材106がバネで付勢されている構成であるために、記録材Sのコシによって、
図4(c)の点線で示したK1からK2の間に移動し、記録材Sを支持する。コロ104の付勢力と記録材Sのコシのバランスによって、例えば第1の厚みの第1の記録材Sが搬送されると、コロ104の位置が位置K2となる。第1の記録材Sは
図4(c)の点線で示したS2の軌道で搬送される。コロ104は、位置K0から第1の移動量で揺動して第1の位置としての位置K2に移動したともいえる。
【0037】
一方、例えば第1の厚みより薄い第2の厚みの第2の記録材Sが搬送される場合は、コロ104の付勢力と記録材Sのコシのバランスによって、コロ104の位置が位置K2よりも反転下ガイドコロ19に近い位置K1となる。第2の記録材Sは
図4(c)の実線で示したS1の軌道で搬送される。コロ104は、位置K0から第1の移動量よりも少ない第2の移動量で揺動して第2の位置としての位置K1に移動したともいえる。
【0038】
例えば薄紙のようなコシが弱い記録材Sが、S2の軌道で搬送されて定着後上ガイド102に突入角が大きい状態で接触した場合、記録材Sの先端が折れて搬送不良(以下、ジャムとも称する)となってしまう虞があった。本実施例のように、揺動可能なコロ104の付勢力によって、薄紙の場合は記録材Sの軌道をS1のように、S2よりも突入角を小さくすることができる。よって、記録材Sの種類に応じて適切な記録材Sの搬送軌道をとることができるため、定着後上ガイド102におけるジャムの発生を抑制できる。なお、コロ104が位置K1にある場合も位置K2にある場合も、記録材Sの表面はコロ103とコロ104のみによって支持されており、定着後ガイド101のリブ105には接触しない。
【0039】
ここで、定着後上ガイド102について説明する。定着後上ガイド102は、
図4(c)に示すように2つの斜面A、Bを有しており、上凸形状を有している。定着後上ガイド102の斜面Aは、定着排出線Lpに対して定着後ガイド101の傾きよりもさらに大きい角度で傾いている。斜面Aは、定着後ガイド101と共に、定着部56の定着ニップ部を出た記録材Sの向きを変更させて、排紙部55の方向に記録材Sの先端をガイドする。なお、本実施例において、定着後上ガイド102の斜面Aは定着排出線Lpに対して約60度傾いた構成となっている。定着後上ガイド102の斜面Aは、両面印字時に記録材Sをスイッチバック搬送する場合に、2つの排紙コロ15、もしくは反転下ガイドコロ19により持ち上がった記録材Sの先端(1面目における後端)を、両面搬送ガイド16に向けてガイドすることもできる。
【0040】
定着後上ガイド102の斜面Bは、記録材Sの先端が排紙ローラ14、及び排紙コロ15によって形成される排紙ニップ部にスムーズに搬送されるようにガイドする。そのため、排紙ローラ14側から排紙コロ15側に向かう斜面を形成しており、斜面Aとは逆の傾きで構成されている。このように、定着後上ガイド102は、役割の異なる斜面A、及び斜面Bを有し、それらを緩やかなRを描いて繋いだ形状となっている。また、定着後上ガイド102も、定着後ガイド101と同様の理由で、リブで構成されている。定着後上ガイド102は、画像形成領域ではない記録材Sの先端が接触して、記録材Sの先端の搬送方向を変えるようにガイドする。
【0041】
図4(d)は、
図4(c)の状態から記録材Sがさらに搬送されて、記録材Sの先端が定着後上ガイド102の斜面Bによって排紙ニップ部に案内された後の様子を示している。なお、排紙部55の排紙ローラ14による記録材Sの搬送速度は、定着部56における記録材Sの搬送速度よりも、遅い速度に設定されている。この理由は、反転下ガイドコロ19が配置されているために、定着部56よりも排紙部55の記録材Sの搬送速度が速くなってしまうと、記録材Sが反転下ガイドコロ19に強く擦れてしまう虞があるためである。反転下ガイドコロ19は、記録材Sが当接しても従動回転可能である構成ではある。しかし、定着部56と排紙部55で記録材Sが引っ張られてテンションがかかった状態で反転下ガイドコロ19に強く記録材Sが当接してしまうと、記録材S上の画像に傷がついてしまう虞がある。そのため、定着部56よりも排紙部55における記録材Sの搬送速度は遅く設定し、記録材Sが定着部56と排紙部55の間でループを作るように制御している。よって、
図4(d)に示したように、記録材Sの先端が排紙ローラ14と排紙コロ15に突入した後の記録材Sは、定着部56と排紙部55の間でループを形成する状態となる。
【0042】
記録材Sのループは、コシの強い記録材S(例えば、厚紙)であるほど、元の平らな状態に戻ろうとする復元力が大きいため、記録材Sの曲率が緩くなる大きい曲率半径の軌跡を描くようになる。比較例として、
図11に固定コロ103のみが配置されている場合の構成で、記録材Sが排紙部55と定着部56の間でループを形成している状態について示す。比較例の
図11においては、コロ103が一段しかないため、記録材Sのループがコロ103を巻き込むようにして成長し、ループが大きくなりすぎる場合があった。このように記録材Sのループが大きくなりすぎると、定着後上ガイド102に記録材Sの1面目が接触してしまう場合があり、一面目の画像に傷をつけてしまう虞がある。
【0043】
そこで、本実施例においては、定着後ガイド101に固定されたコロ103の他に、揺動可能なコロ104が設けられている。このコロ104の可動域は、支持部材106のストッパー108によって制限されていることで、
図4(d)における位置K3までとなっている。位置K3において、コロ104はコロ103と共に記録材Sの表面を支える構成となっている。つまり、記録材Sの表面が1段目の2つのコロ103と、2段目の1つのコロ104が成す三角形の面で支えられる状態となる。これにより、記録材Sのループが大きく成長しすぎないようになっていることで、記録材Sの表面が定着後上ガイド102に摺擦してしまうことを抑制することができる。
【0044】
なお、揺動可能な支持部材106に支持される揺動可能なコロ104は、可動コロとも称する。また、定着後ガイド101の先端Qに設けられたコロ103は、固定コロとも称する。また、コロ103、104の長手方向の位置や個数は、画像形成装置50の全体の大きさや定着ニップ接線LNipの角度、定着排出線Lpの角度、定着後ガイド101のリブ105の高さや角度、記録材Sの坪量などによって、適宜選択することが可能である。
【0045】
[効果]
次に、表1、
図4、
図10、
図11を用いて本実施例における効果について説明する。なお、表1は、以下に本実施例の構成と、従来例、比較例の、現象と効果について一覧化したものである。
【0046】
なお、表1において「厚紙の画像傷」とは、記録材Sが定着部56と排紙部55で形成するループによって、定着後上ガイド102に記録材Sの表面が摺擦してしまうことによる、画像の傷の発生有無について示している。特に、記録材Sのコシが強い厚紙で発生しやすく、画像に傷が発生する場合を×、発生しない場合を〇と表記する。また、表1において「薄紙ジャム」とは、記録材Sが定着後上ガイド102に接触することによって発生する搬送不良について示している。記録材Sに搬送不良が発生した場合を×、発生しない場合を〇と表記する。また、表1において「定着後ガイド101による画像傷」とは、定着後ガイド101と記録材Sの表面が摺擦してしまうことによる、画像の傷の発生有無について示している。画像に傷が発生する場合を×、発生しない場合を〇と表記する。
【0047】
【0048】
本実施例の構成であれば、
図4(d)に示したように、1段目の固定されたコロ103と2段目の揺動可能なコロ104の2段構成になっている。これらコロが作る面で記録材Sの表面を支えることができるため、定着部56と排紙部55でのループが大きくなりすぎることなく、記録材Sが定着後上ガイド102に摺擦することを抑制することができる。よって、コシの強い厚紙においても画像の傷が発生することを抑制できる。また、2段目が揺動可能なコロ104となっていることで、コシの弱い薄紙は
図4(c)のS1の軌道で搬送されるようになっている。そのため、定着後上ガイド102への突入角が大きくなりすぎず、ジャムの発生を抑制できる。また、記録材Sの画像形成領域には、コロ103とコロ104のみが当接する構成になっているため、定着後ガイド101のリブ105による画像の傷が発生することも抑制することができる。
【0049】
次に、従来例ついて説明する。
図10は従来例のガイド構成を示している。従来例では、定着後ガイド501にコロが設けられていない構成となっている。定着部56から排出された記録材Sは、定着後ガイド501によって搬送方向が変更されるようにガイドされる。この際に、記録材Sの一面目の画像と定着後ガイド501のリブ505が摺擦してしまうので、画像に傷が発生してしまう。ただし、従来例のように、記録材Sの表面を定着後ガイド501のリブ505で支持する構成であれば、厚紙でも定着部56と排紙部55におけるループが大きくなりすぎることは抑制できる。そのため、記録材Sの表面が定着後上ガイド102に摺擦して発生する画像の傷は抑制できる。また、薄紙も定着後ガイド501に設けられた複数のリブ505によって記録材Sの表面を直接ガイドするため、記録材Sの先端が極端に定着後上ガイド102の斜面A側に接触することは抑制できる。つまり、薄紙のジャムを抑制できる。
【0050】
次に、比較例1について説明する。
図11は比較例1のガイド構成を示している。比較例1では、固定されたコロ103のみが設置された構成となっている。前述したように、定着部56と排紙部55でループを形成した場合、コロ103のみ一段しかないと、記録材Sのループが大きくなりすぎて、定着後上ガイド102に記録材Sが接触してしまい、画像に傷をつけてしまう場合があった。
【0051】
また、記録材Sを定着後上ガイド102の斜面B側に導く構成となっていないため、コシの弱い薄紙を搬送した場合、定着後上ガイド102の斜面A側に記録材Sが接触するようになってしまう。
図12は、
図11と同様の定着後ガイド101の先端にコロ103が設置されている構成で、薄紙が搬送された場合を示している。このコロ103は、長手方向の略中央部に2つ配置されている。また、定着後ガイド101の斜面はリブ105で構成されており、記録材Sの先端は、定着後ガイド101のリブ105によって、定着後上ガイド102へ向かうようにガイドされる。しかし、記録材Sの先端がコロ103を通過し、記録材Sの表面がコロ103に当接した後については、リブ105に記録材Sが接触しないように、リブ105はコロ103に対して記録材Sの軌道から離れた位置に配置されている。このような構成であるため、記録材Sがコロ103によって支えられている部分については、定着後上ガイド102にスムーズに案内される。一方で記録材Sの長手方向の端部については、コロ103による支えがないため、定着後上ガイド102の画像形成装置の背面側に向かって搬送されてしまう場合があった。そのため、記録材Sの長手方向の端部は、定着後上ガイド102への突入角が大きくなり、記録材Sの先端が折れてしまいジャムを発生させてしまう。
【0052】
次に、比較例2について説明する。比較例2では、コロは2段あるが両方とも回転軸中心が固定されている構成である。例えば、本実施例では揺動可能であるコロ104が
図4(c)に示すK2の位置に固定されている構成である。このような構成では、高温高湿環境に放置された薄紙など、搬送が安定し難いコシの弱い記録材Sを搬送する場合でもS2の軌道で定着後上ガイド102の斜面A側に記録材Sが接触することになる。薄紙のようにコシの弱い紙にとっては、比較例1で説明した場合と同様に、紙先端が折れてしまいジャムを発生させてしまう。
【0053】
このように、定着部56と排紙部55の間に、位置が固定されたコロ103と、揺動可能なコロ104を配置することで、搬送不良の発生や画質の低下を抑制して記録材Sを排紙部55に搬送することが可能となる。
図1に示した画像形成装置50のように、定着部56を通過した後の記録材Sの搬送方向を変更して排紙部55に搬送するような構成においては、画像形成装置50本体の高さを低くすることが可能となっている。このような構成で記録材Sの搬送方向をガイドする場合にも、定着部56と排紙部55の間に、位置が固定されたコロ103と、揺動可能なコロ104を配置することで、搬送不良の発生や画質の低下を抑制して記録材Sを排紙部55に搬送することが可能となる。
【0054】
[実施例2]
実施例2においては、コロ104、コロ104を支持する支持部材106が、記録材Sを検知するセンサを兼ねる構成について説明する。なお、画像形成装置など実施例1と同様の構成については、本実施例において詳しい説明を省略する。
【0055】
[排紙ガイド部の構成]
図5は、実施例2における定着部、排紙ガイド部、及び排紙部を拡大した概略構成図である。なお、先の
図2と同様の構成については同一の符号を付している。
【0056】
排紙センサ200は、定着部56の下流側に配置されており、定着フィルム6に記録材Sが巻き付く巻き付きジャムが発生していないかを検知できる。また、記録材Sが排紙センサ200を抜けたことを検知でき、記録材Sを両面搬送路に反転させる制御を行うこともできる。排紙センサ200は、バネ107によって付勢されており、記録材Sが通過することで揺動可能なフラグ206と、フラグ206の一部である遮光部材208によって光が遮光されることでオン、オフを検知することができるフォトセンサ210と、を含んでいる。また、記録材Sが通過することで揺動可能であり、記録材Sの搬送によって従動回転するコロ204と、を含んでいる。なお、先の
図2におけるコロ104が本実施例におけるコロ204に対応する。また、支持部材106が本実施例におけるフラグ206に対応する。フォトセンサ210が追加されたことによって、コロ104、コロ104を支持する支持部材106が、記録材Sを検知するセンサを兼ねる構成となっている。
【0057】
図5(a)に示すように、排紙センサ200の先端に設けられたコロ204は、記録材Sが排紙センサ200の検知領域に搬送されていない場合は、位置K0に配置されている。位置K0とは、定着後ガイド101の先端に設けられたコロ103に対して、記録材Sの搬送方向における上流側の位置である。記録材Sが排紙センサ200の検知領域に搬送されると、記録材S通過することによりバネ107の付勢力に抗して、コロ204が
図5(b)の位置K1に揺動可能な構成となっている。
【0058】
図6は、排紙センサ200と定着後ガイド101を画像形成装置50の正面側から見た構成を示している。排紙センサ200の長手方向の位置は、加熱ヒータ13の背面に配置されるサーミスタなどの温度検知素子250と同じ位置になるように配置されている。温度検知素子250は、通電発熱抵抗層の発熱に応じて昇温したセラミック基板の温度を検知する。温度検知素子250による温度検知に応じて、長手方向における端部にある不図示の電極部から通電発熱抵抗層に流す電流を制御することで、加熱ヒータ13の温度を調整する。
【0059】
また、加熱ヒータ13の背面には安全素子251も配置されている。温度検知素子250が故障した場合などにおいて、加熱ヒータ13に過剰な通電が行われると異常昇温してしまう虞がある。安全素子251は、異常昇温によって加熱ヒータ13に割れが生じ、発火することを防止するために、異常昇温時に通電を停止する。本実施例の安全素子251は、一般的なサーモスイッチであり、加熱ヒータ13に通電する導線に直列に接続されている。安全素子251の温度(加熱ヒータ13の背面温度)が270℃に到達すると、バイメタルの変形により加熱ヒータ13への通電が遮断される構造となっている。温度検知素子250が故障した場合でも、加熱ヒータ13の背面の温度が270℃になると安全素子251が通電を遮断することにより加熱ヒータ13の加熱が止まり、加熱ヒータ13が割れることによる発火を防止できる。
【0060】
このような安全素子251は、加熱ヒータ13の背面において、温度検知素子250と左右対称の位置に配置される。本実施例においては、安全素子251、及び温度検知素子250は、長手方向における中央部から30mmの位置に左右対称に配置される。そのため、排紙センサ200は、温度検知素子250と長手方向の位置を合わせるために、定着後ガイド101の長手方向における中央部から同じく30mmの位置で記録材Sと接触するよう配置した。
【0061】
このように、本実施例では揺動可能なコロ204、及びコロ204を支持するフラグ206が、排紙センサ200の役割を兼ねる構成について説明した。このような構成においても、定着後ガイド101に固定されたコロ103を長手方向に複数配置し、コロ103よりも記録材Sの搬送方向における下流側で記録材Sと接触する揺動可能なコロ204によって記録材Sをガイドすることができる。よって、先の実施例1と同様に搬送不良の発生や画質の低下を抑制して記録材Sを排紙部55に搬送することが可能となる。
【0062】
本実施例の構成においても、先の実施例1と同様に、1段目の固定されたコロ103と2段目の揺動可能なコロ204の2段構成になっている。これらコロが作る面で記録材Sの表面を支えることができるため、定着部56と排紙部55でのループが大きくなりすぎることなく、記録材Sが定着後上ガイド102に摺擦することを抑制することができる。よって、コシの強い厚紙においても画像の傷が発生することを抑制できる。また、2段目が揺動可能なコロ104となっていることで、コシの弱い薄紙は
図4(c)のS1の軌道で搬送されるようになっている。そのため、定着後上ガイド102への突入角が大きくなりすぎず、ジャムの発生を抑制できる。また、記録材Sの画像形成領域には、コロ103とコロ104のみが当接する構成になっているため、定着後ガイド101のリブ105による画像の傷が発生することも抑制することができる。
【0063】
[実施例3]
先の実施例1、2においては、回転軸を中心にコロが円弧状に揺動可能な構成について説明した。実施例3においては、コロが直線的に揺動可能な構成について説明する。なお、画像形成装置など、先の実施例1、2と同様の構成については、本実施例において詳しい説明を省略する。
【0064】
[排紙ガイド部の構成]
図7は、実施例3における定着部、排紙ガイド部、及び排紙部を拡大した概略構成図である。なお、先の
図2と同様の構成については同一の符号を付している。
【0065】
先の
図2と同様に、定着後ガイド101の先端には、記録材Sが通過することによって従動回転するコロ103が配置されている。コロ103よりも記録材Sの搬送方向における下流側である
図7に示す位置K30に、揺動可能なコロ304がバネ307に付勢されて配置されている。なお、コロ304は、両面搬送ガイド16よりも記録材Sの搬送方向において上流側、つまり画像形成装置50の高さ方向における下側に配置されている。これは、排紙ローラ14によってスイッチバック搬送された記録材Sを両面搬送ガイド16に搬送しやすくするためである。このような位置にコロ304を配置することにより、両面搬送時における記録材Sの搬送不良の発生も抑制することができる。
【0066】
コロ304は、コロホルダ308に対して突出した状態で保持されており、記録材Sの表面がコロホルダ308やスライドガイド306に摺擦することのない構成となっている。コロホルダ308がバネ307によって付勢され、コロ304が記録材Sの通過によって押圧されると、スライドガイド306に沿って揺動可能となっている。
【0067】
バネ307によって付勢された状態のコロ304は、定着後ガイド101の先端に設けられたコロ103に対して記録材Sの搬送方向における下流側の位置K30に配置されている。記録材Sが通過するとバネ307の付勢力に抗して
図7に点線で示す位置K33の位置まで揺動可能となっている。位置K30は、記録材Sがコロ304に接触した場合に、記録材Sがコロ304やコロ304を支持するコロホルダ308に引っかかって角折れしてしまうことなく、排紙部55にガイドできるようになっている。また、スイッチバック搬送された記録材Sを両面搬送ガイド16に搬送するために、反転搬送路を塞がないようになっている。これらを両立するように、コロ304の配置は両面搬送ガイド16の先端と重なる位置となっている。また、コロホルダ308を支持するスライドガイド306に不図示のストッパーを設け、コロホルダ308が突き当たることでコロ304が位置K33となるように規制されている。
【0068】
先の実施例と同様に、コロ304は、コロ103と共に記録材Sの表面を支えることで、記録材Sの搬送を安定させることができる。コロ304とコロ103が成す面で記録材Sを支えることにより記録材Sの搬送を安定させることから、コロ103とコロ304は、長手方向の位置が重ならないように配置される方が、少ないコロで記録材Sを支持する面を形成することができる点で好ましい。本実施例においては、定着後ガイド101の長手方向における中央部から約65mm離れた両端部に2つのコロ103を配置しており、1つのコロ304は、2つのコロ103の間の長手方向における中央部に配置されている。これにより、2つのコロ103と1つのコロ304の3つにより記録材Sを面で安定してガイドすることができる。
【0069】
[記録材Sの搬送状態]
次に、
図8を用いて、記録材Sの搬送状態とコロ103、304の動作について説明する。
図8(a)は、記録材Sの先端がコロ304を通過した後、定着後上ガイド102に接触する直前の様子を示している。コロ304はバネで付勢されている構成であるために、コロ304の付勢力と記録材Sのコシのバランスによって、例えば第1の厚みの第1の記録材Sが搬送されると、コロ304の位置が位置K32となる。第1の記録材Sは
図8(a)の点線で示したS2の軌道で搬送される。コロ304は、位置K30から第3の移動量で揺動して第3の位置としての位置K32に移動したともいえる。
【0070】
一方、例えば第1の厚みより薄い第2の厚みの第2の記録材Sが搬送される場合は、コロ304の付勢力と記録材Sのコシのバランスによって、コロ304の位置が位置K32よりも反転下ガイドコロ19に近い位置K31となる。第2の記録材Sは
図8(a)の実線で示したS1の軌道で搬送される。コロ304は、位置K30から第3の移動量よりも少ない第4の移動量で揺動して第4の位置としての位置K31に移動したともいえる。
【0071】
例えば、薄紙のようなコシが弱い記録材Sが、S2の軌道で搬送されて定着後上ガイド102に突入角が大きい状態で接触した場合、記録材Sの先端が折れてジャムとなってしまう虞があった。本実施例のように、揺動可能なコロ304の付勢力によって、薄紙の場合は記録材Sの軌道をS1のように、S2よりも突入角を小さくすることができる。よって、記録材Sの種類に応じて適切な記録材Sの搬送軌道をとることができるため、定着後上ガイド102におけるジャムの発生を抑制できる。
【0072】
図8(b)は、
図8(a)の状態から記録材Sがさらに搬送されて、記録材Sの先端が定着後上ガイド102の斜面Bによって排紙ニップ部に案内された後の様子を示している。先の実施例でも説明したように、記録材Sは定着部56と排紙部55の間でループを形成する状態となる。
【0073】
本実施例においては、定着後ガイド101に固定されたコロ103の他に、揺動可能なコロ304が設けられている。このコロ304の可動域は、ストッパーによって制限されていることで、
図8(b)における位置K33までとなっている。位置K33において、コロ304はコロ103と共に記録材Sの表面を支える構成となっている。つまり、記録材Sの表面が1段目の2つのコロ103と、2段目の1つのコロ304が成す三角形の面で支えられる状態となる。これにより、記録材Sのループが大きく成長しすぎないようになっていることで、記録材Sの表面が定着後上ガイド102に摺擦してしまうことを抑制することができる。
【0074】
このように、本実施例においては、揺動可能なコロ304が、直線上をスライドするように動作する構成について説明した。このような構成においても、定着後ガイド101に固定されたコロ103を長手方向に複数配置し、コロ103よりも記録材Sの搬送方向における下流側で記録材Sと接触する揺動可能なコロ304によって記録材Sをガイドすることができる。よって、先の実施例1や2と同様に搬送不良の発生や画質の低下を抑制して記録材Sを排紙部55に搬送することが可能となる。
【0075】
本実施例の構成においても、先の実施例1や2と同様に、1段目の固定されたコロ103と2段目の揺動可能なコロ304の2段構成になっている。これらコロが作る面で記録材Sの表面を支えることができるため、定着部56と排紙部55でのループが大きくなりすぎることなく、記録材Sが定着後上ガイド102に摺擦することを抑制することができる。よって、コシの強い厚紙においても画像の傷が発生することを抑制できる。また、2段目が揺動可能なコロ304となっていることで、コシの弱い薄紙は
図8(a)のS1の軌道で搬送されるようになっている。そのため、定着後上ガイド102への突入角が大きくなりすぎず、ジャムの発生を抑制できる。また、記録材Sの画像形成領域には、コロ103とコロ304のみが当接する構成になっているため、定着後ガイド101のリブ105による画像の傷が発生することも抑制することができる。なお、本実施例においても、コロの長手方向における位置や個数は、以下の条件に応じて適宜設定することが可能である。条件とは、画像形成装置50全体の大きさや定着ニップ接線LNipの角度、定着排出線Lpの角度、定着後ガイド101のリブ105の高さや角度、対応する紙の坪量などである。
【符号の説明】
【0076】
55 排紙部
56 定着部
103 コロ
104 コロ