IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】液晶デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20240924BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240924BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/13 505
G02F1/1347
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020204916
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092232
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 順子
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩也
(72)【発明者】
【氏名】前出 優次
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0196318(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0129178(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0269453(US,A1)
【文献】特開2013-174688(JP,A)
【文献】特開2015-206828(JP,A)
【文献】特開2017-116797(JP,A)
【文献】特開2020-024267(JP,A)
【文献】特開2015-169762(JP,A)
【文献】特開2013-195994(JP,A)
【文献】特開2006-267150(JP,A)
【文献】特開2012-252293(JP,A)
【文献】特開2005-031414(JP,A)
【文献】国際公開第2020/179244(WO,A1)
【文献】特開2005-241857(JP,A)
【文献】特開2017-167478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/13
G02F 1/1347
G02F 1/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液晶セルと、
前記第1液晶セルに接着された第2液晶セルと、を備え、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、
帯状に形成された複数の第1電極を備える第1基板と、
帯状に形成された複数の第2電極を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間の10μm以上のギャップに保持された液晶層と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着するシールと、
前記シールの内部に配置され、前記ギャップを保持する1個以上の第1スペーサと、
前記シールで囲まれた内側の有効領域に配置され、前記ギャップを保持する複数の第2スペーサと、
を備え、
前記第2スペーサは、前記複数の第1電極に跨って配置されている、液晶デバイス。
【請求項2】
第1液晶セルと、
前記第1液晶セルに接着された第2液晶セルと、を備え、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、
帯状に形成された複数の第1電極を備える第1基板と、
帯状に形成された複数の第2電極を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間の10μm以上のギャップに保持された液晶層と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着するシールと、
前記シールの内部に配置され、前記ギャップを保持する1個以上の第1スペーサと、
前記シールで囲まれた内側の有効領域に配置され、前記ギャップを保持する複数の第2スペーサと、
を備え、
断面視における底部の幅をWとし、高さをHとしたときのアスペクト比(H/W)について、
前記第2スペーサのアスペクト比は、0.5以上であり、
前記第1スペーサのアスペクト比は、前記第2スペーサのアスペクト比より小さい、液晶デバイス。
【請求項3】
前記第2スペーサは、前記底部と、前記高さの1/2の位置である中間部との間にくびれ部を有し、
前記くびれ部の幅は、前記底部の幅、及び、前記中間部の幅のいずれよりも小さい、請求項に記載の液晶デバイス。
【請求項4】
前記第1基板は、さらに、前記複数の第1電極を覆う配向膜を備え、
前記配向膜は、前記第2スペーサの側面のうち、前記底部側を覆い、
前記中間部よりも上方の前記側面は、前記配向膜から露出している、請求項に記載の液晶デバイス。
【請求項5】
第1液晶セルと、
前記第1液晶セルに接着された第2液晶セルと、を備え、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、
帯状に形成された複数の第1電極を備える第1基板と、
帯状に形成された複数の第2電極を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間の10μm以上のギャップに保持された液晶層と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着するシールと、
前記シールの内部に配置され、前記ギャップを保持する1個以上の第1スペーサと、
前記シールで囲まれた内側の有効領域に配置され、前記ギャップを保持する複数の第2スペーサと、
を備え、
前記ギャップは、50μm以上であり、
前記第1スペーサは、前記第1基板に配置された第1下スペーサと、前記第1下スペーサの直上に位置し前記第2基板に配置された第1上スペーサと、を有し、
前記第2スペーサは、前記第1基板に配置された第2下スペーサと、前記第2下スペーサの直上に位置し前記第2基板に配置された第2上スペーサと、を有し、
前記第1下スペーサ及び前記第1上スペーサの各々は、互いに対向する対向面を有し、
前記対向面の各々は、凹凸面である、液晶デバイス。
【請求項6】
第1液晶セルと、
前記第1液晶セルに接着された第2液晶セルと、を備え、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、
帯状に形成された複数の第1電極を備える第1基板と、
帯状に形成された複数の第2電極を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間の10μm以上のギャップに保持された液晶層と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着するシールと、
前記シールの内部に配置され、前記ギャップを保持する1個以上の第1スペーサと、
前記シールで囲まれた内側の有効領域に配置され、前記ギャップを保持する複数の第2スペーサと、
を備え、
前記ギャップは、50μm以上であり、
前記第1スペーサは、前記第1基板に配置された第1下スペーサと、前記第1下スペーサの直上に位置し前記第2基板に配置された第1上スペーサと、を有し、
前記第2スペーサは、前記第1基板に配置された第2下スペーサと、前記第2下スペーサの直上に位置し前記第2基板に配置された第2上スペーサと、を有し、
前記シールを横断する第1方向の長さについて、前記第1下スペーサの長さは、前記第1上スペーサの長さより小さく、
前記第1方向に直交する第2方向の長さについて、前記第1下スペーサの長さは、前記第1上スペーサの長さより大きい、液晶デバイス。
【請求項7】
前記第1上スペーサは、前記第1方向に沿った両端部にそれぞれ突起を有し、
前記第1下スペーサは、前記突起の間に位置している、請求項に記載の液晶デバイス。
【請求項8】
第1液晶セルと、
前記第1液晶セルに接着された第2液晶セルと、を備え、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、
帯状に形成された複数の第1電極を備える第1基板と、
帯状に形成された複数の第2電極を備える第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間の10μm以上のギャップに保持された液晶層と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着するシールと、
前記シールの内部に配置され、前記ギャップを保持する1個以上の第1スペーサと、
前記シールで囲まれた内側の有効領域に配置され、前記ギャップを保持する複数の第2スペーサと、
を備え、
前記第1スペーサは、
第1上面を有する第1部分と、
前記第1部分と一体的に形成され、前記第1上面と前記第2基板との間に第2上面を有する第2部分と、を有している、液晶デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶セルを用いた光制御装置が提案されている。このような光制御装置は、主として、一偏光成分を集束させたり発散させたりするものである。一例では、複数の輪状の帯電極を備えた液晶レンズが提案されている。また、他の例としては、扇状の複数の分割領域に配置された透明電極を備えた液晶レンズも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-76926号公報
【文献】特開2016-57541号公報
【文献】特表2013-515969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な液晶デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る液晶デバイスは、
第1液晶セルと、前記第1液晶セルに接着された第2液晶セルと、を備え、前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、帯状に形成された複数の第1電極を備える第1基板と、帯状に形成された複数の第2電極を備える第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間の10μm以上のギャップに保持された液晶層と、前記第1基板と前記第2基板とを接着するシールと、前記シールの内部に配置され、前記ギャップを保持する1個以上の第1スペーサと、前記シールで囲まれた内側の有効領域に配置され、前記ギャップを保持する複数の第2スペーサと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る液晶デバイス1を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した液晶デバイス1を示す分解斜視図である。
図3図3は、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40の一例を示す斜視図である。
図4図4は、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40の他の例を示す斜視図である。
図5図5は、第1液晶セル10の一構成例を示す断面図である。
図6図6は、液晶層LC1に電界が形成されていないオフ状態(OFF)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
図7図7は、液晶層LC1に電界が形成されたオン状態(ON)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
図8図8は、第1液晶セル10の一例を示す平面図である。
図9図9は、第1液晶セル10の他の例を示す平面図である。
図10図10は、第1液晶セル10の他の例を示す平面図である。
図11図11は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の概略断面図である。
図12図12は、第1液晶セル10の他の例を示す平面図である。
図13図13は、第1液晶セル10の第1電極E11及び第2スペーサSP2の一例を示す平面図である。
図14図14は、第1液晶セル10の第1電極E11及び第2スペーサSP2の他の例を示す平面図である。
図15図15は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の概略断面図である。
図16図16は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の一例を示す断面図である。
図17図17は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図18図18は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図19図19は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図20図20は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図21図21は、図20に示した第1スペーサSP1の平面図である。
図22図22は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図23図23は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図24図24は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図25図25は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図26図26は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図27図27は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X-Y平面を見ることを平面視という。
【0009】
図1は、本実施形態に係る液晶デバイス1を示す斜視図である。
液晶デバイス1は、第1液晶セル10と、第2液晶セル20と、第3液晶セル30と、第4液晶セル40と、第1フレキシブル配線基板F1と、第2フレキシブル配線基板F2と、第3フレキシブル配線基板F3と、第4フレキシブル配線基板F4と、回路基板50と、を備えている。本実施形態に係る液晶デバイス1は、2つ以上の複数の液晶セルを備えるものであり、図1に示した例の如く、4つの液晶セルを備える構成に限定されるものではない。
【0010】
第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40は、この順に積層されている。
第1フレキシブル配線基板F1は、第1液晶セル10と回路基板50とを電気的に接続している。第2フレキシブル配線基板F2は、第2液晶セル20と回路基板50とを電気的に接続している。第3フレキシブル配線基板F3は、第3液晶セル30と回路基板50とを電気的に接続している。第4フレキシブル配線基板F4は、第4液晶セル40と回路基板50とを電気的に接続している。
【0011】
第1フレキシブル配線基板F1、第2フレキシブル配線基板F2、第3フレキシブル配線基板F3、及び、第4フレキシブル配線基板F4は、それぞれ、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40のエッジに沿って折り曲げられ、さらに、回路基板50のエッジに沿って折り曲げられている。回路基板50は、間隔を置いて第4液晶セル40と対向するように配置されている。
【0012】
回路基板50と第4液晶セル40との間には、点線で示す光源部LSを配置するための領域が確保される。光源部LSは、少なくとも光源を備え、必要に応じて光源と第4液晶セル40との間にレンズ等の光学素子を備える。
光源部LSから出射される光は、例えば無偏光である。光源部LSからの出射光は、第4液晶セル40、第3液晶セル30、第2液晶セル20、及び、第1液晶セル10を順に透過する。後述するように、第4液晶セル40、第3液晶セル30、第2液晶セル20、及び、第1液晶セル10は、入射光の一部の偏光成分を発散するように構成されている。このように、液晶デバイス1と光源部LSとを組み合わせることで、光の発散度合が可変の照明装置を提供することができる。
【0013】
図2は、図1に示した液晶デバイス1を示す分解斜視図である。なお、図2では、第1フレキシブル配線基板F1、第2フレキシブル配線基板F2、第3フレキシブル配線基板F3、第4フレキシブル配線基板F4、及び、回路基板50の図示を省略している。
【0014】
第1液晶セル10は、第1基板S11と、第2基板S21と、液晶層LC1と、シールSE1と、を備えている。第1基板S11及び第2基板S21は、シールSE1によって接着されている。液晶層LC1は、第1基板S11と第2基板S21との間に保持され、シールSE1によって封止されている。入射光を発散することが可能な有効領域AA1は、シールSE1で囲まれた内側に形成されている。
【0015】
例えば、第1方向Xは、第1基板S11の1つのエッジSXと平行な方向であり、第2方向Yは、第1基板S11の他のエッジSYと平行な辺である。第3方向Zは、第1基板S11の厚さ方向である。このような各方向と第1基板S11との対応関係は、第2基板S21にも当てはめることができ、さらには、他の液晶セル20乃至40にも同様に当てはめることができる。
【0016】
第1基板S11は、第1方向Xに沿って第2基板S21よりも外側に延出した延出部EX1と、第2方向Yに沿って第2基板S21よりも外側に延出した延出部EY1と、を有している。
【0017】
第2液晶セル20は、第1基板S12と、第2基板S22と、液晶層LC2と、シールSE2と、を備えている。第1基板S12及び第2基板S22は、シールSE2によって接着されている。液晶層LC2は、第1基板S12と第2基板S22との間に保持され、シールSE2によって封止されている。有効領域AA2は、シールSE2で囲まれた内側に形成されている。
【0018】
第1基板S12は、第1方向Xに沿って第2基板S22よりも外側に延出した延出部EX2と、第2方向Yに沿って第2基板S22よりも外側に延出した延出部EY2と、を有している。第3方向Zにおいて、延出部EX2は延出部EX1に重畳し、延出部EY2は延出部EY1に重畳している。
【0019】
第3液晶セル30は、第1基板S13と、第2基板S23と、液晶層LC3と、シールSE3と、を備えている。第1基板S13及び第2基板S23は、シールSE3によって接着されている。液晶層LC3は、第1基板S13と第2基板S23との間に保持され、シールSE3によって封止されている。有効領域AA3は、シールSE3で囲まれた内側に形成されている。
【0020】
第1基板S13は、第1方向Xに沿って第2基板S23よりも外側に延出した延出部EX3と、第2方向Yに沿って第2基板S23よりも外側に延出した延出部EY3と、を有している。第3方向Zにおいて、延出部EY3は、延出部EY2に重畳している。延出部EX3は、延出部EX2とは重畳せず、延出部EX2の反対側に位置している。
【0021】
第4液晶セル40は、第1基板S14と、第2基板S24と、液晶層LC4と、シールSE4と、を備えている。第1基板S14及び第2基板S24は、シールSE4によって接着されている。液晶層LC4は、第1基板S14と第2基板S24との間に保持され、シールSE4によって封止されている。有効領域AA4は、シールSE4で囲まれた内側に形成されている。
【0022】
第1基板S14は、第1方向Xに沿って第2基板S24よりも外側に延出した延出部EX4と、第2方向Yに沿って第2基板S24よりも外側に延出した延出部EY4と、を有している。第3方向Zにおいて、延出部EX4は延出部EX3に重畳し、延出部EY4は延出部EY3に重畳している。
【0023】
第1液晶セル10と第2液晶セル20との間には、透明接着層A12が配置されている。透明接着層A12は、第1基板S11と第2基板S22とを接着している。
第2液晶セル20と第3液晶セル30との間には、透明接着層A23が配置されている。透明接着層A23は、第1基板S12と第2基板S23とを接着している。
第3液晶セル30と第4液晶セル40との間には、透明接着層A34が配置されている。透明接着層A34は、第1基板S13と第2基板S24とを接着している。
【0024】
次に、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40について説明する。
【0025】
図3は、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40の一例を示す斜視図である。
【0026】
第1液晶セル10において、第1基板S11は、帯状に形成された複数の第1電極E11を備えている。複数の第1電極E11は、第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに沿って間隔をおいて並んでいる。第2基板S21は、帯状に形成された複数の第2電極E21を備えている。複数の第2電極E21は、第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。つまり、複数の第1電極E11、及び、複数の第2電極E21は、互いに交差している。後述するが、第1電極E11と第2電極E21との交差角は、平面視において、約90°である。
【0027】
第2液晶セル20においても第1液晶セル10と同様に、第1基板S12の複数の第1電極E12は、第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに沿って間隔をおいて並んでいる。第2基板S22の複数の第2電極E22は、第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。
【0028】
第3液晶セル30において、第1基板S13の複数の第1電極E13は、第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。第2基板S23の複数の第2電極E23は、第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに沿って間隔をおいて並んでいる。
【0029】
第4液晶セル40においては第3液晶セルと同様に、第1基板S14の複数の第1電極E14は、第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。第2基板S24の複数の第2電極E24は、第1方向Xに沿って延出し、第2方向Yに沿って間隔をおいて並んでいる。
【0030】
例えば、第1液晶セル10及び第4液晶セル40は、X-Y平面において、90°回転対称の関係性を有している。第1電極E11及び第1電極E14は互いに直交し、また、第2電極E21及び第2電極E24は互いに直交している。つまり、第4液晶セル40は、第1液晶セル10と同一の構成を有しており、X-Y平面において、第1液晶セル10を90°回転させた際の第1電極E11の配置が第1電極E14の配置と一致し、また、第2電極E21の配置が第2電極E24の配置と一致する。
【0031】
同様に、第2液晶セル20及び第3液晶セル30は、X-Y平面において、90°回転対称の関係性を有している。第1電極E12及び第1電極E13は互いに直交し、また、第2電極E22及び第2電極E23は互いに直交している。
【0032】
第1液晶セル10の第1電極E11及び第2液晶セル20の第1電極E12は、X-Y平面において、互いに90°未満の角度で交差している。第3液晶セル30の第1電極E13及び第4液晶セル40の第1電極E14は、X-Y平面において、互いに90°未満の角度で交差している。
【0033】
第1基板S11乃至S14は、それぞれ正方形状に形成され、同等のサイズを有している。つまり、第1基板S11乃至S14の各々は、第1方向Xに沿って同等の長さLXを有し、且つ、第2方向Yに沿って同等の長さLYを有している。また、長さLXは、長さLYと同等である(LX=LY)。
【0034】
このため、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40が互いに接着された際には、図1に示したように、第1方向Xに沿ったエッジが重畳し、しかも、第2方向Yに沿ったエッジも重畳している。
【0035】
第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40は、実質的に同様の構成を有しているが、以下、代表して第1液晶セル10についてより具体的に説明する。
【0036】
複数の第1電極E11は、複数の第1帯電極E11Aと、複数の第2帯電極E11Bと、を含んでいる。複数の第1帯電極E11Aは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。複数の第2帯電極E11Bは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。但し、第2帯電極E11Bに印加される電圧は、第1帯電極E11Aに印加される電圧とは異なるように制御される。これらの第1帯電極E11Aと第2帯電極E11Bとは、第2方向Yに沿って、交互に並んでいる。
【0037】
複数の第2電極E21は、複数の第3帯電極E21Aと、複数の第4帯電極E21Bと、を含んでいる。複数の第3帯電極E21Aは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。複数の第4帯電極E21Bは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。但し、第4帯電極E21Bに印加される電圧は、第3帯電極E21Aに印加される電圧とは異なるように制御される。これらの第3帯電極E21Aと第4帯電極E21Bとは、第1方向Xに沿って、交互に並んでいる。
【0038】
図4は、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40の他の例を示す斜視図である。図4に示す例は、図3に示す例と比較して、各液晶セルの複数の第1電極が円環状に形成され、且つ、同心円状に配置されている点、及び、複数の第2電極が円環状に形成され、且つ、同心円状に配置されている点で相違している。
【0039】
図5は、第1液晶セル10の一構成例を示す断面図である。ここでは、第1液晶セル10について説明するが、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40も第1液晶セル10と同様の断面構造を有しており、それらの説明については省略する。なお、シールSE1の内部に配置される第1スペーサ、及び、有効領域AA1に配置される第2スペーサについては図示を省略し、後に詳述する。
【0040】
第1基板S11は、絶縁基板11と、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bを含む第1電極E11と、給電線PL11乃至PL14と、配向膜AL1と、を備えている。第1電極E11、及び、給電線PL11乃至PL14は、絶縁基板11の上に配置され、配向膜AL1によって覆われている。なお、第1電極E11と絶縁基板11との間、及び、給電線PL11乃至PL14と絶縁基板11との間には、他の薄膜が介在していてもよい。第1帯電極E11Aは、給電線PL12と電気的に接続されている。第2帯電極E11Bは、給電線PL13と電気的に接続されている。
【0041】
給電線PL11と電気的に接続された給電端子PT11は、シールSE1よりも外側に引き出されている。給電線PL14と電気的に接続された給電端子PT14は、シールSE1よりも外側に引き出されている。給電端子PT11及びPT14は、配向膜AL1から露出している。
【0042】
第2基板S21は、絶縁基板21と、第2電極E21と、給電線PL21及びPL24と、配向膜AL2と、を備えている。第2電極E21、及び、給電線PL21及びPL24は、絶縁基板21の上に配置され、配向膜AL2によって覆われている。なお、ここでは、1つの第2電極E21のみが図示されているが、図3に示した複数の第2電極E21は、絶縁基板21と配向膜AL2との間に配置されている。複数の第2電極E21のうち、第3帯電極E21Aは給電線PL21と電気的に接続され、第4帯電極E21Bは給電線PL24と電気的に接続されている。なお、第2電極E21と絶縁基板21との間、及び、給電線PL21及びPL24と絶縁基板21との間には、他の薄膜が介在していてもよい。
【0043】
給電線PL21と電気的に接続された給電端子PT21は、シールSE1よりも外側に引き出されている。給電端子PT21は、給電端子PT11の直上に位置している。給電線PL24と電気的に接続された給電端子PT24は、シールSE1よりも外側に引き出されている。給電端子PT24は、給電端子PT14の直上に位置している。給電端子PT21及びPT24は、配向膜AL2から露出している。
【0044】
導電材CD1は、給電端子PT11と給電端子PT21との間に配置され、両者を電気的に接続している。導電材CD2は、給電端子PT14と給電端子PT24との間に配置され、両者を電気的に接続している。
【0045】
絶縁基板11及び21は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透明基板である。第1電極E11及び第2電極E21は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。給電線PL11乃至PL14、及び、給電線PL21及びPL24は、アルミニウム、チタン、モリブデン、タングステンなどの金属材料によって形成されている。なお、給電線PL11乃至PL14、及び、給電線PL21及びPL24は、透明電極と同一材料によって形成されてもよい。配向膜AL1及びAL2は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。
【0046】
次に、図6及び図7を参照しながら、第1液晶セル10における光学作用について説明する。なお、図6及び図7においては、説明に必要な構成のみを図示している。
【0047】
図6は、液晶層LC1に電界が形成されていないオフ状態(OFF)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
オフ状態の液晶層LC1においては、液晶分子LM1は、初期配向している。このようなオフ状態では、液晶層LC1は、ほぼ均一な屈折率分布を有している。このため、第1液晶セル10への入射光である第1偏光成分POL1は、ほとんど屈折(あるいは発散)されることなく液晶層LC1を透過する。なお、ここでの第1偏光成分POL1とは、自然光のうち、例えばP偏光に相当する。本明細書においては、P偏光に直交するS偏光を第2偏光成分POL2と称する場合がある。
【0048】
図7は、液晶層LC1に電界が形成されたオン状態(ON)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
例えば、液晶層LC1が正の誘電率異方性を有している場合、液晶層LC1に電界が形成されたオン状態では、液晶分子LM1は、その長軸が電界に沿うように配向する。例えば、液晶層LC1のうち、第1基板S11の近傍の領域に作用する電界は、図5に示した第1帯電極E11Aと第2帯電極E11Bとの間の電位差によって形成される。このような電界が液晶層LC1に作用することにより、液晶層LC1には、液晶分子LM1が基板に対してほぼ垂直に立ち上がった領域、液晶分子LM1が初期配向状態に維持される領域、液晶分子LM1が基板に対して斜め方向に立ち上がった領域などが形成される。
【0049】
液晶分子LM1は、屈折率異方性Δnを有している。このため、オン状態の液晶層LC1は、液晶分子LM1の配向状態に応じた屈折率分布、あるいは、リタデーション分布を有する。ここでのリタデーションとは、液晶層LC1の厚さ(あるいは、第1基板S11と第2基板S21とのギャップ)をdとしたとき、Δn・dで表されるものである。
このようなオン状態では、第1偏光成分POL1は、液晶層LC1を透過する際に、液晶層LC1の屈折率分布の影響を受けて発散される。
【0050】
同様に、第2偏光成分POL2は、オン状態の液晶層LC2を透過する際に、液晶層LC2の屈折率分布の影響を受けて発散される。
【0051】
このように、少なくとも、第1偏光成分POL1を発散可能な第1液晶セル10と、第2偏光成分POL2を発散可能な第2液晶セル20とを積層した液晶デバイス1によれば、光源部LSからの出射光を発散することができる。
【0052】
ところで、屈折率分布が形成された液晶層に白色光が入射する場合、波長毎に発散の度合いが異なる。このため、発散された白色光の一部が色付くおそれがある。
【0053】
このため、本実施形態では、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40を積層した液晶デバイス1を提供する。このような構成の液晶デバイス1において、例えば、第1液晶セル10及び第4液晶セル40は、光源部LSからの出射光のうち、主として第1偏光成分(P偏光)POL1を発散し、第2液晶セル20及び第3液晶セル30は、主として第2偏光成分(S偏光)POL2を発散する。
【0054】
但し、第1液晶セル10の液晶層LC1に形成される屈折率分布、及び、第4液晶セル40の液晶層LC4に形成される屈折率分布は、互いに異なるように構成されている。これにより、第1液晶セル10における第1偏光成分POL1の発散度合と、第4液晶セル40における第1偏光成分POL1の発散度合とが異なり、第1偏光成分POL1の色付きが抑制される。
【0055】
同様に、第2液晶セル20の液晶層LC2に形成される屈折率分布、及び、第3液晶セル30の液晶層LC3に形成される屈折率分布は、互いに異なるように構成されている。これにより、第2液晶セル20における第2偏光成分POL2の発散度合と、第3液晶セル30における第2偏光成分POL2の発散度合とが異なり、第2偏光成分POL2の色付きが抑制される。
【0056】
ところで、各液晶セルにおける偏光成分の発散度合は、屈折率分布の大きさに依存する。つまり、液晶層の厚さ、あるいは、第1基板と第2基板とのギャップが大きいほど、より大きな発散作用を実現することができる。例えば、10μm以上、さらには15μm以上、場合によっては50μm以上のギャップを形成することが要望される。しかしながら、単に10μm以上のギャップを形成しようとすると、シール材料の使用量が多くなり、加えて、シールの高さが不均一となったり、シールが途切れてしまったりする不具合を招くおそれがある。
【0057】
そこで、本実施形態では、シールの内部に第1スペーサSP1が配置されている。ここでは、液晶デバイス1を構成する液晶セルのうち、第1液晶セル10について説明するが、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40も第1液晶セル10と同様に構成されている。
【0058】
図8は、第1液晶セル10の一例を示す平面図である。
シールSE1は、連続的な枠状に形成されている。第1スペーサSP1は、シールSE1の内部に配置され、第1基板S11と第2基板S21とのギャップを保持している。図8に示す例では、第1スペーサSP1は、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれライン状に形成され、シールSE1と同様に、連続的な枠状に形成されている。
【0059】
シールSE1で囲まれた内側の有効領域AA1には、複数の第2スペーサSP2が配置されている。図8に示す例では、4個の第2スペーサSP2は、四角形(長方形、正方形、あるいは、ひし形)の頂点に位置するように配置されている。第2スペーサSP2も、第1スペーサSP1と同様に、第1基板S11と第2基板S21とのギャップを保持している。
【0060】
図9は、第1液晶セル10の他の例を示す平面図である。
図9に示す例は、図8に示した例と比較して、第1スペーサSP1が複数のライン状に形成された点で相違している。なお、ここでは、第1スペーサSP1は、間隔を置いて並んだ3本のライン状に形成されているが、本数は図示した例に限らない。
【0061】
図10は、第1液晶セル10の他の例を示す平面図である。
図10に示す例は、図8に示した例と比較して、第1スペーサSP1が複数のドット状に形成された点で相違している。
【0062】
図11は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の概略断面図である。ここでは、説明に必要な構成のみを図示している。
【0063】
第1スペーサSP1は、シールSE1の内部に配置され、その周囲がシールSE1によって包囲されている。つまり、第1スペーサSP1の側面の全体は、シールSE1に接している。第2スペーサSP2は、その周囲が液晶層LC1に包囲されている。一例では、第2スペーサSP2の側面は、液晶層LC1に接しているが、第2スペーサSP2の一部の側面は、図5に示した配向膜AL1及びAL2によって覆われている。
図11に示す例では、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2は、いずれも第1基板S11に配置されているが、第2基板S21に配置されてもよい。第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2は、同一材料によって形成されている。
【0064】
一例では、第1スペーサSP1の第3方向Zに沿った高さH1は、第2スペーサSP2の第3方向Zに沿った高さH2と同等である。但し、高さH1及びH2は、必ずしも同等とは限らない。第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2は、いずれも10μm以上のギャップdを保持する機能を有するものであるが、第1スペーサSP1に重畳する部材の厚さ、及び、第2スペーサSP2に重畳する部材の厚さを考慮して各々の高さが設定される。つまり、第1スペーサSP1の高さが第2スペーサSP2の高さが同等である場合もあり得るし、第1スペーサSP1の高さが第2スペーサSP2の高さより小さい場合もあり得るし、第1スペーサSP1の高さが第2スペーサSP2の高さより大きい場合もあり得る。高さの異なるスペーサは、例えば、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いたフォトリソグラフィプロセスによって形成可能である。
【0065】
このように、液晶層LC1が10μm以上のギャップdに保持された構成において、第1スペーサSP1がシールSE1の内部に配置されたことにより、シール材料の使用量の増加が抑制される。また、第1液晶セル10の周縁部のギャップが第1スペーサSP1によって保持されるため、シールSE1のみの場合と比較して、周縁部でのギャップムラが抑制される。さらに、第1スペーサSP1がシールSE1の内部に包含されたことにより、シールSE1の強度が向上し、シール切れが抑制され、さらには、シールSE1と第1基板S11との界面及びシールSE1と第2基板S21との界面を通じた液晶材料の漏れが抑制される。したがって、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0066】
図12は、第1液晶セル10の他の例を示す平面図である。
図12に示す例は、図8乃至図10に示した例と比較して、6個の第2スペーサSP2が六角形の頂点に位置するように配置された点で相違している。第1スペーサSP1については、図8に示したような1本のライン状に形成されてもよいし、図9に示したような複数のライン状に形成されてもよいし、図10に示したような複数のドット状に形成されてもよい。
複数の液晶セルが積層された際に、各々の有効領域に位置する第2スペーサSP2が重畳する位置関係にある場合、液晶セルの僅かな位置ずれによってモアレが発生する恐れがある。一方で、各液晶セルにおいて、第2スペーサSP2を個別にレイアウトすることは、製造歩留まりの低下をもたらす恐れがある。
【0067】
図12に示す例によれば、90°回転対称の関係性を有する第1液晶セル10及び第4液晶セル40が積層された際に、第1液晶セル10の第2スペーサSP2が第4液晶セル40の第2スペーサSP2には重畳しない。したがって、モアレが抑制される。また、第2スペーサSP2のレイアウトが一致する2つの液晶セルを、第1液晶セル10及び第4液晶セル40として利用することができ、製造歩留まりの低下が抑制される。
【0068】
図13は、第1液晶セル10の第1電極E11及び第2スペーサSP2の一例を示す平面図である。
ここに示す複数の第1電極E11は、図3に示したように、それぞれ直線状に延出している。第2スペーサSP2は、複数の第1電極E11に跨って配置されている。第1基板S11に配置される第2スペーサSP2のうち、第1基板S11に接する底部の幅W2は、第1電極E11の幅W11と第1電極E11の間隙の幅W12との和より大きい。
【0069】
図14は、第1液晶セル10の第1電極E11及び第2スペーサSP2の他の例を示す平面図である。
ここに示す複数の第1電極E11は、図4に示したように、それぞれ円弧状に延出している。このような例においても、第2スペーサSP2は、複数の第1電極E11に跨って配置されている。
【0070】
図15は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の概略断面図である。ここでは、説明に必要な構成のみを図示している。
【0071】
第2スペーサSP2の底部B2は、複数の第1電極E11に接するとともに、第1電極E11の間隙において絶縁基板11に接している。なお、絶縁基板11と第1電極E11との間に他の薄膜が介在している場合には、第2スペーサSP2は、第1電極E11の間隙においてその薄膜に接する。
【0072】
例えば、第2スペーサSP2と第1電極E11との密着性が低く、第2スペーサSP2と絶縁基板11との密着性が高い場合、第1電極E11のみに接している第2スペーサSP2は、絶縁基板11のみに接している第2スペーサSP2と比較して、剥離しやすい。そこで、上記のように、第2スペーサSP2が材質の異なる複数の部材に接することにより、第2スペーサSP2の剥離が抑制される。
【0073】
複数の第1電極E11を覆う配向膜AL1は、第2スペーサSP2の側面SS2のうち、底部B2に近接する側を覆っている。第2スペーサSP2のうち高さH2の1/2の位置を中間部M2とすると、中間部M2よりも上方の側面SS2は、配向膜AL1から露出している。配向膜AL1から露出している側面SS2の総面積(あるいは液晶層LC1に接している側面SS2の総面積)は、配向膜AL1によって覆われている側面SS2の総面積より大きい。
【0074】
第1スペーサSP1の底部B1は、絶縁基板11に接している。但し、第2スペーサSP2と同様に、第1スペーサSP1が材質の異なる複数の部材に接していてもよい。例えば、第1スペーサSP1は、絶縁基板11のみならず、第1電極E11と同一材料によって形成されたダミー電極に接していてもよい。
【0075】
配向膜AL1は、第1スペーサSP1の側面SS1のうち、底部B1に近接する側を覆っている。第1スペーサSP1のうち高さH1の1/2の位置を中間部M1とすると、中間部M1よりも上方の側面SS1は、配向膜AL1から露出している。配向膜AL1から露出している側面SS1の総面積は、配向膜AL1によって覆われている側面SS1の総面積より大きい。
【0076】
配向膜AL1から露出した側面SS1は、シールSE1に接している。つまり、シールSE1によって覆われる側面SS1の総面積は、配向膜AL1によって覆われている側面SS1の総面積より大きい。
【0077】
第1スペーサSP1の上面T1及び第2スペーサSP2の上面T2は、配向膜AL1によって覆われている場合があるが、その図示は省略している。
【0078】
以下に、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2のいくつかのバリエーションについて、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面の断面図を参照しながら説明する。X-Z平面をみることを断面視という。各断面図においては、説明に必要な構成のみを図示している。また、複数のバリエーションは適宜組み合わせることができる。
【0079】
図16は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の一例を示す断面図である。
【0080】
第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2に関して、断面視における底部の幅をWとし、高さをHとしたときのアスペクト比(H/W)に着目する。
第2スペーサSP2のアスペクト比(H2/W2)は、0.5以上である。第1スペーサSP1のアスペクト比(H1/W1)は、第2スペーサSP2のアスペクト比(H2/W2)より小さい。
一例では、幅W2は50μmであり、高さH2は30μmであり、アスペクト比(H2/W2)は0.6である。また、幅W1は100μmであり、高さH2は30μmであり、アスペクト比(H1/W1)は0.3である。
【0081】
第2スペーサSP2に関しては、ギャップ保持機能を維持しつつも、有効領域に占める面積を低減することが要求されるため、幅W2(あるいは底部B2の直径)は小さいことが望ましい。幅W2が30μm未満の場合、アスペクト比(H2/W2)は1以上となる場合があり得る。また、幅W2が小さいほど、側面SS2は、第1基板S11に対して垂直に近づく傾向にある。
【0082】
第1スペーサSP1に関しては、ギャップ保持機能を維持するとともに、シールSE1との接触面積を増加することが要求される。このため、一手法として、図16に示す例では、底部B1の幅W1を100μm以上に拡大している。第1スペーサSP1は、底部B1から上面T1に向かって次第に幅が縮小するような順テーパー状に形成されている。側面SS1は、第1基板S11に対して傾斜している。
【0083】
このような例によれば、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2のそれぞれの要求を満足することができる。
【0084】
図17は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
第2スペーサSP2は、底部B2と中間部M2との間にくびれ部C2を有している。くびれ部C2の幅W21は、底部B2の幅W2、及び、中間部M2の幅W22のいずれよりも小さい。図17に示す例では、第2スペーサSP2は、上面T2からくびれ部C2に向かって次第に幅が縮小するような逆テーパー状に形成されており、底部B2からくびれ部C2に向かって次第に幅が縮小するような順テーパー状に形成されている。このため、幅W22も、幅W2より小さい。一例では、W2は、10μm程度である。
【0085】
図18は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
ここでは、ギャップdが50μm以上である場合を想定する。
【0086】
第1スペーサSP1は、第1基板S11に配置された第1下スペーサSP11と、第1下スペーサSP11の直上に位置し第2基板S21に配置された第1上スペーサSP12と、を有している。第1下スペーサSP11及び第1上スペーサSP12の各々は、互いに対向する対向面L11及びU12を有している。対向面L11及びU12は、例えば平坦面である。対向面L11及びU12は、接していてもよいが、離間している場合もあり得る。
【0087】
第2スペーサSP2は、第1基板S11に配置された第2下スペーサSP21と、第2下スペーサSP21の直上に位置し第2基板S21に配置された第2上スペーサSP22と、を有している。第2下スペーサSP21及び第2上スペーサSP22の各々は、互いに対向する対向面L21及びU22を有している。対向面L21及びU22は、例えば平坦面である。対向面L21及びU22は、接していてもよいが、離間している場合もあり得る。
【0088】
対向面L11及びU12の間、及び、対向面L21及びU22の間には、配向膜AL1及びAL2が介在していたり、シールSE1が介在していたりする場合があり得る。
【0089】
第1下スペーサSP11の高さH11及び第1上スペーサSP12の高さH12は、同等であってもよいし、異なっていてもよい。高さH11と高さH12との和が第1スペーサSP1として要求される高さH1に相当すればよい。
第2下スペーサSP21の高さH21及び第2上スペーサSP22の高さH22は、同等であってもよいし、異なっていてもよい。高さH21と高さH22との和が第2スペーサSP2として要求される高さH2に相当すればよい。
一例では、高さH11及びH12、及び、高さH21及びH22は、いずれも20μm以上である。
【0090】
このような例によれば、第1下スペーサSP11及び第1上スペーサSP12の各々が20μm以上の高さに形成されることにより、大きなギャップdが形成され、より発散度合の高い液晶デバイスを提供することができる。
【0091】
図19は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
第1下スペーサSP11の対向面L11、及び、第1上スペーサSP12の対向面U12は、凹凸面である。対向面L11と対向面U12との間には、シールSE1が介在している。つまり、図18に示した例と比較して、第1下スペーサSP11とシールSE1との接触面積、及び、第1上スペーサSP12とシールSE1との接触面積を増大することができる。
なお、第2スペーサSP2においては、対向面L21及びU22は、いずれも平坦面である。
【0092】
図20は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
シールSE1を横断する第1方向Xの長さについて、第1下スペーサSP11の長さLX11は、第1上スペーサSP12の長さLX12より小さい。なお、第1下スペーサSP11の長さLX11が第1上スペーサSP12の長さLX12より大きくてもよい。対向面L11及びU12は、いずれも平坦面であるが、凹凸面であってもよい。
【0093】
図21は、図20に示した第1スペーサSP1の平面図である。
図21の(A)に示す例では、第1下スペーサSP11は第2方向Yに沿ってライン状に形成されている。複数の第1上スペーサSP12は、第2方向Yに沿って間隔を置いて並び、それぞれ第1下スペーサSP11と交差している。第2方向Yの長さについて、第1下スペーサSP11の長さLY11は、第1上スペーサSP12の長さLY12より大きい。
【0094】
図21の(B)に示す例では、第1スペーサSP1がドット状に形成されている。複数の第1下スペーサSP11、及び、複数の第1上スペーサSP12は、第2方向Yに沿って間隔を置いて並んでいる。第1下スペーサSP11は、それぞれ第1上スペーサSP12と交差している。第2方向Yの長さについて、第1下スペーサSP11の長さLY11は、第1上スペーサSP12の長さLY12より大きい。
【0095】
図20及び図21に示す例においても、第1下スペーサSP11とシールSE1との接触面積、及び、第1上スペーサSP12とシールSE1との接触面積を増大することができる。
【0096】
図22は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
第1方向Xの長さについては、第1下スペーサSP11の長さLX11は、第1上スペーサSP12の長さLX12より小さい。第1上スペーサSP12は、第1方向Xに沿った両端部にそれぞれ突起P1を有している。第1下スペーサSP11の対向面L11は、一対の突起P1の間に位置している。つまり、第1下スペーサSP11の上端部は、一対の突起P1の間に位置している。
なお、第1下スペーサSP11の形状は、図21の(A)に示したライン状であってもよいし、図21の(B)に示したドット状であってもよい。
このような例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0097】
図23は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
第1スペーサSP1の高さH1は、第2スペーサSP2の高さH2より小さい。また、第1スペーサSP1と第2基板S21との間には、シールSE1が介在している。図23に示す例では、シールSE1がビーズやファイバ等のフィラーFLを含み、第1スペーサSP1の上面T1と第2基板S21との間にフィラーFLが介在している。つまり、シールSE1がフィラーFLを含む場合には、第1スペーサSP1と第2基板S21との間にフィラーFLが噛み込むことを想定して、高さH1が設定される。このため、ギャップムラを抑制することができる。
【0098】
図24は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図24に示す例は、図23に示した例と比較して、第1スペーサSP1が複数のライン状または複数のドット状に形成された点で相違している。第1スペーサSP1と第2基板S21との間には、フィラーFLが介在している。隣接する第1スペーサSP1の間にもシールSE1が充填される。
図24に示す例によれば、図23に示した例と同様の効果が得られる。また、第1スペーサSP1とシールSE1との接触面積を増大することができる。さらに、シールSE1に包含される第1スペーサSP1の体積を増やすことで、シール材料の使用量を抑制することができる。
【0099】
図25は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
図25に示す例は、図23に示した例と比較して、第1スペーサSP1の上面T1が凹凸面である点で相違している。第1スペーサSP1と第2基板S21との間には、フィラーFLが介在している。
図25に示す例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0100】
図26は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
第1スペーサSP1は、第1基板S11に近接する側の第1部分SP111と、第2基板S21に近接する側の第2部分SP112と、を有している。第1部分SP111は、第1上面T11を有している。第2部分SP112は、第1部分SP111と一体的に形成され、第1上面T11と第2基板S21との間に第2上面T12を有している、つまり、第2部分SP112は、第1部分SP111の第1上面T11から第2基板S21に向かって突出した部分に相当する。第1上面T11及び第2上面T12は、いずれもX-Y平面にほぼ平行な平坦面である。
【0101】
第1上面T11に重畳するシールSE1の厚さは、第2上面T12に重畳するシールSE1の厚さより大きい。シールSE1は、第2上面T12にはほとんど重畳しない場合もあり得る。
なお、第1スペーサSP1は、第3方向Zに沿った高さの異なる3つ以上の上面を有していてもよい。
図26に示す例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0102】
図27は、第1スペーサSP1及び第2スペーサSP2を含む第1液晶セル10の他の例を示す断面図である。
第1スペーサSP1の高さH1は、第2スペーサSP2の高さH2より大きい。詳細な図示を省略しているが、第1スペーサSP1と第2基板S21との間に介在する部材の厚さが、第2スペーサSP2と第2基板S21との間に介在する部材の厚さより小さい場合には、高さH1が高さH2より大きく設定されることで、ギャップムラを抑制することができる。あるいは、シールSE1が硬化する際に第1基板S11及び第2基板S21のそれぞれの周縁部が加圧される場合があり、シールSE1が硬化した後のギャップムラを抑制する観点で、高さH1が高さH2より大きく設定される場合もあり得る。
【0103】
上記した本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な液晶デバイスを提供することができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態として説明した液晶デバイスを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての液晶デバイスも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0105】
1…液晶デバイス LS…光源
10…第1液晶セル S11…第1基板 E11…第1電極(E11A…第1帯電極、E11B…第2帯電極) S21…第2基板 E21…第2電極(E21A…第3帯電極、E21B…第4帯電極) LC1…第1液晶層 SE1…シール
SP1…第1スペーサ SP11…第1下スペーサ SP12…第1上スペーサ
SP2…第2スペーサ SP21…第2下スペーサ SP22…第2上スペーサ
20…第2液晶セル 30…第3液晶セル 40…第4液晶セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27