(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240924BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
G03G15/20 535
G03G21/16 104
(21)【出願番号】P 2020206770
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大高 久史
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-021147(JP,A)
【文献】特開2019-034805(JP,A)
【文献】特開2014-191134(JP,A)
【文献】特開2009-145417(JP,A)
【文献】特開2010-032833(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0171147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部材と加圧部材とにより押圧されたシートに画像を定着する定着部と、
第1の位置と第2の位置とに変位する操作レバーと、
開いた位置と閉じた位置とに回動する外装扉を含み、前記外装扉が前記閉じた位置にある状態で、前記定着部および前記操作レバーを内包する外装と、を備え、
前記操作レバーが前記第1の位置にあるときには、前記加熱部材と前記加圧部材との間に第1の圧力が生じ、前記操作レバーが前記第2の位置にあるときには、前記加熱部材と前記加圧部材との間に前記第1の圧力より小さい第2の圧力が生じるように、前記操作レバーの位置に応じて前記加熱部材と前記加圧部材との相対位置が変更され、
前記操作レバーが前記第1の位置にある状態で、前記外装扉が前記開いた位置から前記閉じた位置へ回動する際には、前記外装扉の内側に設けられた接触部が前記操作レバーと離間したまま、前記外装扉が前記閉じた位置に回動し、
前記操作レバーが前記第2の位置にある状態で、前記外装扉が前記開いた位置から前記閉じた位置へ回動する際には、前記外装扉の前記接触部が前記第2の位置にある前記操作レバーと接触し、かつ、前記操作レバーを押して動かし、さらに、前記外装扉が前記閉じた位置に向かって回動することで前記操作レバーが前記接触部から離間して前記第1の位置に移動する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記加熱部材は、第1の軸を中心に回転する加熱ローラを含み、
前記加圧部材は、前記第1の軸と平行な第2の軸を中心に回転する加圧ローラを含み、
前記外装扉は、前記第1の軸と平行な第3の軸を中心として回動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外装扉より鉛直方向の上方に配置され、前記外装扉が前記閉じた位置にあるときに、画像が定着された前記シートが排出される排出トレイをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記外装扉の前記接触部は、前記外装扉の厚み方向に沿って延びる平板形状のリブを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外装扉の前記接触部は、それぞれが前記外装扉の厚み方向に沿って延びる複数の平板形状のリブを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加熱部材と前記加圧部材とは鉛直方向において異なる高さに配置され、
前記操作レバーの把手部は、前記操作レバーが前記第1の位置にあるときに比べて、前記操作レバーが前記第2の位置にあるときには、鉛直方向の下方に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材の弾性力によって、前記操作レバーが前記接触部から離間して前記第1の位置に移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の圧力は普通紙に適する圧力であり、
前記第2の圧力は封筒に適する圧力である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりシートに画像を形成する画像形成装置として、感光体に形成された画像を転写部にてシートに転写し、転写された画像を定着部にてシートに定着し、画像が定着されたシートを装置上部の排出トレイに排出する構成が知られている。
【0003】
そして近年、普通紙、厚紙、封筒などの様々な種類のシートに対応することがユーザから要求されている。このような様々な種類のシートに対応することを目的として、装置側面(もしくは装置背面)の外装カバーを開放して、定着部にて画像が定着されたシートを、装置側面から水平方向に排出する構成が知られている。
【0004】
またシートの坪量が普通紙より大きい厚紙、あるいはシートのサイズが普通紙より小さい封筒などのシートに対応することを目的として、定着部における加熱ローラと前記加熱ローラに押圧された加圧ローラとのニップ圧を調整する構成が開示されている。
【0005】
特許文献1には、圧調整レバーを操作して、定着部のニップ圧を、通常(普通紙の通紙)の第1の押圧力と、厚紙や封筒を通紙させる前記第一の押圧力より小さい第二の押圧力とに切り替える構成が開示されている。そして、圧調整レバーは、例えば封筒を用いる場合にニップ圧が第2の押圧力になるように操作され、その操作後の位置で姿勢が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上記従来の技術では、封筒に印刷を行う場合、外装カバーを開き、圧調整レバーを操作して定着部のニップ圧を第2の押圧力に切り替えて、封筒への印刷を行う。
【0008】
しかしながら、上記従来の技術では、封筒の印刷を終了した後、定着部のニップ圧を通常の第一の押圧力に切り替えずに外装カバーを閉じてしまう可能性があった。この場合、普通紙に印刷を行った際に、定着部のニップ圧不足で画像不良が発生してしまうという問題があった。
【0009】
そこで本発明の目的は、定着部のニップ圧を調整するための操作性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の代表的な構成は、加熱部材と加圧部材とにより押圧されたシートに画像を定着する定着部と、第1の位置と第2の位置とに変位する操作レバーと、開いた位置と閉じた位置とに回動する外装扉を含み、前記外装扉が前記閉じた位置にある状態で、前記定着部および前記操作レバーを内包する外装と、を備え、前記操作レバーが前記第1の位置にあるときには、前記加熱部材と前記加圧部材との間に第1の圧力が生じ、前記操作レバーが前記第2の位置にあるときには、前記加熱部材と前記加圧部材との間に前記第1の圧力より小さい第2の圧力が生じるように、前記操作レバーの位置に応じて前記加熱部材と前記加圧部材との相対位置が変更され、前記操作レバーが前記第1の位置にある状態で、前記外装扉が前記開いた位置から前記閉じた位置へ回動する際には、前記外装扉の内側に設けられた接触部が前記操作レバーと離間したまま、前記外装扉が前記閉じた位置に回動し、前記操作レバーが前記第2の位置にある状態で、前記外装扉が前記開いた位置から前記閉じた位置へ回動する際には、前記外装扉の前記接触部が前記第2の位置にある前記操作レバーと接触し、かつ、前記操作レバーを押して動かし、さらに、前記外装扉が前記閉じた位置に向かって回動することで前記操作レバーが前記接触部から離間して前記第1の位置に移動する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定着部のニップ圧(押圧力)を調整するための操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】リアドアのドアカム部をなすリブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を例示的に説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
図1~
図6を用いて、本実施例に係る画像形成装置について説明する。
【0015】
まず
図2を用いて、画像形成装置の概略構成について説明する。
図2は本実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。ここでは、画像形成装置として、シートに画像を形成するレーザビームプリンタを例示している。
【0016】
画像形成装置1は、シートSに画像を定着する定着部4などを有する。画像形成装置1は、装置下部にシートSを備えた給送部2を設けている。給送部2から給送されたシートSは画像形成部3に搬送され、画像形成部3にてシートSに画像が形成される。その後、画像が形成されたシートSは定着部4に搬送され、定着部4にて熱と圧力によってシートSに画像が定着される。画像が定着されたシートSは排出部6に搬送され、排出部6により装置上部に配置された排出トレイ5に排出される。
【0017】
画像形成装置1には、開閉部材であるリアドア7が設けられている。リアドア7は、軸7bを中心に画像形成装置1に回動可能(開閉可能)に設けられている。リアドア7は、把手7cを用いて、画像形成装置1に係合した閉位置(
図2に示す位置)と、前記係合を解除して前記閉位置から退避した開位置(不図示)との間を変位可能である。リアドア7は、例えば定着部4と排出部6の間でシート詰まりが発生した場合、シートを除去しやすいように、リアドア7を開いて画像形成装置1における定着部4と排出部6の間を開放する。
【0018】
次に
図1を用いて、画像形成装置1における定着部4について説明する。
図1は本実施例に係る画像形成装置1における定着部4を示す断面図である。
【0019】
図1に示すように、定着部4は、加熱部材としての定着ローラ13と、定着ローラ13に押し付けられて定着ローラ13との間でシートSを搬送する加圧部材としての加圧ローラ14と、を備えている。定着ローラ13は、円筒状のローラ内にヒータを有している。定着部4は、定着ローラ13と加圧ローラ14の間でシートSを挟持しながらヒータによりシートSを加熱して画像(現像剤像)をシートSに定着させる。
【0020】
さらに定着部4は、上フレーム8と、支持アーム9と、切替レバー10と、押圧板11と、バネ12と、を有している。
図1、
図3~
図5を用いて、本実施例に係る画像形成装置における定着部4について説明する。
図1は定着部の断面図である。
図3~
図5は切替レバーの操作の説明図である。
【0021】
上フレーム8は、定着ローラ13と支持アーム9を支持する第一の支持部材である。上フレーム8は、画像形成装置1に支持されている。なお、ここでは、定着ローラ13を定着部4が有する上フレーム8で支持する構成を例示しているが、これに限定されるものではなく、画像形成装置1で支持する構成としても良い。
【0022】
支持アーム9は、中央部に設けられた軸受15と、一端に設けられた軸支部9aと、他端に設けられた押圧板11と、軸受15と押圧板11との間に設けられ係止部9bと、を有している。軸受15は、加圧ローラ14の長手方向両端の軸を支持する。これにより、加圧ローラ14は支持アーム9に対して回動可能に支持されている。また支持アーム9は、軸支部9aを中心にして上フレーム8に揺動可能に支持されている。
【0023】
押圧板11は、支持アーム9の他端に取り付けられている。押圧板11は、後述するように切替レバー10と係合する部分(受け部)である。
【0024】
バネ12は、定着ローラ13と加圧ローラ14とを押圧する付勢部材であり、上フレーム8と支持アーム9の間に設けられている。ここでは、バネ12が加圧ローラ14および定着ローラ13の一方を他方に向けて付勢する構成として、バネ12が加圧ローラ14を定着ローラ13に向けて付勢する構成を例示している。
【0025】
バネ12は、例えば、引張コイルバネである。バネ12は、一端が上フレーム8に設けられた係止部8aに係止され、他端が支持アーム9に設けられた係止部9bに係止されて、定着ローラ13と加圧ローラ14の間に引張力を発生している。これにより、バネ12は、上フレーム8に支持された定着ローラ13に対して、支持アーム9に支持された加圧ローラ14を付勢(押圧)している。
【0026】
切替レバー10は、定着ローラ13と加圧ローラとの間の押圧力(ニップ圧、ニップ幅)を調整するための切替部材である。切替レバー10は、軸支部10aと、操作部10bと、第一カム部10cと、第二カム部10dと、を有する。切替レバー10は、軸支部10aを中心にして上フレーム8に回動可能に支持されている。操作部10bは、ユーザーによって操作される部分である。
【0027】
第一カム部10cは、支持アーム9の他端に取り付けられた受け部である押圧板11に当接する。第一カム部10cは、
図1に示すように押圧板11に当接している状態において、回動中心である軸支部10aの中心から第一カム部10cまでの最短距離が距離D1である。切替レバー10は、第一カム部10cを押圧板11に当接して、支持アーム9を第一の押圧力で押圧する第一の押圧位置(
図1に示す位置)に保持する。
【0028】
第二カム部10dは、切替レバー10において、支持アーム9の他端に取り付けられた受け面である押圧板11に当接する。第二カム部10dは、
図3に示すように押圧板11に当接している状態において、回動中心である軸支部10aの中心から第二カム部10dまでの最短距離が、前記第一カム部10cまでの距離D1よりも長い距離D2である。すなわち、第二カム部10dは、回動中心となる軸支部10aの中心からの距離D2が、前記第一カム部までの距離D1よりも長い位置に設けられている。切替レバー10は、第二カム部10dを押圧板11に当接して、支持アーム9を前記第一の押圧力より小さい第二の押圧力で押圧する第二の押圧位置に保持する。
【0029】
したがって、切替レバー10は、操作部10bを操作して軸支部10aを中心に回動し、第一カム部10cまたは第二カム部を支持アーム9の押圧板11に当接することで、定着ローラ13と加圧ローラとの間の押圧力を切り替えることが可能である。
【0030】
さらに前記開閉部材としてのリアドア7には、
図4に示すように、切替レバー10に当接可能な突起部としてのドアカム部7aが設けられている。ドアカム部7aは、リアドア7の開位置から閉位置への移動により、支持アーム9を第二の押圧位置に保持している切替レバー10に接触し、支持アーム9を第一の押圧位置に向けて移動させる力をリアドア7に発生させる。
【0031】
具体的には、ドアカム部7aは、支持アーム9を第二の押圧位置に保持している切替レバー10の操作部10bに接触する接触部7dを有している。接触部7dは、リアドア7の開位置から閉位置への移動により、切替レバー10に対して支持アーム9を第一の押圧位置に向けて移動させる力を発生させる傾斜(傾斜面)を有している。なお、ここでは接触部7dが有する傾斜は、直線状の傾斜(傾斜面)に限定されるものではなく、例えば円弧状の曲面(湾曲面)であってもよい。
【0032】
さらに接触部7dが有する傾斜は、リアドア7の回転中心である軸7bの中心から切替レバー10の操作部10bとの接触点Kまでの距離が、切替レバー10の開位置から閉位置への移動に応じて徐々に長くなる傾斜である。
【0033】
ここで、定着部4のニップ幅(ニップ圧、押圧力)を調整するときの動作を説明する。
【0034】
切替レバー10を操作して、第一カム部10cを押圧板11に当接することで、支持アーム9の位置が決まり、支持アーム9が
図1に示す第一の押圧位置に保持される。これにより、定着ローラ13と加圧ローラ14との間の押圧力が第一の押圧力となり、定着ローラ13と加圧ローラ14のニップ幅も決まる。このとき、ニップ幅は最も大きく、普通紙の定着に適した状態となる。ここで、ニップ幅とは、シートの搬送方向と直交する幅方向の長さ(幅)である。この
図1に示す第一の押圧位置を初期位置とする。
【0035】
印刷するシートの坪量が普通紙より大きい厚紙、あるいはシートの幅方向のサイズが普通紙より小さい封筒である場合、定着ローラ13と加圧ローラ14のニップ幅を、初期位置のニップ幅より小さくする必要がある。
【0036】
前述のニップ幅を小さくするためには、
図3に示すように、まずリアドア7を矢印A方向に開く。すなわち、リアドア7の画像形成装置1との係合を解除して、リアドア7を閉位置(
図1に示す位置)から退避した開位置へ移動し、定着部4と排出部6の間を開放する。その後、操作部10bを用いて切替レバー10を矢印B方向に回転させる。すると、支持アーム9の押圧板11と当接する面が前記第一カム部10cから第二カム部10dに変更される。すなわち、切替レバー10の回動中心となる軸支部10aの中心から押圧板11までの距離が、前記第一カム部10cまでの距離D1より長い距離D2に切り替えられる。
【0037】
このように支持アーム9の押圧板11に当接する面が第二カム部10dに変更されることで、支持アーム9の位置が
図1に示す初期位置(第一の押圧位置)から
図3に示す第二の押圧位置に切り替えられ、支持アーム9が当該位置に保持される。これにより、切替レバー10の回動中心となる軸支部10aの中心から押圧板11までの距離が、初期位置より大きくなるので、定着ローラ13と加圧ローラ14との間の押圧力が第一の押圧力より小さい第二の押圧力となる。このとき、定着ローラ13と加圧ローラ14のニップ幅は、初期位置のニップ幅より減少したニップ幅となり、厚紙、封筒等の定着に適した状態となる。
【0038】
このようにして、印刷するシートの種類に応じて、定着部4のニップ幅(ニップ圧、押圧力)を調整する。
【0039】
また本画像形成装置では、
図4に示すように、切替レバー10が支持アーム9を第二の押圧位置に保持している状態で、リアドア7の閉動作(C方向移動)を行うと、リアドア7に設けたドアカム部7aの接触部7dが切替レバー10の操作部10bに接触する。
【0040】
ここで、ドアカム部7aの接触部7dが有する傾斜は、リアドア7の回転中心である軸7bの中心から切替レバー10の操作部10bとの接触点Kまでの距離が、切替レバー10の開位置から閉位置への移動に応じて徐々に長くなる傾斜である。これにより、リアドア7を
図4に示す矢印C方向に閉じる動作によって、接触部7dと操作部10bの接触点Kには、切替レバー10に対して支持アーム9を第一の押圧位置に向けて移動させる力Dが発生する。すなわち切替レバー10の開位置から閉位置への移動により、接触部7dと操作部10bの接触点Kには力Dが発生し、切替レバー10が矢印E方向に回転する。その後、ドアカム部7aと操作部10bが接触しながら、リアドア7の移動により切替レバー10が矢印E方向に回転する。
【0041】
図5に示すように、リアドア7の閉じる方向への移動により切替レバー10を矢印E方向に回転することで、切替レバー10と押圧板11との接触点Gに回転モーメントFsinθがかかる。このとき、接触点Gには、切替レバー10と押圧板11との摩擦力Hも作用している。ここで、力Fはバネ12の付勢力により接触点Gにかかる力であり、角度θは接触点Gと切替レバー10の軸支部10aの軸心とを結ぶ直線Lと力Fのなす角度である。接触点Gにおいて、回転モーメントFsinθが摩擦力Hより小さいうちは、切替レバー10はリアドア7に押された分だけ矢印E方向に回転する。
【0042】
しかし、前記接触点Gにかかる回転モーメントFsinθが、切替レバー10と押圧板11との摩擦力Hより大きくなると、バネ12の付勢力により切替レバー10が自動的に矢印E方向に回転する。すると、切替レバー10はドアカム部7aから離間して、押圧板11に第一カム部10cが当接した第一の押圧位置(
図1に示す位置)で停止する。
【0043】
したがって上記構成によれば、厚紙、封筒の印刷を終了した後、定着部4のニップ圧を第一の押圧力に戻し忘れたとしても、リアドア7を閉じる動作によって切替レバー10を
図3に示す位置から
図1に示す初期位置に切り替えることができる。すなわち、本実施例によれば、定着部のニップ圧を調整するための操作性を向上させることが可能である。これにより、定着部4のニップ圧を初期位置(第一の押圧力)に戻し忘れて普通紙の印刷を行った場合でも、定着部のニップ圧不足による画像不良を防止することができる。
【0044】
またリアドア7に設けた突起部としてのドアカム部7aは、
図6に示すように、リアドア7の厚さよりも薄い、2つ以上の板状のリブ7a1,7a2で形成されている。
図6はリアドア7のドアカム部7aをなすリブの斜視図である。
【0045】
リアドア7は樹脂成型されたカバーであり、画像形成装置の外装をなす外装カバーである。このリアドア7にリブ形状のドアカム部7aを形成しようとすると、リブの厚さは決まってくる。通常、リアドア7の外観にヒケ等の成型不良が出ないようにすると、ドアカム部7aをなすリブの厚みはリアドア7の厚みに対して、50%から70%にしなければならない。ここでリアドア7の厚みが2mmだとすると、ドアカム部7aをなすリブの厚みは1mmから1.4mmとなる。ドアカム部7aをなすリブは、ドアカム部7aと切替レバー10との接触点Kに作用する切替レバー10を移動させる力Dに負けない強度が必要となる。そのため、リアドア7に設けたドアカム部7aは、リアドア7の厚さよりも薄い、2枚のリブ7a1,7a2で形成している。
【0046】
なお、ドアカム部7aをなす2つ以上の板状のリブは、ここでは2枚のリブとしたが、これに限定されるものではなく、強度不足の場合はそれに応じて3枚以上にしても良い。
【0047】
なお、前述した実施例では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。あるいは、シート担持体を使用し、該シート担持体に担持されたシートに各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。あるいは、中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像をシートに一括して転写する画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
G,K …接触点
1 …画像形成装置
3 …画像形成部
4 …定着部
6 …排出部
7 …リアドア
7a …ドアカム部
7a1,7a2 …リブ
7b …軸
7c …把手
7d …接触部
8 …上フレーム
8a …係止部
9 …支持アーム
9a …軸支部
9b …係止部
10 …切替レバー
10a …軸支部
10b …操作部
10c …第一カム部
10d …第二カム部
11 …押圧板
12 …バネ
13 …定着ローラ
14 …加圧ローラ
15 …軸受