(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】放射線撮影装置及びその制御方法、放射線撮影システム、並びに、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
G01T7/00 A
(21)【出願番号】P 2020208142
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】大栗 洋和
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-154785(JP,A)
【文献】特開2006-208301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/167-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した放射線に基づいて放射線画像を撮影する放射線撮影装置であって、前記放射線撮影装置が前記放射線画像を撮影可能な状態である撮影可能状態よりも前記放射線撮影装置の消費電力が小さい待機状態として、互いに消費電力の異なる複数の待機状態で動作され、前記放射線撮影装置が前記待機状態から前記撮影可能状態に遷移する遷移時間が、前記放射線を発生させる放射線発生装置が前記放射線の照射の準備の要求を受けてか
ら放射線の照射
可能状態に遷移するまでに要する
準備時間である照射準備時間よりも短くなるように、前記待機状態を前記複数の待機状態から選択する選択部を有することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記複数の待機状態は、第1待機状態と、該第1待機状態よりも消費電力が大きい第2待機状態と、を含み、前記選択部は、前記第1待機状態から前記撮影可能状態に遷移する第1遷移時間が前記照射準備時間よりも長い場合、前記複数の待機状態から前記第2待機状態を選択することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記複数の待機状態は、前記第2
待機状態よりも消費電力が大きい第3待機状態を更に含み、前記選択部は、前記第2待機状態から前記撮影可能状態に遷移する第2遷移時間が前記照射準備時間よりも長い場合、前記複数の待機状態から前記第2待機状態を選択することを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記放射線画像を生成するセンサ部と、前記センサ部の動作制御を行う駆動部と、前記駆動部の制御を行う制御部と、前記センサ部と前記駆動部と前記制御部に対してそれぞれ個別に電源を供給し得る電源部と、を更に有することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記第1待機状態は、前記電源部が前記センサ部及び前記駆動部には電源を供給しておらず前記制御部には電源を供給しており、前記第2待機状態は、前記電源部が前記センサ部には電源を供給しておらず前記駆動部及び前記制御部には電源を供給している、ことを特徴とする請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記放射線の照射の準備の要求を受信する受信部を更に含み、前記放射線の照射の準備の要求をトリガとして前記待機状態から前記撮影可能状態に遷移することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記放射線撮影装置の外部からの電源供給がなくても前記放射線撮影装置を動作可能とするためのバッテリを更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記選択部は、前記放射線撮影装置に前記バッテリではなく外部からの電源供給があるかの判定に基づいて前記待機状態を前記複数の待機状態から選択することを特徴とする請求項7に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記放射線発生装置として複数の放射線発生装置から使用される放射線発生装置を特定する識別情報が取得された場合に、前記複数の放射線発生装置を特定する識別情報と予め紐づけられて記憶された前記複数の待機状態から取得された識別情報と紐づけられて記憶された待機状態を選択することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の放射線撮影装置と、前記放射線発生装置と、を含むことを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項11】
入射した放射線に基づいて放射線画像を撮影する放射線撮影装置の制御方法であって、前記放射線撮影装置は、前記放射線撮影装置が前記放射線画像を撮影可能な状態である撮影可能状態よりも前記放射線撮影装置の消費電力が小さい待機状態として、互いに消費電力の異なる複数の待機状態で動作され、前記放射線撮影装置が前記待機状態から前記撮影可能状態に遷移する遷移時間が、前記放射線を発生させる放射線発生装置が前記放射線の照射の準備の要求を受けてか
ら放射線の照射
可能状態に遷移するまでに要する
準備時間である照射準備時間よりも短くなるように、前記待機状態を前記複数の待機状態から選択することを特徴とする放射線撮影装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の放射線撮影装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影を行う放射線撮影装置及びその制御方法、放射線撮影システム、並びに、放射線撮影装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、入射した放射線に基づいてデジタル放射線画像を生成する放射線撮影装置の普及により、放射線撮影システムのデジタル化が進んでいる。この放射線撮影システムのデジタル化によって、放射線撮影直後の画像確認が可能となり、従来のフィルムやCR装置を使用した撮影方法に比べてワークフローが大幅に改善された。
【0003】
さらに、無線の放射線撮影装置が開発されて、放射線撮影装置の取り扱いが容易になった。このような無線の放射線撮影装置では、バッテリで動作するため、1回の充電による撮影可能枚数が使いやすさにつながる。この際、撮影可能枚数を増加させるためには、放射線撮影装置の省電力化が必要となる。また、デジタル放射線撮影装置では、撮影可能状態よりも消費電力が小さい待機状態を解除してから撮影可能状態に遷移するために、一定の待ち時間が必要である。この待機状態の解除に関して、特許文献1では、撮影者及び患者にとって撮影までの時間は短いほうがよいため、複数の待機状態解除方法が開示されており、また、特許文献2では、撮影オーダが入力されたことに応じて待機状態を解除する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-165142号公報
【文献】特開2002-272720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、上述したように複数の待機状態解除方法が開示されているが、例えば、放射線の照射までの待ち時間が同じにもかかわらず消費電力が大きい待機状態解除方法が選択されてしまうという問題が生じうる。
【0006】
また、特許文献2では、撮影オーダが入力されたことに応じて待機状態を解除する方法が開示されているが、撮影オーダが入力されてから撮影までの時間が長くなると、消費電力が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、放射線撮影装置において複数の待機状態解除方法がある場合に、消費電力の観点で最適な待機状態解除方法を選択可能な仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の放射線撮影装置は、入射した放射線に基づいて放射線画像を撮影する放射線撮影装置であって、前記放射線撮影装置が前記放射線画像を撮影可能な状態である撮影可能状態よりも前記放射線撮影装置の消費電力が小さい待機状態として、互いに消費電力の異なる複数の待機状態で動作され、前記放射線撮影装置が前記待機状態から前記撮影可能状態に遷移する遷移時間が、前記放射線を発生させる放射線発生装置が前記放射線の照射の準備の要求を受けてから放射線の照射可能状態に遷移するまでに要する準備時間である照射準備時間よりも短くなるように、前記待機状態を前記複数の待機状態から選択する選択部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放射線撮影装置において複数の待機状態解除方法がある場合に、消費電力の観点で最適な待機状態解除方法を選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示す放射線発生装置と放射線撮影装置の内部の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示す画像生成部の内部構成の一例を示す図である。
【
図4】放射線撮影装置のの内部の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】放射線撮影装置の遷移動作を説明するための概念図である。
【
図6】各状態遷移モードと待機状態での消費電力の関係を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係る放射線撮影装置の動作を説明する概念図である。
【
図9】第1の実施形態に係る放射線撮影装置の動作を説明する概念図である。
【
図10】第2の実施形態に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】各状態遷移モードと各放射線発生装置との紐づけの関係を示す図である。
【
図12】第3の実施形態に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、以下に記載の本発明の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、本発明の実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段として必須のものとは限らない。また、以下に記載の本発明の実施形態において、放射線としては、X線を用いることが好適であるが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、α線やβ線、γ線などの他の放射線も、本発明に適用可能である。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影システム100の概略構成の一例を示す図である。本実施形態の放射線撮影システム100は、放射線撮影室110側の構成部と、回診車120側の構成部を有して構成されている。
【0014】
放射線撮影装置101及び放射線撮影装置102は、放射線撮影室110側(具体的には、放射線撮影室110内)に配置された放射線撮影装置である。また、放射線撮影装置103は、回診車120側に配置された放射線撮影装置であり、例えば放射線撮影装置101を移動させて配置することも可能である。これらの放射線撮影装置101~103は、バッテリによる動作または外部給電による動作が可能である。
【0015】
放射線撮影室110の側には、放射線撮影装置101及び102に加えて、無線アクセスポイント111(
図1では「AP1」と記載)、放射線撮影装置101及び102を制御するコンソール112(
図1では「PC1」と記載)が配置されている。また、放射線撮影室110の側には、放射線発生装置113(
図1では「Xgen」と記載)、放射線スイッチ114が配置されている。さらに、放射線撮影室110の側には、放射線撮影装置101及び102と放射線発生装置113とのタイミングを調整するための中継器115(
図1では「IF」と記載)、及び、電源供給装置116(
図1では「Pwr」と記載)が配置されている。また、放射線スイッチ114は、放射線発生装置113に対して放射線照射準備開始要求の指示を行う準備要求スイッチ1141と、放射線照射要求の指示を行う照射要求スイッチ1142とを含み構成されている。準備要求スイッチ1141及び照射要求スイッチ1142は、2段階のスイッチであり、必ず照射要求スイッチ1142の前に準備要求スイッチ1141が押下されることになる。電源供給装置116は、放射線撮影装置(例えば、
図1の放射線撮影装置102)に電源(電力)を供給するための装置であるが、電源供給だけでなく有線通信可能なインターフェースを持ち、当該放射線撮影装置と各通信装置との通信の中継を行うことができる。放射線撮影装置101は、バッテリによる動作を行い、無線アクセスポイント111と無線通信を行ってコンソール112に対して放射線画像を送信する。放射線撮影装置102は、電源供給装置116に接続され、外部給電による動作を行って有線通信を行う。
【0016】
回診車120の側には、放射線撮影装置103に加えて、無線アクセスポイント121(
図1では「AP2」と記載)、放射線撮影装置103を制御するコンソール122(
図1では「PC2」と記載)が配置されている。また、回診車120の側には、放射線発生装置123(
図1では「Xgen」と記載)、放射線スイッチ124、及び、放射線撮影装置103と放射線発生装置123とのタイミングを調整するための中継器125(
図1では「IF」と記載)が配置されている。また、放射線スイッチ124は、放射線発生装置123に対して放射線の照射の準備開始要求の指示を行う準備要求スイッチ1241と、放射線の照射要求の指示を行う照射要求スイッチ1242とを含み構成されている。準備要求スイッチ1241及び照射要求スイッチ1242は、準備要求スイッチ1141及び照射要求スイッチ1142と同様に、2段階のスイッチである。なお、放射線撮影装置103を回診車120と使用する場合には、無線アクセスポイント121と無線通信を行ってコンソール122に対して放射線画像を送信する。
【0017】
なお、放射線撮影装置101~103は、放射線撮影室110及び回診車120において、無線/有線の通信接続を切り替えることが可能に構成されている。
【0018】
図2は、本発明の第1の実施形態を示し、
図1に示す放射線発生装置113,123と放射線撮影装置101,102,103の内部の機能構成の一例を示す図である。
【0019】
放射線発生装置113,123は、
図2に示すように、準備要求スイッチ201、照射要求スイッチ202、及び、放射線照射許可受信部203を有して構成されている。準備要求スイッチ201は、
図1に示す準備要求スイッチ1141,1241に対応するスイッチであり、また、照射要求スイッチ202は、
図1に示す照射要求スイッチ1142,1242に対応するスイッチである。
【0020】
準備要求スイッチ201が押下されると、放射線発生装置113,123は、放射線撮影装置101,102,103に対して準備開始要求の情報を送信する。また、照射要求スイッチ202が押下されると、放射線発生装置113,123は、放射線撮影装置101,102,103に対して照射要求の情報を送信する。放射線発生装置113,123は、照射許可受信部203によって、放射線の照射可能状態の時に放射線の照射許可の情報を受信すると、放射線を照射する。
【0021】
放射線撮影装置101,102,103は、
図2に示すように、状態制御部210、及び、画像生成部220を有して構成されている。放射線撮影装置101,102,103では、状態制御部210によって、撮影可能状態よりも消費電力が小さい待機状態と撮影可能状態とを切り替える。状態制御部210は、
図2に示すように、選択部211、第1の状態遷移モード212(
図2の「状態遷移モード1」)、第2の状態遷移モード213(
図2の「状態遷移モード2」)、及び、放射線の準備要求を受信する準備要求受信部214を有する。
【0022】
準備要求受信部214は、放射線発生装置113,123から、放射線準備要求の情報(放射線の照射の準備開始情報を含む情報)を受信する受信手段である。第1の状態遷移モード212は、複数の待機状態から選択された後述する第1待機状態から撮影可能状態に遷移する状態遷移モードである。また、第2の状態遷移モード213は、複数の待機状態から選択された後述する第2待機状態から撮影可能状態に遷移する状態遷移モードである。
【0023】
選択部211は、第1の状態遷移モード212及び第2の状態遷移モード213のうちのいずれかの状態遷移モードを選択する選択手段である。選択部211は、当該放射線撮影装置101,102,103において待機状態から撮影可能状態に遷移する際の状態遷移特性及び放射線発生装置113,123において放射線の照射可能状態に遷移する際の放射線照射特性に基づいて選択する。ここで、上述した状態遷移特性は、待機状態から撮影可能状態に遷移する際の遷移時間を含む特性であり、また、上述した放射線照射特性は、待機状態から放射線の照射可能状態に遷移する際の照射準備時間を含む特性である。この際、本実施形態においては、放射線発生装置113,123の照射準備に必要な時間情報を「照射準備時間」と呼ぶ。この照射準備時間は、回転陽極の回転状態が安定し、放射線の面内分布の均一となるまでの時間を含み、放射線発生装置113,123の管球により異なる時間となる。ここで、回診車120側の放射線発生装置123における照射準備時間は、放射線撮影室110側の放射線発生装置113における照射準備時間よりも長いことが多い。なお、例えば照射要求スイッチ202は、照射準備時間が経過するまでは押下しても照射要求は発行されず、照射準備時間が経過したところで発行される。準備要求スイッチ201と照射要求スイッチ202は一体化した2段スイッチで構成される場合が多い。また、本実施形態においては、放射線撮影装置101,102,103が待機状態から撮影可能状態に遷移する時間情報を「遷移時間」と呼ぶ。この遷移時間は、センサ(後述する
図3のセンサ310)に電源を供給してから電荷蓄積特性が安定し、アーチファクトがなくなるまでの時間を含むため、待機状態を解除した後すぐに撮影可能状態になるものではなく一定時間必要である。そして、本実施形態では、選択部211は、照射準備時間が遷移時間よりも長い場合に第1の状態遷移モード212を選択し、照射準備時間が遷移時間よりも短い場合に第2の状態遷移モード213を選択する。なお、各状態遷移モードによって待機状態や撮影可能状態の定義が異なるため、遷移時間もそれぞれ異なる。後で3種類の状態遷移モードがある場合を説明する。また、本実施形態においては、上述した放射線照射特性は、例えば、放射線発生装置113,123における放射線の照射準備開始情報と、放射線発生装置113,123における放射線の照射準備完了情報とを用いて算出される特性である。
【0024】
画像生成部220は、入射した放射線に基づいて放射線画像を生成する構成部である。また、バッテリ230は、外部からの電源供給がなくても放射線撮影装置101,102,103を動作可能とするための内部の電源供給手段である。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態を示し、
図2に示す画像生成部220の内部構成の一例を示す図である。画像生成部220は、
図3に示すように、センサ310、駆動回路320、読出し回路330、撮影制御手段340、補正処理手段350、及び、電源手段360を有して構成されている。
【0026】
センサ310は、複数の行及び複数の列を構成するように2次元アレイ状に配置された複数の画素311を含み構成されている。複数の画素311の各々は、変換素子3111とスイッチ素子3112とを備えて構成されている。変換素子3111は、入射した放射線を電気信号である電荷に変換し、電荷を蓄積する。この変換素子3111は、放射線を可視光に変換するシンチレータと、可視光を電荷に変換する光電変換素子とによって構成されてもよく、また、放射線を直接電荷に変換する素子であってもよい。スイッチ素子3112は、変換素子3111に蓄積された電荷を信号線314に転送する。スイッチ素子3112は、例えばTFTのようなトランジスタで構成されている。また、スイッチ素子3112は、制御端子を有しており、制御端子にオン電圧が供給されたことに応じてオン、すなわち導通状態となり、また、制御端子にオフ電圧が供給されたことに応じてオフ、すなわち非導通状態となる。変換素子3111の一方の端子には、バイアス線312を介して電源手段360からバイアス電圧が供給される。変換素子3111の他方の端子は、スイッチ素子3112を介して信号線314に接続される。スイッチ素子3112の制御端子は、駆動線313に接続される。また、センサ310には、それぞれ、行方向(
図3では横方向)に延びた複数の駆動線313が列方向(
図3では縦方向)に並んで配置されている。各駆動線313には、同一の行に含まれる画素311のスイッチ素子3112の制御端子が共通に接続される。また、センサ310には、それぞれ、列方向に延びた複数の信号線314が行方向に並んで配置されている。各信号線314には、同一の列に含まれる画素311のスイッチ素子3112の一方の主端子が共通に接続される。
【0027】
駆動回路320は、撮影制御手段340から供給される制御信号に従って、センサ310を駆動する。具体的に、駆動回路320は、駆動線313を通じて、各スイッチ素子3112の制御端子に駆動信号を供給する。駆動回路320は、駆動信号をオン電圧にすることによってスイッチ素子3112をオンにし、駆動信号をオフ電圧にすることによってスイッチ素子3112をオフにする。スイッチ素子3112がオンになると、変換素子3111に蓄積された電荷が信号線314に転送される。
【0028】
読出し回路330は、撮影制御手段340から供給される制御信号に従って、センサ310から電荷を読み出し、この電荷に応じた信号を生成する。そして、読出し回路330は、生成した信号を補正処理手段350に供給する。読出し回路330は、
図3に示すように、サンプルホールド回路331、マルチプレクサ332、アンプ333、及び、A/D変換器334を有して構成されている。サンプルホールド回路331は、変換素子3111から読み出された電荷を、画素行単位に保持する。マルチプレクサ332は、サンプルホールド回路331に保持された1行分の画素を順に取り出してアンプ333に供給する。アンプ333は、マルチプレクサ332から供給された電荷を増幅してA/D変換器334に供給する。A/D変換器334は、アンプ333から供給されたアナログ信号をデジタル信号(上述した放射線画像のデータに相当)に変換して補正処理手段350に供給する。補正処理手段350は、例えば、デジタル値に変換された放射線画像のデータから、放射線を照射せずに暗電荷成分のみから取得したダーク画像のデータを減算するダーク補正を行って、不要な暗電荷成分を除去した撮影画像を得る。電源手段360は、バイアス電圧などの各主動作電圧を供給するものであり、外部からの電源供給やバッテリ230からの電源供給により動作し得る。
【0029】
次に、
図4及び
図5を用いて、待機状態や撮影可能状態の定義が異なる3つの状態遷移モードについて説明する。
図4は、
図2及び
図3で説明した放射線撮影装置の構成を電源制御別に分けた機能ブロックを説明する概念図である。なお、以下では、放射線撮影装置101を代表例として用いて説明する。
【0030】
放射線撮影装置101の電気的な内部構成は、制御部401と駆動部402とセンサ部403と電源部404に大別され得る。入射した放射線に基づいて放射線画像を生成するセンサ部403は、
図3に示す画像生成部220のうち、センサ310、駆動回路320、及び、読出し回路330を含む。駆動部402は、
図3に示す画像生成部220の撮影制御手段340の一部を含み、FPGAやCPLDなどのプログラマブルな論理回路等で構成され得る。また、駆動部402は、センサ部403の駆動や読出し等の動作制御を行うものである。制御部401は、
図2に示す状態制御部210、
図3に示す補正処理手段350、及び、撮影制御手段340の一部を含み、駆動部402の制御や外部との通信などを担うものである。制御部401は、CPUおよびその周辺回路であるフラッシュやDRAM等のメモリ類や無線・有線の通信インターフェースなどで構成され得る。電源部404は制御部401、駆動部402、センサ部403に対してそれぞれ個別に電源を供給し得る。
【0031】
ここで、
図5(a)を用いて、状態遷移モード1の待機状態及び撮影可能状態への遷移のための動作について説明する。なお、ここでは、電源が入っている状態に関するものであるから図示はされていないが電源部404は動作しているものとして説明する。
図5(a)に示す状態遷移モード1において、待機状態(第1待機状態)では、電源部404は、センサ部401及び駆動部402には電源供給しておらず制御部403に電源供給している。それにより、状態遷移モード1の待機状態は、センサ部401及び駆動部402は動作していないが制御部403は動作している状態となるように放射線撮影装置101は動作される。次に、準備要求スイッチ201が押下されたことをトリガに、電源部404は駆動部402に電源の供給を開始し、駆動部402は動作を開始する。駆動部402がFPGAで構成される場合は、電源供給後にコンフィギュレーションを行ったうえで初期化等を行うことで、駆動部402の動作が開始される。また、電源部404はセンサ部403に電源を供給し、センサ310の電荷蓄積特性が安定してアーチファクトがある値よりも小さくなるまでの時間、センサ部403が準備駆動を行う。駆動部402は準備駆動を行うようセンサ部403を制御し、センサ部403は当該制御に応じて準備駆動を行う。状態遷移モード1の場合、撮影可能状態への遷移時間(第1遷移時間)T1は、駆動部402が電源オンしてからセンサの準備駆動が完了するまでの時間となる。
【0032】
次に、
図5(b)を用いて、状態遷移モード2の待機状態及び撮影可能状態への遷移のための動作について説明する。
図5(b)に示す状態遷移モード2において、待機状態(第2待機状態)では、電源部404は、センサ部403には電源供給しておらず駆動部402及び制御部401に電源供給している。そのため、状態遷移モード2の待機状態では、制御部401と駆動部402が動作している状態である。次に、準備要求スイッチ201が押下されたことをトリガに、電源部404はセンサ部403に電源の供給を開始し、駆動部402はセンサ部403が準備駆動を行うようセンサ部403を制御し、センサ部403は当該制御に応じて準備駆動を行う。状態遷移モード2の場合、撮影可能状態への遷移時間(第2遷移時間)T2は、センサ部403が電源オンしてからセンサの準備駆動が完了するまでの時間となる。撮影可能状態への遷移時間T2は、撮影可能状態への遷移時間T1に比べて駆動部403が電源オンしてからコンフィグレーションといった設定及び準備の間の時間がない分短くなる。そのため、2つの状態遷移モードの撮影可能状態への遷移時間の長さはT1>T2の関係となる。
【0033】
なお、図を用いて説明しないが、状態遷移モード3では、待機状態(第3待機状態)において電源部404は制御部401と駆動部402とセンサ部403に対して電源を供給しており、センサ部403の準備動作まで行っている状態である。そのため、準備要求スイッチ201が押下されたことをトリガに準備動作を開始するのではなく、準備要求スイッチ201が押下されたことに応じて撮影可能状態に遷移することが可能となる。なお、状態遷移モード3における待機状態では、センサ部403の読出し回路330のアンプやA/D変換器を低消費電力動作とすることにより、撮影可能状態よりも消費電力を小さくすることができる。
【0034】
ここで、外部からの電源供給ではなくバッテリ230からの電源供給で動作する放射線撮影装置101では、使用可能な時間を長くするためには消費電力を低減することが求められる。実際の撮影動作のサイクルを考慮すると、撮影可能状態の総時間に比べて待機状態の総時間の方が圧倒的に長いため、待機状態の消費電力を低減することが使用可能な時間を長くすることに効果的である。
図6では、各状態遷移モードと待機状態での消費電力の関係を示す。
図6に示すように、待機状態での消費電力は、待機状態の間に電源部404から電源供給されている構成が多いほど大きくなり、状態遷移モード1、状態遷移モード2、状態遷移モード3の順に大きくなる。一方、撮影可能状態への遷移時間は、待機状態の間に電源部404から電源供給されている構成が多いほど短くなり、状態遷移モード3、状態遷移モード2、状態遷移モード1の順に長くなる。すなわち、待機状態での消費電力が小さいほど撮影可能状態への遷移時間は長くなる。
【0035】
一方、例えば
図1に示す準備要求スイッチ1141と照射要求スイッチ1142を同時に押下した場合、放射線発生装置113は、放射線撮影装置101に対して放射線準備要求が発生したことを通知する。また、放射線発生装置113は、準備要求スイッチ1141の押下を受けて放射線照射可能状態に遷移し、放射線照射要求を放射線撮影装置101に対して送信する。そして、放射線撮影装置101は、準備要求受信部214において放射線発生装置113から放射線準備要求を受信すると、待機状態を解除して撮影可能状態に遷移する。放射線準備要求の受信から撮影可能状態へ遷移するまでの時間T1が、放射線照射可能状態に遷移する時間よりも長い場合、撮影可能状態に遷移した時には、放射線照射要求を受信済みである。そのため、放射線撮影装置101が照射許可を送信して放射線発生装置113が照射を実行するとき、照射要求スイッチ1142の押下から放射線照射までの照射ディレイ501は、放射線撮影装置101の撮影可能状態がボトルネックとなる。なお、ここでは、準備要求スイッチ1141と照射要求スイッチ1142を同時に押下した場合を説明したが、準備要求スイッチ1141を押下した状態で待った場合も、同様である。すなわち、準備要求スイッチ1141の押下から、放射線発生装置113と放射線撮影装置101の準備が完了するための時間(システム準備ディレイ)は、放射線撮影装置101の撮影可能状態がボトルネックになる。そこで、状態制御部210の選択部211は、
図7に示すようなフローで状態遷移モードの選択を行う。
【0036】
まず、
図7のステップS701に示すように、選択部211は、放射線発生装置の照射準備時間Txを取得する。この照射準備時間Txは放射線発生装置113,123毎に異なる。照射準備時間Txを得る方法は、あらかじめ放射線発生装置の照射準備に必要な時間情報を放射線撮影装置に設定する方法がある。照射準備時間は放射線発生装置の仕様値や設計値から得ることができ、それを放射線撮影装置の設置時などに設置者が設定することができる。また、放射線撮影装置が放射線発生装置と通信を行ない、照射準備時間を得る構成としてもよい。また、コンソールや別機器が放射線発生装置と通信を行ない、照射準備時間を得た後に、情報を入手した機器が放射線撮影装置に通知する方法でもよい。照射準備時間Txは、放射線発生装置から値を入手してもよいし、被写体を置かない状態で実際に放射線を照射し、そのときの照射準備時間を計測するようにしてもよい。照射準備時間は同じ条件で照射しても多少のばらつきが生じる場合があり、また管電圧等の照射条件を変えると照射準備時間が変わる場合がある。そのため、それらの平均値、最小値、最大値等で規定したり、照射条件ごとに別の値として設定するなどしてもよい。また、放射線撮影装置の起動や初期化時に毎回この情報を取得するようにしてもよいし、放射線発生装置が変わったり照射条件が変更した場合に取得するようにしてもよい。さらには放射線撮影装置内やコンソール、別機器等で、放射線発生装置の種別、個体別や撮影手技、照射条件などと紐づけてパラメータとして保持・管理するようにしてもよい。
【0037】
ここで、1つの具体例をあげて、放射線撮影装置101が放射線発生装置113の照射準備に必要な照射準備時間を取得する方法を説明する。放射線発生装置114の準備要求スイッチ1141と照射要求スイッチ1142を同時に押下されることに応じて、放射線発生装置114は放射線撮影装置101に対し、放射線準備要求が発生したことを通知する。放射線撮影装置101は、放射線準備要求を受信してからの時間経過を計測するためにタイマーを動作させる。放射線発生装置114は放射線照射可能状態になった際に、放射線撮影装置101に対し、放射線照射要求を通知する。放射線撮影装置101は放射線照射要求を受信したときに、タイマーを確認し放射線準備要求を受信してからの時間を測定する。この測定により、放射線撮影装置101は照射準備時間を得ることができる。この方法では、放射線撮影装置101の設置時に、照射準備時間を計測し得る。なお、ここでは準備要求スイッチ1141と照射要求スイッチ1142を同時に押下した場合を示したがこれに限定するものではない。準備要求スイッチ1141と照射要求スイッチ1142を照射準備時間以内の時間差をもって押下した場合でも構わない。また、放射線照射要求の受信に代えて、放射線撮影装置101が放射線の照射を自動で検知できる手法を用いて放射線の照射の開始を検知しても良い。当該検知に応じてタイマーを確認し放射線準備要求を受信してからの時間を測定することによっても、放射線撮影装置101は照射準備時間を得ることができる。
【0038】
次に、ステップS702において、選択部211は、取得したTxと状態遷移モード1の撮影可能状態への遷移時間T1とを比較する。ここでTx≧T1である場合は状態遷移モード1が選択され(ステップS703)、Tx<T1である場合はステップS704へ進む。ステップS704において、選択部211は、取得したTxと状態遷移モード2の撮影可能状態への遷移時間T2とを比較する。ここでTx≧T2である場合は状態遷移モード2が選択され(ステップS705)、Tx<T2である場合は状態遷移モード3が選択される(ステップS706)。
【0039】
図7で示されたフローで状態遷移モード1又は2の選択が行われた際の動作を
図8を用いて説明する。準備要求スイッチ1141と照射要求スイッチ1142を同時に押下した場合、放射線発生装置113は、放射線撮影装置101に対して放射線準備要求が発生したことを通知する。また、放射線発生装置113は、準備要求スイッチ1141の押下を受けて、放射線照射準備期間Tx(801)を経て放射線照射可能状態(802)に遷移し、放射線照射要求を放射線撮影装置101に対して送信する。そして、放射線撮影装置101は、準備要求受信部214において放射線発生装置113から放射線準備要求を受信すると、待機状態を解除して撮影可能状態へ遷移時間T1またはT2(803)を経て撮影可能状態に遷移する(804)。ここで、Tx≧T1またはT2であるため、放射線発生装置113から放射線照射要求を放射線撮影装置101が受信するときには、放射線撮影装置101は既に撮影可能状態へ遷移済みである。そのため、放射線撮影装置101が照射許可を送信して放射線発生装置113が照射を実行するとき、照射要求スイッチ1142の押下から放射線照射までの照射ディレイは、放射線発生装置113の照射準備時間Txによって決まることとなる。
【0040】
また、
図7で示されたフローで状態遷移モード3の選択が行われた際の動作を
図9を用いて説明する。状態遷移モード3の場合は、放射線撮影装置101は放射線発生装置113から放射線準備要求を受信する以前に撮影可能状態へ遷移している(901)。遷移するためのトリガは例えば放射線撮影装置101の電源をオンしたタイミングで遷移してもよいし、遷移するための物理的なスイッチを設けてもよい。コンソール上での操作によって待機状態解除の指示を送信してもよいし、撮影オーダーを選択する操作に紐づけて待機状態を解除したりしてもよい。放射線発生装置113の準備要求スイッチ1141を押下した後の放射線発生装置113の動作は状態遷移モード1又は2の場合と同様である。放射線撮影装置101は既に撮影可能状態へ遷移済みのため、照射ディレイは放射線発生装置113の照射準備時間Txによって決まることとなる。そのため、状態遷移モード1~3のいずれを選んでも、照射ディレイは照射準備時間Txによって決まる一定の時間となる。
【0041】
以上に説明するように、本実施形態では、選択部211が、放射線撮影装置101が待機状態から撮影可能状態に遷移する遷移時間が照射準備時間Txよりも短くなるように、待機状態を複数の待機状態から選択する。これにより、放射線撮影装置において複数の待機状態解除方法がある場合に、消費電力の観点で最適な待機状態解除方法を選択可能な仕組みを提供することが可能となる。
【0042】
なお、本実施形態では、状態遷移モードが3つの例を示したが、本発明ではモードの数は制限されるものではなく、複数の状態遷移モードから選択されればよい。また、状態遷移モード1としては、制御部401(CPU)が動作している状態としたが、例えばさらに消費電力の小さい低消費電力に特化したマイコンなどを採用し、最低限コンソール等の外部機器と通信ができる状態としてもよい。センサ部403に関しては、電源オンを駆動部402の電源オンと同時または先にしてもよいし、画質等に悪影響が生じない範囲で準備要求スイッチ1141の押下前に電源のみオンしておくようにしてもよい。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、
図10を用いて第2の実施形態について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る状態遷移モードの選択を行うフローを示す。第2の実施形態では
図7に示す第1の実施形態の状態遷移モードの決定方法が異なる。
【0044】
図10に示す第2の実施形態のフローは、
図7に示す第1の実施形態のフローの最初に、S1001で放射線撮影装置101にバッテリではなく外部からの電源供給があるかを判定する。ない場合にはステップS701へ進み第1の実施形態と同様のフローを辿り、ある場合にはステップS706へ進み状態遷移モード3を選択する。撮影可能状態の継続時間が長いほうが撮影画像のノイズが少なくなるため、外部からの電極供給がある状態では電力消費を少なくしたい要求よりも画質を優先することが多い。そのため、外部からの電極供給がある場合には、状態遷移モード3を選択する制御が有効である。それ以外のステップは第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、
図11及び
図12を用いて第3の実施形態について説明する。放射線撮影装置101を病院や検診バス等への設置時に、一緒に使われうる放射線発生装置の照射準備時間を、予めその発生装置を特定する識別情報と紐づけて記憶する。放射線撮影装置101は一般撮影室で使用されながら、必要に応じて回診車でも使われる場合などがあり、その場合にそれぞれの照射準備時間を発生装置の識別情報と紐づけて記憶する。または、発生装置情報に加えて撮影の手技により照射条件が変わりそれにより照射準備時間が変わるので、照射準備時間を発生装置と手技情報に紐づけて記憶してもよい。また、放射線撮影装置101内ではなく、放射線撮影装置101を制御するコンソール等に記憶する構成としてもよい。なお、放射線発生装置の照射準備時間を取得する方法は、先に説明した第1及び第2の実施形態と同様である。
【0046】
図11に示すように、放射線発生装置ごとに適した状態遷移モードを定めた場合、状態制御部210は、各発生装置について、撮影可能状態への遷移時間が照射準備時間以下となるようにそれぞれに適した状態遷移モードを紐づけて記憶する。一般的には、一般撮影室で使用される放射線発生装置は回診車に搭載される放射線発生装置よりも照射準備時間が短いため、適した状態遷移モードが異なる場合がある。
【0047】
次に、
図12を用いて第3の実施形態に係る状態遷移モードの選択を行うフローを説明する。
図11に示す情報が記憶された状態で、放射線撮影装置101は、使用される放射線発生装置が何であるかの情報を取得する(ステップS1201)。この情報は、使用される放射線発生装置から放射線撮影装置101へ送信されてもよいし、コンソール等が受け取って放射線撮影装置101へ送信してもよい。次に、ステップS1202で受け取った情報を
図11の情報と比較し、一般撮影室Aという情報であれば一般撮影室Aに適した状態遷移モード1が設定される(ステップS1203)。ここで一致しない場合、ステップS1204で次の一般撮影室Bという情報と一致すれば状態遷移モード2を設定し(ステップS1205)、一致せずに回診車という情報、または未定義の情報であれば、状態遷移モード3を設定する(ステップS1206)。以降の動作については第1又は第2の実施形態と同様である。なお、
図11の情報の保持や
図12の判定は、放射線撮影装置の内部ではなくコンソール等で行うように構成してもよい。
【0048】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0049】
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
【0050】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
100 放射線撮影システム
101~103 放射線撮影装置
110 放射線撮影室
111 無線アクセスポイント
112 コンソール
113 放射線発生装置
114 放射線スイッチ
1141 準備要求スイッチ
1142 照射要求スイッチ
115 中継器
116 電源供給装置
120 回診車
121 無線アクセスポイント
122 コンソール
123 放射線発生装置
124 放射線スイッチ
1241 準備要求スイッチ
1242 照射要求スイッチ
125 中継器
201 準備要求スイッチ
202 照射要求スイッチ
203 照射許可受信部
210 状態制御部
211 選択部
212 第1の状態遷移モード
213 第2の状態遷移モード
214 準備要求受信部
220 画像生成部
230 バッテリ