(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240924BHJP
【FI】
B41J2/14 303
B41J2/14 605
B41J2/14 603
(21)【出願番号】P 2020210928
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】中山 仁
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-348278(JP,A)
【文献】特開2018-122553(JP,A)
【文献】特開2013-010211(JP,A)
【文献】特開2017-074759(JP,A)
【文献】米国特許第06568795(US,B1)
【文献】中国実用新案第203854317(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる噴射チャネル及び非噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に交互に配列されたアクチュエータプレートと、
前記噴射チャネル内に連通する噴射孔を有し、前記アクチュエータプレートに向かい合う噴射孔プレートと、を備え、
前記非噴射チャネルは、
前記アクチュエータプレートと一体に形成された閉塞部によって、前記アクチュエータプレートのうち前記噴射孔プレートとの対向面に対して離間した位置で終端し、
前記噴射チャネルは、前記対向面上で開口しているヘッドチップ。
【請求項2】
前記アクチュエータプレートと前記噴射孔プレートとの間には、前記噴射チャネル内と前記噴射孔内とを各別に連通させる連通路が形成された中間プレートが配置されている請求項1に記載のヘッドチップ。
【請求項3】
前記アクチュエータプレートのうち前記対向面以外の面に向かい合う流路部材を備え、
前記流路部材は、
複数の前記噴射チャネルに連通する入口流路と、
複数の前記連通路にまとめて連通する出口流路と、を備えている請求項2に記載のヘッドチップ。
【請求項4】
第1方向に延びる噴射チャネル及び非噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に交互に配列されたアクチュエータプレートと、
前記噴射チャネル内に連通する噴射孔を有し、前記アクチュエータプレートに向かい合う噴射孔プレートと、を備え、
前記非噴射チャネルは、前記アクチュエータプレートのうち前記噴射孔プレートとの対向面に対して離間した位置で終端し、
前記噴射チャネルは、前記対向面上で開口し、
前記対向面は、前記アクチュエータプレートのうち前記第1方向を向く面であり、
前記アクチュエータプレートのうち前記第1方向から見て前記第2方向に交差する厚さ方向に重ね合わされた流路部材を備え、
前記流路部材は、
前記第1方向において前記非噴射チャネルと前記対向面との間に位置する部分に形成され、前記噴射チャネル内に各別に連通する循環路と、
前記循環路に対して前記第1方向で前記対向面側とは反対側に位置する部分に形成され、前記噴射チャネル内に連通する入口流路と、
複数の前記循環路にまとめて連通する出口流路と、を備えてい
るヘッドチップ。
【請求項5】
前記循環路の流路断面積は、前記噴射チャネルから離れるに従い増加している請求項4に記載のヘッドチップ。
【請求項6】
前記非噴射チャネルのうち前記対向面側の端面は、前記第1方向で前記対向面に向かうに従い前記厚さ方向で前記流路部材から離れる方向に延びる傾斜面に形成されている請求項4又は請求項5に記載のヘッドチップ。
【請求項7】
前記循環路は、前記流路部材のうち、前記第1方向における前記非噴射チャネルと前記対向面との間に位置する部分において、前記対向面から離れた位置に設けられている請求項4から請求項6の何れか1項に記載のヘッドチップ。
【請求項8】
第1方向に延びる噴射チャネル及び非噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に交互に配列されたアクチュエータプレートと、
前記噴射チャネル内に連通する噴射孔を有し、前記アクチュエータプレートに向かい合う噴射孔プレートと、を備え、
前記非噴射チャネルは、前記アクチュエータプレートのうち前記噴射孔プレートとの対向面に対して離間した位置で終端し、
前記噴射チャネルは、前記対向面上で開口し、
前記非噴射チャネルのうち前記対向面側の端面は、
前記アクチュエータプレートのうち前記第1方向から見て前記第2方向に交差する厚さ方向を向く第1面から離れるに従い前記第1方向で前記対向面から離れる方向に延びる第1傾斜面と、
前記アクチュエータプレートにおける前記厚さ方向で前記第1面とは反対に位置する第2面から離れるに従い前記第1方向で前記対向面から離れるとともに、前記第1傾斜面に連なる第2傾斜面と、を備えてい
るヘッドチップ。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載のヘッドチップを備えている液体噴射ヘッド。
【請求項10】
請求項9に記載の液体噴射ヘッドを備えている液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドは、インクジェットヘッドに搭載されるヘッドチップを通じて被記録媒体にインクを吐出する。ヘッドチップは、吐出チャネル及び非吐出チャネルが形成されたアクチュエータプレートと、吐出チャネルに連通するノズル孔を有するノズルプレートと、を備えている。吐出チャネル及び非吐出チャネルは、駆動壁を隔てて交互に配列されている(例えば、下記特許文献1参照)。
ヘッドチップにおいて、インクを吐出させるには、駆動壁に形成された電極間に電圧を印加して、駆動壁を厚み滑り変形させる。これにより、吐出チャネル内の容積が変化することで、吐出チャネル内のインクがノズル孔を通じて吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヘッドチップにあっては、アクチュエータプレートとノズルプレートとの表面性状のばらつきや貼り合わせ不良等により、アクチュエータプレートとノズルプレートとの間に微小隙間が意図せずに形成される可能性がある。仮に、吐出チャネル内のインクが微小隙間を通じて非吐出チャネル内に流入すると、非吐出チャネルの内面に形成された電極がインクによって腐食や短絡する可能性がある。
【0005】
本開示は、電気的な信頼性を確保し、耐久性を向上できるヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るヘッドチップは、第1方向に延びる噴射チャネル及び非噴射チャネルが前記第1方向に交差する第2方向に交互に配列されたアクチュエータプレートと、前記噴射チャネル内に連通する噴射孔を有し、前記アクチュエータプレートに向かい合う噴射孔プレートと、を備え、前記非噴射チャネルは、前記アクチュエータプレートのうち前記噴射孔プレートとの対向面に対して離間した位置で終端し、前記噴射チャネルは、前記対向面上で開口している。
【0007】
本態様によれば、非噴射チャネルが対向面上で開放されないので、アクチュエータプレートの対向面と噴射孔プレートとの間に意図せずに形成される微小隙間を通じて噴射チャネル内の液体が非噴射チャネル内に進入するのを抑制できる。
そのため、非噴射チャネルの内面に形成された電極が腐食や短絡するのを抑制し、電気的信頼性に優れ、耐久性の向上を図ったヘッドチップを提供できる。また、アクチュエータプレートの対向面に要求される表面性状を緩和できるので、製造効率の向上や歩留まりの向上を図ることができる。
【0008】
(2)上記(1)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記アクチュエータプレートと前記噴射孔プレートとの間には、前記噴射チャネル内と前記噴射孔内とを各別に連通させる連通路が形成された中間プレートが配置されていることが好ましい。
本態様によれば、非噴射チャネルが対向面上で開放されないので、第2方向における連通路の寸法を広く確保できる。そのため、例えば噴射孔及び連通路間や噴射チャネル及び連通路間での第2方向での位置ずれを許容し易い。したがって、噴射孔及び連通路間や噴射チャネル及び連通路間での連通部分の流路断面積を確保できる。
【0009】
(3)上記(2)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記アクチュエータプレートのうち前記対向面以外の面に向かい合う流路部材を備え、前記流路部材は、複数の前記噴射チャネルに連通する入口流路と、複数の前記連通路にまとめて連通する出口流路と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、第2方向における連通路の寸法を広く確保できるので、連通路の流路断面積を確保し易い。この場合には、連通路を流れる液体の流量を増加させることができるので、噴射孔での気泡詰まりの抑制や、噴射孔を通じた液体の噴射量の増加を図ることができる。また、例えば液体噴射時において一の噴射チャネル内で発生する圧力変動を連通路内で散逸させ易い。そのため、複数の噴射チャネルが出口流路を通じて連通している場合であっても、一の噴射チャネル内で発生した圧力変動が循環路及び出口流路を通じて他の噴射チャネルに伝播される、いわゆるクロストークを抑制できる。
一方、第2方向における連通路の寸法を広く確保できるので、連通路の流路断面積を確保しつつ、中間プレートの厚さ(第1方向の寸法)を抑えることができる。そのため、液体噴射時において噴射チャネル内で発生した圧力変動を噴射孔まで効果的に伝播させることができる。
その結果、噴射性能を向上させることができる。
【0010】
(4)上記(1)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記対向面は、前記アクチュエータプレートのうち前記第1方向を向く面であり、前記アクチュエータプレートのうち前記第1方向から見て前記第2方向に交差する厚さ方向に重ね合わされた流路部材を備え、前記流路部材は、前記第1方向において前記非噴射チャネルと前記対向面との間に位置する部分に形成され、前記噴射チャネル内に各別に連通する循環路と、前記循環路に対して前記第1方向で前記対向面側とは反対側に位置する部分に形成され、前記噴射チャネル内に連通する入口流路と、複数の前記循環路にまとめて連通する出口流路と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、非噴射チャネルが対向面上で開放されないので、第2方向における循環路の寸法を広く確保でき、循環路の流路断面積を確保し易い。この場合には、循環路を流れる液体の流量を増加させることができるので、噴射孔での気泡詰まりの抑制や、噴射孔を通じた液体の噴射量の増加を図ることができる。また、例えば液体噴射時において一の噴射チャネル内で発生する圧力変動を循環路内で散逸させ易い。そのため、複数の噴射チャネルが出口流路を通じて連通している場合であっても、一の噴射チャネル内で発生した圧力変動が循環路及び出口流路を通じて他の噴射チャネルに伝播される、いわゆるクロストークを抑制できる。
一方、第2方向における循環路の寸法を広く確保できるので、循環路の流路断面積を確保しつつ、中間プレートの厚さ(第1方向の寸法)を抑えることができる。そのため、液体噴射時において噴射チャネル内で発生した圧力変動を噴射孔まで効果的に伝播させることができる。
その結果、噴射性能を向上させることができる。
【0011】
(5)上記(4)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記循環路の流路断面積は、前記噴射チャネルから離れるに従い増加していることが好ましい。
本態様によれば、循環路の流路断面積を除々に増大できるため、噴射孔での気泡詰まりの抑制や、噴射孔を通じた液体の噴射量の増加を図ることができる。
また、例えば液体噴射時において一の噴射チャネル内で発生する圧力変動を循環路内で散逸させ易いため、クロストークを抑制できる。
【0012】
(6)上記(4)又は(5)の態様に係るヘッドチップにおいて、前記非噴射チャネルのうち前記対向面側の端面は、前記第1方向で前記対向面に向かうに従い前記厚さ方向で前記流路部材から離れる方向に延びる傾斜面に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、アクチュエータプレートのうち流路部材に重ね合わされる面上において、非噴射チャネルの端面と対向面との間に位置する部分の面積を確保し易い。そのため、循環路の流路断面積を広く確保できる。これにより、ヘッドチップ内での液体の循環流量を増加させることができるので、噴射孔での気泡詰まりの抑制や、噴射孔を通じた液体の噴射量の増加を図ることができる。
また、例えば液体噴射時において一の噴射チャネル内で発生する圧力変動を循環路内で散逸させ易いため、クロストークを抑制できる。
【0013】
(7)上記(4)から(6)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記循環路は、前記流路部材のうち、前記第1方向における前記非噴射チャネルと前記対向面との間に位置する部分において、前記対向面から離れた位置に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、流路部材における第1方向を向く端面上において、循環路が開放されないので、流路部材の端面の全体が平坦な連続面となる。そのため、流路部材の端面のうち、噴射孔プレートとの接合面積を確保し易くなり、接合強度を確保できる。その結果、ヘッドチップの耐久性を確保し易い。
【0014】
(8)上記(1)から(7)の何れかの態様に係るヘッドチップにおいて、前記非噴射チャネルのうち前記対向面側の端面は、前記アクチュエータプレートのうち前記第1方向から見て前記第2方向に交差する厚さ方向を向く第1面から離れるに従い前記第1方向で前記対向面から離れる方向に延びる第1傾斜面と、前記アクチュエータプレートにおける前記厚さ方向で前記第1面とは反対に位置する第2面から離れるに従い前記第1方向で前記対向面から離れるとともに、前記第1傾斜面に連なる第2傾斜面と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、例えばアクチュエータプレートに対して一方の面のみからダイサーを進入させて非噴射チャネルを形成する場合に比べ、非噴射チャネルの端面と対向面との間の最大寸法を抑えることができる。その結果、噴射チャネルと非噴射チャネルとの第2方向での対向領域を確保できる。そのため、噴射チャネルと非噴射チャネルとの内面にそれぞれ形成された電極同士の対向面積を確保できるので、ポンプストロークを確保し、液体噴射時における駆動壁の変形体積を増加できる。駆動壁の変形体積が増加することで、同一の噴射をするための印可電圧を下げることができる。また、同一の印可電圧の場合に噴射速度の向上等の噴射性能の向上が期待できる。
【0015】
(9)本開示の一態様に係る液体噴射ヘッドは、上記(1)から(9)の何れかの態様に係るヘッドチップを備えている。
本態様によれば、上記態様に係るヘッドチップを備えているので、信頼性に優れた液体噴射ヘッドを提供できる。
【0016】
(10)本開示の一態様に係る液体噴射記録装置は、上記(10)の態様に係る液体噴射ヘッドを備えている。
本態様によれば、上記態様に係るヘッドチップを備えているので、信頼性に優れた液体噴射記録装置を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一態様によれば、電気的な信頼性を確保し、耐久性を向上できるヘッドチップ、液体噴射ヘッド及び液体噴射記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
【
図2】第1実施形態に係るヘッドチップの分解斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に対応する断面図である。
【
図6】
図3のVI-VI線に対応する断面図である。
【
図7】第1実施形態に係るヘッドチップの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第1実施形態に係るヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。
【
図9】第1実施形態に係るヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。
【
図10】第1実施形態に係るヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。
【
図11】第1実施形態に係るヘッドチップの製造方法を説明するための工程図である。
【
図12】変形例に係るヘッドチップにおいて、非吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図13】変形例に係るヘッドチップにおいて、非吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図14】第2実施形態に係るヘッドチップにおいて、吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図15】第2実施形態に係るヘッドチップにおいて、帰還プレートを透過した状態で示す
図14のXV-XV線に対応する断面図である。
【
図16】第2実施形態に係るヘッドチップにおいて、
図5に対応する正面図である。
【
図17】第3実施形態に係るヘッドチップにおいて、吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図18】変形例に係るヘッドチップにおいて、吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図19】変形例に係るヘッドチップにおいて、非吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図20】第4実施形態に係るヘッドチップにおいて、吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図21】第4実施形態に係るヘッドチップにおいて、非吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【
図22】変形例に係るヘッドチップにおいて、吐出チャネルに沿う断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。以下の実施形態では、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
(第1実施形態)
[プリンタ1]
図1はプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、第1実施形態のプリンタ(液体噴射記録装置)1は、一対の搬送機構2,3と、インク供給機構4と、インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)5と、走査機構6と、を備えている。
【0021】
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。この場合、X方向は被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)に一致している。Y方向は走査機構6の走査方向(主走査方向)に一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。本明細書において、+Z側は重力方向の上方に相当し、-Z側は重力方向の下方に相当する。
【0022】
搬送機構2,3は、被記録媒体Pを+X側に搬送する。搬送機構2,3は、例えばY方向に延びる一対のローラ11,12をそれぞれ含んでいる。
インク供給機構4は、インクが収容されたインクタンク15と、インクタンク15とインクジェットヘッド5とを接続するインク配管16と、を備えている。インクタンク15には、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが各別に収容されている。各インクジェットヘッド5は、接続されたインクタンク15に応じてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクをそれぞれ吐出可能に構成されている。なお、インクとしては、溶剤に水を使用した水性インクを用いることも可能である。
【0023】
走査機構6は、インクジェットヘッド5をY方向に往復走査させる。走査機構6は、ガイドレール22と、Y方向に移動可能にガイドレール22に支持されたキャリッジ23と、を備えている。インクジェットヘッド5は、被記録媒体Pへの印字動作の際において、キャリッジ23に搭載された状態でY方向に往復移動する。
【0024】
<インクジェットヘッド5>
図1に示すように、インクジェットヘッド5は、一つのキャリッジ23にY方向に並んで搭載されている。インクジェットヘッド5は、ヘッドチップ50(
図2参照)と、インクタンク15及びヘッドチップ50間を接続するインク供給部(不図示)と、ヘッドチップ50に駆動電圧を印加する制御部(不図示)と、を備えている。
【0025】
<ヘッドチップ50>
図2は、ヘッドチップ50の分解斜視図である。
図2に示すヘッドチップ50は、後述する吐出チャネル61における延在方向(Z方向)の端部からインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのヘッドチップ50である。ヘッドチップ50は、ノズルプレート51(
図4等参照)と、アクチュエータプレート53と、カバープレート(流路部材)54と、を備えている。
【0026】
アクチュエータプレート53は、駆動プレート55と、バックプレート56と、がY方向に重ね合わされた構成である。駆動プレート55及びバックプレート56は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成されている。駆動プレート55は、例えば分極方向がY方向で異なる2枚の圧電プレートが積層された構成である(いわゆるシェブロンタイプ)。なお、アクチュエータプレート53は、少なくとも駆動プレート55が圧電材料で形成されていれば、バックプレート56は圧電材料以外の材料で形成されていてもよい。また、アクチュエータプレート53は、分極方向がY方向(厚さ方向)の全域で一方向な一枚の圧電プレートで形成されていてもよい(いわゆるモノポールタイプ)。
【0027】
アクチュエータプレート53には、インクが充填される吐出チャネル(噴射チャネル)61、及びインクが充填されない非吐出チャネル(非噴射チャネル)62が形成されている。各チャネル61,62は、例えば円板状のダイサーをアクチュエータプレート53に対してY方向に進入させて形成される。各チャネル61,62は、アクチュエータプレート53において、X方向(第2方向)に間隔をあけた状態で交互に配列されている。なお、本実施形態では、チャネル延在方向がZ方向(第1方向)に一致する構成について説明するが、チャネル延在方向がZ方向に交差していてもよい。
【0028】
図3は、
図2のIII-III線に対応する断面図である。以下の説明において、+Y側を表面側とし、-Y側を裏面側とし、+Z側を上側とし、-Z側を下側として説明する。
図3に示すように、吐出チャネル61は、アクチュエータプレート53の表面上で開口するとともに、Z方向に延びている。吐出チャネル61は、延在部61aと、切り上がり部61bと、を備えている。
延在部61aは、Y方向の深さが一様な部分である。延在部61aの下端は、アクチュエータプレート53の下端面において開放されている。なお、本実施形態において、延在部61aは、駆動プレート55をY方向に貫通している。したがって、延在部61aの底面は、バックプレート56の表面によって形成されている。
【0029】
切り上がり部61bは、延在部61aの上端に連なっている。切り上がり部61bは、上方に向かうに従いY方向の深さが漸次浅くなっている。具体的に、切り上がり部61bの底面は、上方に向かうに従い表面側に向けて湾曲しながら延びる傾斜面に形成されている。
【0030】
図4は、
図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図4に示すように、非吐出チャネル62は、アクチュエータプレート53の表面上で開口するとともに、Z方向に延びている。非吐出チャネル62は、延在部62aと、切り上がり部62bと、を備えている。
延在部62aは、Y方向の深さが一様な部分である。延在部62aの上端は、アクチュエータプレート53の上端面において開放されている。本実施形態において、延在部62aは、駆動プレート55をY方向に貫通している。したがって、延在部62aの底面は、バックプレート56の表面によって形成されている。
【0031】
切り上がり部62bは、延在部62aの下端に連なっている。切り上がり部62bは、下方に向かうに従いY方向の深さが漸次浅くなっている。切り上がり部62bの底面(非噴射チャネルのうち対向面側の端面)は、下方に向かうに従い表面側に向けて湾曲しながら延びる傾斜面に形成されている。
【0032】
図5は、
図2のV矢視に対応する正面図である。
図2、
図5に示すように、アクチュエータプレート53のうち、吐出チャネル61及び非吐出チャネル62間に位置する部分は、それぞれ駆動壁65を構成している。したがって、吐出チャネル61は、一対の駆動壁65によってX方向の両側が囲まれている。
【0033】
図4に示すように、アクチュエータプレート53のうち、アクチュエータプレート53の下端面(ノズルプレート51との対向面)と非吐出チャネル62(底面)との間に位置する部分は、閉塞部67を構成している。閉塞部67は、非吐出チャネル62の内外の連通をZ方向に遮断している。したがって、非吐出チャネル62は、アクチュエータプレート53の下端面に対して上方に離れた位置で終端しており、アクチュエータプレート53の下端面では開放されていない。
【0034】
閉塞部67のうち、非吐出チャネル62内に露呈する面(以下、閉塞内面部67aという。)は、切り上がり部62bの底面を構成している。一方、閉塞部67のうち、非吐出チャネル62とは反対側を向く面(以下、閉塞外面部67b)は、アクチュエータプレート53の下端面を構成している。したがって、本実施形態において、閉塞部67のZ方向の寸法は、表面側から裏面側にかけて漸次増大している。なお、閉塞外面部67bは、アクチュエータプレート53の下端面と面一である場合に限られない。閉塞外面部67bは、例えばアクチュエータプレート53の下端面に対して上方に窪んでいてもよい。
【0035】
図6は、アクチュエータプレート53の平面図である。
図6に示すように、アクチュエータプレート53には、共通配線71及び個別配線72が形成されている。共通配線71は、共通電極75と、共通端子76と、を備えている。
共通電極75は、吐出チャネル61の内面にそれぞれ形成されている。共通電極75は、吐出チャネル61の内面において、X方向で向かい合う内側面、及び切り上がり部61bの底面の全域に亘って形成されている。
【0036】
共通端子76は、アクチュエータプレート53のうち、吐出チャネル61に対して上方に位置する部分(以下、尾部78という。)の表面上に形成されている。共通端子76は、尾部78の表面上において、Z方向に延びる帯状に形成されている。共通端子76は、吐出チャネル61の表面側開口縁において、共通電極75に接続されている。
【0037】
個別配線72は、個別電極81と、個別端子82と、を備えている。
個別電極81は、駆動壁65のうち非吐出チャネル62に面する内側面に形成されている。個別電極81は、各非吐出チャネル62の内側面においてY方向の全域に亘って形成されている。なお、非吐出チャネル62の内面のうち、向かい合う内側面に形成された個別電極81同士は、非吐出チャネル62の底面で分離されている。
【0038】
個別端子82は、尾部78の表面において、共通端子76よりも上方に位置する部分に形成されている。個別端子82は、X方向に延びる帯状とされている。個別端子82は、吐出チャネル61を間に挟んでX方向で対向する非吐出チャネル62の表面側開口縁において、吐出チャネル61を間に挟んでX方向で対向する個別電極81同士を接続している。なお、アクチュエータプレート53としてモノポールタイプを使用する場合、共通電極75や個別電極81は、対応するチャネル61,62の内側面において、表面側からY方向の半分以上で、チャネル61,62の底面に到達しない程度の深さに形成する必要がある。
【0039】
尾部78において、共通端子76と個別端子82との間に位置する部分には、区画溝83が形成されている。区画溝83は、尾部78の表面上で開口するとともに、X方向に延びている。区画溝83は、共通端子76と個別端子82との間をそれぞれ分離している。
【0040】
図4~
図6に示すように、尾部78の表面には、フレキシブルプリント基板85が圧着されている。フレキシブルプリント基板85は、尾部78の表面において、共通端子76及び個別端子82に接続されている。フレキシブルプリント基板85は、上方に引き出されている。
【0041】
<カバープレート54>
図2~
図4に示すように、カバープレート54は、アクチュエータプレート53の表面(対向面以外の面)に接着等により固定されている。具体的に、カバープレート54は、Y方向を厚さ方向として配置されている。カバープレート54は、尾部78の表面を露出させた状態で各チャネル61,62の表面側開口部を閉塞している。Z方向において、カバープレート54の下端面は、アクチュエータプレート53の下端面と面一に配置されている。
【0042】
カバープレート54において、吐出チャネル61の上端部とY方向から見て重なり合う位置には、入口共通インク室(入口流路)90が形成されている。入口共通インク室90は、例えば各チャネル61,62を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート54の表面上で開口している。
入口共通インク室90において、吐出チャネル61とY方向から見て重なり合う位置には、入口スリット(入口流路)91が形成されている。入口スリット91は、各吐出チャネル61の上端部と、入口共通インク室90内と、の間を各別に連通している。入口スリット91は、切り上がり部61bとY方向に向かい合っている。したがって、入口スリット91は、それぞれ各吐出チャネル61に連通する一方、各非吐出チャネル62には連通していない。
【0043】
図4に示すように、ノズルプレート51は、アクチュエータプレート53の下端面に接着等によって固定されている。ノズルプレート51は、Z方向を厚さ方向とし、X方向を長手方向として配置されている。本実施形態において、ノズルプレート51は、ポリイミド等の樹脂材料により厚さが50μm程度に形成されている。但し、ノズルプレート51は、樹脂材料の他、金属材料(SUSやNi-Pd等)、ガラス、シリコン等による単層構造、又は積層構造であってもよい。
【0044】
ノズルプレート(噴射孔プレート)51には、ノズルプレート51をZ方向に貫通する上述したノズル孔(噴射孔)93が形成されている。ノズル孔93は、ノズルプレート51のうち、吐出チャネル61にZ方向で対向する位置に各別に形成されている。なお、各ノズル孔93は、上方から下方に向かうに従い漸次先細るテーパ状に形成されている。
【0045】
[プリンタ1の動作方法]
次に、上述したように構成されたプリンタ1を利用して、被記録媒体Pに文字や図形等を記録する場合について以下に説明する。
なお、初期状態として、
図1に示す4つのインクタンク15にはそれぞれ異なる色のインクが十分に封入されているものとする。また、インクタンク15内のインクは、インク配管16を通じてインクジェットヘッド5内に充填された状態となっている。
【0046】
このような初期状態のもと、プリンタ1を作動させると、被記録媒体Pが搬送機構2,3のローラ11,12に挟み込まれながら+X側に搬送される。また、これと同時にキャリッジ23がY方向に移動することで、キャリッジ23に搭載されたインクジェットヘッド5がY方向に往復移動する。
インクジェットヘッド5が往復移動する間に、各インクジェットヘッド5よりインクを被記録媒体Pに適宜吐出させる。これにより、被記録媒体Pに対して文字や画像等の記録を行うことができる。
【0047】
キャリッジ23(
図1参照)の移動によってインクジェットヘッド5の往復移動が開始されると、フレキシブルプリント基板85を介して共通電極75及び個別電極81間に駆動電圧が印加される。この際、個別電極81を駆動電位Vddとし、共通電極75を基準電位GNDとして各電極間に駆動電圧を印加する。すると、駆動壁65は、いわゆる逆圧電効果によって厚み滑り変形が生じることで、Y方向の中央部を起点にしてV字状に屈曲変形する。すなわち、駆動壁65は吐出チャネル61の容積が拡大するように変形する。
【0048】
各吐出チャネル61の容積が増大した後、共通電極75及び個別電極81間に印加した電圧をゼロにする。すると、駆動壁65が復元し、一旦増大した吐出チャネル61の容積が元の容積に戻る。これにより、吐出チャネル61の内部の圧力が増加し、インクが加圧される。そして、吐出チャネル61内の圧力増加によって発生した圧力波が、ノズル孔93に向けて伝播する。その結果、吐出チャネル61内のインクがノズル孔93を通じて液滴状に吐出される。ノズル孔93から吐出されたインクが被記録媒体P上に着弾することで、被記録媒体Pに文字や画像等を記録することができる。
【0049】
<ヘッドチップ50の製造方法>
次に、上述したヘッドチップ50の製造方法について簡単に説明する。
図7は、ヘッドチップ50の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図8~
図11は、ヘッドチップ50の製造方法を説明するための工程図である。本実施形態では、複数のヘッドチップ50をウエハレベルで一括して製造する方法について説明する。
図7に示すように、ヘッドチップ50は、例えば第1ダイシング工程と、第2ダイシング工程と、配線形成工程と、第3ダイシング工程と、重ね合わせ工程と、個片化工程と、ノズルプレート接合工程と、を経て製造される。
【0050】
図8に示すように、第1ダイシング工程は、後に駆動プレート55となる駆動ウエハ100に対し、後に吐出チャネル61となる第1ダイシングライン110を形成する。具体的には、駆動ウエハ100に対して表面側からダイサーを進入させ、ダイサーを所定量走行させる。第1ダイシングライン110の延在方向L1に沿う長さ(ダイサーの走行量)は、吐出チャネル61の2つ分程度の長さに設定されている。したがって、第1ダイシングライン110のうち、延在方向L1の両端部は吐出チャネル61の切り上がり部61bとして機能する部分となり、延在方向L1の中央部は延在部61aとして機能する部分となる。第1ダイシング工程では、上述した動作を、駆動ウエハ100に対して延在方向L1及び延在方向L1に交差する交差方向(以下、交差方向L2という。)に間隔をあけて繰り返し行う。
【0051】
図9に示すように、第2ダイシング工程では、後に非吐出チャネル62となる第2ダイシングライン111を形成する。具体的には、駆動ウエハ100における第1ダイシングライン110に対してX方向の両側に位置する部分にダイサーを進入させ、ダイサーを所定量走行させる。第2ダイシングライン111の延在方向L1に沿う長さ(ダイサーの走行量)は、非吐出チャネル62の2つ分程度の長さに設定されている。したがって、第2ダイシングライン111のうち、延在方向L1の両端部は非吐出チャネル62の切り上がり部62bとして機能する部分となり、延在方向L1の中央部は延在部62aとして機能する部分となる。また、第2ダイシングライン111は、第1ダイシングライン110に対して半ピッチずらした状態で形成する。すなわち、第2ダイシングライン111における延在方向L1の端部と、第1ダイシングライン110における延在方向L1の中央部と、が延在方向L1で同じ位置に配置されるように、第2ダイシングライン111を形成する。
【0052】
配線形成工程では、駆動ウエハ100に対して共通配線71及び個別配線72を形成する。具体的には、斜め蒸着等によって、駆動ウエハ100の表面側及び裏面側から電極材料を成膜する。これにより、不図示のマスクパターンを通じて駆動ウエハ100の表面や各ダイシングライン110,111の内面に配線71,72が形成される。
【0053】
図10に示すように、第3ダイシング工程では、後に区画溝83となる第3ダイシングライン113を形成する。具体的には、駆動ウエハ100において、延在方向L1で隣り合う第1ダイシングライン110の間に位置する部分に対し、駆動ウエハ100を表面側からダイサーを進入させ、ダイサーを交差方向L2に走行させる。
【0054】
重ね合わせ工程では、駆動ウエハ100の裏面側に、後にバックプレート56となるバックウエハ(不図示)を積層する。また、駆動ウエハ100の表面側に、後にカバープレート54となるカバーウエハ(不図示)を積層する。これにより、駆動ウエハ100、バックウエハ及びカバーウエハが積層されたウエハ接合体が形成される。
【0055】
図11に示すように、個片化工程では、ウエハ接合体をヘッドチップ50毎に分割する。具体的には、ウエハ接合体のうち、第1ダイシングライン110における延在方向L1の中央部(
図10中Q1参照)、延在方向L1で隣り合う第1ダイシングライン110の間に位置する部分(
図10中Q2参照)に対して、ダイサーを交差方向L2に走行させ、ウエハ接合体を切断する。これにより、上述したアクチュエータプレート53及びカバープレート54がチップ単位で切り出された複数のチップ接合体109が形成される。
【0056】
ノズルプレート接合工程では、個片化工程で切り出されたチップ接合体109にノズルプレート51を貼り合わせる。
以上により、ヘッドチップ50が製造される。
【0057】
このように、本実施形態のヘッドチップ50は、非吐出チャネル62はアクチュエータプレート53の下端面に対して離間した位置で終端し、吐出チャネル61はアクチュエータプレート53の下端面上で開口している構成とした。
この構成によれば、非吐出チャネル62がアクチュエータプレート53の下端面上で開放されないので、アクチュエータプレート53とノズルプレート51との間に意図せずに形成される微小隙間等を通じて吐出チャネル61内のインクが非吐出チャネル62内に進入するのを抑制できる。
そのため、非吐出チャネル62の内面に形成された電極が腐食や短絡するのを抑制し、電気的信頼性に優れ、耐久性の向上を図ったヘッドチップ50を提供できる。
【0058】
しかも、アクチュエータプレート53の下端面に要求される表面性状を緩和できるので、製造効率の向上や歩留まりの向上を図ることができる。特に、エッジシュートタイプでは、アクチュエータプレート53の下端面(吐出チャネル61の開口面)がダイサー等の切断面で形成されることから、下端面に凹凸やうねり等が生じる可能性があり、表面性状の高精度化が難しい。このような場合であっても、ノズルプレート51の接合工程に掛かる負担を軽減した上で、非吐出チャネル62内へのインクの流入を抑制できる。
【0059】
本実施形態のインクジェットヘッド5及びプリンタ1では、上述したヘッドチップ50を備えているので、信頼性に優れたインクジェットヘッド5及びプリンタ1を提供できる。
【0060】
(変形例)
上述した実施形態では、閉塞部67のZ方向の寸法は、駆動プレート55の表面側から裏面側にかけて漸次増大している構成について説明したが、この構成に限られない。閉塞部67のZ方向の寸法は、例えば
図12に示すように、駆動プレート55の裏面側から表面側に向かうに従い漸次増大する構成であってもよい。すなわち、本変形例において、閉塞内面部67aは、裏面側から表面側に向かうに従い上方に向けて延びる傾斜面に形成されている。
【0061】
また、
図13に示すように、閉塞部67のZ方向の寸法は、駆動プレート55の表面側及び裏面側からY方向の中央部に向かうに従い漸次増大する構成であってもよい。具体的に、閉塞内面部67aは、駆動プレート55の表面側からY方向の中央部に向かうに従い上方に延びる第1傾斜面130aと、駆動プレート55の裏面側からY方向の中央部に向かうに従い上方に延び、第1傾斜面130aに連なる第2傾斜面130bと、を備えている。本変形例の閉塞部67は、上述した第2ダイシング工程において、駆動ウエハ100の両面からダイサーを進入させることで形成することができる。
【0062】
本変形例においては、例えばアクチュエータプレート53に対して一方の面からダイサーを進入させて非吐出チャネル62を形成する場合に比べ、閉塞部67におけるZ方向の最大寸法(閉塞内面部67a及び閉塞外面部67b間の最大距離)を抑えることができる。その結果、吐出チャネル61と非吐出チャネル62とのX方向での対向領域(駆動壁65におけるZ方向の寸法)を確保できる。そのため、共通電極75と個別電極81との対向面積を確保できるので、ポンプストロークを確保し、インク吐出時における駆動壁65の変形体積を増加できる。駆動壁65の変形体積が増加することで、同一の吐出をするための印可電圧を下げることができる。また、同一の印可電圧の場合に吐出速度の向上等の吐出性能の向上が期待できる。
【0063】
(第2実施形態)
本実施形態では、循環型のヘッドチップ150を採用している点で上述した実施形態と相違している。
図14は、第2実施形態に係るヘッドチップ50において、吐出チャネル61に沿う断面を示す断面図である。
図14に示すヘッドチップ150は、ノズルプレート51、アクチュエータプレート53及びカバープレート(流路部材)54に加え、流路プレート(流路部材)151と、帰還プレート(中間プレート)152と、を備えている。
【0064】
流路プレート151は、カバープレート54の表面に重ね合わされている。流路プレート151には、入口マニホールド(入口流路)155及び出口マニホールド(入口流路)156が形成されている。入口マニホールド155は、流路プレート151のうち、入口共通インク室90とY方向から見て重なり合う部分に形成されている。具体的に、入口マニホールド155は、流路プレート151の裏面上で開口するとともに、X方向に延びている。入口マニホールド155は、裏面側開口部を通じて入口共通インク室90に連通している。一方、入口マニホールド155は、例えば流路プレート151におけるX方向における一方の端部に設けられた入口ポート(不図示)等を通じてインクタンク15に接続されている。
【0065】
出口マニホールド156は、流路プレート151の下端面上で開口するとともに、X方向に延びている。出口マニホールド156は、例えば流路プレート151におけるX方向における他方の端部に設けられた出口ポート(不図示)等を通じてインクタンク15に接続されている。
【0066】
図15は、帰還プレート152を透過した状態で示す
図14のXV-XV線に対応する断面図である。
図14、
図15に示すように、帰還プレート152は、アクチュエータプレート53とノズルプレート51との間に配置されている。具体的に、帰還プレート152の上端面は、アクチュエータプレート53、カバープレート54及び流路プレート151の下端面にまとめて接合されている。帰還プレート152の下端面には、ノズルプレート51が接合されている。
【0067】
帰還プレート152において、Z方向から見て少なくとも吐出チャネル61と重なり合う位置には、循環路(連通路)157が各別に形成されている。循環路157は、対応する吐出チャネル61及びノズル孔93同士、並びに吐出チャネル61及び出口マニホールド156同士を連通させている。循環路157は、帰還プレート152をZ方向に貫通するとともに、Y方向に延びている。各循環路157は、-Y側端部において、対応する吐出チャネル61に各別に連通している。各循環路157は、+Y側端部において、出口マニホールド156にまとめて連通している。なお、循環路157におけるX方向の幅は、吐出チャネル61におけるX方向の幅よりも広いことが好ましい。
【0068】
本実施形態のヘッドチップ150において、入口マニホールド155を流れるインクは、入口共通インク室90を通過した後、各入口スリット91を経て吐出チャネル61内に流入する。吐出チャネル61内を流れるインクは、循環路157内に流入する。各循環路157内を流れるインクのうち、一部のインクは上述した駆動壁65の厚み滑り変形に伴う吐出チャネル61内の圧力増加によってノズル孔93から吐出される。一方、各循環路157内を流れるインクのうち、残りのインクは、出口マニホールド156内に流入する。出口マニホールド156内に流入したインクは、出口ポートを経てインクタンク15に戻される。その後、インクタンク15に戻されたインクは、再びヘッドチップ50に供給される。
【0069】
本実施形態のヘッドチップ150では、アクチュエータプレート53とノズルプレート51との間に、循環路157を有する帰還プレート152が配置された構成とした。
この構成によれば、非吐出チャネル62がアクチュエータプレート53の下端面上で開放されないので、X方向における循環路157の寸法を広く確保できる。そのため、例えばノズル孔93及び循環路157間や吐出チャネル61及び循環路157間でのX方向での位置ずれを許容し易い。したがって、ノズル孔93及び循環路157間や吐出チャネル61及び循環路157間での連通部分の流路断面積を確保できる。
【0070】
本実施形態のヘッドチップ150では、X方向における循環路157の寸法を広く確保できるので、循環路157の流路断面積を確保し易い。この場合には、循環路157を流れるインクの流量を増加させることができるので、ノズル孔93での気泡詰まりの抑制や、ノズル孔93を通じたインクの吐出量の増加を図ることができる。また、例えばインク吐出時において一の吐出チャネル61内で発生する圧力変動を循環路157内で散逸させ易い。そのため、複数の吐出チャネル61が出口マニホールド156を通じて連通している場合であっても、一の吐出チャネル61内で発生した圧力変動が出口マニホールド156と循環路157を通じて他の吐出チャネル61に伝播される、いわゆるクロストークを抑制できる。
【0071】
一方、X方向における循環路157の寸法を広く確保できるので、循環路157の流路断面積を確保しつつ、帰還プレート152の厚さ(Z方向の寸法)を抑えることができる。そのため、インク吐出時において吐出チャネル61内で発生した圧力変動をノズル孔93まで効果的に伝播させることができる。
その結果、吐出性能を向上させることができる。
【0072】
なお、循環路157は、一の吐出チャネル61内と、出口マニホールド156内と、を各別に連通させる構成であれば、例えばY方向に対して交差する方向に延びていてもよい。また、上述した実施形態では、入口マニホールド155及び出口マニホールド156が一枚の流路プレート151に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、カバープレート54の表面側に入口マニホールド155を有する流路プレート151を設け、バックプレート56の裏面側に出口マニホールド156を有する流路プレートを設けてもよい。
【0073】
(第3実施形態)
本実施形態に係るヘッドチップ200は、カバープレート54に循環路201を形成している点で上述した実施形態と相違している。
図16は、第3実施形態に係るヘッドチップ200において、吐出チャネル61に沿う断面を示す断面図である。
図16に示すヘッドチップ200において、カバープレート54の下端部には、循環路201が形成されている。循環路201は、各吐出チャネル61に対応して、X方向に間隔をあけて複数設けられている。循環路201は、カバープレート54をY方向に貫通するとともに、カバープレート54の下端面上で開放されている。図示の例において、循環路201は、流路断面積(Y方向に直交する面積)が全長に亘って一様に形成されるとともに、Y方向に直線状に延びている。
【0074】
各循環路201における-Y側端部は、吐出チャネル61内に各別に連通している。一方、各循環路201における+Y側端部は、出口マニホールド156内にまとめて連通している。なお、循環路201は、一の吐出チャネル61内と、出口マニホールド156内と、を各別に連通させる構成であれば、例えばY方向に対して交差する方向に延びていてもよい。
【0075】
この構成によれば、上述した第2実施形態と同様に、非吐出チャネル62がアクチュエータプレート53の下端面上で開放されないので、循環路201の流路断面積を確保し易い。そのため、ノズル孔93での気泡詰まりの抑制や、ノズル孔93を通じたインクの吐出量の増加を図ることができる。
また、例えばインク吐出時において一の吐出チャネル61内で発生する圧力変動を循環路201内で散逸させ易いため、クロストークを抑制できる。
【0076】
(変形例)
上述した実施形態では、循環路201の流路断面積が全長に亘って一様に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、
図17に示すように、循環路201の流路断面積は、出口マニホールド156に向けて漸次拡大する構成であってもよい。
この構成によれば、循環路201の流路断面積を徐々に増大できるため、ノズル孔93での気泡詰まりの抑制や、ノズル孔93を通じたインクの吐出量の増加を図ることができる。
また、例えばインク吐出時において一の吐出チャネル61内で発生する圧力変動を循環路201内で散逸させ易いため、クロストークを抑制できる。
【0077】
上述した実施形態では、循環路201がカバープレート54の下端面で開放されている構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、
図18に示すように、循環路201は、カバープレート54のうち、下端面から上方に位置する部分をY方向に貫通していてもよい。この場合には、カバープレート54の下端面上において、循環路201が開放されないので、カバープレート54の下端面の全体が平坦な連続面となる。そのため、カバープレート54の下端面のうち、ノズルプレート51との接合面積を確保し易くなり、接合強度を確保できる。その結果、ヘッドチップ50の耐久性を確保し易い。
【0078】
図19に示すヘッドチップ200は、
図12に示す構成と同様に、閉塞部67のZ方向の寸法が駆動プレート55の裏面側から表面側に向かうに従い漸次増大する構成である。
この構成によれば、アクチュエータプレート53の表面上において、閉塞内面部67aと、アクチュエータプレート53の下端面と、の間に位置する部分の面積を確保し易い。そのため、循環路201の流路断面積を広く確保できる。これにより、ヘッドチップ200内でのインクの循環流量を増加させることができるので、ノズル孔93での気泡詰まりの抑制や、ノズル孔93を通じたインクの吐出量の増加を図ることができる。
また、例えばインク吐出時において一の吐出チャネル61内で発生する圧力変動を循環路201内で散逸させ易いため、クロストークを抑制できる。
【0079】
なお、上述した実施形態では、入口マニホールド155及び出口マニホールド156が一枚の流路プレート151に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、カバープレート54の表面側に入口マニホールド155を有する流路プレート151を設け、バックプレート56の裏面側に出口マニホールド156を有する流路プレートを設けてもよい。この場合には、循環路201は、バックプレート56に形成されることになる。
【0080】
(第4実施形態)
本実施形態では、いわゆるサイドシュート型のヘッドチップ300に本開示に係る構成を採用している点で第1実施形態と相違している。
図20は、第4実施形態に係るヘッドチップ300において、吐出チャネル301に沿う断面を示す断面図である。
図20に示すヘッドチップ300において、吐出チャネル301は、X方向から見て下方(-Z側)に向けて凸の湾曲形状に形成されている。吐出チャネル301は、例えば円板状のダイサーをアクチュエータプレート53の下方(+Z側)から進入させることで形成される。具体的に、吐出チャネル301は、Y方向の両端部に位置する切り上がり部301aと、各切り上がり部301a間に位置する貫通部301bと、を有している。
切り上がり部301aは、X方向から見て例えばダイサーの曲率半径に倣って延びる円弧状である。切り上がり部301aは、Y方向において貫通部301bから離れるに従い裏面側に向けて湾曲しながら延びている。
貫通部301bは、アクチュエータプレート53をZ方向に貫通している。
【0081】
図21は、第4実施形態に係るヘッドチップ300において、非吐出チャネル302に沿う断面を示す断面図である。
図21に示すように、非吐出チャネル302は、駆動壁65を隔てて吐出チャネル301とX方向で隣り合っている。非吐出チャネル302は、アクチュエータプレート53において、Y方向に直線状に延びている。非吐出チャネル302は、深溝部302aと、浅溝部302bと、を備えている。
深溝部302aは、アクチュエータプレート53における-Y側端部(吐出チャネル301に対して-Y側に位置する部分)に形成されている。深溝部302aは、アクチュエータプレート53をZ方向に貫通している。
【0082】
浅溝部302bは、深溝部302aから+Y側に連なっている。浅溝部302bは、アクチュエータプレート53の上面で開放されるとともに、アクチュエータプレート53の下面に対して上方に離れた位置で終端している。すなわち、浅溝部302bは、アクチュエータプレート53の下面では開放されていない。アクチュエータプレート53において、浅溝部302bの底面とアクチュエータプレート53の下面との間に位置する部分は、閉塞部303を構成している。閉塞部303は、非吐出チャネル302の内外をZ方向に遮断している。
【0083】
本実施形態において、閉塞部303は、X方向から見て吐出チャネル301と重なり合っている。なお、閉塞部303は、少なくとも貫通部301bと重なり合う領域に形成されていればよい。
【0084】
カバープレート54には、入口共通インク室310及び出口共通インク室311がそれぞれ形成されている。
入口共通インク室310は、例えば吐出チャネル301の-Y側端部と平面視で重なる位置に形成されている。入口共通インク室310は、例えばチャネル301,302を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート54の上面で開口している。
出口共通インク室311は、例えば吐出チャネル301の+Y側端部と平面視で重なる位置に形成されている。出口共通インク室311は、チャネル301,302を跨る長さでX方向に延びるとともに、カバープレート54の上面上で開口している。
【0085】
入口共通インク室310において、吐出チャネル301と平面視で重なり合う位置には、入口スリット315が形成されている。入口スリット315は、各吐出チャネル301の-Y側端部と、入口共通インク室310内と、の間を各別に連通している。
出口共通インク室311において、吐出チャネル301と対応する位置には、出口スリット316が形成されている。出口スリット316は、各吐出チャネル301の+Y側端部と、出口共通インク室311内と、の間を各別に連通している。したがって、入口スリット315及び出口スリット316は、それぞれ各吐出チャネル301に連通する一方、非吐出チャネル302には連通していない。
【0086】
本実施形態においても、非吐出チャネル302がアクチュエータプレート53の下面上で開放されないので、アクチュエータプレート53とノズルプレート51との間に意図せずに形成される微小隙間等を通じて吐出チャネル301内のインクが非吐出チャネル62内に進入するのを抑制できる。
そのため、非吐出チャネル302の内面に形成された電極が腐食や短絡するのを抑制し、電気的信頼性に優れ、耐久性の向上を図ったヘッドチップ300を提供できる。
【0087】
なお、上述した実施形態では、アクチュエータプレート53の下面にノズルプレート51が直接接合された構成について説明したが、この構成に限られない。
図22に示すように、アクチュエータプレート53とノズルプレート51との間に、中間プレート320が配置されていてもよい。中間プレート320は、アクチュエータプレート53の下面に接着等により固定されている。中間プレート320は、アクチュエータプレート53と同様にPZT等の圧電材料により形成されている。但し、中間プレート320は、圧電材料以外の材料(例えば、ポリイミドやアルミナ等の非導電材)で形成されていてもよい。
【0088】
中間プレート320において、各吐出チャネル301の貫通部301bと平面視で重なり合う部分には、連通孔321が形成されている。連通孔321は、アクチュエータプレート53の下面側において、対応する吐出チャネル301の貫通部301b内に各別に連通している。連通孔321におけるY方向の寸法は、貫通部301bよりも短い。一方、連通孔321におけるX方向の寸法は、貫通部301bよりも広く、ノズル孔93の最大内径と同等になっている。
【0089】
本実施形態においても、非吐出チャネル302がアクチュエータプレート53の下面上で開放されないので、X方向における連通孔321の寸法を広く確保できる。そのため、例えばノズル孔93及び連通孔321間や吐出チャネル301及び連通孔321間でのX方向での位置ずれを許容し易い。したがって、ノズル孔93及び連通孔321間や吐出チャネル301及び連通孔321間での連通部分の流路断面積を確保できる。
【0090】
(その他の変形例)
なお、本開示の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であってもよい。
上述した実施形態では、印刷時にインクジェットヘッドが被記録媒体に対して移動する構成(いわゆる、シャトル機)を例にして説明をしたが、この構成に限られない。本開示に係る構成は、インクジェットヘッドを固定した状態で、インクジェットヘッドに対して被記録媒体を移動させる構成(いわゆる、固定ヘッド機)に採用してもよい。
上述した実施形態では、被記録媒体Pが紙の場合について説明したが、この構成に限られない。被記録媒体Pは、紙に限らず、金属材料や樹脂材料であってもよく、食品等であってもよい。
上述した実施形態では、液体噴射ヘッドが液体噴射記録装置に搭載された構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、液体噴射ヘッドから噴射される液体は、被記録媒体に着弾させるものに限らず、例えば調剤中に配合する薬液や、食品に添加する調味料や香料等の食品添加物、空気中に噴射する芳香剤等であってもよい。
【0091】
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成のみに限らず、Z方向を水平方向に沿わせてもよい。
上述した実施形態では、第1方向がZ方向に一致し、第2方向がX方向に一致する構成について説明したが、この構成に限られない。第1方向及び第2方向は、X方向及びZ方向とは別に定めてもよい。
【0092】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…インクジェットプリンタ(液体噴射記録装置)
5…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
50…ヘッドチップ
51…ノズルプレート(噴射孔プレート)
53…アクチュエータプレート
51…ノズルプレート(噴射孔プレート)
54…カバープレート(流路部材)
61…吐出チャネル(噴射チャネル)
62…非吐出チャネル(非噴射チャネル)
90…入口共通インク室(入口流路)
91…入口スリット(入口流路)
93…ノズル孔(噴射孔)
130a…第1傾斜面
130b…第2傾斜面
150…ヘッドチップ
151…流路プレート(流路部材)
152…帰還プレート(中間プレート)
155…入口マニホールド(入口流路)
156…出口マニホールド(出口流路)
157…循環路(連通路)
200…ヘッドチップ
201…循環路(連通路)
300…ヘッドチップ
301…吐出チャネル(噴射チャネル)
302…非吐出チャネル(噴射チャネル)
310…入口共通インク室(入口流路)
311…出口共通インク室(出口流路)
315…入口スリット(入口流路)
316…出口スリット(出口流路)
320…中間プレート
321…連通孔(連通路)